JP2007203818A - ステアリング装置のギヤハウジング構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のハウジング部材に分割可能なギヤハウジングを組み立てる際に、左右のマウント部間のピッチおよび姿勢を、簡単に所定の位置に決められるようにし、製造コストの軽減を図ったステアリング装置のギヤハウジング構造を提供する。
【解決手段】ラック軸を軸方向に摺動自在に支持するギヤハウジングが、複数のハウジング部材に分割可能であるステアリング装置のギヤハウジング構造において、複数のハウジング部材のそれぞれの接合部に、軸方向位置および回転方向位相を合わせるための係合部を少なくとも1つは備えた。
【選択図】図1
【解決手段】ラック軸を軸方向に摺動自在に支持するギヤハウジングが、複数のハウジング部材に分割可能であるステアリング装置のギヤハウジング構造において、複数のハウジング部材のそれぞれの接合部に、軸方向位置および回転方向位相を合わせるための係合部を少なくとも1つは備えた。
【選択図】図1
Description
本発明は、ステアリング装置に関し、より詳細には、複数のハウジング部材に分割可能なギヤハウジングの接合構造を改良したステアリング装置に関する。
従来より、車両には、操舵手段として、ステアリング装置が搭載されている。このようなステアリング装置では、搭載スペースに制限のあるエンジンルームでの組み付けを容易にするために、ラック軸を軸方向に摺動自在に支持するギヤハウジングが、複数のハウジング部材に分割可能な構造になっている。
図7は、従来のステアリング装置のギヤハウジングを示す分解図である。同図において、ラック軸を収容するためのギヤハウジング100は、車体取付用ボルトが挿通されるボルト孔101が穿設された左マウント部102を有する左ハウジング部材103と、左マウント部102と同様にボルト孔104が穿設された右マウント部105を有する右ハウジング部材106と、左ハウジング部材103と右ハウジング部材106との間に介装される中間ハウジング部材107とに分割可能になっている。
左ハウジング部材103の右端部および右ハウジング部材106の右端部には、中間ハウジング部材107の端部内周に圧入できるように圧入代108,109が形成されている。この圧入代108,109を中間ハウジング部材107の両端部に嵌合させることにより、3分割されたギヤハウジング100が結合される。
このような従来のステアリング装置のギヤハウジング構造として、例えば特許文献1には、左右のマウント部(左右ハウジング部材)の中間部(中間ハウジング部材)との接合部が、中間部の内側に挿入される挿入部(圧入代)を有し、該挿入部において左右のマウント部と中間部とが圧入によって結合されたものが開示されている。
また、特許文献2には、分割された一方のギヤハウジングの連結部の外周面に形成されたネジと、他方のギヤハウジングの連結部の内周面に形成されたネジとの間に、これら両ネジに噛み合うネジが内外周面に形成されたネジ継手が介装されて連結されるものが開示されている。
しかしながら、従来のギヤハウジング100や特許文献1に開示されるものは、それぞれのハウジング部材103,106,107を組み付ける際に、軸方向の位置合わせは可能であるが、回転方向の位相合わせをする手段を備えていなかった。すなわち、左右のハウジング部材103,106の回転方向の位相が合っていないと、車体に取り付けるためのマウント部102,105の所定の姿勢が得られず、車体に組み付けることができなかった。そのため、ギヤハウジング100の組立作業の段階で回転方向の位相を合わせる工程を行う必要があり、この工程増加により、人的コストおよび設備コストが嵩んでしまう、という問題があった。
また、上記特許文献2に開示されるものは、ネジ継手によってマウント部間のピッチや姿勢を調整できるようになっているが、この調整用のネジ継手は、ターンバックルの原理を用いているが、各ハウジングにネジ加工が必要であり、さらにロックナット部材が必要となるため、製造コストが嵩んでしまう、という問題があった。また、ギヤハウジングは、車体に組み付けられた後に再調整を要することは殆どないため、製造コストを増加を招いてまで、このような複雑な構造を有するネジ継手を備える必要性は無かった。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数のハウジング部材に分割可能なギヤハウジングを組み立てる際に、左右のマウント部間のピッチおよび姿勢を、簡単に所定の位置に決められるようにし、製造コストの軽減を図ったステアリング装置のギヤハウジング構造を提供することにある。
本発明の上記目的は、ラック軸を軸方向に摺動自在に支持するギヤハウジングが、複数のハウジング部材に分割可能であるステアリング装置のギヤハウジング構造において、前記複数のハウジング部材が、それぞれの接合部に、軸方向位置および回転方向位相を合わせるための係合部を少なくとも1つは備えていることにより、達成される。
また、上記目的は、互いに接合される一対の前記ハウジング部材のうち、一方のハウジング部材の前記係合部が、軸方向または径方向に突出した係合凸部であり、かつ、他方のハウジング部材の前記係合部が、前記係合凸部に係合する係合凹部であることにより、効果的に達成される。
さらに、上記目的は、前記係合部の係合代の軸方向長さが、前記他方のハウジング部材の接合端部に形成された圧入代の軸方向長さより長くなっていることにより、効果的に達成される。
本発明に係るステアリング装置のギヤハウジング構造によると、分割された複数のハウジング部材の接合部に、所定の軸方向位置および所定の回転方向位相を得るための係合部を備えた。これにより、この係合部に沿って各ハウジング部材を接合すれば、車体に取り付けられる左右のマウント部の間の所定のピッチおよび所定の姿勢を簡単に得ることができ、製造コストの軽減を図ることができる。
また、互いに接合される一対のハウジング部材のうち、一方のハウジング部材の係合部には、軸方向または径方向に突出した係合凸部を形成し、かつ、他方のハウジング部材の係合部には、係合凸部に係合する係合凹部を形成した。これにより、部品点数および組立工数を増加することなく、所定の軸方向位置および所定の回転方向位相を得ることができる。
さらに、係合部の係合代の軸方向長さ、すなわち係合凸部の軸方向長さを、他方のハウジング部材の接合端部に形成された圧入代の軸方向長さより長くして、係合凸部の基部が圧入代にかかる前に、互いのハウジング部材が係合されるようにした。これにより、ハウジング部材の回転方向位相を圧入する前に決めることができるので、ハウジング部材を圧入する作業性の向上を図ることができる。
以下、図面を参照にしながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るステアリング装置のギヤハウジングを示す側面図である。本実施形態に係るステアリング装置は、ラック・ピニオン式電動パワーステアリング装置であり、操舵ハンドル(図示せず)に連結されたピニオンシャフト1のピニオンが、ギヤハウジング2内で軸方向(図1左右方向)に摺動自在に支持されたラック軸3のラックと噛合し、ピニオンシャフト1の回転に応じてラック軸3が軸方向に摺動するようになっている。また、ピニオンシャフト1には、ピニオンハウジング4内に収納された減速機構を介して電動モータ5が連結され、操舵トルクや車速などに応じた電動モータ5の操舵補助力が伝達されるようになっている。
また、ギヤハウジング2は、車体取付用ボルトが挿通されるボルト孔が穿設された左マウント部6を有する左ハウジング部材7と、左マウント部6と同様の右マウント部8,9を有し、ピニオンハウジング4と一体に形成された右ハウジング部材10と、左ハウジング部材7と右ハウジング部材10との間に介装された中間ハウジング部材11とからなり、3つのハウジング部材7,10,11に分割可能な構造になっている。
図2は、左ハウジング部材7を示す説明図であって、図2(a)は左ハウジング部材7を示す側面図であり、図2(b)は図2(a)中のII−II線に沿った断面図である。同図において、左ハウジング部材7の右端部には、中間ハウジング部材11の左端部の内周に圧入される圧入代12と、左ハウジング部材7の右端から軸方向に沿って切り欠かれた係合凹部13が形成されている。
図3は、右ハウジング部材10を示す説明図であって、図3(a)は、右ハウジング部材10を示す側面図であり、図3(b)は、図3(a)中のIII−III線に沿った断面図である。同図において、右ハウジング部材10の左端部には、中間ハウジング部材11の右端部の内周に圧入される圧入代14と、右ハウジング部材10の右端から軸方向に沿って切り欠かれた係合凹部15が形成されている。
図4は、中間ハウジング部材11を示す説明図であって、図4(a)は中間ハウジング部材11の側面図であり、図4(b)は図4(a)中のIV−IV線に沿った断面図である。同図において、中間ハウジングの左端部には、左ハウジング部材7の係合凹部13と係合する係合凸部16が、軸方向に突出するように形成されている。また、中間ハウジングの右端部には、右ハウジング部材10の係合凹部15と係合する係合凸部17が、軸方向に突出するように形成されている。
図5は、本実施形態に係るギヤハウジング2の接合構造を示す説明図である。同図において、左ハウジング部材7と中間ハウジング部材11の係合部の係合代、すなわち係合凸部16の軸方向長さm1は、圧入代12の軸方向長さM1より長くなっている(m1>M1)。また、これと同様に、右ハウジング部材10と中間ハウジング部材11の係合部の係合代、すなわち係合凸部17の軸方向長さm2は、圧入代14の軸方向長さM2より長くなっている(m2>M2)。したがって、左ハウジング部材7,右ハウジング10と中間ハウジング部材11が接合される際には、圧入代12,14が係合凸部16,17の基部18,19にかかる前に、係合凸部16,17と係合凹部13,15とが係合される。この係合凸部16,17と係合凹部13,15との係合により、各ハウジング部材7,10,11の回転方向位相が圧入される前に決められるので、その後に行われるハウジング部材7,10の圧入作業が容易化される。
また、係合凸部16,17と係合凹部13,15が係合された状態で、ハウジング部材7,10を中間ハウジング部材11に圧入していくと、ハウジング部材7,10の当接部20,21と中間ハウジング部材11の基部18,19とが当接する。これにより、各ハウジング部材7,10,11の軸方向位置が決めまり、車体に取り付けられる左マウント部6と右マウント部8,9の間の所定ピッチを得ることができる。
以上のように、本実施形態に係るギヤハウジング2の接合構造によると、圧入側部材である左ハウジング部材7,右ハウジング部材10の接合部に、所定の軸方向長さを有する圧入代12,14と、係合凹部13,15とを備え、かつ、被圧入側部材である中間ハウジング部材11の接合部に、係合凹部13,15と係合する係合凸部16,17を備えた。これにより、係合凹部13,15および係合凸部16,17に沿って各ハウジング部材7,10,11を接合すれば、各ハウジング部材7,10,11の所定の軸方向位置および所定の回転方向位相を得ることができるので、車体に取り付けられる左マウント部6と右マウント部8,9との間の所定ピッチおよび所定の姿勢を容易に得ることができる。
また、本実施形態では、中間ハウジング部材11の接合端部に形成した突出部を係合凸部16,17とし、かつ、左右ハウジング部材7,10の接合端部に形成した切欠き溝を係合凹部13,15とした。これにより、部品点数を増加することなく、各ハウジング部材7,10,11の軸方向位置および回転方向位相を合わせて接合することができる。
次に、本実施形態に係るギヤハウジングの接合構造の変形例について説明する。
図6は、本実施形態に係るギヤハウジングの接合構造の変形例を示す説明図であって、図6(a)は分解された状態を示し、図6(b)は組み立てられた状態を示している。図6(a)において、左ハウジング部材7´の右端部には、中間ハウジング部材11´の左端部に圧入される軸方向長さM1´の圧入代12´が形成され、該圧入代12´の一部は、軸方向長さがM1´より長くなるように形成された係合凹部13´になっている。また、右ハウジング部材10´の左端部には、中間ハウジング部材11´の右端部に圧入される軸方向長さM2´の圧入代14´が形成され、該圧入代14´の一部は、軸方向長さがM2´より長くなるように形成された係合凹部15´になっている。
中間ハウジング部材11´の両端部には、左ハウジング部材7´の係合凹部13´,右ハウジング部材10´の係合凹部15´と係合する係合凸部16´,17´が、軸方向に突出するように形成されている。この係合凸部16´,17´の軸方向長さm1´,m2´は、係合凹部13´,15´の軸方向長さM1´,M2´より長くなっている(m1´>M1´,m2´>M2´)。
左ハウジング部材7´,右ハウジング10´と中間ハウジング部材11´を接合する際には、まず、圧入代12´,14´が係合凸部16´,17´の基部18´,19´にかかる前に、係合凸部16´,17´と係合凹部13´,15´が係合される。その後、係合凸部16´,17´と係合凹部13´,15´が係合された状態で、ハウジング部材7´,10´が中間ハウジング部材11´に圧入され、図6(b)に示すように、ハウジング部材7´,10´の当接部20´,21´と中間ハウジング部材11´の基部18´,19´が当接する。よって、この変形例のような係合凸部16´,17´および係合凹部13´,15´を、ハウジング部材の係合部として用いても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態およびその変形例では、左ハウジング部材7、右ハウジング部材10、および中間ハウジング部材11の3部材に分割可能なギヤハウジング2の接合構造について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば中間ハウジング部材11を介装せずに、左ハウジング部材と右ハウジング部材の2部材に分割可能なギヤハウジングの接合構造としても適用することができる。
また、本実施形態およびその変形例では、各接合部に備えられる係合部を、軸方向に突出した係合凸部16,17と、該係合凸部16,17に係合する係合凹部13,15とから構成したが、本発明はこれに限定されず、例えば径方向に突出した係合凸部と、該係合凸部に係合する係合凹部とから構成してもよく、これにより、係合凸部16,17と係合凹部13,15とからなる係合部と同様の作用効果を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
2 ギヤハウジング
3 ラック軸
6 左マウント部
7 左ハウジング部材
8,9 右マウント部
10 右ハウジング部材
11 中間ハウジング部材
12 圧入代
13 係合凹部
14 圧入代
15 係合凹部
16 係合凸部
17 係合凸部
3 ラック軸
6 左マウント部
7 左ハウジング部材
8,9 右マウント部
10 右ハウジング部材
11 中間ハウジング部材
12 圧入代
13 係合凹部
14 圧入代
15 係合凹部
16 係合凸部
17 係合凸部
Claims (3)
- ラック軸を軸方向に摺動自在に支持するギヤハウジングが、複数のハウジング部材に分割可能であるステアリング装置のギヤハウジング構造において、
前記複数のハウジング部材は、それぞれの接合部に、軸方向位置および回転方向位相を合わせるための係合部を少なくとも1つは備えていることを特徴とするステアリング装置のギヤハウジング構造。 - 互いに接合される一対の前記ハウジング部材のうち、一方のハウジング部材の前記係合部は、軸方向または径方向に突出した係合凸部であり、かつ、他方のハウジング部材の前記係合部は、前記係合凸部に係合する係合凹部である請求項1に記載のステアリング装置のギヤハウジング構造。
- 前記係合部の係合代の軸方向長さは、前記他方のハウジング部材の接合端部に形成された圧入代の軸方向長さより長くなっている請求項2に記載のステアリング装置のギヤハウジング構造。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006022973A JP2007203818A (ja) | 2006-01-31 | 2006-01-31 | ステアリング装置のギヤハウジング構造 |
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Cited By (2)
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---|---|---|---|---|
JP2009184573A (ja) * | 2008-02-07 | 2009-08-20 | Nsk Ltd | 車両用ステアリング装置のラックハウジング構造 |
JP2012228894A (ja) * | 2011-04-25 | 2012-11-22 | Nsk Ltd | ステアリング装置 |
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2006
- 2006-01-31 JP JP2006022973A patent/JP2007203818A/ja active Pending
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