JP2007124993A - 生体物質の保管及び/又は配送及び/又は流通方法、並びに生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体 - Google Patents
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Abstract
【課題】湿気による傷害という、従来のDNAブックが有する問題点の解決を目的とし、紙等の固定支持体にスポットされた遺伝子試料をより長い期間、常温で安定に保存する方法および固定支持体を提供すること。
【解決手段】金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定し、該生体物質が固定された支持体を保管及び/又は配送及び/又は流通することを含む、生体物質の保管及び/又は配送及び/又は流通方法。生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加され、かつ生体物質が固定されている前記支持体。生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための媒体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加されている支持体からなる前記媒体。
【選択図】図7
【解決手段】金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定し、該生体物質が固定された支持体を保管及び/又は配送及び/又は流通することを含む、生体物質の保管及び/又は配送及び/又は流通方法。生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加され、かつ生体物質が固定されている前記支持体。生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための媒体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加されている支持体からなる前記媒体。
【選択図】図7
Description
本発明は、生体物質の保管及び/又は配送及び/又は流通方法、並びに生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体に関する。
従来、DNAを長期にわたって安定に保存する場合には、その水溶液を冷凍庫などで凍結する方法、あるいはプラスミドとして大腸菌に導入し、その大腸菌のグリセロールストックを超低温槽などで保存する方法が行われていた。またDNA試料などを配送する場合も同様に、水溶液やグリセロールストックを、ドライアイスを詰めたアイスボックスに入れて運ぶという方法が採られてきた。
1990年代から、ヒト、マウスなど主要な生物のゲノム全塩基配列解析が始まり、今日までに約200種類の生物についてゲノムまたはcDNA塩基配列解析が終了し、さらに1000種類近くの生物についての解析が進められている。この結果、膨大な量の塩基配列情報とゲノムやcDNAのクローンなどの遺伝子試料が蓄積している。今後は、これらの膨大な情報と遺伝子試料を駆使し、生命現象を、様々な遺伝子産物の相互作用から成り立つネットワークとして理解しようというゲノムネットワーク研究が、ライフサイエンスの中心になる。このような研究を効率的に進めるには、世界中の研究者が、研究に必要な遺伝子試料とそれらに付随する情報を迅速に入手する必要がある。また、これらの試料や情報は、均質なものでなくてはならない。
情報については、ITの飛躍的な発達により、誰でもどこにいても、インターネットなどを通じて、短時間のうちに簡単に入手できるようになった。その一方、遺伝子試料の輸送には、依然としてドライアイスやアイスボックスが使用されているため、数千〜数万種類の試料を運ぶ場合は、たいへん手間がかかる。これらの試料の保存には、多数の冷凍庫が必要とされ、そのため高額な電気料金が費やされる。グリセロールストックの作製にも多大な時間と労力がかかる。このように、遺伝子試料の保存・輸送に低温設備を用いる従来法は、これからの時代の網羅的研究に対応しきれなくなっている。大量の情報を処理できるインターネットのように、遺伝子試料についても、多数の試料を多くの研究者に迅速に配布できる新しい媒体が、是非とも必要とされている。
一方、以前から、遺伝子鑑定に用いる血液などの生体試料を、ろ紙に染込ませて常温で輸送、保存するという方法が、法医学研究者などの間で行われていた。この目的で用いられるろ紙に、生体試料中のタンパク質などを変性させ、遺伝子のみを精製された状態で回収が出来るように、界面活性剤、DNA分解阻害剤などを染込ませたFTAカードが開発された(特許文献1〜3)。この技術は、個々の研究者が自分の試料を保存する目的には適っているが、クローン頒布機関などが、網羅的研究に用いる多数の遺伝子を多くの研究者に頒布する目的には向いていない。
理化学研究所の林崎らは、紙を媒体として遺伝子試料とその付随情報を同時に運ぶことができ、さらに常温保存が可能な「DNAブック」の技術を開発した(特許文献4及び5、非特許文献1)。すなわち、文字情報を印刷後、DNAの水溶液をスポットし、乾燥させることにより当該DNAを固定させた紙を、複数枚重ねて製本したものである。DNAプリンターの使用により、最高384種類のDNAサンプルをスポットした紙を複数枚、作製することができるため、全く均質な多数のサンプルを複数のユーザーに配布できる。水溶紙を使用しているため、固定させたDNAは必要なときに簡単に溶出でき、PCR,大腸菌の形質転換により回収することが出来る。この技術により、6万種類以上のマウスの全cDNAクローンを200ページ程度の本に収めた「マウスゲノムエンサイクロペディア」が発刊された(第1版2003年、第2版2004年)。その後、現在までに、ヒトの代謝酵素cDNA、魚の遺伝形質や疾病診断マーカー検出用プライマー、シロイヌナズナ転写因子cDNA、イネの全cDNA、高度好熱菌の遺伝子がDNAブック化されている(非特許文献2〜6)。
しかし、DNAブックの保存状況によっては、スポットしたDNAが著しく劣化し、ほとんど回収できない場合があることが明らかになった。スポットDNAの劣化現象は、湿度が高いところに保存されたDNAブックで観察された。一方、デシケーター中で保存されたDNAブックでは、半年〜10ヶ月後にスポットDNAを回収することができた。これらのことからスポットDNAは湿気により何らかの傷害を受けることが示唆された。遺伝子試料をDNAブックの形で、数年から半永久的に、常温で安定に保存するためには、湿気による傷害を防ぐ新たな技術が必要とされている。
本発明は、湿気による傷害という、従来のDNAブックが有する問題点の解決を目的とし、紙等の固定支持体にスポットされた遺伝子試料をより長い期間、常温で安定に保存する方法および固定支持体を提供しようとするものである。
本発明者らは、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定することによって、長期間、安定に生体物質を保存できることを見出した。その結果として、生体物質を常温にて安定に保った状態で保管及び/又は配送及び/又は流通することが可能となった。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定し、該生体物質が固定された支持体を保管及び/又は配送及び/又は流通することを含む、生体物質の保管及び/又は配送及び/又は流通方法。
(2)
pH 5〜11の条件下で生体物質を支持体に固定する(1)記載の方法。
pH 5〜11の条件下で生体物質を支持体に固定する(1)記載の方法。
(3)金属塩を形成する金属が周期表2族元素である(1)又は(2)に記載の方法。
(4)周期表2族元素がマグネシウム又はカルシウムである(3)記載の方法。
(5)金属塩の濃度が0.1 M以上で溶解度以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)両性イオン緩衝液の緩衝剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであって、前記トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのアミノ基はモノ置換されていてもよい(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
(7)アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン及びN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である(6)記載の方法。
(8)両性イオン緩衝液がグッドの緩衝液又はトリス緩衝液である(1)〜(7)のいずれかに記載の方法。
(9)カルボキシメチルセルロースの存在下で生体物質を支持体に固定する(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)支持体が、非水溶性、水分解性及び/又は水溶性の材料で作られたものである(1)〜(9)のいずれかに記載の方法。
(11)支持体が紙である(10)記載の方法。
(12)生体物質が固定された支持体をキット化することをさらに含む(1)〜(11)のいずれかに記載の方法。
(13)少なくとも生体物質が固定された支持体が本又はシートの形態をとるキットである(12)記載の方法。
(14)生体物質が核酸である(1)〜(13)のいずれかに記載の方法。
(15)生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加され、かつ生体物質が固定されている前記支持体。
(16)金属塩を形成する金属が周期表2族元素である(15)記載の支持体。
(17)周期表2族元素がマグネシウム又はカルシウムである(16)記載の支持体。
(18)両性イオン緩衝液の緩衝剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであって、前記トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのアミノ基はモノ置換されていてもよい(15)〜(17)のいずれかに記載の支持体。
(19)アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン及びN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である(18)記載の支持体。
(20)両性イオン緩衝液の緩衝剤がグッドの緩衝液の緩衝剤又はトリスである(15)〜(19)のいずれかに記載の支持体。
(21)支持体にカルボキシメチルセルロースがさらに添加されている(15)〜(20)のいずれかに記載の支持体。
(22)支持体が、非水溶性、水分解性及び/又は水溶性の材料で作られたものである(15)〜(21)のいずれかに記載の支持体。
(23)支持体が紙である(22)記載の支持体。
(24)生体物質が核酸である(15)〜(23)のいずれかに記載の支持体
(25)(15)〜(24)のいずれかに記載の支持体を含むキット。
(26)少なくとも生体物質が固定されている支持体が本又はシートの形態をとる(25)記載のキット。
(27)金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定することを含む、生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体の製造方法。
(28)生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための媒体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加されている支持体からなる前記媒体。
(29)(28)記載の媒体、該媒体に生体物質を固定させるためのツール、試薬及び装置を組み合わせたキット。
(30)生体物質が核酸である(29)記載のキット。
(31)生体物質を固定するための支持体、該支持体に生体物質を固定させるためのツール、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤を含む試薬及び装置を組み合わせたキット。
(32)生体物質が核酸である(31)記載のキット。
本発明により、紙のような支持体に固定した生体物質を長期間安定に保存することができるようになった。その結果として、生体物質を常温にて安定に保った状態で保管及び/又は配送及び/又は流通することが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定し、該生体物質が固定された支持体を保管及び/又は配送及び/又は流通することを含む、生体物質の保管及び/又は配送及び/又は流通方法を提供する。
また、本発明は、生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加され、かつ生体物質が固定されている前記支持体を提供する。
さらに、本発明は、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定することを含む、生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体の製造方法を提供する。
生体物質としては、核酸、タンパク質、ペプチド、脂質、糖質などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
核酸としては、DNA(ゲノムDNA、遺伝子DNA、cDNA、siDNA、プラスミド、プライマー、プローブなどを含む)、RNA(mRNA、tRNA、rRNA、snRNA、snoRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、siRNA、マイクロRNA、プライマーなどを含む)、DNAとRNAのキメラ分子、それらの誘導体や修飾体、PNAなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
タンパク質としては、単純タンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質、ヘムタンパク質、金属タンパク質、フラビンタンパク質、リンタンパク質、核タンパク質などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
ペプチドとしては、生体に由来する生理活性ペプチド、タンパク質の分解により生じたペプチド、合成オリゴペプチドなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
脂質としては、アシルグリセロール・ろう・コレステロールエステル・ビタミンAやビタミンDのエステルなどの単純脂質、グリセロリン脂質・スフィンゴリン脂質・グリセロ糖脂質・スフィンゴ糖脂質などの複合脂質、リポ多糖などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
糖質としては、中性糖・アミノ糖・シアル酸などを成分とする糖タンパク質の糖鎖、ヒアルロン酸・コンドロイチン硫酸類・デルマタン硫酸・ヘパリンなどを成分とするムコ多糖、ムコ多糖を成分とするプロテオグリカンなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
支持体に固定する生体物質の量は適宜調整するとよい。例えば、支持体に固定した核酸を回収し、その後、PCR反応の鋳型として用いる場合には、1スポット当たり0.01 ng〜10 μgの量の核酸を支持体に固定するとよく、好ましくは1スポット当たり0.1 ng〜500 ng、より好ましくは1 ng〜100 ngの量の核酸を支持体に固定する。核酸がプライマーなど数十塩基から成るオリゴマーである場合、1スポット当たり5 pmole〜100 pmoleを支持体に固定するとよく、好ましくは1スポット当たり10 pmole〜50 pmoleを支持体に固定する。
上記方法において、pH 5〜11の条件下で生体物質を支持体に固定するとよく、好ましくは、pH 7〜10の条件下で、より好ましくは、pH 8〜9の条件下で生体物質を支持体に固定する。pHはいかなる酸又は塩基を用いて調整してもよい。酸としては、硫酸、塩酸などを挙げることができ、塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリス溶液などを挙げることができる。
金属塩を形成する金属は周期表2族元素(例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなど)であるとよく、周期表2族元素としては、マグネシウム、カルシウムが好ましい。
上記の方法において、金属塩の濃度は0.1 M以上で溶解度以下であるとよく、好ましくは、0.5 M〜3 Mであり、より好ましくは、1 M〜2 Mである。
本発明の生体物質固定支持体において、金属塩は、1スポット当たり13 nmole〜650 nmoleの量で添加するとよく、好ましくは1スポット当たり65 nmole〜390 nmole、より好ましくは1スポット当たり130 nmole〜260 nmoleの量で添加する。
上記の方法において、両性イオン緩衝液としては、グリシン緩衝液、グリシルグリシン緩衝液、グッドの緩衝液、トリス緩衝液などを挙げることができるが、グッドの緩衝液又はトリス緩衝液が好ましい。トリスの濃度は、0.1 M〜2 Mであるとよく、好ましくは、0.5 M〜2 Mであり、より好ましくは、1 M〜2 Mである。
本発明の生体物質固定支持体において、両性イオン緩衝液の緩衝剤としては、グリシン、グリシルグリシン、グッドの緩衝液の緩衝剤、トリスなどを挙げることができ、アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが適当である。
グッドの緩衝液の緩衝剤としては、MES、Bis-tris、ADA、Bis-trisプロパン、PIPES、ACES、MOPSO、コラミンクロリド、BES、MOPS、TES、HEPES、DIPSO、TAPSO、POPSO、HEPPSO、HEPPS(EPPS)、Tricine、グリシンアミド、Bicine、TAPS、CHES、CAPSO、CAPSなどを挙げることができる。トリスはトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであり、有効pH範囲7.2〜9.4の緩衝液を構成する緩衝剤である。
アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンにおける、置換基はいかなる基であってもよいが、置換又は非置換C1−6アルキル基、置換又は非置換C1−6アルコキシ基、置換又は非置換アリール基、置換又は非置換アシル基、置換又は非置換複素環式基などを例示することができ、このうち、ヒドロキシ基、スルホ基及び/又はカルボキシ基で置換されていてもよいC1−3アルキル基が好ましい。
アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、下記の一般式(I)で表すことができる。
アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンにおける、置換基はいかなる基であってもよいが、置換又は非置換C1−6アルキル基、置換又は非置換C1−6アルコキシ基、置換又は非置換アリール基、置換又は非置換アシル基、置換又は非置換複素環式基などを例示することができ、このうち、ヒドロキシ基、スルホ基及び/又はカルボキシ基で置換されていてもよいC1−3アルキル基が好ましい。
アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、下記の一般式(I)で表すことができる。
Rの置換基はいかなる基であってもよいが、置換又は非置換C1−6アルキル基、置換又は非置換C1−6アルコキシ基、置換又は非置換アリール基、置換又は非置換アシル基、置換又は非置換複素環式基などを例示することができ、このうち、ヒドロキシ基、スルホ基及び/又はカルボキシ基で置換されていてもよいC1−3アルキル基が好ましい。
アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンの具体例としては、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸、2‐(Hydroxymethyl)‐2‐nitro‐1,3‐propanediol、2,2′‐(1,3‐Propanediyldiimino)bis[2‐(hydroxymethyl)‐1,3‐propanediol]、N‐[2‐Hydroxy‐1,1‐bis(hydroxymethyl)ethyl]octadecanamide、N‐[2‐Hydroxy‐1,1‐bis(hydroxymethyl)ethyl]docosanamide、N‐[2‐Hydroxy‐1,1‐bis(hydroxymethyl)ethyl]‐3‐phenylpropenamide、2‐[[4,6‐Bis(1‐aziridinyl)‐1,3,5‐triazin‐2‐yl]amino]‐2‐(hydroxymethyl)‐1,3‐propanediol、N‐[1,1‐Di(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]dodecanamide、2,2′‐Azobis[2‐methyl‐N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]propionamide]、N‐[2‐Hydroxy‐1,1‐bis(hydroxymethyl)ethyl]‐2‐propenamide、2‐[(2,4‐Dinitrophenyl)amino]‐2‐(hydroxymethyl)‐1,3‐propanediol、1‐[2‐Hydroxy‐1,1‐bis(hydroxymethyl)ethylaminomethyl]pyrene、3‐[Acetyl(methyl)amino]‐5‐[acetyl(2,3‐dihydroxypropyl)amino]‐2,4,6‐triiodo‐N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]benzamide、1,4‐Dihydro‐1‐ethyl‐4‐oxo‐6,7‐(methylenedioxy)‐N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]quinoline‐3‐carboxamide、N‐[[2‐Hydroxy‐1,1‐bis(hydroxymethyl)ethylamino]carbonyl]‐L‐Pro‐L‐Phe‐N‐methyl‐L‐His‐[(2S,4S,5S) ‐5‐isobutyl‐4‐hydroxy‐2‐isopropyl‐5‐Ava‐]‐L‐aIle‐[(pyridine 1‐oxide) ‐2‐ylmethyl]NH2 ester、N‐[[2‐Hydroxy‐1,1‐bis(hydroxymethyl)ethylamino]carbonyl]‐L‐Pro‐L‐Phe‐N‐methyl‐L‐His‐[(2S,4S,5S) ‐5‐isobutyl‐4‐hydroxy‐2‐isopropyl‐5‐Ava‐]‐L‐aIle‐(2‐pyridinylmethyl)NH2、3‐[[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]amino]‐2‐hydroxy‐1‐propanesulfonate、N‐[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]methacrylamide、3‐[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethylamino]‐2‐hydroxy‐1‐propanesulfonic acid tetrabutylammonium salt、2‐Amino‐9‐[2‐[[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]amino]ethyl]‐1H‐purin‐6(9H)‐one、1‐Methyl‐4‐[2‐[[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]amino]ethyl]pyridinium、2,2′‐[[5,5′‐Dimethyl‐Δ2,2′‐bi[1,3‐dithiol]‐4,4′‐diyl]bis(thiohexamethylene)]bis[N,N′‐bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]malonamide]、(Z)‐N‐[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8‐dodecafluoro‐2‐octenamide、2‐[(3‐tert‐Butyl‐4‐hydroxy‐5‐methylbenzyl)amino]‐2‐(hydroxymethyl)propane‐1,3‐diol、2,2‐Bis[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8‐tridecafluorooctyl)thio]‐N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]acetamide、2‐(Hexylthio)‐2‐[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8‐tridecafluorooctyl)thio]‐N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]acetamide、2‐(Octylthio)‐2‐[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10‐heptadecafluorodecyl)thio]‐N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]acetamide、2‐[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10‐Heptadecafluorodecyl)thio]‐2‐ [(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8‐tridecafluorooctyl)thio]‐N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]acetamide、2‐(Octylthio)‐2‐[(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8‐tridecafluorooctyl)thio]‐N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]acetamide、N‐[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐6‐(benzyloxy)hexanamide、
N,N′‐Bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐2‐hexylmalonamide、N,N′‐Bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐2‐octylmalonamide、N,N′‐Bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐2‐decylmalonamide、N‐[2‐(Hydroxymethyl)‐1,3‐dihydroxypropan‐2‐yl]‐3,4,5‐tris(dodecyloxy)benzamide、N,N′‐Bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐2‐dodecylmalonamide、N,N,N′,N′‐Tetrakis[3‐oxo‐3‐[2‐[bis[3‐oxo‐3‐[1,1‐bis(hydroxymethyl) ‐2‐hydroxyethylamino]propyl]amino]ethylamino]propyl]‐1,2‐ethanediamine、Tris(hydroxymethyl)methylammonium、1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethylaminium、2‐(Hydroxymethyl)‐2‐(2‐hydroxybenzylamino)‐1,3‐propanediol、2‐[[1,1‐Di(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]aminomethyl]naphtho[2,3‐b]furan‐4,9‐dione、N‐[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐4‐tert‐butylbenzamide、N‐[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]biphenyl‐4‐carboxamide、4,4′‐Oxybis[N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]benzamide]、4,4′‐Oxybis[N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]benzamide]、N,N′,N′′‐Tris[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐1,3、3‐[[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]amino]propane‐1‐sulfonic acid sodium saltなどを挙げることができるが、このうち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン及びN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸が好ましい。
アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは公知の方法で製造することができ、市販のものを使用してもよい。
N,N′‐Bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐2‐hexylmalonamide、N,N′‐Bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐2‐octylmalonamide、N,N′‐Bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐2‐decylmalonamide、N‐[2‐(Hydroxymethyl)‐1,3‐dihydroxypropan‐2‐yl]‐3,4,5‐tris(dodecyloxy)benzamide、N,N′‐Bis[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐2‐dodecylmalonamide、N,N,N′,N′‐Tetrakis[3‐oxo‐3‐[2‐[bis[3‐oxo‐3‐[1,1‐bis(hydroxymethyl) ‐2‐hydroxyethylamino]propyl]amino]ethylamino]propyl]‐1,2‐ethanediamine、Tris(hydroxymethyl)methylammonium、1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethylaminium、2‐(Hydroxymethyl)‐2‐(2‐hydroxybenzylamino)‐1,3‐propanediol、2‐[[1,1‐Di(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]aminomethyl]naphtho[2,3‐b]furan‐4,9‐dione、N‐[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐4‐tert‐butylbenzamide、N‐[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]biphenyl‐4‐carboxamide、4,4′‐Oxybis[N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]benzamide]、4,4′‐Oxybis[N‐[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]benzamide]、N,N′,N′′‐Tris[1,1‐bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]‐1,3、3‐[[1,1‐Bis(hydroxymethyl)‐2‐hydroxyethyl]amino]propane‐1‐sulfonic acid sodium saltなどを挙げることができるが、このうち、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン及びN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸が好ましい。
アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは公知の方法で製造することができ、市販のものを使用してもよい。
両性イオン緩衝液の緩衝剤は、1スポット当たり13 nmole〜260 nmoleの量で添加するとよく、好ましくは1スポット当たり65 nmole〜260 nmole、より好ましくは1スポット当たり130 nmole〜260 nmoleの量で添加する。
上記の方法において、カルボキシメチルセルロースの存在下で生体物質を支持体に固定してもよい。カルボキシメチルセルロースは、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液に添加してもよいし、支持体に添加してもよい。あるいはまた、生体物質に添加してもよい。カルボキシメチルセルロースの濃度は0.02%〜0.4%であるとよく、好ましくは、0.1%〜0.4%であり、より好ましくは、0.2%〜0.4%である。
本発明の生体物質固定支持体において、カルボキシメチルセルロースは、1スポット当たり26 ng〜520 ngの量で添加するとよく、好ましくは1スポット当たり130 ng〜520 ngの量で添加するとよく、より好ましくは260 ng〜520 ngの量で添加する。
支持体には、さらに、他の生体物質(例えば、プライマーなどのオリゴヌクレオチド)、色素(例えば、オレンジG、クレゾールレッド)などの成分を固定してもよい。これらの成分は、生体物質と同じ位置で支持体上に固定されてもよいし、生体物質と異なる位置で支持体に固定されてもよい。
他の生体物質の添加量は適宜調整するとよいが、例えば、他の生体物質がプライマーである場合、PCR反応が行われるようにするには、1スポット当たり5 pmole〜100 pmoleの量で添加するとよく、好ましくは10 pmole〜50 pmole の量で添加する。
色素は、0.01%〜0.2%添加するとよく、好ましくは0.05%〜0.1%添加する。
支持体は、生体物質を固定できるものであればいかなるものであってもよいが、固体であることが好ましく、非水溶性、水分解性及び/又は水溶性の材料で作られたものであるとよい。非水溶性の材料としては、セルロースを挙げることができ、セルロースで作られた支持体としては、普通コピー紙、上質紙、中質紙、ケント紙、画用紙、クラフト紙、インクジェット専用紙、トレーシングペーパー、和紙、ボール紙、濾紙、などを挙げることができる。その他にも、非水溶性の材料で作られた支持体として、ガラス基板、シリコン基板、ビーズ、カラム充填剤、シリカゲル、ニトロセルロース膜、ナイロン膜、PVA膜などを挙げることができる。水分解性の材料としては、カルボシキメチルセルロースを挙げることができ、カルボシキメチルセルロース及びセルロースで作られた支持体としては、60MDP紙、120MDP紙、60CD-2紙(三島製紙株式会社)などの水溶紙などを挙げることができる。水溶性の材料としては、小麦粉ペーストを挙げることができ、小麦粉ペーストで作られた支持体としては、オブラードなどを挙げることができる。
さらに、セルロースを別のシート上にコーティングしてフィルム状セルロースとして補強したものを、支持体として用いてもよい。
支持体の厚さは、例えば1mm以下とすることができる。この厚さを非常に薄くすれば(例えば0.1mm程度)、生体物質を固定した支持体を多数枚積層して配布する場合にも、嵩張らないので、その作業性は向上する。
支持体は紙であることが好ましい。
上記の方法において、生体物質の溶液(例えばDNA溶液)を支持体に付着させることにより、生体物質を支持体に固定することが好ましい。生体物質の溶液に金属塩及び/又は両性イオン緩衝液を添加してから、この混合溶液を支持体に付着させることが好ましい。あるいは金属塩及び/又は両性イオン緩衝液をあらかじめ支持体に付着させた後、生体物質の溶液を該支持体に付着させても良い。例えば、支持体が紙である場合には、スポイト、96 pin-tool(Multi 96-multiblot replicator VP409, Bio Medical Science Inc., US)、ディスポーザブルタイプのpin-toolなどを用いて、生体物質の溶液を紙にスポッティングすることができる。生体物質溶液を付着させた支持体は、15℃〜30℃の温度で乾燥させるとよく、好ましくは18℃〜28℃、より好ましくは20℃〜25℃の温度で乾燥させる。
金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定することによって、生体物質を安定に保存することができる。保存条件としては、室温で、高湿度を避け、遮光下に保存することが好ましいが、室温で、相対湿度70%以下までの湿度であれば、生体物質の安定な保存が可能である。
上記のように、支持体に固定した生体物質を回収するには、生体物質を固定した支持体を液体に浸漬させ、該液体中に生体物質を溶出させればよい。支持体を浸漬させる液体は、生体物質の回収を可能とするものであればいかなるものであってもよく、例えば、水、水以外の成分を含有する水溶液などを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。例えば、支持体に固定した生体物質がcDNAなどの核酸である場合、支持体を浸漬させる液体は、水、PCR反応溶液(すなわち、Tris-HCl、KCl、MgCl2、dNTP混合物などを含有する水溶液)などであるとよい。浸漬は、室温にて大気圧下で、1〜3分間行えばよい。このようにして溶出した核酸は、PCRやトランスフォーメーションなどで増幅することができる。
生体物質が固定された支持体をキット化してもよい。キットとしては、少なくとも生体物質が固定された支持体が本又はシートの形態をとるものを挙げることができる。例えば、以下のようなものが考えられる。
1.ある生物種全部の遺伝子や、ゲノム全体に対応したBACやPACなどゲノムDNA断片のクローンブック(例えば、マウスエンサイクロペディアブック)。
2.特定のジャンルに絞った分冊タイプのクローンブック(例えば、ヒトメタボロームブック)。
3.遺伝解析や診断用のプライマーブック(例えば、アクアブック)。
4.特定の細胞で発現可能なプロモーター付き遺伝子のクローンブック。
5.高校などでのDNAの要素技術取得用や大学などでの生化学実験実習用の教材ブック。
生体物質が固定された支持体は印刷物を構成してもよく、印刷物としては、教科書などの成書、ハンドブック、カタログ、定期刊行物、雑誌、論文、冊子、小冊子、リーフレット、パンフレット、報告書、ポスター、カード、ラベルなどを例示することができるが、これらに限定されるわけではない。
キットには、さらに、取扱説明書、支持体に固定されている生体物質に関する情報を記載又は入力した媒体、支持体をさらに良い保存条件に保つための袋類および乾燥剤・調湿剤、支持体から生体物質が固定された部分を切り取るために用いる道具、たとえばハサミ、ペーパーカッター、パンチなど、ペーパーカッターやパンチを使う際に下敷きとするカッティングマットなどが添付されていてもよい。
さらにまた、本発明は、生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための媒体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加されている支持体からなる前記媒体を提供する。
本発明の媒体には、カルボキシメルチセルロースがさらに添加されていてもよい。
生体物質、支持体、金属塩、両性イオン緩衝液の緩衝剤及びカルボキシメチルセルロースは上記の通りである。
本発明の媒体を製造するには、例えば、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤の溶液を支持体にスポットするとよい。あるいは、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤の溶液に支持体を浸漬してもよい。金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤の溶液には、カルボキシメチルセルロースを添加してもよい。その後、支持体を乾燥するとよい。乾燥温度は、15℃〜30℃であるとよく、好ましくは20℃〜25℃である。
本発明の媒体は、生体物質を固定するのに適しており、この支持体に生体物質を固定することにより、生体物質を長期間安定に保存することができる。
さらにまた、本発明は、上記の生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための媒体、該媒体に生体物質を固定させるためのツール、試薬及び装置を組み合わせたキットを提供する。
生体物質及び媒体は上記の通りである。媒体には、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加されており、さらに、カルボキシメチルセルロースが添加されていてもよい。
媒体に生体物質を固定させるためのツールとしては、生体物質のスポッティングに用いるチップ(BT20、Axygen)、スポイト、96 pin-tool(Multi 96-multiblot replicator VP409, Bio Medical Science Inc., US)、ディスポーザブルタイプのpin-tool(Genetix 384 レプリケーター、Nippon Genetix)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
媒体に生体物質を固定させるための試薬としては、金属塩溶液、両性イオン緩衝液、カルボキシメチルセルロース、トレハロースなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。試薬には、他の生体物質(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、トポイソメラーゼ、クロナーゼなどの酵素、プライマー、プローブなどのオリゴヌクレオチド)、酵素の保護剤(例えばトレハロース及びその誘導体、多糖類、ポリエチレングリコール、デキストラン、フィコール、グリセロールなど)、色素(例えば、オレンジG、クレゾールレッド)などを添加してもよい。
媒体に生体物質を固定させるための装置としては、DNAプリンター(BIO INDUSTRY, Vol.22, No.1 (2005) p.76-84)、DNAチップ用プリンターあるいは種々の分注機器などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
キットには、さらに、取扱説明書、媒体をさらに良い保存条件に保つための袋類および乾燥剤・調湿剤などが添付されていてもよい。
また、本発明は、生体物質を固定するための支持体、該支持体に生体物質を固定させるためのツール、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤を含む試薬及び装置を組み合わせたキットを提供する。
生体物質及び支持体は上記の通りである。
支持体に生体物質を固定させるためのツールとしては、生体物質のスポッティングに用いるチップ(BT20、Axygen)、スポイト、96 pin-tool(Multi 96-multiblot replicator VP409, Bio Medical Science Inc., US)、ディスポーザブルタイプのpin-tool(Genetix 384 レプリケーター、Nippon Genetix)などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
支持体に生体物質を固定させるための試薬には、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が含まれる。他の試薬としては、カルボキシメチルセルロース、トレハロースなどを挙げることができるが、これらに限定されることはない。試薬には、他の生体物質(例えば、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ、トポイソメラーゼ、クロナーゼなどの酵素、プライマー、プローブなどのオリゴヌクレオチド)、酵素の保護剤(例えばトレハロース及びその誘導体、多糖類、ポリエチレングリコール、デキストラン、フィコール、グリセロールなど)、色素(例えば、オレンジG、クレゾールレッド)などを添加してもよい。
支持体に生体物質を固定させるための装置としては、DNAプリンター(BIO INDUSTRY, Vol.22, No.1 (2005) p.76-84)、DNAチップ用プリンターあるいは種々の分注機器などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
キットには、さらに、取扱説明書、媒体をさらに良い保存条件に保つための袋類および乾燥剤・調湿剤などが添付されていてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
〔実施例1〕リアルタイムPCRによるスポットDNAの測定
マウス完全長cDNA(3021401A19、955塩基対、配列番号1)がクローン化されたプラスミドDNA(株式会社ダナフォーム)のTE(10mMトリス塩酸 pH8.0、1mM EDTA)溶液を10分の1ずつ段階希釈し、それぞれ1ng、100pg、10pg、0.1pgに相当する量を水溶紙60MDP(三島製紙)のシートにスポットし、乾燥させた。このような希釈系列のスポットを3組(A、B、C)用意した。Aグループのスポットは切り出して、そのままリアルタイムPCR(以下、RT-PCRと略)に用いた。B、Cグループについては、スポットを切り出し、それぞれ500μlまたは50μlの水に溶解させ、この溶解液の5μlをRT-PCRに用いた。B、C各グループにおいて、反応系へのDNAと水溶紙の持込み量は、それぞれ10分の1、100分の1となる。
マウス完全長cDNA(3021401A19、955塩基対、配列番号1)がクローン化されたプラスミドDNA(株式会社ダナフォーム)のTE(10mMトリス塩酸 pH8.0、1mM EDTA)溶液を10分の1ずつ段階希釈し、それぞれ1ng、100pg、10pg、0.1pgに相当する量を水溶紙60MDP(三島製紙)のシートにスポットし、乾燥させた。このような希釈系列のスポットを3組(A、B、C)用意した。Aグループのスポットは切り出して、そのままリアルタイムPCR(以下、RT-PCRと略)に用いた。B、Cグループについては、スポットを切り出し、それぞれ500μlまたは50μlの水に溶解させ、この溶解液の5μlをRT-PCRに用いた。B、C各グループにおいて、反応系へのDNAと水溶紙の持込み量は、それぞれ10分の1、100分の1となる。
RT-PCRの装置として、MX3000P(Stratagene社)を用いた。検出は、プラスミドベクター pFLC1のアンピシリン耐性遺伝子に相当する489塩基対の領域を、プライマー(配列番号2及び3)、及び蛍光色素と酵素としてSYBR(登録商標)PremixEXTaqTM(TAKARAバイオ社)を用いて増幅することにより行った。反応条件は95℃ 1分→(95℃ 10秒、60℃ 30秒、72℃ 30秒)x40 サイクル→72℃ 30秒→95℃ 30秒とした。各サンプルの反応1サイクルごとの蛍光強度を図1に表した(−○−:Aグループ、−●−:Bグループ、−×−:Cグループ)。またこの結果から得られた各グループの検量線を、それぞれ図1A、図1B、図1Cに表した。これらの結果から、60MDPにスポットしたDNAのRT-PCRによる定量は可能であることが示された。またスポットDNAは、1度TEに溶かしてからその1部を使用したほうが、スポットを直接反応に用いるよりも、水溶紙の影響が出にくいことがわかった。なおBグループ(紙等の持込み量10分の1)、Cグループ(紙等の持込み量100分の1)では、希釈の割合が一致していた。
〔実施例2〕スポットDNAの劣化の検出
実施例1で用いたものと同じプラスミドDNA溶液を10分の1ずつ段階希釈し、それぞれ1ng、100pg、10pg、0.1pgに相当する量を水溶紙60MDP(三島製紙)に、各量とも5点ずつスポットし、乾燥させた。このような希釈系列のスポットを4組用意し、それぞれ温度と湿度の異なった処理区(温度25℃・湿度70%、温度25℃・湿度20%、温度45℃・湿度70%、温度45℃・湿度7%)で処理し、劣化のタイムラプス解析を行った。これらのスポットは、スポット直後・2日後・5日後・8日後・14日後に切り出した。湿度7%の処理区では、切り出した後のスポットシートをシリカゲル入りの袋に密封して保存した。切り出したスポットは100μlの水に溶解し、測定時まで冷凍庫で保存した。測定は、これらの溶解液の5μlを用いて、実施例1に記載した方法に従ってRT-PCRによって行った。各スポットの測定結果は、縦軸に蛍光強度から算出したDNA量、横軸に保存日数をとって表した(図2A〜D;−○−:100pg、−●−:10pg、−□−:1pg、−×−:0.1pg)。
実施例1で用いたものと同じプラスミドDNA溶液を10分の1ずつ段階希釈し、それぞれ1ng、100pg、10pg、0.1pgに相当する量を水溶紙60MDP(三島製紙)に、各量とも5点ずつスポットし、乾燥させた。このような希釈系列のスポットを4組用意し、それぞれ温度と湿度の異なった処理区(温度25℃・湿度70%、温度25℃・湿度20%、温度45℃・湿度70%、温度45℃・湿度7%)で処理し、劣化のタイムラプス解析を行った。これらのスポットは、スポット直後・2日後・5日後・8日後・14日後に切り出した。湿度7%の処理区では、切り出した後のスポットシートをシリカゲル入りの袋に密封して保存した。切り出したスポットは100μlの水に溶解し、測定時まで冷凍庫で保存した。測定は、これらの溶解液の5μlを用いて、実施例1に記載した方法に従ってRT-PCRによって行った。各スポットの測定結果は、縦軸に蛍光強度から算出したDNA量、横軸に保存日数をとって表した(図2A〜D;−○−:100pg、−●−:10pg、−□−:1pg、−×−:0.1pg)。
温度25℃の場合は、高湿度(70%、図2A)、低湿度(20%、図2B)ともに、2週間の保存期間中には明らかな劣化が検出されなかった。また温度45℃・湿度7%の場合にも、2週間の保存期間中に明らかな劣化は観察されなかった(図2D)。一方、温度45℃・湿度70%の場合は、顕著な劣化が観察され、スポットDNAは2週間の保存期間中に100分の1以下に減少した(図2C)。これらの結果から、スポットDNAは湿気の多い環境では著しく劣化することが明らかになった。0.1pgのスポットでも0にはならず、ある割合で減り続けていることから、この劣化は、単位時間にある量が減るのではなく、スポット全量に対して、ある割合で減少するというものであることがわかった。またこの劣化は、最初の数日で急激に減り、その後、時間の経過につれて減少の割合が緩やかになるという二相性を示した。
〔実施例3〕スポットDNAへの温度及び湿度の影響
次に、スポットDNAに対して温度が与える影響について調べた。材料・方法は実施例1、2に準じて行った。湿度は70%RHとし、温度は15℃、25℃、35℃、45℃の4点について調べた。それぞれの処理区ごとにプラスミドDNA 1ngを5点スポットした60MDPシートを用意した。それぞれの温度・湿度条件にシートを置き、スポット直後・14日後・28日後・56日後・84日後にスポットを切り出し、水100μlに溶解させ、測定時まで冷凍庫に保管した。これらの溶解液5μlをRT-PCRに用い、実施例1に従って測定を行った。結果を図3Aに示した(−○−:15℃、−●−:25℃、−□−:35℃、−×−:45℃)。温度の上昇と共にDNAの劣化は促進され、35℃〜45℃の間では顕著であった。特に45℃では保存2週間後でスポット量の100分の1以下まで減少していた。その一方、温度15℃の場合は、3ヶ月経過後もほとんど劣化が起こらなかった。
次に、スポットDNAに対して温度が与える影響について調べた。材料・方法は実施例1、2に準じて行った。湿度は70%RHとし、温度は15℃、25℃、35℃、45℃の4点について調べた。それぞれの処理区ごとにプラスミドDNA 1ngを5点スポットした60MDPシートを用意した。それぞれの温度・湿度条件にシートを置き、スポット直後・14日後・28日後・56日後・84日後にスポットを切り出し、水100μlに溶解させ、測定時まで冷凍庫に保管した。これらの溶解液5μlをRT-PCRに用い、実施例1に従って測定を行った。結果を図3Aに示した(−○−:15℃、−●−:25℃、−□−:35℃、−×−:45℃)。温度の上昇と共にDNAの劣化は促進され、35℃〜45℃の間では顕著であった。特に45℃では保存2週間後でスポット量の100分の1以下まで減少していた。その一方、温度15℃の場合は、3ヶ月経過後もほとんど劣化が起こらなかった。
次にスポットDNAに湿度が与える影響を調べた。材料・方法は実施例1、2に準じて行った。温度は35℃と一定にし、湿度を15%、30%、45%、55%、70%の5点について調べた。 それぞれの処理区ごとにプラスミドDNA 1ngを5点スポットした60MDPシートを用意した。それぞれの温度・湿度条件にシートを置き、スポット直後・7日後・28日後・56日後・84日後にスポットを切り出し、水50μlに溶解させ、測定時まで冷凍庫に保管した。これらの溶解液の5μlをRT-PCRに用いた。測定の結果を図3 Bに示した(−○−:15%、−●−:30%、−□−:45%、−×−:55%、−△−:70%)。84日後の残存DNA量は、低湿度条件(15〜35%)ではスタート時の40%ほどであったのに対し、これよりも高い湿度条件(45%〜70%)ではスタート時の20%以下まで減少していた。
以上の実験から、水溶紙にスポットされたDNAは、温度の上昇につれて湿度の影響を大きく受けることが示された。特に高温・高湿度条件下では劣化が著しかった。空気中の水分により、水溶紙に由来する何らかの成分が溶け出し、この成分が起こす化学反応によりスポットDNAが劣化するものと思われる。スポットDNAを長期間安定に保存するためには、低温・低湿度にて保存するか、または何らかの処理により高温・高湿度に対する耐性を強める必要があることが明らかになった。またDNAを著しく劣化させる45℃、70%RHという条件は、劣化防止効果のある物質のスクリーニングを行う系として有用であることがわかった。
〔実施例4〕マグネシウム塩の添加によるスポットDNAの劣化抑制
次に、スポットDNAの劣化を抑制し安定性を高める添加物について検討を行った。スポットDNAの劣化の原因として、水溶紙から溶け出す成分が考えられたため、水溶紙を溶け難くする作用のあるマグネシウム塩の添加について試した。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。塩化マグネシウム、硫化マグネシウムの水溶液を、それぞれ所定の濃度(0.063M、0.25M、1M)になるようにプラスミドDNA溶液に加え、各処理区とも4点ずつ60MDPシートにスポットした。スポット当たりのDNA量は200pgとした。スポット直後のサンプルを回収した後、スポットシートを45℃・70%に設定した恒温恒湿機に保存し、8日後・13日後・19日後に各処理区のスポット1点を切り出した。切り出したスポットは100μlの水に溶解し、測定時まで冷凍庫に保存した。RT-PCRによる測定は、溶解液の5μlを用い、実施例1に従って行った。
次に、スポットDNAの劣化を抑制し安定性を高める添加物について検討を行った。スポットDNAの劣化の原因として、水溶紙から溶け出す成分が考えられたため、水溶紙を溶け難くする作用のあるマグネシウム塩の添加について試した。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。塩化マグネシウム、硫化マグネシウムの水溶液を、それぞれ所定の濃度(0.063M、0.25M、1M)になるようにプラスミドDNA溶液に加え、各処理区とも4点ずつ60MDPシートにスポットした。スポット当たりのDNA量は200pgとした。スポット直後のサンプルを回収した後、スポットシートを45℃・70%に設定した恒温恒湿機に保存し、8日後・13日後・19日後に各処理区のスポット1点を切り出した。切り出したスポットは100μlの水に溶解し、測定時まで冷凍庫に保存した。RT-PCRによる測定は、溶解液の5μlを用い、実施例1に従って行った。
結果を図4に示した(−○−:1M、−●−:0.25M、−□−:0.063M、−×−:無添加)。塩化マグネシウム、硫化マグネシウムを添加したスポットではDNAの劣化が著しく抑制された(図4A、B)。19日経過時において、無添加の場合の100倍量以上のDNAが残存していた。塩化マグネシウム、硫化マグネシウムとも、濃度が高くなるほどDNAの残存量は多くなった。
〔実施例5〕金属塩の添加によるスポットDNAの劣化抑制
次に、スポットDNAの劣化を抑制し安定性を高める効果の有無について、数種類の金属塩を対象にスクリーニングを行った。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。調べた金属塩は、周期表2族元素のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの各塩化物である。終濃度が0.1Mまたは 0.5Mとなるように各金属塩の水溶液をプラスミド溶液に加え、各処理区とも4点ずつ60MDPシートにスポットした。スポット当たりのDNA量は200pgとした。スポット直後のサンプルを回収した後、スポットシートを45℃・70%に設定した恒温恒湿機に保存し、7日後・14日後・21日後に各処理区のスポット1点を切り出した。切り出したスポットは50μlの水に溶解し、測定時まで冷凍庫に保存した。RT-PCRによる測定は、溶解液の5μlを用い、実施例1に従って行った。
次に、スポットDNAの劣化を抑制し安定性を高める効果の有無について、数種類の金属塩を対象にスクリーニングを行った。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。調べた金属塩は、周期表2族元素のマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムの各塩化物である。終濃度が0.1Mまたは 0.5Mとなるように各金属塩の水溶液をプラスミド溶液に加え、各処理区とも4点ずつ60MDPシートにスポットした。スポット当たりのDNA量は200pgとした。スポット直後のサンプルを回収した後、スポットシートを45℃・70%に設定した恒温恒湿機に保存し、7日後・14日後・21日後に各処理区のスポット1点を切り出した。切り出したスポットは50μlの水に溶解し、測定時まで冷凍庫に保存した。RT-PCRによる測定は、溶解液の5μlを用い、実施例1に従って行った。
結果を図5に示した(−○−:0.5M、−●−:0.1M、−□−:無添加)。マグネシウム(図5A)同様、カルシウム(図5B)、ストロンチウム(図5C)、バリウム(図5D)に劣化防止効果があることがわかった。周期表の下に位置するものほどDNAの劣化抑制効果は弱いという傾向が見られた。
〔実施例6〕トリス緩衝液の添加によるDNAの劣化防止
尿酸には、濾紙に固定されたDNAの分解を防ぐ効果があることが知られている(米国特許第5496562号明細書)。そこでプリン環化合物についてDNA劣化防止効果のスクリーニングを行った。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。調べた化合物は尿酸、イノシン、アデノシン、アデニン、ヒポキサンチン、テオフィリン、キサントシン、キサンチン、テオブロミン、カフェインである。これらのプリン環化合物は難溶性のものが多いため、すべて100mMトリスに溶解した。濃度は各化合物の溶解度により5mM〜40mMである。100mMトリスのみを添加したものをコントロールとした。実施例4、5と同様に、スポット直後・7日後・18日後にスポットを回収し測定を行った。その結果、コントロールとした100mMトリスに劣化防止効果があることがわかった。尿酸自体には明らかな劣化防止効果は見出されなかった(図6A)(−○−:20mM尿素・100mMトリス、−●−:5mM尿素・100mMトリス、−□−:100mMトリスのみ、−×−:無添加)。その他のプリン環化合物についても明らかな効果は見出せなかった(データ略)。
尿酸には、濾紙に固定されたDNAの分解を防ぐ効果があることが知られている(米国特許第5496562号明細書)。そこでプリン環化合物についてDNA劣化防止効果のスクリーニングを行った。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。調べた化合物は尿酸、イノシン、アデノシン、アデニン、ヒポキサンチン、テオフィリン、キサントシン、キサンチン、テオブロミン、カフェインである。これらのプリン環化合物は難溶性のものが多いため、すべて100mMトリスに溶解した。濃度は各化合物の溶解度により5mM〜40mMである。100mMトリスのみを添加したものをコントロールとした。実施例4、5と同様に、スポット直後・7日後・18日後にスポットを回収し測定を行った。その結果、コントロールとした100mMトリスに劣化防止効果があることがわかった。尿酸自体には明らかな劣化防止効果は見出されなかった(図6A)(−○−:20mM尿素・100mMトリス、−●−:5mM尿素・100mMトリス、−□−:100mMトリスのみ、−×−:無添加)。その他のプリン環化合物についても明らかな効果は見出せなかった(データ略)。
次にトリスそのものの劣化防止効果について調べた。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。トリスの終濃度が0.1M、1M、2MになるようにプラスミドDNA水溶液に加え、実施例4、5と同様に、スポット直後、7日後・13日後・28日後にスポットを回収し、測定した。この結果を図6B(−○−:2Mトリス、−●−:1 Mトリス、−□−:0.1 Mトリス、−×−:無添加)に示す。トリスは濃度依存的にスポットDNAの劣化防止効果を示した。2Mトリスを加えた処理区では、何も加えないものに比較して13日経過後で約136倍、24日経過後で約74倍のDNAが残存していた。
〔実施例7〕マグネシウムとトリスの添加によるスポットDNAの劣化防止効果
次に、スポットDNAの劣化防止効果があることが確認された硫酸マグネシウムおよびトリスを共に添加した系を試した。終濃度が1M硫酸マグネシウム、0.5Mトリスとなるように、硫酸マグネシウム‐トリス溶液をプラスミドDNA溶液に加え、この混合液を60MDPシートにスポットし、45℃、70%RHの条件下で保管した。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。スポットはスポット直後、8日後、14日後、24日後に切り出した。切り出したスポットは100μlの水に溶解し、測定時まで冷凍庫に保存した。RT-PCRによる測定は、溶解液の5μlを用い、実施例1に従って行った。結果を図7Aに示した(−○−:0.5 Mトリス・1M硫酸マグネシウム −●−:0.5 Mトリス −□−:1M硫酸マグネシウム、−×−:無添加)。いずれの溶液にも劣化防止効果が確認されたが、トリス硫酸とマグネシウムを共に加えた場合、ひじょうに高い劣化防止効果が見られ、24日経過した時点においてもDNA量は実験開始時とほぼ変わらなかった。
次に、スポットDNAの劣化防止効果があることが確認された硫酸マグネシウムおよびトリスを共に添加した系を試した。終濃度が1M硫酸マグネシウム、0.5Mトリスとなるように、硫酸マグネシウム‐トリス溶液をプラスミドDNA溶液に加え、この混合液を60MDPシートにスポットし、45℃、70%RHの条件下で保管した。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。スポットはスポット直後、8日後、14日後、24日後に切り出した。切り出したスポットは100μlの水に溶解し、測定時まで冷凍庫に保存した。RT-PCRによる測定は、溶解液の5μlを用い、実施例1に従って行った。結果を図7Aに示した(−○−:0.5 Mトリス・1M硫酸マグネシウム −●−:0.5 Mトリス −□−:1M硫酸マグネシウム、−×−:無添加)。いずれの溶液にも劣化防止効果が確認されたが、トリス硫酸とマグネシウムを共に加えた場合、ひじょうに高い劣化防止効果が見られ、24日経過した時点においてもDNA量は実験開始時とほぼ変わらなかった。
また、1M硫酸マグネシウム‐0.5Mトリス溶液(pH8.0)をあらかじめ60MDPシートにスポットし、乾燥させた後、このスポット上にプラスミド溶液をスポットして45℃、70%RHの条件で保管し、同様の測定を行った(図7B、−○−:0.5 Mトリス・1M硫酸マグネシウム、プラスミド溶液と同時に添加 −●−:1M硫酸マグネシウムをあらかじめスポット後、プラスミド溶液を添加、−□−:0.5 Mトリス−1M硫酸マグネシウムをあらかじめスポット後、プラスミド溶液を添加、−×−:無添加)。この場合も前記の実験同様に、保管後12日以上たった時点で高い劣化抑制効果が確認された。この結果から、あらかじめ硫酸マグネシウム、トリスで処理した60MDP紙を核酸の長期保存用支持体として用いることが可能であることが示された。
さらに高い劣化防止効果を得るために、終濃度が共に1Mとなるような添加溶液の作製を試みた。2M硫酸マグネシウムと2Mトリスを混合したところ、白濁し、硫酸マグネシウムが析出した。そこでトリスのpHを変えて白濁しない条件を探した。その結果、トリスのpHを硫酸の添加によりpH9.0以下に調整した場合には、白濁しないことが明らかになった(データ略)。
〔実施例8〕カルボキシメチルセルロースとマグネシウムの添加によるスポットDNAの劣化防止効果
トリスとマグネシウムによる劣化防止効果が一般の非水溶性の紙にも適用できるかどうかを調べるため、硫酸マグネシウム及び/またはトリス硫酸溶液を加えたプラスミドをクロマトグラフィー用ろ紙(1CHR、ワットマン社)にスポットし、実施例7と同様の実験を行った。その結果、トリスには劣化防止効果が見られた一方、マグネシウムの劣化防止効果は全く認められなかった(データ略)。この結果から、マグネシウムの劣化防止作用には、水溶紙に含まれているカルボキシメチルセルロースが関わっている可能性が示された。
トリスとマグネシウムによる劣化防止効果が一般の非水溶性の紙にも適用できるかどうかを調べるため、硫酸マグネシウム及び/またはトリス硫酸溶液を加えたプラスミドをクロマトグラフィー用ろ紙(1CHR、ワットマン社)にスポットし、実施例7と同様の実験を行った。その結果、トリスには劣化防止効果が見られた一方、マグネシウムの劣化防止効果は全く認められなかった(データ略)。この結果から、マグネシウムの劣化防止作用には、水溶紙に含まれているカルボキシメチルセルロースが関わっている可能性が示された。
まず、カルボキシメチルセルロース自体の劣化防止作用の有無を調べた。カルボキシメチルセルロースの終濃度が0.25%、0.083%、0.028%になるようにプラスミドDNA水溶液に加え、実施例4、5と同様に、この溶液をクロマトグラフィー用ろ紙(1CHR、ワットマン社)にスポットした。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。スポット直後、5日後・12日後・21日後にスポットを回収し、測定した。この結果を図8A(−○−:0.25%カルボキシメチルセルロース、−●−:0.083%カルボキシメチルセルロース、−□−:0.028%カルボキシメチルセルロース、−×−:無添加)に示す。実験を試みたいずれの濃度においても、ろ紙に固定したプラスミドDNAの劣化を防止する効果は認められず、カルボキシメチルセルロース自体には、劣化防止作用がないことがわかった。
次にカルボキシメチルセルロースの終濃度が0.25%、0.083%、0.028%、硫酸マグネシウムの終濃度が0.25MになるようにプラスミドDNA水溶液に加え、図2Aの実験と同様に、この溶液をクロマトグラフィー用ろ紙(1CHR、ワットマン社)にスポットした。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。スポット直後、5日後・12日後・21日後にスポットを回収し、測定した。この結果を図8A(−○−:0.25M硫酸マグネシウム及び 0.25%カルボキシメチルセルロース、−●−:0.25M硫酸マグネシウム及び 0.083%カルボキシメチルセルロース、−□−:0.25M硫酸マグネシウム及び 0.028%カルボキシメチルセルロース、−×−:0.25M硫酸マグネシウム、−△−:無添加)に示す。マグネシウム存在下においては、カルボキシメチルセルロースは濃度依存的に劣化防止作用を示し、その濃度が0.25%の場合は、21日後の残存DNA量はスポット直後とほぼ変わらなかった。この結果から、固定化DNAの劣化防止には、マグネシウムと水溶紙の成分であるカルボキシメチルセルロースの共存が必要であることが示された。
〔実施例9〕トリスと共通構造を有する物質を用いた緩衝剤の添加によるDNAの劣化防止
主に生体物質の研究に使用されているGoodのバッファーと呼ばれる一群の緩衝液の緩衝剤の中には、TAPS、トリシンなどトリスと共通する構造を有するものがある。これらの化合物のスポットDNA劣化防止効果の有無について調べた。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。調べた化合物はGoodのバッファーと呼ばれる緩衝剤の内、既に効果が確認されているトリスのほか、MES、Bis-Tris、BES、HEPES、 TES、TAPSO、トリシン、TAPSである。各化合物の1M水溶液のpHを下表に示した。各化合物の終濃度が0.1M、0.5MになるようにプラスミドDNA水溶液に加え、実施例4、5と同様に、スポット直後、5日後・13日後にスポットを回収し、測定した。この結果を図9に示した(−●−:0.5 M、−○−:0.1 M、−×−:無添加)。その結果、トリスのほかにTES、TAPSO、トリシン、TAPSに劣化防止効果があることがわかった。これらの化合物は、トリスの主要骨格のアミノ基の水素原子のひとつが置換したものである。このような構造を有さないMES、Bis-Tris、BES、HEPESには、劣化防止効果はなかった。これらの溶液のpHは3前後から11まで様々であったが、pHと劣化防止効果には関係がなかった。以上の結果から、トリスの主要骨格の構造が劣化防止効果に重要な働きをしていることが示された。
主に生体物質の研究に使用されているGoodのバッファーと呼ばれる一群の緩衝液の緩衝剤の中には、TAPS、トリシンなどトリスと共通する構造を有するものがある。これらの化合物のスポットDNA劣化防止効果の有無について調べた。プラスミドDNAは実施例1と同じものを用いた。調べた化合物はGoodのバッファーと呼ばれる緩衝剤の内、既に効果が確認されているトリスのほか、MES、Bis-Tris、BES、HEPES、 TES、TAPSO、トリシン、TAPSである。各化合物の1M水溶液のpHを下表に示した。各化合物の終濃度が0.1M、0.5MになるようにプラスミドDNA水溶液に加え、実施例4、5と同様に、スポット直後、5日後・13日後にスポットを回収し、測定した。この結果を図9に示した(−●−:0.5 M、−○−:0.1 M、−×−:無添加)。その結果、トリスのほかにTES、TAPSO、トリシン、TAPSに劣化防止効果があることがわかった。これらの化合物は、トリスの主要骨格のアミノ基の水素原子のひとつが置換したものである。このような構造を有さないMES、Bis-Tris、BES、HEPESには、劣化防止効果はなかった。これらの溶液のpHは3前後から11まで様々であったが、pHと劣化防止効果には関係がなかった。以上の結果から、トリスの主要骨格の構造が劣化防止効果に重要な働きをしていることが示された。
本発明により、紙などの支持体に固定した生体物質を常温にて安定に保った状態で保管及び/又は配送及び/又は流通することが可能となり、遺伝子関連産業、ライフサイエンス産業ならびに医療産業において、遺伝子材料の保管、配送及び流通に大きく貢献し得る。
<配列番号1>
配列番号1は、マウス完全長cDNA(3021401A19、955塩基対)の塩基配列を示す。
<配列番号2>
配列番号2は、実施例1で用いたプライマーの塩基配列を示す。
<配列番号3>
配列番号3は、実施例1で用いたプライマーの塩基配列を示す。
配列番号1は、マウス完全長cDNA(3021401A19、955塩基対)の塩基配列を示す。
<配列番号2>
配列番号2は、実施例1で用いたプライマーの塩基配列を示す。
<配列番号3>
配列番号3は、実施例1で用いたプライマーの塩基配列を示す。
Claims (32)
- 金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定し、該生体物質が固定された支持体を保管及び/又は配送及び/又は流通することを含む、生体物質の保管及び/又は配送及び/又は流通方法。
- pH 5〜11の条件下で生体物質を支持体に固定する請求項1記載の方法。
- 金属塩を形成する金属が周期表2族元素である請求項1又は2に記載の方法。
- 周期表2族元素がマグネシウム又はカルシウムである請求項3記載の方法。
- 金属塩の濃度が0.1 M以上で溶解度以下である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 両性イオン緩衝液の緩衝剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであって、前記トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのアミノ基はモノ置換されていてもよい請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン及びN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項6記載の方法。
- 両性イオン緩衝液がグッドの緩衝液又はトリス緩衝液である請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- カルボキシメチルセルロースの存在下で生体物質を支持体に固定する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 支持体が、非水溶性、水分解性及び/又は水溶性の材料で作られたものである請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 支持体が紙である請求項10記載の方法。
- 生体物質が固定された支持体をキット化することをさらに含む請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- 少なくとも生体物質が固定された支持体が本又はシートの形態をとるキットである請求項12記載の方法。
- 生体物質が核酸である請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加され、かつ生体物質が固定されている前記支持体。
- 金属塩を形成する金属が周期表2族元素である請求項15記載の支持体。
- 周期表2族元素がマグネシウム又はカルシウムである請求項16記載の支持体。
- 両性イオン緩衝液の緩衝剤が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンであって、前記トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンのアミノ基はモノ置換されていてもよい請求項15〜17のいずれかに記載の支持体。
- アミノ基がモノ置換されていてもよいトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−2−アミノエタンスルホン酸、3−[N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミノ]−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチルグリシン及びN−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項18記載の支持体。
- 両性イオン緩衝液の緩衝剤がグッドの緩衝液の緩衝剤又はトリスである請求項15〜19のいずれかに記載の支持体。
- 支持体にカルボキシメチルセルロースがさらに添加されている請求項15〜20のいずれかに記載の支持体。
- 支持体が、非水溶性、水分解性及び/又は水溶性の材料で作られたものである請求項15〜21のいずれかに記載の支持体。
- 支持体が紙である請求項22記載の支持体。
- 生体物質が核酸である請求項15〜23のいずれかに記載の支持体
- 請求項15〜24のいずれかに記載の支持体を含むキット。
- 少なくとも生体物質が固定されている支持体が本又はシートの形態をとる請求項25記載のキット。
- 金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の存在下で生体物質を支持体に固定することを含む、生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための支持体の製造方法。
- 生体物質を保管及び/又は配送及び/又は流通するための媒体であって、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤が添加されている支持体からなる前記媒体。
- 請求項28記載の媒体、該媒体に生体物質を固定させるためのツール、試薬及び装置を組み合わせたキット。
- 生体物質が核酸である請求項29記載のキット。
- 生体物質を固定するための支持体、該支持体に生体物質を固定させるためのツール、金属塩及び/又は両性イオン緩衝液の緩衝剤を含む試薬及び装置を組み合わせたキット。
- 生体物質が核酸である請求項31記載のキット。
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2005
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