JP2007116862A - モータ駆動制御装置及びそれを搭載した電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】外付けA/D変換器を用いることなく電流検出の分解能を向上し、高負荷時の電流ピーク値を低減して出力トルクを大きくしたモータ駆動制御装置及びそれを用いた電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】指令値に対する正弦波駆動の電流指令値を電流指令値演算部で演算し、前記電流指令値に対してベクトル制御でモータを駆動し、前記モータの回転角度及び角速度を検出して前記電流指令値演算部に入力すると共に、前記モータのモータ実電流をディジタル値でフィードバックするようになっているモータ駆動制御装置において、前記モータの負荷出力が所定値を超えたときに重畳指令信号を出力する重畳判定部と、前記重畳指令信号が出力されたときに3次高調波を生成する3次高調波生成部と、前記3次高調波を前記電流指令値に重畳して前記電流指令値を修正する電流指令値修正部とを設ける。
【選択図】 図2

Description

本発明は、モータを駆動するモータ駆動制御装置及びそれを搭載し、自動車や車両の操舵系にモータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置に関し、特に高負荷時に最適な機能を発揮するモータ駆動制御装置及びそれを搭載した電動パワーステアリング装置に関する。
従来一般的なモータの駆動制御装置において、モータのトルクリップル、騒音や振動の観点から正弦波電流駆動が用いられている。これは、モータの誘起電圧波形又は磁束分布が正弦波であれば、正弦波電流を印加することでトルクは理論的に一定値となり、トルクリップルは発生しないことを利用している。モータ最大電流は、モータへの電力供給手段であるインバータ回路等のパワースイッチング素子の最大許容電流及びモータの減磁特性や銅損による熱定格等により決められる。
また、モータの電流を正確に制御するために、モータに実際に流れる実電流を電流検出器により検出し、マイコンやCPU等で成る電流制御コントローラにフィードバックしている。この場合、電流制御の分解能は、A/D変換器の電流検出分解能及び最大検出電流により決まる。例えば正弦波通電でモータ最大電流100Arms(片側ピーク値約141.4A、ピーク−ピーク(peak-to peak)値約283A)、A/D変換器の分解能が10ビットの場合、電流検出分解能は0.27A/LSB(Least Significant Bit)(283A/1024LSB)となる。
一方、自動車や車両のステアリング装置をモータの回転力で補助負荷付勢(アシスト)する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を、減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に補助負荷勢するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、アシストトルク(操舵補助力)を正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流指令値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデューティ比の調整で行っている。
ここで、電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図7に示して説明すると、操向ハンドル1のコラム軸2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4A及び4B、ピニオンラック機構5を経て操向車輪のタイロッド6に連結されている。コラム軸2には、操向ハンドル1の操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、操向ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介してコラム軸2に連結されている。パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット30には、バッテリ14から電力が供給されると共に、イグニッションキー11からイグニッション信号が供給され、コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルク値Tと車速センサ12で検出された車速Vとに基づいて、アシストマップ等を用いてアシスト指令の操舵補助指令値Iの演算を行い、演算された操舵補助指令値Iに基づいてモータ20に供給する電流を制御する。
コントロールユニット30は主としてCPU(MPU(Micro Processor Unit)も含む)で構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと図8のようになる。
図8を参照してコントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出された操舵トルク値T及び車速センサ12で検出された車速Vは、電流指令値Irefを演算する電流指令値演算部31に入力される。電流指令値演算部31は、入力された操舵トルク値T及び車速Vに基づいてアシストマップ等を用いて、モータ20に供給する電流の制御目標値である電流指令値Irefを決定する。電流指令値Irefは加算器32Aを経て電流制限部33に入力され、最大電流を制限された電流指令値Irefmが減算器32Bに入力され、フィードバックされているモータ電流値Imとの偏差I(Iref−Im)が演算され、その偏差が操舵動作の特性改善のためのPI制御部35に入力される。PI制御部35で特性改善された操舵補助指令値VrefがPWM制御部36に入力され、更に駆動部としてのインバータ回路37を介してモータ20がPWM駆動される。モータ20の電流値Imはモータ電流検出器38で検出され、減算器32Bにフィードバックされる。インバータ回路37は駆動素子(パワースイッチング素子)としてFETが用いられ、FETのブリッジ回路で構成されている。なお、電流制限部33はなくても良い。
また、加算器32Aには補償部34からの補償信号CMが加算されており、補償信号CMの加算によってシステム系の補償を行い、収れん性や慣性等を改善するようになっている。補償部34は、セルフアライニングトルク(SAT)343と慣性342を加算部344で加算し、その加算結果に更に収れん性341を加算部345で加算し、加算部345の加算結果を補償信号CMとしている。
ここにおいて、従来のモータ駆動方式は電流が正弦波であるため、トルクを発生させるために必要な電流の実効値に対し、ピーク電流が√2倍であるので、モータを大電流駆動する場合、電流検出の分解能が低くなる問題があった。かかる問題に対して、マイコンなどの他に高分解能のA/D変換器を搭載し、マイコンにシリアル又はパラレルのディジタル通信を用いて電流検出分解能を向上させる手段も利用されているが、高分解能のA/D変換器を用いることはコストアップになると共に、基板スペースの上で不都合であるといった問題がある。
更に、モータ最大トルクがパワースイッチング素子の最大許容電流で制約されている場合は、高トルクを出力するためにモータの設計変更又はパワースイッチング素子を大容量のものに変更しなければならないという問題がある。
モータの駆動でアシスト力を付与する電動パワーステアリング装置においても同様な問題がある。
本発明は上述のような事情からなされたものであり、本発明の目的は、外付けA/D変換器を用いることなく電流検出の分解能を向上し、高負荷時の電流ピーク値を低減して出力トルクを大きくしたモータ駆動制御装置及びそれを用いた電動パワーステアリング装置を提供することにある。
本発明は、指令値に対する正弦波駆動の電流指令値を電流指令値演算部で演算し、前記電流指令値に対してベクトル制御でモータを駆動し、前記モータの回転角度及び角速度を検出して前記電流指令値演算部に入力すると共に、前記モータのモータ実電流をディジタル値でフィードバックするようになっているモータ駆動制御装置に関し、本発明の上記目的は、前記モータの負荷出力が所定値を超えたときに重畳指令信号を出力する重畳判定部と、前記重畳指令信号が出力されたときに3次高調波を生成する3次高調波生成部と、前記3次高調波を前記電流指令値に重畳して前記電流指令値を修正する電流指令値修正部とを設けることにより達成される。
本発明の上記目的は、前記重畳判定部が前記モータの負荷出力を前記指令値で判定することにより、或いは前記重畳判定部が前記モータの負荷出力を前記電流指令値で判定することにより、或いは前記重畳判定部が前記モータの負荷出力を前記モータ実電流で判定することにより、或いは前記重畳判定部が前記モータの負荷出力が所定値#1を超え、所定値#2(>所定値#1)以下の範囲で前記重畳指令信号を出力することにより、或いは前記指令値がトルク指令値であることにより、或いは前記重畳判定部の判定が、前記ベクトル制御のq軸電流指令値を電流指令値として判定することにより、より効果的に達成される。
また、本発明は電動パワーステアリング装置に関し、指令値に対する正弦波駆動の電流指令値を電流指令値演算部で演算し、前記電流指令値に対してベクトル制御でモータを駆動し、前記モータの回転角度及び角速度を検出して前記電流指令値演算部に入力すると共に、前記モータのモータ実電流をディジタル値でフィードバックするようになっているモータ駆動制御装置であり、前記モータの負荷出力が所定値を超えたときに重畳指令信号を出力する重畳判定部と、前記重畳指令信号が出力されたときに3次高調波を生成する3次高調波生成部と、前記3次高調波を前記電流指令値に重畳して前記電流指令値を修正する電流指令値修正部とを設けたモータ駆動制御装置をモータ制御に搭載することにより、本発明の目的である電動パワーステアリング装置が達成される。
本発明によれば、モータの高負荷時に正弦波電流に3次高調波を重畳させることで、あるトルクを発生させるための電流の実効値が3次高調波を重畳させる前と同一値かつ電流のピーク値を小さくすることができるので、高精度なA/D変換器を用いることなく電流検出の分解能を向上させることができる。電流ピーク値を小さくすることができるため、電流分解能を細かくできると共に、定格電流の小さなパワースイッチング素子を使用することができる。
また、FET等のパワースイッチング素子の最大許容電流という制約条件下で3次高調波を重畳させるようにしているので、電流ピーク値を3次高調波を重畳させる前と同一値に保ちながら電流実効値を大きくすることができ、高トルク出力を実現できるという効果がある。
本発明では、正弦波駆動におけるモータの高負荷時に、正弦波電流指令値に3次高調波を重畳させている。これにより、トルクを発生させるための電流の実効値が3次高調波を重畳させる前と同一値かつ電流のピーク値を小さくすることができ、ピーク値を小さくできるために高精度なA/D変換器を用いなくても電流検出分解能を向上させることができる。
また、本発明では、FET等のパワースイッチング素子の最大許容電流という制約条件の下で、正弦波電流に3次高調波を重畳させており、電流ピーク値を3次高調波を重畳させる前と同一値に保ちながら、電流実効値を大きくすることができるので、モータ出力を大きくすることができる。
以下に、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
先ず本発明を適用できるモータのベクトル制御系について、図1を参照して説明する。
電動パワーステアリング装置のモータを制御するための典型的な制御方法の1つであるベクトル制御は、例えば特開2001−18822号公報に開示されており、図1は上記公報で開示された電動パワーステアリング装置の制御装置のブロック構成図である。この図1におい、トルクセンサ(図示せず)から検出される操舵トルクTrに基づいてトルク指令値演算部(図示せず)において演算されたトルク指令値Trefと、モータ108の電気角である回転角度θと、モータ108の角速度ωとが電流指令値演算部204に入力される。電流指令値演算部204はq軸成分の電流指令値Iqrefとd軸成分の電流指令値Idrefを算出するが、通常電流指令値Iqrefはトルク指令値Trefに比例し、電流指令値Idrefは0である(つまり、通常はIdref=0である)。一方、モータ108の回転角度θや角速度ωを検出するために、角度検出器としてレゾルバ201が取付けられている。レゾルバ201から出力される信号はディジタル値の回転角度θを示していないので、A/D変換器としてのRDC(レゾルバ/ディジタル変換)回路などで構成される回転角度検出部202において、ディジタル値の回転角度θ及び角速度ωが算出される。
本制御ブロック図はフィードバック制御を例として示しており、前述したq軸電流指令値Iqref及びd軸電流指令値Idrefに対して、モータ108の実際のモータ電流Ia,Ib,Icを検出してフィードバックして制御する必要がある。具体的には電流検出器205−1及び205−2においてモータ電流Ia及びIcがそれぞれ検出され、モータ電流Ibは、Ia+Ib+Ic=0の関係から減算部207−3においてIb=−(Ia+Ic)として算出される。電流検出器205−1及び205−2において検出され、減算部207−3で3相にされたモータ電流Ia〜Icは、A/D変換器220によってディジタル値に変換されて3相/2相変換部206に入力され、ベクトル制御のために3相/2相変換部206でモータ電流Iq、Idに変換される。この変換に、前述したモータの回転角度θが利用される。次に、モータ電流Iq,Idは減算部207−1,207−2にそれぞれフィードバックされ、減算部207−1でq軸電流指令値Iqrefとモータ電流Iqとの偏差ΔIqが算出され、減算部207−2でd軸電流指令値Idref(通常はIdref=0である)とモータ電流Idとの偏差ΔIdが算出される。
これらの偏差を0とするように偏差ΔIq及びΔIdが比例積分(PI)制御部208に入力され、電圧指令値Vdref,Vqrefが出力される。そして、実際のモータ108には3相の電流を供給する必要があるので、電圧指令値Vdref,Vqrefは2相/3相変換部209で3相の電圧指令値Varef,Vbref,Vcrefに変換される。PWM制御部210は電圧指令値Varef,Vbref,Vcrefに基づいてPWM制御信号を発生し、インバータ回路211はこのPWM制御信号に基づきモータ108に電流を供給してq軸電流指令値Iqref及びd軸電流指令値Idrefとの偏差が0となるようにモータ電流Ia、Ib,Icを供給する。
以上がモータのベクトル制御についての説明であるが、次に本発明の実施例の構成を、図1に対応させて図2に示して説明する。
本発明では、回転角度検出部202からの回転角度θ及び角速度ωに基づいて3次高調波S3を生成する3次高調波生成部230と、A/D変換器220からの電流Ia,Ib,Ic、トルク指令値Tref及びq軸電流指令値Iqrefを入力して3次高調波生成のための重畳指令信号SCを出力する重畳判定部231と、d軸電流指令値Idref及び3次高調波を加算する加算部241とq軸電流指令値Iqref及び3次高調波を加算する加算部242とで成る電流指令値修正部240とを設けている。
このような構成において、重畳判定部231はq軸電流指令値Iqref、電流Ia,Ib,Ic又はトルク指令値Trefが所定値以上か否かを判定し、いずれかが所定値以上となったときに重畳指令信号SCを出力する。3次高調波生成部230に重畳指令信号SCが入力されると、3次高調波生成部230は回転角度θ及び角速度ωに基づいて3次高調波S3を加算部241及び242に入力して、d軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefに3次高調波を重畳させる。3次高調波を重畳されたd軸電流指令値Idrefs及びq軸電流指令値Iqrefsがそれぞれ減算部207−2及び207−1に入力され、前述と同様な制御を実行する。本発明において、d軸電流指令値Idrefを判定基準としないのは、モータ108の最大トルク近傍を出力するときはq軸電流を最大とし、d軸電流を0とするのが一般的であるからである。
ここで、3次高調波重畳電流制御に関する本発明の動作を説明する。
重畳判定部231は、q軸電流指令値Iqref、又は実電流値Ia,Ib,Ic、又はトルク指令値Trefが予め決められた閾値Th1を超えたときに重畳指令信号SCを出力し、閾値Th2(>Th1)を超えたときに重畳指令信号SCの出力を停止する。つまり、閾値Th1<値<閾値Th2の範囲で重畳指令信号SCを出力し、負荷が高負荷でモータ108の最大トルクを出力するように、3次高調波を電流指令値に重畳するか否かを判定する。
重畳指令信号SCが入力されると、3次高調波生成部230は3次高調波S3を生成して出力する。3次高調波生成部230は、d軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを3相変換する際にモータ角度検出部202からの3倍値を用いて変換し、前もって決めたゲインを乗算して3次高調波S3を生成する。dq/3相変換式は一般に使用されている変換式なので省略するが、3次高調波S3を重畳するのは最大トルク近傍を出力する時なので、d軸電流は0として変換する。
次に本発明を、電流検出精度向上の用途で使用した場合を説明する。
モータトルクの演算式は、下記(1)式のようになる。ただし、Kはモータ固有係数、Ia,Ib,Icは3相各相電流、Ba,Bb,Bcは3相各相磁束密度である。

T=K(Ia・Ba+Ib・Bb+Ic・Bc) ・・・(1)

正弦波電流の場合と3次高調波重畳電流の場合のa相電流Iaを、(2)式及び(3)式に示す。ただし、Imは電流振幅値、Gはゲインである。

正弦波電流時 Ia=Im・sinωt ・・・(2)
3次高調波重畳電流時 Ia=Im・(sin(ωt)+G・sin(3ωt)) ・・・(3)

磁束密度が振幅“1”の正弦波分布で、モータ固有係数K=1,電流振幅値Im=1,ゲインG=1/6の場合、その3次高調波とトルクの波形例を図3に示す。図3において、波形Aが正弦波a相電流であり、波形Bが3次高調波であり、特性Cがトルクを示しており、図3から分かるように同じトルクを出力するための電流ピーク値は、正弦波電流が1であるのに比べて3次高調波重畳電流は約0.866となり、ピーク電流の比は正弦波電流に対して3次高調波重畳電流の約0.866倍となる。そして、モータの最大トルクを出力するための電流振幅値Imが150Aの時、A/D変換器の分解能が10ビットであると、電流検出分解能は、正弦波電流の場合、ピーク−ピーク(peak-to-peak)電流が300Aなので約0.293A/LSBであるのに対し、3次高調波重畳電流の場合、ピーク−ピーク電流が約260Aなので約0.253A/LSBであり、電流検出精度を向上することができる。
次に、本発明をトルク向上の用途で使用した場合を説明する。
モータの最大トルクは、モータ駆動回路のパワースイッチング素子の最大許容電流及びモータの減磁特性や銅損による熱定格等により決まる。パワースイッチング素子の最大許容電流に最大トルクが制限されている場合、モータ電流のピーク値により最大トルクが決まる。前記(2)式及び(3)式より、ピーク電流が等しくなるように各々の電流振幅値Imを決定した際の電流波形及びトルク波形の例を図4に示す。図4において、波形Aは正弦波a相電流であり、波形Bは3次高調波重畳a相電流であり、特性C1は正弦波電流時のトルクを示し、特性C2は3次高調波重畳時のトルクを示している。この図4から、正弦波電流時のトルクが1.5であるのに対し、3次高調波重畳電流時のトルクは1.7325となり、正弦波電流時のトルクに対して3次高調波重畳電流時のトルクは1.155倍されることが分かる。よって、3次高調波重畳電流によって、モータの最大トルクを大きくすることができる。
本実施例ではゲインGを1/6と設定し、判定により重畳するか否かを決定しているが、ゲインGを可変させた場合の電流波形の一例を図5に示す。図5において、特性#1がG=1/6の場合、特性#2がG=1/9の場合、特性#3がG=1/18の場合、特性#4がG=1/90の場合をそれぞれ示している。この図5から、ゲインGとして1/6が最適であることが分かる。
また、その電流ピーク値と含有率の一例を図6に示す。図6において、特性Dは1次電流ピーク値であり、特性Eは3次電流ピーク値であり、特性Fは重畳電流ピーク値であり、特性Gは3次含有率を示している。図6から3次電流の重畳によって、重畳電流のピーク値が低下することが分かる。
なお、モータ電流のピーク値を低減する方法として、3次高調波だけではなく、9次高調波などの高調波を重畳しても良い。ただし、高次であればあるほど、1次の正弦波電流に対し、電流制御帯域の面から遅れが生じる問題がある。また、本実施例では高負荷時にのみ3次高調波を重畳させているが、全負荷領域において3次高調波重畳しても良い。ただし、モータの特性上高負荷時に比べて低負荷時はモータ回転速度を高く動作させることができるので、電流帯域により遅れが生じる問題がある。
なお、本発明のモータ駆動制御装置は、操舵トルクをモータでアシストする電動パワーステアリング等に使用することができる。
電動パワーステアリング装置で使用した場合、モータへの最大電流は、モータが最大トルクを発生する据え切り時であり、モータ回転速度は低いので、3次高調波電流重畳電流は遅れることなく制御することができる。また、電動パワーステアリング装置はトルクセンサを内蔵しており、トルクセンサが出力するアシストトルクが閾値を超えた際に3次高調波電流を正弦波電流指令に重畳させても良いし、電流指令値及び実電流検出値のどれかが閾値を超えた際、高調波電流を正弦波電流指令値に重畳させても良い。また閾値超過時間判定手段を用いて、閾値を超過する時間を計測し、判定時間を超過した場合に重畳させるようにしても良い。さらに、重畳切換え時のチャタリングを防止するため、ヒステリシスを用いて重畳のON/OFFを切換えても良い。
電動パワーステアリング装置で電流検出分解能を向上する用途で本発明を実施した場合には電流制御の分解能が向上するので、アシストトルクを高精度で制御することができる。また、トルク向上用途で使用した場合には既存のコントロールユニットのソフトを変更するだけで、高トルクを出力することが可能となる。
本発明のモータ駆動制御装置は、モータによって高負荷で駆動する産業機械に適用可能であり、特に電動パワーステアリングへの適用によって高性能で大トルク出力の電動パワーステアリング装置を実現することができ、大型車両での電動パワーステアリング装置に最適である。
本発明を適用できる電動パワーステアリング装置のベクトル制御系の一例を示すブロック構成図である。 本発明の実施例を示すブロック構成図である。 3次高調波電流重畳の電流ピーク値低減効果を示す波形図である。 3次高調波電流重畳のトルク向上効果の一例を示す特性図である。 ゲインGを可変した場合の電流波形の一例を示す特性図である。 電流ピーク値の比較例を示す特性図である。 一般的な電動パワーステアリング装置の構成例を示す図である。 コントロールユニットの一例を示すブロック構成図である。
符号の説明
1 操向ハンドル
2 コラム軸
3 減速ギア
10 トルクセンサ
11 イグニッションキー
12 車速センサ
14 バッテリ
20、108 モータ
30 コントロールユニット
31、204 電流指令値演算部
33 電流制御部
34 補償部
35、208 PI制御部
36、210 PWM制御部
37、211 インバータ回路
201 レゾルバ
202 回転角度検出部
209 2相/3相変換部
220 A/D変換器
230 3次高調波生成部
231 重畳判定部
240 電流指令値修正部

Claims (8)

  1. 指令値に対する正弦波駆動の電流指令値を電流指令値演算部で演算し、前記電流指令値に対してベクトル制御でモータを駆動し、前記モータの回転角度及び角速度を検出して前記電流指令値演算部に入力すると共に、前記モータのモータ実電流をディジタル値でフィードバックするようになっているモータ駆動制御装置において、前記モータの負荷出力が所定値を超えたときに重畳指令信号を出力する重畳判定部と、前記重畳指令信号が出力されたときに3次高調波を生成する3次高調波生成部と、前記3次高調波を前記電流指令値に重畳して前記電流指令値を修正する電流指令値修正部とを具備したことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  2. 前記重畳判定部が前記モータの負荷出力を前記指令値で判定するようになっている請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  3. 前記重畳判定部が前記モータの負荷出力を前記電流指令値で判定するようになっている請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  4. 前記重畳判定部が前記モータの負荷出力を前記モータ実電流で判定するようになっている請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  5. 前記重畳判定部が前記モータの負荷出力が所定値#1を超え、所定値#2(>所定値#1)以下の範囲で前記重畳指令信号を出力するようになっている請求項1に記載のモータ駆動制御装置。
  6. 前記指令値がトルク指令値である請求項2に記載のモータ駆動制御装置。
  7. 前記重畳判定部の判定が、前記ベクトル制御のq軸電流指令値を電流指令値として判定するようになっている請求項3に記載のモータ駆動制御装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のモータ駆動制御装置を電動パワーステアリングのモータ制御に搭載したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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