JP2007154366A - 単子葉植物繊維の連続体及びその製造方法 - Google Patents

単子葉植物繊維の連続体及びその製造方法 Download PDF

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憲孝 岡田
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Abstract

【課題】本発明は、単子葉植物の特性を生かした植物性の材料を提供する。
【解決手段】単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる単繊維状体を単繊維状単位として含む一種又は2種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結して得られる連続体を有する材料とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、単繊維状体、その製造方法、複合材料及びその製造方法に関し、詳しくは、単子葉植物を用いた植物性の単繊維状体や該単繊維状体繊維の連続体及びその製造方法に関し、詳しくは、単子葉植物繊維をその繊維方向に連続するように一体化した連続体及びその製造方法等に関する。
竹やヤシなどの単子葉植物はその構造が双子葉植物の樹木とは全く異なり、剛直な木質部を有していない。このため、単子葉植物は、木材としての一般的な用途には利用されにくく、限られたごく一部の用途に使用されてきたに過ぎない。一方、竹などの単子葉植物は成長が早い。このため、近年では、竹林が増大する傾向にあり、竹などの単子葉植物の有効な用途が探索されている。
ここに、竹を利用する技術として、竹を繊維化し竹繊維とした上での利用技術が検討されてきている。例えば、生の竹から繊維を採取するのは非常に困難であることから、生竹を適当な長さに切断して高圧下で蒸煮したあと一気に大気圧中に放出して繊維状に粉砕(爆砕)した上、得られた竹繊維を糊剤で固化してボードを形成する技術が開示されている(特許文献1)。また、同様に竹を爆砕して得られる竹繊維を用いて繊維強化樹脂成形体を成形する技術も開示されている(特許文献2)。
特開昭63−7903号公報 特開2003−253011号公報
単子葉植物から得られる繊維状体は、剛直な維管束鞘に由来していることが多い。また、本来維管束鞘に由来する繊維状体は、節間長さに対応した単繊維状体である。しかしながら、上記した従来の技術ではいずれも、竹繊維を短繊維として使用するのみであった。すなわち、単子葉植物から得られる繊維を、単子葉植物体から得られる繊維が有する強さやそのサイズが本来有する長さは有効に利用されていなかった。
本発明は、単子葉植物の特性を生かした材料及び複合材料を提供することを一つの目的とする。
本発明者らは、水蒸気処理した単子葉植物から優れた単繊維状体を取得できることを見出し、さらに、この単繊維状体をその長さ方向に一体化して連続体とすることで加工性を向上させることができることを見出し本発明を完成した。すなわち、本発明によれば以下の手段が提供される。
本発明の一つの形態によれば、植物性材料であって、単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる単繊維状体を単繊維状単位として含む一種又は2種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結して得られる連続体を有する、材料が提供される。
この形態においては、前記連続体における前記単繊維状単位の連結部位では、前記単繊維状単位の外周に巻き付けられる線状体によって前記単繊維状単位が連結されていることが好ましい態様である。また、この態様においては、前記線状体は、熱により軟化又は溶融する樹脂材料であることが好ましい。
この形態においては、前記連続体における前記単繊維状単位の連結部位では、前記単繊維状体の連結部位を被覆する樹脂材料によって前記単繊維状単位が連結されていることが好ましい態様である。
この形態においては、糸状体であってもよいし、編成体、織成体及び交絡体のいずれかであってもよい。また、この形態においては、前記単子葉植物は竹又はヤシとすることが好ましい。
本発明の他の一つの形態によれば、上記いずれかの植物性材料を含む、補強用材料が提供される。
本発明の他の一つの形態によれば、上記いずれかの植物性材料と、成形用基材材料と、を含む、成形体が提供され、また、プラスチック系マトリックス中に上記いずれかの植物性材料を含む成形体も提供される。
本発明の他の一つの形態によれば、植物性材料の製造方法であって、単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる単繊維状体を準備する工程と、前記単繊維状体を単繊維状単位として含む一種又は二種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結して得られる連続体を作製する連続体作製工程と、を備える、製造方法が提供される。
この形態においては、前記連続体作製工程は、前記単繊維状単位の連結しようとする部位の外周に線状体を巻着して連結することを含む工程であることが好ましい。また、前記連続体作製工程は、前記単繊維状単位の連結しようとする部位にバインダを供給して連結することを含む工程であることも好ましい。
また、前記連続体を含む1種又は2種以上の材料を複合化する複合化工程を備えることが好ましい。この複合化工程は、1種又は2種以上の前記材料の連結、編成、織成及び交絡から選択される1種又は2種以上を組み合わせて複合化する工程であることが好ましい態様である。
本発明の他の一つの形態によれば、単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる、植物性単繊維状体が提供される。この形態においては、前記フィラメントメント状体の長さは、100mm以上であることが好ましく、より好ましくは200mm以上であり、さらに好ましくは300mm以上である。また、上限は好ましくは1000mm以下であり、より好ましくは、800mm以下である。
本発明の他の一つの形態によれば、前記植物性単繊維状体を含む1種又は2種以上の線状体の編成体、織成体及び交絡体のいずれかである、植物性材料が提供される。
本発明の植物性材料は、単子葉植物の維管束鞘(維管束鞘の一部であってもよい。以下、同様である。)が水蒸気により加熱処理されて得られる単繊維状体を少なくとも一種の単繊維状単位として有する一種又は2種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結して得られる連続体を含むことを特徴としている。本発明の植物性材料によれば、単子葉植物の維管束鞘を水蒸気で加熱処理して得られる単繊維状体を少なくとも一種の単繊維状単位として有する連続体を含んでいるため、単子葉植物の維管束鞘の有する長さや引張り強度などの特性を生かした植物性材料が提供される。また、前記連続体は、前記単繊維状体の部分において自己接着性を有するため、他の材料との複合化や成形の自由度が高い材料となっている。
また、本発明の植物性単繊維状体は、単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られることを特徴とし、本発明の植物性材料は、こうした植物性単繊維状体を含む1種又は2種以上の線状体の編成体、織成体及び交絡体のいずれかであることを特徴としている。本発明の植物性単繊維状体は、維管束鞘の特性を有し、張りや腰を有する材料となっている。
以下、本発明の実施形態である、植物性材料及び製造方法等について詳細に説明する。
(植物性材料)
(単子葉植物)
本発明の植物性材料(以下、単に本材料というものとする。)における単子葉植物は、単子葉植物であれば、草本植物であっても木本植物であってもよい。本発明においては、単子葉植物のなかでも、高木状となる竹類やヤシ類を好ましく用いることができる。このような単子葉植物としては、たとえば、竹、ヤシ、イネ、ススキ、トウモロコシ、バガス、バショウ、バナナ、ササ、イグサ、サイザル等が挙げられる。これらの単子葉植物においては、多量に維管束鞘を含有しているとともに、比較的長い単繊維状体を容易に取得できるからである。竹類としては、モウソウチク、マダケ、ハチク等が挙げられる。また、ヤシ類としては、シュロ、アブラヤシなどが挙げられる。本発明に用いる単子葉植物は、1種あるいは2種以上が組み合わせられてもよい。単子葉植物の使用部位としては、特に限定しないが、長繊維を効率的に取得する観点からは、茎部を使用することが好ましい。
本発明においては、採取され未だ加工されてない状態の単子葉植物のみならず、水蒸気処理が未だ施されていない単子葉植物であれば他の用途に用いられていたものであっても用いることができる。したがって、既に建築用材や各種の用途に用いられていた竹やヤシなどの単子葉植物も本発明における単子葉植物として利用できる。
本材料における単繊維状体(植物性単繊維状体)は、単子葉植物の維管束鞘を水蒸気で加熱処理して得られる。維管束鞘は、単子葉植物の導管や師間を取り囲むようにして存在している繊維径5μm〜30μm程度の単繊維の集合体である。単子葉植物は、図1に例示するように、木質部と木質部中に保持される維管束とに大別される。維管束1は、水分を運搬するための導管と、主に養分を運搬する師管と、これら道管と師管の周りを取り囲む維管束鞘とで構成されている。
本発明の単繊維状体は、維管束鞘に由来する限り維管束鞘そのものである単繊維の集合体であってもよいし、この集合体を分繊して繊維径を小さくしたものであってもよい。すなわち、天然の維管束鞘を構成する単繊維数よりも少ない数の単繊維の集合体であってもよいし、また、維管束鞘を構成する単繊維自体であってもよい。なお、本明細書において、単繊維状体とは、単繊維又は単繊維の集合体(束)を意味している。
本発明における単繊維状体は、こうした維管束鞘を水蒸気で加熱処理して得られる特性を有している。第一に自己接着性を有している。すなわち、単繊維状体は、加熱により軟化又は溶融することによる自己接着性を有している。軟化又は溶融する温度は、水蒸気処理の条件により異なるが、好ましくは、100℃以上260℃以下で単繊維状体の少なくとも一部が軟化又は溶融することが好ましい。こうした熱特性を有することで、同種の単繊維状体のみならず、他の線状体との連結や、他の材料との複合化が容易になるからである。また、こうした熱特性を有することにより十分に補強材料として機能できるからである。より好ましい軟化又は溶融温度は、120℃以上220℃以下であるより好ましくは、120℃以上220℃以下である。
単繊維状体の繊維長は特に限定しないが、好ましくは50mm以上であり、竹繊維の特性を有効に生かすには100mm以上であることがより好ましい。さらに好ましくは200mm以上である。また、上限も特に限定しないが、通常、1000mm以下になることが多い。単繊維状体を連続体への加工性を考慮すれば、800mm以下が好ましく、より好ましくは700mm以下である。最も好ましくは、500mm以上700mm以下である。
単繊維状体の径も分繊程度によって異なるが、数μm程度から50μm程度以下の単繊維、あるいはこうした単繊維の集合体であって数十μm以上1000μm以下程度のものであってもよい。単繊維状体に含まれる単繊維数が少ないほど折れに強くなり柔軟性が高まる傾向があること及び連続体への加工性を考慮すると、フィラメント径は、10μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは50μm以上500μm以下である。
単繊維状体は、カーリングされていてもよい。ここで、カーリングとは、例えば、繊維材料をツイストロープ手法などにより撚る若しくは捻る、あるいは巻く(ローリング)などの手法によって繊維材料に湾曲状のくせ付けが行われた状態を意味している。特に、竹の繊維は、水蒸気処理を施すことで初めてカーリングが可能となる。
本発明の植物性材料は、こうした単繊維状体を含む1種又は2種以上の線状体の編成体、織成体及び交絡体のいずれかとすることができる。こうした植物性材料によれば、維管束鞘由来の単繊維状体の特性を生かした編成体、織成体又は交絡体が得られる。なお、編成体、織成体及び交絡体については後段にて説明する。また、単繊維状体と組み合わされる線状体は、紡績糸やフィラメント糸などの糸状体であってもよいし、帯状体であってもよい。
本材料に含まれる連続体は、こうした維管束鞘由来の単繊維状体を少なくとも一種の単繊維状単位(以下、維管束鞘由来単繊維状単位ともいう。)として有する一種又は二種以上の単繊維状単位を有している。本明細書において連続体とは、エンドレスな糸状体あるいはその一部を意味している。したがって、単繊維状体を連結することにより、フィラメント状の連続体を得ることができる。
連続体は、維管束鞘由来単繊維状単位のみから構成されていてもよく、この場合、維管束鞘由来単繊維状体からなる連続体を有する材料が得られる。一方、連続体は、他の単繊維状単位と組み合わせて構成されていてもよい。維管束鞘由来の単繊維状体以外の単繊維状単位としては、特に限定しないが、好ましくは、公知の単繊維又はその集合体を用いる。例えば、ガラス、金属、セラミックス、プラスチックなどの各種の材料の一種又は二種以上を組み合わせたものが挙げられる。なお、維管束鞘由来の単繊維状単位と組み合わせて用いられる単繊維状単位の長さや径は、好ましくは同時に用いる維管束鞘由来の単繊維状単位と同程度のものである。
本発明で用いる連続体は、維管束鞘由来単繊維状単位を含む一種又は二種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結して構成されている(以下、本連続体という。)。単繊維状単位の両端部側が連結されていればよく、連結部位の形態は特に問わないが、例えば、連結される単繊維状単位の端部同士が付き合わされている形態、連結される単繊維状単位の端部側が所定範囲に束ねられた形態、連結される単繊維状単位が所定範囲で撚糸された形態等が挙げられる。
また、こうした連結部位における連結手法は特に問わない。例えば、図2(a)に示すように、単繊維状単位の連結部位では、その外周に巻き付けられる線状体によって単繊維状単位が結合されていてもよい。線状体としては、連結部位に巻着できる程度の柔軟性と長さとを有していればよいが、好ましくは、連続体における相当長さ、例えば、単繊維状単位を数単位から数十単位程度連結した長さに渡る糸を用いることが好ましい。連結部位における巻着形態も特に限定しないが、例えば、2本以上の線状体(好ましくは糸状体)を連結部位表面に巻着させることが好ましい。こうすることで、連続体と線状体との一体性が高まるとともに連続体自体の連結強度も高めることができる。
このような線状体は、こうした線状体は紡績糸であってもフィラメント糸であってもよいし、帯状体であってもよい。また、線状体は、熱により軟化又は溶融する樹脂材料であってもよいし、こうした樹脂材料が含浸されるか又は被覆されたものであってもよい。こうした樹脂材料が単繊維状単位の表面で溶融又は軟化される場合には、溶融又は軟化した樹脂材料により少なくとも連結部位が被覆された連続体が提供される。したがって、こうした樹脂材料を線状体としてあるいは線状体の一部として用いることで、より強固に単繊維状単位を連結するとともに線状体若しくは線状体材料を連続体に対して強固に一体化できる。柔軟性や引張り強度を高められた連続体が提供される。
また、図2(b)に示すように、単繊維状単位の連結部位では、単繊維状体の端部側の表面及び/又は端部に介在されるバインダ成分によって単繊維状単位が結合されていてもよい。こうしたバインダ機能を有するバインダ成分は従来公知の樹脂材料を用いることができる。連続体は、こうしたバインダ成分を連結部位のみならず、連続体の全体にわたって連続体表面を被覆するよう有していてもよい。こうすることで、バインダ成分による特性を連続体に対して付与することができる。
さらに、図2(c)に示すように、連結される単繊維状単位がいずれも自己接着性を有している場合には、これらの単繊維状単位自体によりその端部側の表面及び/又は端部が連結されていてもよい。典型的には、連結される単繊維状単位が双方とも維管束鞘由来単繊維状単位の場合である。連結部位に異種材料を用いないことで、植物由来成分比率が高い連続体が得られる。特に、連続体や材料を維管束鞘由来単繊維状単位のみから構築し、連結を当該単繊維状体の自己接着性を利用することで、植物由来成分比率、リサイクル性に優れる材料となる。
本材料は、こうした連続体を含んでいるが、その形態としては、特に限定しない。例えば、少なくとも一つの維管束鞘由来単繊維状単位を含む複数個の単繊維状単位が連結された連続体であってもよく、また、相当程度に長い糸状の連続体(糸状体)であってもよい。
また、本連続体を含む一種又は二種以上の連続体を編成した編成体(編地)に構成されていてもよい。編成方法は特に限定されないで従来公知の各種の編成方法が適用される。また、編地の形態は、縄状体、シート状体又は曲面などを有する三次元形態など従来編成によって構築される各種の形態が包含される。
さらに、本連続体を含む一種又は二種以上の連続体を織成した織成体(織布)に構成されていてもよい。織成方法は特に限定しないで従来公知の各種の織成方法が適用される。本連続体は、経糸に用いられても緯糸に用いられてもよい。なお、織布の形態は、特に限定しない。
さらにまた、本連続体を含む一種又は二種以上の連続体を交絡させた交絡体であってもよい。ここで、交絡体とは、連続体を規則性のない又は不規則な交絡形態により交絡された構造体を意味している。したがって、編成体や織成体とは明らかに区別されるものである。こうした交絡体は典型的には不織布、フェルトあるいはマットであり、一般に空気あるいは液体を分散媒として積層され、必要に応じてニードルパンチングなどにより交絡されて形成される。
本材料は、こうした各種の材料や構成の本材料1種のみから構成されていてもよいし、二種以上の本材料を組み合わせて構成されていてもよい、さらに、他の形態の材料が組み合わされていてもよい。
さらに本材料は、維管束鞘由来単繊維状単位が溶融等した部分を備えることができる。こうした溶融部分においては、その自己接着性により少なくとも一部が相互に接着した部分となっている。例えば、維管束鞘由来単繊維状単位を本材料の全体に分散してあるいは均一に含む場合には、維管束鞘由来フィラメント単位の自己接着性を利用して本材料のおおよそ全体にわたって接着部分を有することができる。こうした溶融部分又は接着部分により本材料の強度が向上される。また、その形態を容易に固定される。
また、連続体がバインダ成分を含んでいる場合のほか、本材料に別途バインダ成分を含めることができる。こうしたバインダ成分のバインダ機能を発揮させることにより本材料の一体性が向上し強度も向上される。また、形状保持性も付与される。
本材料は、糸状体、編地、織布及び交絡体として各種用途に用いることができる。特に、本材料によれば、維管束鞘由来単繊維状単位を有する連続体を含んでいるため、単子葉植物の維管束鞘の引張り強度などの特性を生かした用途に用いることができる。例えば、補強材料、具体的には、建築用、家具用、車両、船舶、航空機などの移動体のなどにおける補強材料として用いることができる。
本材料は、また。水蒸気で加熱処理されていることにより、自己接着性を有している。このため、接着材料としても用いることができる。具体的には、上記各種形態の構造を有する接着材料としても用いることができる。さらに、本材料が、竹などに由来する場合には、抗菌性、消臭性などを発揮させるなどや抗菌性材料や消臭性材料にも用いることができる。
(成形体)
本発明の成形体は、プラスチック材料のマトリックスに本材料を含有する成形体(第一の形態の成形体)である。こうした成形体においては、本材料は、補強材料として機能させることもできるし、接着材料として機能させることもできるし、さらに、抗菌又は消臭機能などを発揮させることもできる。こうしたプラスチック材料としては、通常の熱可塑性樹脂材料、熱硬化性樹脂材料、生分解性樹脂材料を使用することができる。熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS、塩化ビニルなどを用いることができるが、好ましくは、ポリプロピレン、ポリエチレンを用いることができる。また、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。好ましくは、フェノール樹脂を用いることができる。生分解性プラスチック材料を用いることにより、成形体全体としての生分解性を容易に確保することができる。なお、生分解性プラスチック材料としては、ポリ乳酸、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ポリコハク酸ブチレン等の脂肪族ポリエステル材料から選択される1種あるいは2種以上を選択して用いることができる。これらの脂肪族ポリエステル材料は、優れた生分解性と入手容易な点において好ましい。
なお、この成形体には、強度確保や賦形性のための無機あるいは有機フィラー、可塑剤、着色剤、揮発性溶媒などの通常の成形用組成物が含有することのできる各種添加剤を含むことができる。無機フィラーとしては、ガラス、金属、炭素系材料、およびセラミックス材料からなる、チップ状、球状、針状、及びファイバー状粒子等を挙げることができる。また、無機フィラーとしては、たとえば、クレーなどの天然物を用いることもできる。有機フィラーとしては、リグノセルロース系材料(薄片、球状、不定形状粒子やファイバーを含む)、タンパク質系材料(粒子やファイバーを含む)、あるいは合成樹脂材料(粒子あるいはファイバー)、木粉などを利用することができる。
このようなプラスチック系成形体に対する形状付与は、例えば、成形型を使用したりするなど従来公知の手段を使用することができるが、具体的な成形方法としては、スタンピングモールド成形、スタンパブル成形、シートスタンピング法等を含むスタンピング成形等の各種成形方法に適用できる。成形方法としては、射出成形、押出し成形、圧縮成形、ブロー成形、カレンダー成形、異形押出し成形、スタンピングモールド成形、スタンパブル成形、シートスタンピング法等を含むスタンピング成形等の各種成形方法に適用できる。
また、本発明の成形体は、ファイバー状、チップ状、粉状、粒状、不定形状等の固有の形状をおおよそ維持して成形される成形用基材材料とともに本材料を含有する成形体(第二の形態の成形体)とすることもできる。こうした成形体においては、本材料は、補強材料として機能させることもできるし、接着材料として機能させることもできるし、さらに、抗菌又は消臭機能などを発揮させることもできる。こうした成形用基材材料としては、一般に用いられる各種の基材材料が用いられる。例えば、繊維状、チップ状、粉状、粒状等の形態を有する、セルロース又はリグノセルロースなどの植物性材料、プラスチック材料、ガラス、金属,セラミックスなどの無機材料が挙げられ、これらを1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、成形体には形状を付与しあるいは強度を確保するためにバインダ成分が含有されていてもよい。
第二の成形体は、必要に応じてバインダ成分を含んだ状態で各種成形用基材材料と本材料とを所望の状態に組み合わせたのち、形状付与工程を実施する。形状付与工程において、本材料の維管束鞘由来単繊維状単位の自己接着性を利用する場合には、単子葉植物の水蒸気処理条件によっても異なるが、約100℃以上約260℃以下に加熱することができる。好ましくは、約110℃以上であり、より好ましくは約150℃以上であり、さらに好ましくは約170℃以上であり、最も好ましくは約180℃以上である。また、加熱温度は約230℃以下とすることが好ましい。加熱温度は、水蒸気処理時の温度が高い場合には、相対的に低く設定することができ、水蒸気処理温度が低い場合には、相対的に高く設定することが好ましい。
形状付与は、例えば、成形型を使用したりするなど従来公知の手段を使用することができるが、具体的な成形方法としては、スタンピングモールド成形、スタンパブル成形、シートスタンピング法等を含むスタンピング成形等の各種成形方法に適用できる。
本発明のこれらの各種成形体は、例えば、取っ手、手すり、床材、壁材、柱材、化粧板などの積層板や内外装材を含む建築材料他、各種樹脂材料の代替品として用いることができる。さらに、また、本成形体は、インストルメントパネル、クラブボックス、ドアトリム、灰皿、コンソールボックス、シートバック、トランクルームトレー等の車両用の内装部品の基材にも好適である。
(植物性材料の製造方法)
次に、本材料を製造するのに好ましい方法として、本発明の植物性材料の製造方法について説明する。本発明の植物性材料の製造方法は、単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる単繊維状体を準備する工程と、前記単繊維状体を単繊維状単位として含む一種又は二種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結して得られる連続体を作製する連続体作製工程と、を備えることを特徴としている。この製造方法によれば、単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されることにより、分繊が容易な状態となり、また、木質部とともに処理された場合には、維管束鞘は木質部と容易に分離可能な状態となるとともに維管束鞘に沿って処理後の単子葉植物組織を分繊が容易な状態となる。こうして得られる単繊維状体は、維管束鞘に由来する長さ、太さを備えるものとなっている。この単繊維状体を単繊維状単位として含んだ連続体を形成することで、単子葉植物の維管束鞘の特性を生かした連続体が得られる。こうした連続体は、維管束鞘の特性を保持した単繊維状材料として各種の用途に用いることができる。
(単繊維状体準備工程)
単繊維状体は、連続体作製に先だって製造してもよいし、また適切なものを入手するなどして準備してもよい。単繊維状体を取得するには、予め単子葉植物から水蒸気処理以外の化学的処理及び/又は械的処理を施した上で分離された維管束鞘に対して水蒸気による加熱処理(以下、水蒸気処理ともいう。)を実施してもよいが、好ましくは、木質部を伴った植物体構造を有する状態で水蒸気処理して、その後、維管束鞘を分離する。
単子葉植物は、水蒸気処理に先立って適当な大きさに切断されることが好ましい。例えば、水蒸気処理によって得られる単繊維状体の最大長さは、水蒸気処理に供される単子葉植物の長さに依存する。したがって、得ようとする単繊維状体の長さを考慮して水蒸気処理に供する単子葉植物の大きさを決定することができる。本製造方法によれば、こうすることで所望の長さの単繊維状体を得ることができる。
水蒸気処理に用いる単子葉植物の含水率(乾量基準)は、120%(以下、含水率においては重量%を意味する。)以下であることが好ましい。含水率が120%を超えると、水蒸気処理によって単子葉植物中に生成する分解成分が流出しやすくなり、有効量の分解成分が処理後の単繊維状体に保持されにくくなるからである。より好ましくは、8%以上100%以下である。かかる範囲であると、単子葉植物全体を均一に水蒸気処理して分解成分を生成させると同時に分解成分の流出を効果的に抑制できて、好ましい自己接着性を備える単繊維状体を得ることができる。8%未満であると、水蒸気による暴露が不均一になりやすく、このため、分解成分の生成も不均一になり、軟化又は溶融程度が良好な単繊維状体を得られにくくなる。一方、100%を超えると、水蒸気処理中に単子葉植物中の自由水が遊離しやすくなり、この自由水の遊離とともに分解成分が単子葉植物から流出しやすくなり、得られる処理物のバインダ性能が低下する。より好ましくは、15%以上100%以下である。さらに、好ましくは、30%以上100%以下である。含水率は、単子葉植物を乾燥する工程においてその程度を調整することができる。逆に、含水率は、単子葉植物に対して外部から水分を付与することによっても調整することができる。
(水蒸気処理)
単子葉植物が水蒸気処理されることにより、当該植物中に含まれていたセルロースあるいはヘミセルロースなどのセルロース系成分が加水分解等を受けて分解成分が生成される。また、当該材料中に含まれていたリグニン系成分も変性あるいは分解され、分解成分が生成される。したがって、単子葉植物を水蒸気処理して得られる処理物は、セルロース系分解成分とリグニン系分解成分とを含有する。かかる材料は、理論的に十分に解明されてはいないものの、加熱により、少なくともその一部が溶融し、可塑性を発現するため、成形体における基材のバインダとして機能することができる。
バインダ機能を持った接着材料として有用な材料を得るには、水蒸気処理によって単子葉植物中のリグニンやセルロース系成分を十分に分解させて単子葉植物において十分なセルロース系分解成分および/またはリグニン系分解成分を生成させる必要がある。なかでも、単子葉植物において多量に含まれるセルロース系成分を十分に分解させる必要がある。一方、本発明においては、単子葉植物から所望の長さの繊維材料を取得しようとするものであるから、既に述べたように単子葉植物の維管束方向に沿った長さにおいて一定の制限があり、この結果、水蒸気処理に供される単子葉植物の大きさに一定の制限がある。ここで、セルロース系分解成分やリグニン系分解成分の組成や生成量は温度に大きく影響されることから、水蒸気処理に供される試料が大きければ、同一材料においても分解成分の生成量や組成が異なってくるが、本発明によれば、単子葉植物の構造、すなわち、柔細胞を主体とする基本組織に剛直な維管束部分が分散する構造を利用し、しかも、比較的大きなサイズで水蒸気処理を行うことで、維管束部分は主として単繊維状体として残し柔細胞は粉末状とすることができる。すなわち、水蒸気処理に供される単子葉植物が大きくても、すなわち、熱伝導等に部位的差異があったとしても、柔細胞を主体とする基本組織中に維管束鞘が分散する構造を利用すれば、柔細胞には水蒸気処理により効果的に通熱されて分解が進み、容易に粉末状あるいは粉末状に解砕可能となり、維管束においては硬い厚壁繊維の存在によってその物理的構造を維持させるとともに分繊容易になり、その表面では自己接着性を有する分解生成物を生じさせることができるのである。
以上のことから、本発明によれば、単子葉植物に対して十分な水蒸気処理を行うことで、自己接着性を有する分繊されたあるいは容易に分繊可能な単繊維状体を得ることができる。
水蒸気処理は、飽和水蒸気下で加熱するなど、各種形態で実施することができるが、好ましくは、耐圧容器内で、高圧下加熱水蒸気に単子葉植物を曝すことによって行う。また、上記したように自己接着性の単繊維状体を取得するためには、好ましくは、本発明における水蒸気処理は、約100℃以上で加熱することが好ましく、また、上限は好ましくは約260℃以下である。100℃以上260℃以下であると、ヘミセルロースの分解を行う一方、分解縮合等の副反応を抑制することができる。好ましくは、約120℃以上約220℃以下に加熱する。より好ましくは、約180℃以上約220℃以下とする。
加熱温度が約180℃以上約220℃以下のとき、例えば、該温度範囲内にて数分から数十分間程度処理すればよい。
水蒸気処理を終了させるときは、徐々に圧力を下げることもできるし、一挙に大気圧まで開放することができる。好ましくは、単繊維状体の長さが維持できる範囲内で圧力を低下させる。例えば、一挙に大気圧まで開放する(爆砕)と、処理装置内の単子葉植物内部の水分が一挙に蒸気化されることにより、単子葉植物内で爆発が生じて単子葉植物の組織が破壊され、単子葉植物が細分化されて長い単繊維状体が得られ難くなる傾向がある。
このような水蒸気処理により得られた処理物は、これら分解成分が組織内に保持されあるいは組織から材料表面に浸出した状態となっている。
(乾燥工程)
水蒸気処理後、処理物を乾燥することが好ましい。水分が多量に存在すると、本材料を加熱して流動化させる際、水分が気化して成形性あるいは流動性を損なう可能性がある。また、分解成分が水分の蒸発とともに移動して流動性や成形性を損なう可能性がある。
乾燥工程は、一般には、本材料の含水率(乾量基準)が28%以下となるまで実施することが好ましい。より好ましくは12%あるいは気乾含水率まで乾燥する。さらに好ましくは8%以下となるまで乾燥する。
乾燥は、常温下でも高温下でも行い得るが、好ましくは、水蒸気処理の後、積極的に乾燥する。水蒸気処理後、早期に水分を蒸発させることにより、水分とともに水溶性の分解成分が離脱することを抑制して、分解成分をセルロース含有材料に多く残留させることができる。なお、積極的な乾燥とは、水分蒸発を促進するための送風および/または熱を付与しながら乾燥させることをいう。具体的には、水蒸気処理温度以下の高温下での乾燥や、常温下での送風等による乾燥である。なお、含水率は、JIS Z 2101木材の試験方法 3.2 含水率に準じて測定することができる。
また、乾燥工程後又は乾燥工程を実施することなく、処理物を冷凍及び解凍してもよい。冷凍により、処理物の組織中に含まれる水分を凝固膨張させ、その後解凍させることで、に伴い、維管束鞘における維管束同士の結集力を低下させ、分繊しやすくすることができる。なお、こうした冷凍及び解凍工程は、維管束自体の構造を破壊する傾向にあるため、得られる単繊維状体の長さを低下させない範囲で行うことが好ましい。
(単繊維状体の分離)
水蒸気処理による処理物から単繊維状体を得るには、処理物から単繊維状体を分離する。単繊維状体は、水蒸気処理後の単子葉植物を溝付きローラー等で維管束鞘の伸びる方向に沿って押圧するなどして、維管束鞘を短繊維化しないように処理物を解繊することにより得ることができる。こうした解繊処理により、維管束鞘は容易に木質部と分離され、また、維管束鞘が単繊維状体として分繊又は分繊容易な状態とされる。
(連続体作製工程)
連続体は、単繊維状体を単繊維状単位として含む一種又は二種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結することにより得ることができる。単繊維状単位及びこれらの連結形態は、既に説明したとおりであるが、連結方法としては、例えば、単繊維状単位を連続的に繰り出しつつ、その外周を線状体で巻着していく方法、連続的に繰り出した単繊維状単位をバインダで接着していく方法等が挙げられる。なかでも、線状体で巻着していく方法が好ましい。この方法によれば、容易に単繊維状体をエンドレス化し連続体とすることができる。
図3には、このような連続体化装置の一例を示す。この装置2は、単繊維状単位の供給部10と、線状体による巻着部30と、連続体巻取り部40とをそれぞれ備えている。
供給部10は、先端を揃えて積層させた単繊維状単位を収容する単繊維状単位収容部12と、収容部12から単繊維状単位を取り出して巻着部30にまでガイドするガイド機構20と、を備えて、単繊維状単位を供給部30の所定位置まで供給できるようになっている。収容部12の底部近傍には、単繊維状単位を取り出し可能に単繊維状単位の引き揃えられた先端が露出される開口14を有している。ガイド機構20は、開口14に露出された単繊維状単位の先端をチャック形式で把持して収容部12から単繊維状単位を引き出して巻着部20を指向して所定区間単繊維状単位をガイドする第1の把持部材22と、第1の把持部材22により把持された単繊維状単位の後方側を把持して巻着部30の第1の巻着用ヘッド32にまで単繊維状単位の先端をガイドする第2の把持部材24とを備えている。
第1の把持部材22及び第2の把持部材24については、例えば、図3に例示する構成を取ることができる。第1の把持部材22は、図4(a)に示すように、単繊維状単位にアクセスする側が先細り状に形成されたゲージ部102とその内部に形成され開閉可能なチャック部104を有することができる。この形態によれば、ゲージ部102によって把持する単繊維状単位の太さを調節した上、その一部をチャック部104によって把持することができる。このため、一定の径又は一定量の単繊維状単位を連続体のために供給できる。第2の把持部材24は、図4(b)に示すように、開閉可能なチャック部106を有している。このチャック部106の対向する面には、単繊維状単位を把持するのに適した弾性体などの補助部材108を備えることができる。こうすることで、第1の把持部材22によって把持された単繊維状単位の後方側を確実に把持して第1の巻着ユニット32方向を安定して指向させることができる。
また、ガイド機構20には、巻着部30に導入された先の単繊維状単位の図後方端を光学的に検出するセンサ26を備えており、このセンサ26によって単繊維状単位の後方端を検出したときに、第2の把持部材24が第1の巻着用ヘッド32に次の単繊維状単位を導入するようになっている。また、ガイド機構20は、先の単繊維状単位の後方端と次の単繊維状単位の前方端とが重複した状体で第2の巻着ヘッド32の貫通孔32aに導入されるように制御されている。なお、センサ26の検出機構等は特に限定しないで従来公知のものを採用できる。
なお、第1の把持部材22及び第2の把持部材24は、それぞれ所定の軌道を移動後は、同様に予め定められた軌道を移動して初期位置で待機するよう制御されている。
巻着部30は、第1の巻着用ヘッド32と第2の巻着用ヘッド34とを備えるとともに、第1の巻着用ヘッド32の前段には、単繊維状単位の先端をヘッド32の貫通孔34に挿入させるためのガイド部31を備えている。ガイド部31は、第1の巻着ヘッド32の貫通孔32aに向かって先細りして連通するテーパー形状を有する筒状体に形成されている。こうした構造により、ガイド部31の開口端縁31a内に近接された単繊維状単位の先端は確実に貫通孔32aに導入されるようになっている。
第1の巻着ヘッド32は、単繊維状単位を挿通させる貫通孔32aと単繊維状単位32に巻着する線状体であるヤーン供給源としてヤーンボビンの取り付け部32bを有している。第1の巻着ヘッド32は、時計回りあるいは反時計回りに回転可能に形成されており、こうした回転により貫通孔32a内部に挿入された単繊維状単位に対してヤーンを螺旋状に巻着できるようになっている。
第2の巻着ヘッド34も、単繊維状単位を挿通させる貫通孔34aと単繊維状単位に巻着する線状体であるヤーン供給源としてヤーンボビンの取り付け部32bを有している。第2の巻着ヘッド34は、時計回りあるいは反時計回りに回転可能に形成されており、こうした回転により貫通孔32a内部に挿入された単繊維状単位に対してヤーンを螺旋状に巻着できるようになっている。例えば、第1の巻着ヘッド32を時計回りに回転させて単繊維状単位に左螺旋巻きにヤーンが巻着された場合、第2の巻着ヘッド34を反時計回りに回転させることで、左螺旋巻きヤーンに襷がけに巻着可能になっている。
巻取り部40は、第2の巻着部34の貫通孔34aから排出される連続体を把持して送る回転体42,44を備えているとともに、さらに後段に回転して連続体を巻取る巻取り体46を備えている。回転体42,44の回転速度は同調可能でかつ可変となっている。
こうした装置2によれば、単繊維状単位は、その長尺方向の前方端と後方端とが重複するようにして巻着部30に供給され、ヤーンが単繊維状単位の連結部を含めてその全体に巻着されることにより、単繊維状単位を連結して連続体を形成することができるようになっている。
なお、図3に例示する装置2においては、第1の巻着ヘッド32と第2の巻着ヘッド34とを備える構成としたが、これに限定するものではなく、一種類のヤーンによる巻着によって連結可能である限り第1の巻着ヘッド32のみを備える構成であってもよい。また、巻取り部40における回転体42,44の温度については特に言及しないが、を適宜所定の温度に加熱することで、維管束鞘由来の単繊維状単位あるいは他の熱可塑性の単繊維状単位、さらには熱可塑性のヤーンなどの線状体を軟化あるいは溶融させて、連続体としての一体性や強度を高めることができる。
また、ヤーンなどの線状体が熱可塑性樹脂材料の場合には、単繊維状単位に巻着させるのに先だって単繊維状単位又は線状体を加熱しておくことで、線状体の単繊維状単位への密着性や一体性を高めることができる。
このほか、連続体を得るには、連結部位をバインダ成分で接着してもよいし、連続体全体をバインダ成分で被覆してもよいし、単繊維状単位自体の有する接着性で連結してもよい。この場合においても、装置2の供給部10を利用して単繊維状単位を順次送った後、バインダ成分を付与してあるいは付与することなく接着工程を実施すればよい。接着工程は、維管束鞘単繊維状単位あるいは他の単繊維状単位の自己接着性や、使用するバインダ成分の種類に応じてその条件が設定される。接着工程において加熱する場合は、例えば、単繊維状単位を仮連結したような状態で把持しながらオーブンを通過させたりしてもよいし、上記の回転体42,44等のローラーを用いて加熱してもよい。なお、バインダ成分は、単繊維状単位を並べた後にスプレーや浸漬等の公知の手法により付与してもよいが、配列前あるいは収容部12内や収容部12への収容に先だって予め付与されていてもよい。
(複合化工程)
こうして得られた連続体を含む1種又は2種以上の材料を複合化することにより、本発明の材料を得ることができる。複合化工程は、材料の連結、編成、織成及び交絡から選択される1種又は2種以上を組み合わせて実施することができる。連結については、上記した単繊維状単位を連結して連続体を作製する方法に準じて行うことができる。また、編成、織成及び交絡については、従来公知の方法を用いて行うことができる。複合化に際しては、既に説明したように、維管束鞘由来の単繊維状単位を含む連続体以外の材料を用いることができる。複合化工程及びその後の工程において、単繊維状単位の有する自己接着性や別のバインダ成分を利用して、複合化材料に強度や形状保持性を付与することができる。このような場合、適宜複合化材料を加熱することができる。
複合化工程により得られる材料は、糸状体、編成体、織成体及び交絡体又はこれらを組み合わせた形態を備えている。
また、連続体がバインダ成分を含んでいる場合のほか、本材料に別途バインダ成分を含めることができる。こうしたバインダ成分のバインダ機能を発揮させることにより本材料の一体性が向上し強度も向上される。また、形状保持性も付与される。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)竹材(節間が60〜80cm程度のトウチクなど)を節間長さで切断したものを200℃まで加熱し200℃20分間水蒸気処理した。その後、徐々に冷却するとともに圧力を低下させ、気乾含水率まで風乾させた。溝つきローラ型解繊機により、維管束鞘の方向に押しながら処理物をつぶして解繊した。この結果、長さ600〜700mmで繊維径が500μm程度の維管束鞘由来の単繊維状体を得ることができた。
これらの単繊維状体を、図3に示す連続体化装置に適用し、単繊維状体を巻着する線状体として水溶性ポリビニルアルコール製の糸を用いて、単繊維状体の連続体を得た。この連続体(フィラメント状体)は、引張りに強くまた分繊も抑制されてフィラメント糸として取り扱い可能なものであった。
単子葉植物と双子葉樹材の組織の相違を示す図。 単繊維状体の連結形態の例を示す図。 連続体化装置の一例を示す図。 連続体化装置の供給部の保持部材の構造の一例を示す図。
符号の説明
2 連続化装置、10 供給部、12 収容部、14 開口、20 ガイド機構、22 第1の把持部材、24 第2の把持部材、26 センサ、30 巻着部、31 ガイド部、31a ガイド部の開口端縁、32 第1の巻着用ヘッド、32a 貫通孔、32b ボビン取り付け部、34 第2の巻着用ヘッド、34a 貫通孔、34b ボビン取り付け部、40 巻き取り部、42、44 回転体、46 巻き取り体、102 ゲージ部、104 チャック部、106 チャック部、108 補助部材。

Claims (17)

  1. 植物性材料であって、
    単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる単繊維状体を単繊維状単位として含む一種又は2種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結して得られる連続体を有する、材料。
  2. 前記連続体における前記単繊維状単位の連結部位では、前記単繊維状単位の外周に巻き付けられる線状体によって前記単繊維状単位が連結されている、請求項1に記載の材料。
  3. 前記線状体は、熱により軟化又は溶融する樹脂材料である、請求項2に記載の材料。
  4. 前記連続体における前記単繊維状単位の連結部位では、前記単繊維状体の連結部位を被覆する樹脂材料によって前記単繊維状単位が連結されている、請求項1に記載の材料。
  5. 糸状体である、請求項1〜4のいずれかに記載の複合材料。
  6. 編成体、織成体及び交絡体のいずれかである、請求項1〜4のいずれかに記載の材料。
  7. 前記単子葉植物は竹又はヤシである、請求項1〜6のいずれかに記載の材料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の植物性材料を含む、補強用材料。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の植物性材料を含有する、成形体。
  10. 成形用基材材料を含有する、請求項9に記載の成形体。
  11. 植物性材料の製造方法であって、
    単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる単繊維状体を準備する工程と、
    前記単繊維状体を単繊維状単位として含む一種又は二種以上の単繊維状単位をその長尺方向に連結して得られる連続体を作製する連続体作製工程と、
    を備える、製造方法。
  12. 前記連続体作製工程は、前記単繊維状単位の連結しようとする部位の外周に線状体を巻着して連結することを含む工程である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記連続体作製工程は、前記単繊維状単位の連結しようとする部位にバインダを供給して連結することを含む工程である、請求項11に記載の方法。
  14. 前記連続体を含む1種又は2種以上の材料を複合化する複合化工程を備える、請求項11〜13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 前記複合化工程は、1種又は2種以上の前記材料の連結、編成、織成及び交絡から選択される1種又は2種以上を組み合わせて複合化する工程である、請求項14に記載の方法。
  16. 単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる、植物性単繊維状体。
  17. 単子葉植物の維管束鞘が水蒸気により加熱処理されて得られる植物性単繊維状体を含む1種又は2種以上の線状体の編成体、織成体及び交絡体のいずれかである、植物性材料。
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