JP2007060877A - 環状積層鉄心及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 分割鉄心片30の周方向の両側にはそれぞれ連結部24の外側の同一位置に曲率中心を有する円弧状突起32、35と円弧状穴33、34が形成され、かつ、分割鉄心片30の両側にそれぞれ形成される円弧状突起32、35と円弧状穴33、34は、その一側と他側では半径方向にその位置を入れ替えて形成され、隣り合う積層分割鉄心11〜22同士は、互いに分割鉄心片30の円弧状穴33、34及び円弧状突起32、35を積層して形成された円弧状溝26、27及び円弧状凸条25、28が嵌合している。
【選択図】 図1
Description
かかる問題への対策として、固定子鉄心を展開した状態で、かつ、ヨーク部を分割し回転可能な連結箇所を形成して打抜き、所望枚数かしめ積層し、磁極に巻線した後に環状に連結する技術がある。これにより磁極への巻線作業が容易になり、更に巻線の密度を向上し得る等の効果がある。しかし、分割したヨーク部に回転可能な連結箇所を金型装置内で形成すると共に、回動自在に連結することから、それだけ高精度の金型装置が余分に必要になり、また高度の熟練を要する。
また、仮に円弧状突起72の先の部分だけ円弧状穴71に嵌入しても、一方の分割鉄心片70を正確に角Pを中心として回転させなけれは、嵌入動作が行えず、無理に入れようとして円周方向でない荷重がかかると円弧状突起72が塑性変形を起こす。かかることから製造された積層鉄心は形状精度が良くないことがあり、また、嵌合の連結強度が弱い等の問題がある。
更には、特許文献1の技術では、N個の積層された分割鉄心片があったとして、第1番目からN−1番目までの積層された分割鉄心片の組立に際しては、前記した組立作業で可能であるが、最後の第N番目の積層された分割鉄心片を第1番目の積層された分割鉄心片に組み付ける作業は前記した組立動作では不可能で、溶接等で接合することになる。
前記分割鉄心片の周方向の両側にはそれぞれ前記連結部の外側の同一位置に曲率中心を有する円弧状突起と円弧状穴が形成され、かつ、前記分割鉄心片の両側にそれぞれ形成される前記円弧状突起と円弧状穴は、その一側と他側では半径方向にその位置を入れ替えて形成され、前記積層分割鉄心は前記分割鉄心片の円弧状穴及び円弧状突起を積層して形成された円弧状溝及び円弧状凸条を有し、隣り合う前記積層分割鉄心同士の前記連結部は、互いに嵌合し合う前記円弧状溝及び円弧状凸条を有してなる。
なお、この第1の発明は、環状積層鉄心を構成する全部の積層分割鉄心に本発明を適用する場合の他、環状積層鉄心の一部の積層分割鉄心にも適用される。
これによって、一方の円弧状凸条が他方の円弧状凸条のガイドとなって、曲率中心位置を合わせて少なくとも一方の積層分割鉄心を他方の積層分割鉄心に回転嵌合させることが容易となる。
なお、ここで、最後の積層分割鉄心と最初の積層分割鉄心との連結部には、それぞれに円弧状凸条と円弧状溝を有することは必ずしも必要ではなく、一方の積層分割鉄心に凸条と他方の積層分割鉄心にこの凸条に嵌合する溝とを有すれば十分である。
前記第1工程での前記分割鉄心片には、周方向の両側にそれぞれ前記連結部の外側の同一位置に曲率中心を有する円弧状突起と円弧状穴が形成され、しかも、該分割鉄心片の両側に形成された前記円弧状突起と円弧状穴は、その一側と他側では半径方向にその位置を入れ替えて形成されていること、
前記第2工程における前記積層分割鉄心は、積層された前記分割鉄心片の前記円弧状突起によって円弧状凸条が形成されると共に積層された前記分割鉄心片の円弧状穴によって円弧状溝が形成され、隣り合う前記積層分割鉄心の互いの前記円弧状凸条が互いに相手の前記円弧状溝に嵌合して前記連結部を形成すること、及び
前記第3工程の前記積層分割鉄心の連結は、隣り合う前記積層分割鉄心の少なくとも一方を、前記円弧状溝と前記円弧状凸条の前記曲率中心を中心にして回転させながら、隣り合うそれぞれの前記円弧状溝に互いに相手の前記円弧状凸条を嵌合させていることを有している。
また、第2の発明に係る環状積層鉄心の製造方法において、前記第3工程で連結される最後の前記積層分割鉄心の連結部を形成する前記円弧状溝と前記円弧状凸条との曲率中心は、一つ前の前記積層分割鉄心の連結部の前記円弧状溝と前記円弧状凸条との曲率中心と一致し、最後の前記積層分割鉄心をその一つ前に嵌め込んだ前記積層分割鉄心への嵌め込みと、最後の前記積層分割鉄心が連結されて環を形成する前記積層分割鉄心との前記曲率中心を中心とした回転による嵌め込みとが同時に行われるのがよい。
従って、積層分割鉄心の組立作業が容易となり、組み立てられた環状積層鉄心はより強固に各積層分割鉄心が連結される。
請求項3記載の環状積層鉄心においては、一つの連結部Aの円弧状溝と円弧状凸条の曲率中心は、連結部Aが設けられている積層分割鉄心の他側の連結部の曲率中心と同一位置にあるので、最後に組み立てる積層分割鉄心はその両側をそれぞれの相手に積層分割鉄心の連結部を形成しながら環状積層鉄心を組み立てることができる。
また、請求項8記載の環状積層鉄心の製造方法においても同様に、最後の積層分割鉄心の取付けにあっては、その一つ前に嵌め込んだ積層分割鉄心への嵌め込みと、最後の積層分割鉄心が連結されて環を形成する積層分割鉄心との曲率中心を中心とした回転による嵌め込みとを同時に行うことができる。
これによって、各積層分割鉄心について、分割鉄心片の積層方向への圧入を行うことなく、全ての積層分割鉄心の組立を行うことができる。
そして、請求項5記載の環状積層鉄心は、積層分割鉄心の組立状態では磁石又は導体が装着される嵌入孔を備える回転子積層鉄心であるので、組立が簡単になる他、金属板(一般には磁性鋼板)の板取りの歩留りがよくなる。
ここに、図1(A)は本発明の第1の実施の形態に係る環状積層鉄心の斜視図、(B)は分割鉄心片の平面図、図2は同環状積層鉄心の展開図、図3(A)〜(C)は同環状積層鉄心の製造過程を示す部分平面図、図4は同環状積層鉄心の製造過程を示す平面図、図5(A)、(B)、(C)はそれぞれ本発明の第2の実施の形態に係る環状積層鉄心の製造方法を示す説明図、図6は同環状積層鉄心の製造方法の説明図、図7は本発明の第3の実施の形態に係る環状積層鉄心の斜視図、図8は同環状積層鉄心に対応する従来の環状積層鉄心の斜視図である。
この連結部24は、例えば一つの積層分割鉄心11の一端(即ち、図1において時計方向端部)に形成されている円弧状凸条25及び円弧状溝26と、相手となる積層分割鉄心12の他端(図1において反時計方向端部)に形成されている円弧状溝27及び円弧状凸条28を備えて構成されている。この円弧状凸条25、28及び円弧状溝26、27の曲率中心は、連結部24の外側の同一位置、即ち、この積層分割鉄心11、12の外位置にあり、この実施の形態では積層分割鉄心11、12の外側角部29に位置している。
この実施の形態において、分割鉄心片30の一側及び他側に、それぞれ1つの円弧状突起32、円弧状穴33と、円弧状穴34、円弧状突起35とを設けたが、円弧状突起及び円弧状穴の数を更に増加する場合も、本発明は適用される。
図1(B)に示す分割鉄心片30を金属板(磁性鋼板)からプレス加工によって打ち抜き形成し、かしめ部31を介して所定枚数の分割鉄心片30を積層し、積層分割鉄心11〜22を製造する。これらの積層分割鉄心11〜22の磁極部23に所定のコイルを巻いて、図2に示すように並べる。なお、隣り合う積層分割鉄心11、12(13〜21も同様)を並べてその円弧状凸条25及び円弧状溝26と、円弧状溝27及び円弧状凸条28とを嵌入させる直前の状態を図3(A)に示すが、円弧状凸条25の半径方向内側壁25aが、円弧状凸条28の半径方向外側壁28aに当接し、相互に嵌入方向のガイドとなっている。
積層分割鉄心11〜20については固定子積層鉄心10と同一であり、積層分割鉄心11及び積層分割鉄心20に連結する積層分割鉄心21a、22aの連結部Aの構造が異なっている。即ち、積層分割鉄心22aと積層分割鉄心11との連結部40は前記した固定子積層鉄心10の連結部24と同一であるが、積層分割鉄心22aの他側の連結部Aを構成する円弧状溝41及び円弧状凸条42の曲率中心は、積層分割鉄心22aの一側の連結部40の外側に位置する外側角部29と同一となっている。また、積層分割鉄心21aの他側の連結部43は、積層分割鉄心11〜20の連結部24と同一構造となっているが、積層分割鉄心21aの一側の連結部Aを構成する円弧状溝44及び円弧状凸条45の曲率中心は前記した積層分割鉄心22aの一側の連結部40の外側に位置する外側角部29と同一となっている。
なお、連結部Aにおいて、円弧状凸条45の半径方向内側壁と円弧状溝41の半径方向内側壁は同一半径e上にあり、円弧状凸条45の半径方向外側壁、円弧状溝41の半径方向外側壁、及び円弧状凸条42の半径方向内側壁、円弧状溝44の半径方向内側壁は同一半径f上にそれぞれある。また、円弧状凸条42の半径方向外側壁と円弧状溝44の半径方向外側壁は同一半径g上にあり、半径e、f、gの中心はそれぞれ積層分割鉄心22aの外側角部29にある。このように積層分割鉄心21a、22aを構成することによって、積層分割鉄心22aも回転による嵌め込み結合が可能となる。なお、g−f=f−eとなって、円弧状凸条42、45及び円弧状溝41、44の幅は実質同一となっている。
一方、第3の実施の形態に係る回転子積層鉄心47は、全体を複数(この実施の形態では5)に分割された積層分割鉄心52〜56を連結部57を介して環状に連結して構成されている。
このように、回転子積層鉄心47を周方向に分割すると、各積層分割鉄心52〜56を構成する分割鉄心片、即ち回転子鉄心片の板取りの歩留りがよくなって、材料をより有効に使用することができる。
また、積層分割鉄心同士の連結は互いに形成した円弧状凸条が相手側の円弧状溝に入り込み、いわゆる二重に入り合うので連結強度が大で、この連結は容易にでき回転子積層鉄心の形状も優れる。
また、第1の実施の形態に係る固定子積層鉄心10において、全ての積層分割鉄心11〜22を同一形状としたが、一部の積層分割鉄心に本発明を適用する場合も本発明の技術的範囲に含まれる。この場合、残った1又は複数の積層分割鉄心は、かしめ積層方向から入れ込む場合の他、半径方向外側から、場合によっては半径方向内側から嵌合させてもよい。
Claims (8)
- 複数の分割鉄心片をかしめ積層した積層分割鉄心を連結部を介して環状に連結した環状積層鉄心において、
前記分割鉄心片の周方向の両側にはそれぞれ前記連結部の外側の同一位置に曲率中心を有する円弧状突起と円弧状穴が形成され、かつ、前記分割鉄心片の両側にそれぞれ形成される前記円弧状突起と円弧状穴は、その一側と他側では半径方向にその位置を入れ替えて形成され、前記積層分割鉄心は前記分割鉄心片の円弧状穴及び円弧状突起を積層して形成された円弧状溝及び円弧状凸条を有し、隣り合う前記積層分割鉄心同士の前記連結部は、互いに嵌合し合う前記円弧状溝及び円弧状凸条を有してなることを特徴とする環状積層鉄心。 - 請求項1記載の環状積層鉄心において、前記分割鉄心片の両側にそれぞれ形成される前記円弧状突起及び円弧状穴は、前記円弧状突起を形成する一辺が前記円弧状穴を形成する一辺に連結されて同一円弧上にあることを特徴とする環状積層鉄心。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載の環状積層鉄心において、複数の前記積層分割鉄心を連結する複数の前記連結部のうち、一つの連結部Aの円弧状溝と円弧状凸条の曲率中心は、該連結部Aが設けられている積層分割鉄心の他側の前記連結部の外側にある前記曲率中心と同一位置にあることを特徴とする環状積層鉄心。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の環状積層鉄心が、前記積層分割鉄心の半径方向内側には磁極部を備える固定子積層鉄心であることを特徴とする環状積層鉄心。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の環状積層鉄心が、前記積層分割鉄心の組立状態では磁石又は導体が装着される嵌入孔を備える回転子積層鉄心であることを特徴とする環状積層鉄心。
- 金属板から複数の分割鉄心片を打ち抜く第1工程と、前記分割鉄心片をかしめ積層して複数の積層分割鉄心を作成する第2工程と、複数の前記積層分割鉄心を連結部を介して環状に連結する第3工程とを有する環状積層鉄心の製造方法において、
前記第1工程での前記分割鉄心片には、周方向の両側にそれぞれ前記連結部の外側の同一位置に曲率中心を有する円弧状突起と円弧状穴が形成され、しかも、該分割鉄心片の両側に形成された前記円弧状突起と円弧状穴は、その一側と他側では半径方向にその位置を入れ替えて形成されていること、
前記第2工程における前記積層分割鉄心は、積層された前記分割鉄心片の前記円弧状突起によって円弧状凸条が形成されると共に積層された前記分割鉄心片の円弧状穴によって円弧状溝が形成され、隣り合う前記積層分割鉄心の互いの前記円弧状凸条が前記円弧状溝に嵌合して前記連結部を形成すること、及び
前記第3工程の前記積層分割鉄心の連結は、隣り合う前記積層分割鉄心の少なくとも一方を、前記円弧状溝と前記円弧状凸条の前記曲率中心を中心にして回転させながら、隣り合うそれぞれの前記円弧状溝に互いに相手の前記円弧状凸条を嵌合させることを特徴とする環状積層鉄心の製造方法。 - 請求項6記載の環状積層鉄心の製造方法において、前記第1工程で製造される前記分割鉄心片の両側にそれぞれ形成される前記円弧状突起及び円弧状穴は、前記円弧状突起を形成する一辺が前記円弧状穴を形成する一辺に連結されて同一円弧上にあることを特徴とする環状積層鉄心の製造方法。
- 請求項6及び7のいずれか1項に記載の環状積層鉄心の製造方法において、前記第3工程で連結される最後の前記積層分割鉄心の連結部を形成する前記円弧状溝と前記円弧状凸条との曲率中心は、一つ前の前記積層分割鉄心の連結部の前記円弧状溝と前記円弧状凸条との曲率中心と一致し、最後の前記積層分割鉄心はその一つ前に嵌め込んだ前記積層分割鉄心への嵌め込みと、最後の前記積層分割鉄心が連結されて環を形成する前記積層分割鉄心との前記曲率中心を中心とした回転による嵌め込みとが同時に行われることを特徴とする積層鉄心の製造方法。
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