JP2007092730A

JP2007092730A - タービン車室の気体流出防止方法

Info

Publication number: JP2007092730A
Application number: JP2005286910A
Authority: JP
Inventors: Hiroshi Fujita; 浩史藤田; Ryoji Ishizaki; 良二石崎; Tetsuya Tsukushi; 哲也筑紫
Original assignee: JFE Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 2005-09-30
Filing date: 2005-09-30
Publication date: 2007-04-12

Abstract

【課題】タービン車室の上下車室フランジ面の結合部からの蒸気漏れまたはガス漏れ防止方法を提供する。
【解決手段】隙間を生じるようになった上下のフランジ面を肉盛補修し、その後、機械加工により平面とする。
【選択図】図５

Description

本発明は、蒸気タービン、ガスタービン等におけるタービン車室からの蒸気漏れまたはガス漏れ防止方法に関し、上下車室フランジ結合部からの蒸気漏れまたはガス漏れ防止方法に関する。

発電設備の蒸気タービンの車室は、上部車室と下部車室に分割され、其々のフランジをボルト結合する構造となっている。長期間使用した場合、フランジの合せ面に外開きの隙間が生じ、車室内部の蒸気がこの隙間から噴出することがある。

図６は蒸気漏れの発生状況を、図７は蒸気漏れが発生する箇所の拡大図を示す。タービン車室は上部車室１と下部車室２に分割され、上部車室１のフランジ１１と下部車室２のフランジ２１は下部車室２のフランジ２１に植え込まれたボルト３をナット４で締め付けることにより結合されている。

長期間使用すると上下フランジ１１と２１の肌合わせ面に隙間５が発生し、車室内を循環する蒸気ａの一部が漏れ蒸気ｂとして噴出するようになる。

隙間５が発生する原因として車室内外の温度差や車室鋳造後の焼鈍不足による残留応力の存在が指摘され、対策として、温度分布が均一な車室構造の開発や、定期的な点検補修が実施されてきた。

特許文献１はタービン車室の変形量調整装置に関し、車室の外周面に車室温度を調整するための流体を流す伝熱管を固定し、当該伝熱管の内部に高温流体を流して低温側の車室外側を加熱して車室温度を均一化することが記載されている。

定期的な点検補修では隙間５が一定の寸法に達した時点でフランジ面を平面加工し隙間の除去を行っている。
特開平９−１４４５０６号公報

しかしながら、特許文献１記載の変形量調整装置は、車室の外周面に伝熱管を張り巡らせるため構造が複雑で、高温流体循環のため新たな設備増強も必要とされる。

定期的な点検補修においては、平面加工の際、高圧部から低圧部に至るフランジ面の全てを切削加工する必要がありばかりでなく、車室に組み込まれたダイヤフラム等、部品類の一式調整・加工が必要となる。

そのため多くの時間と労力を要し、また、調整過程で各部の隙間が変化するため、試運転に多大な時間を要することはばかりでなく、再調整の可能性もある。
そこで本発明は、簡便な方法を提供することを目的とする。

本発明の課題は以下の手段により達成可能である。
１隙間を生じるようになった上下のフランジ面を肉盛補修し、その後、機械加工により平面とするタービン車室の気体流出防止方法。

本発明によれば、タービン車室の上下フランジ結合部からの蒸気噴出を、フランジ面の肉盛及び機械加工により修復し、設置当初の蒸気漏れのない正常な状態に戻すことを可能とする。

本方法は、ダイヤフラム等の内部部品の加工・調整が不要であり、また、加工範囲が肉盛部分に抑えられることから、工期短縮及びコスト低減に大きな効果があり、産業上極めて有用である。

以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図１は、蒸気漏れが発生した上フランジ１１（または下フランジ２１）の肌合せ面を示し、図において６は上下フランジ面を肌合わせした際に隙間を形成する面（斜線部）、１２は上下フランジ部を締結するボルトの貫通孔（または植え込み孔）を示す。また、７は蒸気口を示す。

本発明は肌合わせした際、隙間を生じるようになった上下のフランジ面を肉盛補修することを特徴とし、上フランジ１１（または下フランジ２１）における面６を肉盛溶接（以下、溶接）する。

図２は下フランジ２１における面６を例として、溶接の下地処理方法の一例を説明する図で、図１のＡ−Ａ断面の一部で下地処理後を示す。面６は、下部車室内部側の端面２１ａから幅ｌ_２を残して、深さｌ_１で面６を平面除去する下地処理を行う。

下地処理はグラインダーを用いて、幅ｌ_２は約５ｍｍ、深さｌ_１は約１ｍｍとすることが好ましい。上フランジ１１における面６も同様に下地処理する。

また、ボルトの貫通孔（または植え込み孔）１２の周囲を溶接する場合も、孔の周囲に同心円状に幅ｌ_２を残して、その外周を深さｌ_１の下地処理をすることが望ましい。

溶接では溶接端部にアンダーカットが発生するとタービン入口蒸気圧が１００ｋｇ／ｃｍ^２程度の高圧のため車室内部の高圧蒸気が流出するため、適切な条件を選定する。例えば、溶接は溶接端では溶接棒を鉛直とし、溶融池を肉盛内に戻す運棒法が有効である。

アンダーカットを防止するため、図３に示すように溶接パス毎に溶接肉盛部９の溶接端部９ａをハンマ８で叩き、アンダーカット９ｂを点線で示したように盛り上げるなどの処理を行う。尚、溶接部の応力除去のため、溶接パス毎に溶接部をハンマで叩くなどのピーニングを行うことが望ましい。

更に、高圧蒸気が漏出し易いダイヤフラム箇所等のシールを要する箇所は溶接端面の角出しを行うため、細径の溶接棒を用いて低電流でシート面外まで溶接部を盛り上げ、はみだした部分を機械加工で削除することが好ましい。

一方、シート面以外の溶接は、溶接後の端面仕上げを省略するため面の外周側を５ｍｍ程度残して溶接すると、溶接能率が向上し、作業コストが低減されて好ましい。

また、フランジの変形防止のため、フランジ本体温度は３５０℃以下、好ましくは１００℃以下とし、低電流を用いることが望ましい。

溶接後、肉盛部を平面加工する。図４に平面加工機の一例を、図５に図４の平面加工機による加工状況を模式的に示す。平面加工機１０は門型の架台１３０に吊下げ式の走行台車１１０が取り付けられ、走行台車１１０には切削機１２０が懸架されている。

肉盛部の平面加工では、平面加工機１０を下フランジ２１の肉盛溶接された面６を跨ぐように配置し、肉盛部が段差のないように切削する。肉盛溶接された面６のボルト孔周辺部も同時に切削する。

本発明に係るタービン車室の蒸気漏れ防止方法によれば、蒸気漏れするフランジ面の肉盛および機械加工のみで上下フランジ面を隙間のない状態に肌合わせすることが可能となる。また、溶接棒の選定を適切に行うことにより、フランジ部の材質によらず適用可能である。

蒸気漏れが発生した上（下）フランジ部の平面図。肉盛溶接用の下地処理を示す図。アンダーカット対策の一例を示す図。平面加工機の一例を示す平面図。図４に示す平面加工機による加工状況を説明する図。蒸気漏れの状況を説明する図。図６の蒸気漏れ発生個所の拡大図。

符号の説明

１上部車室
２下部車室
３ボルト
４ナット
５隙間
６隙間を形成する面（斜線部）
７蒸気口
８ハンマ
９溶接肉盛部
９ａ溶接端部
９ｂアンダーカット
１０平面加工機
１１上フランジ部
１２ボルトの貫通孔（または植え込み孔）
２１下フランジ部
１１０走行台車
１２０切削機
１３０門型の架台

Claims

隙間を生じるようになった上下のフランジ面を肉盛補修し、その後、機械加工により平面とするタービン車室の気体流出防止方法。