JP2007012980A - 熱電変換素子およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】 超格子構造を有する熱電性能が高い熱電変換素子およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 超格子構造20を有する熱電変換素子1であって、超格子構造20は、Siを含む第1の層11と、GeおよびAuを含む第2の層12とを交互に積層することにより形成され、第1の層11および第2の層12はいずれもアモルファスである熱電変換素子。超格子構造20を有する熱電変換素子1の製造方法であって、イオンビームスパッタ法により、2種類以上のターゲットに照射する2以上のイオンビームを調整して、−100℃以上400℃以下において、Siを含む第1の層11と、GeおよびAuを含む第2の層12とを交互に積層する工程を含む熱電変換素子の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、超格子構造を有する熱電性能の高い熱電変換素子およびその製造方法に関する。
材料にかかる温度勾配を起電力に変える機能、または、材料に電流を流すことにより冷却または加熱の機能を有する熱電変換材料として、Si−Ge、Fe−Si、Bi−Teなどが知られている。これらの材料は、一般的に、フローティングゾーン法、チョコラルスキ法またはブリッジマン法などにより、各元素の高純度原料を溶融させて混合させた後、冷却することにより混晶を形成させることにより得られている。
しかし、上記のようにして得られた熱電変換材料は、その熱電性能が低く、広く実用化を図ることが困難であった。ここで、熱電性能とは、温度差を起電力に変換する性能をいい、たとえば、熱電性能指数ZT=(α2/ρκ)×T(ここで、αはゼーベック係数、ρは電気抵抗率、κは熱伝導率、Tは絶対温度を示す)などにより評価される。たとえば、従来のバルク材料であるSi−Ge、Fe−Si、Bi−Teについての熱電性能は、以下の数値が知られている(たとえば、非特許文献1および非特許文献2を参照)。すなわち、Si−Geの熱電性能は、ZT=0.2〜0.4、α=100〜200(μV/K)、ρ=10〜20(μΩm)、κ=3.0〜5.0(W/mK)である。Fe−Siの熱電性能は、ZT=0.1〜0.4、α=200〜500(μV/K)、ρ=10〜30(μΩm)、κ≦3.5(W/mK)である。Bi−Teの熱電性能は、ZT=0.4〜0.9、α=120〜240(μV/K)、ρ=3.0〜10(μΩm)、κ=1.5〜3.0(W/mK)である。
近年の微細加工技術の発展に伴い、2種以上の異なる物質の薄層を交互に積層してなる人工的な周期構造である超格子構造を形成することにより、熱電性能の向上を図る試みが始められた(たとえば、特許文献1を参照)。
特表平08−505736号公報 D.M.Roweed、"CRC Handbook of Thermoelectrics"、1995年7月14日 上村欣一、西田勲、「熱電半導体とその応用」、日刊工業新聞社、1988年12月、p36,44,170,173,175,179
本発明は、超格子構造を有する熱電性能が高い熱電変換素子を提供することを目的とする。
本発明は、超格子構造を有する熱電変換素子であって、この超格子構造は、Siを含む第1の層と、GeおよびAuを含む第2の層とを交互に積層することにより形成され、第1の層および第2の層はいずれもアモルファスである熱電変換素子である。
また、本発明は、超格子構造を有する熱電変換素子の製造方法であって、イオンビームスパッタ法により、2種類以上のターゲットに照射する2以上のイオンビームを調整して、−100℃以上400℃以下において、Siを含む第1の層と、GeおよびAuを含む第2の層とを交互に積層する工程を含む熱電変換素子の製造方法である。
本発明によれば、超格子構造を有する熱電性能が高い熱電変換素子を提供することができる。
本発明にかかる熱電変換素子の1つの実施形態は、図1を参照して、超格子構造20を有する熱電変換素子1であって、この超格子構造20は、Siを含む第1の層11と、GeおよびAlを含む第2の層12とを交互に積層することによって形成され、上記第1の層11および第2の層12は、いずれもアモルファスである。
ここで、熱電変換素子の熱電性能は、以下の式(1)
ZT=(α2/ρκ)×T (1)
(式(1)において、αはゼーペック係数、ρは電気抵抗率、κは熱伝導率、Tは絶対温度を示す)で表わされる熱電性能指数ZTなどにより評価することができる。すなわち、熱電性能指数が高いほど熱電変換効率が高いことを示す。式(1)から、熱電性能指数ZTを高めるためには、ゼーペック係数α、温度Tを増大させ、電気抵抗率ρ、熱伝導率κを減少させることが必要なことがわかる。
本発明の熱電変換素子が有する超格子構造とは、2種以上の異なる物質の薄層を交互に積層してなる人工的な周期構造をいう。この超格子構造中における電気伝導および熱伝導を考える。電気を伝えるキャリアは、電子または正孔という量子力学的な粒子であり、この電子または正孔は、超格子構造により形成されたポテンシャルの壁を通り抜けることができる。このため、超格子構造においては、電気伝導の低下が少ない(電気抵抗率ρが高くならない)ことが期待できる。一方、熱は上記キャリアとフォノン(格子振動のエネルギー量子)によって伝えられる。一般に、半導体においてはフォノンによる熱伝導は、全体の熱伝導の半分程度になる。このフォノンはキャリアと異なり、古典的な粒子として振舞うので、各薄層間の界面に異種の原子が存在する超格子構造においては、各薄層間の界面によって散乱される。このため、フォノンの平均自由工程が短くなり、熱伝導率κが低くなることが期待できる。
また、図2を参照して、従来のバルク構造から超格子構造にすることにより、状態密度は急峻となり、フェルミ準位近くでキャリア密度が急激に変化するため、ゼーベック係数αおよびキャリア数の増大が期待できる。なお、図2において、Bはバルク構造についての曲線(破線)を、Sは超格子構造についての曲線(実線)を示し、フェルミ準位を1点破線の直線で示す。
このように、超格子構造を有することにより、上記(1)式において、電気抵抗率ρが高くならず、熱伝導率κが低くなり、また、ゼーベック係数αが高くなることが期待されることから、結果として熱電性能指数ZTが高くなることが期待できる。
また、本発明の熱電変換素子が有する超格子構造は、Siを含む第1の層と、GeおよびAuを含む第2の層とを交互に積層することにより形成される。熱電変換素子として機能するために、超格子構造を形成する薄層は、半導体層または金属層とする必要がある。本発明においては、ドーピングにより電気伝導率の調節が極めて容易な半導体層として、Siを含む第1の層と、GeおよびAuを含む第2の層を用いて、超格子構造を形成することとした。
第1の層は、Siを含む半導体層であれば特に制限はなく、Siを主成分とする半導体層、Siから形成される半導体層などが好ましく用いられる。また、第2の層は、GeおよびAuを含む半導体層であれば特に制限はなく、Geを主成分としAuが含まれる半導体層などが好ましく用いられる。第2の層において、GeにAuなどの金属元素が添加されていることにより、Geのバンドギャップが小さくなり、フェルミ準位近くの状態密度が急峻となり、ゼーベック係数αが高くなることが期待される。ここで、第2の層におけるAuの含有量は、特に制限はないが、1原子%〜10原子%程度が好ましい。Auの含有量が、1原子%未満であるとAuの添加による状態密度の急峻化効果が小さく、10原子%を超えると金属層に近くなり状態密度の急峻性が失われるため、いずれの場合もゼーベック係数αは低下するものと考えられる。
また、超格子構造を形成する第1の層および第2の層の厚さは、上記の量子効果を奏する程度に薄ければ特に制限はないが、キャリアの平均自由行程の観点から、3nm(30Å)以下が好ましく、2nm(20Å)以下がより好ましく、1nm(10Å)以下がさらに好ましい。
また、第1の層の積層数mおよび第2の層の積層数nは、特に制限はないが、熱電変換により取り出される電流を大きくする観点から、m+nは20以上が好ましく、200以上がより好ましい。また、熱電変換素子の膜応力を低減する観点から、m+nは1000未満であることが好ましい。ここで、mおよびnは、1以上の整数とする。また、第1の層の積層数mと第2の層の積層数nとは、同じであっても、異なっていてもよいが、交互に第1の層と第2の層とを積層させる観点から、|m−n|≦1であることが好ましい。
また、超格子構造を形成する第1の層および第2の層は、アモルファスであることが好ましい。第1の層および第2の層をアモルファスとすることにより、局所的な歪みが生じ、状態密度が急峻となり、ゼーペック係数αが増大がするものと考えられる。
本発明にかかる熱電変換素子の製造方法の1つの実施形態は、図1および図3を参照して超格子構造20を有する熱電変換素子の製造方法であって、イオンビームスパッタ法により、ターゲットホルダ32に2種類以上のターゲット34を配置し、2種類以上のターゲット34に照射する2以上のイオンビームを調整して、−100℃以上400℃以下において、基体10上にSiを含む第1の層11と、GeおよびAuを含む第2の層12とを交互に積層する工程を含む。
図3を参照して、本発明にかかる熱電変換素子の製造において、好ましく用いられるイオンビームスパッタ装置30は、たとえば、円筒形のチャンバー39の一方の端に基体ホルダ31が、他方の端にターゲットホルダ32およびアシストイオン源36が配置されている。また、チャンバー39の中央部にスパッタ用のイオン源33が、その各々のイオン源33a,33b,33c,33dがターゲットホルダ32に固定される4つのターゲット34の各々のターゲット34a,34b,34c,34dにイオンビームを照射するように配置されている。さらに、基体ホルダ31上に各ターゲット34a,34b,34c,34dから等距離になるように基体10が固定されている。
上記イオンビームスパッタ装置30を用いて、たとえば、以下のようにしてSiを含む第1の層とGeおよびAuを含む第2の層が交互に積層されている超格子構造を有する熱電変換素子を製造することができる。第1の層を形成するためのターゲットであるSiをターゲット34aとし、第2の層を形成するためのターゲットであるGeおよびGe−Auをそれぞれターゲット34bおよびターゲット34cとして準備する。ここで、第2の層を形成するために、Au含有量の異なる2以上のターゲットを用いることにより、第2の層のAu含有量の調節が可能となる。たとえば、ターゲット34cとしてGe−Au(Au含有量が6.1原子%)を用いることにより、イオン源33bおよびイオン源33cからのイオンビームの強度を調節することにより、第2の層であるGe−Au層のAu含有量を0〜6.1原子%の範囲で調節することができる。
まず、イオン源33aを用いてターゲット34aであるSiにイオンビームを照射してSi原子をスパッタして基体10上に堆積させて、第1の層としてSi層を形成する(第1の層の形成工程)。次に、イオン源33bおよび/またはイオン源33cを用いて、ターゲット34bであるGeおよび/またはターゲット34cであるGe−Auにそれぞれイオンビームを照射して、Ge原子およびAu原子をスパッタして第1の層11であるSi層上に堆積させて、第2の層12としてGe−Au層を形成する(第2の層の形成工程)。
次に、第2の層であるGe−Au層上に上記第1の層の形成工程によりSi層を形成し、さらにこのSi層上に上記第2の層の形成工程によりGe−Au層を形成する。このようにして、第1の層(Si層)と第2の層(Ge−Au層)とを交互に積層させて超格子構造を形成することができる。
なお、上記の第1の層および第2の層の形成において、アシストイオン源36は、スパッタされたSi原子、またはGe原子およびAu原子の堆積を促進させるために用いられる。
本実施形態の熱電変換素子の製造方法においては、第1の層および第2の層をアモルファスとする観点から、400℃以下で第1の層および第2の層を形成する。また、第1の層および第2の層の耐熱性を維持する観点から、−100℃以上で第1の層および第2の層を形成する。したがって、本実施形態の熱電変換素子の製造方法においては、10℃以上30℃以下程度の室温においても、第1の層および第2の層の形成が可能となる。室温付近での層形成は、たとえば基体フォルダ31を冷却することにより可能となる。
なお、図1の熱電変換素子は、基体10上にSiを含む第1の層が形成され、その上にGeおよびAuを含む第2の層、さらに上記第1の層、上記第2の層と、第1の層と第2の層が交互に積層されているが、基体10上にGeおよびAuを含む第2の層が形成され、その上にSiを含む第1の層、上記第2の層、上記1の層と、第1の層と第2の層が交互に積層されている熱電変換素子も本願発明に含まれる。また、上記熱電変換素子の製造方法の実施形態において、基体10上にSiを含む第1の層を形成し、その上にGeおよびAuを含む第2の層、さらに上記第1の層、上記第2の層と、第1の層と第2の層とを交互に積層する場合について説明したが、基体10上にGeおよびAuを含む第2の層を形成され、その上にSiを含む第1の層、上記第2の層、上記1の層と、第1の層と第2の層とを交互に積層する場合も本願発明に含まれる。
(実施例1)
図3を参照して、ターゲット34aとしてSi(純度99.99質量%)、ターゲット34cとしてGe−Au(純度99.9質量%、Ge含有量93.9原子%、Au含有量6.0原子%)を用いた。スパッタガスとしてはArガスを用いた。スパッタガスは、それぞれのイオン源33a,33cにガスを導入したときにチャンバー39内の圧力が9.31mPa(7×10-5Torr)となるように調整した。また、加速電圧は1200V、イオン電流は150mAとした。
まず、ターゲット34aにイオン源33aからArイオンビームを照射して基体10上に第1の層としてSi層を12秒間堆積させた。次に、ターゲット34cにイオン源33cからArイオンビームを照射してSi層上に第2の層としてGe−Au層を12秒間成長させた。次に、Ge−Au層上に、さらに上記と同様にして第1の層であるSi層を形成し、このSi層上にさらに上記と同様にして第2の層であるGe−Au層を形成した。このようにして、第1の層(Si層)および第2の層(Ge−Au層)の積層数がそれぞれ200である超格子構造を有する熱電変換素子を作製した。このとき、第1の層および第2の層の形成は、基体10を冷却することにより、雰囲気温度10℃で行なった。
なお、上記の第1の層および第2の層の形成の際には、各層の厚さのばらつきを低減するため、3rpmで基体ホルダ41を回転させた。また、ターゲット表面の不純物の影響を低減するため、シャッター(図示せず)を閉めて6秒間以上プレスパッタを行なった後、シャッターを開いて各層の形成を行なった。
得られた熱電変換素子をXRD(X線回折)法により解析を行なった。第1の層および第2の層には結晶を示す回折ピークが認められず、いずれもアモルファスであることがわかった。また、第1の層と第2の層との間の界面に由来する回折ピークの解析から、第1の層の厚さは0.6nm(6Å)、第2の層の厚さは2.0nm(20Å)であることがわかった。得られた熱電変換素子の第2の層におけるAuの含有量を、XPS(X線光電子分光)法により定量したところ、6原子%であり、ターゲット34cのAu含有量と一致した。このような本実施例の熱電変換素子を、[Si(0.6nm)/Ge0.94Au0.06(2.0nm)]200とも表記する。
得られた熱電変換素子([Si(0.6nm)/Ge0.94Au0.06(2.0nm)]200)のゼーペック係数αおよび電気抵抗率ρを以下のようにして測定した。図4を参照して、真空理工社製ZEM−1を測定装置として用いて、ZEM−1の赤外加熱炉47内において、熱電変換素子1をセラミックスブロック41に銀ペースト42aで固定し、セラミックスブロック41の両端にニッケル板43a,43bを設け、これらのニッケル板43a,43bをそれぞれ熱電変換素子1の両端に電気的に接続した。一方のニッケル板43aをヒータ44に、他方のニッケル板43bをヒートシンク45に接触させて、ヒータ44を加熱することにより、セラミックスブロック41および熱電変換素子1に温度勾配を設けた。ここで、ヒータ44およびヒートシンク45は電流端子としての機能も有する。また、熱電変換素子1の高温部および低温部に、それぞれ銀ペースト42c,42dを用いて熱電対46a,46bを固定した。上記ニッケル板43a,43bおよび銀ペースト42a,42bを通じて、熱電変換素子1に電流I48を流して、熱電対46a,46bにより、高温部と低温部との温度差ΔT、熱起電力ΔVおよび熱電変換素子の電圧Vの値を読み取ることによって、ゼーペック係数αおよび電気抵抗率ρ(=V/I)を得た。セラミックスブロック41に20Kおよび40Kの温度差ΔTを与えて、そのときの熱電変換素子の温度Tを測定し、そのときに発生した熱起電力ΔVを直線回帰することにより、その回帰直線の傾きからゼーペック係数αを得た。
本実施例の熱電変換素子([Si(0.6nm)/Ge0.94Au0.06(2.0nm)]200)のゼーペック係数αおよび電気抵抗率ρを図5に示した。なお、図5中の破線矢印は各グラフの昇温時および降温時における変化方向を示し、図5中の実線矢印は各グラフについての参照座標軸の方向を示す。
図5より明らかなように、本熱電変換素子([Si(0.6nm)/Ge0.94Au0.06(2.0nm)]200)の電気抵抗率ρは、温度の上昇とともに低下した。一方、本熱電変換素子のゼーベック係数αは、温度の上昇とともに増大するが、700K付近で極大値530μV/Kとなりその後低下した。また、いずれの場合も、降温時の物性は昇温時の物性と異なっていた。これは、超格子構造におけるSi層とGe−Au層との界面におけるSiおよびGeの拡散と結晶化によるものと考えられる。
比較のために、従来の材料であるSi−Geバルク材料で形成された熱電変換素子のゼーペック係数αと電気抵抗率ρの値を図6に示した。図6において、p型はSi−GeにBを1×1019cm-3程度添加したバルク材料であり、n型はSi−GeにAsを1×1019cm-3程度添加したバルク材料である。いずれのバルク材料も、プラズマ焼結により作製した。なお、図6中の実線矢印は各グラフについての参照座標軸の方向を示す。図6より明らかなように、Si−Geバルク材料のゼーペック係数αは、温度の上昇とともに増大し、800〜950℃(1073〜1223K)付近で極大値240μV/Kとなりその後低下していた。
上記のことから、本実施例の超格子構造を有する熱電変換素子([Si(0.6nm)/Ge0.94Au0.06(2.0nm)]200)は、Si−Geバルク材料から形成されている従来の熱電変換素子に比べて、2倍よりも高いゼーペック係数αを有しているため、熱電性能の向上が図れる。また、ゼーベック係数αの極大値が低温側にシフトするため、特に従来よりも低温領域における熱電性能の向上が図れる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明でなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
本発明にかかる熱電変換素子の1つの実施形態を示す断面模式図である。 バルク構造および超格子構造における状態密度およびキャリア密度を示す模式図である。 本発明において用いられるイオンビームスパッタ装置の1つの具体例を示す模式図である。 熱電変換素子のゼーベック係数および電気抵抗率を測定する装置の1つの具体例を示す模式図である。 本発明にかかる熱電変換素子の1つの実施例における温度と、ゼーベック係数および電気抵抗率との関係を示す図である。 従来の熱電変換素子における温度と、ゼーベック係数および電気抵抗率との関係を示す図である。
符号の説明
1 熱電変換素子、10 基体、11 第1の層、12 第2の層、20 超格子構造、30 イオンビームスパッタ装置、31 基体ホルダ、32 ターゲットホルダ、33,33a,33b,33c,33d イオン源、34,34a,34b,34c,34d ターゲット、36 アシストイオン源、39 チャンバー、41 セラミックスブロック、42a,42b,42c,42d 銀ペースト、43a,43b ニッケル板、44 ヒータ、45 ヒートシンク、46a,46b 熱電対、47 赤外加熱炉、48 電流。

Claims (2)

  1. 超格子構造を有する熱電変換素子であって、
    前記超格子構造は、Siを含む第1の層と、GeおよびAuを含む第2の層とを交互に積層することにより形成され、
    前記第1の層および前記第2の層はいずれもアモルファスである熱電変換素子。
  2. 超格子構造を有する熱電変換素子の製造方法であって、
    イオンビームスパッタ法により、2種類以上のターゲットに照射する2以上のイオンビームを調整して、−100℃以上400℃以下において、Siを含む第1の層と、GeおよびAuを含む第2の層とを交互に積層する工程を含む熱電変換素子の製造方法。
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