JP2007061071A - 一酸化窒素産生細胞、該細胞を含む医薬及び生体用部材 - Google Patents

一酸化窒素産生細胞、該細胞を含む医薬及び生体用部材 Download PDF

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三重野繁敏
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岸田賢治
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Abstract

【課題】一酸化窒素産生細胞を作製すること、並びに一酸化窒素の作用が利用可能となっている医薬及び生体用部材を作製すること。
【解決手段】発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターで形質転換された一酸化窒素産生細胞、該ベクター又は該細胞を含む医薬、並びに該細胞を有する生体用部材。
【選択図】図3

Description

本発明は、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を導入して得られる一酸化窒素産生細胞、該細胞を含む医薬、及び該細胞を有してなる生体用部材に主に関する。
一酸化窒素は、血管拡張作用、抗動脈硬化作用、抗酸化作用及び血管新生作用等、種々の作用を有することが知られており、各種疾患、特に心臓血管系疾患の治療に有効と考えられている。
一方、骨髄由来細胞は、心臓や血管、骨、筋肉、皮膚など様々な組織になり得る潜在能力を有しており、再生医療の分野で着目され、利用されている。骨髄由来細胞は、所定の遺伝子を予め導入しておくと、目的に応じて分化の方向や機能を変化させることが可能になることが分かってきており、特定の遺伝子を骨髄由来細胞に導入することが検討されている(非特許文献1及び2参照)。
しかし、一酸化窒素合成酵素遺伝子を導入された細胞は、自身内で過剰な一酸化窒素が産生された場合には、細胞死が誘導される。このため、従来の方法では、一酸化窒素を産生する細胞の作製は困難であった。
また、これまで動脈硬化等により閉塞した血管を人工血管によりパイパスして治療を行う技術が開発されてきている。しかし、膝より下流の末梢血管などに用いる小口径の人工血管は容易に閉塞する可能性があった(非特許文献3等参照)。このため、末梢血管が閉塞した患者は病変部以下の肢の切断を余儀なくされるなどかなりの負担を抱えていた。このため、血管閉塞防止可能な小口径の人工血管の開発が強く望まれていた。
Nitric Oxide as a Bifunctional Regulator of Apoptosis, Young-Myeong Kim, Christopher A. Bombeck, Timothy R. Billar, Circulation Research, 1999; 84: 253-6 Cellular Antioxidant and Pro-oxidant Actions of Nitric Oxide, Mahesh S. Joshi, Julie L. Ponthier, Jack R. Lancaster, Jr., Free Radical Biology and Medicine, 1999; 27: 1357-66 Recent Progress of Vascular Graft Engineering in Japan, Takehisa Matsuda, Artificial Organs, 2004, 28 (1), 64-71
本発明の主な目的は、一酸化窒素を産生する細胞を作製すること、並びに一酸化窒素の作用を利用し得る医薬及び生体用部材を提供することにある。
本発明者は、一酸化窒素の産生が可能な細胞等を作製し、該細胞等を治療手段に利用できれば、一酸化窒素の特性を利用した新たな治療が可能になると考え、鋭意検討を重ねた。
その結果、NOS遺伝子を有するベクターを作製し、該ベクターを利用してNOS遺伝子を細胞に導入し、更にその発現を制御することにより、一酸化窒素を産生する細胞の作製が可能になること、更には該ベクターや細胞が医薬や生体用部材にも利用可能であることを見出し、更に鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の技術に関する。
項1:発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターにより形質転換した一酸化窒素産生細胞。
好ましくは、項1の細胞は、一酸化窒素産生骨髄由来細胞であり、更に好ましくは一酸化窒素産生骨髄由来間質系幹細胞である。
好ましくは、項1の細胞は、発現調節物質応答性エレメント、発現調節物質制御性プロモーター、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターにより形質転換した一酸化窒素産生細胞である。
また、好ましくは、発現調節物質応答性エレメントはテトラサイクリン応答性エレメントであり、発現調節物質制御性プロモーターはテトラサイクリン制御性プロモーターである。
また好ましくは、一酸化窒素産生細胞は、呼吸器系疾患及び/又は循環器系疾患治療用一酸化窒素産生細胞である。
項2:発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクター。
好ましくは、項2のベクターは、発現調節物質応答性エレメント、発現調節物質制御性プロモーター及び一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターである。
好ましくは、発現調節物質応答性エレメントはテトラサイクリン応答性エレメントであり、発現調節物質制御性プロモーターはテトラサイクリン制御性プロモーターである。
好ましくは、ウィルスベクターは複製能欠損性ウィルスベクターであり、特に、E1,E3欠損アデノウィルスベクターである。
更に好ましくは、項2のベクターは、図1に記載の遺伝子地図で示されるウィルスベクターである。
また、好ましくは、項2のベクターは一酸化窒素産生細胞作製用ウィルスベクターである。
項3:下記工程を有する一酸化窒素産生細胞の作製方法:
(1)発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターを作製する工程、
(2)工程(1)で作製したNOS遺伝子組換えウィルスベクターを、発現物質による調節下、哺乳動物細胞内で増殖させる工程、及び
(3)工程(2)で増殖させたNOS遺伝子組換えウィルスベクターを骨髄由来細胞に導入し、発現調節物質による調節下、NOS遺伝子を発現させる工程。
好ましくは、項3の方法は、発現調節物質応答性エレメント、及び、NOS遺伝子を有するウィルスベクターにより形質転換した一酸化窒素産生細胞の作製方法である。
好ましくは、項3の工程(1)で用いるベクターは、複製能欠損性ウィルスベクターであり、更に好ましくはE1,E3欠損アデノウィルスベクターである。
また、好ましくは、項3の工程(2)における哺乳動物細胞は、E1領域を有する哺乳動物細胞である。
また、好ましくは、項3の工程(3)における骨髄由来細胞は骨髄由来間質系幹細胞である。
また、好ましくは、項2及び項3における発現調節物質は、テトラサイクリンとその誘導体からなる群から選ばれる1以上の物質である。
項4:項3に記載の方法によって作製される項1記載の一酸化窒素産生細胞。
項5:項1に記載の一酸化窒素産生細胞又は項2に記載のウィルスベクターを有効成分として含む医薬。
好ましくは、項5の医薬は、発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターにより形質転換した一酸化窒素産生細胞を有効成分として含む医薬である。
また、好ましくは、項5の医薬は、発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターを有効成分として含む医薬である。
好ましくは、項5の医薬は、呼吸器系及び/又は循環器系疾患治療用医薬である。
また、好ましくは、項5の医薬は、原発性肺高血圧症、二次性肺高血圧症、虚血性疾患、炎症性疾患、心筋梗塞、狭心症、末梢動脈疾患、閉塞性動脈硬化症、動脈硬化症、冠動脈疾患血管障害に基づく四肢不全からなる群から選ばれる1以上の疾患治療用医薬である。
特には、原発性肺高血圧疾患治療用医薬である。
項6:(1)項1に記載の一酸化窒素産生細胞、及び、(2)(1)の細胞が生着する多孔性高分子部材を有する一酸化窒素産生生体用部材。
好ましくは、(1)発現調節物質応答性エレメント及び一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターにより形質転換した一酸化窒素産生細胞、及び(2)(1)の細胞が生着する多孔性高分子材料を有する一酸化窒素産生生体用部材である。
好ましくは、多孔性高分子部材は、多孔性延伸ポリテトラフルオロエチレン管状体である。
また好ましくは、項6の部材は一酸化窒素産生細胞が内皮化している生体用部材である。
また好ましくは、項6の部材は、一酸化窒素徐放性生体用部材である。
項7:生体用部材が人工血管である項6に記載の部材。
換言すると、(1)項1に記載の一酸化窒素産生細胞、及び、(2)(1)の細胞が生着する多孔性高分子部材を有する一酸化窒素産生人工血管。
項8:項1に記載の一酸化窒素産生細胞を、多孔性高分子部材に播種する工程を有する一酸化窒素産生生体用部材の作製方法。
好ましくは、項8の方法は、項6又は項7に記載の一酸化窒素産生生体用部材の作製方法である。
また、好ましくは、項8の方法は、発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターで形質転換した一酸化窒素産生細胞を、多孔性高分子部材に播種する工程を有する一酸化窒素産生生体用部材の作製方法である。
好ましくは、
(1)発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターを作製する工程、
(2)工程(1)で作製したNOS遺伝子組換えウィルスベクターを、発現調節物質による調節下、哺乳動物細胞内で増殖させる工程、
(3)工程(2)で増殖させたNOS遺伝子組換えウィルスベクターにより、発現調節物質による調節下、骨髄由来細胞内でNOS遺伝子を発現させて、一酸化窒素産生細胞を得る工程、及び、
(4)工程(3)で得られる一酸化窒素産生細胞を、多孔性高分子部材に播種する工程を有する一酸化窒素産生生体用部材の作製方法である。
本発明によれば、一酸化窒素を産生する細胞が提供される。また一酸化窒素産生細胞の作製に好適なベクター及び一酸化窒素細胞の作製方法が提供される。更に、一酸化窒素の作用に基づき種々の疾患の治療に適用可能な医薬並びに生体用部材が提供される。
本発明の一酸化窒素産生細胞は、一酸化窒素を産生するだけでなく、一酸化窒素の産生の調節が可能となっている。従来の方法では、NOS遺伝子が導入できても一酸化窒素が過剰に産生されることにより細胞死が誘導されるリスクが大きかったが、本発明の細胞は、NOS遺伝子の発現を適切に制御して一酸化窒素の産生を調節することが可能となっており、細胞死の誘導を抑えることが可能となっている。
また、本発明のベクターは、細胞へのNOS遺伝子の導入を効率良く行うことを可能とし、更にNOS発現を調節して、一酸化窒素産生細胞を適切に作製することを可能としている。
また、本発明の一酸化窒素産生細胞の作製方法は、一酸化窒素産生細胞を効率良く適切に作製することを可能にする。本発明においては、NOS遺伝子の発現調節を行いながら、ベクターを予め大量に複製させておくことにより、細胞へのベクターの感染多重率及び遺伝子導入効率を高め、細胞におけるNOS遺伝子の発現を効率よく行うことを可能にしている。更に、発現調節物質の含有量を調節してNOS発現を制御することにより、細胞死の誘導を抑え、一酸化窒素産生細胞の取得を可能にした。
また本発明の医薬は、一酸化窒素の作用に基づく種々の疾患の治療等を行うことを可能にする。
本発明における医薬は、一酸化窒素産生細胞又はNOS遺伝子組換えベクターを有効成分とする。
本発明における一酸化窒素産生細胞を有効成分とする医薬は、投与した場合に、該細胞が傷害のある部位に定着する。そして該定着した部位において細胞が一酸化窒素を産生し得る。また、本発明におけるNOS遺伝子組換えウィルスベクターを有効成分とする医薬は、投与した場合に、NOS遺伝子が細胞に導入され、該細胞でNOSが発現され、一酸化窒素を産生し得る。
本発明の医薬は部位特異的に作用を奏することが可能であり、産生される一酸化窒素の作用に基づき、優れた効果を奏し得る。
例えば、従来、原発性肺高血圧症は、特定疾患であり、有効な治療手段がなかったが、本発明の医薬の静脈内投与により、該疾患の症状を緩和或いは治癒を促進することが可能となる。
更に、本発明の一酸化窒素産生生体用部材及びその作製方法は、一酸化窒素の産生を行う生体用部材の提供を可能にする。従来の技術では化学的修飾等の方法により生体用部材に機能を付加していたが、本発明によれば生体用部材に生着した細胞によって有用な機能を付することが可能となっている。本発明の生体用部材は一酸化窒素の作用に基づく血管拡張作用及び血管閉塞防止作用を有することから、従来血管閉塞が問題点となっていた、末梢領域や小口径の血管領域における人工血管などにおいて、好適に利用可能となっている。
このように、本発明は、一酸化窒素の作用に基づく種々の効果を奏することが可能となっている。一酸化窒素は、生体内において、血管拡張作用、抗動脈硬化作用、抗酸化作用及び血管新生等の作用を有することが知られている。本発明の一酸化窒素産生細胞、医薬及び生体用部材は、このような一酸化窒素の直接的又は間接的作用により症状の改善、緩和、治療、予防等を行うことが可能な各種疾患の治療手段として利用可能である。具体的に、原発性肺高血圧症、創傷、炎症性疾患、虚血性疾患、心筋梗塞、狭心症、末梢動脈疾患、閉塞性動脈硬化症、血管障害に基づく四肢不全等の疾患に、本発明を利用することが可能である。
また本発明は、研究用や組織工学用の手段などとしても利用することができる。
このように、本発明は、医療手段又は研究手段として有用な、新たな技術を提供するものである。
以下、本発明について、更に詳細に説明する。
I.一酸化窒素産生細胞
本発明における一酸化窒素産生細胞は、発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を含有するウィルスベクターにより、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子が導入されている細胞である。
本発明の一酸化窒素産生細胞は、該ベクターで宿主細胞を形質転換させることにより得ることができる。
宿主細胞には、人体や動物から単離された細胞や、樹立された培養細胞株などが含まれる。宿主細胞の種類は特に限定されず、例えば、ヒト、ラット、マウス、ウシ、サルの細胞を用いることができるが、NOS遺伝子の由来する生体の種類と同じであることが好ましい。
I−1.一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子
本発明におけるNOS遺伝子には、天然の一酸化窒素合成酵素をコードする遺伝子、並びに、天然の一酸化窒素合成酵素を構成するアミノ酸の一部が欠失、置換及び/又は付加しているが、一酸化窒素合成活性を有する蛋白質をコードする遺伝子が含まれる。
天然の一酸化窒素合成酵素は、生体内に幅広く分布している。例えば、神経系の細胞に分布する神経型一酸化窒素合成酵素(nNOS)、血管内皮細胞に分布する内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS)、マクロファージ細胞に由来する誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)などが挙げられる。
本発明で用いる一酸化窒素合成酵素遺伝子は、このような一酸化窒素合成酵素をコードする、種々の臓器及び組織由来の遺伝子を含む。
特に、本発明においては、内皮型一酸化窒素酵素をコードする遺伝子(eNOS遺伝子)が好適に用いられる。
遺伝子の由来する生体の種類も特に限定されず、例えば、ヒト、ラット、マウス、ウシ、サル等が含まれる。
本発明で用いるNOS遺伝子は、生体から取得して得られるものでもよく、合成して作製したものでもよい。
例えば、ヒトeNOSの遺伝子塩基配列及びアミノ酸配列やラットeNOSの遺伝子塩基配列などはデータベース上で公開されている(ヒトeNOS はGenBankアクセッション番号AF400594及び P2947参照、ラットeNOSはGenBankアクセッション番号NM021838参照)。このような配列情報を元にプライマーを作製して、公知の方法に従って合成したものでもよい。
I−2.骨髄由来細胞
NOS遺伝子導入の標的細胞となる宿主細胞は、骨髄由来細胞であることが好ましく、骨髄由来間質系幹細胞であることが更に好ましい。
本発明の一酸化窒素産生細胞の好ましい態様には、発現調節物質応答性エレメント、発現調節物質制御性プロモーター及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターで骨髄由来細胞を形質転換して得られる一酸化窒素産生骨髄由来細胞が含まれる。
骨髄由来細胞は、患者から単離された骨髄細胞や、単離した細胞から継代培養で得られる培養細胞株などを含む。
一酸化窒素産生細胞を医薬等として用いる場合、第3者又は血縁にあたる提供者に由来する細胞も用い得るが、患者本人の細胞を使用することが適合性の観点から最も望ましい。
骨髄由来細胞の種類は、特に限定されるものではないが、例えば、間質系幹細胞(間葉系幹細胞)、造血幹細胞、臍帯血細胞、末梢血幹細胞、リンパ球等が挙げられる。
特に骨髄由来細胞のうち、骨髄間質系幹細胞が、血管内皮細胞に分化し得る点や遺伝子導入効率等の点から好適である。
II.NOS遺伝子組換えウィルスベクター
本発明は、発現調節物質応答性エレメント、及び一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクター(本明細書において「NOS遺伝子組換えウィルスベクター」とも称する)を提供する。
本発明のウィルスベクターは、一酸化窒素細胞の作製に好適に用いられる。
本発明の好ましいウィルスベクターには、発現調節物質応答性エレメント、発現物質制御性プロモーター及び一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターが含まれる。
II−1.発現調節物質応答性エレメント
発現調節物質応答性エレメントは、発現調節物質又は発現調節物質により制御される因
子に応答して、NOS遺伝子の発現を制御する機能を有する。
発現調節物質による調節には、発現調節物質の添加、除去又は含有量の加減等が含まれる。
発現調節物質応答性エレメントの種類は、本発明の効果を奏する範囲であって、NOS
の発現を適切に制御しえるものであれば、適宜公知のものから選択しえる。
好適な発現調節物質応答性エレメントとしては、例えば、テトラサイクリン応答性エレメント(TRE)、グルココルチコイド応答性エレメント、cAMP応答性エレメント等が挙げられる。本発明においては、特にTREが好適に用いられる。
発現調節物質の種類は、該応答性エレメントの機能を適切に奏するものであれば、特に限定されない。TREの場合、発現調節物質としては、テトラサイクリンとその誘導体からなる群から選ばれる1以上を用いることができる。テトラサイクリンの誘導体としては、ドキシサイクリンが挙げられる。
II−2.ウィルスベクター
ウィルスベクターの種類は、遺伝子導入に用いられている公知のウィルスから適宜設定し得る。そのようなウィルスとしては、例えば、レトロウイルス、アデノウィルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、アデノ随伴ウィルス、レンチウイルス、バキュロウイルス、SV40等が挙げられる。
中でも、アデノウィルスが、遺伝子導入効率が良い点や、高タイターのウィルスが容易に得られる点、及び遺伝子毒性を引き起こす可能性が極めて低い点などの点で好適に用いられる。本発明において標的細胞として好適な骨髄由来細胞は、一般的に遺伝子導入効率が低い。そのため、感染力の高いベクターを用いることが望ましい。
更に、ウィルスベクターは、自己複製能をもたないように改変された、複製能欠損性ウィルスベクターであることが好ましい。ウィルスを、自己複製能をもたないように改変する方法は、公知の方法に従って適宜行うことができる。
複製能を欠損させたウィルスベクターとしては、例えば、E1領域欠損アデノウィルスベクターを挙げることができる。
また、ウィルスベクターは、本発明の効果を奏し得る範囲内で、増殖に必要のない領域や他の不要部位を適宜削除したものでもよい。例えば、本発明において好適に用い得るベクターとしては、E1,E3欠損アデノウィルスベクターを挙げることができる。
II−3.他の要素
NOS遺伝子組換えウィルスベクターには、本発明の効果を奏する範囲で、プロモーター等の他の適当な要素、他の外来遺伝子等を含むこともできる。
プロモーターとしては、哺乳動物細胞にベクターを導入した場合に発現を促進させる機能を有するものであれば、特にその種類は限定されない。
プロモーターの例には、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40初期プロモーター、レトロウイルスプロモーター、乳腺細胞特異的プロモーターなどが含まれる。
サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターとしては、サイトメガロウィルス最小最初期プロモーターが挙げられる。
また、プロモーターは、市販の発現ベクターに予め組込まれているもの等を適宜選択して用いることもできる。
また、プロモーターは、発現調節物質による制御が可能なプロモーター(以下、「発現調節物質制御性プロモーター」ともいう。)であることが好ましい。
発現調節物質制御性プロモーターは、発現制御物質による制御を間接的に受けるように、発現調節物質応答性エレメントに、連結させることができる。
発現調節物質制御性プロモーターとしては、テトラサイクリン制御性プロモーターを挙げることができる。
他の要素としては、選択マーカー、エンハンサー、リボソーム結合部位、複製開始点、ターミネーター、ポリリンカー、上記以外のプロモーター、転写調節因子などが挙げられる。
他の外来遺伝子としては、例えば、トランスフォーミング増殖因子(TGF)-α、TGF-β、血小板由来(PD)-内皮細胞増殖因子(ECGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(b-FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、幹細胞増殖因子(HGF)等をコードする遺伝子、各種薬剤耐性遺伝子等が挙げられる。
II−4.NOS遺伝子組換えウィルスベクターの作製方法
本発明のNOS遺伝子組換えウィルスベクターは、公知の方法に従って、適宜作製する
ことができる。例えば、以下の工程:
(1)NOS遺伝子のコーディング領域を含むcDNA断片を、プロモーター及びその下流に2つのloxP領域を有するベクターの両loxP間に組み込んでベクターを作製する工程、及び
(2)Cre-リコンビナーゼを用いて、工程(1)で得られたベクターと、発現調節物質応答性エレメント、該エレメントに連結されたプロモーター、及び、該エレメントの下流に1つのloxP領域を有するウィルスベクターとのCre-loxP組換えを行う工程、
を有するNOS遺伝子組換えウィルスベクターの作製方法が挙げられる。
より具体的には、
(1)NOS遺伝子のコーディング領域を含むcDNA断片を、サイトメガロウィルス最小最初期プロモーターを有し、その下流に2つのloxP領域を持つベクターの両loxP間に組み込んでベクターを作製する工程、及び、
(2)Cre-リコンビナーゼを用いて、工程(1)で得られたベクターと、テトラサイクリン応答性エレメント(TRE)、TREのすぐ上流に連結されたサイトメガロウィルス最小最初期プロモーター、及びTREの下流に1つのloxP領域を有するE1,E3欠損アデノウィルスベクターとのCre-loxP組換えを行う工程
を有するNOS遺伝子組換えウィルスベクターの作製方法が挙げられる。
II−5.遺伝子地図
NOS遺伝子組換えウィルスベクターにおける各エレメント及び要素の配置は、公知の方法に従って適宜設定し得る。具体的に、本発明における好適なベクターとして、図1に記載の遺伝子地図で示されるウィルスベクターが挙げられる。
III.一酸化窒素産生細胞の作製方法
一酸化窒素産生細胞は、NOS遺伝子含有ウィルスベクターで、宿主細胞を形質転換することにより得ることができる。
NOS遺伝子含有ベクターで、宿主細胞を形質転換させる方法は、適宜公知の方法に従って行うことができる。
公知の方法には、例えば、リン酸カルシウム法、DEAE−デキストラン法、リポソーム法、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、リポフェクチン法などが含まれる。
このうち、好適な一酸化窒素産生細胞の作製方法として、下記工程を有する方法が挙げられる:
(1)発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターを作製する工程、
(2)工程(1)で作製したNOS遺伝子組換えウィルスベクターを、発現調節物質による調節下、哺乳動物細胞内で増殖させる工程、及び
(3)工程(2)で増殖させたNOS遺伝子組換えウィルスベクターを骨髄由来細胞に導入し、発現調節物質による調節下、NOS遺伝子を発現させる工程
を有する一酸化窒素産生細胞の作製方法。
工程(1)は、上記II−5に記載のNOS遺伝子含有ベクターの作製方法に従って適宜行うことができる。
工程(2)では、NOS遺伝子組換えウィルスベクターを、骨髄由来細胞に導入する前に増殖させる。工程(2)を有することで、骨髄由来細胞への好適な遺伝子導入が可能となる。即ち、骨髄由来細胞は遺伝子導入効率が低く、大量のベクターを感染させなければ、遺伝子導入又は遺伝子発現が困難となる。工程(2)において、NOS遺伝子組換えウィルスベクターを大量に複製し、骨髄由来細胞へのベクターの感染多重率を高め、遺伝子導入効率を上げることができ、骨髄由来細胞への好適なNOS遺伝子導入が可能となる。
工程(2)で用いる、哺乳動物細胞の種類は、ベクターの種類や性質に応じて、適宜設定し得る。例えば、NOS遺伝子組換えウィルスベクターがE1欠損アデノウィルスベクターである場合、E1蛋白質を供給可能なHEK293細胞を用いることができる。
NOS遺伝子組換えウィルスベクターは、哺乳動物細胞内で増殖可能ではあるが、発現調節物質応答性エレメントを有するため、発現調節物質による制御を受ける。これにより、哺乳動物細胞内におけるNOS遺伝子の発現が調節され、一酸化窒素過剰産生により細胞死が誘導されるリスクを抑制することができ、ベクターの複製を好適に行うことができる。
工程(2)における発現調節物質による調節は、発現調節物質の添加、除去又は含有量の加減等により、行うことができる。
例えば、発現調節物質を添加して、NOS遺伝子の発現を抑制することができる。また、発現調節物質を除去してNOS遺伝子の発現を誘導することもできる。
発現調節物質による調節は、発現調節物質の種類や哺乳動物細胞の種類等に応じて適宜設定して行い得るが、発現調節物質がテトラサイクリン又はその誘導体である場合、その濃度範囲を1−2μg/mlとして行うこともできる。
工程(3)では、工程(2)で増殖させたNOS遺伝子組換えベクターを、骨髄由来細胞に導入し、骨髄由来細胞の形質転換を行う。
骨髄由来細胞に対するNOS遺伝子組換えベクターの感染多重率(MOI)は、1〜2000程度、特に100〜1500程度、更に好ましくは、500〜1500程度である。感染多重率が低すぎると遺伝子導入効率が低くなる。一方、感染多重率が高すぎると細胞障害リスクが大きくなる。
また、骨髄由来細胞に対するNOS遺伝子導入効率は30%以上、好ましくは50%以上、特に70%以上である。
工程(3)においては、NOS遺伝子組換えベクターと共に、他のベクターを、骨髄由来細胞に共感染させてもよい。
例えば、NOS遺伝子組換えベクターがテトラサイクリン応答性エレメントを有する場合、テトラサイクリン制御性転写活性化因子を発現するベクターを、NOS遺伝子組換えウィルスベクターと共に、骨髄由来細胞に共感染させることができる。
共感染の比率は適宜設定し得るが、1:1程度である。
工程(3)の感染におけるウィルス曝露時間は、24〜72時間程度、特に36〜60時間程度が好ましい。長すぎると細胞死が誘導されるリスクが高くなり、短すぎると十分な遺伝子導入効率が得られない。
また工程(3)においては、発現調節物質による調節下、NOS遺伝子の発現を制御しながら、骨髄由来細胞内でNOSを発現させる。
発現調節物質による調節は、発現調節物質の添加、除去又は含有量の調節により、行うことができる。
例えば、発現調節物質を添加して、NOS遺伝子の発現を抑制することができる。また、発現調節物質を除去してNOS遺伝子の発現を誘導することもできる。
NOS遺伝子の発現を制御することにより、一酸化窒素の過剰産生を抑制することが可能になり、細胞死誘導のリスクを低減させて、一酸化窒素を適切に産生させることが可能となる。
NOS遺伝子組換えウィルスベクターを用いてNOS遺伝子を導入した細胞が、一酸化窒素を産生することの確認は、公知の一酸化窒素検出手段を用いて適宜行うことができる。
一酸化窒素検出手段としては、例えば、オゾン化学発光法、グリース反応法、電極法、スピントラップ法、ラジオアイソトープ(RI)法、ルミノール化学発光法等が挙げられる。
具体的に一酸化窒素産生細胞の作製方法の具体的態様として、以下の工程を有する方法を挙げることができる:
工程(1):発現調節物質応答性エレメント、発現調節物質制御性プロモーター及び、NOS遺伝子を有するE1,E3欠損アデノウィルスベクターを作製する工程;
工程(2):工程(1)で作製したNOS遺伝子組換えアデノウィルスベクターを、E1領域を有する哺乳動物細胞内で複製する工程;及び
工程(3):工程(2)で増殖させたNOS遺伝子組換えベクター、及び、発現調節物質制御性転写活性化因子をコードするベクターを、骨髄由来細胞に導入し、発現調節物質の調節下、NOS遺伝子を発現させる工程。
IV.医薬
本発明の医薬は、上記本発明の一酸化窒素産生細胞又はNOS遺伝子組換えウィルスベクターを有効成分として含む。細胞はホモジネート又は懸濁液の形態で含まれていてもよい。
本発明の医薬は、一酸化窒素産生細胞又はNOS遺伝子組換えウィルスベクターそのものからなるものであってもよいし、それを有効成分として薬学上又は衛生上許容される担体又は添加物等の他の成分が配合されているものであってもよい。更に、本発明の効果を奏する範囲内で、他の薬学的活性成分を含むこともできる。かかる担体又は添加物の種類及び配合量は、本発明の効果を損なわないことを限度として、剤型又は適用対象に応じて、適宜選択調整することができる。
医薬の形態についても特に制限されず、適用される製品等の剤型、形態、用途等に応じて、任意に調製することができる。
また投与量は、適用疾患の種類等に応じて、適宜設定し得る。
投与方法も、疾患の種類や適当対象に応じて適宜設定しえる。例えば、静脈内投与、筋肉内注射、皮下注射、動脈内投与、気管内注入等の手段を用い得る。
例えば、血管内に投与された一酸化窒素産生細胞を含む医薬は、投与した場合に、傷害されている血管内皮に細胞が定着し、定着部位において、一酸化窒素を産生して、一酸化窒素の作用に基づく効果を発揮する。
また、NOS遺伝子組換えウィルスベクターを含む医薬は、投与した場合に、NOS遺伝子が細胞に導入され、該細胞でNOSが発現され、産生される一酸化窒素の作用に基づく効果を発揮する。
例えば、原発性肺高血圧症患者の静脈内に投与された医薬は、傷害されている肺動脈内皮に細胞が定着し又は遺伝子が導入され、産生される一酸化窒素の血管拡張作用と血管新生効果による肺血管床の増加によって肺動脈圧を低下させ、心不全等の症状を改善することができる。
また、狭心症及び/又は心筋梗塞患者に対し、カテーテルにより冠動脈投与された医薬は、産生する一酸化窒素の作用により、血管拡張作用と血管新生効果によって血流量と血液灌流域を増加させ、狭心症/心筋梗塞の症状を改善することができる。
また、末梢動脈狭窄及び/又は閉塞病変患者に対し、動脈内投与、筋肉内注射又は皮下注射された医薬は、産生する一酸化窒素の作用により、閉塞した血管を拡張させることができ、血管新生効果により、それらの症状を改善することができる。
また、呼吸不全及び/又は低酸素血症患者に対し、気管チューブ内投与もしくは肺動脈内投与された医薬は、産生する一酸化窒素の作用により、気管の弛緩や、血管拡張作用と血管新生効果による肺血管抵抗の低下、肺胞での換気血流不均衡の改善、気管支上皮繊毛細胞の運動促進などの効果を奏し、それらの症状を緩和することができる。
また、重症感染症や敗血症患者に対し、経静脈的に投与された医薬は、原因となる感染病巣に対して、組織でのエンドトキシンやフリーラジカルの産生を抑制することにより、これらの疾患を治癒することが見込まれる。
また、インスリン抵抗性II型糖尿病患者に対して、NOS遺伝子組換えベクターを含む医薬を全身静脈内投与もしくは門脈に選択的に投与すると、肝臓細胞に取り込まれ、一酸化窒素(NO)が産生されると、細胞内でのミトコンドリアの呼吸を抑制する作用によって解糖系での糖代謝が亢進し、血糖値が低下し、病態が改善することが見込まれる。
また、インスリン抵抗性II型糖尿病患者に対して、一酸化窒素産生細胞を含む医薬を経静脈的に門脈内に投与すると、産生細胞から遺伝子が肝臓細胞に取り込まれ、それによる一酸化窒素(NO)が産生されると、細胞内でのミトコンドリアの呼吸を抑制する作用によって解糖系での糖代謝が亢進し、血糖値が低下し、病態が改善することが見込まれる。
上記以外にも本発明の医薬は、一酸化窒素の作用により、症状の治癒、改善、緩和及び/又は予防等が可能な種々の疾患に適用することができる。
本発明の医薬の投与に際し、一酸化窒素の過剰産生が考えられる場合には、発現調節物質を投与して、NOS遺伝子の発現を調節することが可能である。発現調節物質の投与量は、本発明の効果を奏し、且つ、好ましくない影響を与えない範囲で適宜設定することができる。
本発明の医薬は、上記一酸化窒素産生細胞又はNOS遺伝子組換えウィルスベクターを有効成分として含み、生体内において、一酸化窒素の作用に基づく種々の効果を奏しえる。例えば、一酸化窒素は、生体内において、血管拡張作用、抗動脈硬化作用、抗酸化作用及び血管新生等の作用を奏する。
本発明の医薬は、このような一酸化窒素の作用により、症状の改善や緩和、並びに治療等を行うことが可能な各種疾患用医薬として利用可能である。
疾患としては、例えば、原発性肺高血圧症、二次性肺高血圧症、虚血性疾患、炎症性疾患、心筋梗塞、狭心症、末梢動脈疾患、閉塞性動脈硬化症、動脈硬化症、冠動脈疾患血管障害に基づく四肢不全等が挙げられる。
特に、原発性肺高血圧症は、有効な治療法がない特定疾患であるが、本発明の医薬は、原発性肺高血圧症用医薬として優れた効果を奏し得る。
V.一酸化窒素産生生体用部材
本発明は、更に、一酸化窒素産生細胞及び該一酸化窒素産生細胞が生着する多孔性高分子部材を有する生体用部材を提供する。
細胞を生着する部材とは、細胞を生着するために備えられた部材、細胞が付着して生着しようとしている部材、及び/又は細胞が生着している部材を含む概念である。
該生体用部材は、一酸化窒素を産生する機能を有している。更に、発現調節物質による調節により一酸化窒素の産生量をコントロールすることが可能である。更に、一酸化窒素が徐々に放出される徐放性とすることも可能である。
本発明の生体用部材は、目的に応じて、種々の用途に使用可能である。例えば、本発明の生体用部材は、人工血管、ステント、再建組織用基材、生体活性用基材等として用いることができる。
V−1.高分子部材
多孔性高分子部材は、多孔性高分子材料により形成された部材である。多孔性高分子材料は、生体用部材に用いられている公知の材料から適宜選択して用いることができる。
細胞を生着する部材とは、細胞を生着するために備えられた部材、及び細胞が生着している部材を含む。
材料の種類としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素含有樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂並びにこれらの誘導体からなる群から選ばれる1以上の樹脂を用いることができる。ポリオレフィン樹脂には、ポリエチレン樹脂などが含まれる。フッ素含有樹脂には、ポリテトラフルオロエチレン樹脂などが含まれる。
多孔性高分子材料においては、孔を形成する樹脂の骨組みが、細胞の好適な足場となり得る。
高分子材料の形状は、用途に応じて、適宜設定することができ、例えば、管状体(チューブ)、棒状体、板状体等のものを用いることができる。特に、管状体は、生体用部材を人工血管やステントとして利用する場合に好適である。
高分子部材は、高分子材料より形成されるものであってもよく、高分子材料に他の部材が積層されたり、付加されたりしているものでもよい。
V−2.一酸化窒素産生生体用部材の作製方法
本発明の一酸化窒素産生生体用部材は、本発明の一酸化窒素産生細胞を、多孔性高分子部材に播種することにより得ることができる。
細胞の播種は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、一酸化窒素産生細胞を、そのまま高分子材料に播種してもよく、あるいは、緩衝液、生理食塩水、注射用溶媒、及び/又はコラーゲン溶液等の適当な溶媒とともに混合して高分子部材に含浸することにより播種してもよい。
また、細胞を適当な培地に浮遊させて浮遊液を作製し、得られる浮遊液を高分子部材に含浸させることにより播種してもよい。培地としては、公知の培地から適宜選択できるが、例えば、MEM培地、α-MEM培地、DMEM 培地等挙げられる。また、培地には、各種物質を適宜添加することができる。添加物質としては、例えば各種抗生剤や抗菌剤、増殖因子、転写因子、血清等が挙げられる。
播種する細胞の数(播種密度)は、高分子材料の種類や用途、細胞の種類に応じて適宜調整し得る。
一酸化窒素産生細胞を播種した後は、部材に細胞が十分生着するよう、適当な条件下で培養することが好ましい。
V−3.人工血管
本発明の生体用部材は人工血管として好適に用い得る。具体的に、一酸化窒素産生細胞及び該細胞が生着する多孔性高分子部材を有する一酸化窒素産生人工血管として用い得る。
人工血管である場合、多孔性高分子部材は、多孔性延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)管状体(チューブ)を用いることが好ましい。
ePTFEの繊維長は、適宜設定し得るが、通常10〜120μm、好ましくは30〜120μm、特に30〜90μm程度である。
ePTFEチューブの口径(内径)は、所望に応じて適宜設定し得るが、通常1〜30mm程度、好ましくは2〜10mm程度、特に2〜6mm程度である。
一酸化窒素産生人工血管は、一酸化窒素の作用に基づき、血管閉塞の防止が可能となっている。このため、従来、血管閉塞が問題となっていた小口径の人工血管としても、好適に利用し得る。
V−4.生体用部材の使用
本発明の生体用部材は、生体内の各部位に挿入、移植、置換して、患者体内で使用したり、患者の生体と接続させたりして利用することができる。例えば、動脈バイパス用人工血管、末梢領域用人口血管等として利用し得る。
本発明の生体用部材は、細胞組織、例えば内皮細胞の付加により、生体内の組織の一部として利用することも可能である。例えば、本発明の一酸化窒素産生細胞を有する人工血管に、内皮細胞を生着したものを、血管組織の一部として利用することも可能である。
本発明の生体用部材は、一酸化窒素の作用に基づく症状の緩和や改善等の効果を奏し得るものであり、疾患治療用生体用部材として用いることもできる。
以下、実施例を示して、本発明をより具体的に示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1:一酸化窒素産生細胞の作製
(1−1)骨髄間質系幹細胞(MSC)の採取と増幅
5週齢の雄のラット(Sprague-Dawley rats、日本SLC)を致死量のペントバルビタールで麻酔死させ、大腿骨と頸骨を取り出した。骨髄は1000単位のヘパリンで大腿骨と頸骨の骨髄腔を押し出すことで得た。得られた骨髄をコンプリートメディウム(10% vol/volテトラサイクリン除去胎児ウシ血清(Tet approved FBS)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)及びペニシリン(100 U/ml)を含むMEM培地(Sigma社))内で37℃、95%Air/5%CO2のインキュベーターで培養した。
培養開始後2日目に培地を交換し、培養皿に対して非付着性の細胞を除去し、以後2日毎に培地交換を行った。コンフルエントになったら(これを第0継代と定義する)0.25% トリプシン(Trypsin)-EDTAを加えて5分間、37℃でインキュベートし、培養皿から剥離した細胞を2枚の培養皿に分割し、以後、細胞の増殖を第3継代〜第5継代まで維持した。
(1−2)一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子のクローニング
ラット由来内皮型一酸化窒素合成酵素(eNOS) cDNAの3’末端の遺伝子配列情報は、実験開始当時、遺伝子ライブラリーになかったため、3’RACE法でクローニングを行った。
クローニングしたオリゴヌクレオチドを、pCRIIベクター(Invitrogen社)にサブクローンし、dideoxynucleotide chain termination法によってシークエンスし、3’末端の遺伝子配列を決定した。
アデノXシステム(Adeno-X system, BD Clontech)のpシャトルベクター(pShuttle vector)にインサートするため、5’末端と3’末端にそれぞれXbaI、AflIIサイトを変異したプライマーを用いて、ラット心臓由来cDNAライブラリーから、ラットeNOS cDNAをクローニングし、pシャトルベクターにサブクローンした。
(1−3)eNOS遺伝子組換えベクターの作製
(1−2)で得られたラットeNOS cDNAをpCRIIベクターにサブクローンし、これをHindIII, NotIによって切り出した。次いで、これをp123T vectorにサブクローンし、BssHII, SalIでeNOS cDNAを切り出し、 Adeno-X Tet-Off system(Adeno-X Expression System 2 Tet-Off, BD Clontech)のドナーベクターであるpDNR-CMV vectorにサブクローンした(eNOS/pDNR-CMV)。Cre レコンビナーゼ(Cre recombinase)によってeNOS/pDNR-CMVと、テトラサイクリン応答性エレメント(TRE)を有するレシピエントベクターであるpLP-Adeno-X-TRE vectorとのCre-loxP組換えを行い、eNOS/pLP-AdenoX-TREベクターを作製した。得られたベクターの遺伝子地図を図1に示す。
(1−4)eNOS遺伝子組換えベクターの増殖
(1−3)で得られたeNOS/pLP-AdenoX-TREベクターを、HEK293細胞に、リポフェクション法で導入し、37℃、95%Air/5%CO2インキュベーターで培養して、ベクターを増幅させた。次いで、eNOS/pLP-AdenoX-TREを精製、濃縮した。
ウィルスタイターは、細胞変性効果により連続希釈法で決定した結果、5.5×1010ifu/mlであった。
比較のためにE1,E3欠損型ヒト5型アデノウィルス由来Adeno-X vector(BD Clontech)にeNOScDNAを組み込んで、TREは含まない組換えベクターを作製し、該ベクターを同様にHEK293細胞に感染させた。その結果、細胞死が惹起され、増幅したベクターの取得ができなかった。
(1−5)骨髄間質系幹細胞(MSC)へのeNOS遺伝子導入とeNOS発現
(1−1)で作製した、第3から第5継代の、培養皿内でコンフルエントになったMSCに、(1−3)で得られたeNOS/pLP-AdenoX-TREベクターとTet応答性エレメント(TRE)に結合する転写活性化因子を発現するAdeno-X Tet Off virusとを、37℃、95%Air/5%CO2インキュベーターで共感染させた。共感染は、感染用メディウム(2% vol/volテトラサイクリン除去胎児ウシ血清(Tet-approved FBS)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)及びペニシリン(100 U/ml)を含むMEM培地(Sigma社))を用いた。
感染させてから48時間後に、メディウムを除去し、PBSでやさしく洗浄した。その後、MSCをコンプリートメディウム内で72時間37℃、95%Air/5%CO2のインキュベーターで培養し、MSC内でeNOS遺伝子を発現させた。
(1−6)eNOS遺伝子導入MSCのRIアッセー
(1−5)で得られたeNOS遺伝子導入MSC(骨髄間質系幹細胞)における一酸化窒素産生を、放射性同位元素トリチウムで標識したアルギニン(L-[3H]arginine)のシトルリン(L-[3H]citrulline)への変換率から測定した。
即ち、一酸化窒素合成酵素(NOS)によって、1分子のアルギニン(陽電荷)は1分子のシトルリン(電気的に中性)と1分子の一酸化窒素となる。
そこで、eNOS遺伝子導入したMSCのホモジェネートとアルギニンを反応させ、ホモジェネート内に含まれるNOSによって反応しなかったアルギニンを陰電荷の樹脂に吸着させて、残りの溶液中の放射活性を測定することで、シトルリンのモル数を測定し、それが一酸化窒素(NO)のモル数と等量であることを利用して、NOSの活性を測定して評価した。
(1−5)で得られた細胞を、ラバースクレイパーでディッシュから剥離し、少量のPBSに懸濁し、4℃、15000rpmで5分間遠心後、上清を除去し、ホモジナイゼーションバッファー(Tris-HCl (pH 7.4、25 mM)、EDTA (1 mM)、EGTA(1 mM))を加えて攪拌した。4℃、15000rpmで5分間遠心後、上清を破棄し、再度ホモジナイゼーションバッファーに懸濁し、使用するまで氷上で保管した。
得られた細胞溶解液をリアクションミックス(L-[3H]arginine 0.02 μCi、 NADPH(1.0 mM)、CaCl2(0.6 mM)、FAD(1 μM)、 FMN(1 μM)、tetrahydrobiopterin(3 μM)、calmodulin(0.1 μM)、Tris-HCl(pH 7.4、25 mM)に添加して、反応を開始した。反応は37℃、8分間行い、氷冷したpH 5.5に調整したストップバッファー 0.4 ml(HEPES(20 mM)、EDTA(2 mM))を加えることによって停止させた。
比較のために、一酸化窒素合成酵素(NOS)の阻害剤であるNG-Nitro-L-arginin methyl ester HCl (L-NAME、1 mM) 存在下でも同様の実験を行った。
反応停止後、反応液を、陽イオン交換レジン ダウエックス 50WX-8 (Na+型、1:1 in water)100 μlとよく撹拌し、フィルターにセットし、室温で15000rpm、30秒間遠心し、未反応アルギニンを除去した。このろ過液中のシトルリン量を、液体シンチレーションカウンターで測定した。また、negative controlとしてeNOS遺伝子導入を行っていないMSCについて、同様の実験を行った。
測定結果を図2に示す。
図2から分かるように、(1−5)で得られたeNOS遺伝子導入MSCにおいては、一酸化窒素が産生されていると認められた。また、この活性はL-NAMEの存在により阻害されていたことから、一酸化窒素産生がeNOS遺伝子の発現によるものであることが確認できた。
実施例2
(2−1)原発性肺高血圧症モデルラット(PHラット)の作製
5週齢の雄のラット(Sprague-Dawley rats)の背部に60mg/mgのモノクロタリンを皮下注射し、原発性肺高血圧症モデルラット(PHラット)を作製した。その後、通常の条件下で飼育した。
(2−2)eNOS遺伝子導入MSC の調製
第3から第5継代の、培養皿内でコンフルエントになったMSCに、実施例1と同様に作製及び増殖して得たeNOS/pLP-AdenoX-TREベクターと、Tet応答性エレメント(TRE)に結合する転写活性化因子を発現するAdeno-X Tet Off virusとを、37℃、95%Air/5%CO2インキュベーターで共感染させた。共感染は感染用メディウム(2% vol/volテトラサイクリン除去胎児ウシ血清(Tet-approved FBS)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)及びペニシリン(100 U/ml)を含むMEM培地(Sigma社))内で3時間の培養後、コンプリートメディウム(10% vol/volテトラサイクリン除去胎児ウシ血清(Tet-approved FBS)、ストレプトマイシン(100 μg/ml)及びペニシリン(100 U/ml)を含むMEM培地(Sigma社))を加え、テトラサイクリンを最終濃度2μg/mlで添加し、48時間培養した。培養後、細胞を0.25% trypsin-EDTAで培養皿から剥離し、遠心チューブに集めPBSで洗浄した。
(2−3)eNOS遺伝子導入MSCのPHラットへの静脈内投与
上記(2−1)でモノクロタリンを投与してから7日目のPHラットに、吸入麻酔薬による麻酔下、(2−2)で調製したeNOS遺伝子導入MSC5.0×105個を、PBSで細胞懸濁液とし、大腿静脈から静脈内投与した(PH-MSC/eNOS群)。
比較のために、MSCに代えて、eNOS遺伝子導入をしていないMSC1.0×106個を、PBSで細胞懸濁液とし、同様の条件でPHラットに静脈内投与した(PH-MSC群)。
また、コントロールとして、MSCに代えて、骨髄細胞を含まない生理食塩水を、同様の条件でPHラットに静脈内投与した(PH群)。
静脈内投与後、3群とも、通常の条件下で飼育した。
モノクロタリン投与から21日目に、ペントバルビタール麻酔下に、頚静脈からMillerカテーテルを挿入することで、右心室圧を測定した。
また、犠牲死の後、心臓を採取し、体重に対する右心室の重量を測定した。また、生存日数を測定した。
右心室圧の測定結果を図3に示す。また、右心室の重量及び生存日数の測定結果を表1に示す。
図3及び表1において、PHはMSCに代えて生理食塩水を投与したPHラット群、PH-MSCはeNOS遺伝子を導入していないMSCを投与したPHラット群、PH-MSC/eNOSは(2−2)で作製したeNOS遺伝子導入MSCを投与したPHラット群、non-PHはモノクロタリン投与を行っていないラット(正常ラット)群を示す。
図表中の値は、平均値標準誤差で表した。統計学的手法はFisher検定を用い、確率p=0.05を有意水準とした。
Figure 2007061071
図3の結果に示されるように、eNOS遺伝子導入MSCを投与したPHラット群では、右心室圧が顕著に低下し、正常ラットに近い値を示していた。
また、表1の結果に示されるように、MSCを投与したPHラット群は、MSCを投与していないPHラット群に比べて右心室の重量が著明に低下しており、特にeNOS遺伝子導入したMSCを投与したPHラット群で良好な結果が得られた。
また、eNOS遺伝子導入MSCを投与したPHラット群は、MSCを投与していないPHラット群に比べて、生存日数が有意に長かった。これに対し、eNOS遺伝子を導入していないMSC投与PHラット群とMSCを投与していないPHラット群との間に有意な差は認められなかった。
実施例3:一酸化窒素産生細胞を有する人工血管の作製
内口径2mm、長さ4cm、繊維長90μmの多孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンチューブ(W. L. Gore and Associates, INC)を培養皿上におき、一方を遮断鉗子で封じ、他方より14-ゲージのプラスチックカニューレ(テルモ株式会社)を挿入した。
実施例1で作製したeNOS遺伝子導入MSCを、MEM培地(Sigma社)に浮遊させて浮遊液を作製した。カニューレに接続したシリンジを使用して、該浮遊液を、上記チューブに含浸させた。過剰の培地がチューブから漏出し、細胞は該チューブの孔の間に留まった。
得られたチューブをMEM培地(Sigma社)に浸漬し、抗生剤、10%ウシ胎児血清を含む培地に添加し、37℃、5%CO2湿度下で48時間培養した。
図1は、eNOS遺伝子組換え複製能欠損性ベクターの一例を示したものである。図1において、ΔE1/ΔE3 Ad 5 genomeはE1,E3欠損アデノウィルス遺伝子、ITRは inverted terminal repeat(末端反復配列)、TREはTet-responsive element(テトラサイクリン応答性エレメント)、Pmin CMVはminimal cytomegalovirus promoter(サイトメガロウィルス最小最初期プロモーター)、Cmrはchloramphenicol resistance gene(クロラムフェニコール耐性遺伝子)、PolyAはpoly A tail(末端ポリA配列)、Pはbacterial promoter(細菌プロモーター)を示す。 図2は、eNOS遺伝子導入MSCにおける一酸化窒素産生を、eNOS活性によるアルギニンからシトルリンの変換率から測定するため、放射性同位元素トリチウムで標識したシトルリン(L-[3H]citrulline)量を、液体シンチレーションカウンターで測定した結果を示す図面である。図2の横軸における、eNOS群はeNOS遺伝子導入MSC、L-NAME添加群はL-NAME存在下におけるeNOS遺伝子導入MSC、MSC群はeNOS遺伝子導入を行っていないMSCについての測定結果を示す。図2の縦軸は、培養皿1枚当りの標識シトルリンのカウント数を示す。 図3は、eNOS遺伝子導入MSCを原発性肺高血圧症モデルラット(PHラット)に投与して右心室圧を測定した結果を示す図面である。PHはMSCに代えて生理食塩水を投与したPHラット群、PH-MSCはeNOS遺伝子を導入していないMSCを投与したPHラット群、PH-MSC/eNOSはeNOS遺伝子導入したMSCを投与したPHラット群、non-PHはモノクロタリン投与を行っていないラット(正常ラット)群についての測定結果を示す。

Claims (9)

  1. 発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターにより形質転換した一酸化窒素産生細胞。
  2. 発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクター。
  3. 下記工程を有する一酸化窒素産生細胞の作製方法:
    (1)発現調節物質応答性エレメント、及び、一酸化窒素合成酵素(NOS)遺伝子を有するウィルスベクターを作製する工程、
    (2)工程(1)で作製したNOS遺伝子組換えウィルスベクターを、発現調節物質による調節下、哺乳動物細胞内で増殖させる工程、及び
    (3)工程(2)で増殖させたNOS遺伝子組換えウィルスベクターを骨髄由来細胞に導入し、発現調節物質による調節下、NOS遺伝子を発現させる工程。
  4. 請求項3に記載の方法によって作製される請求項1記載の一酸化窒素産生細胞。
  5. 請求項1に記載の一酸化窒素産生細胞を有効成分として含む医薬。
  6. 請求項2に記載のウィルスベクターを有効成分として含む医薬。
  7. (1)請求項1に記載の一酸化窒素産生細胞、及び、(2)(1)の細胞を生着する多孔性高分子部材を有する一酸化窒素産生生体用部材。
  8. 生体用部材が人工血管である請求項7に記載の部材。
  9. 請求項1に記載の一酸化窒素産生細胞を、多孔性高分子部材に播種する工程を有する一酸化窒素産生生体用部材の作製方法。
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