JP2007017801A - 撮像光学系の手ぶれ補正装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 省スペース化及び軽量化され、消費電力が低減されて応答速度が向上した撮像光学系の手ぶれ補正装置を提供する。
【解決手段】 撮像光学系の手ぶれ補正装置は、撮像光学系の手ぶれ量を検出する角速度センサ10と、撮影レンズ9の光路中に配置された偏光板11と、互いに対向する一対の透明電極1・2と一対の透明電極1・2により挟持された液晶16とを有して被写体光6を偏向させることにより撮影レンズ9への被写体光6の入射角を調節する液晶プリズムアレイ4と、角速度センサ10により得られた手ぶれ量に応じた駆動電圧を透明電極1・2に印加する液晶ドライバ17とを備え、透明電極2の内面を断面鋸歯状に形成した。
【選択図】 図3
【解決手段】 撮像光学系の手ぶれ補正装置は、撮像光学系の手ぶれ量を検出する角速度センサ10と、撮影レンズ9の光路中に配置された偏光板11と、互いに対向する一対の透明電極1・2と一対の透明電極1・2により挟持された液晶16とを有して被写体光6を偏向させることにより撮影レンズ9への被写体光6の入射角を調節する液晶プリズムアレイ4と、角速度センサ10により得られた手ぶれ量に応じた駆動電圧を透明電極1・2に印加する液晶ドライバ17とを備え、透明電極2の内面を断面鋸歯状に形成した。
【選択図】 図3
Description
本発明は撮像光学系の手振れ補正装置に関し、特に光学的異方性媒体、例えば液晶セルの複屈折を利用し、光線の傾きを電気的に変化させてカメラの手振れによる像の劣化を補正する撮像光学系の手振れ補正装置に関する。
従来、カメラの撮影時に発生する手振れによる画像の劣化を防止する装置が種々提案されている。これらの装置は、手振れ振動を検出するために、光学的な補正を施したり、機械的な振動センサを用いて手振れを補正している。
例えば、前後に配置した2枚の板ガラスの間に高屈折率液体を封入し、特殊フィルムで伸縮自在にした蛇腹部で構成されたバリアングルプリズムが開発されており、このバリアングルプリズムを撮影レンズの前に配置して、振れを防止する技術も知られている。このバリアングルプリズムは、可動部材を介して屈折率を可変にしているため、装置が大型化してしまうことや、屈折率変化の応答の遅れが比較的大きいことなどの課題があった。
この課題を解決するため、機械的補正機構が不要なカメラの手振れ補正装置が提案されている。この手振れ補正装置は、二枚の透明電極間に液晶等の光学的異方性媒体を挟持したプリズム型の電気的偏向手段により、カメラの手振れを補正する(例えば特許文献1及び特許文献2を参照)。
図11は、従来の手振れ補正装置を搭載したカメラ70の構成を模式的に示す斜視図である。カメラ70の本体31には撮影レンズ9が装着される。この撮影レンズ9の光軸方向をZ軸とし、このZ軸を通りZ軸と直交する左右方向をX軸とし、Z軸を通り直交する上下方向をY軸とする。また、上記各軸回りの回転角成分をθZ(図示せず)、θX、θYとする。ぶれ検出のための手段として適用された角速度センサ10・10Aは、それぞれ回転角θX・θYを検出する。この回転角θXはY軸とZ軸とにより形成されるY−Z平面における像の移動に対応し、回転角θYはX軸とZ軸とで形成されるX−Z平面における像の移動に対応する。撮影レンズ9の前側には、X軸回りの手ぶれ及びY軸回りの手ぶれをそれぞれ補正するための液晶プリズム96・97が設けられる。
図12は、図11のカメラ70の本体31が回転角θXだけぶれた場合の像のY−Z平面上での移動状態を示した図である。カメラ70の本体31が回転角θXだけぶれると、撮影レンズ9は位置92から位置93まで原点94の回りに回転移動する。このため、このぶれを補正しない状態では、原点94上の被写体の像は、回転角θX傾いた結像面C−D上の位置95に移動する。
ここで上記撮影レンズ9の焦点距離をfとし、その焦点から被写体までの距離をL1とし、焦点から像位置までの距離をL2とし、また、像位置の移動量をΔXとすると、上記像の移動量ΔXは(数1)の関係式のように表される。ここで、βは撮影倍率である。
上記数1の関係式に於ける値の焦点距離fは、撮影レンズ情報として得ることができ、撮影倍率βを与える距離L1は図示されない測距装置からのAF(オートフォーカス)情報から得ることができる。また、値θXは、ぶれ検出手段としての角速度センサ10により検出することができるので、実質的に移動量ΔXが求められる。同様にして、カメラ70の本体31が回転角θYだけ振れた場合の像のX−Z平面上で移動量ΔYは、(数2)の関係式のようにして求めることができる。
このようなX軸回り及びY軸回りの手ぶれを相殺する方向に撮影レンズ9への入射光線の傾きをそれぞれ調節する液晶プリズム96・97を設けることにより、手振れを補正することができる。
図13は、従来のカメラ70の構成を模式的に示すブロック図である。CPU20には、レリーズスイッチ21と、シャッタ先幕制御用マグネット22と、シャッタ後幕制御用マグネット23と、フィルム感度SV、シャッタスピードTV、絞り値AV等の情報入力部24とが、それぞれ接続されている。角速度センサ10・10A及び測光回路25は、アナログ入力選択回路26に接続されている。さらに、このアナログ入力選択回路26は、A/D変換回路27を介して上記CPU20に接続されている。
この他、上記CPU20には、フィルム巻上げ、巻戻しをするためのモータ28の駆動を制御するモータ駆動回路29と、フィルム速度、シャッタスピード等の露出情報を表示するための表示部30とが接続されている。また、図11及び図12を参照して説明したように、X軸回りの手ぶれを相殺する方向に撮影レンズ9への入射光線の傾きを調節する液晶プリズム96と、Y軸回りの手ぶれを相殺する方向に撮影レンズ9への入射光線の傾きを調節する液晶プリズム97とが設けられ、この液晶プリズム96を駆動するための液晶ドライバ17と、液晶プリズム97を駆動するための液晶ドライバ18とがCPU20に接続されている。
図14は、液晶プリズム96の構成を示す斜視図である。液晶98は、所定角度をもって傾けて対向配置した2枚の板状の透明電極81・82及びスペーサ83・84により囲まれて、断面楔型状に形成される。透明電極81・82に電圧を印加するための電極端子85が設けられる。
液晶プリズム97の構成は、液晶プリズム96の構成と同一であるため、その説明は省略する。
図15は、頂角α、屈折率nを有する楔形プリズムの入射光線のふれ角δの状態を表した図である。楔型プリズムに入射した光線は、楔型プリズムにより偏向されて出射される。ここで、楔型プリズムは、入射光線に対して射出光線に偏角δを与えるが、この偏角δは、図15に示すように楔型プリズムの頂角α、楔型プリズムの屈折率nとすると、(数3)の関係で表すことができる。
このように構成されたカメラ70においては、角速度センサ10が検出したカメラ70の手ぶれ量に基づいて、液晶ドライバ17が液晶プリズム96の透明電極81・82に電圧を印加すると、液晶98の屈折率nが変化して液晶プリズム96からの射出光線の偏角δが変化する。このため、撮影レンズ9への入射光線の傾きを、X軸回りの手ぶれを相殺する方向に調節することができる。Y軸回りの手ぶれについても、角速度センサ10A、液晶ドライバ18及び液晶プリズム97により、同様にして調節することができる。
特許第3154839号明細書(平成6年5月27日公開)
特開平3−107931号公報(平成3年(1991年)5月8日公開)
しかしながら、上記従来の構成では、液晶プリズム96の液晶98が断面楔型状であるため、プリズムの頂角側(スペーサ83側)から底辺側(スペーサ84側)に至るに従って液晶98の幅が広くなる。このため、液晶プリズム素子全体の幅が広がってサイズが大きくなり、手ぶれ補正装置のサイズ及び重量が大きくなるという問題がある。
また、液晶98の幅が、このように広くなると、透明電極81・82間の電極間距離が、プリズムの頂角側から底辺側に至るに従って大きくなる。このため、液晶の配向変化における電極間距離と臨界電圧、及び、応答速度の関係により、より大きな印加電圧が必要になるとともに、液晶98の屈折率をプリズムの頂角側から底辺側に渡って均一に制御することが困難になるという問題が生じる。
以下、液晶の配向変化における電極間距離dと臨界電圧Vth、及び、応答時間の関係を説明する。液晶が配向変化を起こす臨界電界(Eth)と臨界電圧(Vth)との関係を(数4)に示す。
ここで、
Vth;臨界電圧、
d;電極間距離、
Eth;臨界電界、
Ki;液晶の弾性定数、
ε0;真空の誘電率、
Δε;液晶分子の誘電異方性である。
Vth;臨界電圧、
d;電極間距離、
Eth;臨界電界、
Ki;液晶の弾性定数、
ε0;真空の誘電率、
Δε;液晶分子の誘電異方性である。
また、電界印加によるネマチック液晶の配向変化における応答時間の関係式を(数5)、(数6)に示す。
ここで、
τr;電界印加によるネマチック液晶の立ち上がり応答時間であり、通常、光の透過量が初期状態の10%になった時から90%に増大した時までの時間である。
τd;電界印加によるネマチック液晶の立ち下り応答時間であり、通常、光の透過量が初期状態の90%になった時から10%に減少した時までの時間である。
τr;電界印加によるネマチック液晶の立ち上がり応答時間であり、通常、光の透過量が初期状態の10%になった時から90%に増大した時までの時間である。
τd;電界印加によるネマチック液晶の立ち下り応答時間であり、通常、光の透過量が初期状態の90%になった時から10%に減少した時までの時間である。
また、
d;電極間距離、
ηi;粘性率、
ε0;真空の誘電率、
Δε;液晶分子の誘電異方性、
V;印加電圧、
Ki;液晶の弾性定数である。
d;電極間距離、
ηi;粘性率、
ε0;真空の誘電率、
Δε;液晶分子の誘電異方性、
V;印加電圧、
Ki;液晶の弾性定数である。
上記(数4)〜(数6)の関係式に示すように、電極間距離dは、臨界電圧Vthの大きさ、及び、配向変化の立ち上がり応答時間τrと立ち下がり応答時間τdとの速さに大きく影響する。
つまり、(数4)に示すように、液晶の配向変化に必要な臨界電圧Vthは、電極間距離dに比例して大きくなる。即ち、液晶を楔型に構成すると、プリズムの頂角側から底辺側に至るに従って大きな印加電圧を必要とする。このため、印加電圧が大きくなり消費電力が増大するという問題が生じる。また、液晶の屈折率をプリズムの頂角側から底辺側に渡って一様に制御することが困難であるという問題が生じる。
複数種類の電極間距離に対応させた複数の電極を設ければ、プリズムの頂角側から底辺側に渡って液晶の配向を一様に制御できるが、印加電圧の制御が複雑化するという課題が生じる。
また、(数5)及び(数6)に示すように、液晶の配向変化の立ち上がり応答時間τr及び立ち下がり応答時間τdは、電極間距離dの二乗に比例して長くなり、プリズムの頂角側から底辺側に至るに従って、配向変化するために多くの時間を必要とする。即ち、プリズムの頂角側から底辺側に至るに従って、手ぶれ補正の応答速度が低下するという問題が生じる。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、省スペース化及び軽量化され、消費電力が低減されて応答速度が向上した撮像光学系の手ぶれ補正装置を提供することにある。
本発明の撮像光学系の手ぶれ補正装置は、上記課題を解決するために、撮像光学系の手ぶれ量を検出する手ぶれ検出手段と、撮影レンズの光路中に配置された偏光フィルタと、互いに対向する一対の透明電極と前記一対の透明電極により挟持された光学的異方性媒体とを有して被写体光を偏向させることにより前記撮影レンズへの前記被写体光の入射角を調節する電気的偏向手段と、前記手ぶれ検出手段により得られた手ぶれ量に応じた駆動電圧を前記透明電極に印加する駆動電圧印加手段とを備え、前記透明電極の一方の内面を断面鋸歯状に形成したことを特徴とする。
上記の構成によれば、被写体光を偏向させて撮影レンズへの入射角を調節するための光学的異方性媒体を挟持する透明電極の一方の内面が断面鋸歯状に形成される。このため、従来のプリズム型の光学的異方性媒体の構成よりも光学的異方性媒体の幅を狭くすることができる。すなわち、プリズムの頂角側から底辺側に至るに従って幅が単調に増大するプリズム型の光学的異方性媒体の断面を、鋸歯状に形成することにより、その幅が増大と減少とを繰り返す形状に構成することができる。このため、電気的偏向手段全体の幅を狭めて薄型化することができ、手ぶれ補正装置の省スペース化及び軽量化が可能になる。
また、光学的異方性媒体の幅を狭くすることができるため、透明電極間の距離が短くなる。このため、透明電極への印加電圧が小さくて済む。従って、消費電力を低減することができる。
さらに、透明電極の一方の内面を断面鋸歯状に形成したので、光学的異方性媒体の断面が鋸歯状に形成されて、その幅が増大と減少とを繰り返す形状に構成される。よって、プリズムの頂角側から底辺側に至るに従って幅が単調に増大するプリズム型の光学的異方性媒体による従来の構成よりも、透明電極間の距離を一様に構成できる。このため、光学的異方性媒体の屈折率を均一に制御することができる。
さらに、透明電極間の距離が短くなるので、光学的異方性媒体の屈折率変化の応答速度を向上させることができる。
また、本発明の撮像光学系の手ぶれ補正装置では、前記一対の透明電極は、板状に形成されて互いに平行に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、電気的偏向手段全体の幅を、より一層狭めて薄型化することができ、手ぶれ補正装置のより一層の省スペース化及び軽量化が可能になる。
また、本発明の撮像光学系の手ぶれ補正装置では、前記透明電極の一方の内面における断面鋸歯状の形成面は、前記透明電極の他方に対して傾斜する傾斜面と、前記透明電極の他方に対して略垂直な垂直面とを有することが好ましい。
この構成によれば、被写体光を効率的に一様な方向に偏向させることができる。
本発明の他の撮像光学系の手ぶれ補正装置は、上記課題を解決するために、撮像光学系の手ぶれ量を検出する手ぶれ検出手段と、互いに対向する一対の第1透明電極と前記一対の第1透明電極により挟持された第1光学的異方性媒体とを有して被写体光を偏向させる第1電気的偏向手段と、互いに対向する一対の第2透明電極と前記一対の第2透明電極により挟持された第2光学的異方性媒体とを有して、前記第1電気的偏向手段により偏向された被写体光をさらに偏向させる第2電気的偏向手段と、前記手ぶれ検出手段により得られた手ぶれ量に応じた駆動電圧を前記第1透明電極及び第2透明電極に印加する駆動電圧印加手段とを備え、前記撮像光学系の光軸方向から見て、前記第2光学的異方性媒体の光軸が前記第1光学的異方性媒体の光軸に直交するように前記第2光学的異方性媒体を配置ており、前記一対の第1透明電極の内面の一方と前記一対の第2透明電極の内面の一方との少なくとも1つを、断面鋸歯状に形成したことを特徴とする。
上記の構成によれば、第1光学的異方性媒体を挟持する一対の第1透明電極の一方と、第2光学的異方性媒体を挟持する一対の第2透明電極の一方との少なくとも1つの内面が、断面鋸歯状に形成される。このため、従来のプリズム型の光学的異方性媒体の構成よりも第1光学的異方性媒体及び/または第2光学的異方性媒体の幅を狭くすることができる。すなわち、プリズムの頂角側から底辺側に至るに従って幅が単調に増大するプリズム型の光学的異方性媒体の断面を、鋸歯状に形成することにより、その幅が増大と減少とを繰り返す形状に構成することができる。このため、第1電気的偏向手段及び/または第2電気的偏向手段全体の幅を狭めて薄型化することができ、手ぶれ補正装置の省スペース化及び軽量化が可能になる。
また、第1光学的異方性媒体及び/または第2光学的異方性媒体の幅を狭くすることができるため、透明電極間の距離が短くなる。このため、透明電極への印加電圧が小さくて済む。従って、消費電力を低減することができる。
さらに、前記一対の第1透明電極の一方と前記一対の第2透明電極の一方との少なくとも1つの内面を断面鋸歯状に形成したので、第1及び/または第2光学的異方性媒体の断面が鋸歯状に形成されて、その幅が増大と減少とを繰り返す形状に構成される。よって、プリズムの頂角側から底辺側に至るに従って幅が単調に増大するプリズム型の光学的異方性媒体による従来の構成よりも、第1及び/または第2透明電極間の距離を一様に構成できる。このため、第1及び/または第2光学的異方性媒体の屈折率を均一に制御することができる。
さらに、透明電極間の距離が短くなるので、第1及び/または第2光学的異方性媒体の屈折率変化の応答速度を向上させることができる。
また、本発明の他の撮像光学系の手ぶれ補正装置では、前記一対の第1透明電極と前記一対の第2透明電極との少なくとも一方は、板状に形成されて互いに平行に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、第1及び/または第2電気的偏向手段全体の幅を、より一層狭めて薄型化することができ、手ぶれ補正装置のより一層の省スペース化及び軽量化が可能になる。
また、本発明の他の撮像光学系の手ぶれ補正装置では、前記一対の第1透明電極の一方と前記一対の第2透明電極の一方との少なくとも1つの断面鋸歯状の形成面は、互いに対向する前記第1透明電極または第2透明電極に対して傾斜する傾斜面と、互いに対向する前記第1透明電極または第2透明電極に対して略垂直な垂直面とを有することが好ましい。
この構成によれば、被写体光を効率的に一様な方向に偏向させることができる。
本発明の撮像光学系の手ぶれ補正装置によれば、光学的異方性媒体を挟持する透明電極の一方の内面を断面鋸歯状に形成したので、省スペース化及び軽量化され、消費電力が低減されて応答速度が向上した撮像光学系の手ぶれ補正装置を提供するという効果を奏する。
本発明の他の撮像光学系の手ぶれ補正装置によれば、第1光学的異方性媒体を挟持する第1透明電極の一方と第2光学的異方性媒体を挟持する第2透明電極の一方との少なくとも1つの内面を、断面鋸歯状に形成したので、省スペース化及び軽量化され、消費電力が低減されて応答速度が向上した撮像光学系の手ぶれ補正装置を提供するという効果を奏する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1のカメラ150の構成を模式的に示す斜視図である。背景技術及び発明が解決しようとする課題の欄において前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付しており、それらの詳細な説明は省略することがある。後述する図面も同様である。
図1は、実施の形態1のカメラ150の構成を模式的に示す斜視図である。背景技術及び発明が解決しようとする課題の欄において前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付しており、それらの詳細な説明は省略することがある。後述する図面も同様である。
カメラ150の本体31には撮影レンズ9が装着される。この撮影レンズ9の光軸方向をZ軸とし、このZ軸を通りZ軸と直交する左右方向をX軸とし、Z軸を通り直交する上下方向をY軸とする。また、上記各軸回りの回転角成分をθZ(図示せず)、θX、θYとする。ぶれ検出のための手段として適用された角速度センサ10・10Aは、それぞれ回転角θX・θYを検出する。この回転角θXはY軸とZ軸とにより形成されるY−Z平面における像の移動に対応し、回転角θYはX軸とZ軸とで形成されるX−Z平面における像の移動に対応する。
実施の形態1においては、撮影レンズ9の前側に、X軸回りの手ぶれ及びY軸回りの手ぶれをそれぞれ補正するための2個の液晶プリズムアレイ4を設けた。
図2はカメラ150の構成を模式的に示すブロック図である。CPU20には、レリーズスイッチ21と、シャッタ先幕制御用マグネット22と、シャッタ後幕制御用マグネット23と、フィルム感度SV、シャッタスピードTV、絞り値AV等の情報入力部24とが、それぞれ接続されている。角速度センサ10・10A及び測光回路25は、アナログ入力選択回路26に接続されている。さらに、このアナログ入力選択回路26は、A/D変換回路27を介して上記CPU20に接続されている。
この他、上記CPU20には、フィルム巻上げ、巻戻しをするためのモータ28の駆動を制御するモータ駆動回路29と、フィルム速度、シャッタスピード等の露出情報を表示するための表示部30とが接続されている。
また、X軸回りの手ぶれを相殺する方向に撮影レンズ9への入射光線の傾きを調節する液晶プリズムアレイ4を駆動するための液晶ドライバ17と、Y軸回りの手ぶれを相殺する方向に撮影レンズ9への入射光線の傾きを調節する液晶プリズムアレイ4を駆動するための液晶ドライバ18とがCPU20に接続されている。
図3は、カメラ150に設けられた撮像光学系の手ぶれ補正装置を説明するための模式図である。X軸回りの手ぶれを相殺するための液晶プリズムアレイ4が、撮影レンズ9の前側に配置されている。説明を簡潔にするために、Y軸回りの手ぶれを相殺するための液晶プリズムアレイ4は、省略して示している。液晶プリズムアレイ4の前側には偏光板11が配置されている。撮影レンズ9の光路上の後方には、受光素子32が配置されている。また、図示しない主ミラー、及び、スクリーン、ペンタプリズム、接眼レンズ等が配置されている。
図4(a)は液晶プリズムアレイ4の構成を示す斜視図であり、図4(b)は液晶プリズムアレイ4の透明電極2の内面に形成されたブレーズ形状を示す一部拡大断面図である。液晶プリズムアレイ4は、液晶16を利用したプリズムアレイであり、本発明の電気的偏向手段として機能する。液晶プリズムアレイ4には、互いに対向して平行に配置された一対の板状の透明電極1・2を備える。透明電極1・2の間には、スペーサ33・34が設けられ、透明電極1・2並びにスペーサ33・34によって液晶16が挟持される。
透明電極1は、板状ガラス基板35を有する。透明電極2は、板状のガラス基板36を有する。このガラス基板36の液晶16側の内面は、断面鋸歯状(ブレーズ形状)に形成されており、ガラス基板35に対して傾斜する傾斜面14と、ガラス基板35に対して略垂直な垂直面15とによりブレーズ形状が形成されている。
ブレーズ形状のピッチpを小さくするほど、高さhも小さくなって液晶プリズムアレイ4を薄くすることができ、電圧印加に対する液晶16の反応性が向上するため好ましい。一方、ブレーズ形状のピッチpを可視光では400nm〜800nm程度である入射光の波長よりも小さくすると、液晶プリズムアレイ4がプリズムとして機能しなくなると考えられる。従って、ブレーズ形状のピッチpは400nm以上であることが好ましい。
ピッチpは、最低2つのブレーズをガラス基板36が有しなければ、従来の楔型プリズムと同じ構成になってしまうという観点から、ガラス基板36の高さ方向(垂直面15に対して垂直な方向)の寸法の1/2よりも小さくすることが好ましい。
頂角γについては、手振れ補正に必要な偏角δ=±0.3°(一般的な手振れ角は±0.25°程度である)を得る観点から、本願明細書において前述した、
δ≒(n−1)α …(数3)、
に基づいて偏角δを算出すると、屈折率n=1.5とした場合、偏角δ=0.3°を(数3)に代入すると、α≒1.2°となる。従って、ブレーズが直角三角形であるとした場合、頂角γは、γ=90°−α=88.8°となり、この得られた角度γが上限となる。すなわち、ブレーズ形状の頂角γは、88.8°以下であることが好ましい。頂角γは、小さくするほど偏角量が増加して、補正量のマージンが得られるので好ましい。頂角γの下限は、ガラス基板36を加工するガラス加工の精度によって定まる。
δ≒(n−1)α …(数3)、
に基づいて偏角δを算出すると、屈折率n=1.5とした場合、偏角δ=0.3°を(数3)に代入すると、α≒1.2°となる。従って、ブレーズが直角三角形であるとした場合、頂角γは、γ=90°−α=88.8°となり、この得られた角度γが上限となる。すなわち、ブレーズ形状の頂角γは、88.8°以下であることが好ましい。頂角γは、小さくするほど偏角量が増加して、補正量のマージンが得られるので好ましい。頂角γの下限は、ガラス基板36を加工するガラス加工の精度によって定まる。
ガラス基板35・36は、無アルカリの白板フロートにより構成される。ガラス基板35・36の表面にはSiO2等の無機酸化物がコーティングされている。ガラス基板35・36の液晶16側の内面には、ガラス基板35・36を300〜500℃程度に加熱してコーティングした酸化インジウム等の透明導電膜37・38がそれぞれ形成されている。
透明導電膜37・38の上には、液晶16の特定配向状態を実現するための配向膜が形成されている。水平配向膜としては、SiO2等の無機薄膜やPUA等の有機配向膜を形成後、ラビング処理する方法が一般的である。垂直配向膜としては、ガラス基板の透明導電膜37・38上にポリシロキサン等の有機配向膜を被着して液晶分子を垂直方向に配向させる方法が一般的である。液晶プリズムアレイ4には、透明電極1・2に電圧を印加するための電極端子39が設けられている。
液晶プリズムアレイ4に使用される液晶16は、例えばHBBA(p−hexoxybenzylidene−p−n−butylaniline)に代表されるシッフ塩基系の液晶を用いたネマチック液晶により構成される。
このように構成された手ぶれ補正装置の動作を説明する。図5(a)は電圧無印加時における液晶プリズムアレイ4の液晶16の配向方向を示した一部拡大断面図であり、図5(b)は電圧印加時における液晶プリズムアレイ4の液晶16の配向方向を示した一部拡大断面図である。
光学的異方性媒体である液晶は、光学的1軸性結晶と同様な屈折率異方性に基づく複屈折性を示す。液晶においては、液晶分子の配列方向が光軸に相当する。液晶への入射光線は、液晶分子の配列方向に垂直な方向に偏向する常光線と、液晶分子の配列方向に平行な方向に偏向する異常光線とを含む。液晶分子の傾き角θが0度の場合、常光線は常屈折率noを受け、異常光線は異常屈折率neを受ける。常光線が受ける屈折率は、液晶分子の傾き角θが変化しても、常屈折率noで変化しないが、異常光線が受ける屈折率nexは、液晶分子の傾き角θが変化すると、no≦nex≦neの範囲で変化する。上記液晶分子の傾き角θは、液晶に印加する電圧により制御できるので、液晶印加電圧を変化させて異常光線の屈折率nexを制御することにより、液晶プリズムアレイ4から出射する光線の傾きを制御することができる。
前述したHBBAに代表されるシッフ塩基系の液晶を用いたネマチック液晶化合物は、常屈折率noと異常屈折率neとの差を表す複屈折率Δnが0.24と比較的大きいので、異常光線が受ける屈折率nexの変化し得る範囲が広くなり、液晶プリズムアレイ4から出射する光線の傾きを容易に制御できるため好ましい。
図5(a)を参照すると、電圧が印加されておらず、液晶16の配向方向40が透明電極1に平行な方向になっている液晶プリズムアレイ4に光を入射させると、常光線及び異常光線共に、常屈折率noを受ける。
一方、図5(b)に示すように、透明電極1・2に液晶ドライバ17から電圧を印加すると、電圧の大きさに応じて液晶16の配向方向40の傾き角θが変化する。このため、常光線に対する屈折率は変化しないが、異常光線に対する屈折率nexは印加電圧の大きさに応じて、no≦nex≦neの範囲で変化することになる。
図6(a)は液晶プリズムアレイ4に入射して屈折する被写体光6を説明するための模式図であり、図6(b)は偏光板11を介して液晶プリズムアレイ4に入射して屈折する被写体光6を説明するための模式図である。
透明電極1・2に電圧が印加された液晶プリズムアレイ4に被写体光6が入射すると、被写体光6は、常屈折率noを受けた常光線8と屈折率nexを受けた異常光線7とに分離して撮影レンズ9(図3)に入射する。このため、常光線8と異常光線7とにより像が2重に結像してしまう。
そこで、図6(b)に示すように、常光線8をカットして異常光線7を通す偏光板11を液晶プリズムアレイ4の前に配置する。偏光板11が常光線8をカットして異常光線7を通すので、異常光線7に対応する1つの像のみを結像することができる。
図7は、液晶プリズムアレイの他の構成を示す斜視図である。図3〜図6において、液晶プリズムアレイ4を設けてX軸回りの手ぶれを補正するための構成を説明したが、図7に示すように、液晶プリズムアレイ4の液晶16の配向方向と同じ方向に液晶を配向させて、且つ、光軸方向から見て、その鋸歯の頂角の稜線が、液晶プリズムアレイ4の鋸歯の頂角の稜線と直交する液晶プリズムアレイ4aを、液晶プリズムアレイ4と撮影レンズ9(図3)との間(または液晶プリズムアレイ4と偏光板11(図3)との間)に追加して配置すると、液晶プリズムアレイ4aによりY軸回りの手ぶれを補正することができ、簡単に2軸方向の手ぶれを補正することが可能になる。偏向板を通って入射する入射光はある一定の方向の偏向成分のみを有する。この偏向成分を有する入射光に対して、異常屈折率により手振れによる移動量を補正する。X軸に垂直なY軸回りの手ぶれを補正するためには、その液晶16の配向方向が液晶プリズムアレイ4の液晶16の配向方向と同じ方向であり、その鋸歯の頂角の稜線が、X軸回りの手ぶれを補正する液晶プリズムアレイ4の鋸歯の頂角の稜線に直交する液晶プリズムアレイ4aを設ければよい。
図8は、手ぶれ補正装置の動作を示すフローチャートであり、レリーズ以後における手ぶれの補正の動作を説明する。尚、ここでは主に手ぶれ補正に関する動作を説明するものとし、露出制御等の細部については省略する。
先ず、レリーズされたか否かが判定される(S1)。ここで、レリーズされると、図2に示されるアナログ入力選択回路26により、角速度センサ10・10Aが選択されて入力される(S2)。そして、A/D変換回路27によりA/D変換された後(S3)、X軸回りの角速度WXとY軸回りの角速度WYとにより、手ぶれによるX軸回りの手ぶれ角θX(i)とY軸回りの手ぶれ角θY(i)とが、下記の(式1)及び(式2)の関係式によって求められる(S4)。
θX(i+1)=θX(i)+WX …(式1)、
θY(i+1)=θY(i)+WY …(式2)、
次に、上記(式1)及び(式2)の関係式によって求められた手ぶれ角θX・θYを補正するために必要な2個の液晶プリズムアレイ4の偏向角を得るための2個の液晶プリズムアレイ4への印加電圧がそれぞれ演算される(S5)。
θY(i+1)=θY(i)+WY …(式2)、
次に、上記(式1)及び(式2)の関係式によって求められた手ぶれ角θX・θYを補正するために必要な2個の液晶プリズムアレイ4の偏向角を得るための2個の液晶プリズムアレイ4への印加電圧がそれぞれ演算される(S5)。
次いで、カメラの手ぶれを相殺すべく、液晶ドライバ17によりX軸用の液晶プリズムアレイ4に電圧を印加して液晶を駆動し、液晶ドライバ18によりY軸用の液晶プリズムアレイ4に電圧を印加して液晶を駆動する(S6)。
すると、X軸用の液晶プリズムアレイ4及びY軸用の液晶プリズムアレイ4により偏向された被写体光は、撮影レンズ9を通り、受光素子32に到達する。または、図示しない主ミラー、スクリーン、ペンタプリズム及び接眼レンズを介して撮影者の目で観察される。
その後、露出が終了されたか否かが判定され(S7)、露出が終了されれば(S7においてYES)、上述した補正動作が終了する。露出が終了しなければ(S7においてNO)、ステップS2に戻る。
尚、上記(式1)及び(式2)の関係式で求められる手振れ角θX・θYから液晶印加電圧を求めるには、式を用いてもよいし、予めROM(リードオンリメモリ)にストアされたテーブル表を参照して求めてよい。
このように、ブレーズ形状に内面を形成した透明電極2と平板の透明電極1とにより液晶16を挟持させたプリズムアレイ型の電気的偏向手段(液晶プリズムアレイ4)を用いると、液晶16の幅を狭くすることができる。このため、電気的偏向手段全体の幅を狭めて薄型化することができ、手ぶれ補正装置の省スペース化及び軽量化が可能になる。
また、液晶16の幅を狭くすることができるため、透明電極1・2間の距離が短くなる。このため、光線の進行方向を補正する電気的偏向手段の液晶の屈折率を制御するための透明電極1・2への印加電圧が小さくて済む。従って、消費電力を低減することができる。
また、透明電極2の内面をブレーズ形状に形成したので、透明電極1・2間の距離を略一様に構成できる。このため、液晶16の屈折率を均一に制御することができる。
また、ブレーズ形状に形成することにより、液晶分子を挟持する透明電極1・2間の間隔を狭く維持することができ、透明電極1・2の面内での電極間隔を比較的均一に構成することが可能となるため、液晶分子の均一な配向制御が容易に行え、これによって、従来の楔型プリズムと比較した場合、本実施の形態のブレーズ型の構成の方が単位面積当たりの光量を均一化する効果を比較的容易に得ることができる。
一方、特許文献1(特許第3154839号明細書)の楔型の構成では、電極間隔dは頂角から底辺側(頂角と対向する平面側)へと漸次増加するため、頂角から底辺側に至るまでの位置に応じて液晶分子の配向制御(配向角度)にバラツキが生じ、その結果、頂角から底辺側に至るまでの位置に応じて、撮像画像光の手振れの補正方向、及び撮像画像光の光量にバラツキが生じてしまう。また、上記特許文献1の実施例2では、電極をいくつかの領域に分割し、各領域ごとに、対応した印加電圧を制御する方法が記載されており、この方法を用いると、液晶配向の均一な制御は可能となるが、各印加電圧の制御が必要となり、また、これを制御するシステムが必要となって構成が複雑になる。
また、透明電極1・2間の距離が短くなるので、液晶16の屈折率変化の応答速度を向上させて、液晶16の屈折率を素早く制御することができる。
なお、液晶プリズムアレイ4の前側に偏光板11を配置した例を示したが、偏光板11は、液晶プリズムアレイ4と撮影レンズ9との間に配置してもよい。
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2の撮像光学系の手ぶれ補正装置を説明するための模式図である。実施の形態2では、実施の形態1において前述した液晶プリズムアレイ4の後側に液晶プリズムアレイ5を直列に配置して液晶プリズムアレイユニット19を構成する。液晶プリズムアレイユニット19の後方に撮影レンズ9が配置され、撮影レンズ9の後方に受光素子32が配置されている。
図9は、実施の形態2の撮像光学系の手ぶれ補正装置を説明するための模式図である。実施の形態2では、実施の形態1において前述した液晶プリズムアレイ4の後側に液晶プリズムアレイ5を直列に配置して液晶プリズムアレイユニット19を構成する。液晶プリズムアレイユニット19の後方に撮影レンズ9が配置され、撮影レンズ9の後方に受光素子32が配置されている。
液晶プリズムアレイ5は、液晶分子の配列方向を除いて、液晶プリズムアレイ4と同一の構成を有している。液晶プリズムアレイ4の液晶分子の配列方向(光軸)は図9において紙面に平行な方向であり、液晶プリズムアレイ5の液晶分子の配列方向(光軸)は紙面に垂直な方向である。このように、撮影レンズ9の光軸方向から見て、液晶プリズムアレイ5の液晶分子の配列方向が液晶プリズムアレイ4の液晶分子の配列方向に直交するように液晶プリズムアレイ5を構成している。
図10(a)(b)は液晶プリズムアレイユニット19に入射する被写体光の偏向状態を説明するための模式図である。カメラの手ぶれを相殺すべく液晶プリズムアレイ4・5に電圧を印加すると、図10(a)に示すように、紙面に平行に偏向された入射光は、液晶プリズムアレイ4により屈折率nex(no<nex≦ne、neは異常屈折率)を受ける。そして、液晶プリズムアレイ5により常屈折率noを受ける。
また、図10(b)に示すように、紙面に垂直な方向に偏向された入射光は、液晶プリズムアレイ4では常屈折率noを受ける。そして、液晶プリズムアレイ5では屈折率nex(no<nex≦ne)を受ける。
液晶プリズムアレイ4・5の屈折率を可変にするために液晶プリズムアレイ4・5にそれぞれ印加する電圧は、液晶プリズムアレイ4の光軸(液晶分子の配列方向)と液晶プリズムアレイ5の光軸(液晶分子の配列方向)とが、互いに直交する平面上において常に同一の角度で変化するように制御する。
紙面に平行に偏向された図10(a)に示す入射光は、液晶プリズムアレイユニット19により、全体として(屈折率nex)×(常屈折率no)の屈折率を受け、紙面に垂直な方向に偏向された図10(b)に示す入射光は、液晶プリズムアレイユニット19により、全体として(常屈折率no)×(屈折率nex)の屈折率を受ける。従って、紙面に平行に偏向された入射光と紙面に垂直な方向に偏向された入射光とは、液晶プリズムアレイユニット19から全体として同一の屈折率を受ける。このため、液晶プリズムアレイユニット19に入射する被写体光は、実施の形態1の図6(a)において説明したように常光線と異常光線とに分離することがない。従って、このような構成にすると、偏光板が不要になる。偏光板を用いないので、実施の形態1の構成よりも高い透過率が得られる。
液晶プリズムアレイ4・5により偏向された被写体光は、撮影レンズ9を通り、受光素子32に到る。または、図示しない主ミラー、スクリーン、ペンタプリズム、接眼レンズを介して、撮影者の目で観察される。
尚、図9〜図10において、液晶プリズムアレイユニット19を設けてX軸回りの手ぶれを補正するための構成を説明したが、図7を参照して前述した構成と同様に、液晶プリズムアレイ4の液晶16の配向方向と同じ方向に液晶を配向させて、且つ、光軸方向から見て、その鋸歯の頂角の稜線が、液晶プリズムアレイ4の鋸歯の頂角の稜線と直交する液晶プリズムアレイと、液晶プリズムアレイ5の液晶16Aの配向方向と同じ方向に液晶を配向させて、且つ、光軸方向から見て、その鋸歯の頂角の稜線が、液晶プリズムアレイ5の鋸歯の頂角の稜線と直交する液晶プリズムアレイとを追加して設けることにより、Y軸回りの手ぶれも補正することができ、簡単に2軸方向の手ぶれを補正することが可能になる。
このように、偏光フィルタに代えて液晶プリズムアレイ5を設け、液晶プリズムアレイ5の光軸と液晶プリズムアレイ4の光軸とが、互いに直交する平面上において変化するように液晶プリズムアレイ5を構成することにより、偏光板が不要になるので、実施の形態1の構成よりも高い透過率を得ることができる。
なお、上述の実施の形態1・2の説明では、光学的異方性媒体がHBBAに代表されるシッフ塩基系の液晶を用いたネマチック液晶の例を説明したが、これに限るものではない。光学的異方性媒体は、ネマチック液晶以外の分子配向を持つ液晶であってもよく、例えば、分子群が同じ方向を向き、更に層状に並ぶタイプのスメチック液晶であってもよい。また、分子が一定方向を向くネマチック液晶の特性に加えて、ツイスト(螺旋)構造を有するコレステリック液晶等に対しても本発明を適用することが可能である。
ただし、実施形態1・2のように、光学的異方性媒体がシッフ塩基系の液晶を用いたネマチック液晶の場合は、複屈折率Δnが比較的大きく、異常光線が受ける屈折率nexの変化し得る範囲が広くなり、液晶プリズムアレイから出射する光線の傾きを容易に制御できるので、特に効果が大きい。
また、手ぶれ検出手段が角速度センサである例を説明したが、これに限るものではない。手ぶれ検出手段は、物体に加えられる加速度を感知する加速度センサであってもよい。
また、上述した各実施の形態は、これに限られるものではなく、銀塩カメラ、デジタルカメラ、及び、ビデオカメラ、携帯端末用デジタルカメラ等の撮像光学系にも応用できることはいうまでもない。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、撮像光学系の手振れ補正装置に適用することができ、特に光学的異方性媒体、例えば液晶セルの複屈折を利用し、光線の傾きを電気的に変化させてカメラの手振れによる像の劣化を補正する撮像光学系の手振れ補正装置に適用することができる。具体的には、例えば、銀塩カメラ、デジタルカメラ、及び、ビデオカメラ、携帯端末用デジタルカメラ等の撮像光学系にも適用できる。
2 透明電極(透明電極、第1透明電極、第2透明電極)
4 液晶プリズムアレイ(電気的偏向手段、第1電気的偏向手段)
5 液晶プリズムアレイ(第2電気的偏向手段)
6 被写体光
7 異常光線
8 常光線
9 撮影レンズ
10、10A 角速度センサ(手ぶれ検出手段)
11 偏光板(偏光フィルタ)
14 傾斜面
15 垂直面
16 液晶(光学的異方性媒体、第1光学的異方性媒体、第2光学的異方性媒体)
17、18 液晶ドライバ(駆動電圧印加手段)
4 液晶プリズムアレイ(電気的偏向手段、第1電気的偏向手段)
5 液晶プリズムアレイ(第2電気的偏向手段)
6 被写体光
7 異常光線
8 常光線
9 撮影レンズ
10、10A 角速度センサ(手ぶれ検出手段)
11 偏光板(偏光フィルタ)
14 傾斜面
15 垂直面
16 液晶(光学的異方性媒体、第1光学的異方性媒体、第2光学的異方性媒体)
17、18 液晶ドライバ(駆動電圧印加手段)
Claims (6)
- 撮像光学系の手ぶれ量を検出する手ぶれ検出手段と、
撮影レンズの光路中に配置された偏光フィルタと、
互いに対向する一対の透明電極と前記一対の透明電極により挟持された光学的異方性媒体とを有して被写体光を偏向させることにより前記撮影レンズへの前記被写体光の入射角を調節する電気的偏向手段と、
前記手ぶれ検出手段により得られた手ぶれ量に応じた駆動電圧を前記透明電極に印加する駆動電圧印加手段とを備え、
前記透明電極の一方の内面を断面鋸歯状に形成したことを特徴とする撮像光学系の手ぶれ補正装置。 - 前記一対の透明電極は、板状に形成されて互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項1記載の撮像光学系の手ぶれ補正装置。
- 前記透明電極の一方の内面における断面鋸歯状の形成面は、前記透明電極の他方に対して傾斜する傾斜面と、前記透明電極の他方に対して略垂直な垂直面とを有することを特徴とする請求項2記載の撮像光学系の手ぶれ補正装置。
- 撮像光学系の手ぶれ量を検出する手ぶれ検出手段と、
互いに対向する一対の第1透明電極と前記一対の第1透明電極により挟持された第1光学的異方性媒体とを有して被写体光を偏向させる第1電気的偏向手段と、
互いに対向する一対の第2透明電極と前記一対の第2透明電極により挟持された第2光学的異方性媒体とを有して、前記第1電気的偏向手段により偏向された被写体光をさらに偏向させる第2電気的偏向手段と、
前記手ぶれ検出手段により得られた手ぶれ量に応じた駆動電圧を前記第1透明電極及び第2透明電極に印加する駆動電圧印加手段とを備え、
前記撮像光学系の光軸方向から見て、前記第2光学的異方性媒体の光軸が前記第1光学的異方性媒体の光軸に直交するように前記第2光学的異方性媒体を配置しており、
前記一対の第1透明電極の内面の一方と前記一対の第2透明電極の内面の一方との少なくとも1つを、断面鋸歯状に形成したことを特徴とする撮像光学系の手ぶれ補正装置。 - 前記一対の第1透明電極と前記一対の第2透明電極との少なくとも一方は、板状に形成されて互いに平行に配置されていることを特徴とする請求項4記載の撮像光学系の手ぶれ補正装置。
- 前記一対の第1透明電極の一方と前記一対の第2透明電極の一方との少なくとも1つの断面鋸歯状の形成面は、互いに対向する前記第1透明電極または第2透明電極に対して傾斜する傾斜面と、互いに対向する前記第1透明電極または第2透明電極に対して略垂直な垂直面とを有することを特徴とする請求項5記載の撮像光学系の手ぶれ補正装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005200771A JP2007017801A (ja) | 2005-07-08 | 2005-07-08 | 撮像光学系の手ぶれ補正装置 |
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ID=37755013
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JP2005200771A Pending JP2007017801A (ja) | 2005-07-08 | 2005-07-08 | 撮像光学系の手ぶれ補正装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2157783A1 (en) * | 2007-06-12 | 2010-02-24 | Tokyo Institute of Technology | Eyeball movement controller using principle of vestibulo-ocular reflex |
-
2005
- 2005-07-08 JP JP2005200771A patent/JP2007017801A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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EP2157783A1 (en) * | 2007-06-12 | 2010-02-24 | Tokyo Institute of Technology | Eyeball movement controller using principle of vestibulo-ocular reflex |
EP2157783A4 (en) * | 2007-06-12 | 2010-10-27 | Tokyo Inst Tech | ACORN MOTOR CONTROL BASED ON THE PRINCIPLE OF THE VESTIBULOOK REFLECTIVE |
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