JP2007195474A - 新規パン酵母 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本捏糖濃度20%の中種製法において、本捏ミキシング後の38℃で45分間の炭酸ガス発生量がパン生地100gあたり300ml以上であり、且つ該生地を焼成して作製したパンクラム中の非解離型酢酸濃度が160ppm以上であるパン酵母を用いてパンを製造すること。
【選択図】 なし。
Description
光琳、「製パンの科学(1)製パンプロセスの科学」、1991年、263頁−271頁 技報堂出版、「食品微生物学ハンドブック」、1995年、522頁 J.Appl.Bacteriol.、1983年、54巻、383頁 醸協、1981年、76巻、701頁 ダイレック、「BAKERY技術百科」、1990年、1巻、142頁
表1の組成の培地を大型試験管に5ml、500ml坂口フラスコに50ml分注し、オートクレーブ殺菌した後、以下の培養に使用した。育種株1白金耳を大型試験管に植菌し、30℃、1日間振とう培養後、500ml坂口フラスコに継植して、30℃、1日間振とう培養した。その後で遠心分離し、ヌッチェにより吸引脱水し湿菌体を作製した。なお、培地の調整の際に、糖は糖蜜を使用し、糖濃度4%(W/V)分になるよう調整した。
表2の生地組成、ならびに表3の工程により生地を作製した。
作製した生地のpH、及び酢酸濃度は以下の方法で測定した。ホイロ発酵をさせた生地20gを蒸留水80mlと混合し、ホモジナイザーにて12000rpmで5分間破砕し、破砕液を得て、pHをpHメータで測定したのち、生地pHとした。pH測定後、ただちに10%塩化ベンザルコニウムを1ml添加し、破砕液の破砕液50mlを17000×g(gravity)で10分間遠心分離し、上清4.5mlを分取し10%過塩素酸0.5mlを加え十分混合した後、17000×g(gravity)で10分間遠心分離し、上清を孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過を行い試料溶液とした。試料溶液は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で生地中の酢酸濃度([共役塩基]+[共役酸]、以下AcCともいう)の測定を行なった。HPLCによる分析条件は次の通りである。
HPLC :SHIMAZU LC10A
カラム :SCR101H
カラム温度 :60℃
検出器 :SPD10A(475nm)
流速 :1ml/min
移動相 :過塩素酸溶液(pH2.2)
非解離型酢酸濃度は上記の方法で測定したpH、酢酸濃度(AcC)、並びに酢酸のpKa値(4.74)から、Henderson−Hasselbalchの式(pH=pKa+log[共役塩基]/[共役酸]、出典:東京化学同人、「コーンスタンプ生化学(第5版)」、1988年、13頁)を元にした以下の式より算出した。
非解離型酢酸濃度=AcC/{10(pH-pKa)+1}
・バッチ培養
表4の組成の培地を大型試験管に5ml、500ml坂口フラスコに50ml分注し、オートクレーブ殺菌した後、培養に使用した。育種株1白金耳を大型試験管に全量植菌し、30℃、1日間振とう培養後、500ml坂口フラスコに継植して、さらに30℃、1日間振とう培養により作製したバッチ培養菌体を以下の5Lジャーの種母培養に供した。なお、培地の調整の際に、糖は糖蜜を使用し、糖濃度4%(W/V)分になるよう調整した。
5Lジャーに表5の組成の培地2Lを入れて、オートクレーブ殺菌後、500ml坂口フラスコ5本分の菌体を植菌し表6の条件で種母培養を行った。なお、培地の調整の際に、糖は糖蜜を使用し、糖濃度4%(W/V)分になるよう調整した。
始発液量を表7の培地組成で、5Lジャーで培養した種母菌体を湿菌体として50g添加し、表8の条件で本培養を行った。具体的には13時間培養を行い、糖は12時間培養の間に分割添加した。5Lジャー培養菌体は培養終了後直ちに遠心分離し、ヌッチェにより吸引脱水し湿菌体を作製、以下の実施例に使用した。実験に使用する際には、湿菌体の水分含量を測定し、使用量は65%水分に換算した。なお、培地の調整の際に、糖は糖蜜を使用し、糖濃度を測定後230gを添加した。
表9に示すパン生地組成、表10に示す工程によりパンを作製した。
パンクラムのpH、及び酢酸濃度は以下の方法で測定した。冷却後のパンのクラム部分20gを蒸留水80mlと混合し、ホモジナイザーにて12000rpmで5分間破砕し、破砕液を得た。破砕液のpHをpHメータで測定し、クラムpHとした。破砕液50mlを17000×g(gravity)で10分間遠心分離し、上清4.5mlを分取し10%過塩素酸0.5mlを加え十分混合した後、17000×g(gravity)で10分間遠心分離し、上清を孔径0.45μmのシリンジフィルターでろ過を行い試料溶液とした。試料溶液は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)でパンクラム中の酢酸濃度の測定を行なった。HPLCによる分析条件は生地での分析条件に同じである。
パンクラムの非解離型酢酸濃度の算出法は生地での算出法に準拠する。
作製したパンを空気中で1日放置させた後、ナイロン袋で密封して20℃で10日間放置させてカビを十分に生育させたパンを0.3g秤量し、滅菌水10mlに懸濁して始発濃度とする。さらにこの始発濃度の懸濁液を元に別の滅菌水にて10倍ずつ100000倍まで順次希釈した懸濁液を作製した。
カビ発生試験には目的サンプルのパンを2cmの厚さでスライスし、作製した希釈倍率100倍、1000倍、10000倍、及び100000倍の4水準のカビ懸濁液30μlをn数=4でクラム部分へ塗布したのち、ナイロン袋で密封し20℃で4日間放置し、スライスしたクラム表面にカビが発生し始めたカビ懸濁液の希釈倍率の差をみた。
作製したパンを90分間空気中で放置、冷却させた後、ナイロン袋で密封し20℃で17日間放置して、食パン表面に自然落下し増殖したカビの広がりを比較しカビ抑制性を判定した。
FERM P−18863のようなカビ抑制性の高い2倍体のサッカロミセス・セレビシエ保存菌株ならびに菓子パン用パン酵母から胞子株を取得し、これら胞子株を使用して種々の組み合わせで交雑株を作製した。作製した種々の交雑株ならびにFERM P−18863を上記のスクリーニング用菌体作製法により培養し、得られた菌体を用いてスクリーニング用菓子パン中種法生地作製法により生地を作製した。
生地のpH、酢酸濃度を測定して非解離型酢酸濃度を算出し、FERM P−18863よりも高い非解離型酢酸を生成した菌株を選択した。続いて、上記の5Lジャーによる製パン試験用菌体作製法にて菌体を作製し、前記の菓子パン中種法に従いパンを作製した。ホイロのガス発生量、比容積、パンクラムのpH、酢酸濃度の測定値から算出した非解離型酢酸濃度、ならびにパンのカビ発生評価から、発明課題を解決しうる本発明のKGLY59株を選択した。
表9に示すパン生地組成、表10に示す工程においてKGLY59株について中種製パン試験を行った。ホイロのガス発生量、ならびにパンの比容積を表11に示す。作製したパンのクラムpH、酢酸濃度、およびpH、酢酸濃度より算出した非解離型酢酸濃度を表12に示す。カビ抑制性評価におけるカビの生育状態を図1、図2に示す。図1ではカビ懸濁液を塗布したときのカビの生育状態、図2ではパン表面に自然落下したカビの生育状態を示す。
パン酵母として、対照菌株FERM P−18863を用いた以外は、実施例2と同様にして製パンを行い、非解離型酢酸濃度測定及びカビ抑制性評価を行った。ホイロのガス発生量、ならびにパンの比容積を表11に示す。作製したパンのクラムpH、酢酸濃度、およびpH、酢酸濃度より算出した非解離型酢酸濃度を表12に示す。またカビ抑制性評価におけるカビの生育状態を図1、図2に示す。
パン酵母として、対照菌株として菓子パン用イーストTRを用いた以外は、実施例2と同様にして製パンを行い、非解離型酢酸濃度測定及びカビ抑制性評価を行った。ホイロのガス発生量、ならびにパンの比容積を表11に示す。作製したパンのクラムpH、酢酸濃度、およびpH、酢酸濃度より算出した非解離型酢酸濃度を表12に示す。またカビ抑制性評価におけるカビの生育状態を図1、図2に示す。
パン酵母として、対照菌株として菓子パン用イーストGAを用いた以外は、実施例2と同様にして製パンを行い、非解離型酢酸濃度測定及びカビ抑制性評価を行った。ホイロのガス発生量、ならびにパンの比容積を表11に示す。作製したパンのクラムpH、酢酸濃度、およびpH、酢酸濃度より算出した非解離型酢酸濃度を表12に示す。またカビ抑制性評価におけるカビの生育状態を図1、図2に示す。
Claims (5)
- 本捏糖濃度20%の中種製法において、本捏ミキシング後の38℃で45分間の炭酸ガス発生量がパン生地100gあたり300ml以上であり、且つ該生地を焼成して作製したパンクラム中の非解離型酢酸濃度が160ppm以上であるパン酵母。
- パン酵母が、サッカロミセス・セレビシエに属するKGLY59株(受託番号:FERM P−20635)であることを特徴とする請求項1に記載のパン酵母。
- 請求項1又は2に記載のパン酵母を含有するパン生地。
- 小麦粉、パン酵母、糖類、食塩、乳製品、油脂、水、卵を主成分とし、それ以外にpH低下要因となるような副材料を添加しない生地を焼成することで得られるパンであって、クラムの非解離型酢酸濃度が160ppm以上であることを特徴とするパン。
- 請求項4に記載のパンの製造方法。
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