〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。最初に、図1〜図9に基づき第1実施形態を説明する。
図1は洗濯機1の全体構成を示す垂直断面図である。洗濯機1は全自動型のものであり、外箱10を備える。外箱10は直方体形状で、金属又は合成樹脂により成形され、その上面と底面は開口部となっている。外箱10の上面開口部には合成樹脂製の上面板11を重ね、外箱10にネジで固定する。図1において左側が洗濯機1の正面、右側が背面であり、背面側に位置する上面板11の上面に同じく合成樹脂製のバックパネル12を重ね、上面板11にネジで固定する。外箱10の底面開口部には合成樹脂製のベース13を重ね、外箱10にネジで固定する。これまでに述べてきたネジはいずれも図示しない。
ベース13の四隅には外箱10を床の上に支えるための脚部14a、14bが設けられている。背面側の脚部14bはベース13に一体成型した固定脚である。正面側の脚部14aは高さ可変のネジ脚であり、これを回して洗濯機1のレベル出しを行う。
上面板11には後述する洗濯槽に洗濯物を投入するための洗濯物投入口15が形設される。洗濯物投入口15を蓋16が上から覆う。蓋16は上面板11にヒンジ部17で結合され、垂直面内で回動する。
外箱10の内部には水槽20と、脱水槽を兼ねる洗濯槽30を配置する。水槽20も洗濯槽30も上面が開口した円筒形のカップの形状を呈しており、各々軸線を垂直にし、水槽20を外側、洗濯槽30を内側とする形で同心的に配置される。水槽20をサスペンション部材21が吊り下げる。サスペンション部材21は水槽20の外面下部と外箱10の内面コーナー部とを連結する形で計4箇所に配備され、水槽20を水平面内で揺動できるように支持する。
洗濯槽30は上方に向かい緩やかなテーパで広がる周壁を有する。この周壁には、その最上部に環状に配置した複数個の脱水孔31を除き、液体を通すための開口部はない。すなわち洗濯槽30はいわゆる「穴なし」タイプである。洗濯槽30の上部開口部の縁には、洗濯物の脱水のため洗濯槽30を高速回転させたときに振動を抑制する働きをする環状のバランサ32を装着する。洗濯槽30の内部底面には槽内で洗濯水あるいはすすぎ水の流動を生じさせるためのパルセータ33を配置する。
水槽20の下面には駆動ユニット40が装着される。駆動ユニット40はモータ41、クラッチ機構42、及びブレーキ機構43を含み、その中心部から脱水軸44とパルセータ軸45を上向きに突出させている。脱水軸44とパルセータ軸45は脱水軸44を外側、パルセータ軸45を内側とする二重軸構造となっており、水槽20の中に入り込んだ後、脱水軸44は洗濯槽30に連結されてこれを支える。パルセータ軸45はさらに洗濯槽30の中に入り込み、パルセータ33に連結してこれを支える。脱水軸44と水槽20の間、及び脱水軸44とパルセータ軸45の間には各々水もれを防ぐためのシール部材を配置する。
バックパネル12の下の空間には電磁的に開閉する給水弁50が配置される。給水弁50からは接続管51及び給水管52が延び出す。接続管51はバックパネル12の上面に突出し、ここにイオン溶出ユニット100が着脱可能に連結する。イオン溶出ユニット100の構造と機能については後で詳細に説明する。他方給水管52はバックパネル12の下で水平方向に延び、容器状の給水口53に接続する。給水口53は洗濯槽30の内部に臨む位置にあり、図2に示す構造を有する。
図2は給水口53の模型的垂直断面図で、正面側から見た形になっている。給水口53は上面が開口しており、内部は左右に区画されている。左側の区画は洗剤室54で、洗剤を入れておく準備空間となる。右側の区画は仕上剤室55で、洗濯用の仕上剤を入れておく準備空間となる。洗剤室54の底部正面側には洗濯槽30に注水する横長の注水口56が設けられている。仕上剤室55にはサイホン部57が設けられている。
サイホン部57は仕上剤室55の底面から垂直に立ち上がる内管57aと、内管57aにかぶせられるキャップ状の外管57bとからなる。内管57aと外管57bの間には水の通る隙間が形成されている。内管57aの底部は洗濯槽30の内部に向かって開口する。外管57bの下端は仕上剤室55の底面と所定の隙間を保ち、ここが水の入口になる。内管57aの上端を超えるレベルまで仕上剤室55に水が注ぎ込まれるとサイホンの作用が起こり、水はサイホン部57を通って仕上剤室55から吸い出され、洗濯槽30へと落下する。
給水弁50はメイン給水弁50aとサブ給水弁50bからなる。接続管51はメイン給水弁50a及びサブ給水弁50bの両方に共通である。給水管52もメイン給水弁50aに接続されたメイン給水管52aとサブ給水弁50bに接続されたサブ給水管52bからなる。
メイン給水管52aは洗剤室54に接続され、サブ給水管52bは仕上剤室55に接続される。すなわちメイン給水管52aから洗剤室54を通って洗濯槽30に注ぐ経路と、サブ給水管52bから仕上剤室55を通って洗濯槽30に注ぐ経路とは別系統になっている。
図1に戻って説明を続ける。水槽20の底部には水槽20及び洗濯槽30の中の水を外箱10の外に排水する排水ホース60が取り付けられる。排水ホース60には排水管61及び排水管62から水が流れ込む。排水管61は水槽20の底面の外周寄りの箇所に接続されている。排水管62は水槽20の底面の中心寄りの箇所に接続されている。
水槽20の内部底面には排水管62の接続箇所を内側に囲い込むように環状の隔壁63が固定されている。隔壁63の上部には環状のシール部材64が取り付けられる。このシール部材64が洗濯槽30の底部外面に固定したディスク65の外周面に接触することにより、水槽20と洗濯槽30との間に独立した排水空間66が形成される。排水空間66は洗濯槽30の底部に形設した排水口67を介して洗濯槽30の内部に連通する。
排水管62には電磁的に開閉する排水弁68が設けられる。排水管62の排水弁68の上流側にあたる箇所にはエアトラップ69が設けられる。エアトラップ69からは導圧管70が延び出す。導圧管70の上端には水位スイッチ71が接続される。
外箱10の正面側には制御部80を配置する。制御部80は上面板11の下に置かれており、上面板11の上面に設けられた操作/表示部81を通じて使用者からの操作指令を受け、駆動ユニット40、給水弁50、及び排水弁68に動作指令を発する。また制御部80は操作/表示部81に表示指令を発する。
洗濯機1の動作につき説明する。蓋16を開け、洗濯物投入口15から洗濯槽30の中へ洗濯物を投入する。給水口53の洗剤室54には洗剤を入れる。必要なら給水口53の仕上剤室55に仕上剤を入れる。仕上剤は洗濯工程の途中で入れてもよい。
洗剤の投入準備を整えた後、蓋16を閉じ、操作/表示部81の操作ボタン群を操作して洗濯条件を選ぶ。最後にスタートボタンを押せば、図3〜図6のフローチャートに従い洗濯工程が遂行される。
図3は洗濯の全体工程を示すフローチャートである。ステップS201では、設定した時刻に洗濯を開始する、予約運転の選択がなされているかどうかを確認する。予約運転が選択されていればステップS206に進む。選択されていなければステップS202に進む。
ステップS206に進んだ場合は運転開始時刻になったかどうかの確認が行われる。運転開始時刻になったらステップS202に進む。
ステップS202では洗い工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択がなされていればステップS300に進む。ステップS300の洗い工程の内容は別途図4のフローチャートで説明する。洗い工程終了後、ステップS203に進む。洗い工程の選択がなされていなければステップS202から直ちにステップS203に進む。
ステップS203ではすすぎ工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていればステップS400に進む。ステップS400のすすぎ工程の内容は別途図5のフローチャートで説明する。すすぎ工程終了後、ステップS204に進む。すすぎ工程の選択がなされていなければステップS203から直ちにステップS204に進む。
ステップS204では脱水工程の選択がなされているかどうかを確認する。選択されていればステップS500に進む。ステップS500の脱水工程の内容は別途図6のフローチャートで説明する。脱水工程終了後、ステップS205に進む。脱水工程の選択がなされていなければステップS204から直ちにステップS205に進む。
ステップS205では制御部80、特にその中に含まれる演算装置(マイクロコンピュータ)の終了処理が手順に従って自動的に進められる。また洗濯工程が完了したことを終了音で報知する。すべてが終了した後、洗濯機1は次の洗濯工程に備えて電源OFF状態で待機する。
続いて図4〜図6に基づき洗い、すすぎ、脱水の各個別工程につき説明する。
図4は洗い工程のフローチャートである。ステップS301では水位スイッチ71の検知している洗濯槽30内の水位データのとり込みが行われる。ステップS302では容量センシングの選択がなされているかどうかを確認する。選択されていればステップS308に進む。選択されていなければステップS302から直ちにステップS303に進む。
ステップS308ではパルセータ33の回転負荷により洗濯物の量を測定する。容量センシング後、ステップS303に進む。
ステップ303ではメイン給水弁50aが開き、メイン給水管52a及び給水口53を通じて洗濯槽30に水が注がれる。給水口53の洗剤室54に入れられた洗剤も水に混じって洗濯槽30に投入される。排水弁68は閉じている。水位スイッチ71が設定水位を検知したらメイン給水弁50aは閉じる。そしてステップS304に進む。
ステップS304ではなじませ運転を行う。パルセータ33が反転回転し、洗濯物を水の中で揺り動かして、洗濯物を水になじませる。これにより、洗濯物に水を十分に吸収させる。また洗濯物の各所にとらわれていた空気を逃がす。なじませ運転の結果、水位スイッチ71の検知する水位が当初より下がったときは、ステップS305でメイン給水弁50aを開いて水を補給し、設定水位を回復させる。
「布質センシング」を行う洗濯コースを選んでいれば、なじませ運転と共に布質センシングが実施される。なじませ運転を行った後、設定水位からの水位変化を検出し、水位が規定値以上に低下していれば吸水性の高い布質であると判断する。
ステップS305で安定した設定水位が得られた後、ステップS306に移る。使用者の設定に従い、モータ41がパルセータ33を所定のパターンで回転させ、洗濯槽30の中に洗濯のための主水流を形成する。この主水流により洗濯物の洗濯が行われる。脱水軸44にはブレーキ装置43によりブレーキがかかっており、洗濯水及び洗濯物が動いても洗濯槽30は回転しない。
主水流の期間が経過した後、ステップS307に進む。ステップS307ではパルセータ33が小刻みに反転して洗濯物をほぐし、洗濯槽30の中に洗濯物がバランス良く配分されるようにする。これは洗濯槽30の脱水回転に備えるためである。
続いて図5のフローチャートに基づきすすぎ工程の内容を説明する。最初にステップS500の脱水工程が入るが、これについては図6のフローチャートで説明する。脱水後、ステップS401に進む。ステップS401ではメイン給水弁50aが開き、設定水位まで給水が行われる。
給水後、ステップS402に進む。ステップS402ではなじませ運転が行われる。なじませ運転は洗い工程のステップS304で行ったのと同様のものである。
なじませ運転の後、ステップS403に進む。なじませ運転の結果、水位スイッチ71の検知する水位が当初より下がっていたときはメイン給水弁50aを開いて水を補給し、設定水位を回復させる。
ステップS403で設定水位を回復した後、ステップS404に進む。使用者の設定に従い、モータ41がパルセータ33を所定のパターンで回転させ、洗濯槽30の中にすすぎのための主水流を形成する。この主水流により洗濯物のすすぎが行われる。脱水軸44にはブレーキ装置43によりブレーキがかかっており、すすぎ水及び洗濯物が動いても洗濯槽30は回転しない。
主水流の期間が経過した後、ステップS405に移る。ステップS405ではパルセータ33が小刻みに反転して洗濯物をほぐす。これにより洗濯槽30の中に洗濯物がバランス良く配分されるようにし、脱水回転に備える。
上記説明では洗濯槽30の中にすすぎ水をためておいてすすぎを行う「ためすすぎ」を行うものとしたが、洗濯槽30を低速回転させながら給水口53より水を注ぐ「シャワー注水」を行うこともある。どちらを採用するか、あるいは両方とも採用するかは使用者の選択により決定される。
続いて図6のフローチャートに基づき脱水工程の内容を説明する。まずステップS501で排水弁68が開く。洗濯槽30の中の洗濯水は排水空間66を通じて排水される。排水弁68は脱水工程中は開いたままである。
洗濯物から大部分の洗濯水が抜けたところでクラッチ装置42及びブレーキ装置43が切り替わる。クラッチ装置42及びブレーキ装置43の切り替えタイミングは排水開始前、又は排水と同時でもよい。するとモータ41が今度は脱水軸44を回転させる。これにより洗濯槽30が脱水回転を行う。パルセータ33も洗濯槽30とともに回転する。
洗濯槽30が高速で回転すると、洗濯物は遠心力で洗濯槽30の内周壁に押しつけられる。洗濯物に含まれていた洗濯水も洗濯槽30の周壁内面に集まってくるが、前述の通り、洗濯槽30はテーパ状に上方に広がっているので、遠心力を受けた洗濯水は洗濯槽30の内面を上昇する。洗濯水は洗濯槽30の上端にたどりついたところで脱水孔31から放出される。脱水孔31を離れた洗濯水は水槽20の内面にたたきつけられ、水槽20の内面を伝って水槽20の底部に流れ落ちる。そして排水管61と、それに続く排水ホース60を通って外箱10の外に排出される。
図6のフローでは、ステップS502で比較的低速の脱水運転を行った後、ステップS503で高速の脱水運転を行う構成となっている。ステップS503の後、ステップS504に移行する。ステップS504ではモータ41への通電を断ち、停止処理を行う。
さて、給水弁50には接続菅51を介してイオン溶出ユニット100が連結する。以下図7〜図9に基づきイオン溶出ユニット100の構造と機能、及び洗濯機1に取り付けられて果たす役割につき説明する。
図7及び図8はイオン溶出ユニット100の断面図で、図7は垂直断面図、図8は模型的に示す水平断面図である。イオン溶出ユニット100は合成樹脂、シリコン、ゴムなどの絶縁材料からなる筒形のケース110を有する。ケース110は筒形状の軸線を水平にして配置されるものであり、一方の側からは筒状の流入口111が上向きに突出し、他方の側からは筒状の流出口112が下向きに突出する。
流入口111は外面に雄ねじ部111aを有し、流出口112は内面に雌ねじ部112aを有する。流出口112の雌ねじ部112aを接続菅51の外面に設けた雄ねじ部に螺合させることにより、ケース110は接続菅51に接続され、給水弁50に連通する。雌ねじ部112aの一番奥の部分にはオーリング112bが配置されている。オーリング112bは接続菅51の先端に密着して水密部を形成する。
流入部111の雄ねじ部111aにはナット状の接続具111bが螺合する(図1参照)。接続具111bは給水ホース180の一端を流入口111に接続固定する。給水ホース180の他端は水道の蛇口(図示せず)に接続される。
接続菅51に対する流出口112の接続態様、また流入口111に対する給水ホース180の接続態様は、上記のようなねじ方式に限定されるものではない。
締付リングやコレットチャック方式の接続具など、家庭で一般的に使用されている水まわり関係の接続の仕組みであれば何でも適用可能である。
また本実施形態では洗濯機1のバックパネル12の上面に突出した接続菅51に流出口112を接続しているが、流出口112の接続対象はこれに限定されない。給水弁50との間に介在するいかなる構成要素も流出口112の接続対象とすることができる。洗濯機1の構造如何によっては直接給水弁50に流出口112を接続することも可能である。要は、給水弁50に対し流出口112が着脱可能に連通接続され、その着脱は洗濯機1の外部で行われるという条件が満たされればよい。
ケース110は流入口111のある側の端が開口部となっており、ここから2枚の板状電極113、114が挿入される。電極113、114は抗菌性を有する金属イオンのもとになる金属、すなわち銀、銅、亜鉛などからなる。電極113、114の大きさは、例えば2cm×5cm、厚さ1mm程度とすることができる。
電極113、114は各々一端に端子115、116を有する。ケース110の開口部に組合わせられる円板状のキャップ117に端子115、116を貫通させることにより、電極113、114は互いに間隔を置いてキャップ117に固定される。ケース110の開口部にキャップ117で蓋をすれば、電極113、114はケース110の軸線方向に延びる形でケース110内に固定される。
キャップ117にはドーム形の防水キャップ118が固定される。電源ユニット101(図1参照)から延び出した給電ケーブル119が防水キャップ118の中に入り込む。給電ケーブル119は内部に絶縁芯線119a、119bを有し、絶縁芯線119aを端子115に、絶縁芯線119bを端子116に、それぞれ防水キャップ118の中で接続する。
ケース110とキャップ117の間、キャップ117と電極115、116の間、キャップ117と防水キャップ118の間、及び防水キャップ118と給電ケーブル119の間には適宜防水シールの処理を施し、防水キャップ118の中に水が浸入しないようにする。
電源ユニット101はイオン溶出ユニット100の駆動回路を内蔵するが、この回路については後で詳細に説明する。電源ユニット101からは給電ケーブル119の他、商用電源に接続する電源コード102が延び出す。
ケース110の内部には流入口111から流出口112に向かって電極113、114の長手方向と平行に水が流れる。ケース110の中に水が存在する状態で電極113、114に所定の電圧を印加すると、電極113、114の陽極側から電極構成金属の金属イオンが溶出する。
図9はイオン溶出ユニット100の駆動回路120の回路構成図である。商用電源121にトランス122が電源スイッチ132を介して接続され、100Vを所定の電圧に降圧する。電源スイッチ132のアクチュエータ部は電源ユニット101の外面に露出していて、外から操作可能である。トランス122の出力電圧は全波整流回路123によって整流された後、定電圧回路124で定電圧とされる。定電圧回路124には定電流回路125が接続されている。定電流回路125は後述する電極駆動回路150に対し、電極駆動回路150内の抵抗値の変化にかかわらず一定の電流を供給するように動作する。
商用電源121にはトランス122と並列に整流ダイオード126が接続される。整流ダイオード126の出力電圧はコンデンサ127によって平滑化された後、定電圧回路128によって定電圧とされ、マイクロコンピュータ130に供給される。マイクロコンピュータ130はトランス122の一次側コイルの一端と商用電源121との間に接続されたトライアック129を起動制御する。
電極駆動回路150はNPN型トランジスタQ1〜Q4とダイオードD1、D2、抵抗R1〜R7を図のように接続して構成されている。トランジスタQ1とダイオードD1はフォトカプラ151を構成し、トランジスタQ2とダイオードD2はフォトカプラ152を構成する。すなわちダイオードD1、D2はフォトダイオードであり、トランジスタQ1、Q2はフォトトランジスタである。
今、マイクロコンピュータ130からラインL1にハイレベルの電圧、ラインL2にローレベルの電圧又はOFF(ゼロ電圧)が与えられると、ダイオードD2がONになり、それに付随してトランジスタQ2もONになる。トランジスタQ2がONになると抵抗R3、R4、R7に電流が流れ、トランジスタQ3のベースにバイアスがかかり、トランジスタQ3はONになる。
一方、ダイオードD1はOFFなのでトランジスタQ1はOFF、トランジスタQ4もOFFとなる。この状態では、陽極側の電極113から陰極側の電極114に向かって電流が流れる。これによってイオン溶出ユニット100には陽イオンの金属イオンと陰イオンとが発生する。
イオン溶出ユニット100に長時間一方向に電流を流すと、図9で陽極側となっている電極113が減耗するとともに、陰極側となっている電極114には水中の不純物がスケールとして固着する。これはイオン溶出ユニット100の性能低下をもたらすので、強制的電極洗浄モードで電極駆動回路150を運転できるように構成されている。
強制的電極洗浄モードでは、ラインL1、L2の電圧を逆にして、電極113、114を逆方向に電流が流れるようにマイクロコンピュータ130が制御を切り替える。この場合、トランジスタQ1、Q4がON、トランジスタQ2、Q3がOFFとなる。マイクロコンピュータ130はカウンタ機能を有していて、所定カウント数に達する度に上述の切り替えを行う。
電極駆動回路150内の抵抗の変化、特に電極113、114の抵抗変化によって、電極間を流れる電流値が減少するなどの事態が生じた場合は、定電流回路125がその出力電圧を上げ、電流の減少を防止する。しかしながら、累積使用時間が長くなるとイオン溶出ユニット100が寿命を迎え、強制的電極洗浄モードへの切り替えや、定電流回路125の出力電圧上昇を実施しても電流減少を防げなくなる。
そこで本回路では、イオン溶出ユニット100の電極113、114間を流れる電流を抵抗R7に生じる電圧によって監視し、その電流が所定の最小電流値に至ると、それを電流検知回路160が検出するようにしている。最小電流値を検出したという情報はフォトカプラ163を構成するフォトダイオードD3からフォトトランジスタQ5を介してマイクロコンピュータ130に伝達される。マイクロコンピュータ130は線路L3を介して警告報知手段131を駆動し、所定の警告報知を行わせる。警告報知手段131はLEDや液晶パネルなど適宜の表示手段により構成されるものであり、電源ユニット101のケース外面に配置されている。
また、電極駆動回路150内でのショートなどの事故については、電流が所定の最大電流値以上になったことを検出する電流検知回路161が用意されており、この電流検知回路161の出力に基づいてマイクロコンピュータ130は警告表示手段131を駆動する。さらに、定電流回路125の出力電圧が予め定めた最小値以下になると、電圧検知回路162がこれを検知し、同様にマイクロコンピュータ130が警告報知手段131を駆動する。
マイクロコンピュータ130にはタイマー133が付属する。タイマー133は電源ユニット101のケース外面に操作部を有し、この操作部を操作して適宜の時間を設定することができる。
イオン溶出ユニット100と電源ユニット101とからなる抗菌処理装置は次のように用いる。
まずイオン溶出ユニット100の流出口112を洗濯機1の接続菅51に取り付ける。流入口111には給水ホース180を接続する。給水ホース180の他端を接続した蛇口を開き、イオン溶出ユニット100のケース110内を水が流れるようにする。実際に水が流れるのは給水弁50が開弁したときである。電源ユニット101の電源コード102は商用電源のコンセントに接続する。電源ユニット101は適宜の取付手段で洗濯機1の側面又は上面に固定されるものとするとよい。
金属イオンはすすぎ工程で投入する。図5のフローチャートでステップS401(給水)の段階に入ったら電源スイッチ132をONにし、電極113、114に通電して、電極構成金属のイオンを水中に溶出させる。電極構成金属が銀の場合、陽極側の電極においてAg→Ag++e−の反応が生じ、水中に銀イオンAg+が溶出する。電極間を流れる電流は直流である。金属イオン含有水は給水口53から洗濯槽30に投入される。
どのくらいの時間通電するかはタイマー133によって設定する。すすぎ水中の金属イオン濃度を所定レベルにするのに必要な時間はすすぎ水の水量によって決まる。そこで、すすぎ水の量を見計らってタイマー133の時間設定を行う。
すすぎ水の量と、その水量に対して必要となる通電時間とを対比させた換算表を用意しておくとよい。換算表はイオン溶出ユニット100の表面にシール貼り付け、印刷、刻印など適宜の手段で表示しておくとよい。電源ユニット101の方に換算表を設けることとしても構わない。
ステップS401(給水)におけるすすぎ水の注入はメイン給水弁50aから行う。すすぎ水の注入が完了する前にイオンの溶出が終わっているように注水の流量が設定される。所定濃度の金属イオンを含む所定量のすすぎ水が洗濯槽30に溜まったところでメイン給水弁50aは閉じ、給水が終了する。以後、ステップS402以下のすすぎ工程が実行され、それに引き続き図6のフローチャートに従い脱水工程が実行される。
すすぎ工程の中ですすぎ水が攪拌されている間、洗濯物と金属イオンとの接触が促進される。金属イオンは次第に洗濯物の繊維に付着し、洗濯物の表面に抗菌コートが形成される。
仕上剤を投入することになっている場合、その投入作業はステップS404(主水流)の最後の方で実行される。その時はサブ給水弁50bが開き、給水口53の仕上剤室55に水を流す。仕上剤室55に仕上剤が入れられていれば、その仕上剤はサイホン部57から水と共に洗濯槽30に投入される。仕上剤室55の中の水位が所定高さに達してはじめてサイホン効果が生じるので、時期が来て水が仕上剤室55に注入されるまで、液体の仕上剤を仕上剤室55に保持しておくことができる。
所定量(サイホン部57にサイホン作用を起こさせるに足る量か、それ以上)の水を仕上剤室55に注入したところでサブ給水弁50bは閉じる。仕上剤を投入されたすすぎ水は所定時間攪拌され、洗濯物と仕上剤との接触が促進される。
所定時間経過後、ステップS405(バランス)に進む。
仕上剤の投入は、金属イオンを含有したすすぎ水によるすすぎの開始後、所定時間の経過を待って実行される。そのため、金属イオンと仕上剤(柔軟剤)を同時にすすぎ水に投入すれば金属イオンが柔軟剤成分と反応して抗菌性が減殺されるところ、金属イオンが洗濯物に十分に付着した後に仕上剤が投入されることになり、金属イオンと仕上剤成分との反応が防がれ、金属イオンの抗菌効果を洗濯物に残すことができる。
電極113、114を構成する金属は銀、銅、もしくは銀と銅の合金であることが好ましい。銀電極から溶出する銀イオンは殺菌効果に優れ、銅電極から溶出する銅イオンは防カビ効果に優れる。銀と銅の合金からは銀イオンと銅イオンを同時に溶出させることができる。
銀イオンは陽イオンである。洗濯物は水中では負に帯電しており、このため銀イオンは洗濯物に電気的に吸着される。洗濯物に吸着された状態では銀イオンは電気的に中和される。そのため仕上剤(柔軟剤)の成分である塩化物イオン(陰イオン)とは反応しにくくなる。ただし銀イオンは時間をかけて洗濯物に吸着されて行くので、仕上剤投入までにある程度時間を置かねばならない。そこで、銀イオン投入後の攪拌時間は10分を確保する。仕上剤投入後の攪拌時間は3分ほどで十分である。
金属イオンはメイン給水管52aから洗剤室54を通って洗濯槽30に投入される。仕上剤は仕上剤室55から洗濯槽30に投入される。このように金属イオンをすすぎ水に投入するための経路と、仕上剤をすすぎ水に投入するための経路とが別系統のため、仕上剤をすすぎ水に投入するための経路を金属イオンが通り、この経路に残留していた仕上剤に金属イオンが接触して化合物となり、抗菌力を失うということがない。
上記構成では、洗濯機1がすすぎ工程に入ってから電源スイッチ132をONにし、タイマー133を時間設定することになっているが、これは使用者にとり不便である。この不便を解消するため、次のように構成することも可能である。すなわちケース110の中に流量スイッチを設けておく。使用者は最初に電源ユニット101の電源スイッチ132をONにし、タイマー133を時間設定した後、洗濯機1のスタートキーを押して洗濯工程を開始する。給水弁50(メイン給水弁50a)から2度目の大量注水が行われている(ステップS305の補給水の注水は除く)、すなわちステップS401のすすぎ水の注水が行われていることを流量スイッチが検知したら、マイクロコンピュータ130が動作を開始し、タイマー133で設定された時間だけ電極133、134に通電する。
電極113、114は金属イオンの溶出を続けるうちに減耗し、金属イオンの溶出量が減少する。使用が長期にわたれば金属イオンの溶出量が不安定になったり、所定の溶出量を確保できなくなったりする。そのため、電極113、114が耐用限界に達した時点でイオン溶出ユニット100を新しいユニットに交換する必要がある。
電極113、114が耐用限界に達したかどうかを判定するため、イオン溶出ユニット100には次のような工夫が施されている。
電極113、114の端子115、116のある側の端を「根元」、その反対側の端を「先端」と呼ぶことにする。電極113、114は並列ではあるものの平行ではなく、図8に見られるように、先端ほど間隔が狭くなるようテーパ形に配置されている。このように配置すると、電極113、114は間隔の狭い部分から金属イオンとして溶出するので、電極113、114は先端から溶けて行くことになる。従って根元から先端までの長さに着目すれば、電極113、114の体積がどの程度減少したかを把握することができる。
電極113、114の根元から先端までの長さを知るため、ケース110を次のように構成する。すなわちケース110の側面(正面)又は上面を透明の合成樹脂で形成し、透視部とする。この透視部を通じて電極113、114の状態を直接目で確認し、イオン溶出ユニット100が交換の時期に来たかどうかを判断する。
ケース110に透視部を設けるにあたっては、ケース110全体を透明な合成樹脂で形成し、電極113、114の全体を眺めることができるようにしてもよい。あるいは、ケース110の正面に透明板をはめ込んだスリットを設け、このスリットを通して電極113、114を覗くようにしてもよい。
透視部を形成する材料は完全に透明である必要はなく、半透明であってもよい。要は内部の電極113、114の大きさ(長さ)を把握できればよい。
透視部には電極113、114の減耗を判定する目盛を設けておくとよい。電極113、114の根元から先端までの長さが減耗を測定する物指となるので、電極の先端から電極の根元に向かって直線的に並ぶ目盛を設けておけばよい。その目盛のうち、イオン溶出ユニット100の交換の目安となる目盛は特に大型にするかあるいは形状を変えておき、交換時期を一目で判定できるようにしておくとよい。
交換を要するのはイオン溶出ユニット100だけであって、電源ユニット101は交換の必要はない。そこで、給電ケーブル119の途中に着脱自在なコネクタ部を設けておき、イオン溶出ユニット100の方だけ新品に交換し、電源ユニット101は従前のものを使い続けることができるようにしておくとよい。
電源ユニット101は商用電源でなく電池を電源とすることもできる。電池は電源ユニット101のケース内に収納することとすればよい。この構成によれば、商用電源を利用できない場所、例えばキャンプ地であるとか、商用電源は来ているがコンセントの口数が足りない家においても抗菌処理を行うことができる。
〔実施の形態2〕
続いて、本発明の第2実施形態を図10に基づき説明する。図10はイオン溶出ユニット100の垂直断面図である。第1実施形態と共通する、ないしは機能を同じくする構成要素には第1実施形態の説明で使用したのと同じ符号を付し、説明は省略する。
第2実施形態のイオン溶出ユニット100のケース110には、その一端に格子状の通水口110aが設けられている。「流入口」「流出口」と機能分化した開口は設けられていない。通水口110aの個々の開口は、指などが電極113、114に触れることのないようにその大きさを設定する。ケース110の側面にはフック110bが一体成形されている。第1実施形態のイオン溶出ユニット100と同様、防水キャップ118の内部には水が浸入しないようになっており、イオン溶出ユニット100をそっくり水没させることができる。
イオン溶出ユニット100は、少なくともケース110の半分以上を洗濯槽30のすすぎ水の中に水没させて用いる。このようにすると通水口110aよりケース110内に水が浸入する。浸入した水は電極113、114に導かれてこれを浸す。ここで電極113、114に電圧を印加し、金属イオンの溶出を行う。金属イオンを含有した水は通水口110aから流れ出す。
イオン溶出ユニット100は単に水中に投じて用いることとしてもよいし、フック110bを脱水孔31に引っ掛けて用いることとしてもよい。フック110bに紐などを引っ掛けて吊り下げてもよい。フック110bを何かに引っ掛け、ケース110を垂直にして用いる場合、ケース110の中から空気が抜けてくれないと電極113、114が水に漬からないので、ケース110のキャップ117に近い方の端に空気抜き孔を設けておくとよい。
第2実施形態のイオン溶出ユニット100はケース110を水没させ、通水口110aよりケース110内に水を導入して電極113、114を水に浸し、金属イオンの溶出を行うものであるから、イオン溶出ユニット100を取り付けたり保持したりする特別な構造を洗濯機1に設ける必要がない。イオン溶出ユニット100に給水ホース180を接続する必要もない。
また洗濯槽30に貯めた水の中でイオン溶出作業を行うので、均質なイオン含有水を生成することができる。従って洗濯物に金属イオンが均一に付着し、むらのない抗菌効果が得られる。
長期間使用してイオン溶出ユニット100の能力が低下した場合は、古いユニットを捨て、新しいユニットを使うだけで済み、ユニットの交換に手間がかからない。
さらに、イオン溶出ユニット100が使用可能なのは洗濯機1の洗濯槽30ばかりではない。イオン溶出ユニット100のケース110を受け入れられる容器でありさえすれば何でもよいので、例えばバケツ、洗面器、コップなどを利用して金属イオン含有水を生成することができる。そのため、抗菌処理したいのがハンカチ1枚であるといった場合、ハンカチ1枚を浸すに足りるだけの少量の金属イオン含有水を小さな容器の中に生成することができ、水資源を無駄遣いすることがない。
第2実施形態のイオン溶出ユニット100の電源ユニット101を電池で駆動するものとすれば、抗菌処理装置は完全な携帯性を獲得する。そのため、野外活動の場に持参して衣類その他を抗菌処理することが可能になるなど、用途が拡大する。
第1実施形態のところで述べたのと同様、水量とその水量に対して適量の金属イオンを溶出するのに必要なイオン溶出ユニット100の駆動時間とを対比させた換算表をイオン溶出ユニット100又は電源ユニット101の表面に形成しておくとよい。使用者はこの換算表に基づきタイマーを設定し、適正濃度の金属イオン含有水を生成することができる。
〔実施の形態3〕
次に、本発明の第3実施形態について、図11ないし図29に基づいて説明する。なお、実施の形態1・2の構成と同一の構成には同一の部材番号を付記し、その説明を省略する。
図11は、本実施形態に係る抗菌処理装置200を洗濯機1に適用した場合の当該抗菌処理装置200の接続関係を模式的に示す説明図である。本実施形態の抗菌処理装置200は、イオン溶出ユニット300と、駆動ユニット400とを備えている。
イオン溶出ユニット300は、給水装置としての洗濯機1によって給水対象(例えば洗濯物)に供給される水に添加する金属イオン(例えば銀イオン)を発生するイオン発生部である。
イオン溶出ユニット300は、水道の蛇口201と第1のホース202を介して接続され、また、洗濯機1と第2のホース203を介して接続されている。これにより、蛇口201から供給される水は、第1のホース202、イオン溶出ユニット300、第2のホース203を順に介して洗濯機1に供給されることになる。
このようなイオン溶出ユニット300の配置から、イオン溶出ユニット300は、洗濯機1の外部であって、蛇口201から洗濯機1への水の供給路に配置されていると言うことができる。このように、洗濯機1の内部ではなく、洗濯機1の外部にイオン溶出ユニット300を後付けで配置できるようにした点に、本発明の最も大きな特徴がある。
駆動ユニット400は、イオン溶出ユニット300を駆動するためのものであり、洗濯機1の外部に取り外し自在に配置されている。例えば、駆動ユニット400は、洗濯機1近傍の壁や洗濯機1外面に貼り付けられたフックにより、引っ掛けられて配置され、その取り外しが自在となっている。
また、駆動ユニット400の外周部は、シール部材によってシールされており、防水構造となっている。これにより、本実施形態のように水を扱う機器(洗濯機1)の傍に駆動ユニット400が配置される他、水漏れが生じる場所、水がかかる危険な場所、湿度の高い場所等に駆動ユニット400が配置される場合でも、駆動ユニット400の内部回路に水や湿気等による悪影響を与えることなく、駆動ユニット400を確実に動作させることができる。
なお、駆動ユニット400を洗濯機1外面に配置する場合は、上述のようにフックを用いるのではなく、駆動ユニット400の裏面、すなわち、駆動ユニット400における洗濯機1との対向面側に、内部回路への影響を与えることのない程度の磁力を有する磁石を配置し、この磁石の磁力によって駆動ユニット400を洗濯機1の外面に取り外し自在に接触配置させる構成としても勿論構わない。
また、駆動ユニット400は、コード500を介してイオン溶出ユニット300と電気的に接続されている。これにより、イオン溶出ユニット300を駆動するための電圧を、駆動ユニット400からコード500を介してイオン溶出ユニット300に供給することが可能となっている。
以下、イオン溶出ユニット300、駆動ユニット400の詳細について説明する前に、まず、第1のホース202および第2のホース203について説明する。
(1.第1のホース)
図12は、第1のホース202の概略の構成を示す側面図である。第1のホース202は、水道の蛇口201とイオン溶出ユニット300とを連通接続するものであり、可撓性を有するホース本体210と、第1接続部211と、第2接続部212とで構成されている。
(1−1.第1接続部)
第1接続部211は、ホース本体210の一端に設けられており、水道の蛇口201と連通接続される。第1接続部211は、図13に示すように、締結部221と、可動手段222とが分離可能に構成されている。
まず、締結部221について説明する。締結部221は、金具231と、螺合部232とで構成されている。
金具231は、水道の蛇口201の先端に取り付けられる略円筒状の固定部材である。具体的には、金具231の外面の上方には4つのビスが周方向に均等に配置されており、金具231を蛇口201に嵌めてこれらのビスで締め付けることにより、金具231が蛇口201に固定される。したがって、簡単な工具の利用で金具231を蛇口201に確実に締結することができる。また、金具231の外面であって、ビス位置よりも下方には、ネジ溝が刻まれている。さらに、金具231の内部には、シール用の弾性部材(例えばゴム)が内装されている。
螺合部232は、金具231の外面のネジ溝と螺合するネジ溝が内面に形成された略円筒形状の第1円筒部232aと、第1円筒部232aの内側に所定間隔おいて形成される略円筒形状の第2円筒部232bとを有している。そして、これら第1円筒部232aおよび第2円筒部232bにおけるホース本体210側の開口部を、ドーナツ状の円盤の外周および内周に沿うように当該円盤上に貼り合わせることで、螺合部232が構成されている。
このような螺合部232の底部には、第2円筒部232bと連通する接続管233が一体形成されている。この接続管233は、可動手段222に挿通されたときに、締結部221内を通る水を、接続管233を介して可動手段222に導く。この接続管233の外面には、可動手段222の後述する鋼球241aが若干嵌る溝部233a(図14参照)が形成されている。また、螺合部232の第1円筒部232aの外面には、可動手段222の後述する係止部244によって係止される鍔部234が形成されている。
一方、可動手段222は、挿通部241と、可動部242と、接続部243と、係止部244とを有して構成されている。
挿通部241は、略円筒形状をなしており、その内側に上記の接続管233が挿通される。挿通部241の内径は、接続管233の外径とほぼ同じである。この挿通部241の壁部には、挿通部241の中心軸と垂直な方向(以下、半径方向と記載する)に移動可能な小径の鋼球241aが、壁部の周方向に均等に4箇所設けられている。この鋼球241aは、上記壁部の肉厚よりも若干大きい直径を有して形成されている。
可動部242は、挿通部241を外から若干の隙間を介して覆うとともに、内部を流れる水の流水方向に沿って移動可能な部分であり、略円筒状をなしている。この可動部242は、流水方向の上流側(ホース本体210側とは反対側)に向かってバネ等の付勢手段245(図14参照)によって付勢されており、下流側(ホース本体210側)へはこれを手動で押し下げることが可能となっている。
接続部243は、ホース本体210と連通接続される部分である。係止部244は、可動部242の外面から突出して設けられており、接続管233の挿通部241への挿通を完了させたときに、締結部221の鍔部234を係止する。
上記の構成において、第1のホース202を蛇口201に固定するときは、まず、締結部221を水道の蛇口201に固定する。すなわち、金具231をビス止めによって蛇口201に固定するとともに、この金具231のネジ溝と螺合部232のネジ溝とを螺合させて、これらを固定する。
その後、可動手段222の可動部242を手動で流水方向下流側に押し下げて保持しながら、締結部221の接続管233に挿通部241を差し込む。このとき、鋼球241aには、挿通部241の半径方向に何ら押圧力がかかっていないので、接続管233は、鋼球241aを半径方向外側に追いやりながら、挿通部241の内側に挿通される。
挿通が完了した時点で可動部242から手を離すと、図14に示すように、付勢手段245の付勢力により、可動部242は締結部221の方向へ移動する。このとき、可動部242の内面が挿通部241の鋼球241aと接触し、鋼球241aに対して半径方向外側から内側に押圧力を加える。これにより、鋼球241aが、挿通部241に挿通された接続管233の溝部233aに嵌って押圧し、締結部221と可動手段222とが互いに固定されることとなる。また、このとき同時に、締結部221の鍔部234が、可動手段222の係止部244によって係止され、締結部221からの可動手段222の抜けが確実に防止される。
一方、締結部221と可動手段222とを分離するときは、手動によって係止部244と鍔部234との係止を解除しながら、可動部242を手動で流水方向下流側に押し下げる。これにより、可動部242による鋼球241aへの押圧が解除されるので、鋼球241aによる接続管233の押圧が解除される。したがって、挿通部241から接続管233を抜くことが可能となり、締結部221と可動手段222とを分離することができる。
このように、第1接続部211は、水道の蛇口201に取り付けられる締結部221と、この締結部221の接続管233に対して挿脱可能な可動手段222とを有しており、可動手段222は、(1)接続管233が挿通される挿通部241と、(2)ホース本体210と連結されて接続管233の挿脱方向に移動可能であるとともに、接続管233の挿通部241への挿通時に移動することで、挿通部241に設けられた押圧部材(鋼球241a)を接続管233と接触する方向に押圧する可動部242とを有している構成である。
このような可動手段222を用いることにより、可動手段222のワンタッチで締結部221とホース本体210とを連通接続したり、分離したりすることができる。したがって、女性(主婦)や力の弱い人でも、これら両者の着脱を容易に行うことができる。
特に、上述したように、流水方向の上流側に向かって可動部242を付勢する付勢手段245を可動手段222に設ける構成とすれば、その付勢力によって可動部242を容易に移動させることができるので、可動部242の流水方向上流側への移動により、鋼球241aを接続管233に容易に押し付けることができる。その結果、接続管233と可動手段222との固定をより容易に実現することができる。
なお、可動手段222としては、ネジ式で可動部242を移動させる構成も考えられるが、本実施形態で説明した手段の方が使用性がよく、緩む心配もなく、固定が確実である。
なお、以上では、締結部221において、金具231と螺合部232とが分離可能である場合について述べたが、これらは最初から一体的に構成されてもよい。この場合は、金具231を蛇口201の先端に挿入し、ビスを締め付けるだけで、締結部221を蛇口201に取り付けることができる。
また、水道の蛇口201には、元々、金具231に相当するものが固着されている場合もある。この場合は、締結部221としては、金具231を不要とし、螺合部232のみで構成することが可能である。この場合、金具231が不要となって部品点数が削減されるので、製品コストを抑えることができる。
以上のことから、本実施形態の第1接続部211の締結部221は、(1)金具231と螺合部232とが分離可能もしくは一体的に構成されているか、(2)水道の蛇口201に取り付けられた金具と螺合可能な螺合部232のみで構成可能であると言うことができる。
また、水道の蛇口201によっては、上述した螺合部232に相当するものが予め形成されたものもある。この場合には、第1接続部211を可動手段222のみで構成することにより、そのような水道の蛇口201にも対応できるとともに、締結部221を不要とする分、製品コストを抑えることができる。
(1−2.第2接続部)
第1のホース202の第2接続部212は、ホース本体210の他端に設けられており、イオン溶出ユニット300と連通接続される。本実施形態では、第2接続部212は、上述した第1接続部211の可動手段222と全く同一の構成である。
したがって、第1のホース202とイオン溶出ユニット300とを連通接続するときは、以下のようにすればよい。まず、図15(a)に示すように、可動部242をホース本体210側(流水方向上流側)へ手動で移動させて保持したまま、第1のホース202における第2接続部212の可動手段222の挿通部241の内側に、イオン溶出ユニット300の第1接続部302を挿通する。
そして、図15(b)に示すように、挿通が完了した時点で、可動部242から手を離し、付勢手段245の付勢力によって可動部242をイオン溶出ユニット300側へ移動させる。これにより、可動部242が鋼球241aを挿通部241の半径方向内側に向かって押圧し、鋼球241aが第1接続部302の接続管302aの外面に形成された溝部302c(図15(a)参照)に嵌って第1接続部302を押圧することになる。この結果、第2接続部212と第1接続部302とが固定される。
また、第1のホース202とイオン溶出ユニット300とを分離するときは、可動部242をホース本体210側(流水方向上流側)へ手動で移動させて、鋼球241aによる第1接続部302の押圧を解除すればよい。これにより、挿通部241から第1接続部302を抜くことができ、第1のホース202とイオン溶出ユニット300とを分離することができる。
このように、第2接続部212が可動手段222を有していることにより、可動手段222のワンタッチで、第1のホース202とイオン溶出ユニット300とを連通接続したり、分離したりすることができる。したがって、これら両者を誰でも簡単に着脱できるなど、第1接続部211を設けた場合と同様の効果を得ることができる。
(2.第2のホース)
図11に示した第2のホース203は、イオン溶出ユニット300と給水装置としての洗濯機1とを連通接続するものである。第2のホース203は、可撓性を有するホース本体と、このホース本体の両端にそれぞれ設けられる第1接続部および第2接続部とで構成されている。
ここで、第2のホース203のホース本体は、第1のホース202のホース本体210に対応するものである。また、第2のホース203の第1接続部および第2接続部は、第1のホース202の第1接続部211または第2接続部212を構成する可動手段222のみで構成されている。したがって、第1のホース202とイオン溶出ユニット300とを連通接続する場合と全く同様の方法により、可動手段222のワンタッチにより、第2のホース203とイオン溶出ユニット300と容易に接続または分離することができるとともに、第2のホース203と洗濯機1とを容易に接続または分離およびすることができる。
以上で説明した第1のホース202および第2のホース203は、ゴムや樹脂等でフレキシブルに構成することができる。これにより、第1のホース202および第2のホース203と連通接続している部分に振動(衝撃波)が加わったり、外力(高圧)がかかったりした場合でも、第1のホース202または第2のホース203の柔軟性により、その衝撃等を和らげることができる。したがって、第1のホース202および第2のホース203と接続されるイオン溶出ユニット300への負担を軽減し、故障等の発生を抑えることができるとともに、連通接続部分での水漏れの心配もほとんど無く、イオン溶出ユニット300の信頼性を向上させることができる。
なお、以上では、第1のホース202および第2のホース203が、いずれも、その両端に可動手段222を有する構成について説明したが、この構成に限定されるわけではない。例えば、図16に示すように、ホース本体210の一端(例えば第2接続部212)に、ホース本体210内部の流水方向を軸に回転可能で、かつ、内面にネジ溝が切られたキャップ式の接続部を設けて、第1のホース202および第2のホース203を構成しても構わない。また、このキャップ式の接続部は、ホース本体210の両端(第1接続部211および第2接続部212)に設けられても構わない。
例えば、第1のホース202および第2のホース203の接続対象(蛇口201、イオン溶出ユニット300、洗濯機1)における被接続部が、外面にネジ溝を切った円筒状に形成されている場合には、このような構成の第1のホース202および第2のホース203を用いれば、上記キャップ状の接続部の回転により、互いの接続または分離を容易に行うことができる。また、図12の構成に比べて、接続部の部品点数を削減することができ、製品コストを抑えることもできる。
また、イオン溶出ユニット300の構成形態に応じて、第1のホース202をイオン溶出ユニット300に直接接続したり、第1のホース202をネジ式やロック式の締結部を介してイオン溶出ユニット300に接続するようにしてもよい。
(3.イオン溶出ユニット)
次に、イオン溶出ユニット300の詳細な構成について説明する。
図17は、第1のホース202を接続したイオン溶出ユニット300の外観を示す斜視図である。また、図18ないし図20は、上記イオン溶出ユニット300を第1のホース202を介して水道の蛇口201に接続したときの、当該イオン溶出ユニット300の正面図、イオン溶出ユニット300の後方から見たときの断面図、および側方から見たときの断面図をそれぞれ示している。
イオン溶出ユニット300は、内部を流れる水の流水方向に離接可能な2つの筐体を貼り合わせてなるケース300aを有している。このケース300aにより、イオン溶出ユニット300と第1のホース202との接続部が隠され、外観上の美観が損なわれないようになっている。
また、図21は、イオン溶出ユニット300を正面から見たときの、イオン溶出ユニット300の内部構造を詳細に示す断面図であり、図22は、イオン溶出ユニット300を側方から見たときの、イオン溶出ユニット300の内部構造を詳細に示す断面図である。
これらの図に示すように、イオン溶出ユニット300は、ユニット本体301と、第1接続部302と、第2接続部303とを有している。以下、各構成について説明する。
(3−1.第1接続部)
第1接続部302は、上述した第1のホース202とユニット本体301とを連通接続するものであり、ユニット本体301と一体的に形成されている。この第1接続部302は、接続管302aと、鍔部302bとを有して構成されている。
接続管302aは、第1のホース202の第2接続部212の挿通部241に挿通されるものである。鍔部302bは、接続管302aが挿通部241に挿通されたときに、第1のホース202の係止部244によって係止されるものであり、これによって、第1のホース202のイオン溶出ユニット300からの抜けが確実に防止される。
ここで、第1接続部302は、以下のように構成してもよい。
図23は、第1接続部302の他の構成例を示す分解斜視図である。この第1接続部302は、金具304と、螺合部305とで構成されている。金具304は、第1のホース202の第1接続部211の金具231と全く同様の構成である。
また、螺合部305は、上記第1接続部211の螺合部232と全く同様の構成である。すなわち、螺合部305は、金具304の外面のネジ溝と螺合するネジ溝が内面に形成された略円筒形状の第1円筒部305aと、第1円筒部305aの内側に所定間隔おいて形成される略円筒形状の第2円筒部305bとを有している。そして、これら第1円筒部305aおよび第2円筒部305bにおけるユニット本体301側の開口部を、ドーナツ状の円盤の外周および内周に沿うように当該円盤上に貼り合わせることで、螺合部305が構成される。
螺合部305の底部には、第2円筒部305bと連通するユニット本体301が一体的に形成されている。また、第2円筒部305bは、第1のホース202の可動手段222の挿通部241に挿通可能な形状で形成されている。
このような構成により、第2円筒部305bを第1のホース202の挿通部241に挿通して固定することで、イオン溶出ユニット300と第1のホース202とが接続される。これにより、イオン溶出ユニット300を、第1のホース202を介して水道の蛇口201と連通接続することができる。
一方、蛇口201に金具304をネジ止めし、金具304のネジ溝を第1円筒部305aのネジ溝と螺合させることにより、第1のホース202を用いずに、イオン溶出ユニット300を直接、蛇口201に連通接続することもできる。
したがって、このような第1接続部302の構成によれば、蛇口201とイオン溶出ユニット300とを連通接続するにあたり、第1のホース202を用いる場合と、用いない場合との両方に容易に対処することができる。
(3−2.第2接続部)
図21および図22に示すように、第2接続部303は、上述した第2のホース203(図11参照)とユニット本体301とを連通接続するものであり、ユニット本体301と一体的に形成されている。この第2接続部303は、接続管303aと、鍔部303bとを有して構成されている。
接続管303aは、第2のホース203の第1接続部の挿通部に挿通される。鍔部303bは、接続管303aが上記挿通部に挿通されたときに、第2のホース203の係止部によって係止されるものであり、これによって、第2のホース203のイオン溶出ユニット300からの抜けが確実に防止される。
また、接続管303aは、洗濯機1の接続管51(図1参照)に嵌合するような形状でも形成されている。
このような構成により、接続管303aを第2のホース203の挿通部241に挿通して固定することで、イオン溶出ユニット300と第2のホース203とが接続される。したがって、イオン溶出ユニット300を、第2のホース203を介して洗濯機1と連通接続することができる。一方、接続管303aを洗濯機1の接続管51に嵌め込めば、イオン溶出ユニット300と洗濯機1とを直接連通接続することもできる。
したがって、第2接続部303の上記構成によれば、イオン溶出ユニット300と洗濯機1とを連通接続するにあたり、第2のホース203を用いる場合と、用いない場合との両方に容易に対処することができる。
以上のように、イオン溶出ユニット300に上述の第1接続部302および第2接続部303を設けることで、構造的にも簡単に、イオン溶出ユニット300を第1のホース202または水道の蛇口201と連通接続することができるとともに、イオン溶出ユニット300を第2のホース203または洗濯機1と連通接続することができる。したがって、イオン溶出ユニット300の製品コストを抑えることができる。
(3−3.ユニット本体)
ユニット本体301は、絶縁材料(例えば樹脂)にて成形されており、蛇口201から供給される水がその内部を流れ、洗濯機1に供給される。ユニット本体301は、一対の電極311、312を内包しているとともに、電極311、312のそれぞれに対応する端子部313、314と、検知部315とを有している。
(3−3−1.電極)
電極311、312は、例えば1cm×3cm、厚さ0.5mm程度の平板状の銀プレートでそれぞれ構成されており、ユニット本体301内を流れる水の流水方向上流側(図21および図22では上側)から下流側(図21および図22では下側)に向かって互いの対向面同士の間隔が狭まるように、ユニット本体301内に配置されている。
後述する駆動ユニット400から、コード500および端子部313、314を介して一対の電極311、312間に電圧を印加することにより、電極311、312から金属イオンが溶出される。そして、ユニット本体301内部を流れる水に上記の金属イオンが添加され、その水が金属イオン添加水として洗濯機1に供給されることとなる。
電極311、312を構成する金属としては、銀、銅、亜鉛若しくはそれらの合金であることが好ましい。銀電極から溶出する銀イオン、亜鉛電極から溶出する亜鉛イオンは、殺菌効果に優れ、銅電極から溶出する銅イオンは、防カビ性に優れている。また、これらの合金からは、成分金属のイオンを同時に溶出させることができるので、優れた殺菌効果および防カビ効果を得ることができる。したがって、電極311、312を適当な金属で構成することにより、その金属イオン固有の効果を得ることができる。
なお、両方の電極311、312を同じ金属で構成する必要は必ずしもなく、また、片方の電極を不溶性の電極(例えばチタン)で構成するようにしてもよい。
ここで、電極311、312を銀電極とした場合の抗菌メカニズムについて、具体的に説明すると以下の通りである。
例えば、汗をかいたとき、衣類が臭うのは、菌の繁殖が原因である。汗は、本来無臭であり、脂肪酸とグリセリンとからなるグリセリドをその成分の一つとして含んでいるが、菌がそのグリセリドを分解することで、グリセリドから分解された脂肪酸が臭いを放つ。
しかし、電極311、312が銀電極の場合、これらの電極に電圧を印加することによって、陽極側の電極においてAg→Ag++e-の反応が起こり、水中に銀イオンが溶出する。この銀イオンが臭いの原因となる菌に作用することにより、菌が不活化されるので、汗成分(グリセリド)が分解されず、臭いの発生が抑えられるということである。なお、上記の不活化とは、殺菌、除菌、滅菌、分解、除去などの作用が施されることを言う。
上記の電極311、312は、ユニット301と一体成形されている。つまり、例えば光硬化型樹脂の中に電極311、312を配置し、紫外線等の照射によって上記樹脂を硬化させる方法や、先に金型に電極311、312を配置・保持し、そこに樹脂を流し込んで冷却・硬化させる方法(インサート成型)により、電極311、312と一体化されたユニット本体301が成形される。なお、この一体成形により、電極311、312は、ユニット本体301内では、その内壁の一部により支持されることになる。
例えば、ユニット本体301を、複数の筐体の貼り合わせで構成した場合には、その貼り合わせ部分から内部の水が外部に漏れる危険性がある。しかし、本実施形態のように、ユニット本体301を、電極311、312を内部に含んだまま一体成形することにより、貼り合わせ部分からの水漏れといった問題は皆無であり、ユニット本体301のシール性を良好に維持することができる。
ところで、金属イオン(例えば銀イオン)の溶出により、電極311、312は次第に消耗し、減っていく。すると、電極311、312間の距離が広がり、電極311、312の表面積も狭くなる。この場合、所定の金属イオン溶出量を確保すべく、電極311、312に同じ電流を流すのに必要な電圧が上昇する。しかし、供給できる電圧にも上限があり、電圧が上限まで達すると、今度は電極311、312に流す電流が下がる。そうすると、溶出する金属イオン量が減少し、所定濃度の金属イオンを確保することができなくなる。したがって、金属イオンによる抗菌効果を確実に得るためには、金属イオンの溶出量が確保できなくなった段階で、電極311、312を新しいものと交換する必要がある。
本実施形態では、上述したように、電極311、312はユニット本体301と一体成形されているため、ユニット本体301ごと新しいものと交換することとなる。つまり、本実施形態のユニット本体301は、使い捨てタイプのものである。このようにユニットとして交換できるようにすることにより、使用者の電極交換時における電極の誤組立や、電極の変形等を防ぎ、交換が使用者にも安心して容易に可能となる。
なお、本実施形態では、ユニット本体301が一対(2枚)の電極311、312を有する例について説明したが、電極の数はこれに限定されるわけではない。2枚以上の複数枚の電極をユニット本体301が有していても、これらの電極に電圧を印加して、電極から金属イオンを溶出させることにより、本発明の効果を得ることはできる。
(3−3−2.端子部)
端子部313、314は、電極311、312と駆動ユニット400とを電気的に接続するための端子であり、ユニット本体301の側壁を貫通して設けられている。これらの端子部313、314の一端は、電極311、312と例えば銀蝋付けにより電気的にそれぞれ接続されており、他端は、駆動ユニット400とコード500を介して電気的に接続されている。なお、上記の銀蝋付けとは、例えば銀と銅と亜鉛等との銀合金を蝋材とし、母材の金属を熔かさずに、母材よりも低温で溶融する蝋材を熔かして金属を母材に接着する方法のことである。
本実施形態では、端子部313、314は、少なくともユニット本体301との貫通部分の断面が円形となる形状で構成されている。この構成の場合、ユニット本体301内の内圧(水圧)が上記貫通部分の周方向に均等にかかり、高い水圧に対しても水漏れが生じにくい構造となる。その結果、安心してイオン溶出ユニット300を使用することができる。また、このような構造を採用しても、イオン溶出ユニット300の生産バラツキもほとんどなく、生産の余裕度をアップさせることもできる。
特に、本実施形態では、端子部313、314は、軸方向全体にわたって断面円形の円柱形状で形成されている。そして、端子部313、314におけるユニット本体301との貫通部分が、Oリング等のシール部材313a、314a(図19参照)によってシールされている。端子部313、314が円柱形状で形成されていることで、上記シール部材313a、314aを挿入することが容易となり、上記貫通部分でのシール性を確実に得ることができる。
(3−3−3.検知部)
検知部315は、ユニット本体301内部の水流の有無とその流量とのうちの少なくとも一方を検知する検知手段であり、本実施形態では、ユニット本体301内の流水方向において電極311、312よりも上流側に設けられている。この検知部315は、回転子316(図24参照)と、磁石317と、磁気検知部318とを有している。
ここで、図24は、回転子316を拡大して示す斜視図である。回転子316は、ユニット本体301内の水の通過によって回転するものであり、水の流れる方向に回転軸部321を有している。この回転軸部321は、図示しない軸受により支持されている。そして、水を受ける2枚のハネ322が、互いに対称となる位置で回転軸部321にそれぞれ固着されている。ユニット本体301内を流れる水が、各ハネ322に当たりながら流れることで、各ハネ322が回転軸部321を軸とする回転方向の力を受け、これによって回転子316全体が回転軸部321を中心に回転することとなる。
また、回転子316は、カップ状の収容部323を2個有しており、各収容部323における開口部323aとは反対側の底部が、互いに対称となる位置で回転軸部321にそれぞれ固着されている。上記の磁石317は、2個の収容部323の少なくとも一方に内包されている。磁石317が片方の収容部323にのみ収容されているときは、他方の収容部323には、磁石317と同等の重さのおもり319が内包され、回転子316の回転時のバランスが保たれるようになっている。各収容部323の開口部323aは、図示しない蓋により閉じられている。
磁気検知部318(図22参照)は、回転子316の回転による磁石317の磁気変化に基づいて、ユニット本体301内での水流の有無とその流量とのうちの少なくとも一方を検知するものであり、ユニット本体301側に設けられている。磁気検知部318は、例えば、ユニット本体301の壁を形成する樹脂を介して、磁石317の磁気変化を非接触で検知するホールICで形成されている。
上記の構成により、ユニット本体301内を水が流れることで回転子316が回転すると、磁石317から発生する磁気(磁束、磁界)も変化する。この磁気変化を磁気検知部318が非接触で検知することにより、ユニット本体301内の水流の有無を検知することができる。
また、上記の磁気変化が単位時間あたりに何回周期的に変化しているかを磁気検知部318が検知することで、回転子316の単位時間あたりの回転数を検知できるとともに、ユニット本体301内部を流れる水の流量を検知することができる。
つまり、検知部315を上記のように構成することで、磁石317の磁気変化に基づいて、ユニット本体301内部の水流の有無とその流量とのうちの少なくとも一方を確実に検知することができる。
また、検知部315が、ユニット本体301内の水の通過によって回転する回転子316(回転素子)を有して構成されているので、水の流量が少ない場合でも、水の流れの有無を容易にかつ確実に検知することができる。また、回転子316の回転数は、流れる水の流量に応じて変化するので、磁気検知部318は、その流量に応じた検知信号を検知して、水の流量を精度よく検知することができる。
ところで、本実施形態では、上述した検知部315は、ユニット本体301と一体的に設けられているが、ユニット本体315に対して、分離可能に設けられていてもよい。つまり、検知部315とユニット本体301とを別体で構成しておき、これらを組み合わせる構成としてもよい。この場合、ユニット本体301内の電極311、312の消耗により、ユニット本体301を交換する必要が生じた場合でも、検知部315までも交換せずに済む。その結果、検知部315を有効利用して、ユニット交換時に発生する費用を抑えることができる。
また、検知部315の設置位置は、ユニット本体301における電極311、312の上述した流水方向上流側に限られず、下流側であってもよい。また、検知部315は、後述する流出方向可変部306(図26参照)に設けられてもよい。また、検知部315は、水道の蛇口201から洗濯機1に至る水の供給路上であれば、第1接続部302に設けられてもよいし、第2接続部303に設けられてもよく、さらには、イオン溶出ユニット300の外部(例えば第1のホース202や第2のホース203)に設けられてもよい。
また、回転子316の回転軸部321を、水の流れる方向と交差する方向に設け、回転子316を水車のように回転させる構成としても構わない。
なお、本実施形態では、検知部315を、回転子316を用いた回転検知式で構成した例について説明したが、フロー式で構成しても勿論構わない。
フロー式とは、バネで支持された移動体が流水経路中にあり、水が流れるとその流れに押されて移動体が動き、その移動体の動きを適当なセンサにて検知することにより、水の流れを検知する方法である。例えば、移動体内に磁石を入れ、水が流れたときに移動体が移動する位置に磁気検知部(ホールIC)を置いておけば、磁気検知により、水の流れを検知することができる。このように検知部315をフロー式で構成すれば、磁気検知は回転子316の回転速度に応じたものではなく、水の流れのあるときとないときの磁気変化の検知でよいので、磁気検知部(ホールIC)を応答速度の遅いもので構成しても、水流を確実に検知することができる。
以上のことから、検知部315は、水の流れに応じて移動する移動体と、上記移動体に内包される磁石と、上記移動体が移動する位置にて上記磁石の磁気を検知することにより、水流の有無を検知する磁気検知部とを有して構成されていてもよいと言うことができる。
(3−4.効果)
上述した本実施形態の抗菌処理装置は、給水装置(例えば洗濯機1)によって給水対象(例えば洗濯物)に供給される水に添加する金属イオン(例えば銀イオン)を発生するイオン発生部(例えばイオン溶出ユニット300)を備えた抗菌処理装置200であって、前記イオン発生部は、前記給水装置の外部で、かつ、水道の蛇口201から前記給水装置への水の供給路に、取り外し自在に設置される構成である。
より具体的には、前記イオン発生部が、一対の電極311、312を内包し、前記水が内部を流れるユニット本体301を有するイオン溶出ユニット300で構成され、イオン溶出ユニット300が、(1)ユニット本体301を、水道の蛇口201、または蛇口201から供給される水が流れる第1のホース202と接続するための第1接続部302と、(2)ユニット本体301を、前記給水装置に供給される水が流れる第2のホース、またはその給水装置と接続する第2接続部とを有していることで、上記供給路に対して取り外し自在に設置される構成を実現している。
それゆえ、洗濯機1の外部に、イオン発生部を後付けすることができるので、洗濯機1としてイオン発生部を最初から有していない既存のものであっても、イオン発生部を備えた洗濯機1と同等のものを容易に実現することができる。したがって、イオン発生部を備えた洗濯機1への買い替えという、洗濯機1の無駄な買い替えが不要であり、既存の洗濯機1を有効利用することができる。また、イオン発生部は、洗濯機1への水の供給路に対して取り外し自在であるので、その交換も容易に行うことができる。
また、イオン溶出ユニット300が、上述の第1接続部302および第2接続部303を有していることにより、イオン溶出ユニット300を洗濯機1外部で以下のように配置することができる。
第1に、水の通る経路が、水道の蛇口201、第1のホース202、イオン溶出ユニット300、第2のホース203、洗濯機1となるように、イオン溶出ユニット300を配置する方法(図11の接続方法)である。
第2に、水の通る経路が、水道の蛇口201、イオン溶出ユニット300、第2のホース203、洗濯機1となるように、イオン溶出ユニット300を配置する方法である。
第3に、水の通る経路が、水道の蛇口201、第1のホース202、イオン溶出ユニット300、洗濯機1となるように、イオン溶出ユニット300を配置する方法である。
イオン溶出ユニット300が第1接続部302および第2接続部303を有していることにより、上記のように、水道の蛇口201から洗濯機1に至る水の供給路に対して、イオン溶出ユニット300を設置する際の接続のバリエーションが増加するので、使用者のニーズに応じたイオン溶出ユニット300の設置方法を実現することができる。
(3−5.イオン溶出ユニットの他の構成)
(3−5−1.ユニット本体の形状)
以上では、イオン溶出ユニット300のユニット本体300が、内部を流れる水の流水方向に沿って鉛直下方に伸びる形状で形成されている例について示したが、ユニット本体301の形状は、これに限定されるわけではない。例えば、図25に示すように、ユニット本体301は、電極311、312から流水方向下流側の部分を例えば90度折り曲げることにより、内部を流れる水の流水方向を変化させる形状で形成されてもよい。つまり、ユニット本体301は、ユニット本体301に流れ込む水の流入方向とは異なる方向に水が流出する形状で形成されていてもよい。なお、図25は、イオン溶出ユニット300を水道の蛇口201に直接接続した例を示している。
この構成の場合、イオン溶出ユニット300からの水の流出方向を、鉛直方向から例えば水平方向に変化させることができるので、イオン溶出ユニット300の第2接続部303と接続される第2のホース203の引き回しが楽になる。つまり、洗濯機1の接続管51とイオン溶出ユニット300との距離が近すぎる場合でも、第2のホース203を無理に曲げることなく、迂回させるようにしてイオン溶出ユニット300と洗濯機1とを接続することができ、第2のホース203への物理的な負担が少なくなる。
(3−5−2.流出方向可変部)
また、ユニット本体301を曲げるのではなく、図26に示すように、ユニット本体301からの水の流出方向を変化させる流出方向可変部306を、ユニット本体301に対して接続する構成であってもよい。
この流出方向可変部306は、略90度に曲がった筒状の管で構成されている。流出方向可変部306の一端は、イオン溶出ユニット300の第2接続部303に回転可能に取り付けられ、他端には第2のホース203(図11参照)が嵌められる。水道の蛇口201から供給され、ユニット本体301内部を鉛直下向きに流れる水は、流出方向可変部306にて略90度方向転換されて水平方向に流れ、第2のホース203を介して洗濯機1に供給されるので、洗濯機1の周りの壁などを回避できるように、第2のホース203を自由に引き回すことができ、イオン溶出ユニット300を利用しやすくすることができる。
また、流出方向可変部306は、イオン溶出ユニット300の第2接続部303に対して回転可能に設けられているので、イオン溶出ユニット300からの水の流出方向を、その設置場所に応じて自由に選択することができ、イオン溶出ユニット300をさらに利用しやすくすることができる。
また、例えば、流出方向可変部306に後述する駆動ユニット400の状態表示部402(図27参照)をユニット化したものを設けることも可能であるが、このような場合に、流出方向可変部306を回転させれば、状態表示部402を使用者が見やすいような位置にすることができ、その視認性を高めることができる。
また、図26に示すように、流出方向可変部306の外面に、イオン溶出ユニット300の第2接続部303の鍔部303bを係止する係止部306aを設ける構成とすれば、流出方向可変部306の第2接続部303からの抜けを確実に防止することができる。
(3−5−3.ユニット本体の傾斜配置)
上述した構成のユニット本体301は、その内部を水が鉛直下向きに流れるような配置となっているが、この配置に限定されるわけではない。例えば、ユニット本体301を傾斜して配置する構成、すなわち、内部を流れる水が鉛直方向に対して傾斜して流れるように、ユニット本体301を配置する構成であっても構わない。なお、水が鉛直方向に対して傾斜して流れるという概念には、水が水平方向(横向き)に流れる場合も含むものとする。
この構成によれば、電極311、312の大きさを変えることなく、ユニット本体301、ひいてはイオン溶出ユニット300の高さ方向(鉛直方向)の寸法を抑えることができる。したがって、流水方向が鉛直方向となるようにイオン溶出ユニット300を配置した場合と同等の金属イオンの溶出能力を確保したまま、水道の蛇口201と洗濯機1との間の高さスペースに余裕がない場合でも、周辺の機器や壁に当てることなく、イオン溶出ユニット300を容易に取り付けることができる。この結果、イオン溶出ユニット300の設置場所の選択肢を広げることができる。
(3−5−4.第1のフィルタ)
図21および図22に示すように、イオン溶出ユニット300のユニット本体301内の電極311、312よりも流水方向の上流側に、水中の不純物を除去する第1のフィルタ331を設ける構成としてもよい。
この構成によれば、水中のゴミや金属カスなどの不純物を第1のフィルタ331で止めることができるので、そのような不純物が電極311、312に付着したり、電極311、312間に詰まるのを防止することができる。その結果、不純物の付着による弊害(例えば金属イオンの溶出量の減少)を防止することができる。
また、第1のフィルタ331は、特に、イオン溶出ユニット300への水の流入口、すなわち、第1接続部302に設けられる構成が望ましい。この場合、イオン溶出ユニット300を供給路から取り外したときに、使用者が第1のフィルタを容易に掃除することができ、メンテナンスがしやすいと言うメリットがある。また、イオン溶出ユニット300に第1のフィルタ331を取り出すための取り出し部を設ける構成に比べ、そのような取り出し部を不要とする分だけ部品点数を抑えることができ、その取り出し部に必要なシールも不要であり、水漏れの無駄な心配もしなくて済む。
また、第1のフィルタ331は、検知部315よりも流水方向上流側に設けられる構成が望ましい。この場合、水中のゴミや金属カスなどの不純物が、検知部315に付着したり、挟まったりして、検知部315での検知に弊害が生じ、作動不良となるのを防止することができる。
なお、第1のフィルタ331は、上述したイオン溶出ユニット300内に限られず、イオン溶出ユニット300と蛇口201との間の水の供給路上(例えば第1のホース202内)に設けられてもよい。この場合でも、上記と同様の効果を得ることができる。
(3−5−5.第2のフィルタ)
イオン溶出ユニット300のユニット本体301内の電極311、312よりも流水方向の下流側に、水中の不純物を除去する第2のフィルタを設ける構成としてもよい。この第2のフィルタは、イオン溶出ユニット300内に設けられてもよいし、イオン溶出ユニット300と洗濯機1との間の水の供給路上(例えば第2のホース203内)に設けられてもよい。
この構成によれば、イオン溶出ユニット300の電極311、312の金属破片が下流側に流されても、それを第2のフィルタで止めることができる。これにより、金属破片が下流の機器(洗濯機1)や物品(洗濯物)に当たり、弊害が生ずるのを防止することができる。
また、第2のフィルタは、イオン溶出ユニット300への水の流出口、すなわち、第2接続部303に設けられる構成が望ましい。この場合、イオン溶出ユニット300を供給路から取り外すことで、使用者が第2のフィルタを容易に掃除することができ、メンテナンスがしやすい。また、イオン溶出ユニット300に第2のフィルタを取り出すための取り出し部を設ける構成に比べ、そのような取り出し部を不要とする分だけ部品点数を抑えることができ、その取り出し部に必要なシールも不要であり、水漏れの無駄な心配もしなくて済む。
また、第2のフィルタは、電極311、312よりも流水方向下流側であって、かつ、検知部315よりも流水方向上流側に設けられている構成としてもよい。つまり、第2のフィルタは、電極311、312とその流水方向下流側の検知部315との間に配置される構成であってもよい。この場合、第2のフィルタによって、電極311、312の金属破片が下流側に流れるのを止めることができるので、上記金属破片が検知部315に当たって検知部315が動作不良となる事態を防止することができる。
(3−5−6.第1接続部および第2接続部のユニット本体からの分離)
上述した第1接続部302は、電極311、312を内包するユニット本体301に対して分離可能に設けられる構成としてもよい。また、上述した第2接続部303は、同じくユニット本体301に対して分離可能に設けられる構成としてもよい。この場合、例えば、電極311、312の消耗により、ユニット本体301を交換する必要が生じた場合でも、第1接続部302や第2接続部303までをも交換しなくて済む。その結果、第1接続部302や第2接続部303を有効利用して、ユニット交換時に発生する費用を抑えることができる。
(3−5−7.発電機)
本実施形態のイオン溶出ユニット300は、ユニット本体301内の水流による回転子の回転により発電する発電機を内蔵していてもよい。このとき、上記回転子は、検知部315の回転子316であってもよい。この構成の場合、ユニット本体301内を水が流れたときのみ、自家発電により、電極311、312に自動的に電圧を印加して、金属イオンを自動的に溶出させる構成とすることができる。
(3−5−8.イオン発生部のその他の構成)
以上では、イオン発生部として、金属イオンを溶出する電極311、312を備えたイオン溶出ユニット300を用いた例について説明したが、本発明は、これに限定されるわけではない。イオン溶出部は、例えば、カートリッジ内に金属イオン溶出材(銀溶出材であれば硫化銀など)を装填し、カートリッジ内に水を通すだけで(電圧を印加しないで)金属イオンを溶出するものであっても構わない。
(4.駆動ユニット)
次に、駆動ユニット400の詳細について説明する。
図27(a)ないし図27(d)は、駆動ユニット400の外観構成を示す平面図、正面図、側面図、背面図をそれぞれ示している。また、図28は、駆動ユニット400の内部の詳細な構成を示すブロック図である。なお、駆動ユニット400の内部の基本的な回路構成は、実施の形態1の図9で示した電源ユニット101の駆動回路120とほとんど同じである。
駆動ユニット400は、イオン溶出ユニット300を駆動するものであり、操作部401と、状態表示部402と、電圧発生部403と、変圧回路404と、電源電圧検知部405と、電流検知回路406と、制御部407とを有している。制御部407は、上記各部の動作を制御している。また、駆動ユニット400の背面には、壁や洗濯機1に貼り付けられたフックが挿入される穴400a(図27(c)(d)参照)が設けられている。以下、各構成の詳細について説明する。
(4−1.操作部)
操作部401は、駆動ユニット400の運転のON/OFFを切り替える操作を使用者が行うためのものであり、ツマミやレバー、ボタンなどで構成されている。このような操作部401を駆動ユニット400に設けることで、使用者は、駆動ユニット400を操作しやすい好きな場所に設置して、駆動ユニット400の運転を自由に切り替えることができる。
特に、本実施形態では、図27(b)に示すように、回転式のツマミにより操作部401を構成している。これにより、回転のような操作部401の物理的な状態変化で駆動ユニット400の動作状態を簡単に確認することができる。したがって、運転のON/OFFの動作状態を表示するためのLED等を設ける必要がなく、そのような表示に無駄な電力が消費されることもない。特に、バッテリー駆動の場合には、そのように無駄に消費されるような電力をバッテリー駆動に有効に利用することができる。
なお、操作部401は、電力を使用せず、駆動ユニット400の動作状態を容易に視認できるように、状態変化が物理的に行われるものであればよい。このような物理的な状態変化としては、上記したツマミの回転の他、ボタンの凹凸、レバーの倒れ、ボタンの色や文字の変化、などが考えられる。
(4−2.状態表示部)
状態表示部402は、駆動ユニット400の運転状態を表示するものであり、例えばLEDで構成されている。具体的には、状態表示部402は、バッテリー寿命表示ランプ402aおよび銀イオン溶出ランプ402bで構成されている。
これらのランプの点灯および消灯は、後述する制御部407によって制御されている。
バッテリー寿命ランプ402aは、後述する電源電圧検知部405にて電圧発生部403のバッテリー寿命が検知されたときに点滅するランプである。なお、駆動ユニット400の運転ON状態およびOFF状態において、バッテリー残量がある場合、バッテリーの消費を抑えるために、バッテリー寿命ランプ402aは消灯したままである。
銀イオン表示ランプ402bは、後述する電圧発生部403にて発生する電圧がイオン溶出ユニット300の電極311、312に印加され、金属イオンである銀イオンが溶出されているときに点滅するランプである。銀イオンの溶出は、通常、人間の目には見えないため、このような銀イオン表示ランプ402bを設けて銀イオンの溶出を使用者に知らしめることにより、使用者は、銀イオンの溶出が確実に行われていること、およびその溶出時期を簡単に認識することができ、本発明の抗菌処理装置200を安心して使用することができる。
ここで、イオン溶出ユニット300の電極311、312が銀イオンの溶出によって消耗し、上述した理由により、電極311、312に流れる電流が減少してくると、電極311、312の寿命(交換時期)と判断することができる。そこで、後述する電流検知回路406が電極311、312に流れる電流が閾値よりも小さくなったことを検知すると、制御部407は、電極311、312が消耗して交換が必要であると判断して、銀イオン表示ランプ402bを急速点滅させる。これにより、イオン溶出ユニット300(ユニット本体301)の交換が必要であることを使用者に認識させて、その交換作業を使用者に促すことができる。
なお、電極311、312の消耗時は、使用者が所望の抗菌処理ができなくなっていることを知らずに使用するのを避けるため、バッテリーが無くなることよりも、イオン溶出ユニット300の交換を使用者に促すことを優先する必要がある。このため、制御部407は、操作部401の操作によって駆動ユニット400の運転がOFFとなるまで、あるいは、バッテリーが無くなるまで、銀イオン表示ランプ402bの点滅表示を継続させる。
また、駆動ユニット400とイオン溶出ユニット300とを接続するコード500が、何らかの原因で外れた場合、駆動ユニット400の運転がONであるにもかかわらず、コード500を介してはイオン溶出ユニット300の電極311、312に電圧が印加されないので、電極311、312に電流が流れない。したがって、この場合も上記と同様に、電流検知回路406からの検知信号に基づき、制御部407は、銀イオン表示ランプ402bを急速点滅させて、異常状態である旨を使用者に報知することになる。
このように、制御部407は、イオン溶出ユニット300での金属イオンの溶出に支障を来たす異常事態(バッテリー寿命、電極311、312の消耗、コード500の抜け等)が生じたときに、メイン電源(バッテリー)が切れるまで、バッテリー寿命表示ランプ402aおよび銀イオン溶出ランプ402bを表示(点滅または急速点滅)させ続ける構成である。これにより、異常事態を使用者に確実に知らせることができ、適切な対応(バッテリー交換、ユニット本体301の交換、コード500の再接続)を使用者に促すことができる。
なお、警告音を発する警告手段(例えばブザー)を駆動ユニット400に設け、電源電圧検知部405からの異常検知信号(バッテリー寿命検知信号)や、電流検知回路406からの異常検知信号(電極311、312の電流低下信号)に基づき、上述の金属イオンの溶出に支障を来たす事態が生じたときに、制御部407が警告手段から警告音を発生させ、その異常事態を使用者に知らせる構成としても勿論構わない。
以上のように、駆動ユニット400が状態表示部402を有していることにより、使用者はイオン溶出ユニット300の動作状態を、状態表示部402の表示によって容易に把握することができる。
また、上記した状態表示部402は、駆動ユニット400から分離される表示ユニットとして構成されてもよい。この場合、例えば、駆動ユニット400は洗濯機1の側面に設置し、表示ユニットは洗濯機1の正面に設けるというように、表示ユニットだけを視認性のよい場所に位置させることができる。したがって、使用者は、イオン溶出ユニット300の動作状態をすぐに把握することができる。
また、上記の表示ユニットは、イオン溶出ユニット300に配置されてもよい。イオン溶出ユニット300という、動作状態を監視すべき対象に上記の表示ユニットが設けられることで、使用者はイオン溶出ユニット300の動作状態を直接的に把握することができる。
ところで、状態表示部402は、上述したように、バッテリー寿命表示ランプ402aおよび銀イオン溶出ランプ402bという、各動作状態に対応する表示ランプを複数有している。しかし、状態表示部402は、1個の表示部(表示ランプ)で、表示の仕方を各動作状態に応じて変化させることにより、複数の状態表示を兼用する構成となっていてもよい。
つまり、状態表示部402は、各動作状態に応じて1個の表示ランプを点灯、点滅、急速点滅等させるなどして、表示の仕方を変化させる構成となっていてもよい。例えば、銀イオン溶出ランプ402bが、電源ON状態では点灯、銀イオン溶出中では点滅、銀イオン異常状態では急速点滅、となる構成となっていてもよい。この場合、単数の部品で複数の動作状態を表示することができるので、部品点数(例えば表示ランプに用いられるLEDの数)を抑えて、駆動ユニット400としてのコストおよび消費電力を抑えることができる。また、使用者は多くの表示部を確認する必要もなく、動作状態の確認がしやすい。さらに、単数の表示部であれば、駆動ユニット400にて表示スペースを取らないので、駆動ユニット400をコンパクトに構成することができる。
なお、1つの表示ランプで状態表示を兼用しすぎると、却って使用者が動作状態を認識し辛くなる場合もあるので、表示ランプの数は、例えば、表示すべき動作状態の数と、使用者の視認性とを考慮して設定されればよい。この点では、表示ランプを2個設ける図27(b)の構成は、表示すべき動作状態の数と、使用者の視認性とのバランスが保たれている。
また、状態表示部402の銀イオン溶出ランプ402bは、点灯あるいは点滅してから所定時間(例えば2秒)経過後に消灯する構成になっていてもよい。これにより、後述する電圧発生部403を乾電池(バッテリー)403aで構成した場合に、乾電池403aの無駄な電力消費を抑え、乾電池403aを長時間使用することができる。
例えば、電極311、312から所望量の銀イオンを溶出するためには、電極311、312に約20mAの電流を流す必要がある。これに対して、LEDを点灯させるためには、LED1個でも約3mAというかなりの電流を必要とする。そのため、LEDを長時間点灯させると、あっという間に電池がなくなるおそれがある。その結果、本来、イオン溶出ユニット300での銀イオンの溶出に使用されるべき乾電池403aを、それ以外の用途(LEDの表示)にも併用することで、乾電池403aが早く消耗し、銀イオンの溶出に支障を来たす。
しかし、状態表示部402の銀イオン溶出ランプ402bを所定時間経過後に消灯することにより、乾電池403aのような限りあるエネルギーを、金属イオンの溶出にのみ有効的に使用することができ、ランニングコストの削減につなげることができる。
特に、電源を入れた直後に、正常に金属イオンを溶出できる状態にあることが回路チェックにより確認されたときにこのような点灯・消灯をするように構成しておけば、使用者が電源を入れたときに正常に使用できるか否かを確認することができるとともに、その後の消灯により無駄な電力消費を抑えることができる。
また、このときに異常が発見されれば、急速点滅などによって即座に使用者に異常を知らしめる構成とすれば、使用者は確実に異常を知ることができる。
(4−3.電圧発生部)
電圧発生部403は、イオン溶出ユニット300の電極311、312に印加すべき電圧を発生させるものである。より具体的には、電圧発生部403としては、乾電池403aや、家庭用コンセント(商用電源)に差し込まれるプラグ(電源コネクタ)および接続コード403bや、交流を直流に変換するACアダプタなどを考えることができる。電圧発生部403にて発生する電圧の電極311、312への印加は、制御部407によって制御されている。
電圧発生部403にて発生する電圧を、後述する変圧回路404およびコード500を介してイオン溶出ユニット300の電極311、312に印加することにより、イオン溶出ユニット300にて、電極311、312から金属イオンを溶出させることができる。
また、電圧発生部403を乾電池403aで構成して電池駆動とすることにより、使用場所を選ばずに、駆動ユニット400を設置することができる。例えば、商用電源を利用できない場所や、商用電源は利用できてもコンセントの口数が足りない場所であっても、駆動ユニット400を使用することができる。つまり、商用電源の有無を気にすることなく、使用者は好みの場所で駆動ユニット400を使用し、イオン溶出ユニット300を駆動することができる。
また、電圧発生部403は、乾電池403aや、上記のプラグおよび接続コード403bや、ACアダプタを全て備えた構成であってもよい。これにより、電池駆動と商用電源による駆動との両者でイオン溶出ユニット300を駆動できる。つまり、例えば商用電源を利用できない環境下では、乾電池403aによりイオン溶出ユニット300を駆動することができる一方、商用電源を利用できる環境下では、上記のプラグおよび接続コード403bやACアダプタにより商用電源を利用することができる。したがって、使用者は、電源環境に応じて最適な電源を選択して、イオン溶出ユニット300を駆動することができる。
また、電池駆動のみならず、商用電源でもイオン溶出ユニット300を駆動できるので、ランニングコストを抑えることができ、また、電池切れにより駆動ユニット400が作動しなくなるということがない。
また、電圧発生部403を充電池で構成し、上記のプラグおよび接続コード403bとACアダプタとにより、上記充電池が自動的に充電される構成となっていてもよい。この場合、充電器を別途用意する必要がないので、使用者の利便性をさらに向上させることができる。
また、電圧発生部403としての上記のプラグは、駆動ユニット400と接続コード403bを介して接続されてもよいが、駆動ユニット400の本体と一体的に設けられてもよい。この場合、接続コード403bを不要とする分、駆動ユニット400全体をコンパクトにすることができるので、駆動ユニット400全体としての設置スペースを小さくすることができる。
(4−4.変圧回路)
変圧回路404は、電圧発生部403にて発生する電圧を変圧(昇圧または降圧)してイオン溶出ユニット300に供給する回路である。駆動ユニット400がこのような変圧回路404を含んでいることにより、1.5Vの電圧を出力する一般的な乾電池403aで電圧発生部403を構成した場合でも、イオン溶出ユニット300にて金属イオンを溶出させるのに十分な電圧(例えば20V程度)を得ることができる。
つまり、例えば、出力9Vや12Vの乾電池403aで電圧発生部403を構成することも可能であるが、これらは一般的に使用される出力1.5Vの乾電池に比べて価格が高い上、ランニングコストが高くつき、継続的に使用しにくい。
しかし、上述のように駆動ユニット400に変圧回路404を設けることで、そのような不都合を回避することができるとともに、必要に応じてより高い電圧を出力することができる。
また、電圧発生部403として商用電源を用いた場合などは、変圧回路404がAC100Vを例えば20V程度に降圧することにより、イオン溶出ユニット300にて金属イオンを溶出させるのに適した電圧を得ることができる。
また、変圧回路404は、負荷(電極311、312の抵抗)に応じて印加電圧を変化させる構成であってもよい。電極311、312は定電流駆動であるので、常に高い電圧が出力されていると、電極311、312に印加された電圧のうち、金属イオンを溶出するのに必要な電圧分を除く残りの電圧は、定電流回路の熱等によりエネルギー消費され、無駄な電力を消費してしまう。しかし、上記のように負荷に応じて印加電圧を変化させれば、そのような電力ロスを抑えることができ、電池エネルギーを効率的に使用することができる。
(4−5.電源電圧検知部)
電源電圧検知部405は、電圧発生部403の出力電圧を監視することによって、バッテリー寿命もしくは電源異常を検知するものである。より具体的には、電源電圧検知部405は、電圧発生部403の出力電圧が所定電圧より低くなった場合、バッテリー寿命もしくは電源異常であると判断して、その旨の信号を制御部407に出力する。この場合、制御部407は、状態表示部402のバッテリー寿命ランプ402aを点滅表示させて、異常が発生したことを使用者に報知する。
これにより、電圧発生部403が乾電池403aで構成されている場合に、電池寿命が来て、現在、交換時期であることを使用者に促すことができる。したがって、乾電池403aをそのまま使用し続けることによる液漏れなどの弊害を防止することができる。
また、電圧発生部403の電圧発生源が乾電池403aであっても商用電源であっても、電圧発生部403からの出力電圧が何らかの原因で低下すると、例えば金属イオンの溶出量低下が起こるなど、イオン溶出ユニット300が適切に動作しなくなる。しかし、電源電圧検知部405にて電圧発生部403の出力電圧が常に監視されているので、そのような不都合を未然に防止することができ、イオン溶出ユニット300を適切に動作させることができる。
(4−6.電流検知回路)
電流検知回路406は、イオン溶出ユニット300の電極311、312に流れる電流を検知し、当該電流が閾値よりも小さくなったときに、その旨の信号を制御部407に出力する。当該電流が閾値よりも小さくなったときは、金属イオンの溶出により、電極311、312が消耗し、寿命が近づいたと判断することができる。したがって、制御部407は、銀イオン表示ランプ402bを急速点滅させて、電極311、312の寿命を使用者に報知することにより、イオン溶出ユニット300(ユニット本体301)の交換を使用者に促すことになる。
したがって、電極311、312の消耗により、電極311、312からの金属イオンの溶出量が減り、金属イオンによる所望の効果(例えば抗菌効果)が得られなくなる、もしくはその効果が低下するのを回避することができる。
また、電流検知回路406にて検知した電流が閾値よりも大きくなったときは、回路や電極311、312がショートした等の異常状態になったと判断することができる。したがって、この場合には、電流検知回路406がその旨の信号を制御部407に出力し、制御部407の制御によって異常状態を使用者に報知する構成としてもよい。
(4−7.制御部)
(4−7−1.第1の制御)
制御部407は、上述したように、駆動ユニット400の各部の動作を制御するものであるが、本実施形態では、さらに、イオン溶出ユニット300の磁気検知部318によるユニット本体301内の水流の有無に応じて、電圧発生部403にて発生する電圧のイオン溶出ユニット300の電極311、312への印加を制御している。
より具体的には、制御部407は、イオン溶出ユニット300の磁気検知部318がユニット本体301内の水流を検知したときに、電圧発生部403にて発生する電圧をイオン溶出ユニット300の電極311、312に印加させる一方、磁気検知部318が上記水流を検知していないときには、上記電圧の電極311、312への印加を停止させる制御を行っている。
ユニット本体301内に水流がないときは、金属イオンを添加する水を使用者または機器が必要としておらず、水を流している状態ではない、またはユニット本体301内に水が存在しない状態であるので、電圧印加によって電極311、312から金属イオン(銀イオン)を溶出させる必要がない。したがって、それにもかかわらず、電極311、312に電圧を印加した場合には、駆動ユニット400にて無駄な電力が消費される。
しかし、制御部407が上記の制御を行うことによって、ユニット本体301内部を水が流れ始めたときに、つまり、金属イオンを添加する水が必要とされ、ユニット本体301内に水が存在し流れているときにのみ、電極311、312に電圧を印加し、電極311、312から金属イオンを溶出させることができる。このように真に金属イオンを溶出させる必要のあるときのみ、電極311、312に電圧を印加して金属イオンを溶出させるので、駆動ユニット400にて無駄な電力が消費されるのを回避することができる。
また、ユニット本体301内の水の流れがない状態で電極311、312に電圧を印加すると、電極311、312のまわりが、溶出した金属イオンで高濃度になり、次の金属イオンの溶出が阻害されるおそれがある。また、無駄に多くの金属イオンの添加された水が生成され、電極311、312の高価な金属が無駄になるおそれや、不要に高濃度の金属イオンの添加された水が生成され、悪影響を及ぼすおそれがある。
しかし、上記の制御によれば、上記水の流れがない状態では電極311、312に電圧が印加されないので、そのような心配もない。さらに、洗濯機1のような自動的に給水を実行する機器においては、機器の給水に合わせた金属イオンの自動溶出も可能となり、使用者が機器の給水に合わせて金属の溶出を制御する手間を省くことができる。
(4−7−2.第2の制御)
制御部407は、磁気検知部318がユニット本体301内を流れる水の流量を検知したときに、その検知した流量に応じて、電極311、312に印加する電圧または電極311、312に流す電流を変化させる制御を行ってもよい。
水道の蛇口201から供給される水の流量は、洗濯機1の設置される地域や場所等によって異なっている。上記流量の多い所と少ない所とで、同じ量の金属イオンを溶出するように電圧を電極311、312に印加していたとしても、同じ時間での水量が異なり、水の流量により金属イオン濃度が異なることになる。したがって、洗濯物の量および洗濯物に供給される水の量を一定とした場合、同じ量の洗濯物に付着する金属イオン量が異なるため、洗濯機1の設置場所によっては、金属イオン量が少ないために洗濯物に対する効果(例えば抗菌効果)が十分得られなかったり、金属イオン量が多すぎて、金属化合物の洗濯物への付着により、洗濯物が汚れたりする場合がある。
しかし、制御部407が上記の制御を行うことによって、ユニット本体301内を流れる水の流量に応じた量の金属イオンを、電極311、312から溶出させることができる。これにより、金属イオン添加水の金属イオン濃度を、洗濯機1の設置場所によらずほぼ一定にすることができ、溶出させる金属イオンの量に過不足を生じさせることがない。その結果、洗濯機1の設置場所によらず、洗濯物の量に応じた、金属イオンによる所望の処理を適切に行うことができるとともに、金属イオンの溶出過多による洗濯物の汚れを防止することができる。
また、ユニット本体301内の水の流量に応じて、金属イオンの単位時間あたりの溶出量を変更することにより、流量の変動に関わらず、所定の金属イオン濃度の金属イオン添加水を使用者は受け取ることができる。その結果、使用者は、上記金属イオンが銀イオンであれば、安定した抗菌効果を得ることができる。
(4−7−3.第3の制御)
制御部407は、電圧発生部403から電極311、312に電圧を印加し始めてから所定時間経過後に、電極311、312への電圧印加を停止させる制御を行ってもよい。
例えば、ユニット本体301内を流れる水の流量が少ない場合、電極311、312から金属イオンを溶出させ続けると、金属イオン添加水の金属イオン濃度が非常に高濃度となり、電極311、312が早く消耗したり、金属化合物が付着することで洗濯物が汚れる場合がある。
しかし、制御部407の上記制御によれば、たとえ流量が少なくても、適当なところで金属イオンの溶出が停止されるので、金属イオンの溶出量が多すぎて、濃度が高くなりすぎたり、電極311、312の寿命が極端に早くなったりするのを回避することができる。
また、所定時間経過のカウントは、所定時間以上電圧印加を停止した場合にゼロにリセットされるようにしてもよい。この場合、洗濯槽30の水量を所定水量にするのに複数回に分けて給水したり、使用者が給水の途中で一時停止した場合でも、むやみに時間がリセットされないので、所定時間が長くなりすぎ、金属イオンが必要以上に溶出され、高濃度になり過ぎるなどの不具合の心配がない。
(4−8.その他の構成)
本発明の抗菌処理装置200は、図28に示した駆動ユニット400の代わりに、図29に示す駆動ユニット400'を用いてもよい。この駆動ユニット400'は、駆動ユニット400の構成に加えて、濃度設定部408と、給水水量設定部409と、溶出回数カウント部410と、給水回数カウント部411と、溶出開始給水回数設定部412、記憶部413と、振動センサ414とのうち、少なくともいずれかを有している。
(4−8−1.濃度設定部)
濃度設定部408は、使用者が金属イオン(銀イオン)濃度を設定するためのものである。この場合、制御部407は、濃度設定部408にて設定された濃度に応じて、電圧発生部403にて発生する電圧を変更し、それを電極311、312に印加させる制御を行う。なお、制御部407は、濃度設定部408にて設定された濃度に応じて、電極311、312に流す電流を変更したり、電圧発生部403にて発生する電圧の電極311、312への印加時間を変更するようにしてもよい。
この構成の場合、濃度設定部408での濃度設定によって、使用者が自由に金属イオン添加水の金属イオン濃度を変更することができ、例えば、使用者の所望の抗菌能力に合わせた金属イオン濃度を出すことができる。これにより、本発明の抗菌処理装置200の使用性および活用範囲を広げることができる。
(4−8−2.給水水量設定部)
給水水量設定部409は、給水装置としての洗濯機1への給水水量を設定するためのものである。この場合、制御部407は、給水水量設定部409によって設定された給水水量に応じて、金属イオン(銀イオン)の溶出時間、すなわち、電圧発生部403にて発生した電圧の電極311、312への印加時間(電極311、312に電流を流す時間)を変更する制御を行う。
洗濯機1に給水する水量により、洗濯物の抗菌処理に必要な金属イオン濃度として所定濃度を得るための金属イオン溶出量も決まる。金属イオンの溶出量は、基本的にファラデーの法則に従うので、電圧印加により電極311、312に所定電流を流す時間を上記給水水量に合わせて変更すれば、流量検知手段(検知部315)等のコストのかかるものを備えなくても、所望濃度の金属イオン添加水を安定して洗濯機1に供給することができる。
なお、金属イオンの溶出時間の変更は、電極311、312に電圧を印加する際のトータル時間を変更するようにしてもよいし、電極311、312への電圧印加を交互にON/OFFする場合には、そのON時間とOFF時間との比率(時間)を変更するようにしてもよい。
(4−8−3.溶出回数カウント部)
溶出回数カウント部410は、イオン溶出ユニット300における金属イオン(銀イオン)の溶出回数をカウントするものである。ここで、金属イオンの溶出回数としては、(1)電圧発生部403から電極311、312に交互に電圧を印加する場合には、そのどちらかがONとなる回数であってもよいし、(2)電極311、312からの金属イオンの溶出を開始してからそれが終了するまでの全体を1回とした回数であってもよい。
この場合、制御部407は、金属イオンの溶出回数が所定値を超えたときに、状態表示部402の銀イオン表示ランプ402bを急速点滅させる。金属イオンの溶出回数が増加するに伴い、電極311、312が次第に消耗するので、カウンタ部408が金属イオンの溶出回数をカウントすることで、電極311、312の寿命をある程度予想することができる。
したがって、制御部407による銀イオン表示ランプ402bの急速点滅により、電極311、312の寿命を使用者に認識させて、ユニット本体301の交換を促すことができる。また、溶出回数カウント部410を設けるという簡単な構成により、そのような効果を容易に得ることができる。
(4−8−4.給水回数カウント部)
給水回数カウント部411は、イオン溶出ユニット300の検知部315での水流有無の検知に基づいて、イオン溶出ユニット300から給水装置としての洗濯機1への給水回数をカウントするものである。例えば、検知部315が最初にユニット本体301内での水流を検知したとき、給水回数カウント部411は、これを1回目の給水回数としてカウントし、検知部315が一度水流なしを検知してから再度水流ありを検知した場合に、これを2回目の給水回数としてカウントする。
このような給水回数カウント部411を設けた場合、制御部407は、給水回数カウント部411にてカウントした給水回数が、金属イオンの溶出が必要となる洗濯工程に対応する回数となった以降(例えば給水回数が3回目以降)に、電圧発生部403にて発生した電圧を、イオン溶出ユニット300の電極311、312に印加させ、電極311、312から金属イオンを溶出させる。
洗濯機1では、普通に洗濯工程を運転すると、最初は洗い工程が実行され、その後、すすぎ工程が実行される。洗濯機1への給水は、各洗濯工程ごとに、各工程の所定水量を給水するメイン給水と、布に水がしみ込むことによる水位低下を補うために各工程の途中で補給水を追加する追加給水とが行われるが、例えば洗い工程にて金属イオン添加水を洗濯機1に供給しても、その金属イオンは、衣類の汚れや洗剤成分を多量に含んだ水と共に洗い流され、金属イオンを衣類に対して十分に作用させることができず、無駄となる。
しかし、給水回数が1回目(メイン給水)および2回目(追加給水)となる洗い工程では電極311、312に電圧をせず、給水回数が3回目以降のとき、すなわち、次のすすぎ工程以降で電極311、312に電圧を印加して、電極311、312から金属イオンを溶出させることで、溶出した金属イオンが無駄となるのを回避することができ、金属イオンを有効利用することができる。また、洗濯物の汚れも洗い工程にてほぼ除去されているので、その後の金属イオン添加水の給水により、金属イオンを洗濯物に対して作用させやすくすることもできる。
(4−8−5.溶出開始給水回数設定部)
溶出開始給水回数設定部412は、イオン溶出ユニット300の電極311、312からの金属イオンの溶出開始となる給水回数を設定するためのものである。溶出開始給水回数設定部412を設けた場合、制御部407は、給水回数カウント部411にてカウントされた給水回数が、溶出開始給水回数設定部412にて設定された給水回数に達したときに、電圧発生部403にて発生した電圧を、イオン溶出ユニット300の電極311、312に印加させ、電極311、312から金属イオンを溶出させる。
例えば、洗い工程後のすすぎ工程が、複数のすすぎ工程(例えばためすすぎ工程3回)からなる場合、各すすぎ工程ごとに洗濯機1への給水が行われる。ここで、抗菌効果を付与すべく、金属イオンを衣類へ付着させるためには、少なくとも最終すすぎ工程で金属イオン添加水を洗濯機1に給水すれば良いので、最終すすぎ工程以前のすすぎ工程では必ずしも金属イオン添加水を洗濯機1に給水する必要はない。最終すすぎ工程以前でのすすぎによる金属イオンは、その後の工程でのすすぎにより、洗い流されてしまい、十分に有効活用されず、金属イオンが無駄となることがあるからである。
しかし、制御部407の上記制御によれば、溶出開始給水回数設定部412にて設定された給水回数のときに、金属イオン添加水が給水されるので、すすぎ工程が複数のすすぎ工程からなる場合でも、例えば最終すすぎ工程に対応する給水回数を設定するだけで、最終すすぎ工程のときのみ、洗濯機1に金属イオン添加水を給水することができる。したがって、金属イオン添加水の給水が不要である他の工程(洗い工程や、最終すすぎ工程以外のすすぎ工程)では金属イオンを溶出しないので、金属イオンの無駄な溶出を防ぎ、金属イオンを有効利用することができる。
また、溶出開始給水回数設定部412を設けた場合、制御部407は、給水回数カウント部411にてカウントされた給水回数が、溶出開始給水回数設定部412にて設定された給水回数に達した以降、継続して、電圧発生部403にて発生した電圧を、イオン溶出ユニット300の電極311、312に印加させ、電極311、312から金属イオンを溶出させるようにしてもよい。
図5で示したように、すすぎ工程の最初では、脱水工程が実行されるが、この脱水工程時に洗濯槽30にてアンバランスが発生する場合がある。なお、アンバランスとは、洗濯物が洗濯槽30内で偏って配置されることにより、脱水立ち上げ時にうまく回転バランスがとれず、洗濯槽30や洗濯機1自体が大きく振動する現象を言う。
そこで、このようなアンバランスを洗濯機1の検知手段(図示せず)が検知した場合には、洗濯機1の制御手段は、洗濯槽30への給水を行って洗濯物をほぐし、アンバランスを修正する制御を行っている。
したがって、このようなアンバランスを修正するための給水が実行されると、給水回数カウント部411は、これも1回の給水回数としてカウントするため、最初に溶出開始給水回数設定部412にて溶出を開始させる給水回数を設定していても、途中でアンバランス修正が実行されたときには、溶出開始給水回数設定部412にて設定された給水回数が、最終すすぎ工程に対応する給水回数とずれる場合もでてくる。つまり、最終すすぎ工程に入る前に、実際の給水回数が溶出開始給水回数設定部412にて設定された給水回数に到達して金属イオン添加水の給水が開始される場合も生じてくる。
しかし、制御部407の上記制御によって、溶出開始給水回数設定部412にて設定された給水回数以降も継続して、洗濯機1に金属イオン添加水が給水されるので、アンバランスの発生により、給水回数が増加したなど、途中で不測の事態が生じた場合でも、最終のすすぎ工程にて必ず金属イオン添加水を洗濯機1に給水させることができる。その結果、最終すすぎ工程にて所望の抗菌処理を行うことができる。つまり、最終すすぎ工程にて金属イオンを含まない水が給水されることによって、それより前に供給された金属イオンの衣類への付着量が減少し、使用者が所望の抗菌能力を得られないといった不都合を確実に回避することができる。
また、すすぎ工程の後、つまり最終すすぎ工程の後の脱水工程でアンバランスが発生する場合もあり、この場合にも、アンバランスを修正する工程が実行される。このような場合であっても、制御部407の上記制御により、溶出開始給水回数設定部412にて設定された給水回数以降も継続して、洗濯機1に金属イオン添加水が給水されるので、最終すすぎ工程以降に金属イオンを含まない水が給水されることによる上記と同様の不具合を確実に回避することができる。
(4−8−6.記憶部)
記憶部413は、洗濯機1への金属イオン添加水(銀イオン水)の供給が必要となる給水タイミングを予め記憶しておく記憶手段である。なお、図29では、記憶部413は、制御部407とは別に独立して設けられているが、制御部407内のメモリで構成されていてもよい。
上記給水タイミングは、デフォルトで記憶部413に記憶されていてもよいし、図示しない給水タイミング設定部を設け、これによって設定された給水タイミングが記憶部413に記憶されるようになっていてもよい。なお、図29に示した給水水量設定部409や溶出開始給水回数設定部412は、上記の給水タイミング設定部としても使用することができる。
このような記憶部413を設けた場合、制御部407は、記憶部413に記憶された金属イオン添加水の給水タイミングに合わせて電圧発生部403を駆動して、イオン溶出ユニット300の電極311、312に電圧を印加させることが可能となる。
例えば、上記給水タイミングとして、『金属イオン添加水の給水までの時間』が記憶部413に記憶されているとすると、制御部407は、操作部401により駆動ユニット400がONとなってからの上記時間経過後に、電圧発生部403を駆動して、電極311、312に電圧を印加させる。
また、上記給水タイミングとして、例えば『所定の給水流量』が記憶部413に記憶されているとすれば、制御部407は、検知部315にて検知された流量が上記給水流量に達した場合に、電圧発生部403を駆動して、電極311、312に電圧を印加させる。
また、上記給水タイミングとして、例えば『すすぎ工程までの給水回数』が記憶部413に記憶されているとすれば、制御部407は、現在の給水回数が記憶部413に記憶された給水回数に達したところで、電圧発生部403を駆動して、電極311、312に電圧を印加させる。
このように、記憶部413が洗濯機1への給水タイミングを記憶し、その給水タイミングで電極311、312から金属イオンを溶出させることができるので、金属イオン添加水の給水が本当に必要となるときだけ、金属イオン添加水の給水を行うことができる。
例えば、洗濯機1では、洗濯工程として、洗い工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程などが実行されるが、洗い工程で金属イオン添加水を給水しても、金属イオンは洗濯物には付着せず、洗剤とともに洗い流されるだけであり、供給される金属イオンが無駄となる。
しかし、上記給水タイミングに基づいて金属イオン添加水の給水を行えば、操作部401により駆動ユニット400がONされても、直ちに金属イオンが溶出されるわけではなく、例えばすすぎ工程がきたときに初めて金属イオンの溶出を開始させて、金属イオン添加水を洗濯機1に供給することが可能となる。したがって、駆動ユニット400が早めに、例えば洗濯を始めるときにONされても、電極311、312から無駄な金属イオンを溶出させなくて済む。その結果、電極311、312を有効利用してその無駄な消耗を省くことができる。そして、溶出される金属イオンも有効的に利用することができ、洗濯物に有効的に作用させることができる。
また、上記構成によれば、制御部407が所定の給水タイミングで金属イオン添加水を洗濯機1に供給することにより、金属イオン添加水の供給が必要となるときに自動的に金属イオンが溶出されて洗濯機1に供給される。これにより、使用者が金属イオン添加水の供給が必要となるタイミングで手動で操作部401を操作する必要がなくなる。したがって、例えば洗濯を始めるときに駆動ユニット400をONさえしておけば、その後、使用者は、駆動ユニット400の傍にずっとついていなくてもよくなり、その間に他の用事を済ませることができるなど、使用者の利便性がよくなる。
また、操作部401の手動入力により金属イオン添加水の給水を行う場合は、操作部401の操作のし忘れにより、金属イオン添加水の給水タイミングを逃してしまう危険性もあるが、上記構成によれば、所定のタイミングで必要なときに金属イオン添加水が自動的に給水されるので、そのような心配は一切ない。
なお、記憶部413には、金属イオン添加水の必要な給水時間や必要な給水流量を予め記憶させておき、制御部407は、金属イオン添加水を給水し始めてから上記給水時間が経過した後、または、金属イオン添加水を上記給水流量だけ給水した後に、電圧発生部403からの電極311、312への電圧印加を自動的に停止させる制御を行ってもよい。これにより、使用者が万が一、操作部401により駆動ユニット400の駆動をOFFし忘れた場合でも、無駄な電力消費や無駄な金属イオンの溶出を回避することができる。
(4−8−7.振動センサ)
振動センサ414は、給水装置である洗濯機1の振動に基づいて、金属イオンの溶出が必要となる時期(例えばすすぎ工程)を検知する検知手段である。制御部407は、振動センサ414が前記時期を検知したときに、電圧発生部403にて発生する電圧をイオン溶出ユニット300の電極311、312に印加させる制御を行う。
例えば、洗い工程とすすぎ工程とでは、洗濯槽30の回転速度、洗濯槽30内の水の量、パルセータ33の回転速度等の要因により、洗濯機1の振動具合いが異なる。より具体的には、洗い工程やすすぎ工程の攪拌工程では、パルセータ33が100rpm程度(モータも100rpm程度)で回転し、その間にある中間脱水工程では、洗濯槽30が900rpm程度(モータも900rpm程度)で回転する。したがって、これらの工程間では、振動周期(周波数)に顕著な差が現れる。よって、振動センサ414は、例えば、洗濯槽30、パルセータ33、モータ等の回転数の違いから生じる振動周期の違いにより、金属イオンの溶出が必要となる洗濯工程(例えば、すすぎ工程)をほぼ確実に検知することができる。
これにより、制御部407が上記の制御を行うことで、洗濯工程がすすぎ工程に入ったときに初めて、電極311、312に電圧を印加して金属イオンを溶出させることができる。したがって、駆動ユニット400が早めにONされても、電極311、312から無駄な金属イオンを溶出させなくて済む。その結果、電極311、312を有効利用してその無駄な消耗を省くことができるなど、記憶部413を設けて所定の給水タイミングで金属イオン添加水を給水する構成の場合と全く同様の効果を得ることができる。
なお、金属イオンの溶出が必要な時期の検知は、以下のようにして行ってもよい。すなわち、金属イオンの溶出が必要となる洗濯工程(例えば、すすぎ工程)における洗濯機1の振動振幅の範囲を予め記憶部413に記憶させておき、制御部407が、洗濯機1の振動振幅が上記範囲内であるかどうかを判断することにより行ってもよい。また、例えば、洗い工程における振動振幅の範囲を予め記憶部413に記憶させておき、制御部407が、洗濯機1の振動振幅が上記範囲外であるかどうかを判断することにより行ってもよい。
また、振動センサ414は、給水弁50の振動を検出するようにしても良い。これにより、振動センサ414は、給水弁50が駆動されている時、つまり給水している時を検知することができるので、このような検知に基づく制御部407の制御により、給水時に金属イオンを溶出し、金属イオン添加水を給水することができる。
なお、制御部407は、振動センサ414が脱水工程における洗濯機1の振動を検知した場合には、電圧発生部403からの電極311、312への電圧印加を自動的に停止させる制御を行ってもよい。この場合、使用者が万が一、操作部401により駆動ユニット400の駆動をOFFし忘れた場合でも、無駄な電力消費や無駄な金属イオンの溶出を回避することができる。
(4−9.効果)
上記した構成の駆動ユニット400は、給水装置としての洗濯機1の外部に取り外し自在に配置されている。これにより、イオン溶出ユニット300とともに駆動ユニット400を後付けすることができるので、洗濯機1がイオン溶出ユニットを備えていない既存のものであっても、イオン溶出ユニットを備えた洗濯機1と同等のものを容易に実現することができる。その結果、既存の洗濯機1の無駄な買い替えを不要とし、既存の洗濯機1を有効利用することができる。また、駆動ユニット400は洗濯機1外部に設けられるので、故障や電池寿命の際の駆動ユニット400の修理や電池交換も容易である。
(5.その他)
以上、本発明の各実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また本発明の抗菌処理装置は、上記実施形態でとり上げたような形式の全自動洗濯機に使用対象が限定されるものではない。横型ドラム(タンブラー方式)、斜めドラム、乾燥機兼用のもの、又は二槽式など、あらゆる形式の洗濯機に使用可能である。
本発明の抗菌処理装置はスタンドアローンで機能させることができ、設置が簡単であり、しかも運転に特殊な技能を必要としないので、その特質を生かして洗濯だけでなく広汎な用途に使用可能である。例えば洗濯機以外で水を使用する家電機器(食器洗浄機、浄水器など)の給水経路に本発明の抗菌処理装置を配置することも容易である。この場合機器の仕様や機種は問われることがない。
加えて、使用する水を本発明の抗菌処理装置で殺菌し、その水に被洗浄物を浸すことにより、衣類のみならず、食器、まな板、しゃもじ、食器洗いスポンジ、たわしといった台所用品や、風呂・トイレタリー用品まで金属イオン含有水で抗菌処理することも可能になる。金属イオン含有水を被洗浄物に注ぎかけるのでなく、容器に金属イオン含有水を溜めてその中に被洗浄物を漬けるという用い方をすれば、多種多様な被洗浄物を少ない水量で効果的に抗菌処理することができる。
浴槽中の水や天水槽に溜めた雨水の殺菌、入浴時の感染防止、あるいは魚類用水槽内部の殺菌も本発明の抗菌処理装置により行うことができる。また本発明抗菌処理装置の使用場所は一般家庭だけにとどまらない。医療機関や公共施設で各種物品の殺菌あるいは抗菌処理を行い、人体への病原菌の感染を防ぐのにも利用することができる。
本発明の抗菌処理装置は野外に持ち出して使用することができるうえ、使用に特別な訓練を必要としない。そのため、水道施設が近くにないか、あっても使用不可となっているような場所、例えばキャンプサイト、災害現場、難民キャンプなどで本発明抗菌処理装置を使用し、現地で手に入る水をその場で殺菌処理することができる。水の殺菌のみならず、その水を使って各種用品を抗菌処理することができるので、レジャーの場でも災害の場でも、一般人が広く活用し、置かれた環境に関わらず一定の衛生レベルを保つことが可能となる。
また本発明の抗菌処理装置で殺菌処理した水は、河川や池沼に流したとしても塩素消毒した水ほどには水中生態系にダメージを与えない。
このように野外で使用する場合には、前述したように電池を電源とすることが望ましい。電池の種類も乾電池に限定せず、二次電池や太陽電池、あるいはこれらを組み合わせた形で利用できるようにしておくことが望ましい。
また、実施の形態1・2で説明した構成は、勿論、実施の形態3の抗菌処理装置200にも適用することが可能である。したがって、例えば、駆動ユニット400が電極311、312への通電時間を設定するタイマーを備えている構成や、ユニット本体301の少なくとも一部が、内部の電極311、312を視認できる透視部となっている構成についても、実現することが可能である。