JP2007052171A - エレクトロクロミック装置及びこれを用いた表示方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持基板1、6上に少なくとも透明電極2、7が形成されている一対の電極構造体11、12が、透明電極2、7同士が対面するように、電解質層5を挟持して配置されており、一対の透明電極2、7のうちの、少なくとも一方の上に、トリフェニルメタン化合物よりなる有機EC色素が吸着されている多孔質電極4が形成されており、定常状態において可視光に対し吸収を示し、電気化学的に還元反応を起こすことによって可逆的に消色するエレクトロクロミック装置を提供する。
【選択図】図1
Description
例えば、従来においては、CRT、LCD、PDP、ELD等の発光型素子は明るくて見やすいという特徴を有しており、多くの技術の提案がなされてきた。
しかしながら、上記各種発光型素子は、発光を直視しなければならないため、長時間閲覧すると視覚的な疲労を引き起こすという問題があった。
また携帯電話等のモバイル機器は、屋外で使用される場合が多く、太陽光下では、発光が相殺されて視認性が悪化するという問題もあった。
またLCDは、発光型素子の中でも特に需要が拡大している技術であり、大型、小型の、様々なディスプレイ用途に用いられている。
しかしながら、LCDは視野角が狭いという問題を有しており、見やすさの観点からは他の発光型素子に比較すると改善すべき課題を有している。
例えば、反射型LCDや電気泳動方式が挙げられる。
反射型LCDには、二色性色素を用いたG−H型液晶方式や、コレステリック液晶等がある。これらの方式は、従来の発光型LCDと比較して、バックライトを使用しないために省消費電力であるという利点を有しているが、視野角依存性があり、また光反射効率も低いため、必然的に画面が暗くなってしまうという問題を有している。
他方、電気泳動方式は、溶媒中に分散された電荷を帯びた粒子が、電界によって移動する現象を利用した方式であり、省消費電力で、視野角依存性がないという利点を有しているが、フルカラー化を行う場合には、カラーフィルターを利用する並置混合法を適用するため、反射率が低下し、必然的に画面が暗くなるという問題を有している。
このEC素子による発光は、偏光板等が不要であり、視野角依存性が無く、受光型で視認性に優れ、構造が簡易でかつ大型化も容易で、更には、材料の選択によって多様な色調の発光が可能であるという利点を有している。
EC素子でフルカラー表示を行うためには、減法混色であるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の発色が可能な色素を適用し、C、M、Y発色層を積層した構成とすることにより、フルカラー発色が可能な表示装置が得られる。
また黒色は、C、M、Yを混色することにより表示でき、白色は、各色素を消色状態として透明にし、背景色を白色にすることにより表示できる。
この表示装置は、開回路を構成して電極間の電子の移動を遮断し酸化還元状態を保持するだけで表示状態を静止できるので、表示画像を維持する電力が不要であり、消費電力の低減化が図られるという利点を有している。
しかしながら、ラジカル発色をするEC色素は、ラジカル状態において複数の電子遷移に伴う発色吸収が出現することから、必然的に発色吸収幅が広くなるものであり、全体として精密な色相制御を行うことが困難である。
すなわち、従来技術においては、ラジカル発色するEC色素を用いてフルカラー画像を形成していたため、色純度が低く、精密かつ鮮明な色表示を行うことが極めて困難であったという課題を有していた。
また、R1、R2は、酸素原子、窒素原子を介して結合していてもよい。
R3はベンゼン環又は複素環、或いはスルホン酸基、又はヒドロキシ基が少なくとも1つ含まれる芳香族又は複素環からなる。
また、R1、R2は、酸素原子、窒素原子を介して結合していてもよい。
R3はベンゼン環又は複素環、或いはスルホン酸基、又はヒドロキシ基が少なくとも1つ含まれる芳香族又は複素環からなる。
また、R1、R2は、酸素原子、窒素原子を介して結合していてもよい。
R3はベンゼン環又は複素環、或いはスルホン酸基、又はヒドロキシ基が少なくとも1つ含まれる芳香族又は複素環からなる。
エレクトロクロミック装置10は、支持基板1上に、透明電極2と、後述する有機EC色素3が担持された多孔質電極4とを具備する構成の表示電極構造体11と、支持基板6上に、透明電極7と多孔質電極8とを具備する構成の対向電極構造体12とが、電解質層5を介して対向配置された構成を有している。
なお、図1においては、対向する透明電極2、7のいずれにも多孔質電極4、8が形成されているが、本発明はこの構成に限定されず、必要に応じて一方の電極にのみ多孔質電極を形成させた構成としてもよい。以下、構成要素について順次説明する。
前記透明性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等が挙げられる。
透明電極層の形成用材料としては、例えば、In2O3とSnO2との混合物、いわゆるITO膜や、SnO2またはIn2O3をコーティングした膜等が挙げられる。
また、上記ITO膜や、SnO2 またはIn2O3をコーティングした膜にSn、Sb、F等をドーピングしても良く、その他MgOやZnO等も適用できる。
多孔質電極4、8は、例えば、金属、真性半導体、酸化物半導体、複合体酸化物半導体、有機半導体、カーボン等により構成することができる。金属としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu等が挙げられ、真性半導体としては、例えば、Si、Ge、Te等が挙げられる。
酸化物半導体としては、例えば、TiO2、SnO2、Fe2O3、SrTiO3、WO3、ZnO、ZrO2、Ta2O5、Nb2O5、V2O5、In2O3、CdO、MnO、CoO、TiSrO3、KTiO3、Cu2O、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等が挙げられる。
また、複合体酸化物半導体としては、例えば、SnO2−ZnO、Nb2O5−SrTiO3、Nb2O5−Ta2O5、Nb2O5−ZrO2、Nb2O5−TiO2、Ti−SnO2、Zr−SnO2、Sb−SnO2、Bi−SnO2、In−SnO2等が挙げられ、特にTiO2、SnO2、Sb−SnO2、In−SnO2が好適である。
また、有機半導体としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
上記一般式(1)のR1は、酸素原子又は窒素原子を含む芳香族又は複素環からなる。
R1の位置のみを具体的な化学構造に置き換えた式を以下に示す。
R2の位置のみを具体的な化学構造に置き換えた式を以下に示す。
R3の位置のみを具体的な化学構造に置き換えた式を以下に示す。
具体的には、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート等の塗布法、電界析出法、電界重合法、担持させる化合物の溶液に浸す自然吸着法等を適宜選定でき、特に自然吸着法、及び多孔質電極表面への有機EC色素を化学結合させる方法が好適である。
有機EC色素を多孔質電極4に自然吸着させるためには、有機EC色素の化学構造中に吸着性官能基を導入することが必要である。この吸着性官能基は、吸着させる多孔質電極の材料に応じて適宜選定するものとし、例えば、多孔質電極4が酸化物半導体により構成されている場合には、有機EC色素の化学構造中に、ホスホン酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基等の吸着性官能基を導入しておくことが好ましい。
前記吸着性官能基は、有機EC色素の骨格に直接、あるいはその他の所定の官能基を介して導入してもよい。前記のうち、所定の官能基を介して吸着基を導入する場合は、アルキル基、フェニル基、エステル、アミド基等の官能基を介して吸着基を導入する方法が好適である。
なお、有機EC色素の溶解用溶媒としては、例えば、水、アルコール、アセトニトリル、プロピオニトリル、ハロゲン化炭化水素、エーテル類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、エステル類、炭酸エステル類、ケトン類、炭化水素等が挙げられ、これらは適宜混合して用いてもよい。
また、多孔質電極4の表面をシランカップリング剤等によって改質した後に、有機EC色素を化学結合を形成させるようにしてもよい。
すなわち、対向電極構造体12側の多孔質電極8にも所定の有機EC色素を担持させた構成としてもよい。この場合には、発色反応と消色反応とが、酸化反応、還元反応のうち、それぞれ逆反応に応じて生じるように材料選定することが必要である。
例えば、多孔質電極4に担持させたトリフェニルメタン化合物が還元反応によってラジカル状態となり消色する場合には、多孔質電極8には定常状態で多孔質電極4に担持させたトリフェニルメタン化合物と同色調であり、酸化反応によってラジカル状態となり消色する有機EC色素を選定する。
このように、両電極構造体11、12において有機EC色素を担持させた構成とすることにより、最終的に得られるエレクトロクロミック装置において、発色が明瞭化し、画像の鮮明さを向上させることができる。
支持電解質としては、例えばLiCl、LiBr、LiI、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiCF3SO3等のリチウム塩や、例えばKCl、KI、KBr等のカリウム塩や、例えばNaCl、NaI、NaBr等のナトリウム塩や、例えば、ほうフッ化テトラエチルアンモニウム、過塩素酸テトラエチルアンモニウム、ほうフッ化テトラブチルアンモニウム、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムハライド等のテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
溶媒としては、支持電解質を溶解し、上述した有機EC色素を溶解しないものを選択する。
例えば、水、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等から適宜選定する。
マトリックス材は、目的に応じて適宜選択でき、例えば、骨格ユニットがそれぞれ、−(C−C−O)n−、−(CC(CH3)−O)n−、−(C−C−N)n−、若しくは−(C−C−S)n−で表されるポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン、ポリエチレンスルフィドが挙げられる。なお、これらを主鎖構造として、適宜枝分かれ構造を有していてもよい。また、ポリメチルメタクリレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等も好適である。
なお、この場合、マトリックス材のポリマーに所定の可塑剤を添加することが好ましい。
可塑剤としては、マトリックスポリマーが親水性の場合には、水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、及びこれらの混合物が好適であり、疎水性の場合には、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、スルフォラン、ジメトキシエタン、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、及びこれらの混合物が好適である。
図1のエレクトロクロミック装置10において、多孔質電極4の表面には、定常状態において可視域に吸収を有する有機EC色素である、トリフェニルメタン化合物が担持されているものとする。
エレクトロクロミック装置10を構成する対の電極構造体11,12に、所定のリード線を結線し表示装置として構成する。所定のリード線を通じて所定の電圧を印加する。多孔質電極4とこれに担持された有機EC色素材料との間に電子の授受がなされ、有機EC色素において電気化学的な還元反応が起き、可視域における吸収を失い消色する。
例えば、複数層の各層において、定常状態でシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)に発色するトリフェニルメタン化合物よりなる有機EC色素を吸着させて、フルカラー表示のエレクトロクロミック装置とした場合において、それぞれの層で所定の電圧を印加して有機EC色素の消色反応を起こさせ、全体としては減色の制御を行うことにより、所望のフルカラー画像を表示できる。
厚さ1mmで、1cm×1cmのガラス製の支持基板上に、平面的にFTO膜(透明電極)を配列形成した。
次に、酸化チタン(石原産業社製、粒径200nm)を、ポリエチレングリコールを8重量%の割合で溶解させた水:エタノール=1:1の混合溶液(アセチルアセトン5重量%、トリトン5重量%含有)中に、濃度15重量%となるように添加し、超音波ホモジナイザーを用いて60秒間攪拌し均一に分散させた。この白色顔料入り高分子溶液を、上記FTO膜上にスピンコートした。なお、スピンコートは、500rpmで4秒、次いで2500rpmで20秒行った。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行った。
次に、電気炉で500℃、3時間焼結を行い、酸化チタン膜(多孔質電極)が形成されたFTO基板が得られた。
所定の有機EC色素を、濃度2重量%となるように水に溶解して色素溶液を作製し、この溶液中に、上記酸化チタン膜が形成されたFTO基板を浸漬させ、一晩暗所にて放置し、酸化チタン電極に色素(有機EC色素膜)を吸着させた。
その後、エタノール溶液で洗浄処理を行い、乾燥させた。
厚さ1mmで、1cm×1cmのガラス製の支持基板上に、平面的にFTO膜(透明電極)を配列形成した。
次に酸化スズ(石原産業社製、粒径200nm)を、ポリエチレングリコールを8重量%の割合で溶解させた水:エタノール=1:1の混合溶液(アセチルアセトン5重量%、トリトン5重量%含有)中に濃度が15重量%となるように添加し、超音波ホモジナイザーを用いて60秒間攪拌し均一に分散させた。
この白色顔料入り高分子溶液を、上記FTO膜上にスピンコートした。
なお、スピンコートは、500rpmで4秒、次いで2500rpmで20秒行った。
次に、ホットプレート上で80℃、15分間の乾燥処理を行った。
次に、電気炉で500℃、3時間焼結を行い、酸化スズ膜(多孔質電極)が形成されたFTO基板が得られた。
電解質溶液は下記(a)〜(c)の3種類作製した。
(a)テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1モルを、プロピレンカーボネートに溶解させた。
(b)過塩素酸リチウム1モルをγ−ブチロラクトンに溶解させた。
(c)ポリエチレンオキサイド8重量部とテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート1mol/lを、プロピレンカーボネートに溶解させ、次にこれに白色顔料として平均粒径0.5μmのアルミナ25重量部を添加し、超音波ホモジナイザーで均一分散させた。
上述のようにして作製した表示電極構造体(色素吸着酸化チタン膜付き基板)と、対向電極構造体(酸化スズ膜付き基板)とを、径0.5μmの球状ポリスチレンとエポキシ系の熱硬化樹脂を混合した接着剤を用いて貼り合わせた。
この際、後述の工程により、電解液を注入できるように、一部分は接着剤を塗布せずに注入口を形成した。その後、セルを100℃で1時間硬化させた。
前記電解液を、注入口から注入した。
その後、注入口をエポキシ系の熱硬化樹脂で封止し、再度100℃で、一時間熱硬化処理を行うことにより、電解質層を挟持した状態で対向した電極構造体を具備するエレクトロクロミック装置が完成した。
上述したエレクトロクロミック装置の製造工程に従い、多孔質電極に担持させる有機EC色素について異なるものを適用し、下記実施例、及び比較例のサンプルセルを作製した。
有機EC色素として、下記に示すトリフェニルメタン化合物を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に吸着させ、また電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図2に示した。
図2に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なシアンの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、シアン色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は200msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からシアン色へ色調変化した。
有機EC色素として、下記に示すトリフェニルメタン化合物を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に吸着させ、また電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図3に示した。
図3に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なマゼンタの発色が得られた。
また、このエレクトロクロミック装置に2.5Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、マゼンタ色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は150msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からマゼンタ色へ色調変化した。
有機EC色素として、下記に示すトリフェニルメタン化合物を適用し、表示電極構造体を構成する多孔質電極に吸着させ、また電解質溶液は上記(a)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
かかる有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図4に示した。
図4に示すように吸収波長幅が極めて狭く、定常状態において鮮鋭なイエローの発色が得られた。
このエレクトロクロミック装置に2.0Vの電圧を印加すると、有機EC色素が電気化学的に還元反応を起こし、イエロー色から透明へ色調変化した。この際の応答速度は100msecであり、有機EC色素の化学変化に応じて速やかに色調変化が起こることが確認された。この装置を開回路とすることにより透明状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると再び透明からイエロー色へ色調変化した。
電解質溶液として上記(c)を適用し、その他の条件は、上記実施例1と同様としてエレクトロクロミック装置を構成する第一のセルを作製した。
上記実施例2と同様の工程により、エレクトロクロミック装置を構成する第二のセルを作製した。
上記実施例3と同様の工程により、エレクトロクロミック装置を構成する第三のセルを作製した。
上記第一のセルの、有機EC色素を吸着させた酸化チタン膜(多孔質電極)形成側を上側とし、この上層として、上記第二のセル及び第三のセルを順次積層し、三層構造のエレクトロクロミック装置を作製した。
この三層構造のエレクトロクロミック装置は、定常状態で、シアン、マゼンダ、イエローが混色し、全体として黒色表示状態となった。
上記第1〜第三のセルの、それぞれの表示電極と対向電極との間に、上記実施例1〜3と同様に所定の電圧を印加すると、トリフェニルメタン化合物よりなる有機EC色素が、電気化学的に還元反応を起こし、消色状態となり、全体として白色表示状態となった。
また、第一〜第三のセルに対し、個別に所定の電圧を印加して有機EC色素の電気化学的な反応を制御することにより、全体として所望のフルカラー画像を形成することができた。
有機EC色素として、下記式に示す化合物を適用し、これを表示電極構造体を構成する多孔質電極に吸着させた。また、電解質溶液としては、上記(b)を適用し、エレクトロクロミック装置を作製した。
この例におけるエレクトロクロミック装置に、1.8Vの電圧を印加すると、透明から青色へ色調変化した。
この際の応答速度は250msecであり、上記実施例1〜3に比較すると、反応が遅れた。
このエレクトロクロミック装置を開回路とすることにより、発色状態が保持され、電圧を0Vとし定常状態とすると、再び青色から透明状態に色調変化した。
この例における有機EC色素を適用したエレクトロクロミック装置のUV−Visスペクトルを測定し、その結果を図5に示した。
図5に示すように、この例における有機EC色素は、吸収波長幅が極めてブロードな形状となっており、鮮鋭な色調に発色することができなかった。すなわち定常状態において無色で電気化学反応によりラジカル状態となった際に発色する性質を有する有機EC色素を複数種組み合わせて、多色記録、あるいはフルカラー表示を行うエレクトロクロミック装置を作製すると、上述した本発明の実施例1〜4において作製したエレクトロクロミック装置に比較して、発色の明瞭性、画像表示の鮮鋭性において劣ったものとなった。
Claims (4)
- 支持基板上に少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極形成側が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、
前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、
下記一般式(1)で示される有機EC色素であるトリフェニルメタン化合物が、少なくとも一種類担持されている多孔質電極が形成されており、
前記トリフェニルメタン化合物が、定常状態において可視光に対し吸収を示し、電気化学的に還元反応を起こすことによって、可逆的に、可視域において吸収を失い、消色することを特徴とすることを特徴とするエレクトロクロミック装置。
但し、一般式(1)において、R1、R2は、酸素原子又は窒素原子を含む芳香族又は複素環からなる。
また、R1、R2は、酸素原子、窒素原子を介して結合していてもよい。
R3はベンゼン環又は複素環、或いはスルホン酸基、又はヒドロキシ基が少なくとも1つ含まれる芳香族又は複素環からなる。 - 支持基板上に少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極形成側が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、
前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、
下記一般式(1)で示される有機EC色素であるトリフェニルメタン化合物が、少なくとも一種類担持されている多孔質電極が形成されて構成されるエレクトロクロミック層構造体が、二層以上積層されており、
前記トリフェニルメタン化合物が、定常状態において可視光に対し吸収を示し、電気化学的に還元反応を起こすことによって、可逆的に、可視域において吸収を失い、消色することを特徴とするエレクトロクロミック装置。
但し、一般式(1)において、R1、R2は、酸素原子又は窒素原子を含む芳香族又は複素環からなる。
また、R1、R2は、酸素原子、窒素原子を介して結合していてもよい。
R3はベンゼン環又は複素環、或いはスルホン酸基、又はヒドロキシ基が少なくとも1つ含まれる芳香族又は複素環からなる。 - 支持基板上に少なくとも透明電極が形成されている一対の電極構造体が、前記透明電極形成側が対向するように、電解質層を挟持して配置されており、
前記一対の透明電極のうちの、少なくとも一方の上に、
下記一般式(1)で示される有機EC色素であるトリフェニルメタン化合物が、少なくとも一種類担持されている多孔質電極が形成されて構成されるエレクトロクロミック装置を用い、
前記トリフェニルメタン化合物が、定常状態において可視光に対し吸収を示すことにより、色表示を行い、前記トリフェニルメタン化合物に電気化学的な還元反応を起こさせることにより、可逆的に消色させ、無色の表示を行うことを特徴とするエレクトロクロミック装置の表示方法。
但し、一般式(1)において、R1、R2は、酸素原子又は窒素原子を含む芳香族又は複素環からなる。
また、R1、R2は、酸素原子、窒素原子を介して結合していてもよい。
R3はベンゼン環又は複素環、或いはスルホン酸基、又はヒドロキシ基が少なくとも1つ含まれる芳香族又は複素環からなる。 - 前記多孔質電極が、メソポーラス形状、粒子状、ロット形状、ワイヤ形状の、金属、半導体材料、あるいは導電性高分子により形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエレクトロクロミック装置。
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