JP2007190150A - ベッド - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ベッド幅方向に相互に平行に配置される複数本の膨縮自在なエアー袋体1と、エアー袋体1へ所定時間t毎に圧縮エアーを供給排気させてエアー袋体1を膨張・収縮させるエアー供給排気手段2と、エアー供給排気手段2の制御を行う制御手段3と、を備える。また、エアー袋体1は、膨張状態が円柱形となるように形成され、被介護者Aの床ずれ発生予想部位を所定時間t毎に上昇・下降させるように構成した。
【選択図】図2
Description
重い怪我、病気で寝たきり状態となった人や寝たきり老人等の被介護者は、この体動ができず、同じ姿勢をとりつづけることになる。同じ姿勢で放置していると局所の循環不全、つまり床ずれが生じ、この床ずれから感染症を招来することになる。特に、高齢の失禁被介護者では、命が短くなる虞れがある。
さらには寝たきり状態から床ずれを生じ感染症で亡くなった母親の介護と治療の体験から准看護学校と看護学校を設立し、校長として准看の生徒達に彼らの介護に対する社会的責任と重要性についても絶えず教えてきた。
しかしながら、当時の医療界も看護界も18世紀型治療医学の概念のままで人生は50歳台で終わりという考えしかなく、とても現在のような超高齢化時代の概念(無病で健康で長生き、末はポックリ死)はなかった。このころアメリカに於いてもジョンホプキンス大学医学部でさえ介護は医学の対象でなくナーシングホームに移され医師や看護婦(士)の介入する分野ではないと考えられていた。
しかしながら、ただ死んでいくだけの寝たきり状態でも医師や看護婦(士)の積極的な治療の介入により回復への実証に成功し学会報告の結果、米国議会の公衆衛生行政が 180度転換されて、この介護の分野も医療の一部であるとの定義づけがなされ、医療分野への編入が行われた。
この当時、日本では介護は特殊老人ホームのみで、ここも医師は必要なく看護婦(士)の常勤も予算もなかった。ここへの入所は福祉事務所の判断により捨て場所に困った処分扱いの死出の旅路の入所のみであった。寝たきり老人の入所者は当時11万人でいわば現代版老人のアウシュビッツの観を呈していた。
ところが、あっという間に現在は介護保険の適用者だけでも 400万人を越えて世界一の超高齢化大国になった。
最近日本でも、医療の介入により病院と一般的な老人ホームとの中間施設である老健施設が現れてきたが中途半端な施設基準の為、特殊養護老人ホームは東京や大阪でさえ入居待機者は2年待ちという状態となっている。というのも、寝たきり状態の老人は年々増加し続けているのに対して医師の数は27万人程度であり、医師を補助して看護する看護婦(士)の人数も足らない。政府には予算もない。何故かなれば看護協会は看護婦(士)の人数を医師の人数と同じくすることを目標として政治活動をしているからで、それが現実とのずれを生じているのである。つまり現場では 400万人の被介護者に対し、医師、看護婦(士)、またよく訓練された介護者の絶対数も不足しているのである。
介護は、産婦やまた助産婦として新生児をお世話する看護教育のみを受けて試験委員となり問題作成している幹部看護婦(士)たちにとって体重が自分たちより重い高齢者群の介護はタブーとしている看護労働者扱いそのものであり、ましてや、本音では限りなく医師の医療行為に近づきたい看護協会の理想像とは異なり、失禁老人の夢のない絶えざるオムツの交換やさらには床ずれ防止の為、24時間の重労働を強いられているのが実情である。これらの行為は肉親であっても容易になしえる事ではないのも事実であるが、このように18世紀医学の認識と常識は、現在の高齢者介護の医療の現場に於いて老人とその家族の満足は成り立たない。このように行政側の思惑と現場との乖離により、要求されているものとは大幅にずれた介護制度が実施され、実効を得られないまま結局は破綻し、介護予防の幕開けとなった。
特許文献1では、「ベッド本体が、背もたれ部と座部と脚受け部と足載せ部に分割されると共にこれら各部を互いに回転自在に枢着したマット部材を備え、腰掛け状とベッド状とに変形する介護用のベッドに於いて、ベッド本体をマット部材と共に昇降させる昇降装置を設けたもの」が開示されている。特許文献1では、昇降装置にてベッド状から腰掛け状に変形させ、介護者が被介護者を搬送ベッドや車椅子へ移動させる際の労働を軽減するようにしている。
また、この従来の介護用のベッドでは、昇降装置は、モータと、リンク機構と、を用いて構成されており、ベッドの昇降装置の構造が複雑であった。
そこで、本発明は、簡単な構成にて、寝たきり状態となっている各被介護者の床ずれを防止することができると共に、介護者の労働を軽減し得るベッドを提供することを目的とする。
また、人手不足で放置されることによる、被介護者の床ずれの問題を解消し、さらに、行政側の思惑と現場との認識,常識のずれを補うベッドを提供することを目的とする。
また、上記エアー袋体の配置部位が、上記被介護者の仰臥状態での脹脛部,大腿部,腰部,背中部,後頭下部から成る。
また、隣合う上記エアー袋体間に、遠赤外線発生部を配置した。
また、上記所定時間が、15〜30分の範囲に設定されている。
また、各上記床ずれ発生予想部位には、上記エアー袋体が左右一対配置され、該左右一対の該エアー袋体の夫々が独立して膨縮自在になるように構成した。
また、各々の上記被介護者に合わせて予め有資格者により入力されて作成された治療データを記録する記録片と、該記録片が接近又は挿入されることで該記録片の上記治療データを読取可能なデータ読取部と、を備え、上記制御手段が、該データ読取部にて読み取った該記録片の該治療データに基いて上記エアー袋体の作動制御を行うように構成した。
本発明に係るベッドは、健康な人の体動をまねて所定時間毎に寝たきり状態の被介護者の体位の変換を行うことができ、床ずれの発生を防止することができる。
また、エアー袋体を、膨張状態が円柱形となるように形成することによって、エアー袋体を球形や短冊形に形成する場合と比較して、形状が単純であり、安価に製作できる。
また、被介護者の床ずれ好発部位に広く対応して床ずれ防止の機能を働かせ得る。
また、被介護者の身体を持ち上げる際に、従来のようなモータやリンク機構を必要とせず、構造が簡単である。
また、床ずれ防止機能とオムツ交換機能、若しくは、床ずれ防止機能と上半身起こし機能というように、同じエアー袋体に複数の機能を盛り込むことによって、エアー袋体をより活用でき、ベッドの全体構造も簡単になる。
また、所定時間が、15分〜30分の範囲に設定されているので、人間の体動の原理に基づいて適切に被介護者の体位の変換を行うことができ、床ずれの発生を効果的に防止し得る。
また、各床ずれ発生予想部位には、エアー袋体が左右一対配置され、左右一対のエアー袋体の夫々が独立して膨縮自在になるように構成するので、左右一対のエアー袋体の一方を収縮させると共に他方を膨張させることで、被介護者の身体を左右に容易に傾けることができる。これにより、被介護者の身体に付着した汚れをとるために介護者が被介護者の身体を濡れタオルで拭く等する際に、介護者の労働を軽減することができる。
また、医療機具として、被介護者の好みに合い、かつ、専門的に判断しても適切な条件でエアー袋体を作動させることができ、被介護者の床ずれの発生を確実に防止できる。
図1〜図4に於て、本発明の第1実施形態に係るベッドを示す。本発明に係るベッドは、例えば総合病院や老人ホーム等に設置され、重病人や老人等の身体不自由で寝たきり状態となっている被介護者Aの床ずれ防止のために、主として使用される。
第1実施形態のベッドは、マット部21とフレーム部22とを有するベッド本体20のベッド幅方向に相互に平行に配置される複数本の膨縮自在なエアー袋体1…と、エアー袋体1…へ所定時間t毎に圧縮エアーを供給排気させてエアー袋体1を膨張・収縮させるエアー供給排気手段2と、エアー供給排気手段2の制御を行う制御手段3と、を備えている。
また、複数本のエアー袋体1…のうち、後頭下部eのエアー袋体1は大径(例えば直径50cm)、大腿部b,腰部c,背中部dのエアー袋体1は中径(例えば直径40cm)、脹脛部aのエアー袋体1は小径(例えば直径30cm)となっている。
ところで、一般的に、被介護者Aの床ずれ発生予想部位(床ずれの好発部位)としては、両踵部f,骨盤部g,肩甲骨部h,後頭上部iが挙げられる。特に、床ずれの初発部位は両踵部fとされている。第1実施形態では、被介護者Aの脹脛部a,大腿部b,腰部c,後頭下部eに配置されたエアー袋体1が、夫々、被介護者Aの両踵部f,骨盤部g,肩甲骨部h,後頭上部iを所定時間t毎に上昇・下降させるようになっている。
制御手段3は、ベッド本体20の脇に設置される所謂パソコンとなっている(この制御手段3についての詳細は後述する)。
また、第1実施形態に係るベッドでは、エアー袋体1…以外にも腰痛予防,血行促進,ストレス解消等のため、温熱機能が付加されている。
温熱機能について説明すると、第1実施形態では、複数の遠赤外線発生部4…を備えている。遠赤外線発生部4…は、遠赤外線輻射熱を利用する板状のヒーターであり、例えば波長9〜10μmの遠赤外線が使用されている。また、これらの遠赤外線発生部4…は、隣合うエアー袋体1,1間に配置されている。
この制御手段3は、被介護者Aのリハビリの指導を行ったり治療を行ったりする専門のインストラクタ,マッサージ師,医師等の有資格者Bによって、操作される。制御手段3は、エアー袋体1…にエアーを供給するエアー供給排気手段2と電気的に接続され、エアー供給排気手段2の制御を行っている。また、制御手段3は、遠赤外線発生部4…とも電気的に接続され、これらの制御を行っている。
具体的に述べると、エアー供給排気手段2については、作動させるエアー袋体1の選択,エアー圧力の強弱,所定時間t(エアー袋体1…へ圧縮エアーを送る時間間隔)等の制御を行っている。第1実施形態では、所定時間tが、15分〜30分の範囲に設定されている。また、遠赤外線発生部4については、作動させる遠赤外線発生部4の選択,温度,作動時間等の制御を行っている。
また、制御手段3の表示部3aでは、図5に示すように、有資格者Bがエアー供給排気手段2,遠赤外線発生部4…の作動状況や設定状況を確認するようになっている。
治療データは、上述したエアー供給排気手段2,遠赤外線発生部4…の設定条件と、患者情報と、から成っている。患者情報としては、例えば会員番号,氏名,年齢,性別,生年月日,血液型,職業,住所,電話番号,現在患っている病気等の情報が挙げられる。
記録片6は、例えばICメモリチップ,ICメモリカード,磁気カード,光磁気カード等から成る。
また、データ読取部7は、制御手段3と電気的に接続されており、記録片6の治療データを制御手段3に送るようになっている。そして、制御手段3が、データ読取部7にて読み取った記録片6の治療データに基いて、(エアー供給排気手段2を介して)エアー袋体1…の作動制御を行うように、構成されている。
まず、図2及び図6に示すように、被介護者Aがマット部21に仰臥した状態に於て、エアー袋体1…の配置部位が、被介護者Aの脹脛部a,大腿部b,腰部c,背中部d,後頭下部eの五箇所となるように、エアー袋体1…の位置調整をする。この位置調整は、各エアー袋体1がマット部21に面状ファスナ5にて取着されているので、容易に行い得る。即ち、体型や身長が相違する多くの被介護者Aに容易に対応できる。なお、エアー袋体1…は、ゴム等の変形容易な材質にて形成されているので、エアーが入っていない状態では、被介護者Aの身体のラインに沿って変形する。これにより、被介護者Aの身体を部分的に強く圧迫しないようになっている。
すると、治療データに基いて、被介護者Aに合った条件が設定される。
そして、被介護者Aに合った条件に従って各エアー袋体1にエアーが供給され、被介護者Aの床ずれ発生予想部位(両踵部f,骨盤部g,肩甲骨部h,後頭上部i)を所定時間t毎に上昇・下降させる。なお、床ずれ防止のために各エアー袋体1へエアーが供給される際には、エアー袋体1は最大まで膨張することはなく、わずかに膨張して、被介護者Aの身体を緩やかに持ち上げるようにしている(図6の2点鎖線参照)。これにより、エアー袋体1の動作によって被介護者Aの身体に大きな負担をかけないようになっている。
第2実施形態に係るベッドでは、第1実施形態とエアー袋体1の配置位置が異なる場合を例示している。具体的には、第2実施形態では、各床ずれ発生予想部位には、エアー袋体1が左右一対配置され、左右一対のエアー袋体1,1の夫々が独立して膨縮自在になるように構成している。これら左右一対のエアー袋体1,1は、一体状となって、連結エアー袋体11を構成している。具体的には、連結エアー袋体11は、筒部8と、筒部8の左右の開口端を塞ぐ端壁部9,9と、筒部8の内部を仕切る中壁部10と、を有しており、中壁部10の両側に2つの部屋が形成されている。そして、各部屋を形成する部分をもってエアー袋体1としている。連結エアー袋体11は、第1実施形態のエアー袋体1と同様、マット部21に面状ファスナ5にて着脱自在に取着されるようになっており、連結エアー袋体11には、面状ファスナ5の掛止部5aが付設されている。
このように、第2実施形態では、各床ずれ発生予想部位に左右一対のエアー袋体1,1を配置しているので、図12に示すように、左右一対のエアー袋体1,1の一方を収縮させると共に他方を膨張させることで、被介護者Aの身体を左右に傾けることが可能とされている。また、左右一対のエアー袋体1,1は一体状となって、連結エアー袋体11を構成していることにより、左右一対のエアー袋体1,1を夫々独立して形成する場合と比較して、マット部21に対する着脱が容易なものとなっている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
また、通常のニクロム線の温熱方式による温熱装置や、オンドル方式の暖房装置や、低周波通電装置を設けて、血液の滞留防止と循環促進を図るも好ましい。また、遠赤外線発生特殊スポンジに磁鉄鉱を加えることにより、磁力による治療効果が得られるように構成してもよい。
また、エアー袋体1…を、膨張状態が円柱形となるように形成することによって、エアー袋体1を、球形や短冊形に形成する場合と比較して、形状が単純であり、安価に製作できる。
また、床ずれ防止機能とオムツ交換機能、若しくは、床ずれ防止機能と上半身起こし機能というように、同じエアー袋体1…に複数の機能を盛り込むことによって、エアー袋体1…をより活用でき、ベッドの全体構造も簡単になる。
また、記録片6に種々の設定条件や患者情報を含む治療データを記録するので、被介護者Aが別の病室に移動した場合、別の病室に設置された本発明に係る別のベッドに於いて細かい条件設定作業を最初から行わなくてすむ。
2 エアー供給排気手段
3 制御手段
4 遠赤外線発生部
6 記録片
7 データ読取部
A 被介護者
B 有資格者
a 脹脛部
b 大腿部
c 腰部
d 背中部
e 後頭下部
t 所定時間
Claims (7)
- ベッド幅方向に相互に平行に配置される複数本の膨縮自在なエアー袋体(1)と、該エアー袋体(1)へ所定時間(t)毎に圧縮エアーを供給排気させて該エアー袋体(1)を膨張・収縮させるエアー供給排気手段(2)と、該エアー供給排気手段(2)の制御を行う制御手段(3)と、を備え、
さらに、上記エアー袋体(1)は、膨張状態が円柱形となるように形成され、上記被介護者(A)の床ずれ発生予想部位を上記所定時間(t)毎に上昇・下降させるように構成したことを特徴とするベッド。 - 上記エアー袋体(1)の配置部位が、上記被介護者(A)の仰臥状態での脹脛部(a),大腿部(b),腰部(c),背中部(d),後頭下部(e)から成る請求項1記載のベッド。
- 複数本の上記エアー袋体(1)のうち、上記後頭下部(e)の該エアー袋体(1)は大径、上記大腿部(b),上記腰部(c),上記背中部(d)の該エアー袋体(1)は中径、上記脹脛部(a)の該エアー袋体(1)は小径であり、
上記後頭下部(e)の該エアー袋体(1)は、上記被介護者(A)の上半身起こし用に兼用され、上記大腿部(b)及び上記腰部(c)の該エアー袋体(1)は、該被介護者(A)のオムツ交換時の腰部持ち上げ作動用に兼用されている請求項2記載のベッド。 - 隣合う上記エアー袋体 (1)(1) 間に、遠赤外線発生部(4)を配置した請求項1,2又は3記載のベッド。
- 上記所定時間(t)が、15分〜30分の範囲に設定されている請求項1,2,3又は4記載のベッド。
- 各上記床ずれ発生予想部位には、上記エアー袋体(1)が左右一対配置され、該左右一対の該エアー袋体 (1)(1) の夫々が独立して膨縮自在になるように構成した請求項1,2,3,4又は5記載のベッド。
- 各々の上記被介護者(A)に合わせて予め有資格者(B)により入力されて作成された治療データを記録する記録片(6)と、該記録片(6)が接近又は挿入されることで該記録片(6)の上記治療データを読取可能なデータ読取部(7)と、を備え、
上記制御手段(3)が、該データ読取部(7)にて読み取った該記録片(6)の該治療データに基いて上記エアー袋体(1)の作動制御を行うように構成した請求項1,2,3,4,5又は6記載のベッド。
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