JP2007097462A - 液体麹の製造法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】培養原料として、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類を含む液体培地と、表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類を含む液体培地と、細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアを含む液体培地と、から選ばれた少なくとも1種の液体培地で紅麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造法、並びに前記方法により得られた液体麹を用いて発酵飲食品の製造を行う発酵飲食品の製造法。
【選択図】なし
Description
しかしながら、例えば、焼酎醸造に必要な酵素活性が十分に得られない等の理由から、麹菌を液体培養して得られる培養物を、実際に焼酎麹として用いた例は少ない。ここで、液体培養法で得られる培養物とは、液体培養法で得られる培養物そのもの(以下、液体麹と称することがある)の他、培養液、菌体、それらの濃縮物又はそれらの乾燥物であってもよい。
その結果、本発明者らは、本発明者らが既に開発している、培養原料として、表面が穀皮が覆われた穀類を含む液体培地で白麹菌及び/又は黒麹菌を培養して、培養物中にグルコアミラーゼと耐酸性α−アミラーゼとを同時に生成、蓄積させることにより、グルコアミラーゼ及び耐酸性α−アミラーゼ活性の高い液体麹を製造する方法(例えば、特願2004−350661号)において、白麹菌及び/又は黒麹菌の代わりに紅麹菌を用いることにより、紅麹菌を用いた液体麹を製造することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
さらに、本発明は、上記のような紅麹菌を用いた液体麹を使用して、効率よく焼酎などの発酵飲食品を製造する方法を提供することを目的とするものである。
請求項2に係る本発明は、請求項1記載の方法により得られた液体麹を用いて発酵飲食品の製造を行う発酵飲食品の製造法を提供するものである。
しかも、得られた米焼酎は、通常の白麹菌を用いた米焼酎に比べて、スッキリとしたフルーティーな香味がある。
従って、本発明は、焼酎などの発酵飲食品製造における更なるバラエティー化に貢献することができる。
請求項1に係る本発明は、液体麹の製造法に関し、培養原料として、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類を含む液体培地と、表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類を含む液体培地と、細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアを含む液体培地と、から選ばれた少なくとも1種の液体培地で紅麹菌を培養することを特徴とするものである。
例えば、穀類が大麦の場合、未精白の精白歩合100%のもの、或いは未精白の精白歩合を100%とし、この未精白の精白歩合(100%)から大麦の穀皮歩合(一般的には7〜8%)を差し引いた割合、すなわち92〜93%程度の精白歩合以上のものである。
培養原料のアマランサスとキヌアは、単独で用いてもよく、或いは組み合わせて用いてもよい。これらは、細砕や粉砕などの前処理をすることなく、液体培地の調製に用いる。
すなわち、上記の培養原料は、水と混合して液体培地を調製する。原料の配合割合は、麹菌の培養中にグルコアミラーゼ及び耐酸性α−アミラーゼが選択的に生成、蓄積される程度のものに調整される。
例えば、大麦または裸麦を培養原料とした場合には、水に対して大麦または裸麦を1〜20%(w/vol)添加した液体培地に調製される。また、無精白の大麦または裸麦を用いた場合には、さらに好ましくは8〜10%(w/vol)添加した液体培地に調製され、95%精白した大麦または裸麦を原料とした場合には、さらに好ましくは1〜4%(w/vol)添加した液体培地に調製される。
次に、籾殻を除いた玄米を培養原料とした場合には、水に対して玄米を1%(w/vol)から20%(w/vol)、好ましくは5%(w/vol)から13%(w/vol)、より好ましくは8%(w/vol)から10%(w/vol)を添加した液体培地に調製される。
なお、培養原料の使用量が上限値を超えると、培養液の粘性が高くなり、紅麹菌を好気培養するために必要な酸素や空気の供給が不十分となり、培養物中の酸素濃度が低下して、培養が進み難くなるので好ましくない。一方、培養原料の使用量が下限値に満たないと、目的とする酵素が高生産されない。
これらの添加物は、麹菌の培養に一般に使用されているものであれば特に限定はないが、有機物としては米糠、小麦麩、コーンスティープリカー、大豆粕、脱脂大豆等を、無機塩としてはアンモニウム塩、硝酸塩、カリウム塩、酸性リン酸塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の水溶性の化合物を挙げることができ、2種類以上の有機物及び/又は無機塩を同時に使用してもよい。これらの添加量は、麹菌の増殖を促進する程度であれば特に限定はないが、有機物としては0.1〜5%(w/vol)程度、無機塩としては0.1〜1%(w/vol)程度添加するのが好ましい。
このようにして得られる紅麹菌の液体培地は、必要に応じて滅菌処理を行なってもよく、処理方法には特に限定はない。例としては、高温高圧滅菌法を挙げることができ、121℃で15分間行なえばよい。
請求項1に係る本発明で用いる紅麹菌として具体的には、例えばモナスカス・パープレウス(Monascus purpureus)NBRC4478、NBRC4482、NBRC4484、NBRC4485、NBRC4486、NBRC4489、NBRC5965などを挙げることができる。
紅麹菌は、一種を単独で用いてもよいし、或いは2種以上を併用してもよい。また、培地に接種する紅麹菌の形態は任意であり、胞子又は菌糸を用いることができる。
培養装置は液体培養を行なうことができるものであればよいが、紅麹菌は好気培養を行なう必要があるので、酸素や空気を培地中に供給できる好気的条件下で行なう必要がある。
また、培養中は培地中の原料、酸素、及び紅麹菌が装置内に均一に分布するように撹拌をするのが好ましい。撹拌条件や通気量については、培養環境を好気的に保つことができる条件であればいかなる条件でもよく、培養装置、培地の粘度等により適宜選択すればよい。
請求項1に係る本発明の製造法で得られた液体麹は、請求項2に記載したように、発酵飲食品(例えば、焼酎、清酒、しょうゆ、みそ、みりん等)の製造に好適に用いることができる。
例えば、焼酎を製造する場合には、もろみ仕込み段階において、清酒を製造する場合には、酒母や各もろみ仕込み段階において、醤油を製造する場合には、盛り込みの段階において、味噌を製造する場合には、仕込み段階において、みりんを製造する場合は、仕込み段階において、液体麹を固体麹の代わりに用いることができる。
(I)液体麹の製造
1)前培養方法;90%精米(茨城県産コシヒカリ)8gと水100mlを500mlバッフル付三角フラスコに張り込み、121℃、15分間オートクレーブ滅菌を行って、前培養培地とした。この前培養培地に紅麹菌[モナスカス・パープレウス(Monascus purpureus)NBRC4484]の菌糸を1白金耳植菌し、37℃、24時間、100rpmで振とう培養することにより、前培養液を得た。
前記(I)で得られた液体麹について、グルコアミラーゼ(GA)とα−アミラーゼ(AA)の生成量を測定した。
尚、グルコアミラーゼ(GA)の酵素活性の測定には、4−ニトロフェニル−α−D−グルコピラノシル−(1−4)−β−D−グルコピラノシドを基質として用いる糖化力分別定量キット(キッコーマン製)により行った。また、α−アミラーゼ(AA)の酵素活性の測定は、2−クロロ−4−ニトロフェニル−6−アジド−6−デオキシ−β−マルトペントシドを基質として用いるα−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)により行った。
前記(I)で得られた液体麹を用い、以下のようにして米焼酎の製造を行った。
1)使用酵母;焼酎酵母(鹿児島酵母)
2)仕込み配合
仕込み配合は表1に示した通りである。米は、90%精米(茨城県産コシヒカリ)を用い、洗米後、15分間浸漬、10分間水切り、30分間蒸煮したものを使用した。酵母はYPD培地で30℃、48時間静置培養したものを50μl植菌した。
3)発酵条件;25℃一定
4)蒸留条件;減圧蒸留
しかも、得られた米焼酎は、通常の白麹菌を用いた米焼酎に比べて、スッキリとしたフルーティーな香味がある。
従って、本発明は、飲食品製造分野などにおいて有効に利用することが期待される。
Claims (2)
- 培養原料として、表面の全部又は一部が少なくとも穀皮で覆われた穀類を含む液体培地と、表面が外皮で覆われた豆類及び/又は芋類を含む液体培地と、細砕や粉砕などの前処理をしないアマランサス及び/又はキヌアを含む液体培地と、から選ばれた少なくとも1種の液体培地で紅麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造法。
- 請求項1記載の方法により得られた液体麹を用いて発酵飲食品の製造を行う発酵飲食品の製造法。
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