JP2007014427A - 高分子ゲルを用いた疲労低減シート - Google Patents

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Abstract

【課題】適度なクッション性とホールド性を有し、長時間の運転による疲労を軽減し得る輸送用シートを提供する。
【解決手段】シートクッション及び/またはシートバックのメイン部に高分子ゲルシートを有し、シートクッション及び/またはシートバックメインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するシートクッション及び/またはシートバックのサイド部を有する構造を特徴とする輸送用シート。
【選択図】図3

Description

本発明は、自動車等の運転や乗車して、輸送用シートに長時間座ることによる疲労を軽減し得る輸送用シートに関する。この輸送用シートは、適度なホールド性とクッション性を有していることから、自動車用シート、航空旅客機のシート、家具用の椅子、ビジネス用の椅子、チャイルドシートなどの長時間座るシートを利用する産業の分野で使用することが出来る。
従来の自動車用シートには、クッション性を有する発泡ウレタンパッドなどが用いられている。しかしながら、こうした発泡ウレタンパッドでは、反発性が高く、長時間の運転や乗車による疲労が大きいという問題点があった。これは、家庭用の椅子等でも同様であるが、特に自動車などの運転中や乗車中は、立ち上がったり、座席から離れて軽い運動をしたり、横になったりして疲労回復措置がとれず、長時間殆ど同じ姿勢のままで座っていることになり、疲労が大きい。
かかる問題点を解決するために、高分子ゲルシートや低反発ウレタンを自動車用シートクッションメイン部の発泡ウレタンパッドに積層する方法が考えられる。しかしながら、発泡ウレタンパッドに高分子ゲルシートや低反発ウレタンを積層した構成では、自動車を運転又は乗車中には、車両から伝わる振動で、体が前後左右に揺れて、疲労を感じることがある。従って、単純に高分子ゲルシートや低反発ウレタンを積層しただけでは、その疲労感を軽減するような支持性能は得られず、乗員の疲労を軽減させるような輸送用シートとは言えない。
また、支持性能を満足させようとするために、シートクッション及びシートバックのメイン部の両サイドと前面に、メイン部よりも高硬度の発泡ウレタンパッドを配置している。しかしながら、高分子ゲルシートを該メイン部に積層して使用した場合、該シート内の高分子ゲルは圧縮に伴う体積変化が大きく、周囲に変形しようとする。このとき、周囲に高硬度ウレタンパッドがあると、周囲のウレタンパッドの反発力を受け、狙いの体圧分散特性を得ることが出来ない。
そこで、本発明では、体圧分散性が得られ、適度なクッション性とホールド性を有し、長時間座ることによる疲労を軽減することのできる輸送用シートを提供することを目的とする。
検討の結果、シートクッション及び/またはシートバックメイン部に高分子ゲルシートを使用し、着座時に高分子ゲルシート(内のゲル)が横方向に自由に体積変化することで、適度なクッション性が得られ、従来のクッションよりも疲労が軽減されることを見出した。
更に、シートクッション及び/またはシートバックメイン部に高分子ゲルシートを使用し、乗員の支持性能を得るために周囲に(メイン部より)高硬度の発泡ウレタンパッドを配すると、周囲のウレタンパッドの反発力を受け、狙いの体圧分散特性を得ることが出来ない。こうしたことから、本発明者らは、高分子ゲルが動く部分を効率的に吸収できるサイド部構造とすることで、着座時に高分子ゲルシートの体積変化を阻害することなく、常
に狙いの体圧分散性が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、シートクッション及び/またはシートバックメイン部に高分子ゲルシートを有し、シートクッション及び/またはシートバックメインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するシートクッション及び/またはシートバックのメインサイド部を有する構造を特徴とする輸送用シートにより達成することができる。
なお、本明細書中では、シートクッション及び/またはシートバックメイン部を、メイン部とも略記する。同様に、シートクッション及び/またはシートバックメインサイド部を、メインサイド部、またはサイド部とも略記する。
本発明の輸送用シートは、メイン部に高分子ゲルシートを使用し、サイド部方向に高分子ゲルシートが自由に動き、かつ、周囲に支持性能を満足する硬度のサイド部を配しているので、適度なサポート性ないしホールド感とクッション性を発現し、長時間座る時でも疲労を低減させる効果がある。
本発明の輸送用シートは、メイン部に高分子ゲルシートを有し、メインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するサイド部を有する構造を特徴とするものである。
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の輸送用シートの代表的な実施形態の1つである自動車用シートにおける、シートクッション及びシートバック双方のメイン部とサイド部とを表した斜視概略図(イメージ図)である。このうち、図1(A)は、自動車用フロントシートを表す斜視概略図であり、図1(B)は、自動車用リヤシートを表す斜視概略図である。図2は、本発明の自動車用フロントシートのシートクッションにおける、メイン部の表層部の高分子ゲルシートと、サイド部と、該サイド部に設けた高分子ゲルシートが動く部分を吸収できる構造部分(サイド部の周辺部分)と、の位置関係を模式的に表した部分透過した平面概略図(イメージ図)である。
まず、本発明の輸送用シートにおける、メイン部と、サイド部との位置関係、並びにメイン部の表層部の高分子ゲルシートと、サイド部と、サイド部に設けた高分子ゲルシートが動く部分を吸収できる構造部分との位置関係を用いて説明する。
図1、2に示すように、メイン部(図1の丸数字1)は、輸送用シート11のシートクッション13及びシートバック15の中心部分に配置され、着座した乗員(図示せず)にシート11表面の柔らかい感触を与えると同時に、かかる態様のシート11にクッション体としてのばね作用とダンピング作用を持たせることができるように設計されている。そのため、メイン部には、通常、一般的に発泡ウレタン(ポリウレタンフォーム)、低反発ウレタン(低反発ウレタンフォーム)、軸フェルト、ラテックスフォーム等が用いられている。本発明では、適度なサポート性とホールド感を発現し、長時間の運転時でも疲労が低減させるべく、図2、更には後述する図3〜7に示すように、こうした既存のメイン部を上下積層タイプの2層構造とし、上層部(符号B;以下、単にBとする)に高分子ゲルシート32を用いるものである。即ち、本発明のメイン部の断面構成は、図3〜7に示すように、上層部Bに高分子ゲルシート32を有し、下層部(符号C;以下、単にCとする)に発泡ウレタン、低反発ウレタン、軸フェルト、ラテックスフォーム等など、既存のメ
イン部に使われていた部材33を配するものである。なお、本発明では、メイン部を上下積層タイプの3層以上の構造としてもよいが、この際にも、表層部(最上層部)に高分子ゲルシートを用いるようにすればよい。ただし、本発明では、高分子ゲルシート32を上層部ではなく、下層部や中間層部に用いてもよい。この場合には、本発明の効果を十分に発現することができるように適宜調整すればよく、例えば、上層部に用いる部材の硬度や厚さを、高分子ゲルシートと同程度の硬度で比較的薄いものにすれば、十分に適用可能である。
以下の説明では、メイン部の上層部Bに高分子ゲルシートを用いた2層構造の場合(図3〜7参照)を例にとり説明する。
まず、メイン部の下層部Cに用いる部材33に関しては、特に制限されるものではなく、従来公知のメイン部材料を用いることができるものであり、発泡ウレタン、低反発ウレタン、軸フェルト、ラテックスフォーム等などが挙げられる。このように下層部Cに用いる部材33に関しては、特に制限されるものではなく、当業者が耐久性やコストなどを勘案して選定可能である。ただし、本発明では、上層部Bに設けた高分子ゲルシート32により、メイン部に求められていた適度なクッション性、サポート性ないしホールド感を発現できる。その為、当該下層部Cでは、こうした適度なクッション性、サポート性ないしホールド感を具備している必要はないとも言える。従って、既存のメイン部に使われていた部材に制限されるものではなく、上層部の高分子ゲルシート中の高分子ゲルがメインサイド部方向に自由に動くことが可能となる程度の支持強度を具備している材料であればよい。
上記下層部Cの硬度は、本発明の作用効果を奏することができるものであればよく、特に制限されない。強いてあげれば、10〜60程度とするのが望ましい。下層部Cの硬度が10未満の場合、上述したようにいわばウォータクッションのようになり、所望のクッション性、ホールド感を発現しにくく、快適な座り心地が得られにくくなる。また、下層部Cの硬度が高分子ゲルシートよりも低くなり、支持強度が不足するおそれがある。そうした場合、着座時にメイン部全体が上下方向に深く沈み込みすぎて、適度なクッション性、サポート性ないしホールド感が得られにくくなり、長時間座る場合には疲労低減しにくくなる恐れがあるためである。一方、下層部Cの硬度が60を超える場合には、使用可能な発泡材料が制限され、自動車用シートなどでは、軽量化に適した材料の選択が困難となる恐れがある。
なお、下層部Cについては、後述するように、高分子ゲルシートの厚さ及び上層部Bと下層部Cの体積比(=厚さ比)から求めることができる。
一方、メイン部の上層部Bに用いることのできる高分子ゲルシート32を構成する高分子ゲルとしては、着座時に自由に変形でき、離座時に着座前の状態に復元(回復)できるものであればよく、特に制限されるものではない。
また、該高分子ゲルシート中の高分子ゲルがメインサイド部方向に自由に動くことが可能であるとは、上述したように周囲からの高反発力により横方向にあまり自由な動きが取れない場合でなければ、当該要件に該当するものとする。即ち、後述する第1、第3〜5の実施形態のように、周囲からの低反発力(少なくとも硬度40以下、望ましくは30以下)により、あまり制約を受けずに横方向に自由な動きができる(所望に変形し得る)ものであれば、当該要件を満足するものとする。
例えば、図5(A)等の変形前の状態から、図5等のように乗員30がシート13中央部に着座した際、高分子ゲルシート32内のゲルが中央からサイド部方向に動いて、周囲
のサイド部に迫り出した状態に変形することができれば、当該要件を満足するものとする。即ち、高分子ゲルシート内のゲルが横方向に動く力(変形応力)が、周囲の低反発部材31、36、37等を設けた部分(符号D)からの低反発力よりも大きければよい。これにより、高分子ゲルシート内のゲルが横方向に動く部分(サイド部に迫り出していく部分)を、周囲の低反発部材31、36、37等を設けた部分(符号D)で効果的に吸収することができるためである。一方、乗員30がシート13から離座した際には、周囲に迫り出していた高分子ゲルシート部分が、図3(A)等のように元の状態に復元するように動くものである。こうした動きが取れる場合には、当該要件を満足するものといえる。なお、周囲からの高反発力とは、主に、高分子ゲルシートの周囲に位置するメイン部よりも高硬度な発泡ウレタンパッドなどの硬度40を超える部材のサイド部からの反発力をいう。
また、乗員の支持性能(実公平6−42518号公報参照)を満足するとは、現行の発泡ウレタンのみのシートメイン部だけの構造に対して、更に乗員を支持するためのメインサイド部が設けられているものであるといえる。好ましくは、後述する官能評価において、現行の発泡ウレタンのみのシートメイン部の上層部に高分子ゲルシートを重ねた輸送用シート(比較例2)を基準とし、座り心地が同等以上、より好ましくは現行の輸送用シート(比較例2)よりも座り心地が優れるものである(後述する表1参照のこと)。
かかる高分子ゲルとしては、例えば、ポリアクリル酸系、ポリメタクリル酸系、ポリアクリルアミド系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリロニトリル系、ポリメチルメタクリレート系、ポリウレタン系、ポリスルホン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリロキサン系などを挙げることができる。さらに具体的には、ポリアクリル酸ゲル、ポリメタクリル酸ゲル、ポリ(アクリルアミド−アクリル酸)共重合体ゲル、ポリ(アクリルアミド−メタクリル酸)共重合体ゲル、ポリ(アクリルアミド−トリメチル(N−アクリロイル−3−アミノプロピル)アンモニウムアイオダイド)共重合体ゲルの4級化ゲル、ポリアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ゲル、ポリビニルアルコール−ポリアクリル酸複合体ゲル、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−メタクリル酸−2−ヒドロキシルエチル)共重合体ゲル、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸−7クリ口ニトリル)共重合体ゲル、アルギン酸塩ゲル、コラーゲンゲル等が挙げられる。その他、天然物を素にするものでは、タンパク質や多糖類等の天然高分子を素にする角膜、水晶体、卵白、豆腐、こんにゃく、ゼラチンの様なゲルも挙げられる。上記の高分子ゲルの中には、架橋点を持たない物理ゲルも含まれるが、より好ましくは、化学結合による架橋点を持つ化学ゲルが形状維持の観点から好ましい。
更に、例えば、特開2004−285203号公報に開示されているような各種の高分子ゲル成分を用いることもできる(これらの中には、上記で例示した高分子ゲルと重複するものも含まれているが、いずれにせよ利用可能であるため、双方併記している。)。具体的には、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;ポリビニルスルホン酸の架橋物やその塩;ビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩;ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩;アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩;ポリジメチルアミノ
プロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩や4級化物;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物;ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩;カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物;ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などの電解質系高分子ゲル;
ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物;ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やアクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物などの強イオン性高分子ゲル;
ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどポリアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物;ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物;ポリスチレンの架橋物;ポリビニルピリジンの架橋物;ポリビニルカルバゾールの架橋物;ポリジメチルアミノスチレンの架橋物などのカチオン性高分子ゲル;
ポリ[N−イソプロピルアクリルアミド]などのポリ[N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド]の架橋体、N−アルキル置換(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどから選択される1種以上との共重合体の架橋体やその塩、ポリビニルメチルエーテルの架橋体やメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのアルキル置換セルロース誘導体の架橋体などのLCST(下限臨界共融温度)やUCST(上限臨界共融温度)をもつ高分子(の架橋体)ゲル;
ポリ(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とからなるIPN体およびその部分中和物(アクリル酸単位を部分的に塩としたもの)、(メタ)アクリルアミドあるいはその誘導体を含む共重合体の架橋体と(メタ)アクリル酸を含む共重合体の架橋体からなるIPN体(相互侵入網目構造体)およびその部分中和物などのIPNゲル;
オクチル基、デシル基、ラウリル基、ステアリル基などの長鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩、コレステリル系モノマーあるいは芳香族系モノマーと(メタ)アクリル酸との共重合体の架橋体やその塩などの結晶性ゲル;
ポリ[N−イソプロピルアクリルアミド]などのポリ[N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド]の架橋体とポリ(メタ)アクリル酸の架橋体とのIPN体;
ビニル置換トリアリールメタンロイコ誘導体と(メタ)アクリルアミドとの共重合体の架橋物などのトリアリールメタン誘導体やスピロベンゾピラン誘導体などの光によってイオン解離する分子構造を有する親水性高分子化合物の架橋物;
セルロース、アガロース等の天然高分子およびその誘導体、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、ポリエチレングリコールおよびその誘導体、ポリアミンおよびその誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸およびその塩、(メタ)アクリル酸を含む共重合体およびその塩、ポリマレイン酸およびその塩、マレイン酸を含む共重合体およびその塩、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドを含む共重合体、ポリ置換(メタ)アクリルアミド、置換(メタ)アクリルアミドを含む共重合体、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体、ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレートを含む共重合体、などの架橋体が挙げられる。なお、上記の括弧を用いた記述は、括弧内の接頭語を含まない化合物および含む化合物の両方を示しており、例えば(メタ)アクリル酸という記述は、アクリル酸およびメタクリル酸のことを意味するものである。ただし、本発明では、上記に例示したものに何ら制限されるべきものではなく、高分子ゲルシートとして、硬度などを調整して市
販されているものなどを用いてもよい。ここでいう市販品には、汎用品のほか、購入者サイドが硬度等の仕様を決められる特注品(オーダーメード品)を含むものである。例えば、株式会社ジェルテックなどから市販されている各種の硬度10〜30の高分子ゲルシート(例えば、http://www.healthylife−mall.jp/yoyo/gel.htmlに記載のαGEL:シリコーンを主原料とする非常に柔らかいゲル状素材等を参照のこと。)などを用いてもよい。
上記高分子ゲルの合成は、公知の高分子ゲルの製造方法を用いることができる。例えば、モノマーと架橋剤とを混合して重合する方法、マクロモノマーと架橋剤とを反応させる方法、ポリマーに電子線や中性子線等を照射して架橋する方法、などが挙げられる。これら高分子ゲルの製造方法については、例えば、「ゲルハンドブック」株式会社エヌ・ティー・エス発行などに詳述されている。前記高分子ゲルは、各種色材を添加して着色されていてもよい。また、非架橋型の高分子を添加することもできる。この非架橋型の高分子は前記高分子ゲルと同様の成分を含んでいてもよい。また、前記高分子ゲルは、必要に応じて、分散安定剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤などが添加されていてもよい。
本発明の高分子ゲルシートでは、こうした高分子ゲルないしその前駆体(未架橋体)をシート状の袋状物に封入し、封入前または後に架橋重合して加工したり、高分子ゲルをフィルム状物で挟み込んで、該フィルム状物の外周部を圧着ないし熱融着するなどして封入し、封入前または後に架橋重合して、シート状に加工したものなどを用いることができるが、これらに特に制限されるものではない。
高分子ゲルシートの厚さは、着座時に高分子ゲルシートが横方向に自由に体積変化することで、適度なクッション性が得られ、従来のクッションよりも疲労が軽減されるという効果が有効に発現させることができる厚さを有しているのが望ましいい。かかる観点から、高分子ゲルシートの厚さは、1〜10cmの範囲である。
また、高分子ゲルシート(メイン部の上層部B)と、メイン部の下層部Cの体積比についても、特に制限されるものではなく、高分子ゲルシートを配することによる作用効果を有効に発現できるように、最適な体積比を決定すればよい。即ち、後述する実施例では、B:C=0.05:1(体積比)とした例を示しているが、双方の硬度、更にはメインサイド部の硬度などによっては、例えば、B:C=0.01:1(体積比)でも利用し得る組み合わせもあり得るし、反対にB:C=10:1(体積比)でも利用し得る組み合わせもあり得るなど、かかる体積比については、何ら制限されるものではないが、好ましくは、B:C=0.05〜0.9:1(体積比)の範囲であればよい。なお、上記B:Cの体積比とB:Cの厚さ比は、略同程度であることから、下層部Cの厚さは、上記高分子ゲルシートの厚さから、計算により求めることができる。
高分子ゲルシートの硬度は、本発明の作用効果を奏することができるものであればよく、通常、10〜30程度とするのが望ましい。高分子ゲルシートの硬度が10未満の場合、いわばウォータクッションのようになり、所望のクッション性、ホールド感を発現しにくく、快適な座り心地が得られにくくなる。また高分子ゲルの架橋構造が緩やかになり、高分子ゲルの強度や復元力が不十分となる恐れがあり、離座後に元の状態に復元するまでに時間を要するようになる。一方、高分子ゲルシートの硬度が30を超える場合には、高分子ゲルの架橋構造が密になり、該高分子ゲルシート中の高分子ゲルがメインサイド部方向に自由に動きにくくなる恐れがある。ただし、本発明は、かかる硬度範囲に制限されるものではなく、下層部Cの部材33の硬度や該高分子ゲルシート32と接するサイド部Aの構造や硬度などに応じて、所望のクッション性、ホールド感が発現できるように、最適な硬度を決定すればよい。
なお、本発明では、高分子ゲルシートの硬度を含め、他の構成部材の硬度に関しても、高分子計器株式会社製のアスカーゴム硬度計F型を用いて測定した値を用いている。該アスカーゴム硬度計F型は、柔らかい試料に対して適切な指度が得られるよう大きな圧子(インデンタ)と標準の約半分の強さのスプリングを用いた装置であり、通常、ウレタンフォーム、スポンジなど各種発泡体用の硬度計として市販されているものであり、本発明では高分子ゲルシートについても当該装置を用いて計測したものである。当該装置では、試料の上にそのまま置くことで硬度計の自重が測定圧となり、硬さを測ることができるものである。即ち、硬度計を真上から試料にそっと乗せて、その指示値を読み取ればよいが、ウレタンフォームや高分子ゲルシートには指示値が下がっていく試料が多いため、試料の上に乗せた直後の値(約5秒以内)を読み取り、その値を試料の硬度としている(詳しくは、http://www.asker.co.jp/products/durometer/analog/f/index.html参照のこと)。
また、上記高分子ゲルシート及びこれを構成する高分子ゲルに関しては、後述する好適な第1〜第5の実施形態においても同様であるため、以後の実施形態については説明を省略する。
次に、図1に示すように、メインサイド部(図1の丸数字2;図2以降に符号A;以下、単にAとする)は、シート11中央のメイン部(図1の丸数字1)の側面(サイド)部に設ければよいが、更に、図2に示すように、シート11中央のメイン部Bの周囲、例えば、側面部のほかに前面部や後面部に設けてもよい。これは、官能評価を行った場合に、人によって、より快適なホールド性を感じるものとして、前面部や後面部までも含めてメイン部とする構造を選ぶ人もいれば、前面部や後面部はサイド部とする構造を選ぶ人あり、いずれが最適というよりも個々人の感性により任意に選択されるべきものといえる。そのため、本発明では、メインサイド部に、これら双方の形態を含めるものとしている。尚、図1の丸数字3はマチ部を表す。
以下、本発明に係る輸送用シートの好適な実施形態であるところの第1〜第5の実施形態につき、図面を用いて説明する。
本発明に係る輸送用シートの第1の実施形態は、シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の表層部に高分子ゲルシートを有し、メインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するシートクッション及び/またはシートバックのメインサイド部として、適度な硬度の部材を配した構造を特徴とするものである。図3は、第1の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図3(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図3(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。
第1の実施形態では、図3に示すように、メイン部(符号B+C)の表層部(符号B)側に高分子ゲルシート32を配置し、メイン部の下層部(符号C)側には発泡または低反発ウレタンなどの部材33が設けられている。また、メインサイド部(符号A)には、クッション13のメインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員30の支持性能を満足することができるように、従来の高硬度ウレタンパッドではなく、初期変形時の反発力が少ない材料31が用いられている。これにより、図3(B)に示すように、着座時に高分子ゲルシート32内の高分子ゲルは圧縮に伴う体積変化が大きく、周囲に変形しようとする。ここで、従来のようにサイド部Aが高硬度であれば、周囲の高硬度ウレタンパッドの反発力を受け、狙いの体圧分散特性を得ることが出来ない。一方、サイド部Aが、初期変形時の反発力が少ない材料31であれば、反発力が低く、高分子ゲルシート32内の高分子ゲルがクッションメインサイド部方向(図中の矢印方向)に動
いて拡幅した部分32aを効率的に吸収(サイド部Aの材料自体が圧縮されて吸収)できる構造を取ることで、着座時の体圧の均一分散性を損なわず、疲労低減シートを作製することが出来る。したがって、本実施形態では、高分子ゲルシート32の硬度よりもサイド部の初期変形時の反発力が少ない材料31の硬度の方が低くなるように設定するのが望ましい。ただし、かかる硬度の関係に限定されるものではなく、着座時に高分子ゲルシート32が周囲に変形しようとする応力よりも、サイド部の初期変形時の反発力が少ない材料31の反発力が低ければよい。この関係は、後述する他の実施形態でも同様である。即ち、高分子ゲルシート32の硬度よりもサイド部の周辺部分Dに配置された空間35や低反発材料36や応答性材料37の硬度の方が低くなるように設定するのが望ましい。ただし、かかる硬度の関係に限定されるものではなく、着座時に高分子ゲルシート32が周囲に変形しようとする応力よりも、サイド部の周辺部分Dに配置された空間35や低反発材料36や応答性材料37の反発力が低ければよい。
また、乗員30が離座すると、サイド部31の反発力が少ない材料の持つ反発力(初期状態への復元力)と高分子ゲルシート32の初期状態への弾性復元力により、図3(A)の状態に素早く復元することができる。
ここで、サイド部に用いられる初期変形時の反発力が少ない材料としては、硬度10〜30程度の低硬度の材料が好適である。具体的には、例えば、低硬度発泡ウレタン(硬度10〜30の発泡ウレタン)などが挙げられる。該低硬度発泡ウレタンについては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができるほか、株式会社イノアックコーポレーション、株式会社ブリヂストン、東洋ゴム工業株式会社、株式会社東洋クオリティワンなどから市販されている各種の硬度10〜30の低硬度発泡ウレタンなどを用いてもよい。
本発明の輸送用シートのシートクッション及びシートバックのサイド部、並びにこれらのメイン部の下層部の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の輸送用シートの製造技術を適宜利用することができる。例えば、特公平6−45153号公報中に記載された各種ポリウレタンシートパッドの製造法など、従来公知の輸送用シートの製造技術を適用することができるが、かかる製造方法に何ら限定されるものではない。
また、サイド部は、通常、図3以降に示すように、メイン部に着座した乗員をサイドからサポート(支持)するのに適した形状及び高さを持たせるのがよく、メイン部表面からサイド部頂部までの高さ(図3中の寸法L)は、3〜5cm程度が好適である。ただし、この範囲に制限されるものではない。本実施形態では、従来、乗員の支持性能を発現するには困難と思われていた初期変形時の反発力が少ない材料(低硬度の材料)を用いても、高分子ゲルシートと組み合わせることにより、所望の支持性能が得られることを見出したものである(表1中の実施例1の官能評価結果参照のこと)。また、当該高さLや図3中の角度θなどを支持性能が向上するように変更することによっても、サイド部に求められる乗員の支持性能を変えることもできる。かかる高さ及び形状に関しては、後述する他の実施形態においても同様であるため、以後の実施形態については説明を省略する。
以後の実施形態では、シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の上層部に高分子ゲルシートを使用し、乗員の支持性能を得るために周囲のサイド部に、高硬度の発泡ウレタンパッドを配するものである。そうすると、周囲のウレタンパッドの反発力を受け、狙いの体圧分散特性を得ることが出来ない。そこで以後の実施形態では、高分子ゲルが動く部分を効率的に吸収できるサイド部構造として、サイド部の周辺部分Dに空間35や低反発材料36や応答性材料37を設けた構造としたものである。詳しくは、両サイド、更に必要があれば前面に配された高硬度発泡ウレタンパッドと高分子ゲルシートが接している面に、空間や低反発材料や応答性材料などの着座時に高分子ゲルが動く部分を効
率的に吸収できる構造を設けたものである。こうすることで、着座時に高分子ゲルシートの体積変化を高硬度の発泡ウレタンパッドが阻害することなく、常に狙いの体圧分散性が得られることを見出しものである。
このうち、本発明に係る輸送用シートの第2の実施形態は、シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の表層部に高分子ゲルシートを有し、クッションメインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するシートクッション及び/またはシートバックのサイド部として、メイン部よりも高硬度の部材を用い、メイン部の高分子ゲルシートと接するサイド部の周辺部分に、高分子ゲルシートの体積に対し、5〜50%の空間を設けた構造を特徴とするものである。周囲に配した高硬度ウレタンパッドとの接触部に空間を設けることで、シート着座時に高分子ゲルシート部分が横方向に自由に変形できるスペースを確保し、着座時の体圧の均一分散性を向上させ、常に狙いのクッション性、ホールド感が発現し、快適性を高める効果がある。図4は、第2の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図4(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図4(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。
第2の実施形態では、図4に示すように、輸送用シート31として、メイン部(符号B+C)の表層部(符号B)側に高分子ゲルシート32を配置し、メイン部の下層部(符号C)側には発泡ウレタンや低反発ウレタンなどの部材33が設けられている。また、メインサイド部(符号A)には、乗員の支持性能を満足することができるように、従来と同様に高硬度ウレタンパッドなどのメイン部よりも高硬度のパッド部材34が用いられている。更にメイン部の高分子ゲルシート32と接するサイド部の周辺部分(符号D)に、高分子ゲルシート32の体積に対し、5〜50%の空間35を設けた構造となっている。具体的には、図4(B)に示すように、着座時に高分子ゲルシート内の高分子ゲルがクッションメインサイド部方向(図中の矢印方向)に動く。ここで、従来のようにサイド部が高硬度であれば、周囲の高硬度ウレタンパッドの反発力を受け、狙いの体圧分散特性を得ることが出来ない。一方、高分子ゲルシートとサイド部(高硬度ウレタンパッド)との接触部のうち、メインサイド部側の周辺部分(符号D)に空間35が設けられていれば、該空間35内に移動した高分子ゲルを吸収(収納)することができる。そのため、高分子ゲルシートの体積変化を阻害せず、高分子ゲルシートが自由に動くことの出来るスペースを確保し、常に狙いの均一な体圧分散性を発現させ、適度なクッション性とホールド感を発現する。更に乗員の離座後には、主に高分子ゲルシートの初期状態への弾性復元力により、図4(A)の状態に復元することができる疲労低減シートを作製することが出来る。
ここで、サイド部に用いられる空間体積は、上記したように高分子ゲルシート4の体積に対し、5〜50%の範囲である。即ち、空間体積が5%未満では、該空間部分だけで吸収できる高分子ゲル量に制限があり、空間周囲のサイド部の部材でも上記第1の実施形態と同様に圧縮により高分子ゲルを吸収できる量は限られている為、乗員の体重が小さいチャイルドシートなどに使用形態に制限される恐れがある。使用形態などによっては、空間体積が5%未満であっても本発明の作用効果を有効に発現できるものであり、こうした場合には、本発明に含まれることは言うまでもない。一方、空間体積が50%を超える場合には、高分子ゲルシートが動くことのできるスペースが大きすぎるため、逆に安定感のない不快な座り心地となってしまう恐れがある。また、着座時に移動する高分子ゲルを十分吸収(収容)できる反面、さらなる空間容積の増大は、サイド部に求められている支持性能を満足させるのが困難となる場合がある。
該空間35は、サイド部を製造する際の成形金型などを変えることで形成可能であるほか、空間のないサイド部を製造後に、切削加工するなどして形成することができるなど、特に制限されるものではない。
なお、サイド部(符号A)の材質としては、特に制限されるものではなく、上記したように、乗員の支持性能を満足することができるように、従来と同様に高硬度ウレタンパッドなどのメイン部と同等もしくはより高硬度のパッド部材を好適に利用することができるが、第1の実施形態で説明したのと同様の理由により、第1の実施形態で用いたメイン部の下層部と同様の材料を用いることも可能である。
サイド部(符号A)の硬度としては、特に制限されるものではなく、上記したように、乗員の支持性能を満足することができるように、従来と同様に高硬度ウレタンパッドなどのメイン部よりも高硬度のパッド部材を好適に利用することができる。具体的には、硬度30超〜60程度、好ましくは35〜55、より好ましくは40〜50、特に好ましくは40〜45の高硬度の材料が好適である。具体的には、例えば、高硬度発泡ウレタン(硬度30超〜60の発泡ウレタン)などが挙げられる。該高硬度発泡ウレタンについては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができるほか、株式会社イノアックコーポレーション、株式会社ブリヂストン、東洋ゴム工業株式会社、株式会社東洋クオリティワンなどから市販されている各種の硬度30超〜60の高硬度発泡ウレタンなどを用いてもよい。
次に、本発明に係る輸送用シートの第3の実施形態は、シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の表層部に高分子ゲルシートを有し、クッションメインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するシートクッション及び/またはシートバックのサイド部として、メイン部よりも高硬度の部材を用い、メイン部の高分子ゲルシートと接するサイド部の周辺部分に、硬度が10〜30の材料で形成され、高分子ゲルシートが(サイド部方向に)動く部分を吸収できる構造を特徴とするものである。図5は、第3の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図5(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図5(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。
第3の実施形態は、いわば、第2の実施形態における空間部分に硬度10〜30の材料を充填してなる構造といえるものである。即ち、第3の実施形態では、図5に示すように、メイン部(符号B+C)の表層部(符号B)側に高分子ゲルシート32を配置し、メイン部の下層部(符号C)側には発泡ウレタンや低反発ウレタンなどの部材33が設けられている。また、メインサイド部(符号A)には、乗員の支持性能を満足することができるように、従来と同様に高硬度ウレタンパッドなどのメイン部よりも高硬度のパッド部材34が用いられている。更にメイン部の高分子ゲルシート32と接するサイド部の周辺部分(符号D)に、高硬度のパット部材(例えば、高硬度ウレタンパッド)ではなく、硬度が10〜30の材料36を設けた構造となっている。具体的には、図5(B)に示すように、着座時に高分子ゲルシート内の高分子ゲルがクッションメインサイド部方向(図中の矢印方向)に動く。ここで、従来のようにサイド部全体が高硬度であれば、周囲の高硬度ウレタンパッドの反発力を受け、狙いの体圧分散特性を得ることが出来ない。一方、高分子ゲルシートとサイド部との接触部のうち、メインサイド部側の周辺部分(符号D)に、硬度が10〜30の材料36が設けられていれば、着座時に高分子ゲルがクッションメインサイド部方向に動いて拡幅した部分を効率的に吸収(当該材料36が圧縮されて吸収)できる構造を取ることができる。そのため、高分子ゲルシートの体積変化を阻害せず、高分子ゲルシートが自由に動くことの出来る構造を確保し、着座時の体圧の均一分散性を損なわず、疲労低減シートを作製することが出来る。更に乗員の離座後には、主に高分子ゲルシートの初期状態への弾性復元力と材料36の持つ反発力により、図5(A)の状態に素早く復元することができる疲労低減シートを作製することが出来る。
ここで、メイン部の高分子ゲルシート32と接するサイド部の周辺部分(符号D)に用いることのできる硬度が10〜30の材料36としては、上記したように初期変形時の反発力が少ない材料を好適に利用することができる。例えば、低反発ウレタン、低硬度発泡ウレタンなどを用いることができる。低硬度発泡ウレタンについては、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができるほか、株式会社イノアックコーポレーション、株式会社ブリヂストン、東洋ゴム工業株式会社、株式会社東洋クオリティワンなどから市販されている各種の低硬度発泡ウレタンなどを用いてもよい。低反発ウレタン(フォーム)についても、特に制限されるものではなく、従来公知のものを適宜利用することができるほか、東洋ソフランなどから市販されているものなどを用いてもよい。
ここで、サイド部における硬度が10〜30の材料36の大きさ(体積)は、上記したように着座時の荷重負荷に応じて、高分子ゲルシート内の高分子ゲルがクッションメインサイド部方向(図中の矢印方向)に自由に動くことが可能であればよく、特に制限されるものではない。好ましくは、高分子ゲルシート32の体積に対し、5〜50%の範囲である。即ち、材料36の体積が5%未満では、該材料36の体積部分だけで吸収できる高分子ゲル量は限られる為、乗員の体重が小さいチャイルドシートなどに使用形態に制限される恐れがある。ただし、使用形態などによっては、材料6(符号D)の体積が5%未満であっても本発明の作用効果を有効に発現できるものであり、こうした場合には、本発明に含まれることは言うまでもない。一方、材料36の体積が50%を超える場合には、着座時に移動する高分子ゲルを十分吸収できる反面、さらなる材料36の体積増大は、サイド部に求められている支持性能を満足させるのが困難となる場合がある。
サイド部に硬度が10〜30の材料36を形成する方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の輸送用シートの製造技術を適用することができる。例えば、第2の実施形態で説明した空間35を有するサイド部を形成後に、当該空間35に硬度が10〜30の材料36を既存の発泡材の成形技術を利用して製造することができる。更に、異硬度の発泡ウレタン材料を用いた特公平6−45153号公報中に記載された各種ポリウレタンシートパッドの製造法などを用いることもできる。
次に、本発明に係る輸送用シートの第4の実施形態は、シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の表層部に高分子ゲルシートを有し、クッションメインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するシートクッション及び/またはシートバックのサイド部として、メイン部よりも高硬度の部材を用い、メイン部の高分子ゲルシートと接するサイド部の周辺部分に、高分子ゲルシートの体積に対し、空間及び硬度10〜30の材料の体積の合計が5〜50%を有する構造を特徴とするものである。図6は、第4の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図6(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図6(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。
第4の実施形態は、いわば、第2の実施形態と第3の実施形態とを組み合わせてなるものである。即ち、第4の実施形態では、図6に示すように、メイン部(符号B+C)の表層部(符号B)側に高分子ゲルシート32を配置し、メイン部の下層部(符号C)側には発泡ウレタンや低反発ウレタンなどの部材33が設けられている。また、メインサイド部(符号A)には、乗員の支持性能を満足することができるように、従来と同様に高硬度ウレタンパッドなどのメイン部よりも高硬度のパッド部材34が用いられている。更にメイン部の高分子ゲルシート32と接するサイド部の周辺部分(符号D)に、高硬度のパット部材(例えば、高硬度ウレタンパッド)ではなく、空間35と硬度が10〜30の材料36とを設けた構造となっている。具体的には、図6(B)に示すように、着座時に高分子ゲルシート内の高分子ゲルがクッションメインサイド部方向(図中の矢印方向)に動く。
ここで、従来のようにサイド部全体が高硬度であれば、周囲の高硬度ウレタンパッドの反発力を受け、狙いの体圧分散特性を得ることが出来ない。一方、高分子ゲルシートとサイド部との接触部のうち、メインサイド部側の周辺部分(符号D)に、空間35と硬度が10〜30の材料36とが設けられていれば、着座時に高分子ゲルがクッションメインサイド部方向に動いて拡幅した部分を効率的に吸収(空間35で移動した高分子ゲル量を吸収(収納)し、該空間35で吸収できなかった移動した高分子ゲル分を材料36が圧縮して吸収)できる構造を取ることができる。そのため、高分子ゲルシートの体積変化を阻害せず、高分子ゲルシートが自由に動くことの出来る構造を確保し、着座時の体圧の均一分散性を損なわず、疲労低減シートを作製することが出来る。更に乗員の離座後には、主に高分子ゲルシートの初期状態への弾性復元力と材料36の持つ反発力により、図6(A)の状態に復元することができる疲労低減シートを作製することが出来る。
ここで、メイン部の高分子ゲルシート32と接するサイド部の周辺部分(符号D)に用いることのできる硬度が10〜30の材料36としては、上記した第3の実施形態で説明したものと同様の材料を好適に利用することができるため、ここでの説明は省略する。
ここで、サイド部における空間35と硬度が10〜30の材料36の体積の合計は、上記したように着座時の荷重負荷に応じて、高分子ゲルシート内の高分子ゲルがクッションメインサイド部方向(図中の矢印方向)に自由に動くことが可能であればよく、特に制限されるものではない。好ましくは、高分子ゲルシート2の体積に対し、5〜50%の範囲である。即ち、空間35と材料36の体積の合計が5%未満では、該空間35と材料36の体積部分で吸収できる高分子ゲル量は限られる為、乗員の体重が小さいチャイルドシートなどに使用形態に制限される恐れがある。ただし、使用形態などによっては、空間35と材料36の(符号D)の体積が5%未満であっても本発明の作用効果を有効に発現できるものであり、こうした場合には、本発明に含まれることは言うまでもない。一方、空間35と材料36の体積の合計が50%を超える場合には、着座時に移動する高分子ゲルを十分吸収できる反面、さらなる空間35と材料36(符号D)の体積増大は、サイド部に求められている支持性能を満足させるのが困難となる場合がある。
なお、空間35と硬度が10〜30の材料36の配置関係は、図6に示すように、メイン部の高分子ゲルシート32と接する周辺部分に空間35を配置し、更に空間35の周辺部分に材料36を配置するのが望ましい。ただし、本発明では、これら以外の配置(例えば、図6とは逆の位置関係など)であっても、本発明の作用効果を有効に奏することができる範囲内であれば、本発明の範囲に含まれるものである。
また、空間35と硬度が10〜30の材料36の体積比についても、特に制限されるものではない。即ち、空間35と硬度が10〜30の材料36の体積比が、0〜100:100〜0の範囲で任意に調整することができる。このうち、空間35と硬度が10〜30の材料36の体積比が100:0のときが、第2の実施形態に該当する。空間35と硬度が10〜30の材料36の体積比が0:100のときが、第3の実施形態に該当する。
高分子ゲルシート32と接するサイド部の周辺部分(符号D)に、空間35と硬度が10〜30の材料36を形成する方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の輸送用シートの製造技術を適用することができる。例えば、第2〜3の実施形態で説明した空間を有するサイド部を形成後に、当該空間の一部に材料36を既存の発泡材の成形技術を利用して製造することができる。更に、異硬度の発泡ウレタン材料を用いた特公平6−45153号公報中に記載された各種ポリウレタンシートパッドの製造法などを用いることもできる。
次に、本発明に係る輸送用シートの第5の実施形態は、シートクッション及び/または
シートバックのメイン部の表層部に高分子ゲルシートを有し、クッションメインサイド部方向に高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するシートクッション及び/またはシートバックのサイド部として、メイン部よりも高硬度の部材を用い、メイン部の高分子ゲルシートと接するサイド部の周辺部分に、硬度が10〜40の範囲内で電気又は磁気により可変させられる応答性材料により、前記高分子ゲルシートが(サイド部方向に)動く部分を動的に吸収および/または反発できる構造を特徴とするものである。図7は、第5の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図7(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図7(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。
第5の実施形態は、第3の実施形態における硬度10〜30の材料に代えて、硬度が10〜40の範囲内で電気又は磁気により可変させられる応答性材料を充填してなる構造といえるものである。即ち、第5の実施形態では、図7に示すように、メイン部(符号B+C)の表層部(符号B)側に高分子ゲルシート32を配置し、メイン部の下層部(符号C)側には発泡ウレタンや低反発ウレタンなどの部材33が設けられている。また、メインサイド部(符号A)には、乗員の支持性能を満足することができるように、従来と同様に高硬度ウレタンパッドなどのメイン部よりも高硬度のパッド部材34が用いられている。更にメイン部の高分子ゲルシート32と接するサイド部の周辺部分(符号D)に、高硬度のパット部材(例えば、高硬度ウレタンパッド)ではなく、硬度が10〜40の範囲内で電気又は磁気により可変させられる応答性材料37を設けた構造となっている。
具体的には、図7(B)に示すように、着座時に高分子ゲルシート内の高分子ゲルがクッションメインサイド部方向(図中の矢印方向)に動く。ここで、従来のようにサイド部全体が高硬度であれば、周囲の高硬度ウレタンパッドの反発力を受け、狙いの体圧分散特性を得ることが出来ない。一方、高分子ゲルシートとサイド部との接触部のうち、メインサイド部側の周辺部分(符号D)に、硬度が10〜40の範囲内で電気又は磁気により可変させられる応答性材料37が設けられていれば、乗員の体重差等の違いによらず、着座時に高分子ゲルがクッションメインサイド部方向に動いて拡幅した部分を効率的に吸収(応答性材料37硬度調整されたが圧縮されて吸収)できる構造を取ることができる。そのため、乗員が快適と感じるのに必要な高分子ゲルシートの体積変化を阻害せず、高分子ゲルシートが自由に動くことの出来る構造を確保し、着座時の体圧の均一分散性を損なわず、疲労低減シートを作製することが出来る。更に乗員の離座後には、主に高分子ゲルシートの初期状態への弾性復元力と応答性材料37の持つ反発力により、図7(A)の状態に素早く復元することができる疲労低減シートを作製することが出来る。
更に、本実施形態では、図示していないが、当該応答性材料37に電気または磁気を印加して、当該応答性材料37の硬度を任意に調節することのできる、硬度調節機構が設けられている。この硬度調節は、例えば、応答性材料37の両面(対向する2面のうちの1つ)に少なくとも一対の電極が設置されることがより好適である。なお、応答性材料37の形状は、図7や図2に示すように、使用用途により異なるので、電極を設置する面も、本発明の作用効果がより効果的に得られるように配置すればよい。この様に電極を応答性材料37に対して向かい合わせて設置し電圧(磁場)印加することで、応答性材料37の硬度変化が起こる。それにより、応答性材料37の反発力が変化し、着座時に移動する高分子ゲル量を吸収し得る量が変わる。そこで、印加する電圧(磁場)の大きさを変えることで、応答性材料37の硬度を任意にコントロールすることができる。こうした印加電圧などの調整は、例えば、コントロールパネルや輸送用シート脇に設けた調節ダイヤル(レバー)などにより調節できるようにしてもよい。
このとき印加する電圧は、通常1〜100V程度がより好適ではあるが、応答性材料37として薄い形状で用いる場合には、数mVから数百mVでも駆動できる。また、逆に厚
い場合には、数kVでも駆動させることは可能であるが、ここでは特に限定は行わない。これは、自動車などの内装材部品として適用する場合には、上記に規定する範囲の電圧であれば、自動車用電源から容易に供給することができるためである。
第5の実施形態では、例えば、乗員の個々人の体重差に応じて、最適な応答性材料37の硬度(反発力)に個々に調整することで、乗員の個々人毎に、着座時の体圧の均一分散性を損なわず、疲労低減シートを作製することが出来る。さらに、こうした着座時に高分子ゲルが動く部分を動的に吸収/反発できる構造を取ることで、乗員の個々人の長時間の運転ないし添乗による疲労の度合いや体調などに応じて、各人が任意に調整することができる点で極めて優れているといえる。例えば、体重差による高分子ゲルの動く量が異なる為、体重差により応答性材料37の硬度(反発力)が異なる場合が考えられる。また、運転者と添乗者では支持性能として求める硬度が異なる場合もあり、運転者と添乗者の違いにより応答性材料37の硬度(反発力)が異なる場合が考えられる。この他にも年齢差、性別の違い、シートの違い(幼児ではチャイルドシートが法的に義務付けられている)などにより、長時間の運転ないし添乗による疲労を軽減させる上で応答性材料37の硬度(反発力)が異なる場合も考えられる。こうした乗員の各人が任意に調整することができることは、長時間の運転ないし添乗における全ての乗員の疲労を低減させる極めて有効な手段となり得るものである。
ここで、メイン部の高分子ゲルシート32と接するサイド部の周辺部分(符号D)に用いることのできる硬度が10〜40の範囲内で電気又は磁気により可変させられる応答性材料37としては、特に制限されるものではない。
電気により可変させられる応答性材料としては、具体的には、例えば、(1)電気刺激によるpH変化によって応答する電解質系高分子ゲルとして、ポリ(メタ)アクリル酸の架橋物やその塩;(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;マレイン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;ポリビニルスルホン酸の架橋物やその塩;ビニルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やその塩;ビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やその塩;アクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドの架橋物やその塩;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドと(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物やその塩や4級化物;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドとポリビニルアルコールとの複合体の架橋物やその4級化物;ポリビニルアルコールとポリ(メタ)アクリル酸との複合体の架橋物やその塩;カルボキシアルキルセルロース塩の架橋物;ポリ(メタ)アクリロニトリルの架橋物の部分加水分解物やその塩などが挙げられる。また、(2)電界による界面活性剤などの化学物質の吸脱着によって応答する高分子ゲルとして、強イオン性高分子ゲルが好ましく、ポリビニルベンゼンスルホン酸の架橋物やビニルベンゼンスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物;ポリアクリルアミドアルキルスルホン酸の架橋物やアクリルアミドアルキルスルホン酸と(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどとの共重合体の架橋物などが挙げられる。これらは、n
−ドデシルピリジニウムクロライドなどのアルキルピリジニウム塩、アルキルアンモニウム塩、フェニルアンモニウム塩、テトラフェニルホスホニウムクロライドなどのホスホニウム塩などのカチオン性界面活性剤と組み合わせることで使用される。さらに(3)電気による酸化・還元によって応答する高分子ゲルとして、カチオン性高分子ゲルが好ましく、ポリジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどポリアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物;ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート;ポリジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのポリ(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物;ポリスチレンの架橋物;ポリビニルピリジンの架橋物;ポリビニルカルバゾールの架橋物;ポリジメチルアミノスチレンの架橋物などが挙げられる。これらは、電子受容性化合物と組み合わせてCT錯体(電荷移動錯体)として使用される。このとき好ましく用いられる電子受容性化合物としては、ベンゾキノン;7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ);過塩素酸テトラブチルアンモニウム;テトラシアノエチレン;クロラニル;トリニトロベンゼン;無水マレイン酸;ヨウ素などが挙げられる。
磁場により可変させられる応答性材料としては、例えば、磁場の付与によって応答する高分子ゲルとして、強磁性体粒子や磁性流体を含有するポリビニルアルコールの架橋物などが挙げられるが、高分子ゲル自体は特に限定されるものではない。高分子ゲルの範疇に含まれるものであればよい。
この他にも、硬度が10〜40の範囲内で電気又は磁気により可変させられる応答性材料としては、例えば、特開2004−107601号公報に記載の電流もしくは電界の付与によって、刺激応答する高分子ゲルあるいは特開2002−256075号公報に記載の刺激応答性の高分子ゲルなどを用いてもよい。更に特開2005−31172号公報に記載の、外部刺激手段によって、可逆的に膨潤/収縮しその径を変化させる高分子ゲルなどを用いてもよい。上記公報につき1例を挙げれば、特開2004−107601号公報に記載の電流もしくは電界の付与によって、刺激応答する高分子ゲルとしては、カチオン性高分子ゲルと電子受容性化合物とのCT錯体(電荷移動錯体)が好ましく、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどアミノ置換(メタ)アクリルアミドの架橋物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートやジメチルアミノプロピルアクリレートなどの(メタ)アクリル酸アミノ置換アルキルエステルの架橋物、ポリスチレンの架橋物、ポリビニルピリジンの架橋物、ポリビニルカルバゾールの架橋物、ポリジメチルアミノスチレンの架橋物、(メタ)アクリル酸およびその塩などの共重合体の架橋物などが挙げられ、特に、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどのジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート系高分子および(メタ)アクリル酸およびその塩などの共重合体は好ましい。耐候性および応答性の観点から、より好ましくは、(メタ)アクリル酸およびその塩の共重合体の架橋物、またポリアクリルアミドアルキルスルホン酸系高分子も好ましく使用される。これらは、ベンゾキノン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、テトラシアノエチレン、クロラニル、トリニトロベンゼン、無水マレイン酸やヨウ素などの電子受容性化合物とを組み合わせて使用することができる。
本発明においては、各々の応答性材料を単独で使用することもできるし、複数の応答性材料を併用して用いることもできる。
上記したように応答性材料37には、上記したように高分子ゲルシート32に用いることのできる高分子ゲルを適用することができる。こうした場合には、応答性材料37のみに電極を配するなどにより、応答性材料37のみを電気又は磁気により可変させられるようにし、高分子ゲルシート32の硬度まで可変されないようにするのが望ましい。ただし
、必要に応じて、高分子ゲルシート32の硬度についても応答性材料37と連動させて、あるいは応答性材料37とは独立させて可変させてもよいなど、特に制限されるものではない。
ここで、サイド部における応答性材料37の大きさ(体積)は、上記したように着座時の荷重負荷に応じて、高分子ゲルシート内の高分子ゲルがクッションメインサイド部方向(図中の矢印方向)に自由に動くことが可能であればよく、特に制限されるものではない。好ましくは、高分子ゲルシート32の体積に対し、5〜50%の範囲である。即ち、応答性材料37の体積が5%未満では、硬度を10〜40の範囲で可変調整できたとしても、該応答性材料37の体積部分だけで吸収できる高分子ゲル量は限られる為、使用形態が制限される恐れがある。ただし、使用形態などによっては、応答性材料37(符号D)の体積が5%未満であっても本発明の作用効果を有効に発現できるものであり、こうした場合には、本発明に含まれることは言うまでもない。一方、応答性材料37の体積が50%を超える場合には、着座時に移動する高分子ゲルを十分吸収できる反面、さらなる応答性材料3の体積増大は、サイド部に求められている支持性能を満足させるのが困難となる場合がある。
なお、応答性材料37の硬度を、高硬度の30〜40の範囲も含めたのは、常にこうした状態のままでは、背景技術で説明した通り、シート着座時に高分子ゲルシート部分が横方向に自由に体積変化できず、着座時に体圧の均一分散性を得ることができない。ただし、長時間の乗車中に、常に同じ状態で座っているよりも、途中で座り心地(着座感)が換わった方が、むしろ疲労を軽減できる場合もある。こうした人間工学をも取り入れて、乗員が長期間の運転ないし添乗(乗車)による疲労を軽減させることができるために、高硬度の範囲も追加したものである。
サイド部に硬度が10〜40の範囲内で電気又は磁気により可変させられる応答性材料37を形成する方法としては、特に制限されるものではなく、従来公知の輸送用シートの製造技術を適用することができる。例えば、第2の実施形態で説明した空間35を有するサイド部を形成後に、当該空間35に応答性材料37を既存の発泡材の成形技術を利用して製造することができる。更に、特公平6−45153号公報中に記載された各種ポリウレタンシートパッドの製造法などを用いることもできる。
なお、本発明のメインサイド部の構造は、メイン部に高分子ゲルシートを有しているシートクッションないしシートバックにのみ設ければよい。ただし、これに制限されない。例えば、全席のシートクッション及びシートバックのメインサイド部については予め本発明の上記構造を設けておき、メイン部については上層部と下層部にセパレート構造とし、上層部側は着脱自在にしておいてもよい。これにより、例えば、自動車用シートを例に取れば、販売時には使用頻度の高いドライバ用のフロントシートだけ本発明の構成とし、残るシートについては、オプション設定により、適時、本発明の構成に変更できるようにすることもできる。この際、本発明の構成に変更するまでは、メインサイド部に空間を設けた場合には、当該空間部分にメインサイド部と同じ材料の詰め物をしておくのが望ましい。また、メイン部の上層部を着脱自在にしておくことで、硬度の異なる高分子ゲルシートや新品の高分子ゲルシート、更には他の発泡ウレタン(ポリウレタンフォーム)、低反発ウレタン(低反発ウレタンフォーム)部材などに適時、取り替えることもできる点で優れている。
以下、本発明の実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。疲労低減シートの座り心地評価として、官能評価を行なった。
[官能評価]
以下の実施例及び比較例で得られた輸送用シートにつき、下記の要領で座り心地評価(官能評価)を行なった。
パネラーに輸送用シートに自由に座ってもらい、着座時の座り心地、支持性能(ホールド感、サポート感)についての5段階評価を行なった。現行の発泡ウレタンのみのシートメイン部の上層部に高分子ゲルシートを重ねた輸送用シート(比較例2)を基準3点とし、やや座り心地の劣る輸送用シートを2点、著しく座り心地が劣る輸送用シートを1点、やや座り心地が快適になった輸送用シートを4点、著しく座り心地が快適になった輸送用シートを5点とした。また、実施例5の輸送用シートに関しては、電圧無印加状態(硬度40で一定)での評価と、更に印加する電圧を変化させて、硬度を10から40まで硬度10、20、30の3段階に可変させた際に、パネラーが最も座り心地、支持性能が良いと思われる硬度20の状態での評価を行った。
(実施例1)
輸送用シートの1種である、図1(A)に示す自動車用フロントシートを図3に示す断面構成となるように、シートクッション及びシートバックメイン部の表層部に高分子ゲルシート(株式会社ジェルテック製;硬度25)を使用し、下層部には発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度30)を用い、シートクッション及びシートバックメインサイド部に低硬度発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度20)を配し、自動車用フロントシートを試作した。なお、輸送用シートの各構成部材の硬度は、いずれも高分子計器株式会社製のアスカーゴム硬度計F型を用いて測定した値を用いた(以下の実施例及び比較例においても同様とした。)。
本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))と下層部側の発泡ウレタン(符号C)との体積比(ほとんど厚さ比率に等しい)は、符号(B):C=0.05:1になるように調整した。
また、メイン部表面からサイド部頂部までの高さ(図中の寸法L)は、約4cmになるように製造した。この点を含め、以下の実施例及び比較例においては、全体の外観形状は基本的に実施例1と同形状の自動車用フロントシートとなるように作製した。但し、比較例3では、メイン部が実施例1と同形状になるようにして自動車用フロントシートを作製した。
(実施例2)
輸送用シートの1種である、図1(A)に示す自動車用フロントシートを図4に示す断面構成となるように、シートクッション及びシートバックメイン部の表層部に高分子ゲルシート(株式会社ジェルテック製;硬度25)を使用し、下層部には発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度30)を用い、シートクッション及びシートバックメインサイド部に高硬度発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度40)を配した。更にシートクッション及びシートバックメインサイド部に、シートバックメイン部の表層部の高分子ゲルシートとの接触面に空間(符号D)を設け、その空間の体積が高分子ゲルシートの5〜50%(詳しくは、後述する符号(B):Dの体積比率として示した。)になるように、自動車用フロントシートを試作した。
本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))と下層部側の発泡ウレタン(符号C)との体積比(ほとんど厚さ比率に等しい)は、符号(B):C=0.05:1になるように調整した。
また、本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))とメインサイド部の空間(符号D)との体積比は、符号(B):D=1:0.1になるように調整した。
(実施例3)
輸送用シートの1種である、図1(A)に示す自動車用フロントシートを図5に示す断面構成となるように、シートクッション及びシートバックメイン部の表層部に高分子ゲルシート(株式会社ジェルテック製;硬度25)を使用し、下層部には発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度30)を用い、シートクッション及びシートバックメインサイド部に高硬度発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度40)を配した。更にシートクッション及びシートバックメインサイド部の、シートバックメイン部の表層部の高分子ゲルシートとの周辺部分(接触面部分)に低反発ウレタン(符号D;東洋ソフランに硬度20として、硬度指定して作製依頼したものを用いた。)を配置し、自動車用フロントシートを試作した。
本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))と下層部側の発泡ウレタン(符号C)との体積比(ほとんど厚さ比率に等しい)は、符号(B):C=0.05:1になるように調整した。
また、本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))とメインサイド部の低反発ウレタン配置部分(符号D)との体積比は、符号(B):D=1:0.1になるように調整した。
(実施例4)
輸送用シートの1種である、図1(A)に示す自動車用フロントシートを図6に示す断面構成となるように、シートクッション及びシートバックメイン部の表層部に高分子ゲルシート(株式会社ジェルテック製;硬度25)を使用し、下層部には発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度30)を用い、シートクッション及びシートバックメインサイド部に高硬度発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度40)を配した。更にシートクッション及びシートバックメインサイド部の、シートバックメイン部の表層部の高分子ゲルシートとの周辺部分(接触面部分)に空間(符号D)及び硬度10〜30の材料として低反発ウレタン(符号D;東洋ソフランに硬度20として、硬度指定して作製依頼したものを用いた。)を配置し、その空間(符号D)及び低反発ウレタン(符号D)の体積の合計(符号D=D+D)が、高分子ゲルシート(符号(B))の5〜50%になるように、自動車用フロントシートを試作した。
本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))と下層部側の発泡ウレタン(符号C)との体積比(ほとんど厚さ比率に等しい)は、符号(B):C=0.05:1になるように調整した。
また、本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))とメインサイド部の空間(符号D)及び低反発ウレタン(符号D)の体積の合計(符号D)との体積比は、符号(B):D=1:0.1になるように調整した。
更に、メインサイド部の空間(符号D)及び低反発ウレタン(符号D)の体積は、符号D:D=1:1になるように調整した。
(実施例5)
輸送用シートの1種である、図1(A)に示す自動車用フロントシートを図7に示す断面構成となるように、シートクッション及びシートバックメイン部の表層部に高分子ゲル
シート(株式会社ジェルテック製;硬度25)を使用し、下層部には発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度30)を用い、シートクッション及びシートバックメインサイド部に高硬度発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度40)を配した。更にシートクッション及びシートバックメインサイド部の、シートバックメイン部の表層部の高分子ゲルシートと接する周辺部分(接触面部分)に、硬度10〜40へ電気(磁気)により可変させられる応答性材料として高分子ゲル(符号D;本実施例では、ポリアクリル酸Naで作られた高分子ゲルを用いた。)を配して、自動車用フロントシートを試作した。
本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))と下層部側の発泡ウレタン(符号C)との体積比(ほとんど厚さ比率に等しい)は、符号(B):C=0.05:1になるように調整した。
また、本実施例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))とメインサイド部の応答性材料としての高分子ゲル(符号D)との体積比は、符号(B):D=1:0.1になるように調整した。
更に、本実施例では、応答性材料である高分子ゲルは、電圧無印加時の硬度は40であり、電圧を印加した状態で硬度が10〜40の範囲で任意に可変できるようにした。ただし、官能評価では、便宜的に約10、20、30、40の4段階に切り替えて、評価した。
(比較例1)
現行の低硬度発泡ウレタンと高硬度発泡ウレタンのみで自動車用フロントシートを試作した。
即ち、輸送用シートの1種である、図1(A)に示す自動車用フロントシートを図8に示す断面構成となるように、シートクッション及びシートバックメイン部に現行の発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度30)を用い、シートクッション及びシートバックメインサイド部に現行の高硬度発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度40)を配し、自動車用フロントシートを試作した。
本比較例のメイン部(符号C)の体積は、実施例1〜5のメイン部全体の体積と同じにし、サイド部(符号A)の体積も実施例1〜5のサイド部全体の体積と同じ大きさにした。
(比較例2)
輸送用シートの1種である、図1(A)に示す自動車用フロントシートを図9に示す断面構成となるように、シートクッション及びシートバックメイン部の表層部に高分子ゲルシート(株式会社ジェルテック製;硬度25)を使用し、下層部には発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度30)を用い、シートクッション及びシートバックメインサイド部に高硬度発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度40)を配し、自動車用フロントシートを試作した。
本比較例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号(B))と下層部側の発泡ウレタン(符号C)との体積比(ほとんど厚さ比率に等しい)は、符号B:C=0.05:1になるように調整した。
(比較例3)
輸送用シートの1種である、図1(A)に示す自動車用フロントシートを図10に示す
断面構成となるように、シートクッション及びシートバックメイン部の表層部に高分子ゲルシート(株式会社ジェルテック製;硬度25)を使用し、下層部には発泡ウレタン(株式会社イノアックコーポレーション製;硬度30)を用い、サイド部を設けずに、自動車用フロントシートを試作した。
本比較例での、メイン部の上層部側の高分子ゲルシート(符号B)と下層部側の発泡ウレタン(符号C)との体積比(ほとんど厚さ比率に等しい)は、符号B:C=0.05:1になるように調整した。
得られた実施例1〜5及び比較例1〜3の輸送用シートの各部材の材料(購入元)及び硬度、上記官能評価結果を表1に示す。
上記表1の結果から、メインサイド部方向に高分子ゲルシートが自由に動き、かつ乗員の支持性能を満足することのできる構造として、実施例1のように、メイン部の上層部に高分子ゲルシートを配し、メインサイド部として硬度20の低硬度発泡ウレタンを用いることで、既存の比較例1、2と比較して、高い官能評価を得ることができた。このことから、長時間座っていても疲労が軽減され、適度なホールド性とクッション性を発現することができることが確認できた。
また、実施例2〜5のように、メイン部の上層部に高分子ゲルシートを配し、メインサイド部の周辺部分に空間や硬度20の低硬度発泡ウレタンや応答性材料(最適値:硬度20)を用いることで、実施例1よりも高い官能評価を得ることができた。実施例2〜5のように、メインサイド部には高硬度材料を配し、サイド部の周辺部分Dに空間や硬度20の低硬度発泡ウレタンや応答性材料を配する構成が、長時間座っていても疲労が軽減され、適度なホールド性とクッション性を発現することができることが確認できた。
以上、説明してきたように本発明の構成による輸送用シートは、シートクッション及び/またはシートバックメイン部に高分子ゲルシートを使用し、シートクッション及び/またはシートバックメインサイド部方向に高分子ゲルシートが自由に動き、かつ、周囲に支持性能を満足する硬度のシートクッション及び/またはシートバックメインサイドを配して、適度なサポート性とホールド感を発現し、長時間の運転時でも疲労が低減させる効果がある。
更に、周囲に配した高硬度ウレタンパッドとの接触部に空間を設けることで、シート着座時に高分子ゲルシート部分が横方向に自由に変形できるスペースを確保し、着座時の体圧の均一分散性を向上させ、常に狙いのクッション性、ホールド感が発現し、快適性を高める効果がある。
本発明の輸送用シートの代表的な実施形態の1つである自動車用シートにおける、シートクッション及びシートバックのメイン部とサイド部とを表した斜視概略図(イメージ図)である。このうち、図1(A)は、自動車用フロントシートを表す斜視概略図である。図1(B)は、自動車用リヤシートを表す斜視概略図である。 本発明の輸送用シートの代表的な実施形態の1つである自動車用フロントシートのシートクッションにおける、メイン部と、サイド部と、高分子ゲルシートと、サイド部に設けた高分子ゲルシートが動く部分を吸収できる構造部分と、の位置関係を模式的に表した部分透過した平面概略図(イメージ図)である。 第1の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図3(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図3(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。 第2の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図4(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図4(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。 第3の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図5(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図5(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。 第4の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図6(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図6(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。 第5の実施形態におけるシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図7(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図7(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。 比較例1で作製した自動車用フロントシートのシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図8(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図8(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。 比較例2で作製した自動車用フロントシートのシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図9(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図9(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。 比較例3で作製した自動車用フロントシートのシートクッション部分の断面構造(図1のX−X線断面)を模式的に表した断面概略図であって、図10(A)は、乗員が着座していない状態の断面概略図であり、図10(B)は、乗員が着座した状態の断面概略図である。
符号の説明
1(丸数字) メイン部、
2(丸数字) メインサイド部、
3(丸数字) マチ部、
11 シートクッション、
13 シートバック、
A サイド部、
B メイン部の上層部(表層部)、
C メイン部の下層部
D 高分子ゲルシートと接するサイド部の周辺部分、
30 乗員、
31 サイド部の初期変形時の反発力が少ない材料(低硬度のパッド部材)、
32 メイン部の下層部の高分子ゲルシート、
32a 高分子ゲルシートがサイド部方向に拡幅した部分、
33 メイン部の下層部の発泡または低反発ウレタンなどの部材、
34 サイド部の初期変形時の反発力が多い材料(高硬度のパッド部材)、
35 サイド部の周辺部分の空間、
36 サイド部の周辺部分の硬度が10〜30の材料、
37 サイド部の周辺部分の応答性材料。

Claims (5)

  1. シートクッション及び/またはシートバックのメイン部に高分子ゲルシートを有し、
    シートクッション及び/またはシートバックのメインサイド部方向に該高分子ゲルシート中の高分子ゲルが自由に動くことが可能であり、かつ乗員の支持性能を満足するシートクッション及び/またはシートバックのメインサイド部を有する構造を特徴とする輸送用シート。
  2. 上記シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の高分子ゲルシートと接するシートクッション及び/またはシートバックのメインサイド部の周辺部分に、高分子ゲルシートの体積に対し、5〜50%の空間を設けた構造を有することを特徴とする請求項1に記載の輸送用シート。
  3. 上記シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の高分子ゲルシートと接するシートクッション及び/またはシートバックのメインサイド部の周辺部分に、硬度が10〜30の材料で形成され、高分子ゲルシートが動く部分を吸収できる構造を有することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の輸送用シート。
  4. 上記シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の高分子ゲルシートと接するシートクッション及び/またはシートバックのメインサイド部の周辺部分に、高分子ゲルシートの体積に対し、空間及び硬度10〜30の材料の体積の合計が5〜50%を有する構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の輸送用シート。
  5. 上記シートクッション及び/またはシートバックのメイン部の高分子ゲルシートと接するシートクッション及び/またはシートバックのメインサイド部の周辺部分に、硬度が10〜40の範囲内で電気又は磁気により可変させられる応答性材料により、前記高分子ゲルシートが動く部分を動的に吸収および/または反発できる構造を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の輸送用シート。
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