JP2007126697A - 複合材料及びその製造方法 - Google Patents

複合材料及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007126697A
JP2007126697A JP2005319373A JP2005319373A JP2007126697A JP 2007126697 A JP2007126697 A JP 2007126697A JP 2005319373 A JP2005319373 A JP 2005319373A JP 2005319373 A JP2005319373 A JP 2005319373A JP 2007126697 A JP2007126697 A JP 2007126697A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
semiconductor
composite material
aluminum oxide
porous aluminum
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005319373A
Other languages
English (en)
Inventor
Tetsuo Kono
哲夫 河野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2005319373A priority Critical patent/JP2007126697A/ja
Publication of JP2007126697A publication Critical patent/JP2007126697A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Catalysts (AREA)

Abstract

【課題】技術的に容易で、効率的な複合材料の製造方法を提供すること、及び、半導体と多孔質酸化アルミニウムとの密着性が高く安定性に優れ、且つ抗菌性に優れた複合材料を提供すること。
【解決手段】半導体源及び尿素を含む溶液と多孔質酸化アルミニウムとを接触させて、半導体を前記多孔質酸化アルミニウム上に析出させることを含むことを特徴とする複合材料の製造方法、及び、前記複合材料の製造方法により得られる複合材料。
【選択図】なし

Description

本発明は、半導体と多孔質酸化アルミニウムとを含んでなり、安定性に優れた、各種分野に好適な複合材料、及び、その効率的な製造方法に関する。
酸化チタン等の半導体は、400nm以下の波長の紫外線の照射を受けた場合、光触媒作用を有し、殺菌、脱臭、汚染物質の分解等の機能を発揮することが知られている。酸化チタンを例として先行技術を説明すると、酸化チタンからなる光触媒皮膜を形成して種々の用途に供するために、基材に酸化チタンを固定し、酸化チタンと基材との複合材料を製造する方法が数多く提案されているが、基材としてアルミニウム基材を適用する場合には、いずれの方法にも問題点がある。
例えば、粉末酸化チタンを無機系結合剤あるいは有機系結合剤により基材に固定する方法がある(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6参照)。
しかしながら、無機系結合剤で固定する方法においては、無機系結合剤の多くは水に溶解または懸濁させた状態で使用するため、水をはじいたりする基材には適用できず、また、基材の種類によっては結合剤自体の密着性が著しく劣り結合剤としての役割を果たさなくなる。
また、有機系結合剤による方法では、400nmの波長の紫外線を照射した場合、励起状態にある酸化チタンと接触している有機系結合剤は分解し、短期間で結合剤としての機能を失うという難点がある。
基材表面に酸化チタンを溶射する方法(特許文献7、特許文献8参照)、酸化チタン粒子の懸濁液(酸化チタンゾル)を基材に塗布し、焼成して固着させる方法(特許文献9、特許文献10、特許文献11参照)等も提案されている。
しかしながら、溶射法では1μm以下の薄膜を形成するのが難しく、基材の種類によっては、基材の外表面を劣化させてしまうことがあるという問題がある。
また、酸化チタンゾルを用いる方法においては、酸化チタンの厚みが大きくなり基材への密着耐久性が劣る傾向があり、また基材の意匠性も損なわれる。とくに、焼成温度が低い場合には基材との密着性がわるく、焼成温度が高い場合には、アルミニウム材料のように比較的低い温度で軟化する材料には適用し難い。
CVD法、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法等の気相法により酸化チタンを固定する方法も提案されているが、これらの方法においては設備が大規模となるため、製造コストが高くなり、また酸化チタンの付き回りもわるいため、単純な形状の基材にしか使用できないという問題点がある。
また、最終的に陽極酸化アルミナは除去してしまってシリンダー状の酸化チタン粒子を得ることを最終目的にした公知例の中に、酸化チタンを市販の陽極酸化膜上(表面及び孔内部)に、原料としてフッ化チタン(TiF)を用いて、水溶液中で直接析出させるという方法も報告されている(非特許文献1参照)。これは溶液析出法(LPD:liquid Phase Deposition)法と呼ばれ、水溶液中のフッ素イオンの消費と、それに引き続いて起こるフッ化物錯体の加水分解によって溶存種の濃度がゆっくり増えていくことにより、酸化チタンを析出させることができるというものである。しかしながら、フッ化チタンは、その安全性の観点から取扱いを避けることが望ましい。
特開平5−253544号公報 特開平7−60132号公報 特開平7−171408号公報 特開平7−265714号公報 特開平7−316342号公報 特開平7−232080号公報 特開平3−8448号公報 特開平6−210170号公報 特開平6−293519号公報 特開平6−205977号公報 特開平7−155598号公報 J.Mater.Chem.,1999,9,2971−2972
本発明は、従来の複合材料の製造方法における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、技術的に容易で、効率的な複合材料の製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、半導体と多孔質酸化アルミニウムとの密着性が高く安定性に優れ、且つ抗菌性を有する複合材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、本発明者らが鋭意検討を行った結果、半導体源及び尿素を含む溶液と、多孔質酸化アルミニウムとを接触させ、半導体を前記多孔質酸化アルミニウム上に析出させることにより、前記半導体と前記多孔質酸化アルミニウムとの密着性が高く安定性に優れ、且つ抗菌性を有する複合材料を得ることができる、という知見を得た。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 半導体源及び尿素を含む溶液と多孔質酸化アルミニウムとを接触させて、半導体を前記多孔質酸化アルミニウム上に析出させることを含むことを特徴とする複合材料の製造方法である。
<2> 半導体が酸化チタンである<1>に記載の複合材料の製造方法である。
<3> 多孔質酸化アルミニウムが金属アルミニウムの陽極酸化により得られる<1>から<2>のいずれかに記載の複合材料の製造方法である。
<4> 多孔質酸化アルミニウムが基体上に層状に存在する<1>から<3>のいずれかに記載の複合材料の製造方法である。
<5> 基体が金属アルミニウムである<4>に記載の複合材料の製造方法である。
<6> <1>から<5>のいずれかに記載の複合材料の製造方法により得られることを特徴とする複合材料である。
本発明によれば、技術的に容易で、効率的な複合材料の製造方法が提供される。また、本発明によれば、半導体と多孔質酸化アルミニウムとの密着性が高く安定性に優れ、且つ抗菌性を有する複合材料が提供される。
また、本発明によれば、半導体として光触媒作用を有するものを使用することにより、安定性に優れ、且つ抗菌性を有する光触媒機能性材料を提供することができる。
[本発明の複合材料及びその製造方法]
本発明の複合材料の製造方法は、半導体源及び尿素を含む溶液と、多孔質酸化アルミニウムとを接触させて、半導体を前記多孔質酸化アルミニウム上に析出させることを含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の処理を行うことを含む。
なお、本発明においては、前記半導体として光触媒作用を有するものを使用することにより、光触媒機能性材料を製造できることから、本発明の複合材料の製造方法を「光触媒機能性材料の製造方法」と称することがあり、本発明の製造方法により得られる複合材料を「光触媒機能性材料」と称することがある。
<半導体>
前記半導体としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、光触媒機能性材料を得るためには、光触媒作用を有するものが好ましい。このような半導体としては、例えば、特開平6−170360号公報に開示されているようなSrTiO、ZnO、CdS、SnO、RuO、CsSb、InAs、InSb、GaAs、TiO等が挙げられる。
これらの中でも、高い光触媒活性を示すという点から、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。
<半導体源及び尿素を含む溶液>
前記半導体源及び尿素を含む溶液としては、前記のような所望の半導体を析出することが可能な溶液であれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、所望の半導体の供給源となる半導体源及び尿素を溶解させた飽和水溶液等が挙げられる。
−半導体源−
前記半導体源としては、例えばHCl水溶液等の水溶液に溶解され、後述する半導体の析出工程において前記のような所望の半導体を析出させることが可能なものであれば特に制限はなく、適宜選択することができる。中でも、危険性の低いものを用いることが好ましく、例えば、前記酸化チタンを析出することが可能な半導体源としては、オキシ硫酸チタン等が挙げられる。
前記半導体源及び尿素を含む溶液における、前記半導体源の濃度としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、0.0001〜1Mが好ましく、0.0001〜0.1Mがより好ましい。この際、前記濃度が適切であるかどうかは、主としてpHによって変化する目的物質(半導体)の溶解度との兼ね合いで決まる。目的物質の溶解度をCs、前記半導体源の濃度をCとしたときに定義できる、過飽和度S=(Cs−C)/Cが大きすぎると早く沈殿反応(均一核生成)が進行してしまう。本発明のように、不均一核生成によって薄膜を合成するためには、比較的低い過飽和度を実現する必要がある。前記半導体源濃度が、0.0001M未満であると、目的物質の析出が起こらないことがあり、1Mを超えると、沈殿反応(均一核生成)がすぐに進行してしまうことがある。一方、前記半導体源濃度が前記より好ましい範囲内であると、基体上に、所望の目的物質を、必要な膜厚で析出させることができるという点で有利である。この際、膜厚が不足である場合には、同様の操作を必要に応じて繰り返してもよい。
−尿素−
また、前記半導体源及び尿素を含む溶液は、尿素を含むことを特徴とすることから、前記尿素がpH上昇剤の役割を果たし、不均一核生成により、前記半導体を前記多孔質酸化アルミニウム上に直接析出させることができる。
前記半導体源及び尿素を含む溶液における、前記尿素の濃度としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、前記半導体源濃度の、1〜400倍の濃度であることが好ましく、5〜400倍の濃度であることがより好ましい。前記尿素濃度が、前記半導体源濃度の、1倍未満であると、pHの上昇が非常に遅くなることがあり、400倍を超えると、基体上への析出(不均一核生成)よりも、沈殿反応(均一反応)の方がおこりやすくなってしまうことがある。一方、前記尿素濃度が前記より好ましい範囲内であると、基体上への析出(不均一核生成)が支配的になるという点で有利である。
−調製方法−
前記半導体源及び尿素を含む溶液の調製方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、まず、HCl水溶液に、前記好ましい範囲の半導体源濃度となるような量の半導体源を添加し、室温で溶解する。ここで、前記HCl水溶液のpHとしては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、0.1〜2が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。また、ここでの溶解時間としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、30〜90分が好ましく、45〜75分がより好ましい。
更に、得られた半導体源を含む溶液に、前記好ましい範囲の尿素濃度となるような量の尿素を添加し、室温で溶解することにより、前記半導体源及び尿素を含む溶液を調製することができる。ここでの溶解時間としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、15〜90分が好ましく、15〜60分がより好ましい。
<多孔質酸化アルミニウム>
前記多孔質酸化アルミニウムは、前記半導体が析出されるための基材として使用される。
本発明において、前記半導体は前記多孔質酸化アルミニウム上に析出されるが、ここで、「多孔質酸化アルミニウム上」とは、多孔質酸化アルミニウムの表面であれば、特に制限されるものではなく、前記多孔質酸化アルミニウムが有する小孔の内部表面、及び、前記多孔質酸化アルミニウムの小孔部分以外の表面、の少なくともいずれかを指すものとする。
前記多孔質酸化アルミニウムの調製方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、金属アルミニウムの陽極酸化によって好ましく得ることができる。前記陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成し得る種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、リン酸、シュウ酸、クロム酸、又はそれらの混酸が用いられる。前記電解質の濃度は、電解質の種類によって適宜決められる。前記陽極酸化後、得られた多孔質酸化アルミニウムは、十分に水洗されることが好ましい。
前記陽極酸化によれば、表面積が増大した多孔質酸化アルミニウムが得られることから、前記半導体の前記多孔質酸化アルミニウムへの析出量を多くすることができる点で、好ましい。
なお、例えば前記のような金属アルミニウムの陽極酸化により得られた多孔質酸化アルミニウムは、例えば、意匠性を高める目的から、電解着色法又は染色法により着色されてもよい。着色された多孔質酸化アルミニウムであっても、後述のような前記半導体の析出に問題無く使用することができる。
前記多孔質酸化アルミニウムが有する小孔のサイズとしては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、小孔の開口部の直径としては、40〜500nmが好ましく、50〜300nmがより好ましい。前記直径が、40nm未満であると、半導体が粒状に析出する場合、この粒子によって小孔が埋まってしまい、小孔内部への析出が起こらないことがあり、500nmを超えると、単位面積あたりの小孔の数が減少し、結果として、半導体の担持量が不足してしまうことがある。一方、前記直径が前記より好ましい範囲内であると、小孔の内部にも、もれなく半導体を析出させることができる点で有利である。
また、小孔の深さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記多孔質酸化アルミニウムの存在形態としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、取り扱いの容易さの点から、多孔質酸化アルミニウムは基体上に層状に存在していることが好ましい。
前記基体としては、特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、金属アルミニウム等が挙げられる。
また、前記基体の形状及びサイズとしても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記多孔質酸化アルミニウムを前記基体上に層状に存在させる方法としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、例えば、前記金属アルミニウムの表面を陽極酸化することにより、前記金属アルミニウム上に前記多孔質酸化アルミニウムを層状に形成する方法が好ましい。ここで、前記陽極酸化は、常法により行うことができる。
前記基体上に層状に存在する前記多孔質酸化アルミニウムの厚みとしては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、0.05〜50μmが好ましく、3〜20μmがより好ましい。前記厚みが、0.05μm未満であると、耐食性が劣り、十分に多孔質にならないため前記半導体の析出量が不十分となり易く、50μmを超えると、前記多孔質酸化アルミニウムに割れが生じ易くなり、また、前記半導体の析出に要する処理時間も長くなるために好ましくない。一方、前記厚みが、前記より好ましい範囲内であると、前記半導体が前記多孔質酸化アルミニウム上に固定されやすい点、割れも生じにくく、取り扱いやすくなる点等で有利である。
<析出工程>
本発明の複合材料の製造方法においては、前記半導体源及び尿素を含む溶液と、前記多孔質酸化アルミニウムとを接触させて、前記半導体を前記多孔質酸化アルミニウム上に析出させること、すなわち、前記多孔質酸化アルミニウム上に、不均一核生成による前記半導体の結晶成長をおこさせることを含むことを特徴とする。
ここで前記「接触」とは、前記多孔質酸化アルミニウムが前記半導体源及び尿素を含む溶液に触れていればいかなる状態であってもよく、例えば、前記多孔質酸化アルミニウムの全体が前記半導体源及び尿素を含む溶液中に浸漬している状態、前記多孔質酸化アルミニウムの一部が前記半導体源及び尿素を含む溶液中に浸漬している状態、前記多孔質酸化アルミニウムに前記半導体源及び尿素を含む溶液が噴霧されている状態、等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。
これらの中でも、そのプロセスの容易さから、前記多孔質酸化アルミニウムの全体が前記半導体源及び尿素を含む溶液中に浸漬している状態が好ましい。
前記接触の時間としては、前記半導体が析出されれば特に制限はなく、適宜選択することができるが、反応の温度によって、好ましい接触時間は変化する。例えば、60℃の場合には、30分〜120時間(5日間)が好ましく、1〜120時間がより好ましい。前記時間が、30分未満であると、析出が始まらないことがあり、120時間を超えると、すでに析出反応が終了している場合があるので、無意味な場合がある。一方、前記時間が前記より好ましい範囲内であると、析出時間によって、膜厚調節することなどが可能となる。
前記接触の際の温度としては、前記半導体が析出されれば特に制限はなく、適宜選択することができるが、55〜90℃が好ましく、60〜80℃がより好ましい。前記温度が、55℃未満であると、尿素の熱分解反応が進行しないことがあり、90℃を超えると、反応時間による析出制御が難しくなることがある。一方、前記温度が前記より好ましい範囲内であると、析出時間によって、膜厚調節することなどが可能となる点で有利である。
以上のような操作により、前記半導体を前記多孔質酸化アルミニウム上に析出することができる。
ここで、前記半導体は、前記多孔質酸化アルミニウム上に、粒子形態で析出されていてもよく、粒子が集合した膜状態で析出されていてもよい。
前記多孔質酸化アルミニウム上に粒子形態で析出された場合の前記半導体の粒径としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。前記粒径が、1nm未満であると、量子サイズ効果によりバンドギャップが大きくなり、短波長光でないと光触媒機能が得られないことがあり、また、取り扱いが困難となり、分散性も低下することがある。一方、前記粒径が5nm以上であると、取扱性が良く、分散性も好ましい点で有利である。
また、前記粒径の上限としては、特に制限はなく、適宜選択することができるが、前記多孔質酸化アルミニウムに存在する小孔のサイズ未満であることが望ましく、例えば、40nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。前記粒径が、40nmを超えると、小孔内部に半導体が入らないことがあり、一方、前記粒径が30nm以下であると、小孔内部にも半導体が入り、かつ半導体の比表面積も大きくなることから、その抗菌作用が上がるという点で有利である。
すなわち、前記粒径としては、1〜40nmが好ましく、5〜30nmがより好ましい。
前記半導体が析出された前記多孔質酸化アルミニウム(本発明の複合材料)は、好ましくは、前記溶液から取り出され、十分に水洗され、室温で乾燥される。前記水洗及び乾燥の条件としては、特に制限はなく、適宜選択されればよい。
ここで、前記半導体が析出されたことは、例えば、X線回折測定により確認することができる。
また、前記半導体は、安定性の観点から前記多孔質酸化アルミニウム上に固着していることが好ましく、ここで前記多孔質酸化アルミニウム上に前記半導体が析出され固着していることは、例えば、SEM観察により確認することができる。
<効果/用途>
本発明の複合材料の製造方法は、半導体源及び尿素を含む溶液と多孔質酸化アルミニウムとを接触させればよいことから、技術的に容易で、効率的である。また、本発明の複合材料の製造方法により得られる本発明の複合材料は、半導体と多孔質酸化アルミニウムとの密着性が高く、抗菌性に優れる。
そのため、本発明によれば、例えば光触媒作用を有する半導体を使用することにより、安定性に優れた光触媒機能材料を提供することができる。したがって、本発明の複合材料は、例えば、光触媒作用を利用した大気中又は水中の有害、汚染物質の除去に使用することができ、環境浄化材、防臭材、脱臭材として有用である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。
[製造例1:陽極酸化アルミニウム膜の製造]
本実施例で使用する多孔質酸化アルミニウムとして、陽極酸化アルミニウム膜を、以下のように製造した。アルミニウム板(30×30×1mm、Al純度99.99%)を陽極として、電解組成液に5g/lのシュウ酸、電圧100V、20℃で2分間の電解を行った。アルミニウム板上に、厚さ1.5μmのアルミニウム陽極酸化皮膜を生成させた。続いて、上記アルミニウム陽極酸化皮膜を、50g/lのリン酸、30℃で30分間のエッチング処理を行った後、十分に水洗させ、乾燥を行った。最終的に、平均細孔径90nm、孔の平均間隔(孔と孔との間の最短距離の平均値)が約40nmのアルミニウム陽極酸化皮膜が得られた。
[実施例1]
pH0.50に調整したHCl水溶液中に、オキシ硫酸チタン(IV)(TiOSO・xHO、Nacalai Tesque, Inc., xav=4.6)を、0.01Mの濃度となるような量で添加し、室温で1時間、溶解させた。次いで、固体の尿素(純正化学(株)製)を、オキシ硫酸チタン(IV)濃度の200倍の濃度になるような量で添加し、室温で30分間、溶解させた(溶液1)。製造例1で得られた陽極酸化アルミニウム膜を、溶液1に浸漬し、60℃のオーブン中で、24時間反応させた。溶液1中から陽極酸化アルミニウム膜を取り出し、水洗した後、室温で乾燥させ、試料とした。
得られた試料について、X線回折測定を行い、アナターゼ型酸化チタンが析出していることを確認した。また、SEM観察を行い、アナターゼ型酸化チタンが、陽極酸化アルミニウム膜の表面及び小孔内部に固着していることを確認した。
[実施例2]
pH0.50に調整したHCl水溶液中に、オキシ硫酸チタン(IV)(TiOSO・xHO、Nacalai Tesque, Inc., xav=4.6)を、0.01Mの濃度となるような量で添加し、室温で1時間、溶解させた。次いで、固体の尿素(純正化学(株)製)を、オキシ硫酸チタン(IV)濃度の400倍の濃度になるような量で添加し、室温で30分間、溶解させた(溶液2)。製造例1で得られた陽極酸化アルミニウム膜を、溶液2に浸漬し、60℃のオーブン中で、24時間反応させた。溶液2から陽極酸化アルミニウム膜を取り出し、水洗した後、室温で乾燥させ、試料とした。
得られた試料について、実施例1と同様にX線回折測定を行い、アナターゼ型酸化チタンが析出していることを確認した。また、SEM観察を行い、アナターゼ型酸化チタンが、陽極酸化アルミニウム膜の表面及び小孔内部に固着していることを確認した。
[実施例3]
塩化亜鉛(ZnCl)の0.01Mの水溶液と、尿素(純正化学(株)製)の0.01M水溶液を50ccずつ混合した溶液を作製した(溶液3)。製造例1で得られた陽極酸化アルミニウム膜を、溶液3に浸漬し、70℃のオーブン中で、24時間反応させた。溶液3から陽極酸化アルミニウム膜を取り出し、水洗した後、室温で乾燥させ、試料とした。
得られた試料について、実施例1と同様にX線回折測定を行い、ウルツ鉱型酸化亜鉛が析出していることを確認した。また、SEM観察を行い、ウルツ鉱型酸化亜鉛が、陽極酸化アルミニウム膜の表面及び小孔内部に固着していることを確認した。
[比較例1:塗布による酸化チタンの固着]
製造例1で得られた陽極酸化アルミニウム膜を、酸性の酸化チタン懸濁液(石原産業(株)製、STS−01)中に、20℃で、3分間浸漬した。浸漬後、取り出した陽極酸化アルミニウム膜をイオン交換水で水洗した後、150℃で加熱乾燥することにより、陽極酸化アルミニウム膜に酸化チタンを固着させたものを作製し、試料とした。
[比較例2:酸化チタン無し]
製造例1で得られた陽極酸化アルミニウム膜を、イオン交換水で水洗した後、乾燥させたものを試料とした。
[比較例3:TiFを含む溶液(尿素不含)による酸化チタンの析出]
アンモニアを含んだ純水中に、TiF(Aldrich社製)を添加し、1時間攪拌した。攪拌後、塩酸を添加し、最終的に、pH2.0、TiF濃度が0.04Mとなるように調整した。得られた溶液中に製造例1で得られた陽極酸化アルミニウム膜を浸漬させ、60℃で1時間反応させた後に、陽極酸化アルミニウム膜を取り出した。取り出した陽極酸化アルミニウム膜をイオン交換水で水洗した後、乾燥させて試料とした。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた試料について、下記の試験を行った。
〔試験例1:密着性試験〕
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた試料について、JIS H 8602の5.8項に記載のスコッチテープ試験の手法に従い、セロハン粘着テープを用いて、陽極酸化アルミニウム膜に対する酸化チタンの密着性試験を行った。以下の密着性の評価基準に従い、陽極酸化アルミニウム膜に対する酸化チタンの密着性を評価した。結果を以下の表1に示す。
<密着性の評価基準>
剥離が全く無い:◎
剥離がほとんど無い(剥離は20%未満):○
20〜40%が剥離:△
40%を超えて剥離:×
〔試験例2:抗菌性試験〕
大腸菌(エシェリヒア・コリ;IFO−3301)をニュートトリエンドブロスに接種し、37℃で20〜24時間培養した。培養された菌を再度、同じ培地に接種し、同条件で培養した。得られた菌のブロスを3.13×10−4Mのリン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝溶液(pH7.2)からなる希釈液で100倍に希釈し、供試菌液とした。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた試料各2枚をそれぞれ減菌シャーレにとり、各試料上に前記供試菌液100μlを滴下した。
各2枚の前記試料のうち、それぞれ1枚については、前記供試菌液の滴下後直ちに、2g/lのレシチン、及び14g/lのTween−80を含有する3.13×10−4Mのリン酸二水素カリウム−水酸化ナトリウム緩衝溶液(pH7.2)からなるすすぎ液10ml、並びに減菌ガラスビーズ40〜50個を直ちに加え、よく揺り動かして供試菌液をすすぎ落とした。
このすすぎ落とされた菌液を前記希釈液で希釈し、その希釈液をミューラーヒントン寒天培地に植菌し、37℃、48時間培養して、常法により生菌数を測定した。
各2枚の前記試料のうち、それぞれ残りの1枚は、前記供試菌液を滴下した後、減菌シャーレの蓋をし、25℃で12時間静置させた。その後、前記と同様にして、試料上の菌液をすすぎ落として、常法により生菌数を測定した。結果を以下の表1に示す。
Figure 2007126697
表1の結果により、実施例1〜実施例3で得られた試料は、比較例1及び比較例3で得られた試料と比較して、陽極酸化アルミニウム膜に対する半導体(酸化チタン、酸化亜鉛)の密着性が高いことが示された。したがって、本発明の製造方法により得られる複合材料は、多孔質酸化アルミニウムと半導体との密着性が高く、安定性に優れることが実証された。
また、実施例1及び実施例2で得られた試料は、優れた抗菌性を有していることが示された。
本発明によれば、半導体と多孔質酸化アルミニウムとの密着性に優れた複合材料を得ることができる。そのため、例えば、光触媒作用を有する半導体を使用して本発明の製造方法を実施することにより、安定性に優れた光触媒機能材料を得ることができる。
したがって、本発明により得られる複合材料は、例えば、光触媒作用を利用した大気中又は水中の有害、汚染物質の除去に使用することができ、特に、環境浄化材、防臭材、脱臭材として有用である。

Claims (6)

  1. 半導体源及び尿素を含む溶液と多孔質酸化アルミニウムとを接触させて、半導体を前記多孔質酸化アルミニウム上に析出させることを含むことを特徴とする複合材料の製造方法。
  2. 半導体が酸化チタンである請求項1に記載の複合材料の製造方法。
  3. 多孔質酸化アルミニウムが金属アルミニウムの陽極酸化により得られる請求項1から2のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
  4. 多孔質酸化アルミニウムが基体上に層状に存在する請求項1から3のいずれかに記載の複合材料の製造方法。
  5. 基体が金属アルミニウムである請求項4に記載の複合材料の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の複合材料の製造方法により得られることを特徴とする複合材料。
JP2005319373A 2005-11-02 2005-11-02 複合材料及びその製造方法 Pending JP2007126697A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005319373A JP2007126697A (ja) 2005-11-02 2005-11-02 複合材料及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005319373A JP2007126697A (ja) 2005-11-02 2005-11-02 複合材料及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007126697A true JP2007126697A (ja) 2007-05-24

Family

ID=38149580

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005319373A Pending JP2007126697A (ja) 2005-11-02 2005-11-02 複合材料及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007126697A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009147840A (ja) * 2007-12-18 2009-07-02 Kasai Seiki Mfg Co Ltd 超音波センサの製造法および多結晶アルミニウム成形体の製造法ならびに超音波センサ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009147840A (ja) * 2007-12-18 2009-07-02 Kasai Seiki Mfg Co Ltd 超音波センサの製造法および多結晶アルミニウム成形体の製造法ならびに超音波センサ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5670206A (en) Deodorizing lamp and method for production thereof
JP4335446B2 (ja) 酸化チタンゾル、薄膜およびそれらの製造法
JP3834631B2 (ja) 基体上に形成されたチタニア系結晶体からなる光触媒の製造方法
JP3370290B2 (ja) 光触媒材料の製造方法
JP2007154237A (ja) 電解用電極及びその製造方法
JP2000312830A (ja) 光触媒複合材およびその製造方法
CN111620569B (zh) 一种抗病毒玻璃及其制备方法
JP2007325995A (ja) 光触媒皮膜及びその製造方法
JP2007126697A (ja) 複合材料及びその製造方法
JP3573574B2 (ja) 酸化チタン被覆金属材料の製造方法
JP3246235B2 (ja) 光触媒機能を有する多機能材及びその製造方法
JP5936735B1 (ja) アナターゼ型酸化チタンを含有する内装用複合膜の製造方法
JP3267880B2 (ja) 抗菌性アルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法
US9468920B2 (en) Ultra-porous photocatalytic material, method for the manufacture and the uses thereof
WO2021200217A1 (ja) 光触媒担持銅繊維シート
CN111155086B (zh) 一种在不锈钢表面生长二氧化钛纳米线薄膜的方法
JP3267884B2 (ja) 抗菌性・防汚性アルミニウム又はアルミニウム合金材料及びその製造方法
JPH11158694A (ja) 親水性メッキを施した物品及びメッキ方法
JPH11188272A (ja) 光触媒体およびその製造方法
JP2005047752A (ja) 酸化亜鉛膜の皮膜構造の制御方法
JP4298593B2 (ja) 光触媒担持体及びその製造方法
JP2000064093A (ja) 陽極酸化アルミニウム材の抗菌処理方法
US11446644B2 (en) Photocatalytic ceramic
Kawai et al. Evaluation of photocatalytic activity of TiO2 thin films by spin-trap ESR spectroscopy
JP2000290779A (ja) チタニア造膜部材及びその製造方法