JP2007054923A - スローアウェイチップ - Google Patents

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Abstract

【課題】 安定して高い拘束力が得られ、かつ、切屑が衝突する逃げ面においても欠損することなく安定した切削性能を発揮する長寿命のスローアウェイチップを提供する。
【解決手段】 略平板状で両面使用が可能であり、交差稜部分のコーナー部5が切刃として使用され、周縁部にランド面6が、内側にブレーカ溝7を挟んで中央面8が設けられており、着座面3となるときこの主面側の中央面8とランド面6とがともに設置面となり、超硬合金基体11の表面に硬質被覆層13が被着形成され、超硬合金基体11の内部における結合相の濃度Aよりも逃げ面4での結合相の濃度Bが高く(B>A)、かつ前記結合相の濃度Aと逃げ面4での結合相の濃度Bとの比(B/A)が、超硬合金基体11の内部における前記結合相の濃度Aとランド面6での超硬合金基体11の表面における前記結合相の濃度Cとの比(C/A)よりも大きいスローアウェイチップ1である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、優れた耐欠損性および耐摩耗性を有する硬質被覆層を表面に被着形成したスローアウェイチップに関する。
従来より、金属の切削加工に広く用いられているスローアウェイチップは、超硬合金からなる基体の表面に硬質被覆層を単層または複数層被着形成したものが多用されている。
かかるスローアウェイチップについて、例えば本出願人は特許文献1にて、強い衝撃がかかるような切削加工条件においてスローアウェイチップの拘束力を増すためには、ランドを中央面と同じ高さとしてランド面も拘束面となるように設計することが効果的であることを提案している。
また、超硬合金基体に関して、特許文献2には、超硬合金基体中にZrやHfを添加せしめるとともにホーニング加工条件を制御することによって、基体表面のホーニング部において結合相濃度が高い、いわゆる脱β層(結合相富化層)が除去された脱β不存在領域を小さくする方法が記載されている。また、特許文献3には、予め成長抑止硬質層を形成してからホーニング加工を行なってホーニング部の脱β層が除去された状態とした後、これを熱処理することによってホーニング部に脱β層を復活させる方法が記載されている。さらに、特許文献4には、成形体段階でホーニング加工を行なった後に焼成することによって、焼結体に対してホーニング加工を施した場合のようにホーニング部にて脱β層が消失するという不具合を防止できることが記載されている。そして、これらの特許文献2〜4には、ホーニング部においても脱β層を存在せしめることによって、切刃であるホーニング部における耐欠損性を向上できて工具の耐欠損性を高められることが記載されている。また、いずれもホーニング部に続くランド面を含むすくい面、および逃げ面においては、均一な厚みの脱β層が形成されている。
さらに、特許文献5では、刃先稜線部の内側にランド面とブレーカ溝とが形成されたスローアウェイチップにおいて、基体の表面部分に硬度が低く靭性が向上する脱β層を形成するとともにその脱β層の厚みをランド面よりもブレーカ溝で厚くなるように設定することによって、切削中の負荷によって欠損しやすいブレーカ溝における耐欠損性を高めるとともにランド面における耐塑性変形性を高めることができることが記載されている。この文献においても、ランド面および逃げ面における脱β層は同じ厚みとすることが記載されている。
特開2004−98251号公報 特開平7−113180号公報 特開平10−225804号公報 特開平7−185909号公報 特開2003−145312号公報
しかしながら、特許文献1のようなランド面が設置面となる形状のスローアウェイチップにおいては、特許文献2〜5に記載されたようなランド面および逃げ面において所定厚みの脱β層が存在する構成とすると、切屑が延びてブレーカ溝に誘導される切削加工形態においてランド面で塑性変形が生じてこのランド面の高さが低くなってしまい、このランド面が着座面に配置されて設置面となる場合にはランド面での拘束力が弱くなり、切削時にびびり振動が発生して被削材の仕上面粗度が低下するという問題があった。また、切削中に発生する切屑はブレーカ溝に衝突して湾曲されるもののここで分断されることは少なく、湾曲された切屑が逃げ面に衝突して分断される形態が多いために、脱β層の厚みが全体的に薄くなると、スローアウェイチップの逃げ面において切屑が衝突して分断されるときに切屑の衝突する衝撃で欠損が発生しやすくなるという問題が発生する。特に、この現象は切屑が延びやすい鋼の切削時に顕著であった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、両面使いのスローアウェイチップにおいても強い拘束力が得られ、かつ逃げ面における耐欠損性にも優れたスローアウェイチップを提供することにある。
本発明では、上記課題に対し、ランド面の高さを中央面の高さと同じ高さとして、着座面に配置したときにはともに設置面になる構成とし、かつ切削中に切刃となるホーニング部に続くランド面では切削中に塑性変形させないように脱β層がないか、または脱β層が薄い構成とし、逃げ面では脱β層が厚い構成とする。これにより、両面使用可能なスローアウェイチップに対していずれのランド面でも強固な拘束力を持続でき、かつ逃げ面に切屑が衝突しても欠損することなく安定した切削性能を発揮することができる。
すなわち、本発明のスローアウェイチップは、略平板状であり、2つの主面が多角形状であってそれぞれすくい面および着座面として、かつ側面が逃げ面として使用されるとともに、前記主面のそれぞれと前記逃げ面との交差稜部分のコーナー部が切刃として使用され、前記主面の周縁部にランド面が、かつ該ランド面から内側にブレーカ溝を挟んで中央面が設けられている両面使用可能なスローアウェイチップであって、該スローアウェイチップは、一方の前記主面が前記着座面となるときこの主面側の前記中央面と前記ランド面とがともに設置面となるとともに、炭化タングステンと周期率表第4a、5aおよび6a族金属の立方晶炭化物とを鉄族金属の結合相で結合した超硬合金基体の表面に硬質被覆層が被着形成されており、前記超硬合金基体の内部における前記結合相の濃度Aよりも前記逃げ面での前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Bが高く(B>A)、かつ前記超硬合金基体の内部における前記結合相の濃度Aと前記逃げ面での前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Bとの比(B/A)が、前記超硬合金基体の内部における前記結合相の濃度Aと前記ランド面での前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Cとの比(C/A)よりも大きいことを特徴とするものである。
ここで、前記超硬合金基体の内部における前記結合相の濃度Aに対する前記ランド面での前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Cの比(C/A)が0.95〜1.05の範囲内であること、すなわち、前記ランド面の表面においては結合相の濃度がばらつきの範囲内で超硬合金基体の内部と同じであり、結合相富化層が存在しないことが、ランド面における耐欠損性を維持しつつクレータ摩耗を低減できる点で望ましい。
さらに、前記逃げ面において、前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Bが前記超硬合金基体の内部における結合相の濃度Aよりも高い領域が、前記超硬合金基体の表面から10μm以上50μm以下の厚みで存在していることが、逃げ面における耐摩耗性と耐欠損性とを最適化できる点で望ましい。
なお、前記コーナー部の近傍のランド面の幅が他の部分におけるランド面の幅に比べて狭いことが、主に切刃として機能するコーナー部におけるランド面による切削抵抗を低減できるとともに、コーナー部以外の部分でスローアウェイチップの拘束力を高めることができる点で望ましい。
さらに、前記ブレーカ溝は、前記中央面側の壁面が、前記中央面と角度αをなす1段目および角度β(ただし、β<α)をなす2段目からなる2段立ち上がり壁面であることが、切屑が湾曲しやすく分断が容易になる点で望ましい。
本発明における請求項1の構成によれば、着座面に配置されたランド面がチップの拘束力を高める役割を担う形状、すなわち、ランド面の高さが中央面の高さと同じ高さに設計されている。そして、超硬合金基体の表面における結合相の濃度を各部にて最適化する、すなわち逃げ面におけるB/Aをランド面における前記比率C/Aよりも大きくすることによって、切削中に切刃に続き切屑の通り道であるランド面が切削中に塑性変形することを抑制でき、このランド面が設置面となった際にも安定して高い拘束力が得られる。また、上記ブレーカ溝によって、切屑を効率よく分断できて切屑排出性を高めることができるが、逃げ面に切屑が衝突しても欠損することなく安定した切削性能を発揮することができる。
また、本発明における請求項2の構成によれば、ランド面における耐欠損性を維持しつつクレータ摩耗を低減でき、本発明における請求項3の構成によれば、逃げ面における耐摩耗性と耐欠損性とを最適化できる。さらに、本発明における請求項4の構成によれば、最も切刃として使われる頻度が高いコーナー部における切削抵抗を低減できるとともに、スローアウェイチップの強い拘束力を維持できる。さらには、本発明における請求項5の構成によれば、切屑の分断が容易になる。
本発明のスローアウェイチップについて、その一例についての概略断面図である図1、図1のX−X断面図である図2、図2のスローアウェイチップのY−Y断面、およびZ−Z断面での超硬合金基体における結合相の濃度分布(B/A、C/A)を示す図である図3をもとに説明する。
図1によれば、スローアウェイチップ(以下、単にチップともいう。)1は、略平板状であり、2つの主面が多角形状であってそれぞれすくい面2および着座面3として、かつ側面が逃げ面4として使用される両面使用可能なチップ1である。そして、前記主面、すなわちすくい面2と着座面3のそれぞれと逃げ面4との交差稜部分の少なくともコーナー部5が切刃として使用され、前記主面の周縁部にランド面6が、かつランド面6から内側にブレーカ溝7を挟んで中央面8が設けられている。さらに、スローアウェイチップ1の中央面8の中心にはねじ孔9が設けられている。
また、本発明のチップ1は、図2に示すように、炭化タングステンを鉄族金属の結合相で結合した超硬合金基体11の表面に硬質被覆層13が被着形成された構成からなる。そして、本発明のチップ1によれば、図3に示すように、一方の主面が着座面3となるときこの主面側の中央面8とランド面6とがともに設置面となるとともに、超硬合金基体11の内部における結合相の濃度Aよりも逃げ面4での超硬合金基体11の表面における結合相の濃度Bが高く(B>A)、かつ超硬合金基体11の内部における結合相の濃度Aと逃げ面4での超硬合金基体11の表面における結合相の濃度Bとの比(B/A)が、超硬合金基体11の内部における結合相の濃度Aとランド面6での超硬合金基体11の表面における結合相の濃度Cとの比(C/A)よりも大きいことが大きな特徴である。
これにより、ランド面6での耐摩耗性が高くなり、ランド面6の塑性変形を抑制することができる。また、逃げ面4の表面では結合相の濃度Bが高いことから、切削時に発生する切屑が逃げ面4に衝突して分断される際に逃げ面4が欠損することを抑制することができる。その結果、チップ1全体として、耐欠損性および安定した切削性能を発揮するのである。
しかも、ランド面6と中央面8が同じ高さとなるように両頭研削加工によって形成すれば、すくい面2と逃げ面4との交差稜部分に形成されて、かつランド面6に続くホーニング部10に圧縮の残留応力を付与することができ、ホーニング部10は切刃として使用されることから切刃の耐欠損性も向上する。 ここで、超硬合金基体11の内部における結合相の濃度Aに対するランド面6での超硬合金基体11の表面における結合相の濃度Cの比(C/A)が0.95〜1.05の範囲内であること、換言すれば局部的なばらつきの範囲で超硬合金基体11の内部における結合相の濃度と同じであり、いわゆる結合相富化層12が存在せず、逃げ面4の表面には結合相富化層12が存在することが、ランド面6における耐摩耗性を高めてこのランド面6が設置面となったときにチップ1の拘束力を高めることができ、かつ逃げ面4において切屑の衝突に耐えうる耐欠損性を有する点で望ましい。
なお、本発明における超硬合金基体11の内部での結合相の濃度Aは、超硬合金基体11の表面からの深さが1000〜1100μmの領域における結合相濃度の平均値を指す。さらに、超硬合金基体11の表面における結合相の濃度は、濃度測定のバラツキを排除するために、超硬合金基体11の表面における結合相の濃度が、超硬合金基体11の内部における結合相の濃度と比較して1.06倍以上である場合に結合相富化層12が存在すると判定する。そして、この結合相富化層12の厚みは、超硬合金基体の表面から結合相濃度が超硬合金基体11の内部と同じ値となる深さ位置までの厚みを指す。
また、上記結合相の濃度の比(B/C)は1.05〜1.3であること、特に望ましくは1.1〜1.2であることが、ランド面6の塑性変形を抑制でき、かつ、逃げ面4の耐欠損性を向上できる点で望ましい。
さらに、図3に示すように、逃げ面4において、超硬合金基体11の表面における結合相の濃度Bが超硬合金基体11の内部における結合相の濃度Aよりも高い領域、いわゆる結合相富化層12が、超硬合金基体11の表面から10μm以上50μm以下の厚みtで存在していることが、逃げ面4における耐摩耗性と耐欠損性とを最適化できる点で望ましい。また、逃げ面4において、上記結合相の濃度の比(B/A)が1.1〜1.3であることが、逃げ面4における耐欠損性を高める点で望ましい。この結合相の濃度の比(B/A)の特に望ましい範囲は1.1〜1.2である。
なお、超硬合金基体11は、炭化タングステンを主成分として、周期率表第4a、5aおよび6a族金属の立方晶炭化物、いわゆるβ層を含むとともに、鉄族金属、中でもコバルトにて結合したものである。ここで、超硬合金基体11の全体に対して、周期率表第4a、5aおよび6a族金属の立方晶炭化物の含有比率は総量で1〜15質量%であること、および鉄族金属の含有比率は5〜10質量%であることが、結合相富化層12の厚みを確実に制御できる点で望ましい。鉄族金属の含有比率の特に望ましい範囲は6〜9質量%である。
また、硬質被覆層13としてTiCN層14を具備することが望ましい。特に、TiCN層14は超硬合金基体11の表面に対して垂直に伸びる筋状形状のTiCN粒子からなることが望ましい。
さらに、図1および図2に示す例によれば、TiCN層14の上面にAl層15を形成している。このAl層15は、α型結晶構造からなることが、構造的に安定で高温になっても優れた耐摩耗性を維持できる点で望ましい。なお、Al結晶の一部をα型結晶構造以外のκ型結晶構造として、すなわちAl層15の結晶構造をα型結晶構造とκ型結晶構造との混晶としてAl層15の付着力を調整することも可能である。
さらに、Al層15をα型結晶構造とする場合には、TiC(x+y+z=1、0≦x≦1、0≦y≦1、0<z≦1、特にz≧0.1)からなる中間層(図示せず。)をTiCN層14とAl層15との間に形成することが有効であり、これにより安定してα型結晶構造を成長させることができる。
また、図2によれば、超硬合金基体11の表面の直上に第1層として最下層TiN層17を形成している。これによって、超硬合金基体11の成分が硬質被覆層13内に拡散するのを抑制する効果、およびTiCN層14の粒子形状を容易に制御できる効果がある。さらに、図1および図2に示す例によれば、Al層15の上に硬質被覆層13の最上層として最上層TiN層18を形成している。これによって、チップ1が金色を呈するため、チップ1を使用したときに最上層TiN層18が摩耗して使用済みかどうかの判別がつきやすく、また、摩耗の進行を容易に確認できるため望ましい。なお、最上層は最上層TiN層18に限定されるものではなく、摺動性を高めるためにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)層やCrN層を形成する場合もある。
また、本発明によれば、図1(b)の要部拡大図に示すように、コーナー部5の近傍のコーナー部5に続くランド面6の幅wが他の部分のランド面6の幅wに比べて狭いことが、主に切刃として機能するコーナー部5における切削抵抗を低減できるとともに、コーナー部5以外のランド面6部分でチップ1の拘束力を高めることができる点で望ましい。
さらに、図2に示すように、ブレーカ溝7が、中央面8側の壁面が、溝底部から中央面8と角度αをなす1段目、および角度β(ただし、β<α)をなす2段目からなる2段立ち上がり壁面であることが、切屑の分断が容易になる点で望ましい。このとき、ブレーカ溝7の溝底部における結合相の濃度Dは、逃げ面4の表面における結合相の濃度B、ランド面6の超硬合金基体2の表面における結合相の濃度Cに対して、B>D>Cであることが、ブレーカ溝7の底部での耐欠損性を高めるとともに、ブレーカ溝7が摩耗しにくく切削が進んでも切屑の流れが変わることなく一定に安定した切屑処理が可能である点で望ましい。
(製造方法)
また、上述したスローアウェイチップ1を製造するには、まず、上述した超硬合金を焼成によって形成しうる金属炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物等の無機物粉末に、金属粉末、カーボン粉末等を適宜添加・混合し、プレス成形、鋳込成形、押出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形方法によって所定のチップ形状に成形した後、1000℃から焼成温度までの昇温速度を2〜5℃/分の速度で昇温して、真空中または非酸化性雰囲気中にて1400℃〜1500℃にて1〜1.5時間保持して焼成する。本発明では、上述した結合相富化層12を形成させるために、原料として窒化物や炭窒化物粉末を添加するか、もしくは窒素雰囲気中にて焼成する必要がある。これにより、基体11の表面に結合相の含有量が基体11の内部よりも多い所定厚みの結合相富化層12を具備する基体11が得られる。
次に、この基体11のすくい面4の表面に存在する結合相富化層12を除去するように両主面について砥石を用いた両頭研削加工を施す。本発明によれば、この時、すくい面2の中央面8とともにランド面6も100μm以上研削されるように制御する必要がある。これによって、超硬合金基体11の中央面8およびランド面6の表面と、逃げ面4の表面とに存在する結合相含有量を異ならせることができ、各々で求められる性能が発揮できるようにすることができる。しかも、通常のスローアウェイチップにおいて切刃にブラシや弾性砥石を用いたホーニング加工が施されるのに対して、本発明においてはランド面6が中央面8と同じ両頭研削加工によって加工されるので、両頭研削加工中に切刃となるホーニング部10に圧縮の残留応力を付与することができて切刃の耐欠損性も向上する。なお、両頭研削加工によってランド面6に続く交差稜線部がホーニング加工された状態となる。このホーニング部10の形状、すなわち研磨量は、すくい面側の研磨量pと逃げ面側の研磨量pとの比(p/p)が1.0〜1.5であることが、切削抵抗を低減してびびりを抑制できる点で望ましい。
なお、このとき、図4の研磨加工する前の超硬合金基体11の要部拡大断面図に示すように、研磨する前の焼結体形状を中央面8の各コーナー部5の近傍にランド面6の高さよりも高い凸部20を設けた形状として、研削後にそれぞれ凸部20が残らないようにこの面を研削することにより、すくい面2が平行に両頭研削できたかを確認することができ、ランド面6の全周の高さと中央面8の高さとを確実に同じ高さに制御することが可能である。しかも、この凸部20は超硬合金基体11を焼成するときに超硬合金基体11が焼成台板と接触して反応することを防止できるという効果がある。
また、上記研削工程によって、後述するTiCN層14を成膜する際に、中央面8、ランド面6、および逃げ面4側のTiCN粒子の結晶成長状態を制御することができる。
そして、この超硬合金基体11の表面に化学気相蒸着法、または物理気相蒸着法によって硬質被覆層13を成膜する。例えば、まず、最下層TiN層17を成膜し、次に、TiCN層14、Al層15、続いて、所望により最上層TiN層18を成膜する。さらに、所望により成膜後に硬質被覆層13の表面の少なくともランド面6を研磨加工することが、切屑の滑りがスムーズになる点で望ましい。
平均粒径1.5μmの炭化タングステン(WC)粉末、平均粒径1.2μmの金属コバルト(Co)粉末および平均粒径2.0μmの表1に示す原料粉末を表1に示す比率で添加・混合して、プレス成形によりスローアウェイチップ形状(CNMG120408)に成形した。そして、脱バインダ処理を施し、さらに、1000℃以上を3℃/分の速度で昇温して、0.01Paの真空中、表1の条件で焼成し、表面に結合相富化層を有する超硬合金の焼結体を作製した。
そして、この焼結体に対して、表1の条件で研削加工を施した後、CVD法により、TiN層:0.1μm−TiCN層:8μm−TiCNO層:0.1μm−Al層:2μm−TiN層:0.5μmの層構成からなる硬質被覆層を形成し、すくい面側からホーニング研磨を行なって表1の形状のスローアウェイチップを作製した。なお、表1に記載したランド面の高さとは、すくい面の中央面とランド面との高さの差、すなわち、測定するランド面を着座面側に配置したときのこのランド面とホルダの載置面との距離である。
得られたスローアウェイチップに対して、波長分散型X線マイクロアナライザー(EPMA)にて結合相の濃度分布をランド面、ブレーカ溝、逃げ面の超硬合金基体の表面近傍において測定し、超硬合金基体の表面における結合相の濃度、および結合相富化層の厚みを求めて表2に表記した。
そして、このスローアウェイチップを用いて一旦下記条件で加工を行なった後、使用済みコーナー部を着座面に配置した状態で同じく下記条件により切削試験を行ない、切削性能を評価した。結果は表2に示した。
(摩耗試験)
被削材 :クロムモリブデン鋼(SCM435)
工具形状:CNMG120408
切削速度:300m/分
送り速度:0.3mm/rev
切り込み:2mm
その他 :水溶性切削液使用
評価項目:チップ寿命に至るまでの加工数
Figure 2007054923
Figure 2007054923
表1、2に示す結果より、本発明の範囲内である試料No.1〜6では、びびりの発生も小さく、逃げ面での欠損も少ないものであった。
これに対して、ランド面が中央面よりも低い高さに設計された試料No.7でも、着座面に配置された使用済みコーナーのランド面においてクレータ摩耗が進行しており、チップの拘束力が弱く、切削中にびびり振動が発生した。さらに、超硬合金基体の表面に結合相富化層が形成されない試料No.8では、逃げ面において初期に欠損した。さらに、超硬合金基体の全面を研削した試料No.9でも、逃げ面においてチッピングが多く発生した。
本発明のスローアウェイチップの(a)概略斜視図、(b)要部拡大平面図である。 図1のスローアウェイチップのX−X断面図である。 図2のスローアウェイチップのY−Y部、Z−Z部における超硬合金基体の結合相の濃度の比(B/A、C/A)を示す図である。 図1のスローアウェイチップを製造する際の両頭研削加工する前の焼結体の形状を示す要部拡大断面図である。
符号の説明
1 スローアウェイチップ
2 すくい面
3 着座面
4 逃げ面
5 コーナー部
6 ランド面
7 ブレーカ溝
8 中央面
9 ねじ孔
10 ホーニング部
11 超硬合金基体
12 結合相富化層
13 硬質被覆層
14 TiCN層
15 Al
17 最下層TiN層
18 最上層TiN層
20 凸部

Claims (5)

  1. 略平板状であり、2つの主面が多角形状であってそれぞれすくい面および着座面として、かつ側面が逃げ面として使用されるとともに、前記主面のそれぞれと前記逃げ面との交差稜部分のコーナー部が切刃として使用され、前記主面の周縁部にランド面が、かつ該ランド面から内側にブレーカ溝を挟んで中央面が設けられており、前記2つの主面が順に着座面として使用される両面使用可能なスローアウェイチップであって、該スローアウェイチップは、一方の前記主面が前記着座面となるときこの主面側の前記中央面と前記ランド面とがともに設置面となるとともに、炭化タングステンと周期率表第4a、5aおよび6a族金属の立方晶炭化物とを鉄族金属の結合相で結合した超硬合金基体の表面に硬質被覆層が被着形成されており、前記超硬合金基体の内部における前記結合相の濃度Aよりも前記逃げ面での前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Bが高く(B>A)、かつ前記超硬合金基体の内部における前記結合相の濃度Aと前記逃げ面での前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Bとの比(B/A)が、前記超硬合金基体の内部における前記結合相の濃度Aと前記ランド面での前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Cとの比(C/A)よりも大きいことを特徴とするスローアウェイチップ。
  2. 前記超硬合金基体の内部における前記結合相の濃度Aに対する前記ランド面での前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Cの比(C/A)が0.95〜1.05の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のスローアウェイチップ。
  3. 前記逃げ面において、前記超硬合金基体の表面における前記結合相の濃度Bが前記超硬合金基体の内部における結合相の濃度Aよりも高い領域が、前記超硬合金基体の表面から10μm以上50μm以下の厚みで存在していることを特徴とする請求項1記載のスローアウェイチップ。
  4. 前記コーナー部の近傍の前記ランド面の幅が他の部分における前記ランド面の幅に比べて狭いことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスローアウェイチップ。
  5. 前記ブレーカ溝は、前記中央面側の壁面が、前記中央面と角度αをなす1段目および角度β(ただし、β<α)をなす2段目からなる2段立ち上がり壁面であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスローアウェイチップ。
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