JP2007178239A - 親水性量子ドット - Google Patents

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秀 中村
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Abstract

【課題】生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いる分子認識発光性マーカー物質として好適であり、生物溶媒等の水系溶媒に対する親水性に優れる親水性量子ドットを提供する。
【解決手段】量子ドットと、前記量子ドットの表面に結合した親水基を有する化合物とからなる親水性量子ドットであって、前記親水基を有する化合物は、前記量子ドットの蛍光波長領域の倍数にあたる波長領域に極大吸収領域を有しない化合物である親水性量子ドット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いる分子認識発光性マーカー物質として好適であり、生物溶媒等の水系溶媒に対する親水性に優れる量子ドットに関する。
生体内に含まれるタンパク質、ウイルス、核酸等の生体関連物質や、ダイオキシン、金属イオン等の環境関連物質を高感度に測定する方法として、分子認識物質を蛍光体等のマーカー物質に結合した分子認識体を用いる方法が多用されている。しかし、従来用いられていた蛍光体等のマーカー物質は、発光効率が低く感度の点で必ずしも満足できず、また、一定の波長の光しか発することができないことから、一時に複数の検体を検出する等の複雑な測定に用いることは困難であった。
近年、マーカー物質となる分子認識発光性微粒子として、半導体超微粒子(以下、量子ドットともいう)が注目されている。量子ドットは、バルク結晶における励起子ボーア半径と同等の粒子径を有する半導体の超微粒子(超微結晶)であり、量子閉じ込め効果の発現によって光学スペクトル、すなわち吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを粒子径によって調節することが可能である。すなわち、粒子径によって異なる波長の光を発し得る。
量子ドットは、通常、粒径が0.5〜100nm、好ましくは0.5〜50nm、より好ましくは1〜10nmである超微粒子である。またこの量子ドットの種類としては、例えば、CuCl等のI−VII族化合物半導体、CdS、CdSe等のII−VI族、InAs等のIII−V族化合物半導体、IV族半導体等の半導体結晶等が挙げられる。このような量子ドットは、コロイド化学的合成法により合成され、その表面は、一般的に界面活性剤及び/又は表面修飾剤で被覆され、安定化されている。
高い量子効率を有し、かつ、粒子径分布が狭い量子ドットを得るための合成法は限定されており、これらの方法によれば得られるナノ粒子の表面は疎水性となる場合が多い。しかし、表面が疎水性であると、生物溶媒等の水系溶媒に対する分散安定性に劣り、水系溶媒中での使用に制限があり、また、標的となるタンパク質、ウイルス、核酸等の生体関連物質との反応性が低下し高い感度で検出することが困難となるという問題があった。そのため、量子ドットの表面を親水化することが望まれていた。
量子ドット表面を親水化する方法としては、例えば、特許文献1に、量子ドット表面に対する結合基を有する部分、疎水性基を有する部分及び親水性基を有する部分が、この順番で結合された化合物を量子ドットの表面に修飾する方法が開示されている。
また、特許文献2には、配位子の構造及び/又は希土類原子の種類を変更することにより、発光波長を変化させ、任意の波長の発色を得る方法が開示されている。
しかし、これらの方法では、量子ドット表面を親水性化するための処理が煩雑であり、より簡便な方法で表面親水化可能な量子ドットが求められていた。
また、これらの方法で得られる量子ドットは、量子ドット表面に被覆した化合物により量子ドットの蛍光が消光されてしまい、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いる分子認識発光性マーカー物質として充分に高輝度な蛍光が得られないことが多かった。
特表2003−524147号公報 特開2003−081986号公報
本発明は、上記現状に鑑み、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いる分子認識発光性マーカー物質として好適であり、生物溶媒等の水系溶媒に対する親水性に優れる親水性量子ドットを提供することを目的とする。
本発明は、量子ドットと、前記量子ドットの表面に結合した親水基を有する化合物とからなる親水性量子ドットであって、前記親水基を有する化合物は、前記量子ドットの蛍光波長領域の倍数にあたる波長領域に極大吸収領域を有しない化合物である親水性量子ドットである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の親水性量子ドットは、量子ドットと、量子ドットの表面に結合した親水基を有する化合物とからなる。
なお、本明細書において、「親水性」とは、水系溶媒中に溶解又は完全に分散可能なことを意味する。
また、量子ドットとは、結晶のからなる量子サイズ効果をもつ大きさの粒子(通常10nm以下)であって、量子サイズ効果の大きなバンドギャップにより蛍光発光(紫外〜赤外領域)するナノ粒子を意味する。
上記量子ドットは、励起光照射により蛍光を発する粒子であり、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いる分子認識発光性マーカー物質となる粒子である。このような量子ドットを構成する物質としては特に限定されず、例えば、I族、II族、III族、IV族、V族、VI族、VII族の化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、CuCl、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、MgTe、GaAs、GaP、GaSb、GaN、HgS、HgSe、HgTe、InAs、InP、InSb、InN、AlAs、AlP、AlSb、AlS、PbS、PbSe、Ge、Si等、又は、これらのアロイ材料等が挙げられる。中でも、CuCl等のI−VII族化合物半導体、CdS、CdSe等のII−VI族、InAs等のIII−V族化合物半導体、Si、Ge等のIV族半導体からなる半導体結晶が好適である。
上記量子ドットを構成するその他の物質としては、例えば、TiO等の金属酸化物、フタロシアニン、アゾ化合物等の有機化合物等も好適に用いられる。
また、上記IV族半導体からなる半導体結晶としては、例えば、IV族の元素とハロゲン元素とからなるメタルハライド化合物が好ましい。
上記メタルハライド化合物としては、例えば、シリコン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、SiCl、GeCl、TiCl、SiBr、GeBr、TiBr、SiI、GeI、TiI等が挙げられる。
上記量子ドットの原料は単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用した場合、これらのアロイ材料を得ることが可能となる。
上記量子ドットの粒子構造としては特に限定されず、例えば、単一又は二種以上の材料を混合或いはアロイ化した単粒子、単粒子の表面にシェル構造を設けたコアシェル構造、シェルを多層化した多層シェル構造等が挙げられる。
上記コアシェル構造としては、例えば、CdSをコア−CdSeをシェル、CdSeをコア−CdSをシェル、CdSをコア−ZnSをシェル、CdSeをコア−ZnSをシェル、CdSeのナノ結晶をコア−ZnSをシェル、CdSeのナノ結晶をコア−ZnSeをシェル、Siをコア−SiOをシェルとするコア−シェル構造を有するもの等が挙げられる。
本発明の親水性量子ドットは、上記量子ドットの粒子径を制御することで、励起光照射により励起して発する蛍光を変化させることができる。すなわち、上記量子ドットの粒子径が大きくなるほど、蛍光波長は長波長側(赤外側)にシフトし、逆に上記量子ドットの粒子径が小さくなるほど、蛍光波長は短波長側(紫外側)にシフトする。
上記量子ドットの粒子径としては特に限定されないが、通常、好ましい下限は0.5nm、好ましい上限は100nmである。この範囲内であると、充分な蛍光強度や水系溶媒中での分散安定性を得ることができる。より好ましい下限は1nm、より好ましい上限は50nm、更に好ましい上限は10nmである。
本発明の親水性量子ドットは、上記量子ドットの表面に親水基を有する化合物が結合されている。
本発明の親水性量子ドットにおいて、上記親水基を有する化合物は、量子ドットの蛍光波長領域の倍数にあたる波長領域に極大吸収領域を有しない化合物である。
また、上記親水基を有する化合物の極大吸収領域が上記量子ドットの蛍光波長の倍数にあたる波長領域に極大吸収領域を有しないとは、図1に示すように、親水基を有する化合物の紫外吸収測定チャートと量子ドットの蛍光波長測定チャートとを重ねた場合において、上記親水基を有する化合物の吸収ピークにおける波長が上記量子ドットの蛍光ピークにおける波長の倍数にあたる領域にかからないことを意味する。
なお、本明細書において、上記蛍光波長領域の倍数とは、上記量子ドットの蛍光ピークにおける波長の整数倍の逆数を意味する。
このような親水基を有する化合物が上記量子ドットの表面に結合されていることで、上記親水基を有する化合物が上記量子ドットからの発光を吸収することがない。すなわち、本発明の親水性量子ドットは、量子ドットからの発光強度が表面の親水性化合物により吸収されることがないため、発光強度が低下せず高輝度を得ることができる。
上記親水基を有する化合物は、上記量子ドットの表面と結合し、本発明の親水性量子ドットに親水性を付与する物質である。
上記親水基としては、水との相互作用の強い有極性の官能基であれば特に限定されず、例えば、カルボキシル基又はその塩、水酸基、アミノ基、シアノ基、スルホン基、アミド基、イミド基又はその塩、硫酸エステル基又はその塩等、またこれらの官能基を含む糖、ペプチド等が挙げられ、例えば、−NR、−NR’R、−NHR、−NH等のアミノ基や、−CR”R’R、−CR’R、−CR、−CHR、−CHR’R、−CHR、−CH、−SR、−SHが挙げられる。なお、上記R”、R’、Rは親水性の有機飽和化合物基を示す。
このような親水基を有する化合物としては、上記量子ドットの表面と結合を形成可能な官能基を有する結合部(以下、単に結合部ともいう)と親水基とを有する化合物(以下、親水性化合物ともいう)が好適である。
上記親水性化合物は、1分子内に上記結合部を2以上有する2官能以上の化合物であってもよく、親水基を2以上有する化合物であってもよい。
また、上記親水性化合物は、上記結合部と親水基とを構成する原子数が5以下であることが好ましい。上記結合部と親水基とを構成する原子数が5より大きくなると、分子構造が複雑になり量子ドットからの発光を吸収する等の問題点が発生することがある。
このような原子数が5以下の結合部と親水部としては、例えば、直鎖状、分岐状又は環状構造が挙げられる。
上記親水性化合物の結合部は、上記量子ドットの表面と結合する部位である。
このような親水性化合物において、上記量子ドットの表面と結合を形成可能な官能基と量子ドットの表面との結合の態様としては、例えば、化学吸着、物理吸着、水素結合、イオン結合、配位結合、共有結合等が挙げられる。中でも上記量子ドットの表面への結合の容易さ、及び、上記量子ドットの表面に結合させた上記親水性化合物の安定性等から、配位結合、共有結合が好ましい。
また、上記親水性化合物において、上記接合部は、上記量子ドットの表面と結合を形成可能な官能基であることが好ましい。このような官能基としては特に限定されないが、例えば、上記量子ドットの表面と配位結合を形成可能な官能基であることが好適である。
上記配位結合可能な官能基としては特に限定されないが、例えば、チオール基、共有結合可能な反応性官能基等が好適に用いられる。
上記チオール基を有する親水性化合物としては特に限定されず、例えば、2−メルカプトエタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、3−メルカプト−2−ブタノール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、3−メルカプトプロピオニック酸、メルカプトサクシニック酸(mercaptosuccinic acid)、チオグリコーリック酸、カプトリル、1−チオグリコール、チオラクティック酸、2−メルカプトエタンスルホニック酸、3−メルカプトイソブチリック酸、チオマリック酸、3−メルカプトベンゾイック酸、2−メルカプトベンゾイルアルコール、2−メルカプトニコティック酸、6−メルカプトニコティック酸、2−メルカプトフェノール、3−メルカプトフェノール、4−メルカプトフェノール等が挙げられる。
上記共有結合可能な反応性官能基としては特に限定されないが、例えば、末端に炭素−炭素二重結合(C=C)を有する官能基が好ましく用いられる。
上記末端に炭素−炭素二重結合を有する官能基を含有する親水性化合物としては特に限定されず、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
C=CH−(CHn−1−X (1)
式(1)中、Xは、親水性官能基を示し、nは、正の整数を示す。
上記共有結合可能な反応性官能基を上記量子ドット表面に反応させる方法としては、例えば、量子ドット表面に存在する水素(Si−H)基と末端に炭素−炭素二重結合等の反応性官能基を有する分子とが触媒の存在下でヒドロシリル化反応を行うことにより配位させる方法等が挙げられる。
上記親水性化合物は、量子ドットの表面と結合を形成可能な官能基を有する結合部と親水基とを有する化合物であって、上記結合部と親水基との間の原子数が5個以下であることが好ましい。上記結合部と親水基との間の原子数が5より大きくなると、分子構造が複雑になり量子ドットからの発光を吸収する等の問題点が発生することがある。より好ましくは、2個以下である。
本発明の親水性量子ドットは、上記親水基を有する化合物が量子ドットの表面に結合しているが、上記親水基を有する化合物は、上記量子ドットの表面を取り囲むようにして結合していることが好ましい。上記量子ドット表面の上記親水基を有する化合物の被覆率が高まることにより、本発明の親水性量子ドットの生物溶媒等の水系溶媒中での親水性がより向上するからである。
このため上記量子ドットの表面に結合する上記親水基を有する化合物の量としては、少なくとも本発明の親水性量子ドットの分散媒体(親水性溶媒や水)に分散する程度に表面に存在すれば良い。
このような本発明の親水性量子ドットは、コロイド化学的な方法、例えば、逆ミセル法(Lianos, P.et al., Chem. Phys. Lett., 125, 299 (1986))やホットソープ法(Peng, X. et al., J. Am. Chem. Soc., 119, 7019 (1997))等によって製造することができる。
具体的には、例えば、量子ドットの表面に上記親水性化合物が固定された本発明の親水性量子ドットを製造する場合、上記量子ドットの原料物質を、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)等を含有する配位溶媒中に分散させ、上記原料物質の微粒子をTOPOでミセル化(TOPOミセル)する。
次いで、TOPOミセルをアルゴンガス封入条件下で加熱してTOPOミセル内の原料物質の微粒子を成長させ、表面にTOPOが固定された量子ドット(TOPO固定量子ドット)を作製する。なお、このとき作製する量子ドットの粒子径を制御することで、励起光照射により発する蛍光の波長を制御することができる。また、この状態の量子ドットは、トルエンやテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に可溶である。
その後、作製したTOPO固定量子ドットをTHFに溶解させて85℃に加温し、そこにエタノールに溶解させた親水性化合物を滴下させ、12時間程度還流させる。
そして、NaOH水溶液を加え、加熱してTHFを蒸発させ、濾過及びカラム等を用いて未反応物の精製と濃縮とを行うことで、量子ドットの表面に親水性化合物が固定された本発明の親水性量子ドットを製造することができる。
このような本発明の親水性量子ドットは、上記親水性化合物の結合部が量子ドットの表面に配位結合し、親水基が最外を形成しているため、生物媒体等の水系溶媒への親水性が優れたものとなる。
本発明の親水性量子ドットは、正又は負の電荷を有していることが好ましい。正又は負の電荷を有することにより、例えば、本発明の親水性量子ドットを、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いる分子認識発光性マーカー物質として用いる場合、静電引力によって本発明の親水性量子ドットを上記標的物質に好適に接合させることができる。また、本発明の親水性量子ドット同士は、静電反発することから凝集することを防止することができるとともに、上記標的物質へ接合させる際に本発明の親水性量子ドット同士が重なって結合することを防止することができる。
本発明の親水性量子ドットに正又は負の電荷を帯電させる方法としては特に限定されず、例えば、上記量子ドットに正又は負の電荷を有する材質を用いる方法や、上記親水基を有する化合物として、正又は負の電荷を有する結合部と親水部とを有する化合物を用いる方法等が挙げられる。
また、本発明の親水性量子ドットは、本発明の目的を損なわない範囲であれば、上記量子ドット表面を化学的又は物理的に上記親水基を有する化合物以外の物質で被覆されたものであってもよく、また、界面活性剤、分散安定剤又は酸化防止剤等の添加剤を加えたものであってもよい。
本発明の親水性量子ドットは、量子ドットの表面に親水基を有する化合物が固定されていることから、本発明の親水性量子ドットは、生物溶媒等の水系溶媒に対する親水性が優れたものとなる。
本発明の親水性量子ドットは、励起光照射によって高輝度の蛍光(フォトルミネッセンス)を発し、微量成分の高感度測定に好適に用いることができる。また、粒子径の異なる本発明の親水性量子ドットを目的に応じて使い分けることにより、発光スペクトルを任意に調節・設計可能であり、より精密な測定への応用を図ることができる。
本発明の親水性量子ドットに分子認識物質を吸着及び/又は結合してなる分子認識発光性微粒子は、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に好適に用いることができる。
上記分子認識物質とは、標的物質に特異的に反応するものであれば特に限定されないが抗原、抗体等のタンパク質、DNA、シクロデキストリン、クラウンエーテル等の環状化合物等が挙げられる。
上記分子認識発光性微粒子を作製する方法としては特に限定されず、例えば、物理的吸着法や化学的結合法等が挙げられる。例えば、分子認識物質がタンパク質である場合には、本発明の親水性量子ドットをアミノシラン誘導体等で処理することにより、直接又は縮合試薬により、タンパク質のアミノ基と本発明の親水性量子ドットとが結合される。また、分子認識物質がDNAのPCR産物である場合には、本発明の親水性量子ドットを、ポリL−リシンでコートすることにより静電気的に結合可能である。分子認識物質がオリゴヌクレオチドである場合には、予めアルキルアミノアシランでコートした本発明の親水性量子ドットを、光感受性保護基を有するリンカーで保護し、光照射による脱保護、合成の繰り返しによりオリゴヌクレオチド鎖を合成する方法が挙げられる。
本発明の親水性量子ドットを用いた分子認識発光性微粒子は、分子認識物質を選択することにより種々の生体関連物質、環境関連物質等を標的物質することができる。上記分子認識発光性微粒子による測定対象となる標的物質としては、抗体又はレセプターを作製できるものであれば特に限定されず、例えば、抗原・抗体や異常型プリオン等のタンパク質、ダイオキシン類等の内分泌撹乱物質、エイズウイルス等のウイルス、ペプチド、核酸、金属イオン等が挙げられる。
上記分子認識発光性微粒子は、本発明の親水性量子ドットを用いてなるものであることにより、生物溶媒等の水系溶媒に対する親水性に優れる。このため、ELISA法によるタンパク質の検出や、免疫スクリーニング法、ハイブリッド形成法によるDNA、RNAの検出等のin vitro法に用いると、凝集が起こりにくく、長時間安定した試験を行うことができる。
また、生体内での分散安定性に優れることから、生体内における標的物質を高感度に測定することができ、薬物や生体成分の追尾、薬物の作用機構の解析等のin vivo試験にも応用することができる。
更に、アフィニティクロマトグラフィーの担体等に用いることにより、標的物質の分離や濃縮にも応用できる。
本発明によれば、発光強度を低下させず高輝度を有し、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いる分子認識発光性マーカー物質として好適であり、生物溶媒等の水系溶媒に対する親水性に優れる親水性量子ドットを提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
アルゴン気流下、トリ−n−オクチルホスフィンオキシド(TOPO)7.5gに、ステアリン酸2.9g、n−テトラデシルホスホン酸620mg、酸化カドミニウム250mg、を加え370℃に加熱混合した。
これを270℃まで自然冷却させた後、予めトリブチルフォスフィン2.5mLにセレン200mgを溶解させた溶液を加え、減圧乾燥し、TOPOで被覆されたCdSe微粒子を得た。
得られたCdSe微粒子に、TOPOを15g加え加熱し、引き続き270℃でトリオクチルホスフィン10mLにZn(SCNEt)1.1gを溶解した溶液を加え、表面にTOPOが固定されたCdSeのナノ結晶をコア−ZnSをシェルとする量子ドット(平均粒子径7nm)を作製した。
作製した表面にTOPOが固定された量子ドットをテトラヒドロフラン(THF)に溶解させてオイルバスにて85℃に加温し、量子ドット15mgに対しソジウム2−メルカプトエタンスルフォネート(メスナ)を0.03mmol(500μL)の割合で添加し12時間還流させた。
得られた未精製の量子ドットを、限外濾過(Millipore Microcon社製)と、セファデックスカラム(Amersham Biosciences、MicroSpin G−25Columns)を用いて未反応物の精製を行い、量子ドットの表面にスルホン酸基が固定された親水性量子ドットを製造した。
図2に表面処理に用いたソジウム2−メルカプトエタンスルフォネート(メスナ)の紫外・可視(200〜700nm)吸収チャートを示す。
(実施例2)
ソジウム2−メルカプトエタンスルフォネート(メスナ)に代えて2−メルカプトエタノール(和光純薬製)用いたこと以外は、実施例1と同様にして親水性量子ドットを製造した。
図3に表面処理に用いた2−メルカプトエタノールの紫外・可視吸収チャートを示す。
(実施例3)
ソジウム2−メルカプトエタンスルフォネート(メスナ)に代えて3−メルカプトプロピオニック酸(和光純薬製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして親水性量子ドットを製造した。
図4に表面処理に用いた3−メルカプトプロピオニック酸の紫外・可視吸収チャートを示す。
(比較例1)
ソジウム2−メルカプトエタンスルフォネート(メスナ)に代えて2−メルカプトエチルアミン(SH−CH−CH−NH)(和光純薬製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして親水性量子ドットを製造した。
図5に表面処理に用いた2−メルカプトアミンの紫外・可視吸収チャートを示す。
(蛍光波長及び蛍光強度測定)
実施例1〜3及び比較例1で得られた親水性量子ドットを固形分濃度0.1重量%となるように精製水に分散して親水性量子ドット分散液を調製した。
実施例1〜3及び比較例1にかかる親水性量子ドット分散液の蛍光波長及び蛍光強度を、日本分光社製「FP−6500」を用いて測定した。結果を図6に示した。
図2〜4に示したように、実施例1〜3に係る親水性量子ドットは、蛍光ピークにおける波長の1/2倍にあたる波長(実施例1:265nm、実施例2:264nm、実施例3:260nm)が量子ドットの表面処理に用いた化合物の紫外線の吸収ピークと重なっておらず、このときの量子ドットの表面処理に用いた各化合物の紫外線吸収量が1.932〜3.113(実施例1:2.413、実施例2:1.932、実施例3:3.113)であった。これに対し、図5に示したように、比較例1に係る親水性量子ドット分散液は、蛍光ピークにおける波長の1/2倍にあたる波長(256nm)が量子ドットの表面処理に用いた化合物の紫外線の吸収ピークと重なっており、このときの量子ドットの表面処理に用いた化合物の紫外線吸収量が3.475と実施例1〜3と比べて大きな値となっていた。
そのため、図6に示したように、実施例1〜3に係る親水性量子ドット分散液では、大きな蛍光発光が見られたが、比較例1に係る親水性量子ドット分散液では、蛍光消光が見られた。
本発明によれば、生体関連物質、環境関連物質等の標的物質の高感度測定法に用いる分子認識発光性マーカー物質として好適であり、生物溶媒等の水系溶媒に対する親水性に優れる親水性量子ドットを提供できる。
本発明の親水性量子ドットの量子ドットの蛍光波長と親水基を有する化合物の紫外線吸収量とを示すチャートである。 実施例1に係る親水性量子ドット分散液の紫外・可視領域の測定チャートである。 実施例2に係る親水性量子ドット分散液の紫外・可視領域の測定チャートである。 実施例3に係る親水性量子ドット分散液の紫外・可視領域の測定チャートである。 比較例1に係る親水性量子ドット分散液の紫外・可視領域の測定チャートである。 実施例1〜3及び比較例1に係る蛍光波長及び蛍光強度を示すチャートである。

Claims (3)

  1. 量子ドットと、前記量子ドットの表面に結合した親水基を有する化合物とからなる親水性量子ドットであって、
    前記親水基を有する化合物は、前記量子ドットの蛍光波長領域の倍数にあたる波長領域に極大吸収領域を有しない化合物である
    ことを特徴とする親水性量子ドット。
  2. 親水基を有する化合物は、量子ドットの表面と結合を形成可能な官能基を有する結合部と親水基とを有し、前記結合部と親水基とを構成する原子数が5個以下であることを特徴とする請求項1記載の親水性量子ドット。
  3. 接合部は、量子ドットの表面と配位結合又は共有結合を形成可能な官能基であることを特徴とする請求項2記載の親水性量子ドット。

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