JP2007151236A - 同期電動機 - Google Patents

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Abstract

【課題】電流損失が少なくさらに小型化された回転電動機の開発が求められている。
【解決手段】それぞれの組が異なる磁極数で構成される複数の磁石の組(N,S,N1-N3,S1-S6)に相当する複数の磁石磁束を合算して発生させる磁束発生部材を持つ回転子(14)を備えた同期電動機を提供する。本構成によって、モータを小型化し、電流による損失を2つの回転子を独立に回転させる場合よりも低減することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は同期電動機に関するものである。
近年自動車にも多数用いられている電動モータでは、自動車という用途上、小型化と効率に対して厳しい要求がなされている。現在、電動モータを走行用に搭載した自動車の多くは、エンジンの出力とモータの出力を組み合わせて走行するハイブリッド自動車であり、発電機用途と電動機用途の2つのモータを搭載したものが多く、このようなハイブリッド自動車用モータの小型化・高効率化を実現する手段として、本出願人は複合電流方式の2ロータモータ(特許文献1を参照されたい。)を開発した。
この発明によれば、2つの回転子に対応した電流を複合した1つの複合電流を1つの固定子に給電することで2つの回転子を独立に回転させることが可能であり、1つのモータ体格で別個の2つの出力・トルクを発生させることが可能であるとともに、両回転子に合わせて固定子に与えられる電流の平均値は、単純に2つのモータに電流を与えた場合の平均値より低く、電流による損失が低減するという効果がある。
特許第3480301号(段落0010,0011、図1)
しかしながら、上述の発明におけるモータは、例えば、自動車などでモータをタイヤの内側に搭載するホイールインモータのような場合、出力先はタイヤ(ホイール)のみを想定しているため、出力軸が2つは必要無く、冗長となる。また、2つの出力軸を結合して1軸にする機構が必要となるなどの問題もある。また、別個の2つのモータを組み合わせてモータ2つ分のトルクを機械的に結合した場合には、2つ分のモータ筐体があるため小型化できない。さらに、モータトルクを上げるために、単に「通常の従来モータ1台」を大型化しただけでは、モータ筐体も大きくなり、電流損失も大きくなるなどの問題があった。即ち、さらに電流損失が少なくさらに小型化された回転電動機の開発が求められている。
本発明は、上記の問題点に鑑み、複数に分かれている、異なる極対数の複数の回転子(そこに含まれる複数の磁石)を一体に統合し、1つのモータの体格に小型化し、電流の低損失化を図るものである。この場合、例えば、2つの組の2つの層の磁石を単に積層しても、最初から一体で形成してもよい。
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明に同期電動機は、
それぞれの回転子まわりの磁極数が異なる磁石の組に相当する複数の磁石磁束を合算して発生させる磁束発生部材を持つ回転子を備えたものである。即ち、それぞれの組が異なる磁極数で構成される複数の磁石の組に相当する複数の磁石磁束を(例えば、固定子側であるエアギャップ側の表面に)合算して発生させる磁束発生部材を持つ回転子を備えたものである。この磁束発生部材には、それを構成する複数の磁石の各組に、別個に作用する電流を複数含む複合電流が供給されることとなる。複合電流とは、例えば、第1の磁石の組が2極対の磁極数ならそれに対応した第1の電流と、第2の磁石の組が4極対の磁極数ならそれに対応した第2の電流とが合成されたものである。なお、この回転子は、この複数の磁極数に対応した複数の電流磁界を合算し、かつ回転させることができるように電流を与えられる固定子と組み合わせて使用される。
また、第2の発明に同期電動機は、
前記磁束発生部材が永久磁石である、ことを特徴とする。
また、第3の発明に同期電動機は、
前記磁束発生部材が電磁石である、ことを特徴とする。この場合は、回転子と固定子の間には電磁石に電流を供給するスリップリングを設ける。
また、第4の発明に同期電動機は、
前記複数の磁石の組が2組であり、これら組同士の磁極数の比が1:N(但し、Nは2以上の整数)であり、
前記同期電動機を構成する固定子が、回転磁界を発生する複数の巻線を有し、
前記複数の巻線の数が、前記2組の磁石のうち極対数が多い方の組の極対数の3倍であり(例えば、スロット構造モータの場合には極対数の3倍のスロット数となる)、前記巻線が前記Nの3倍の数の相のインバータで駆動される、
ことを特徴とする同期電動機。
また、第5の発明に同期電動機は、
前記2組の磁石が、一方の組が3極対の磁極数であり、他方の組が6極対の磁極数であり、前記巻線の数が18個であり(例えば、スロット構造モータの場合には18個のスロットに収容される18個の巻線、即ちコイル)、これら巻線が6相のインバータで駆動される、
ことを特徴とする。
また、第6の発明に同期電動機は、
前記2組の磁石が、一方の組が2極対の磁極数であり、他方の組が4極対の磁極数であり、前記複数の巻線の数が12個であり(例えば、スロット構造モータの場合には12個のスロットに収容される12個の巻線)、これら巻線が6相のインバータで駆動される、
ことを特徴とする。
また、第7の発明に同期電動機は、
前記2組の磁石が、一方の組が2極対の磁極数であり、他方の組が6極対の磁極数であり、
前記複数の巻線の数が18個であり、これら巻線が9相のインバータで駆動される、
ことを特徴とする。
また、第8の発明に同期電動機は、
前記複数の磁石の組が2組あり、これら組同士の磁極数の比が1:M(但し、Mは2以上の整数であり、3および3の倍数を除く)であり、
前記同期電動機を構成する固定子が、回転磁界を発生する複数の巻線を有し、
前記複数の巻線の数が、前記2組の磁石のうち極対数が少ない方の組の極対数の3倍であり、これら巻線が3相のインバータで駆動され、
前記磁石の各組の各磁極数に対応した複数の電流磁界が、基本波およびその高調波として与えられる、
ことを特徴とする。
また、第9の発明に同期電動機は、
前記組同士の磁極数の比が1:2であり(例えば、3極対:6極対であり、固定子が9スロット構造を持ち3相のインバータで駆動される巻線を備えるように構成させる)
ことを特徴とする。
また、第10の発明に同期電動機は、
前記2組の磁石が、一方の組が8極対の磁極数であり、他方の組が16極対の磁極数であり、
前記複数の巻線の数が24個であり、これら巻線が3相のインバータで駆動される、
ことを特徴とする。
また、第11の発明に同期電動機は、
前記2組の磁石が、一方の組が2極対の磁極数であり、他方の組が8極対の磁極数であり、前記巻線の数が6個であり(例えば6スロット構造の固定子)、これら巻線が3相のインバータで駆動される、
ことを特徴とする。
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
第1の発明では、異なる複数の磁極数に相当する磁石磁束を、その表面に合算して発生させる磁束発生部材を持つ回転子を備えた同期電動機とすることで、モータを小型化し、電流による損失を2つの回転子を独立に回転させる場合より低減することができる。即ち、本発明は、本出願人が開発した複合電流・2軸出力方式モータによる電流損失および小型化のメリットを享受しつつ、1軸のみの出力を可能にしたものである。そのため、従来の複合電流・2軸出力方式を1軸に変換する際に必要な機械的な出力軸の結合機構が不要となる。また、従来の複合電流・2軸出力方式モータは、通常は、固定子を挟んで2つの回転子(内側回転子および外側回転子)を設置する方式であるため、モータ筐体のサイズは、内側回転子、固定子、および外側回転子の「3部材」およびこれら部材間の空隙に相当するサイズを要する。しかしながら、本発明によるモータ筐体のサイズは、固定子と一体化した1つ回転子との2部材のサイズで足りるため、さらに小型化が可能となる。
特に、このようなモータ小型化によって、本発明によるモータは電動車両のホイールインモータとしての利用が期待される。また、同様の性能を発揮させるために「従来の1軸式モータ1台」を大型化したものより、本発明によるモータは、モータ筐体が著しく小型化され、電流損失も小さい。
また、第2の発明では、前記磁束発生部材は永久磁石とすることで、界磁電流およびそれを供給するスリップリングを不要とし、安定した強力な界磁を発生させることができる。
また、第3の発明では、前記磁束発生部材を電磁石とすることで、高価な永久磁石を不要とし、また界磁を抑えて誘起電圧を下げるなどによって高回転化を可能とすることができる。
また、第4の発明では、磁石の各組の磁極数の比を1:N(2以上の整数)とし、巻線の数を、前記2組の磁石のうち極対数が多い方の組の極対数の3倍でとし、これら巻線を前記Nの3倍の数の相のインバータで駆動するような構成とすることによって、少ない磁極数の磁石の組に対しては6相、多い磁極数の磁石の組に対しては3相としての指令値を与えることで安定したトルクを発生させることができる。
また、第5の発明では、磁石の各組の磁極数を3極対と6極対とし、固定子に含まれる巻線の数を18個とすることによって、上記の構成を具体化することができる。
また、第6の発明では、磁石の各組の磁極数を2極対と4極対とし、固定子に含まれる巻線の数を12個とし、これら巻線を6相のインバータで駆動することによって、極数が少なく、高回転に向いたモータを具体化することができる。
また、第7の発明では、磁石の各組の磁極数を2極対と6極対とし、固定子に含まれる巻線の数を18個とし、これら巻線を9相のインバータで駆動する構造とすることで、極対数比が1:3なので3次高調波磁束を回転子に発生させる必要があるが、1次と3次の複合波形は台形に近い形であり発生させるのが容易となる。また極対数の差が大きいので、低負荷において高回転では2極対、低回転では6極対だけに対応した電流を与えるなどによって電流による磁束の周波数を下げ、電流による鉄損を低減できるなどが実現できる。
また、第8の発明では、磁石の組が2組あり、これら組同士の磁極数の比が1:M(但し、Mは2以上の整数であり、3および3の倍数を除く)であり、固定子に含まれる巻線の数を、2組の磁石のうち極対数が少ない方の組の極対数の3倍とし、これら巻線を3相のインバータで駆動し、磁石の各組の各磁極数に対応した複数の電流磁界を、基本波およびその高調波として与えることによって、インバータの相数を減らし、インバータコスト・給電線コストを下げたシステムを実現できる。
また、第9の発明では、磁石の各組の磁極数の比を1:2(例えば、2極対と4極対、3極対と6極対)とし、固定子に含まれる巻線の数を、例えば、2極対と4極対の場合には9個とし、これら巻線を3相のインバータで駆動することで、上記の構成を具体化することができる。
また、第10の発明では、磁石の各組の磁極数を8極対と16極対とし、固定子に含まれる巻線を24個(例えば24スロット構造)とし、これら巻線を3相のインバータで駆動することで、インバータ・給電線コストを減らした上で極数が少なく、高回転に向いたモータを具体化することができる。
また、第11の発明では、磁石の各組の磁極数2極対と8極対とし、固定子に含まれる巻線を6個とし、これら巻線を3相のインバータで駆動することで、インバータ・給電線コストを減らした上で、極対数の差が大きいので、低負荷において高回転では2極対、低回転では6極対だけに対応した電流を与えるなどによって電流による磁束の周波数を下げ、電流による鉄損を低減できるなどが実現できる。
以降、諸図面を参照しつつ、本発明の実施態様を詳細に説明する。
第1の実施例
図1は、本発明の第1の実施例による同期電動機の構成を示す断面図である。まず構成を説明する。11は固定子であり、18個の分割されたコア12から構成され、18個の分割されたコア12には、それぞれ巻線13が集中的に巻かれている。この巻線は、6個おきに配置されている3個が1セット(トータル6セット)となっており、直列、あるいは並列に接続され、その一方が中性点として他の相の一方と接続され、他方は図示しないインバータの内部で、電源ラインのP側・N側にスイッチング素子を介して接続されている。このインバータは6相を制御する構成となっている。なお、この固定子は分割されたコアで記述されているが、分割されないコアでも同様の動作ができること、或いはスロットレス型モータでも本発明を適用することが可能である。また、巻線は集中巻に限らず分布巻でも適用可能である。
14は回転子であり、この実施例では、回転子14は、N極の3つ磁石N1〜N3、S極の6つの磁石S1〜S6を含み、これらの磁石は3極対と6極対の2種類の極対数を備える2組の磁石として機能する。ここで、3極対、6極対の極対数とは回転子が一周(0deg〜360deg)する間に回転子表面に現れる磁束のことである。この場合の2組の磁石は、概念的なものであり、部材が明確に分離されているものではなく、固定子の巻線に供給される複合電流を構成する1つの電流に対して、3極対の磁石のセットとして振る舞う磁石の組が1つあり、複合電流を構成するもう1つの電流に対して、6極対の磁石のセットとして振る舞う磁石の組が1つあることを意味するものであり、各磁石S1〜S6、N1〜3が同時に双方の組の磁石として機能するものである。この詳細については図2を参照して説明する。以降、作図や説明の便宜上、回転子の磁石をN極、S極として図示・説明するが、N−S極の構成・配置を逆に置き換えても発明の作用・効果は同様であることに留意されたい。さらに、N極、S極の磁石は、磁力線の向きが半径方向となるように、着磁方向をそれぞれ半径方向(反対向きで)にした磁石を、N極を外側(固定子側)、S極を外側(固定子側)に配置したものである。この実施例では磁石は着磁方向を半径方向に配置したものを用いてあるが、この配置には限定されず、磁力線がほぼ半径方向に向いていれば問題なく、例えばV字型の磁石配置であってもよい。
図2は、第1の実施例の回転子生成説明図であり、図2の(A)は、2回転子構造のモータの回転子であり、内側回転子が3極対、外側回転子が6極対の磁石を備える。この磁石を内側の回転子の表層に2層に配置したのが図2の(B)である。配置の際に、若干の位相調整をしているがその詳細は後述する。図2(B)を見ると、回転子14Aは着磁方向の異なる2種類の磁石(N極、S極)が幾つかの位置で互いに接している。周知のように着磁方向の異なる磁石を張り合わせた場合、どちらの着磁方向にも磁束が発生しないので磁石は無いものと等価であり、且つ、磁束は飽和しているので磁束は通りにくい。
そこで、径方向に見て異なる着磁の磁石が張り合わせてある部分から磁石を排除したのが図2(C)であり、この回転子14にはN極の磁石N1〜N3,S極の磁石S1〜S6が含まれる。この結果、周囲に曲線で示したような、3極対と6極対の複合磁束CFを発生する回転子14が完成する。なお、本発明は、極性の違う磁石が接触している部分の磁石を除去していない、内側回転子と外側回転子とを一体にした構成である図2(B)の構成で基本的には成立し、小型化、電流低減の効果が得られるものであり、図2(C)と同じ複合磁束CF(図2(B)には図示せず)が発生することに注意されたい。つまり、回転子14Aは、インナーロータの第1の回転子とアウターロータの第2の回転子とを一体化した構成の回転子である。もちろん、不要な磁石を除去した図2(C)の構成の方が削除した磁石分の慣性の低減によるトルクの向上、モータの軽量化、削除した磁石の分の経費節減などでさらに効果がある。
なお、図2(C)では、不要な磁石を除去した領域は空間となっており、空気がその領域を占めているが、この空気が占める領域は磁束を通さない機能を果たしている。即ち、磁石を除去したこの領域には、鉄などの磁束を通し易い素材以外の部材を置く必要があるが、通常は空間(空気)でこと足りる。もちろん、当該領域には空気以外の磁束を通しにくい部材が設置されていいてもかまわない。
図3は、3極対と6極対の回転子を駆動させるための正弦波(振幅1)の各電流、およびこれらを複合させた複合電流の各波形を示す。この両者を複合させる場合、双方の位相によって波形が変化することは容易に想像でき、位相を変化させた場合の絶対値のピーク、絶対値の平均値、二乗平均値を示したのが図4の(A)、(B)、(C)である。この正弦波の複合を回転磁束を発生させる電流に適用した場合には、絶対値のピークはインバータのスイッチング素子容量に関与し、絶対値の平均値は一定電圧降下を発生する、電力変換器の構成部材であるパワー素子(IGBTなど)・ダイオードなどの損失に関与し、二乗平均値は巻線など一定抵抗での損失に関与する。
この図を見ると、双方の位相差が0(または30°)場合に絶対値ピークと絶対値の平均値とが最小になり、二乗平均値は位相に関係なく一定となることが分る。また各図には3極対と6極対の、それぞれで求めた値の和が別の線で示されており、いずれも複合させた場合の方が小さくなっていることがわかる。したがって、電流を位相差が0となるように制御すれば、スイッチング素子の容量・IGBTなどの損失・抵抗の損失、すべてに優位な条件といえる。電流をこの条件とするためには、回転子で発生する磁束は、3極対と6極対それぞれに対して1/4周期ずれていることが必要であり、3極対については30°、6極対については15°となるので、差し引き15°ずれていれば良い。このことから図2(B)では両者の磁石の端が15°となるように重ね合わせて、最も損失が少ないような構成にしてある。
なお、この位相差については、回転子の磁界の磁気飽和を緩和する目的で用いるならば、上記の位相差0での構成を回転子の磁石に適用することが考えられる。位相差に関してはこのように目的によって最適の位相差があり、それぞれ設定されるものとする。
次に動作を説明する。固定子には前述のように6相のインバータが接続されており、これによって3極対と6極対の回転子磁界に対応した複合正弦波磁束を発生するようにした複合電流を与えれば良い。回転子の位置に応じて電流指令を回転・調整させるのは通常のモータと同じであるが、このモータでは両極対に対応する複合磁束を発生させるため、まず、3極対の概念的な磁石の組に対しては、3周期の正弦波を発生させるので、インバータを6相と考え、正弦波1周期を6分割した各位置での電流値を各相の指令値として計算する。一方、6極対の概念的な磁石の組に対しては、6周期の正弦波を発生させるので、正弦波1周期を3分割した位置での電流指令値として求め、6相インバータ第1と第4相、第2と第5相、第3と第6相の指令値とする。この後、3極対と6極対の指令値それぞれを足し合わせ、6相インバータの指令値として電流制御を行う。このことで回転子がトルクを発生し回転する。
次に効果を説明する。上記の動作によりトルクを発生するが、トルクは界磁磁束(回転子で発生する磁束)と電流磁束(固定子で発生する回転磁束)の相互作用によって発生するが、これは各々の磁束の基本波成分(この実施例の場合には、3極対と6極対)に応じて発生する。今回の実施例では、各々振幅1の正弦波を複合して得られた磁束を発生しているので、基本波成分は当然のごとく振幅1であり、従って振幅1で単独で回されるモータに対して、ほぼ2倍のトルクを1つのモータで発生させることが理論上可能となる。
さらに、その時に流れる電流で発生する損失は、前記のように複合された電流の絶対値平均・二乗平均、ともに単独の平均値の和より減少しているため、損失は明らかに小さい。以上より、1つ分の体格のモータでほぼ2つ分のトルクを発生しつつ、電流による損失はモータ2つ分より小さいという効果が得られる。
第2の実施例
図5は、本発明の第2の実施例による同期電動機の構成を示す断面図であり、2極対・4極対の回転子に12スロット6相の固定子31を組み合わせたものである。固定子31は、12個のコア32、12個の巻線33を有する。回転子34の両極対の位相差は図6の通りであり、先の説明と同じ計算過程を経て22.5°に設定してある。図6の回転子34Aは、図5の回転子34と等価のものであるが、前述のように回転子34Aでも本発明は成り立つ。回転子34に設けてある磁石はN極の4つの磁石N31〜N34、S極の2つの磁石S31,S32である。動作などは第一の実施例と同じであるが、極対数が小さく制御周波数が低くなるので、第一の実施例に比べて高回転動作に向いたモータが実現できる。
第3の実施例
図7は、本発明の第3の実施例による同期電動機の構成を示す断面図であり、2極対・6極対の回転子44に18スロット9相の固定子41を組み合わせたものである。固定子41は、18個のコア42、18個の巻線43を有する。図8の回転子44Aは、図7の回転子44と等価のものであるが、前述のように回転子44Aでも本発明は成り立つ。回転子44に設けてある磁石はN極の4つの磁石N41〜N44、S極の4つの磁石S41〜S44である。回転子41の両極対の位相差は図8の通りであるが、この場合は絶対値ピークが最小になる位相と絶対値平均値が最小にあるケースが異なっており、今回は電流絶対値平均値が最小になるように回転子の極対は45°ずらしてある。動作などは第一の実施例と同じである。この実施例では極対数比が1:3なので3次高調波磁束を回転子に発生させる必要があるが、1次と3次の複合波形は台形に近い形であり発生させるのが容易となる。また極対数の差が大きいので、低負荷において高回転では2極対、低回転では6極対だけに対応した電流を与えるなどによって電流による磁束の周波数を下げ、電流による鉄損を低減できるなどの効果がある。
第4の実施例
図9は、本発明の第4の実施例による同期電動機の構成を示す断面図であり、3極対・6極対の回転子54に12スロット3相の固定子51を組み合わせたものである。固定子51は、12個のコア52、12個の巻線53を有する。回転子54に設けてある磁石はN極の3つの磁石N51〜N53、S極の6つの磁石S51〜S56である。回転子54の両極対の位相差は第1の実施例と同じである。この実施例では、3相インバータを用いているところが第1の実施例と大きく異なり、3相インバータにより3極対への回転磁束を発生させるとともに、6極対用の回転磁束を3極対用の2倍高調波として発生させる高調波制御手法(例えば、特開2002-223600号公報を参照されたい。)により制御するものである。この高調波制御手法は、基本波と異なる回転座標系を定義し、その座標系上で電流を制御するものであり、基本波の整数倍の高調波であれば制御できるはずであるが、3相インバータを使うことから、3の倍数の次数に当たる高調波は、3相に与える高調波成分がすべて同一位相の電流となってしまうため制御できない。したがって3の倍数以外の次数の高調波であれば制御することが可能となる。先の実施例では6相のインバータが必要だったのに対し、この実施例では3相で済むことから、インバータの構成が簡素化でき、またモータ・インバータ間の給電線が6本から3本に減少することでモータ及びインバータのコストを下げることができる。
第5の実施例
図10は、本発明の第5の実施例による同期電動機の構成を示す断面図であり、2極対・4極対の回転子64に6スロット3相の固定子61を組み合わせたものである。固定子61は、6個のコア62、6個の巻線63を有する。回転子64に設けてある磁石はN極の4つの磁石N61〜N64、S極の2つの磁石S61、S62である。回転子64の磁石の構成は第2の実施例と同じ、制御方法は第4の実施例と同じである。この実施例によれば、第4の実施例と同様にインバータ等のコストを下げると同時に、極対数が小さく制御周波数が低くなるので、第4の実施例に比べて高回転動作に向いたモータが実現できる。
第6の実施例
図11は、本発明の第6の実施例による同期電動機の構成を示す断面図であり、2極対・8極対の回転子74に6スロット3相の固定子71を組み合わせたものである。固定子71は、6個のコア72、6個の巻線73を有する。回転子74に設けてある磁石はN極の4つの磁石N71〜N74、S極の6つの磁石S71〜S76である。回転子の磁石の構成は図12に示す通りであり、ここでは位相を33.75°ずらしてある。制御方法は第4の実施例と同じである。図12の回転子74Aは、図11の回転子74と等価のものであるが、前述のように回転子74Aでも本発明は成り立つ。この実施例によれば、第4の実施例と同様にインバータ等のコストを下げると同時に、第3の実施例と同様に極対数の差が大きいので、低負荷において高回転では2極対、低回転では6極対だけに対応した電流を与えるなどによって電流による磁束の周波数を下げ、電流による鉄損を低減できるなどの効果がある。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の部材、手段、ステップなどを1つに組み合わせたり或いは分割したりすることが可能である。なお、実施例では、回転子に永久磁石を設ける形態で説明したが、電磁石でも本発明の実現することが可能である。また、実施例では、磁石の組は2つのものを説明したが、本発明は3以上の組の磁石でも同様の作用・効果を達成できるものである。
本発明の第1の実施例による同期電動機の構成を示す断面図である。 第1の実施例の回転子生成説明図である。 2つの正弦波の複合状態の1例を示す図である。 2つの正弦波複合によるピーク・平均値等の変化説明図である。 本発明の第2の実施例による同期電動機の構成を示す断面図である。 第2の実施例の回転子の説明図である。 本発明の第3の実施例による同期電動機の構成を示す断面図である。 第3の実施例の回転子の説明図である。 本発明の第4の実施例による同期電動機の構成を示す断面図である。 本発明の第5の実施例による同期電動機の構成を示す断面図である。 本発明の第6の実施例による同期電動機の構成を示す断面図である。 第6の実施例の回転子の説明図である。
符号の説明
11 固定子
12 コア
13 巻線
14、14A 回転子
31 固定子
32 コア
33 巻線
34、34A 回転子
41 回転子
42 コア
43 巻線
44、44A 回転子
51 固定子
52 コア
53 巻線
54 回転子
61 固定子
62 コア
63 巻線
64 回転子
71 固定子
72 コア
73 巻線
74、74A 回転子
N1-N3、S1-S6 磁石
N31-N34、S31,S32 磁石
N41-N44、S41-S44 磁石
N51-N53、S51-S56 磁石
N61-N64、S61、S62 磁石
N71-N74、S71-S76 磁石

Claims (11)

  1. それぞれの回転子まわりの磁極数が異なる磁石の組に相当する複数の磁石磁束を合算して発生させる磁束発生部材を持つ回転子を備えた同期電動機。
  2. 請求項1に記載の同期電動機において、
    前記磁束発生部材が永久磁石である、ことを特徴とする同期電動機。
  3. 請求項1に記載の同期電動機において、
    前記磁束発生部材が電磁石である、ことを特徴とする同期電動機。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の同期電動機において、
    前記複数の磁石の組が2組であり、これら組同士の磁極数の比が1:N(但し、Nは2以上の整数)であり、
    前記同期電動機を構成する固定子が、回転磁界を発生する複数の巻線を有し、
    前記複数の巻線の数が、前記2組の磁石のうち極対数が多い方の組の極対数の3倍であり、前記巻線が前記Nの3倍の数の相のインバータで駆動される、
    ことを特徴とする同期電動機。
  5. 請求項4に記載の同期電動機において、
    前記2組の磁石が、一方の組が3極対の磁極数であり、他方の組が6極対の磁極数であり、前記複数の巻線の数が18個であり、これら巻線が6相のインバータで駆動される、
    ことを特徴とする同期電動機。
  6. 請求項4に記載の同期電動機において、
    前記2組の磁石が、一方の組が2極対の磁極数であり、他方の組が4極対の磁極数であり、前記複数の巻線の数が12個であり、これら巻線が6相のインバータで駆動される、
    ことを特徴とする同期電動機。
  7. 請求項4に記載の同期電動機において、
    前記2組の磁石が、一方の組が2極対の磁極数であり、他方の組が6極対の磁極数であり、前記複数の巻線の数が18個であり、これら巻線が9相のインバータで駆動される、
    ことを特徴とする同期電動機。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の同期電動機において、
    前記複数の磁石の組が2組あり、これら組同士の磁極数の比が1:M(但し、Mは2以上の整数であり、3および3の倍数を除く)であり、
    前記同期電動機を構成する固定子が、回転磁界を発生する複数の巻線を有し、
    前記複数の巻線の数が、前記2組の磁石のうち極対数が少ない方の組の極対数の3倍であり、これら巻線が3相のインバータで駆動され、
    前記磁石の各組の各磁極数に対応した複数の電流磁界が、基本波およびその高調波として与えられる、
    ことを特徴とする同期電動機。
  9. 請求項8に記載の同期電動機において、
    前記組同士の磁極数の比が1:2である、ことを特徴とする同期電動機。
  10. 請求項8に記載の同期電動機において、
    前記2組の磁石が、一方の組が8極対の磁極数であり、他方の組が16極対の磁極数であり、
    前記複数の巻線の数が24個である、
    ことを特徴とする同期電動機。
  11. 請求項8に記載の同期電動機において、
    前記2組の磁石が、一方の組が2極対の磁極数であり、他方の組が8極対の磁極数であり、前記巻線の数が6個である、
    ことを特徴とする同期電動機。
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