JP2007036285A - 高温リフロースパッタリング装置及び高温リフロースパッタリング方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 不図示の制御部は、二段階成膜の第一の工程では、静電吸着機構49を動作させずに基板9と基板ホルダー44との間の熱伝達効率が悪い状態とし、第二の工程では静電吸着機構49を動作させて基板9と基板ホルダー44との間の熱伝達効率を向上させ、ヒータにより効率良く基板9を加熱する。第一の工程でホール90の内面に厚いベース薄膜93が作成されるため、第二の工程で比較的低い温度でリフローさせても充分にホール90内に金属材料が埋め込まれる。
【選択図】 図2
Description
図6に示す高温リフロースパッタリング装置は、排気系41を備えたスパッタチャンバー4と、スパッタチャンバー4内に被スパッタ面を露出させるようにして設けられたターゲット42と、ターゲット42をスパッタするためのスパッタ電源43と、スパッタによって放出されたターゲット42の材料が到達するスパッタチャンバー4内の所定位置に基板9を配置するための基板ホルダー44と、スパッタチャンバー4内に所定のスパッタ放電用ガスを導入する放電用ガス導入系45と、基板9を所定温度に加熱するよう基板ホルダー44内に設けられたヒータ441を備えている。
一方、ヒータ441からの熱は基板ホルダー44を経由して基板9に与えられ、基板9は所定の温度に加熱される。基板9の表面に堆積した薄膜は、基板9の熱によってリフロー(流動化)し、微細なホール内に流れ込む。この結果、ホールに金属材料が埋め込まれ、基板9の表面が平坦化される。
しかしながら、このような高い温度で処理を行うことにより、金属材料の結晶成長が速くなり、グレインサイズが大きくなる。グレインサイズが大きくなると、作成した薄膜の表面に凹凸ができ、後工程のフォトリソグラフィの際のアライメントがしづらくなる問題がある。また、グレインサイズが大きくなると、エレクトロマイグレーションの問題も顕在化してくる。
排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内に設けられたターゲットと、ターゲットをスパッタするためのスパッタ電源と、スパッタによって放出されたターゲットの材料が到達する位置に基板を保持するための基板ホルダーと、基板ホルダー内に設けられた前記ヒータと、基板を基板ホルダーに静電吸着させる静電吸着機構と、静電吸着機構を制御する制御部とを備えており、
制御部は、ホールの側面及び底面に前記金属材料の薄膜を作成する第一の工程においては、静電吸着機構を動作させずに基板と基板ホルダーとの間の熱伝達効率が悪い状態とし、第一の工程の後、前記金属材料の薄膜をさらに堆積させてリフローさせることでホールに金属材料を埋め込む第二の工程においては、静電吸着機構を動作させて基板と基板ホルダーとの間の熱伝達効率を向上させる制御を行うものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、前記ヒータを制御する制御部が設けられており、この制御部は、前記第一の工程において、基板の温度が摂氏100度以上150度以下の範囲の温度になるよう前記ヒータを制御するものであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の構成において、中央に設けられたセパレーションチャンバーと、セパレーションチャンバーの周囲に気密に接続されたロードロックチャンバー及び複数の処理チャンバーとを備えており、
ロードロックチャンバーは大気側との間で基板の出し入れが行われる際に基板が一時的に滞留するチャンバーであって、複数の処理チャンバーのうちの一つは前記スパッタチャンバーであり、また、セパレーションチャンバー内には、チャンバー間で基板を搬送する搬送機構が設けられており、
さらに、セパレーションチャンバーは、表面がセパレーションチャンバーの内部空間に露出するようにして設けられたパネルと、パネルを130K〜50Kに冷却してセパレーションチャンバー内の不純ガスをパネルの表面に凝縮させる冷凍機とを有している。
また、上記課題を解決するため請求項4記載の発明は、微細なホールが形成された基板の表面に、金属製のターゲットをスパッタすることで金属材料の薄膜を形成し、基板を加熱して薄膜をリフローさせてホールに金属材料を埋め込む高温リフロースパッタリング方法であって、
前記加熱は、基板を保持する基板ホルダー内に設けられたヒータにより行われる方法であり、
前記ホールの側面及び底面に前記金属材料の薄膜を作成する第一の工程と、第一の工程の後、前記金属材料の薄膜をさらに堆積させてリフローさせることで前記ホールに金属材料を埋め込む第二の工程とを有しており、
前記基板ホルダーには、基板を静電吸着する静電吸着機構が設けられていて、前記第一の工程では、静電吸着機構を動作させずに基板と基板ホルダーとの間の熱伝達効率が悪い状態とし、前記第二の工程においては、静電吸着機構を動作させて基板と基板ホルダーとの間の熱伝達効率を向上させるという構成を有する。
また、請求項2の発明によれば、上記請求項1の効果に加え、第一の工程における基板の温度が摂氏100度以上150度以下の範囲なので、堆積した薄膜がリフローしないようにすることができ、ボイドの発生をより防止することができる。
また、請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2の効果に加え、セパレーションチャンバー内の残留不純ガスが効果的に除去されるので、スパッタチャンバーにおける高温リフロースパッタリングの品質をさらに高めることができる。また、プロセスガスまでも除去してしまうことが抑制されるので、処理チャンバー内での処理が不安定になることもない。
また、請求項4の発明によれば、より低い温度で基板を加熱した場合でも金属材料を十分にホールに埋め込むことができる。このため、高温処理を行う際に発生するグレインサイズの増大等の問題を回避しつつ、ホール内への金属材料の埋め込みを効果的に行うことができる。
図1は、本願発明の実施の形態である高温リフロースパッタリング装置の構成を説明する平面概略図である。
図1に示す高温リフロースパッタリング装置はマルチチャンバータイプの装置であり、中央に配置されたセパレーションチャンバー1と、セパレーションチャンバー1の周囲に気密に接続された複数の処理チャンバー2,3,4,8,81及び二つのロードロックチャンバー5からなるチャンバー配置になっている。各チャンバー1,2,3,4,5,8,81は専用又は兼用の不図示の排気系を備えており、所定の圧力まで排気されるようになっている。各チャンバー同士の接続箇所には、ゲートバルブ6が設けられている。
そして、ロードロックチャンバー5の外側にはオートローダ7が設けられている。オートローダ7は大気側にある外部カセット62から基板9を一枚ずつ取り出し、ロードロックチャンバー5内のロック内カセット51に収容するようになっている。
複数の処理チャンバー2,3,4,8,81のうち一つは、基板9の表面のホールを高温リフロースパッタリングによって埋め込むスパッタチャンバー4である。この他は、スパッタリングの前に基板9を予備加熱するプリヒートチャンバー2、スパッタリングの前に基板9の表面の自然酸化膜又は保護膜を除去するための前処理エッチングを行う前処理エッチングチャンバー3、高温リフロースパッタリングによる成膜の前に下地膜を作成する下地膜作成チャンバー8である。
スパッタチャンバー4は、ゲートバルブ6を備えた気密な容器で、電気的には接地されている。そして、スパッタチャンバー4内は、排気系41により、10-8〜10-9Torr程度に排気されるよう構成されている。排気系41は、ターボ分子ポンプやクライオポンプ等の複数段の真空ポンプを備え、バリアブルオリフィス等の不図示の排気速度調整器が設けられている。
スパッタチャンバー4には、所定のスパッタ放電用ガスを導入する放電用ガス導入系45が設けられており、アルゴン等のスパッタ率の高いガスをチャンバー内に所定の流量で導入できるようになっている。具体的には、放電用ガス導入系45は、アルゴン等のスパッタ放電用のガスを溜めたガスボンベ451と、スパッタチャンバー4とガスボンベ451をつなぐ配管452と、配管452に設けたバルブ453や流量調整器454とから主に構成されている。
ターゲット42をスパッタするためのスパッタ電源43が、ターゲット42に接続されている。スパッタ電源43は、400〜600V程度の負の直流電圧をターゲット42に印加するよう構成されている。放電用ガス導入系45によってガスが導入された状態でこのスパッタ電源43が動作すると、ガスに放電が生じターゲット42がスパッタされるようになっている。尚、ターゲット42から放出されるスパッタ粒子のイオン化のみでスパッタ放電が維持される場合、ガスが導入されない場合もある。
また、スパッタ電源43によって設定される直流電界の向きはターゲット42の被スパッタ面に垂直である。従って、アーチ状の磁力線484の頂上付近で磁界と電界が直交し、マグネトロン放電が達成される。即ち、電子がマグネトロン運動し、ターゲット42の中心軸の回りに周回してスパッタ放電の効率をさらに向上させる。
基板ホルダー44には、基板9を熱接触性よく接触させるための静電吸着機構49が設けられている。静電吸着機構49は、基板ホルダー44の一部として設けられた誘電体ブロック491内に埋設された吸着電極492と、吸着電極492の間に直流電圧を印加する吸着用電源493とから主に構成されている。
吸着用電源493は、例えば200〜800V程度の電圧を一対の吸着電極492の間に与えるよう構成されている。この電圧によって誘電体ブロック491に誘電分極が生じ表面に静電気が誘起される。この静電気によって基板9が誘電体ブロック491に静電吸着される。この結果、基板ホルダー44に対する基板9の密着性が向上し、ヒータ441による熱が効率よく基板9に伝わる。
また、昇圧用ガス導入系495により凹部494にガスが導入される結果、凹部494の圧力が上昇する。このため、基板ホルダー44と基板9との間の熱伝達効率が向上し、基板9の加熱効率が高められる。昇圧用ガス導入系495は、熱伝達効率の良いヘリウム等のガスを導入するようになっている。
さて、本実施形態の装置の大きな特徴点は、基板ホルダー44に、ターゲット42と基板9との距離を変えるための距離変更機構46が備えられている点である。具体的に説明すると、基板ホルダー44は支柱442によって支えられている。距離変更機構46は、この支柱442の下端を保持した保持板463と、保持板463を固定した被駆動体464と、被駆動体464を駆動するボールネジ461と、このボールネジ461を回転させるモータ462とから主に構成されている。
モータ462によってボールネジ461が回転すると、この回転の力は被駆動体464に伝えられる。被駆動体464は、不図示の回転止めにより回転しないようになっているため上下動のみ行う。この結果、被駆動体464に固定された保持板463を介して支柱442が上下動し、これに伴い基板ホルダー44も上下動するようになっている。また、ターゲット42はスパッタチャンバー4内に固定されているため、上記のような距離変更機構46の動作により基板ホルダー44に載置された基板9とターゲット42との距離を変えることができるようになっている。
本実施形態における距離変更機構46及びこれを制御する不図示の制御部は、本実施形態の装置が二段階成膜を行うことに関連して設けられている。二段階成膜は、高温リフロースパッタリングを行う際の基板の温度(以下、成膜温度)を下げる試みの中で本願の発明者が見出した手法である。この点を図3及び図4を使用して説明する。図3は二段階成膜を行わずに成膜温度を下げた場合の問題点を示した図、図4は二段階成膜を行った場合の成膜状況を示す図である。
そして、スパッタリングを続けて薄膜の堆積量を増加させても、開口の縁に盛り上がって滞留するリフロー薄膜91が増えるのみで、ホール90内には流れ込まない。この結果、開口がリフロー薄膜91によって塞がれ、外見的にはホール90内への金属材料の埋め込みが完了したように見えても、図3(C)に示すように、ホール90内にボイドと呼ばれる空洞92が生じてしまう。ボイド92が形成されると、金属材料が配線として埋め込まれる場合、配線は断線され、致命的な素子欠陥を招いてしまう。
ボイド92の発生を防止するには、ホール90の開口の縁の部分におけるリフロー薄膜91の滞留を防止すればよい。リフロー薄膜91の滞留は、リフロー薄膜91自体の界面張力に起因するものであるが、下地表面との親和性(濡れ性)の影響も大きいと考えられる。即ち、リフロー薄膜91は例えばアルミニウム等の金属であり、ホール90の表面はシリコンや酸化シリコン等の異なる材料である。異なる材料の表面に対しては一般的に親和性が低く、表面に沿って流れにくい。リフロー薄膜91が同じ材料の表面を流れるのであれば、親和性が高いので、ホール90の開口の縁の部分での滞留も少なくできる筈である。
上記第一の工程では、成膜温度を低くし、堆積したベース薄膜93がリフローしないようにすることが肝要である。もしベース薄膜93がリフローする程度に成膜温度を高くしてしまうと、図3(A)に示すのと同様に、ホール90の側面でベース薄膜93に途切れが生じてしまう。途切れが生ずると、リフロー薄膜91がホール90の下地表面の上を流れなければならなくなるので、流動性が低下し、ボイド発生の原因となり易い。
ターゲット42と基板9の距離をL1からL2へと長くした場合、ホール90内の一点Pから見ることのできるターゲット42の被スパッタ面の面積は、L1に比べてL2の場合の方が大きくなる(S1<S2)。ターゲット42の被スパッタ面の面積(S1,S2)は、ホール内の一点Pに到達することが可能なスパッタ粒子の放出部分の面積であるから、L1に比べてL2の場合の方が点Pに到達するスパッタ粒子の量が多くなり、成膜速度が高くなる。ホール90内の他の点でも同じであり、TS距離が長くなるとその点へのスパッタ粒子の到達量が多くなり、その点の成膜速度が高くなる。つまり、TS距離を長くすることによってホール90の内面への成膜速度を高くすることができる。
尚、この第二の工程の際、スパッタ電源43によるターゲット42への投入電力は第一の工程より低く2〜4kW程度である。これは、成膜速度をあまり高くすることなく、少しずつ薄膜を堆積させてリフローさせた方がホール90内の埋め込み特性が良いという事情に基づく。また、第一の工程から第二の工程に移る際、スパッタ電源43の動作をいったん止めてから電力を低下させてもよいが、動作を止めずに電力を低下させてもよい。
図1に示す前処理エッチングチャンバー3は、成膜に先だって基板9をエッチングして基板9の表面の自然酸化膜や保護膜を除去するよう構成されている。前処理エッチングチャンバー3は、内部にプラズマを形成し、プラズマ中のイオンを基板9の表面に衝突させて自然酸化膜や保護膜をエッチング除去するようになっている。
また、プリヒートチャンバー2は、成膜に先だって基板9を加熱して、基板9の吸蔵ガスを放出させるよう構成されている。この吸蔵ガスの放出を行わない場合、成膜時の熱により吸蔵ガスが急激に放出され、発泡によって膜の表面が粗くなる問題がある。プリヒートチャンバー2内には、所定の温度に加熱維持される不図示のヒートステージが設けられている。基板9はこのヒートステージに載置され、所定の温度に加熱されることによりプリヒートされる。
下地膜作成チャンバー8は、高温リフロースパッタリングの前に下地膜としてチタン薄膜を作成するようになっている。下地膜作成チャンバー8は、スパッタリングによってこの下地膜を作成するようになっており、チタン製のターゲットを備えている他は、図2に示すスパッタチャンバー4とほぼ同様の構成である。 尚、スパッタチャンバー4での作成された高温リフロースパッタリング膜の上に反射防止膜を作成する場合があり、この場合は、他の処理チャンバー81のうちの一つは反射防止膜作成チャンバーとされる。反射防止膜作成チャンバーは、窒化チタン薄膜を反射防止膜としてスパッタリングにより作成するよう構成される。
より具体的に説明すると、基板9の表面に水分子が付着すると、スパッタチャンバー4における成膜の際に、薄膜の密着性を阻害したり、薄膜を酸化させるなどの変性を生じたりする問題がある。さらに、スパッタチャンバー4での成膜の際に基板9に与えられた熱によって水分子が急激に蒸発し、発泡等によってベース薄膜93の表面に凹凸を形成したり、ベース薄膜93に孔を開けたりすることがある。このような凹凸や孔が形成されると、リフロー薄膜91がうまく流れなくなり、ボイド発生の原因となる場合がある。
尚、パネル12への不純ガスの凝縮量が多くなると、パネル12の表面の温度低下が十分でなくなり不純ガスの凝縮効率が低下するので、所定時間パネル12を使用したら、パネル12の再生動作を行う。再生動作は、装置の運転を休止して行う。具体的には、不図示の排気系によってセパレーションチャンバー1内を高速排気しながら、パネル12を加熱する。パネル12の温度がある程度まで上昇すると、凝縮していた不純ガスはセパレーションチャンバー1内に放出され、不図示の排気系によってセパレーションチャンバー1から排出される。そして、パネル12の表面は不純ガスのない元の清浄な表面となる。そして、セパレーションチャンバー1内を再度高真空排気した後、装置の運転を再開する。
外部カセット62に収容された基板9は、オートローダ7によってロードロックチャンバー5内のロック内カセット51に搬入される。ロック内カセット51に搬入された基板9は、セパレーションチャンバー1に設けられた搬送ロボット11により、まずプリヒートチャンバー2に搬入される。プリヒートチャンバー2内に搬入された基板9は、不図示のヒートステージに載置され、所定の温度に加熱される。これによって基板9は予備加熱され、基板9中の吸蔵ガスが放出される。次に、基板9は前処理エッチングチャンバー3に搬送され、基板9の表面の自然酸化膜又は保護膜がエッチングされる。その後、基板9は下地膜作成チャンバー8に搬入され、下地膜としてチタン薄膜が薄く作成される。
そして、基板9はスパッタチャンバー4に搬入される。そして、スパッタチャンバー4内で上述した二段階成膜により高温リフロースパッタリングが行われ、基板9の表面のホールは金属材料が十分埋め込まれた状態で成膜が完了し、ホールの平坦化が成される。
その後、基板9はスパッタチャンバー4から搬出され、必要に応じて反射防止膜の作成や冷却等の処理がされた後、搬送ロボット11によりロードロックチャンバー5内のロック内カセット51に収容される。その後、ロック内カセット51に所定数の処理済みの基板9が収容されると、オートローダ7が動作し、処理済みの基板9を外部カセット62に搬出する。
上述した実施形態の装置では、スパッタチャンバー4は一つであり、このスパッタチャンバー4内で第一の工程と第二の工程とが連続して行われた。しかしながら、スパッタチャンバーを二つ設け、一方のスパッタチャンバーで第一の工程を行い、他方のスパッタチャンバーで第二の工程を行うようにすることができる。請求項6の発明はこの構成である。
具体的には、図1に示すスパッタチャンバー(以下、第一スパッタチャンバー)4の外に処理チャンバーの一つを別のスパッタチャンバー(以下、第二スパッタチャンバー)とする。第一スパッタチャンバーでは、上述したような距離変更機構46は不要であり、基板ホルダーはTS距離が前述した長い距離になるよう構成される。そして、第二スパッタチャンバーでは、基板ホルダーはTS距離が前述した短い距離になるよう構成される。
この実施形態では、同様に前処理エッチング及びプリヒートを行った後、基板9は第一スパッタチャンバーに搬入される。そして、第一スパッタチャンバーで第一の工程でベース薄膜を作成した後、基板9は第二スパッタチャンバーに搬入され、第二の工程が行われる。即ち、金属材料の薄膜をさらに堆積させてリフローさせ、ホール内に金属材料を埋め込む。この際、第一の工程の後、基板9が大気に取り出されることなく連続して第二の工程が行われる。従って、ベース薄膜の表面が酸化されたり表面に異物が付着したりして第二の工程でリフロー薄膜の流動性が低下する問題がなく、この点で好適である。
この実施形態のメリットは、第一の工程と第二の工程とが別のスパッタチャンバーで行われるので、タクトタイムを短くできる点である。従って、前述した実施形態で各処理チャンバーのうちスパッタチャンバー内での処理が最も時間を要している場合、この実施形態による生産性の向上が望める。但し、スパッタチャンバーが二つになるので、装置のコストとしては高くなる。逆に言うと、前述した実施形態は、装置のコストの点では有利である。
まず、第一第二の工程に共通した条件は、以下の通りである。
・基板;直径200mmのシリコンウェーハ
・ホール;開口直径0.3μm,深さ1μm,アスペクト比3
・ターゲット;直径300mmのアルミニウム製
・成膜圧力;1mTorr
・放電用ガス;アルゴン
・ガス流量;20cc/分
・ターゲットへの印加電圧;−500V
・ターゲットへの投入電力;18kW
・TS距離;90mm
・成膜温度;100〜150℃
上記条件によると、成膜速度10000オングストローム毎分程度でベース薄膜の作成ができ、18秒程度スパッタリングを継続して3000オングストローム程度の厚さでベース薄膜を作成する。
・成膜圧力;1mTorr
・放電用ガス;アルゴン
・ガス流量;20cc/分
・ターゲットへの印加電圧;−300V
・ターゲットへの投入電力;3kW
・TS距離;60mm
・成膜温度;400℃
上記条件で第二の工程を行うと、120秒程度の処理時間でホール内にアルミニウムを埋め込むことができ、ボイドの発生は観察されない。
また、高温リフロースパッタリングにおいては、スパッタリングを終了してから基板9を加熱して薄膜をリフローさせる場合がある。上述した実施形態及び実施例においても、第二の工程の終了後に基板9の加熱工程のみを行ってホール内に金属材料を埋め込むようにしてもよい。尚、上記実施例ではターゲット42はアルミニウム製であったが、銅製のターゲット42を使用して銅薄膜を作成する場合も同様に実施できる。また、アルミや銅の合金よりなるターゲットや他の金属材料のターゲットを使用する場合でも、同様に実施できる。
11 搬送機構としての搬送ロボット
2 プリヒートチャンバー
3 前処理エッチングチャンバー
4 スパッタチャンバー
41 排気系
42 ターゲット
43 スパッタ電源
44 基板ホルダー
441 ヒータ
45 放電用ガス導入系
46 距離変更機構
48 磁石機構
49 静電吸着機構
495 昇圧用ガス導入系
5 ロードロックチャンバー
6 ゲートバルブ
7 オートローダ
9 基板
90 ホール
91 リフロー薄膜
92 ボイド
93 ベース薄膜
Claims (4)
- 表面に微細なホールが形成された基板の表面にスパッタリングによって金属材料の薄膜を形成し、ヒータにより基板を加熱して薄膜をリフローさせてホールに金属材料を埋め込む高温リフロースパッタリング装置であって、
排気系を備えたスパッタチャンバーと、スパッタチャンバー内に設けられたターゲットと、ターゲットをスパッタするためのスパッタ電源と、スパッタによって放出されたターゲットの材料が到達する位置に基板を保持するための基板ホルダーと、基板ホルダー内に設けられた前記ヒータと、基板を基板ホルダーに静電吸着させる静電吸着機構と、静電吸着機構を制御する制御部とを備えており、
制御部は、ホールの側面及び底面に前記金属材料の薄膜を作成する第一の工程においては、静電吸着機構を動作させずに基板と基板ホルダーとの間の熱伝達効率が悪い状態とし、第一の工程の後、前記金属材料の薄膜をさらに堆積させてリフローさせることでホールに金属材料を埋め込む第二の工程においては、静電吸着機構を動作させて基板と基板ホルダーとの間の熱伝達効率を向上させる制御を行うものであることを特徴とする高温リフロースパッタリング装置。 - 前記ヒータを制御する制御部が設けられており、この制御部は、前記第一の工程において、基板の温度が摂氏100度以上150度以下の範囲の温度になるよう前記ヒータを制御するものであることを特徴とする請求項1記載の高温リフロースパッタリング装置。
- 中央に設けられたセパレーションチャンバーと、セパレーションチャンバーの周囲に気密に接続されたロードロックチャンバー及び複数の処理チャンバーとを備えており、
ロードロックチャンバーは大気側との間で基板の出し入れが行われる際に基板が一時的に滞留するチャンバーであって、複数の処理チャンバーのうちの一つは前記スパッタチャンバーであり、また、セパレーションチャンバー内には、チャンバー間で基板を搬送する搬送機構が設けられており、
さらに、セパレーションチャンバーは、表面がセパレーションチャンバーの内部空間に露出するようにして設けられたパネルと、パネルを130K〜50Kに冷却してセパレーションチャンバー内の不純ガスをパネルの表面に凝縮させる冷凍機とを有していることを特徴とする請求項1又は2記載の高温リフロースパッタリング装置。 - 微細なホールが形成された基板の表面に、金属製のターゲットをスパッタすることで金属材料の薄膜を形成し、基板を加熱して薄膜をリフローさせてホールに金属材料を埋め込む高温リフロースパッタリング方法であって、
前記加熱は、基板を保持する基板ホルダー内に設けられたヒータにより行われる方法であり、
前記ホールの側面及び底面に前記金属材料の薄膜を作成する第一の工程と、第一の工程の後、前記金属材料の薄膜をさらに堆積させてリフローさせることで前記ホールに金属材料を埋め込む第二の工程とを有しており、
前記基板ホルダーには、基板を静電吸着する静電吸着機構が設けられていて、前記第一の工程では、静電吸着機構を動作させずに基板と基板ホルダーとの間の熱伝達効率が悪い状態とし、前記第二の工程においては、静電吸着機構を動作させて基板と基板ホルダーとの間の熱伝達効率を向上させることを特徴とする高温リフロースパッタリング方法。
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- 2006-10-02 JP JP2006271253A patent/JP4833014B2/ja not_active Expired - Fee Related
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