JP2007133215A - トナー - Google Patents

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浩次 阿部
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信也 谷内
Emi Tosaka
恵美 登坂
Yasuhiro Hashimoto
康弘 橋本
Yuji Mikuriya
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Abstract

【課題】記録材上に転写されたトナーの熱定着時の定着温度領域が広く、部材融着等の現像スジの発生を抑制したトナーを提供する。
【解決手段】少なくとも、結着樹脂、着色剤、及び、離型剤を有するトナー粒子と無機微粉末からなるトナーであって、
該トナー粒子は、水系媒体中で製造され、結着樹脂100質量部に対して離型剤を4〜25質量部含有するものであり、
該トナーは、THF可溶分のGPCにより得られるポリスチレン換算の分子量2000以上の領域において、下記式1、2、3の関係を満たすことを特徴とする。
0.5<Log(M30)−Log(M10)<1.0 (式1)
0.2<Log(M90)−Log(M70)<0.5 (式2)
20000<M50<60000 (式3)
M10、M30、M50、M70、M90:低分子量からの分子量積分値で10%、30%、50%、70%、90%となる数基準の分子量値
【選択図】図4

Description

本発明は、電子写真法、静電記録法、磁気記録法、トナージェット法等を利用した画像形成方法に用いられるトナーに関する。詳しくは、結着樹脂、着色剤、及び、離型剤を有し、特定の分子量分布を有する水系媒体中で製造されたトナー粒子と無機微粉末からなるトナーに関する。
従来、粉砕トナーにおいて、耐久性と広い温度領域での定着安定性を向上する目的でトナーバインダー種の検討や種々バインダーの分子量検討がなされている。これらの多くは、かかる目的を達成する手段として、トナーを構成する結着樹脂の分子量分布を2ピークとし、トナーの軟化と高温での粘りを調整しているものである。また、高温での粘り具合の調整として、樹脂中に何らかの手段で架橋構造を導入する手法もとられており、このような手段によって低温定着性と耐高温オフセット性改善を達成するという手段も用いられる。
このような分子量分布と適度な架橋構造を有する樹脂からなるトナーは、低温から高温までの広い定着温度範囲でオフセット現象が生じることがなく、かつ長期の使用を行なってもカブリの発生及び画像濃度の低下の如き画像劣化が発生することがなく良好な画像を安定して得ることができるといった効果が得られている(例えば、特許文献1参照)。
従来の分子量分布に特徴を有する粉砕トナーでは、粉砕表面に離型剤等の破断面露出という問題の回避が困難である。粉砕法では、その粉砕方法等の改良による改善検討も行われているものの、トナー構成材料のミクロな組成の偏在でワックス等の脆い部分が選択的に破壊されるという特性は変わらず、破断面には選択的にワックス等が露出してしまう。このような粉砕トナーの離型材等の破断面露出は、トナーを使用する現像器内において部材汚染を生じることが懸念される。特に、近年、広く用いられている非磁性一成分接触現像系では、従来の現像方式と異なり、トナー規制部材部分で規制と同時に摩擦によりトナー帯電を付与する方式である。このため、トナーによる現像部材汚染は顕著になり、規制部分への部材汚染でスジ状の画像を生じるため非常に問題がある。
また、粉砕法でのトナーは、トナー粒子の形状が様々な形状を有しているため、現像性や転写性において転写性能が低く、例えばフルカラー多重現像方式で転写を複数行うような場合は、転写抜けによる画質劣化や濃度変動を生じるため、さらなる改善が必要である。このような粉砕トナーの現像性や転写性を改善する対策としてトナー粒子の球形化処理によるトナー形状制御技術も広く開発されてきているが、トナー粒子の球形化処理の度合いとして水系媒体中で球形化する技術に及ぶものは未だ出来ていない。
また、粉砕トナーを加熱した気流中で熱球径化する試みもなされているが、熱効率が悪く、生産性のあるトナー製造プロセスとなるまで至っていない。
このような粉砕トナーのデメリットを克服するトナーとして、近年、水系媒体中で製造するトナーが登場している。
水系媒体中で製造するトナーの製造方法としては、たとえば、懸濁重合法や、乳化凝集法、溶解造粒法など、種々の方法が提案されている。これらの方法を用いることで、離型材等の存在状態をコントロールし、トナー構成材料の配置を最適な状態にすることができるようになり、粉砕トナーにないトナー特性を発現することが可能になる。
このような、水系媒体中で製造されたトナーにおいても、トナーの分子量分布や架橋構造を調整する試みがなされている。例えば、特定の分子量分布を有する事を特徴とするトナーを用いることで、低温定着性と耐オフセット性とに優れている特性を損なうことなく、感光体へのフィルミングや、キャリアやスリーブの如きトナー担持体の表面を汚染しにくく、多数枚耐久性に優れるトナーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、かかる発明では、トナーの定着領域拡大には効果があるものの、近年のトナーに要求されるような更なる低温定着性は達成できていない。また、デジタルカメラ等で撮影した画像を高品質に出力するといったニーズに対しては、定着時のトナーが高グロス、高光沢であることが求められるが、特許文献2のようなトナーにおいてこのような要求を達成するためには課題を有する。
また、数平均分子量Mnと高分子量成分の割合を限定した湿式重合トナーが提案されている。この提案は、本願と分子量という着目点は類似するものの、数平均分子量成分と高分子量成分の量を規定したものであり、本願の分子量分布状態を規定したものとは異なる発明である。かかるトナーによると、定着時の剥離性と、トナー製造時の形状制御性に優れたトナーが達成可能であるが、光沢性については課題を有する(例えば、特許文献3参照)。
トナー粒子の結着樹脂の分子量や架橋構造の設計手段は公知の手段が使用可能であり、例えば特許文献4のように半減期の異なる複数の開始剤を併用して重合する方法や、ポリマー存在下での2段重合が使用可能である。しかし、かかる方法により分子量調節する上で、低分子量成分の存在がトナーの電子写真特性に及ぼす影響があることが知られている。特に残存モノマーは、トナー粒子からのシリカの遊離に寄与し、残存モノマーを低減することでドラムへのフィルミング融着を低減でき、現像性が良化するものである(例えば、特許文献4参照)。
かかる発明によると、2ピークの分子量分布を有し、トナー中に含有されるスチレン及びベンズアルデヒドの含有量が100ppm以下のトナーが、トナーの定着領域及びオフセット低減、定着性、フィルミング、及び悪臭に効果がある。
しかし、かかる発明は粉砕トナーでのものであり、且つ明細中でトナーの耐久性のについては触れられていないため、記載以外の効果は不明である。
さらに、かかる定着の良好なトナーは、その反面、トナーの保存性に劣る傾向がある。これは、バインダー設計を定着に有利な方向にする技術の方向性と、耐久性を向上させる技術の方向性が合致していないために起こる問題である。このようなトナーの保存性、耐久性と定着性を両立するためには、従来のバインダー設計では不十分である。その理由としては、耐久時のトナー表面の外添剤劣化と関係があると考えられる。従来の定着の良好なトナーは、その軟化温度が低く、耐久によりトナー表面の外添剤がより埋め込まれやすくなる傾向があった。そのために、このようなトナーは耐久時の流動性変化が著しく、耐久前後のトナー材料物性が大きく変化することで、現像装置内の部分的な流動阻害を生じやすい。このような部分的なトナー流動阻害は、例えばトナー規制部材部分では現像スジのきっかけとなるために問題がある。
特開平05−019530号公報 特開平10−333359号公報 特開2004−109939号公報 特開平7−049588号公報
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解決したトナーを提供することにある。
すなわち本発明の第一の目的は、記録材上に転写されたトナーの熱定着時の定着温度領域が広いトナーを提供することにある。
さらに、本発明の第二の目的は、部材融着等の現像スジの発生を抑制したトナーを提供することにある。
さらに、本発明の第三の目的は、トナーの保存性とトナーの流動安定性に優れ、長期にわたり安定した現像性を実現するトナーを提供することにある。
さらに、本発明の第四の目的は、高光沢の高品質な出力画質を達成するトナーを提供することにある。
本発明は下記構成を要旨とするトナーに関するものである。
(1)少なくとも、結着樹脂、着色剤、及び、離型剤を有するトナー粒子と無機微粉末からなるトナーであって、
該トナー粒子は、水系媒体中で製造されたトナー粒子であり、
該トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して離型剤を4〜25質量部含有するものであり、
該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の分子量2000以上の領域において、下記式1、2、3の関係を満たすことを特徴とするトナー。
0.5<Log(M30)−Log(M10)<1.0 (式1)
0.2<Log(M90)−Log(M70)<0.5 (式2)
20000<M50<60000 (式3)
M10:低分子量からの分子量積分値で10%となる数基準の分子量値
M30:低分子量からの分子量積分値で30%となる数基準の分子量値
M50:低分子量からの分子量積分値で50%となる数基準の分子量値
M70:低分子量からの分子量積分値で70%となる数基準の分子量値
M90:低分子量からの分子量積分値で90%となる数基準の分子量値
Logは常用対数を表す。
さらに、下記の状態がより好ましい。
(2)該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の分子量2000以上の領域において、下記式1、2、3の関係を満たすことを特徴とする(1)に記載のトナー。
0.5<Log(M30)−Log(M10)<0.8 (式1)
0.2<Log(M90)−Log(M70)<0.4 (式2)
25000<M50<40000 (式3)
(3)トナーのTHF可溶分のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる分子量において、M50が25000乃至40000であることを特徴とする(1)又は(2)に記載のトナー。
(4)トナーの樹脂成分は、該樹脂成分の質量を基準として、トルエン不溶成分の含有量が5質量%未満であることを特徴とする(1)乃至(3)に記載のトナー。
(5)該トナーは、平均円形度が0.960乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040未満であることを特徴とする(1)乃至(4)に記載のトナー。
(6)トナーは、平均円形度が0.970乃至0.995で、円形度標準偏差が0.037未満であることを特徴とする(1)乃至(5)に記載のトナー。
(7)トナー粒子は、少なくともチタン化合物とポリエステルとを含有することを特徴とする(1)乃至(6)に記載のトナー。
(8)該トナーは、少なくともチタン化合物とポリエステルとビニル系重合体とを含有することを特徴とする(1)乃至(7)に記載のトナー。
(9)該トナーをキシレン溶剤にて抽出したときの抽出物中に含まれるスチレンモノマーの含有量がトナー重量あたり5ppm乃至200ppmであることを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかに記載のトナー。
(10)該離型剤は、エステルワックス、パラフィンワックス、フィッシャトロプシュワックスより選ばれる離型剤であることを特徴とする(1)乃至(9)に記載のトナー。
(11)該トナー粒子は、水系媒体中で懸濁重合によって製造することを特徴とする(1)乃至(10)のいずれかに記載のトナー。
このようなトナーの特徴は、分子量2000以上のTHF可溶分における分子量分布の特定の範囲の分子量成分が正規分布となるのではなく、低分子側に肩、又は極大値を有することを意味するものである。特に、このような低分子側の特性について調査したところ、本願の分子量の値が30乃至50%の分子量成分の占める割合が分子の全体分子に対して一定の範囲にあり、且つ、70乃至90%の分子量成分の占める割合が分子の全体分子に対して一定の範囲にあることで、低温から高温までの定着領域が確保できるものとなる。
式(1)の値が0.5未満では、低分子成分が過剰で熱定着時に高温でのオフセット現象を生じるために好ましくない。さらに、式(1)の値が2.0以上では、定着時の厚紙で定着不良を発生するといった問題が発生するために好ましくない。
また、式(2)は高分子生成分の比率を表す物であるが、この値が0.2未満では、定着物の光沢グロスを高めることが困難になるために好ましくない。さらに、式(2)の値が0.5以上では、定着物のホットオフセット特性が悪化する上に、現像部材の汚染を誘発するために好ましくない。
また、これら式(1)(2)で規定した分子量分布の中心分子量の適切な範囲として式(3)の範囲がある。中心分子量が15000以下では、現像容器内でのトナーの保存性や現像耐久性に問題がある。また、中心分子量が60000以上では、耐久性については問題が無いものの、定着グロスや低温定着性に問題があり、本課題を解決することができないものである。
また、定着時の離型性は離型剤の効果も相乗的に機能しているものと考えている。離型剤成分の量としては、樹脂100質量部に対して離型剤を4〜25質量部含有することが好ましい。離型剤量が4質量部未満では、離型効果が発現せずに定着分離不良を発生するために好ましくなく、離型剤量が25質量部超では過剰な離型剤による現像弊害を生じるために好ましくない。
本発明によれば、水系媒体中で製造された離型剤を樹脂100質量部に対して4〜25質量部含有するトナー粒子で特定の分子量分布を有するトナーによって、定着を行う温度領域が広く、部材融着等の現像スジの発生を抑制した現像性に優れるトナーが得られる。
さらに、このようなトナーを用いることにより、耐久性に優れ、長期にわたり安定した現像性を実現するトナーが得られる。さらに、このようなトナーは、高光沢の高品質な出力画質を達成するトナーが得られるものである。
本発明者らはかかる課題に対して鋭意検討した結果、水系媒体中で製造されたトナー粒子において、トナーの構成材料、及び結着樹脂の分子量分布をコントロールすることで課題を解決することを見出した。
本発明のトナーは、従来粉砕トナーで用いられた技術思想を湿式重合法に展開したものであるが、重合法において、耐久性と広い温度領域での定着安定性を向上するという目的を達成するための手段として結着樹脂の分子量調整で所望の特性を得ようとすると、低分子量成分による造粒性の悪化がおこったり、重合反応性が低下して所望の分子量にならないなどの問題があり容易に達成できるものではない。
以下に本発明の内容を更に詳細に説明する。
本発明のトナーについて、更に具体的に説明する。
本発明においてトナーの製造方法は水系媒体中で製造するものであれば特に限定することがなく、公知の製造方法が使用可能である。
製造方法の具体的な例としては、単量体組成物に該低分子樹脂を溶解し、特公昭36−10231号公報、特開昭59−61842号公報に述べられているような懸濁重合方法を用いて直接トナーを製造する方法、単量体には可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー製造する分散重合方法または水溶性重合開始剤存在下で直接重合しトナーを製造するソープフリー重合法に代表される乳化重合方法等により本発明のトナーを得ることができる。さらに、粉砕トナー同等のトナー組成物を溶剤で溶解し、水系中で球形化した後に脱溶媒して球形トナーを得る方法や、重合法により重合体粒子を製造し、その後、重合体粒子の表面に微粒子状の該低分子樹脂を付着させ、必要に応じて粒子の平滑化および球形化処理を行う方法や、該低分子樹脂を含有する単量体(組成物)をシード重合する方法も採用することができる。
より好ましくは、懸濁重合方法、乳化重合方法である。
懸濁重合方法は、重合性単量体、架橋剤、重合開始剤、ワックス、ポリエステル樹脂、顔料、及び、その他の添加剤等を混合分散し、懸濁分散安定剤の存在下、水系中で懸濁重合することにより合成し、固液分離、必要に応じて乾燥の後分級を行うものである。前記懸濁分散安定剤の具体的な例として無機系酸化物としては例えば、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、磁性体、フェライト等が挙げられる。
これらの懸濁分散安定剤は、水相に分散させて使用される。これら懸濁分散分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10質量部を使用することが好ましい。
乳化重合方法は、第1の凝集工程においては、まず、樹脂微粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液とを準備する。樹脂微粒子分散液は、乳化重合などによって作製した第1の樹脂微粒子をイオン性界面活性剤を用いて溶媒中に分散させることにより調整する。着色剤粒子分散液は、樹脂微粒子分散液の作製に用いたイオン性界面活性剤と反対極性イオン性界面活性剤を用いて、青色、赤色、黄色等の所望の色の着色剤粒子を溶媒中に分散させることにより調整する。また、離型剤粒子分散液は、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱するとともに強い剪断をかけられるホモジナイザーや圧力吐出型分散機により微粒子化することにより調製する。
次に、乳化凝集法について説明する。
乳化凝集法とは、水系媒体中で樹脂微粒子分散液と着色剤粒子分散液と離型剤粒子分散液とを混合し、第1の樹脂微粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ所望のトナー径にほぼ近い径を持つ、第1の樹脂微粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
また凝集工程において用いられる、樹脂微粒子、着色剤粒子、離型剤粒子の粒子径は、トナー径および粒度分布を所望の値に調整するのを容易とするために、1μm以下であることが好ましく、100〜300nmの範囲内であることがより好ましい。
第1の凝集工程においては、樹脂微粒子分散液や着色剤粒子分散液に含まれる2つの極性のイオン性界面活性剤(分散剤)の量のバランスを予めずらしておくことができる。例えば、硝酸カルシウム等の無機金属塩、もしくはポリ塩化アルミニウム等の無機金属塩の重合体を用いてこれをイオン的に中和し、樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加熱してコア凝集粒子を作製することができる。
次に、融合・合一工程において、凝集工程を経て得られた凝集粒子を、溶液中にて樹脂微粒子のガラス転移温度以上に加熱し、融合・合一することによりトナーを得る。
融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナーを、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナーを得る。
なお、洗浄工程は、帯電性の点から十分にイオン交換水による置換洗浄を施すことが好ましい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等が好ましく用いられる。更に乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、フラッシュジェット乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等が好ましく用いられる。
本発明のトナー製造に際し、乳化重合、顔料分散、樹脂微粒子、離型剤分散、凝集、またはその安定化などに用いる界面活性剤の例としては、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン系界面活性剤、またポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン性界面活性剤を併用することも効果的であり、分散のため手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
これらの更に具体的な製造方法については、実施例中で説明する。
本発明の樹脂を達成するための具体的な分子量調整手段としては、懸濁重合を利用して、分散剤存在する水媒体中で着色剤を含有するモノマー溶液を2段重合することで分子量の異なる樹脂のトナー粒子を混合する方法や、懸濁重合法で分散剤存在する水媒体中で複数の開始剤を併用して重合を行い樹脂を合成する方法、乳化凝集法により分子量の異なる2種以上の樹脂乳化粒子を凝集させた後に加熱して溶融する方法、懸濁造粒法により複数の異なる分子量分布の樹脂を溶媒中で混合した後に分散剤存在する水媒体中で造粒し、その後に溶媒除去する方法など、種々の合成方法が使用可能である。
より好ましい分子量調整手段はビニルモノマーを溶液重合にて重合した後に溶剤除去して低分子量のポリマーを得た後に、さらに、この低分子量樹脂をトナー材料に用いてトナーを形成することで達成する。
低分子量ビニル系樹脂としては、トナーとして使用可能なものなら特に限定するものではなく公知の樹脂が使用可能である。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂の低分子量成分を得る為のコモノマー及び、該低分子側成分を得る為のモノマーとしては、次のようなものが挙げられる。
例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、等のスチレン及びその誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等の不飽和ポリエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、沸化ビニル等のハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;ビニルナフタリン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸もしくはメタクリル酸誘導体;のビニル系モノマーが単独もしくは2つ以上で用いられる。
これらの中でもスチレン系共重合体、スチレンアクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
本発明において、トナーのTHF可溶成分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によるクロマトグラムの分子量分布は以下の条件で測定される。
[試料]
本願発明トナーの分子量測定試料は以下のようにして作成する。
20mLのTHF中にトナー試料を5mg入れ、振とう機(例えばヤマト化学製MODEL BT−25など)で、室温にて20分間振とうした後に12時間以上24時間以内室温にて静置する。その後、サンプル処理フィルタ(ポアサイズ0.45〜0.5μm,たとえば、マイショリディスクH−25−5 東ソー社製、エキクロディスク25CR ゲルマン サイエンス ジャパン社製など)を通過させたものを、GPCの試料とする。
[GPC測定装置]
GPC測定装置において、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数(リテンションタイム)との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば東ソー社製或いは昭和電工社製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
GPCの分子量分離用カラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のshodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807,808Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(Hxl),G2000H(Hxl),G3000H(Hxl),G4000H(Hxl),G5000H(Hxl),G6000H(Hxl),G7000H(Hxl),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
得られた分子量分布において、分子量2000以上を積算し、本願のM10、M30、M50、M70、M90を求めた。さらに、得られた値を10を底とする対数の値から、各々の関係を求めた。
本発明のトナーの分子量2000以上の領域において、本発明の好ましい関係を満たす達成手段は特に限定されないが、例えば、複数種の開始剤を用いる重合反応や、低分子ポリマー存在下で重合を行うような多段回の重合反応、あるいは、重合反応後に主鎖切断することで低分子化するような分子量調節手段も使用可能である。これらの中で、分子量のコントロールが比較的容易で、且つ、実用的な手段としては低分子ポリマー存在下で重合を行うような多段回の重合反応がより好ましく使用される。
低分子ポリマー成分の具体的な製造方法としては、公知の合成方法が使用可能である。中でも好ましくは、ラジカル重合法やアニオン重合法、カチオン重合法などの公知のビニル系ポリマー重合方法が使用可能である。また、脱水や脱アルコール、脱塩酸等の重縮合反応によるエステル化反応を使用するポリエステル合成反応方法も使用可能である。さらに、ポリエステル反応性記官能基とビニル重合可能なビニル結合を分子中に有するモノマーを用いたポリエステル成分とビニル成分のブロック重合体やグラフト重合体を生成する公知の重合方法も使用可能である。更に好ましくは、ラジカル重合法である。
ラジカル重合法での低分子量成分を合成する具体的な方法としては、好ましくはモノマー及び生成ポリマーを溶解する溶液中での溶液重合や、重合中の温度を高温側で制御し連鎖移動反応を積極的に行うことで低分子量成分を合成する連鎖移動重合、低分子量から高分子量まで複数回にわけて、それぞれ公知の方法で合成した後、同一有機溶媒の溶液として再沈させる方法が挙げられる。また、混合溶液の溶媒を留去して混合する方法も挙げられる。また、まずある分子量の成分を合成後にとりださず、次いで他の分子量成分を合成して同時にとりだす方法も可能である。また、トナーとして混練する際、種々の分子量の成分を別々に入れて混合する方法も挙げられる。
本願のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミネーションクロマトグラフィーで得られる結果と、そこでの本発明の範囲について図4を元に説明する。
図4は分子量2000以上におけるゲルパーミネーションクロマトグラフィーで得られる結果の一例である。微分分子量曲線と積分分子量曲線を表す。本願では、この積分分子量曲線の低分子量側からの積算値が10%に相当する分子量Mの自然対数値Log(M10)を算出しLog(M10)とする。さらに、30%、50%、70%、90%の値を読み、各々Log(M30)、Log(M50)、Log(M70)、Log(M90)とした。
本発明においてはスチレンモノマーがトナー中100ppm以下、好ましくは70ppm以下で、より好ましくは50ppm以下であることが、トナーの耐久性を維持するために好ましい。
残存スチレンモノマーが低減されることにより、印刷時に発生する臭気が抑制されるのはもちろんのこと、さらにトナー粒子がドラムに固着しにくくなり、フィルミング融着と言われる現象を起こしにくくなる。接触帯電系装置、接触転写系装置の場合は、特にこのフィルミングまたは融着が発生しやすいが、トナー中の残存スチレンモノマーを低減することによりこれらの現象も出にくくなる傾向にある。
本発明者らは、残存スチレンモノマーの低減により遊離外添剤の生成を抑制することが可能となり、その結果、部材融着が低減できることで現像スジの発生が低減することができることを見出した。
この理由は明確ではないが、残存スチレンモノマーは外添剤、特にシリカとトナー粒子を遊離させることに寄与していると考えられる。残存スチレンモノマーが減ることで、シリカの遊離が低減でき、現像スジに有利な結果になったものと考えられる。
トナー中の残存スチレンモノマーの定量はガスクロマトグラフを用いて例えば以下の方法により行う。
2.55mgのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を内部標準とし、100mlのアセトンを加えて内部標準品入り溶媒をつくる。次にトナー400mgを上記溶媒で10mlの溶液とする。30分間超音波振とう機にかけた後、1時間放置する。次に0.5μmのフィルターで濾過をする。打ち込み試料量は4μlとする。
ガスクロマトグラムの条件を以下に示す。
・キャピラリカラム{ジェイ アンド ダブル サイアンティフィック製(J&W Scientific)30m×0.249mm、DBWAX、膜厚0.25μm}
・検出器FID、窒素圧0.45kg/cm2
・インジェクション温度200℃、ディテクター温度200℃とし、カラム温度は50℃から5℃/1分の割合で30分間昇温する。
・検量線の作製
サンプル溶液と同量のDMF、アセトン溶液に対象となるモノマーを加えた標準サンプルについて同様にガスクロマトグラフ測定し、モノマーと内部標準品DMFの質量比/面積比を求める。
また、内部標準をトルエンとし、溶媒としてテトラヒドロフランを使用して、上記と同様にして求めることもできる。
本発明に係るトナー粒子は、水系媒体中で造粒されて製造されることを特徴とするトナー粒子である。
トナー粒子の具体的な製造方法としては、重合性単量体、架橋剤、重合開始剤、ワックス、ポリエステル樹脂、顔料、及び、その他の添加剤等を混合分散し、懸濁分散安定剤の存在下、水系中で懸濁重合することにより合成し、固液分離、必要に応じて乾燥の後分級を行う方法が挙げられる。その後、外添剤やキャリア粒子を必要に応じて外添することによって、本発明に用いられる現像剤を得ることが出来る。
前記懸濁分散安定剤の具体的な例としては、例えば無機系酸化物として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ、磁性体、フェライト等が挙げられる。
前記懸濁分散安定剤の具体的な例として、有機系化合物としては、例えばポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプン等が挙げられる。
これらの懸濁分散安定剤は、水相に分散させて使用される。これら懸濁分散分散剤は、重合性単量体100質量部に対して0.2〜10質量部を使用する事が好ましい。
トナー粒子の製造に関し、さらに具体的な達成手段については、実施例中に記載する。
前記離型剤には、公知のワックス成分が用いられる。このような離型剤によれば、定着時の離型性が向上する。ワックス成分としては、具体的に以下の化合物が挙げられる。
例えばシリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、低分子量ポリエチレン又は低分子量ポリプロピレンの如き脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等である。
これらのワックスを種々の方法により分別したワックスも、本発明に好ましく用いられる。また、分別後に酸価やブロック共重合、グラフト変性を行っても良い。
中でも好ましく用いられるワックスは、低分子量ポリプロピレン及びその副生成物、低分子量ポリエステル及びエステル系ワックス、脂肪族の誘導体である。
これらのうち、更に好ましいエステルワックスの代表的化合物の例をエステルワックスの一般構造式(1)〜(6)として以下に示す。
Figure 2007133215
(式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
Figure 2007133215
(式中、a及びbは0〜4の整数を示し、a+bは4であり、R1は炭素数が1〜40の有機基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
Figure 2007133215
(式中、a及びbは0〜3の整数を示し、a+bは3以下であり、R1及びR2は炭素数が1〜40の有機基を示し、且つR1とR2との炭素数差が10以上である基を示し、R3は炭素数が1以上の有機基を示し、n及びmは0〜15の整数を示し、nとmが同時に0になることはない。)
1COOR2 (4)
(式中、R1及びR2は炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、且つR1及びR2は、お互いに同じでも異なる炭素数の炭化水素基でもよい。)
1COO(CH2nOOCR2 (5)
(式中、R1及びR2は炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは2〜20の整数であり、且つR1及びR2は、お互いに同じでも異なる炭素数の炭化水素基でもよい。)
1OOC(CH2nCOOR2 (6)
(式中、R1及びR2は炭素数が1〜40の炭化水素基を示し、nは2〜20の整数であり、且つR1及びR2は、お互いに同じでも異なる炭素数の炭化水素基でもよい。)
これらのワックスは、定着時の離型性の向上を達成するために、トナー粒子中に一般的に、トナー粒子100質量部に対して4〜25質量部、より好ましくは5〜20質量部が使用される。ワックス成分が4質量部未満の場合、ワックスとしての離型効果がほとんど発揮できないことがある。また、ワックス成分が27質量部よりも多いと、トナーの離型性は満足されるものの、トナーの現像性が悪化し、現像スリーブや静電潜像担持体表面にトナーが融着するといった弊害を生じやすくなるため好ましくない。
前記着色剤には公知の着色剤を使用することができる。着色剤としては、従来より知られている無機、有機の染料及び顔料がある。具体的には次の様なものが挙げられる。
イエロー用着色剤(顔料)の具体例としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が用いられる。さらに具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、191、C.I.バットイエロー1、3、20等が挙げられる。また、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ等も使用することができる。
イエロー用着色剤(染料)の具体例としては、C.I.ソルベントイエロー9、17、24、31、35、58、93、100、102、103、105、112、162、163、C.I.ディスパースイエロー42、64、82、160、201、224等が使用できる。
マゼンタ用着色剤(顔料)の具体例としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。
さらにマゼンタ用着色剤(染料)としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ディスパースバイオレット1等の油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40等の塩基性染料、C.I.アシッドレッド1、C.I.ダイレクトレッド1、4、C.I.モーダントレッド30等が挙げられる。
シアン用着色剤(顔料)の具体例としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、16、17、C.I.ベーシックブルー3、5、C.I.バットブルー6、C.I.ダイレクトブルー1、2、C.I.アシッドブルー9、15、45、C.I.モーダントブルー7、又は銅フタロシアニン顔料等がある。
黒用着色剤(顔料)の具体例としては、カーボンブラック、アリニンブラック、アセチレンブラック、オイルブラック等がある。
また、上記着色剤の他に、チタンホワイト、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、6、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG、クロムグリーン、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。このような着色剤を用いて、前述した着色剤以外の色のトナーを構成することも可能である。
前記着色剤は、単独で、あるいは組み合わせて使用することができ、通常、電子写真特性的観点、及び透過性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、0.5〜60質量部、好ましくは3.0〜20質量部使用される。
また、これらのモノカラートナーの混ぜ合わせによりフルカラー画像を形成することが可能になる。本願では、例えば、モノカラートナーの混ぜ合わせのような混色したトナーでの黒トナーの作製も可能である。
本発明のトナーは、帯電性及び製造安定性の観点からポリエステルを含有することが好ましい。ポリエステルは分子内のエステル結合で極性を有するので水系媒体中でのトナー製造においてこのような極性を有するポリエステルを添加することはトナーの球形化を促進するために好ましい。また、トナーの球形度が向上すると、トナーの摩擦帯電において摩擦される面が均一になることで、トナーの帯電性が良化し、画像濃度の安定したトナーが得られる。さらに、画像カブリも極めて少なくすることが可能になるため、トナー消費量の少ないトナーが得られるものである。
さらに、より好ましいポリエステルとしては、芳香族カルボン酸チタン化合物を含有することが帯電性の安定化に効果があることを見出した。この理由としては定かではないが、ポリエステル樹脂内に存在する芳香族カルボン酸チタン化合物の部分で過剰に帯電した電子の一部が保持され、さらに摩擦帯電時に他のトナー粒子表面にこの電子の一部が移り帯電性を均等にする効果があるのではないかと考えている。特に、チタン金属酸化物構造は、トナーを構成する材料に対して、化学ポテンシャル的に適当な位置に属しており、これが上述の如きトナー粒子間の電子授受を可能にするものではないかと考えている。この帯電安定化メカニズムについては未だ解明できていないが、ポリエステル樹脂内にチタン金属酸化物構造が存在する場合に帯電安定性が向上していることから、何らかの類似のメカニズムが存在するものと考えられる。
従って、本願の分子量分布を有するトナーがチタン金属酸化物構造を有するポリエステル樹脂を含有する場合は、従来の特性よりもトナーの円形度と粒度分布が安定化し、さらに摩擦帯電が安定化することで、カブリが少なく、トナー消費が良好で画像濃度が高くて安定なトナーが得られるものである。
さらに、このような構成を懸濁重合として使用した場合、表層にポリエステル樹脂を持つ球形トナーが得られることになる。この場合、長期の耐久性に優れた良好なトナーが得られるものとなる。
本願で好ましいポリエステル樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分を縮合して構成される公知のポリエステル樹脂を用いることができる。
前記ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分とカルボン酸成分とは、トナーを構成する可能性のあるものなら特に限定することなく、公知のものを使用することができる。
具体的な前記アルコール成分としては、ジオール、三価以上のポリオール及びその低級アルカン酸エステル(酢酸エステル等)等が挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ドデカンジオール等のアルキレングリコール;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のアルキレンエーテルグリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF等の脂環式ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のビスフェノール類;上記脂環式ジオールのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、α−オレフィンオキシド等の、上記脂環式ジオールの炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物;上記ビスフェノール類のエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、α−オレフィンオキシド等の、上記ビスフェノール類の炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物;等が挙げられる。
アルキレンオキシドの付加モル数は通常1〜10モル、好ましくは1〜5モルである。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜18のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物、脂環式ジオールであり、さらに好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物、水素添加ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールF、及びこれらと他の少量のジオールの併用であり、特に好ましいものはビスフェノール類のエチレンオキシド付加物、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加物及びこれらと他の少量のジオールの併用である。
三価以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の、三から八価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール;トリスフェノールPA等のトリスフェノール類;フェノールノボラック、クレゾールノボラック等のノボラック樹脂;上記トリスフェノール類の炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物;上記ノボラック樹脂の炭素数2〜18のアルキレンオキシド付加物;等が挙げられる。
アルキレンオキシドの付加モル数は通常1〜10モル、好ましくは1〜5モルである。これらのうち好ましいものは、三から八価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール及びノボラック樹脂のアルキレンオキシド付加物であり、特に好ましいものはノボラック樹脂のアルキレンオキシド付加物である。
前記カルボン酸成分としては、ジカルボン酸、三価以上のポリカルボン酸及びその酸無水物、又は前記ポリカルボン酸とメチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、エチレングリコールエステル等との低級アルコールのエステル等が挙げられる。これらのうち、ジカルボン酸、その酸無水物、及びこれらと少量の他のポリカルボン酸の併用が好ましい。
ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、ダイマー酸等のアルキレンジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸等のアルケニレンジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;等が挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸、炭素数4〜50のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸及びこれらの併用であり、さらに好ましいものは、炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸、及びこれらと炭素数4〜50のアルキレンジカルボン酸の併用であり、より好ましいものは、炭素数16〜50のアルケニルコハク酸、テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらの併用であり、特に好ましいものはテレフタル酸、マレイン酸及びフマル酸である。
三価以上のポリカルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸;スチレン/マレイン酸共重合物、スチレン/アクリル酸共重合物、α−オレフィン/マレイン酸共重合物、スチレン/フマル酸共重合物等の不飽和カルボン酸のビニル重合物;等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸であり、特に好ましいものはトリメリット酸である。
また、上記アルコール成分とカルボン酸成分とともにヒドロキシカルボン酸を共重合することによって前記ポリエステル樹脂を構成することもできる。ヒドロキシカルボン酸としては、ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油脂肪酸等が挙げられる。
前記ポリエステル樹脂の酸価AVは、通常3〜35mgKOH/gであり、好ましくは4〜30mgKOH/g、さらに好ましくは5〜26mgKOH/gである。酸価が小さい方が環境安定性が向上するが、適度の酸価を有している方が帯電の立ち上がりが向上するとともに、着色剤の分散が良化する。また、適度の酸価を有するポリエステル樹脂を使用することで、トナー粒子の製造方法の一種である懸濁重合法における造粒時の造粒性が向上するため好ましい。
前記ポリエステル樹脂の水酸基価OHVは、好ましくは5〜40mgKOH/gであり、より好ましくは8〜35mgKOH/gである。水酸基価OHVが5よりも小さいと、帯電の立ち上がりが悪くなり、画像濃度が低下することがあり好ましくない。一方、水酸基価OHVが40よりも大きいと、画像形成で帯電部材を汚染しやすくなることがあるため好ましくない。
また前記ポリエステル樹脂は、酸価と水酸基価との和(AV+OHV)が3〜70mgKOH/gであることが、トナー粒子の製造方法の一種である懸濁重合法における造粒時のトナー粒径を安定化する観点から好ましく、5〜50mgKOH/gであることがより好ましい。
前記ポリエステル樹脂の酸価(AV)、及び、水酸基価(OHV)の測定方法としては、JIS K0070「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に準じて行うことができる。また、前記ポリエステル樹脂の酸価や水酸基価は、ポリエステル樹脂におけるアルコール成分とカルボン酸成分の比率や、使用するアルコール成分及びカルボン酸成分の種類、製造時における反応条件等によって調整することができる。
前記ポリエステル樹脂における前記アルコール成分と前記カルボン酸成分の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.4/1〜1/1.4である。三価以上のポリオール及び三価以上のポリカルボン酸の比率は、必要とされるポリエステルの軟化点、分子量によって適宜選択することが可能である。
前記ポリエステル樹脂は、定着性と保存安定性を両立し、且つ、現像特性を良好に保つ観点から、ガラス転移温度Tgが50〜90℃であることが好ましく、55〜70℃であることがより好ましい。
ガラス転移温度Tgが50℃よりも低いと、トナーの熱安定性が悪くなり、保存中のトナーの変形や変質を生じてしまい、転写性の悪化や現像性の悪化といった問題を生じることがあり好ましくない。また、ガラス転移温度Tgが90℃よりも高いと、トナーの定着性に悪影響を与えることがあり好ましくない。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgを50〜90℃にする具体的な方法としては、ポリエステル樹脂を構成する酸成分とアルコール成分を適宜選択し、さらに、反応時の触媒や反応条件をコントロールすることで達成できる。さらに具体的な方法については、実施例中に記載する。
前記ポリエステル樹脂のガラス転移点は、公知の示差走査熱量計によって測定することができる。より具体的には、示差走査熱量計DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いて、温度速度10℃/minでASTM(D3418−82)の温度設定パターンに準じて測定することができる。ガラス転移温度Tgは、二度目の昇温時のDSCカーブより、吸熱ピーク前の基線と吸熱ピーク後の基線との中線と、立ち上がり曲線との交点の温度である。なお、後述するバインダー樹脂及び本発明に用いられるトナー等の他の樹脂成分のガラス転移温度も同様に測定することができる。
前記ポリエステル樹脂は、GPCにより測定されるピーク分子量Mpが2,000〜50,000であることが好ましく、より好ましくは2,500〜30,000である。ポリエステル樹脂のピーク分子量Mpが2,000未満では、トナー化した時の粒子の熱安定性に問題がある。また、ポリエステル樹脂のピーク分子量Mpが50,000以上では、低温定着性に問題がある。ポリエステル樹脂のピーク分子量(Mp)測定は、GPCによるクロマトグラムで行うことが可能である。
トナーのポリエステル樹脂中に芳香族カルボン酸チタン化合物(a)を含有することにある。芳香族カルボン酸チタン化合物(a)を含有するポリエステル樹脂を有するトナーは、トナー粒子中における顔料の優れた分散性を示す。
前記ポリエステル樹脂に含有される芳香族カルボン酸チタン化合物(a)は、ポリエステル樹脂の縮合触媒として、又は、縮合促進添加剤として、あるいは、ポリエステル樹脂の性能改善として添加するものである。ここでの触媒とは、反応においてそのものは反応しないが、そのものが存在することで系の反応を触発するものを指すものである。また、縮合促進添加剤とは、縮合反応の触媒作用をさらに活性化する助触媒を指すものである。
本発明で用いられる芳香族カルボン酸チタン化合物(a)は、芳香族カルボン酸(b)とチタンアルコキシド(c)とが反応したものであることが好ましく、芳香族カルボン酸(b)としては、二価以上の芳香族カルボン酸及び/又は芳香族オキシカルボン酸であることが好ましい。
芳香族カルボン酸の具体的な例としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の如きジカルボン酸類又はその無水物;トリメリット酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸の如き多価カルボン酸類又はその無水物;及びこれらのエステル化物;等が挙げられる。
芳香族オキシカルボン酸の具体的な例としては、サリチル酸、m−オキシ安息香酸、p−オキシカルボン酸、没食子酸、マンデル酸、トロパ酸等が挙げられる。
これらの中でも、特にイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ナフタレンジカルボン酸が好ましい。
また、チタンアルコキシド(c)としては、下記一般式(1)で示される化合物が好ましい。
Figure 2007133215
一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4は、炭素数1乃至20のアルキル基であり、それぞれ同一であっても、異なってもよく、また、置換基を有してもよい。nは1乃至10の整数を示す。更に、R1、R2、R3及びR4は、炭素数1乃至10のアルキル基であることが好ましい。
前記チタンアルコキシド(c)の具体的な例としては、チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラ−i−プロポキシド、チタンテトラ−n−プロポキシド、チタンテトラ−i−ブトキシド、チタンテトラ−n−ブトキシド、チタンテトラ−t−ブトキシド、チタンテトラペンチルオキシド、チタンテトラヘキシルオキシド、チタンテトラヘプチルオキシド、チタンテトラオクチルオキシド、チタンテトラノニルオキシド、チタンテトラデシルオキシド等が好ましい。
また、一般式(1)において、nが2乃至10のポリチタン酸エステルも好ましい。このようなチタンアルコキシド(c)としては、具体的には、テトラ−n−ブチルポリチタネート、テトラ−n−ヘキシルポリチタネート、テトラ−n−オクチルポリチタネートが好ましい。
本発明に用いる芳香族カルボン酸チタン化合物(a)の具体的な製造方法について述べる。
脱水した芳香族カルボン酸(b)(例えばテレフタル酸等)に20〜100℃でチタンアルコキシド(c)(例えばチタン酸テトライソプロピル等)を加え、エステル交換反応により生成する低級アルコール(例えばイソプロパノール等)を常圧又は減圧下に留去することで、本発明に用いる芳香族カルボン酸チタン化合物(a)が得られる。また、エステル交換反応時に、ジオール等を加えることも良好な芳香族カルボン酸チタン化合物(a)を得る観点から好ましい。
芳香族カルボン酸(b)とチタンアルコキシド(c)との縮合時のモル比は、通常20/1〜1/1が好ましく、12/1〜2/1がより好ましい。
また、芳香族カルボン酸(b)とチタンアルコキシド(c)との反応の度合いについては特に限定するものではないが、チタンアルコキシド(c)の反応後の失活部分で生成する水酸基とチタンの比率は1/1以下であることが、トナーの帯電特性の観点から好ましく、さらに、1/3以下であることがより好ましい。なお、芳香族カルボン酸(b)とチタンアルコキシド(c)との反応の度合いについては常法により特定が可能である。
このようにして得られた芳香族カルボン酸チタン化合物(a)を用い、その存在下で、ポリエステル樹脂の原材料であるアルコール成分とカルボン酸成分とを縮合させることで、本発明に用いられる前記ポリエステル樹脂を得ることができる。
芳香族カルボン酸チタン化合物(a)の使用量は、ポリエステル樹脂を構成するアルコール成分及びカルボン酸成分の合計に対して、通常0.01〜3質量%、好ましくは0.05〜2質量%、さらに好ましくは0.1〜1質量%である。
本発明に用いられるトナーは、フロー式粒子像測定装置で計測されるトナーの個数基準の相当径−円形度スキャッタグラムにおける平均円形度が0.960〜0.995であることが、帯電性とクリーニング性の観点から好ましい。すなわち、トナーの平均円形度が0.960より小さいと、トナーの帯電性が悪化し、それに伴いトナーの転写性が悪くなり、画質の低下や転写中抜けが生じやすくなるために好ましくない。また、トナーの平均円形度が0.995より大きいと、現像性は良化するものの、ブレードクリーニング性が悪化し、接触帯電での帯電部材汚染が生じやすくなるために好ましくない。
本発明における円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、本発明ではシスメックス社製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定を行い、測定された粒子の円形度を下式(1)により求め、更に下式(2)で示すように測定された全粒子の円形度の総和を全粒子数で除した値を平均円形度と定義する。
円形度a=L0/L (1)
〔式中、L0は粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長を示し、Lは512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理した時の粒子像の周囲長を示す。〕
尚、「512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)」ということは、0.3μm四方の画素を縦横512個並べたものを測定の視野として用いたということである。
Figure 2007133215
〔式中、各粒子における円形度がaiであり、測定粒子数がmである。〕
本発明に用いている円形度はトナー粒子の凹凸度合いの指標であり、トナーが完全な球形の場合1.000を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度及び円形度標準偏差の算出に当たって、得られた円形度によって、粒子を円形度0.4〜1.0を0.010刻みで61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度及び円形度標準偏差の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度及び円形度標準偏差の各値と、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式によって算出される平均円形度及び円形度標準偏差の誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度であり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化の如きデータの取り扱い上の理由で、上述した各粒子の円形度を直接用いる算出式の概念を利用し、一部変更したこのような算出法を用いても良い。
さらに本発明で用いている測定装置である「FPIA−2100」は、従来、トナーの形状を算出するために用いられていた「FPIA−1000」と比較して、シースフロー(CCDカメラとストロボの間を試料溶液が流れる際のセルの厚み)の薄層化(7μm→4μm)及び処理粒子画像の倍率の向上、さらに取り込んだ画像の処理解像度を向上(256×256→512×512)によりトナーの形状測定の精度が上がっており、それにより微粒子のより確実な解析を達成している装置である。従って、本発明のように、より正確に形状を測定する必要がある場合には、より正確に形状に関する情報が得られるFPIA2100の方が有用である。FPIA−1000は、粒子の粒径が小さくなるほど、粒子の輪郭を正確に捉えることができなくなり、円形度としてより高い値、即ちより丸く測定される傾向があった。
測定の概略は、以下の通りである。
試料分散液は、フラットで扁平なフローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射され、その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。それぞれの粒子の2次元画像の投影面積及び投影像の周囲長から上記の円形度算出式を用いて各粒子の円形度を算出する。
円形度の具体的な測定方法としては、容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水10mlを用意し、その中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加えた後、更に測定試料を0.02g程度加え、均一に分散させる。分散させる手段としては、超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)を用い、2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、該分散液の温度が40℃以上とならない様に適宜冷却する。
トナー粒子の円形度測定には、前記フロー式粒子像測定装置を用い、測定時のトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなる様に該分散液濃度を再調整し、トナー粒子を1000個以上計測する。計測後、このデータを用いて、円相当径2μm未満のデータをカットして、トナーの平均円形度を求める。
また、円形度のバラツキを抑えるため、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールし、一定時間おきに、好ましくは2時間おきに2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
本発明のトナーは、本発明の効果が効果的に発現するためにトナーの重量平均粒径が3〜10μmが好ましく、更に4〜9μmであることが画質と耐久性の観点からより好ましい。
トナー粒子の重量平均径の調整は、水系媒体中でトナー粒子を調整する時の製造条件や、トナーの分級条件によって調整することができる。具体的な調整方法は、水系媒体中へのトナー構成成分の分散剤濃度、水系媒体のpH条件、撹拌条件、塩濃度、トナー構成成分と水系媒体の比率等を適宜制御することで目的の重量平均径を達成することが可能である。さらに、従来の風力分級によりさらに目的の重量平均径を達成することができる。また、複数の粒度分布を有するトナー粒子を混合し、目的の重量平均径を達成することも可能である。
トナーの重量平均粒径及び粒度分布は、粒径分析計コールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)等を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピューターPC9801(NEC製)を接続して測定することができる。測定用の電解溶液としては、例えば、電解液ISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)を使用することができる。
測定法としては、前記電解溶液100〜150ml中に、分散剤として0.1〜5mlの界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)と2〜20mgの測定試料とを加え、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、例えば前記コールターカウンターTA−II型により測定する。測定したトナーの体積、個数から、体積分布と個数分布とを算出し、重量平均粒径(D4)を求める。
前記トナー粒子には、前述した着色剤、離型剤、及び結着樹脂以外の他の成分を含有していても良い。このような他の成分には、トナーに配合させる公知の成分が用いられる。このような他の成分としては、例えばバインダー樹脂、荷電制御剤等が挙げられる。
本発明のトナーは、トナー中にテトラヒドロフラン(THF)溶媒に実質的に不溶なTHF不溶分を、トナー全体に対して5質量%未満で含有することが好ましく、さらに、3質量%未満含有することが定着性と現像弊害のバランスから好ましい。
本発明のトナー中に含有されるTHF不溶分を調整するために、以下に例示する公知の架橋性重合性単量体を含有することが好ましい。
架橋性重合性単量体としては、主として二個以上の重合可能な二重結合を有する重合性単量対が用いられる。架橋性重合性単量体の具体例としては、ジビニルベンゼン、ポリエステル型ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
このような架橋性重合性単量体をトナー粒子の製造時に原料として用いると、架橋された樹脂がトナー粒子中に形成されTHF不溶分となる。これら架橋剤の量を適宜用いて、トナー中に含有されるTHF不溶分を調整することができる。
本発明でのTHF不溶分は以下のように測定される。
樹脂又はトナーのサンプル0.5〜1.0g(W1)を秤量し、円筒濾紙(例えば東洋濾紙製No.86R)にいれて、ソックスレー抽出器にかけ、溶媒としてTHF100〜200mlを用いて6時間抽出し、抽出された可溶分をエバポレートした後、100℃で数時間真空乾燥し、THF可溶樹脂成分量(W2)を秤量する。さらに、顔料のごとき樹脂成分以外の不溶成分の質量(W3)を別途測定しておく。THF不溶分の含有率は、下記式から求められる。
THF不溶分(%)=[(W1)−(W2)−(W3)]/(W1)×100
本発明に用いられる樹脂成分を得るための重合開始剤は、目的の分子量を得るものであれば特に限定するものではなく、公知の過酸化物系開始剤や、アゾ系開始剤が使用可能である。
具体的には過酸化物系開始剤の例として、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、クミンパーピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バリレート、ジクミルパーオキサイドなど及びこれらの誘導体が挙げられる。
また、アゾ系及びジアゾ系開始剤の例として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)など及びこれらの誘導体が挙げられる。
これら重合開始剤は、単独で使用してもよく、また複数併用して使用しても良い。
これらの重合開始剤の量としては、バインダー樹脂の分子量が適当になるような量を適宜選択するものとする。これら重合開始剤の具体的な使用量は重合性単量体100質量部に対し、0.05質量部〜15質量部、より好ましくは0.5質量部〜10質量部である。
本発明のトナーは、帯電性を制御する目的で荷電制御剤を含有することが好ましい。
トナーを負荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。また、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、ケイ素化合物、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル−スルホン酸共重合体、ノンメタルカルボン酸系化合物等が挙げられる。
トナーを正荷電性に制御するものとして下記物質がある。例えば、ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドなどのジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートなどのジオルガノスズボレート類;これらを単独で或は2種類以上組合せて用いることができる。これらの中でも、ニグロシン系、4級アンモニウム塩の如き荷電制御剤が特に好ましく用いられる。
これらの荷電制御剤は、樹脂成分100質量部に対して、0.01〜20質量部(より好ましくは0.5〜10質量部)使用するのが良い。
本発明に用いられるトナーには、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の目的で、外添剤をトナー粒子に外添する。外添剤の具体的な例としては、シリカ微粉末、疎水化シリカ微粉末、各種樹脂粒子、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらを単独で、あるいは複数を併用して用いることが好ましい。
前記外添剤の微粉末は、必要に応じ、疎水化及び帯電性コントロールの目的で、表面処理剤で処理することが好ましい。表面処理剤の具体例としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で、あるいは混合して使用しても良い。
本発明に好適に用いられる外添剤の微粉末は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が20m2/g以上(特に30〜400m2/g)の範囲内のものである。使用量としては、トナー粒子100質量部に対して外添剤が0.01〜8質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部であることが好ましい。
更に公知の滑剤粉末をトナーに添加しても良い。滑剤粉末としては例えばテフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデンの如きフッ素樹脂;フッ化カーボンの如きフッ素化合物;ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩;脂肪酸、脂肪酸エステルの如き脂肪酸誘導体;硫化モリブデンが挙げられる。
更に次に示す公知の無機粉体を添加することも好ましい。このような無機粉体としては、例えばマグネシウム、亜鉛、アルミニウム、セリウム、コバルト、鉄、ジルコニウム、クロム、マンガン、ストロンチウム、錫、アンチモンの如き金属の酸化物;チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウムの如き複合金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウムの如き金属塩;カオリンの如き粘土鉱物;アパタイトの如きリン酸化合物;炭化ケイ素、窒化ケイ素の如きケイ素化合物;カーボンブラックやグラファイトの如き炭素粉末が挙げられる。
本発明で好適に用いられる前記外添剤の外添方法としては、公知の外添方法が使用可能である。特に好ましくは、機械的に乾式混合する方法で、具体的には、ヘンシェルミキサーやナウターミキサーを用い、本発明のトナー粒子と外添剤を乾式混合する方法が使用可能である。
本発明のトナーを現像剤として用いる画像形成方法は、電子写真方式の画像形成装置であれば限定するものではない。より好ましくは、静電潜像担持体を一次帯電し、露光により潜像形成し、形成した潜像を現像部で顕像化し、その像を被転写材上に転写し、熱及び圧力により定着画像を形成する電子写真方式のトナーとして使用するものである。
本発明のトナーの現像方式は、一成分、及び、二成分現像剤のいずれでの使用も可能であり、また、トナー粒子も着色材、磁性体の使い方を操作して、磁性トナーとして、あるいは、非磁性トナーとして使用可能である。また、種々の着色剤を選択することで、フルカラートナーとしても使用可能である。
本願発明のトナーを非磁性一成分トナーとして使用する例を説明する。
図1及び2は本発明に適用される現像装置の一例である。図1及び2において、現像装置4は、一成分現像剤として非磁性トナー8を収容した現像容器14と、現像容器14内の長手方向に延在する開口部に位置し潜像担持体1と対向設置されたトナー担持体5とを備え、潜像担持体1上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。
トナー担持体5は、上記開口部にて図に示す右略半周面を現像容器14内に突入し、左略半周面を現像容器14外に露出して横設されている。この現像容器14外へ露出した面は、現像装置4の図中左方に位置する潜像担持体1に当接(図1)しているか、またはわずかな微小間隔を有して(図2)対向している。
実施例ではトナー容器14内にトナー8を充填し評価に用いた。トナー8はトナー撹拌16によってスポンジ状のトナー供給ローラ6に供給される。トナー供給ローラ6は現像ローラ5に圧接して逆方向に回転するよう配置されており、現像ローラ5とトナー供給ローラ6のニップ部分でトナー8を現像ローラ5上に供給する役目をするものである。トナー供給ローラ6により、供給された現像ローラ5上のトナーは、現像ローラ5上に圧接するよう配置された規制ブレード7によってトナー層厚が規制されると同時に摩擦帯電を受けて一定の電荷を付与される。
トナー担持体5は矢印B方向に回転駆動され、またその表面は、トナー8との摺擦確率を高くし、かつ、トナー8の搬送を良好に行うための適度な凹凸を有している。トナー担持体5は、潜像担持体に非接触で用いる場合(図2)は、一例として、直径16mmのアルミニウム製スリーブ表面にガラスビーズ(#600)による定形ブラスト処理を施し、表面粗さRzが約3μmとしたものを用い、潜像担持体1との間隙が300μmになるように対向させる。またトナー担持体5を潜像担持体に当接させて用いる場合(図1)は、弾性ローラーを用いることができる。
トナー担持体5を潜像担持体に当接させて用いる場合(図1)について、以下に詳細説明する。
トナー担持体5の上方位置には、SUS等の金属板や、ウレタン、シリコン等のゴム材料または、バネ弾性を有するSUSまたはリン青銅の金属薄板を基体とし、トナー担持体5への当接面側にゴム材料を接着したもの等からなる規制部材7が、ブレード支持板金15に支持され、自由端側の先端近傍をトナー担持体5の外周面に面接触にて当接するように設けられており、その当接方向としては、当接部に対して先端側がトナー担持体5の回転方向上流側に位置するいわゆるカウンター方向になっている。
トナー規制部材の一例としては、厚さ1.0mmの板状のウレタンゴムをブレード支持板金15に接着した構成で、トナー担持体5に対する当接圧を、22.5〜34.3N/m(23〜35g/cm)(線圧の測定は、摩擦係数が既知の金属薄板を3枚当接部に挿入し、中央の1枚をばねばかりで引き抜いた値から換算した。)に設定したものである。
弾性ローラーは、一例として、NBRの基層にエーテルウレタンを表層コートした、直径16mm、表面粗さRzが5〜10μm、抵抗が104〜108Ωの弾性ローラーを用いることができる。弾性ローラー6はトナー担持体5へのトナー8の供給および未現像トナーの剥ぎ取りを行うため、トナー規制部材7のトナー担持体5表面との当接部に対しトナー担持体5の回転方向上流側に当接され、かつ回転可能に支持されている。
図1におけるトナー帯電ローラー20はNBR、シリコーンゴム等の弾性体であり、押圧部材21に取り付けられている。そしてこの押圧部材21によるトナー帯電ローラー20のトナー担持体5への当接荷重は0.49〜4.9N(50〜500gf)に設定した。トナー帯電ローラー20の当接により、トナー担持体5上のトナー層は細密充填され均一コートされる。弾性ブレード7とトナー帯電ローラー20の長手位置関係は、トナー帯電ローラー20がトナー担持体5上の弾性ブレード7当接全域を確実に覆うことができるように配置されるのが好ましい。
またトナー帯電ローラー20の駆動については、トナー担持体5との間は従動または同周速が必須であり、トナー帯電ローラー20、トナー担持体5間に周速差が生じるとトナーコートが不均一になり、画像上にむらが発生するため好ましくない。
トナー帯電ローラー20のバイアスは、電源18によってトナー担持体5と潜像担持体1の両者間に印加された直流、または直流を重畳した交流電圧(現像AC電圧)を分岐した放電開始電圧以上の電圧で印加されており、トナー担持体5上のトナー8はトナー帯電ローラー20より、放電によって電荷付与を受ける。
トナー帯電ローラー20のバイアスは、トナー担持体5に対して600〜2000Vの電位差が生じるように設定される。
トナー帯電ローラー20による帯電付与を受けた後、トナー担持体5上に薄層形成されたトナー層は、一様に潜像担持体1との対向部である現像部へ搬送される。
この現像部において、トナー担持体5上に薄層形成されたトナー層は、電源18によってトナー担持体5と潜像担持体1の両者間に印加された直流バイアス、または図2に示すように直流を重畳した交流バイアスによって、潜像担持体1上の静電潜像にトナー像として現像される。
以下、本発明を具体的に説明するが、これは本発明をなんら限定するものではない。尚、以下の配合における部数は全て質量部である。
低分子量樹脂成分(1)の製造例
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけたガラス製4リットルの4つ口フラスコを油浴槽内に設置した。これに下記組成物を充填した。
・キシレン 500部
・スチレン 60部
・メタクリル酸メチル 40部
・1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル) 10部
このフラスコを撹拌装置により150rpmにて撹拌しながら、油浴槽の温度を70〜80℃に段階的に調整し10時間反応させ重合を行った。
反応後、得られた内容物をエバポレータにより溶剤除去し、メタノール中に沈殿させ低分子樹脂を精製した。得られた低分子量樹脂(1)の分子量を測定したところ、Mwで3200であった。
低分子量樹脂成分(2)の製造例
撹拌機能を有するオートクレーブ内に2Lの反応容器を設置した。これに下記組成物を充填した。
・キシレン 300部
・スチレン 60部
・ブチルアクリレート 40部
・1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル) 14部
この反応容器を撹拌しながら、0.1mPaにて加圧しながら80℃に調整し5時間反応させ重合を行った。
反応後、得られた内容物をエバポレータにより溶剤除去し、メタノール中に沈殿させ低分子量樹脂を精製した。得られた低分子量樹脂(2)の分子量を測定したところ、Mwで3500であった。
低分子量樹脂成分(3)の製造例
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけたガラス製4リットルの4つ口フラスコを油浴槽内に設置した。これに下記組成物を充填した。
・キシレン 300部
・αメチルスチレン 60部
・ブチルアクリレート 40部
・1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル) 14部
このフラスコを撹拌装置により150rpmにて撹拌しながら、油浴槽の温度を70〜80℃に段階的に調整し10時間反応させ重合を行った。
反応後、得られた内容物をエバポレータにより溶剤除去し、メタノール中に沈殿させ低分子量樹脂を精製した。得られた低分子量樹脂(3)の分子量を測定したところ、Mwで3400であった。
ポリエステル樹脂の製造例1
[芳香族カルボン酸チタン化合物の製造例1]
温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内に置いたガラス製4リットルの4つ口フラスコに、イソフタル酸65.3部、エチレングリコール18.0部を混合し、温度100℃で溶解し、減圧し、脱水を行った。その後50℃に冷却後、窒素雰囲気下で、チタンテトラメトキシド17.2部を加えた。その後、減圧させ、反応生成物であるメタノールを留出し、芳香族カルボン酸チタン化合物(1)を得た。
[ポリエステル樹脂の合成例1]
冷却管、撹拌機及び窒素導入管を装着した反応槽中に、ビスフェノールAプロピレンオキシド2モル付加物694部、テレフタル酸303部及び芳香族カルボン酸チタン化合物(1)1部を入れ、230℃で窒素気流下において、生成する水を留去しながら12時間反応させた。次いで5〜20mmHg(6.7×102〜2.7×103Pa)の減圧下で反応させ、酸価が1になった時点で180℃に冷却し、無水トリメリット酸27部を加え、常圧で密閉して1時間反応させた。その後取り出してポリエステル樹脂(1)を得た。
ポリエステル樹脂(1)は淡黄褐色の樹脂であり、ガラス転移温度Tgは68℃、ピーク分子量は9500、ピーク分子量とTgの比は140℃-1であった。また、酸価は12mgKOH/g、水酸基価は17mgKOH/gであった。
ポリエステル樹脂の製造例2
[ポリエステル樹脂の合成例2]
ポリエステル樹脂の合成例1において、触媒を有機スズ系触媒(ブチルスズ系)とするほかは同様にしてポリエステル樹脂(2)を得た。
トナーの製造例(1)
下記の手順によって水系媒体中にて重合法トナーを作製した。
60℃に加温したイオン交換水900gに、リン酸マグネシウム3部を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、10,000rpmにて撹拌し、水系媒体を作製した。
また、下記処方をTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)に投入し、60℃に加温した後、用いて、9,000rpmにて撹拌し、溶解、分散した。
・スチレン 64部
・n−ブチルアクリレート 16部
・低分子量樹脂(1) 20部
・エステルワックス 8部
(ペンタエリスリトールステアレート、酸価4)
・C.I.ピグメントブルー15:3 8部
・ベンジル酸ホウ素錯体(日本カーリット:LR−147) 2部
・ポリエステル樹脂(1) 10部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物、Tg=65℃、Mw=10000、Mn=6000)
・ステアリン酸ステアリルワックス(DSCのメインピーク60℃) 15部
これに重合開始剤1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)2.5部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
前記水系媒体中に上記重合性単量体組成物を投入し、60℃,窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーを用いて8,000rpmで撹拌し、造粒した。
その後、プロペラ式撹拌装置に移して撹拌しつつ、2時間かけて70℃に昇温し、更に4時間後、昇温速度40℃/Hrで80℃まで昇温し、80℃で5時間反応を行った。その後、蒸留操作を行いスチレンモノマーを除去し反応を完了した。重合反応終了後、該粒子を含むスラリーを冷却し、スラリーの10倍の水量で洗浄し、ろ過、乾燥の後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子1を得た。
上記トナー粒子100部に対して、シリカ(アエロジル社製R972)1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して本発明のトナー(1)を得た。
得られたトナー(1)の分子量分布、残存スチレンモノマーを測定した結果を表1に示す。また、形状測定結果を表1に示す。
トナーの製造例(2)
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントイエロー74に変更する他はトナーの製造例(1)同様にしてトナー(2)を製造した。
トナーの製造例(3)
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3をC.I.ピグメントレッド122に変更する他はトナーの製造例(1)同様にしてトナー(3)を製造した。
トナーの製造例(4)
顔料をC.I.ピグメントブルー15:3をカーボンブラック(キャボット社製:リーガル330)に変更する他はトナーの製造例(1)同様にしてトナー(4)を製造した。
トナーの製造例(5)
離型剤をフィッシャートロプシュワックス(FT−100:日本精鑞)5部に、開始剤を2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル2.8部に変更するほかは、トナーの製造例(1)同様にしてトナー(5)を製造した。
トナーの製造例(6)
低分子量樹脂(1)に変えて、低分子量樹脂(2)を24部に、離型剤をパラフィンワックス(HNP−9:日本精鑞)22部に、開始剤を2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル2.8部に変更するほかは、トナーの製造例(1)同様にしてトナー(6)を製造した。
トナーの製造例(7)
低分子量樹脂(1)に変えて、低分子量樹脂(3)を24部に、離型剤をパラフィンワックス(HNP−6:日本精鑞)5部に、開始剤を2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル2.8部に変更した。更に、蒸留工程の時間をトナーの製造例(1)の7割にするほかは、トナーの製造例(1)同様にしてトナー(7)を製造した。
トナーの製造例(8)
低分子量樹脂(1)に変えて、低分子量樹脂(2)を28部に、離型剤の量を12部に、重合温度の昇温をトナーの製造例(1)の半分の時間にする他は同様にしてトナー(8)を製造した。
トナーの製造例(9)
低分子量樹脂(1)に変えて、低分子量樹脂(2)を28部に、離型剤の量を12部に、重合温度の昇温をトナーの製造例(1)の半分の時間にする他は同様にしてトナー(9)を製造した。
トナーの製造例(10)
低分子量樹脂(1)を使わず、且つ、開始剤を2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル4部に変更した。更に、蒸留工程の時間をトナーの製造例(1)の7割にするほかは、トナーの製造例(1)同様にしてトナー(10)を製造した。
トナーの製造例(11)
低分子量樹脂(1)に変えて、低分子量樹脂(3)を20部に、重合温度の昇温をトナーの製造例(1)の半分の時間にする他は同様にしてトナー(11)を製造した。
トナーの製造例(12)
低分子量樹脂(1)を使わず、且つ、開始剤を2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル)バレロニトリル4部に変更するほかは、トナーの製造例(1)同様にしてトナー(12)を製造した。
トナーの製造例(13)
低分子量樹脂(1)の量を30部にし、且つ、開始剤量を4.4部に変更した。さらに、離型剤を低分子量のポリエチレン(ハイワックス100P:三井化学)12部に変更した。更に、蒸留工程の時間をトナーの製造例(1)の7割にするほかは、トナーの製造例(1)同様にしてトナー(13)を製造した。
トナーの製造例(14)
(着色剤粒子分散液1の調製)
・青色顔料(C.I.ピグメントブルー):45部
・イオン性界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬):5部
・イオン交換水:200部
上記成分を混合し、ホモジナイザー(IKAウルトラタラックス)により10分間分散した後に、アルティマイザー(対抗衝突型湿式粉砕機:杉野マシン製)を用い圧力245Mpaで15分間分散処理を行い、着色剤粒子の中心粒径が462nmの着色剤粒子分散液1を得た。
(離型剤粒子分散液1の調製)
・ポリエチレンwax PW725(融点103C 東洋ペトロライト):45部
・カチオン性界面活性剤Neogen RK(第一工業製薬):5部
・イオン交換水:200部
上記成分を混合し95℃に加熱して、IKA製ウルトラタラックスT50にて十分に分散後、ホモジナイザーで分散処理し、離形剤粒子の中心粒径が200nm、固形分量が21%の離型剤粒子分散液1を得た。
次に、下記成分を丸型ステンレス製フラスコ中においてウルトラタラックスT50で十分に混合・分散した溶液を得た。
・樹脂微粒子分散液1:64部
・樹脂微粒子分散液2:16部
・着色剤粒子分散液1:45部
・離型剤粒子分散液1:36部
次いで、この溶液にポリ塩化アルミニウム0.4部を加えてコア凝集粒子を作製し、ウルトラタラックスを用いて分散操作を継続した。さらに溶液を撹拌しながら49℃まで加熱し、49℃で60分保持した後、ここに樹脂微粒子分散液1を緩やかに32部を追加し、コア/シェル凝集粒子を作製した。
その後、0.5Mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えて溶液のpHを5.6にした後、75℃まで加熱し5時間保持した。反応修了後に冷却し、加圧濾過とイオン交換水で洗浄を5回繰り返し行った後、固形分を乾燥させた後、分級によって粒子径を調整してトナー粒子を得た。
上記トナー粒子100部に対して、シリカ(アエロジル社製R972)1.5部をヘンシェルミキサー(三井三池社製)で混合して本発明のトナー(14)を得た。
トナーの製造例(15)〜(17)
着色剤をC.I.ピグメントブルーからC.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントイエロー74、カーボンブラック(キャボット社製:リーガル330)に代える以外は着色剤粒子分散液1と同様にして、着色剤粒子分散液2〜4を得た。
これらの着色剤粒子分散液2〜4を用いること以外は、トナーの製造例(14)と同様にしてトナー(15)〜(17)を得た。
得られたトナー(1)〜(14)の分子量分布、残存スチレンモノマーを測定した結果を表4に示す。また、形状測定結果を表1に示す。
さらに、比較製造例(1)〜(11)により比較トナー(1)〜(11)を得、その内容を表1に示した。
Figure 2007133215
〔実施例1〜17、比較例1〜11〕
トナーの基本的な粉体特性と保存安定性を調べる目的でトナーの製造例(1)〜(17)、トナーの比較製造例(1)〜(11)のトナーの粉体性能を評価し、後述の評価基準によって評価した。
各評価項目の目的と内容について説明する。
<耐ブロッキング性>
評価方法としては、評価対象サンプル5gを容器(例えばポリエチレン製50mL容量のポリカップ)内に入れる。その後所定の温度に所定時間保持して評価用のサンプルとする。
続いて、質量既知の100メッシュ上に該評価サンプルを乗せ、パウダーテスター(細川ミクロン社製)にて振幅1.2mm(ピーク間)の振動を30秒加える。振動完了後にメッシュ上に残留するトナー質量を求め、使用したサンプル量と質量比を算出し凝集性のレベルを以下の基準で判定した。
A:90%以上 非常に良い
B:80%以上90%未満 通常の問題ないレベル
C:70%以上80%未満 耐久性能に問題あり
D:60%以上70%未満 初期性能に問題あり
E:60%未満 現像できず問題あり
<流動安定性>
トナーの耐久性を低下させる原因の一つとして耐久中の現像器内でのトナーの物理的なシェアによる表面劣化があげられる。そこで、トナー表面の物理的な劣化を評価する目的でトナーの流動安定性を調査した。流動安定性が高いほど、耐久でのトナー劣化が低く、耐久画像弊害を発生し難いものと考えられる。
トナーの流動安定性A
外添後1日経過したトナーサンプルの凝集度(1)を測定した。さらに、外添後1日経過したトナーを容器内で激しく100回振とうしたトナーサンプルの凝集度(2)を測定した。
得られた凝集度A−(1)、凝集度A−(2)から、次式によりトナーの流動安定性Aを算出し、トナーの流動安定性Aのレベルを以下の基準で判定した。
{トナーの流動安定性A}={凝集度A−(1)}/{凝集度A−(2)}
A:0.95以上 流動安定性高く、トナー循環不良が発生しない。
B:0.90以上 0.95未満 通常の問題ないレベル
C:0.85以上 0.80未満 部分的なトナー循環不良を生じやすい
D:0.75以上 0.80未満 広い範囲でトナー循環不良を生じやすい
E:0.75未満 全体的な流動阻害を生じやすい
トナーの流動安定性B
トナーに対し機械的ストレスを与えたトナーを用意した。具体的には、後述の評価機Bのカートリッジ内にトナーを充填し、Dローラ周速が300rpmになるようモータで駆動し空回転させた。
空回転5分のトナーサンプルをトナー容器内から捕集し凝集度B−(1)を測定した。
空回転30分のトナーサンプルをトナー容器内から捕集し凝集度B−(2)を測定した。
得られた凝集度B−(1)、凝集度B−(2)から、次式によりトナーの流動安定性Aを算出し、トナーの流動安定性Bのレベルを以下の基準で判定した。
{トナーの流動安定性B}={凝集度B−(2)}−{凝集度B−(1)}
A:10未満 流動安定性高く良好。
B:10以上14未満 軽微な部材汚染を生じやすい
C:18以上14未満 部材汚染を生じやすい
D:26以上18未満 著しい部材汚染を生じやすい
E:26以上 流動安定性低く耐久性難あり
具体的な凝集度の測定方法としては、ホソカワミクロン(株)製のパウダーテスターを用い、試料5g(または2g)をはかり取り、該パウダーテスターの取扱説明書の手順にしたがって測定、算出した値を言う。
具体的な測定法としては、振動台に200メッシュ、100メッシュ、60メッシュの篩いを目開の狭い順に、即ち60メッシュ篩いが最上位にくるように200メッシュ、100メッシュ、60メッシュの篩い順に重ねてセットする。
このセットした60メッシュ篩い上に正確に秤量した試料5gを加え、振動台への入力電圧を21.7Vになるようにし、デジタル振動計の変位の値を0.130にし、その際の振動台の振幅が60〜90μmの範囲に入るように調整し(レオスタット目盛約2.5)、約15秒間振動を加える。その後、各篩い上に残った試料の重量を測定して下式に基づき凝集度を得る
Figure 2007133215
以上の結果を表2にまとめる。
Figure 2007133215
耐ブロッキング性が良好なトナーは、トナーの熱的な安定性が高いことが示唆される。このようなトナーは高温状態に放置された場合の粒子及び外添剤の安定性が高いことを表すものであり、このことはトナーの保存性及びトナーの流動安定性が良好であることを意味するものである。
さらに耐ブロッキング性が低いトナーは例えば連続使用中の現像容器内で何らかの要因で部分的にトナーに応力が集中した場合のトナー粒子の合一のされやすいトナーであることが考えられ、長期の耐久性維持は困難であると思われる。
このような耐ブロッキング性の結果から、本願の分子量分布と離型剤が適切な範囲であり、さらに、水系媒体中で製造されるトナーの形態をとることが、この耐ブロッキング性を向上し目的性能を達成するために必要であることがわかる。
また流動性Aは、現像器内でのトナーの物理的なシェアによる表面劣化の初期特性を評価するものである。トナーにかかる物理的なシェアとして、流動性Aでは、トナーの初期の摩擦帯電による凝集度変化を求める指標として求めた。この評価で、トナーの流動安定性Aが高いもの、すなわち、振とう前後の流動性変化が少ないトナーは、静電凝集変化が少ないものであり、このようなトナーは異常なチャージアップが起こらない。そのため、耐久でのトナーがトナー担持体や静電潜像担持体上に残留する、いわゆる「つれまわり現象」を抑制できることから、部材汚染や融着といった画像弊害が少ないことが示唆されるものである。
さらに、流動性Bは、トナーの耐久中の現像器内でのトナーの物理的なシェアによる表面劣化を評価する目的で行った調査である。流動性Bが低い値をとるトナーは、耐久中の流動性変化が低いことが示唆される。このような流動性Bが低いトナーは耐久中のカートリッジ内でのミクロな部分の凝集隗が生成しにくいものであり、部材融着物等の現像スジの発生が少ないトナーであることが示唆される。このような部材融着と流動性Bが相関する理由としては、トナー粒子と外添剤の状態が、耐久中の現像器内でのトナーの物理的なシェアに対して表面劣化しにくいものであることが考えられる。
本発明のトナーは、分子量分布と離型剤が適切な範囲であり、さらに、水系媒体中で製造されるトナーの形態をとることが、この流動性A、流動性Bを向上することが可能であり、目的性能を達成するために重要であることがわかる。
〔実施例18〜34、比較例12〜22〕
上記で得られたトナーを用い、下記の評価機Aにて定着試験及び耐久評価を行なった。
・画像評価機A
市販のLBP1310プリンター(図3)(キヤノン社製)を、図1に示す構造を有する非磁性一成分系現像剤が使用可能な現像器に改造した改造機を用いて、記録材上に未定着画像を形成した。このとき、トナーの載り量が、0.60mg/cm2になるように調整した。
記録材上に形成した未定着画像の定着は、市販のLBP−2510 キヤノン製のIHF型フィルム定着器を定着スピード150mm/secに設定し、定着温度をコントロールできるように改造した定着装置を用いた。記録材としては、市販用紙Xx4025(坪量:105g/m2)を用いた。
<擦り濃度低下>
定着開始温度の決定は、120℃から5℃おきに定着温度を変調して定着を行ない、得られた定着画像をシンボル紙で、5往復、約100g荷重で察し、画像のはがれを反射濃度の低下率(%)で相加平均して10%以下となった下限の温度とした。
A:150℃未満
B:150℃以上、155℃未満
C:155℃以上、160℃未満
D:160℃以上、165℃未満
E:165℃以上
<高温オフセット>
オフセット温度の決定は、記録材先端中央部に5cm×5cm面積のベタ画像(トナー量0.59〜0.61mg/cm2)を作像したものを通紙した。このとき記録材の通紙方向後端部に、ホットオフセット現象(定着画像の一部が定着器の部材表面に付着し、更に、次周回で記録材上に定着する現象)が生じた時点の定着加熱部表面の温度を測定し、ホットオフセット現象発生温度とし、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:190℃以上
B:185℃以上、190℃未満
C:180℃以上、185℃未満
D:175℃以上、180℃未満
E:175℃未満
<光沢度>
定着画像のトナーのり量を0.6g/cm2のベタ画像とし、プロセス速度を46mm/sのグロスモードにて180℃での定着を行い画像を得た。この定着画像の光沢度(グロス)ハンディ光沢度計グロスメーターPG−3D(日本電色工業製)を用いて、光の入射角75°の条件で測定し、トナーの光沢度のレベルを以下の基準で判定した。
A:80以上 光沢度が高く良好。
B:60以上80未満 実用可能
C:40以上60未満 実用限度
D:20以上40未満 光沢画像としては不足ぎみ
E:20未満 光沢度が明らかに低く問題がある
以上の結果を表3にまとめる。
Figure 2007133215
本発明の分子量分布と離型剤が適切な範囲でることが、光沢性と広い定着領域を達成するために必要であることがわかる。さらに、水系媒体中で製造されるトナーの形態をとることで優れた効果が得られることがわかった。
〔実施例35〜51、比較例23〜33〕
・画像評価機B
次に本実施例の画像評価に用いた評価機Bについて説明する。
評価には市販の非磁性一成分接触現像方式のインラインカラープリンタLBP−2510(キヤノン社製)を使用した。図1は、画像評価機Bカートリッジ部の拡大図である。なお、カートリッジの規制部材は、従来の樹脂コートブレードから樹脂部分を剥がしてリン青銅部材へ変更したものを使用した。
この画像形成装置を使用し、高温高湿環境(30℃、80%RH)にて画像形成試験を行った。評価用の転写材にはA4版の普通紙(PPCペーパー)を横向きに用い、評価耐久枚数はA4の2枚出力、3秒停止の間歇モードで10万枚とした。このときの印字率は2.5%とした。得られた画像を、以下の項目について、以下に示す基準により評価した。
<濃度>
10枚目のべた黒パターンのサンプル内の5点の濃度を測定し、平均値を求めた。画像の濃度は、反射濃度計RD918(マクベス社製)を用いて測定し、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度として表した。
A:非常に良好 濃度が1.5以上
B:良好 濃度が1.4以上1.5未満
C:可 濃度が1.25以上1.4未満
D:実用上問題なし 濃度が1.2以上1.25未満
E:不可 濃度が1.2未満
<カブリ>
「リフレクトメータ」(東京電色社製)により測定したプリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度との差からカブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。
A:非常に良好 1.0%未満
B:良好 1.0%以上、2.0%未満
C:実用可 2.0%以上、3.0%未満
D:実用難あり 3.0%以上、4.0%未満
E:実用不可 4%以上
<転写性>
図5(a)に示した「驚」文字パターンを厚紙(128g/m2)にプリントした際の文字の中抜け(図5(b)の状態)を10倍に顕微鏡拡大し、これを目視で評価した。
A:非常に良好(ほとんど発生せず)
B:良好(軽微)
C:実用可
D:実用難あり
E:実用不可(顕著)
<現像スジ>
耐久中に600dpiの解像度で2ドット3スペースのライン画像を出力し、この画像上に目視で現像スジの状況を確認した。なお耐久中で最悪の現像スジ品をそのサンプルの結果として、下記の基準で評価した。
A:スジなし
B:軽微なスジ有り。ほとんど気にならないレベル。
C:強いスジが1本以内有り。若干気になるが実用可能なレベル。
D:強いスジが3本以内有り。気になり実用可能なレベル。
E:強いスジが3本以上有り。実用不可能なレベル。
<ブレード付着>
耐久終了時の現像ブレードの汚染状態を目視にて確認し、下記の基準で評価した。
A:ブレード上に融着なし
B:ブレード上に無色で軽微な融着
C:ブレード上に無色の1mm以下の融着
D:ブレード上に有色の1mm以下の融着
E:ブレード上に有色の1mm以上の融着
以上の結果を表4に示す。
Figure 2007133215
このような評価結果が得られたことは、本発明の如き分子量分布と離型剤が適切な範囲でることが濃度、かぶり、転写性、ブレード付着といった、画像形成装置の耐久性に大きく関わり、本発明の範囲にコントロールすることでトナー性能が向上することを示している。さらに、トナーの形状をコントロールすることでさらに良好な結果になることがわかった。また、さらに、本発明の分子量分布を有するトナーがチタン金属酸化物構造を有するポリエステル樹脂を含有する場合は、従来の特性よりもトナーの円形度と粒度分布が安定化し、さらに摩擦帯電が安定化することで、カブリが少なく、トナー消費が良好で画像濃度が高くて安定なトナーが得られることも明らかになった。また、残存モノマーの少ない系や水系媒体中で製造されるトナーの形態がより好ましい結果となった。
〔実施例52、53、比較例34〕
フルカラーの耐久性を行い評価した。
画像形成装置として、画像評価機Bを、トナーとしてトナー製造例(1)〜(4)、トナー製造例(14)〜(17)、トナー比較製造例(3)〜(6)を使用し、常温低湿環境(23℃、5%RH)にて画像形成試験を行った。評価用の転写材にはA4版の普通紙を横向きに用い、評価耐久枚数はA4ヨコ送りで7万枚とした。得られた画像を、以下の項目について、以下に示す基準により評価した。
評価結果を表5に示す。
Figure 2007133215
以上の結果から、本発明の実施例によって、良好なカラー画像出力を長期にわたり安定に出力できることが明らかになった。また、光沢度が高い高品質画像が達成できるものである。これは、フルカラーの画像形成においても、本発明の分子量分布と離型剤が適切な範囲であり、さらに、水系媒体中で製造されるトナーの形態をとることが、実用的なフルカラーの画像形成を行う上で必要であることを示している。これは、現像器内のトナー搬送部材やトナー規制部材に対する融着を抑制する上で、本発明の如き分子量分布と離型剤が適切な範囲であり、さらに、水系媒体中で製造されるトナーの形態が必要であることを示しているものである。
さらに、トナーの形状をコントロールすることでさらに良好なフルカラー画像出力結果になることがわかった。また、本発明の分子量分布を有するトナーがチタン金属酸化物構造を有するポリエステル樹脂を含有する場合は、従来の特性よりもトナーの円形度と粒度分布が安定化し、さらに摩擦帯電が安定化することで、カブリが少なく、トナー消費が良好で画像濃度が高くて安定なトナーが得られることも明らかになった。
本発明に好適な接触型非磁性一成分画像形成装置の例を示す概略図である。 本発明に好適な非接触型非磁性一成分画像形成装置の例を示す概略図である。 本発明に好適な画像形成装置の概略図である。 本発明の分子量分布の例を示す概略図である。 本発明に用いられるトナーの転写を評価する画像例を示す概略図である。
符号の説明
1、59、100 a−Si感光体(静電潜像担持体)
2、60、117 接触帯電部材
3、123 レーザ光
4、62 現像装置
5、104 現像ローラ
6、141 トナー塗布ローラ
7、42、143 規制部材
8、142 トナー
9、63、114 接触転写部材
10、56、120a クリーニングブレード(ブレードクリーニング部材)
11、64 クリーニング装置
12、65、128 定着装置
13、51、127 転写材
14、40、140 現像容器
19 撹拌装置
30 制御部
31 サンプリング制御部
32 演算処理部
33 画像処理部
41 現像スリーブ
43、44 撹拌部材
45 トナー濃度検出手段
50 トナー容器
51 排出弁
52 給紙トレイ
53 排出トレイ
54 給紙ガイド
55、56 ローラ
57 搬送ベルト
58Y、58M、58C、58K 画像形成ユニット
61、121 露光装置
80 濃度検知装置
117a 弾性層
117b 芯金
120 廃トナー容器
124 転写残トナー
129 トナー像
131〜134 電源
300 堆積装置
301 反応容器
303 原料ガス導入管
302 ヒータ
312 導電性支持体
301a 蓋
304 凸部
305 原料ガス供給管
306 供給バルブ
307 排気管
308 メイン排気バルブ
309 真空計
310 サブ排気バルブ

Claims (11)

  1. 少なくとも、結着樹脂、着色剤、及び、離型剤を有するトナー粒子と無機微粉末からなるトナーであって、
    該トナー粒子は、水系媒体中で製造されたトナー粒子であり、
    該トナー粒子は、結着樹脂100質量部に対して離型剤を4〜25質量部含有するものであり、
    該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の分子量2000以上の領域において、下記式1、2、3の関係を満たすことを特徴とするトナー。
    0.5<Log(M30)−Log(M10)<1.0 (式1)
    0.2<Log(M90)−Log(M70)<0.5 (式2)
    20000<M50<60000 (式3)
    M10:低分子量からの分子量積分値で10%となる数基準の分子量値
    M30:低分子量からの分子量積分値で30%となる数基準の分子量値
    M50:低分子量からの分子量積分値で50%となる数基準の分子量値
    M70:低分子量からの分子量積分値で70%となる数基準の分子量値
    M90:低分子量からの分子量積分値で90%となる数基準の分子量値
    Logは常用対数を表す。
  2. 該トナーは、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により得られるポリスチレン換算の分子量2000以上の領域において、下記式1、2、3の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
    0.5<Log(M30)−Log(M10)<0.8 (式1)
    0.2<Log(M90)−Log(M70)<0.4 (式2)
    25000<M50<40000 (式3)
  3. 該トナーのTHF可溶分のゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により得られる分子量において、M50が25000乃至40000であることを特徴とする請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 該トナーの樹脂成分は、該樹脂成分の質量を基準として、トルエン不溶成分の含有量が5質量%未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のトナー。
  5. 該トナーは、平均円形度が0.960乃至0.995で、円形度標準偏差が0.040未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のトナー。
  6. 該トナーは、平均円形度が0.970乃至0.995で、円形度標準偏差が0.037未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のトナー。
  7. 該トナー粒子は、少なくともチタン化合物とポリエステルとを含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のトナー。
  8. 該トナーは、少なくともチタン化合物とポリエステルとビニル系重合体とを含有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のトナー。
  9. 該トナーをキシレン溶剤にて抽出したときの抽出物中に含まれるスチレンモノマーの含有量がトナー重量あたり5ppm乃至200ppmであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のトナー。
  10. 該離型剤は、エステルワックス、パラフィンワックス、フィッシャトロプシュワックスより選ばれる離型剤であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のトナー。
  11. 該トナー粒子は、水系媒体中で懸濁重合によって製造することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のトナー。
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