JP2007012233A - 光情報記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 光超解像技術を用いた光情報記録媒体の再生耐久性を向上する。
【解決手段】 超解像層17と記録層14との間に、低熱伝導性を有する断熱層15を設けた
【選択図】 図1
【解決手段】 超解像層17と記録層14との間に、低熱伝導性を有する断熱層15を設けた
【選択図】 図1
Description
本発明は、光情報記録媒体に関し、より詳しくはヒートモードの光超解像技術を用いた光情報記録媒体に関する。
近年、マルチメディア化に伴い、大量のデータの配布や長期保存に適した情報記録媒体として、光情報記録媒体(光ディスク)が注目されている。この光ディスクには、製造時にスタンピングされた情報の再生のみ可能な再生専用型ディスク、色素等からなる記録膜を設けて一回だけ記録可能な追記型ディスク、光磁気記録方式や相変化記録方式によりデータの書き換え消去が何度も可能な書き換え型ディスクが知られている。
光ディスクからのデータの再生及び光ディスクへのデータの記録は、いずれもレーザ光を用いて行う。入射レーザ光は、対物レンズを用いて光ディスク上に集光し、光スポットを回折限界にまで絞り込む。このときの光スポットの径は、レーザ光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NAに比例した値となる。近年、光ディスクの大容量化が求められているが、これらの要求に応えるには、この光スポットをさらに小径化し、記録データを高密度化することが必要となる。例えば、CDのレーザ波長λが780nm、対物レンズの開口数NAが0.45であるのに対し、DVDでは、波長λを650nm或いは635nm、開口数NAを0.6とすることで、高密度化を行っている。さらに、次世代の光ディスクにおいては、光スポットをさらに絞り込んで高密度化を実現するために、波長λを400nm程度、開口数NAを0.6超とした光ディスクシステムが提案されている。
しかしながら、これらの高密度化技術は、記録密度が高くなるに伴い、さらなるレーザ光源の短波長化や高NA化が難しくなってきている。そこで、別の大容量化技術として、入射レーザ光の光スポットを、光ディスク内部でさらに小さく絞り込む光超解像技術が注目されつつある。光超解像技術を用いた光情報記録媒体においては、低温部と高温部で光学特性の異なる超解像層を用いる。例えば、低温部では低透過率で高温部では高透過率となる超解像層を用いれば、光スポット外周付近(低温部)の光はマスクされ、逆に光スポット中心付近(高温部)では光が超解像層を透過し開口となるので、その結果、超解像層の開口によってさらに絞り込まれた光スポットが利用可能となる。光ディスクと光スポットは相対運動しているため、実際は、光スポット中心位置と高温部中心位置には、ずれが生じる。高温部中心位置は、光スポット進行方向に対して後ろ側に位置するため、高温中心部に開口が開けばRAD(Rear Aperture Detection)方式、逆に高温中心部がマスクとなり低温部に開口が開けばFAD(Front Aperture Detection)方式と呼ばれている。
具体的な光超解像技術としては、例えば、Co3O4を含む積層型の集光機能層を用いた光情報記録媒体(特許文献1)、ZnO温度感応層を用いた光情報記録媒体(特許文献2)、光非線形特性を有するSb薄膜を用いた光情報記録媒体(非特許文献1)が開示されている。
超解像層によって再生レーザ光の光スポットを絞り込むには、超解像層を局所的に昇温する必要があるため、再生専用型以外の光情報記録媒体への適用が難しい。追記型や書き換え型の光情報記録媒体へ適用した場合、再生レーザ光照射時に超解像層から記録層への熱伝導が生じてしまい、繰り返し再生を行うと、この熱伝導によって、記録層に形成されている記録マークが擾乱或いは破壊されてしまう恐れがあるからである。すなわち、十分な再生耐久性を確保することが難しい。
本発明は、このような技術的課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、レーザ光の光スポットを小さく絞り込む効果を有する超解像層と、情報が記録される記録層とを備える光情報記録媒体において、再生耐久性に優れた光情報記録媒体を提供することにある。
本発明では、レーザ光入射側から順に、入射レーザ光の光スポットを小さく絞り込むための超解像層と、情報が記録される記録層と、を備える光情報記録媒体において、超解像層と記録層との間に、低熱伝導性を有する断熱層を設けた。断熱層は、熱伝導率0.01W/cm・K以下の材料から形成され、50nm以上、200nm以下の層厚を有することが好ましい。
超解像層は、Co3O4、Fe2O3、ZnO、Sbのいずれかを含むことが好ましい。断熱層は、ZnS、SiO2、TiO2、Nb2O5、CeO2のいずれか或いは二つ以上の組み合わせであることが好ましい。超解像層と断熱層との間には、超解像層と断熱層との材料の拡散を遮断する拡散防止層を設けることが好ましい。
本発明によれば、超解像層と記録層とを備える光情報記録媒体の再生耐久性を向上することができる。
以下、添付図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、ここでは、膜面側から記録再生光を入射する方式の光情報記録媒体について述べるが、本発明は、基板側から記録再生光を入射する方式の光情報記録媒体に適用することもできる。尚、本実施の形態においては、光情報記録媒体に記録再生光が入射する側を光情報記録媒体の上側とし、記録再生光が入射する側と反対側を光情報記録媒体の下側として説明を行う。例えば、膜面入射型光情報記録媒体の場合は、基板側が、光情報記録媒体の下側となり、膜面側が光情報記録媒体の上側となる。
(情報記録媒体)
図1は、本発明による光情報記録媒体の構成例を示す図である。図1には、膜面入射型光情報記録媒体の層構成が示されている。この光情報記録媒体は、ディスク基板11と、このディスク基板上に積層された反射層12、誘電体層13、記録層14、断熱層15、拡散防止層16、超解像層17と、透明樹脂からなるカバー層18と、から構成される。この光情報記録媒体は、カバー層18側から入射するレーザ光を記録再生光として、記録層14に情報が記録され、また、記録された情報が再生される。
図1は、本発明による光情報記録媒体の構成例を示す図である。図1には、膜面入射型光情報記録媒体の層構成が示されている。この光情報記録媒体は、ディスク基板11と、このディスク基板上に積層された反射層12、誘電体層13、記録層14、断熱層15、拡散防止層16、超解像層17と、透明樹脂からなるカバー層18と、から構成される。この光情報記録媒体は、カバー層18側から入射するレーザ光を記録再生光として、記録層14に情報が記録され、また、記録された情報が再生される。
(ディスク基板)
ディスク基板11は、プラスチック、ガラス、金属等の材料により形成され、本実施の形態においては円盤状の形状を有する。ディスク基板の具体的な材料としては、ポリカーボネート樹脂、非晶質ポリオレフィン、アルミニウム合金などが挙げられる。基板側から記録再生光を入射する方式の基板入射型光情報記録媒体の場合、ディスク基板の材料は、プラスチックやガラス等の透明材料に限られる。ディスク基板の表面には、例えば射出成型などによって、スパイラル状或いは同心円状のトラッキング案内溝や、トラッキング案内溝のウォブルやプリピットからなるディスク識別情報やアドレス情報等が予め形成されている。ディスク基板のトラッキング案内溝が形成された面上には、後述の層構成が形成されている。
ディスク基板11は、プラスチック、ガラス、金属等の材料により形成され、本実施の形態においては円盤状の形状を有する。ディスク基板の具体的な材料としては、ポリカーボネート樹脂、非晶質ポリオレフィン、アルミニウム合金などが挙げられる。基板側から記録再生光を入射する方式の基板入射型光情報記録媒体の場合、ディスク基板の材料は、プラスチックやガラス等の透明材料に限られる。ディスク基板の表面には、例えば射出成型などによって、スパイラル状或いは同心円状のトラッキング案内溝や、トラッキング案内溝のウォブルやプリピットからなるディスク識別情報やアドレス情報等が予め形成されている。ディスク基板のトラッキング案内溝が形成された面上には、後述の層構成が形成されている。
(反射層)
反射層12は、光情報記録媒体において所望の反射率を得るため、また、記録層14の放熱性制御のために設けられる。反射層を形成するための材料としては、特に限定されず、例えば、Al合金、Ag合金、Au合金等の高反射率の金属材料や、Si−H、TiO2等の半反射材料が用いられる。
反射層12は、光情報記録媒体において所望の反射率を得るため、また、記録層14の放熱性制御のために設けられる。反射層を形成するための材料としては、特に限定されず、例えば、Al合金、Ag合金、Au合金等の高反射率の金属材料や、Si−H、TiO2等の半反射材料が用いられる。
(誘電体層)
誘電体層13は、光情報記録媒体の反射率制御や記録層の放熱性制御のために、必要に応じて設けられる。誘電体層を形成するための材料としては、特に限定されず、例えば、ZnS−SiO2、Si−N、SiO2、Al2O3等の透明材料が用いられる。
誘電体層13は、光情報記録媒体の反射率制御や記録層の放熱性制御のために、必要に応じて設けられる。誘電体層を形成するための材料としては、特に限定されず、例えば、ZnS−SiO2、Si−N、SiO2、Al2O3等の透明材料が用いられる。
(記録層)
記録層14を形成する材料としては、ヒートモード記録材料が好ましい。例えば、Ge−Sb−Te等の相変化記録材料が用いられる。記録層と隣接する層との間に、数nm以下の界面層を設けても良い。
記録層14を形成する材料としては、ヒートモード記録材料が好ましい。例えば、Ge−Sb−Te等の相変化記録材料が用いられる。記録層と隣接する層との間に、数nm以下の界面層を設けても良い。
(断熱層)
断熱層15は、再生レーザ照射により昇温された超解像層17より生じる記録層14への熱伝導を抑制し、記録層14に書き込まれた記録マークの熱による擾乱を防止する役割を有するよう、熱伝導率と層厚が選択される。断熱層を形成するための材料としては、熱伝導率の低い透明材料を用いることが好ましい。具体的には、ZnS、SiO2、TiO2、Nb2O5、CeO2などが挙げられ、これら二つ以上の組み合わせでもよい。特に、熱伝導率が0.01W/cm・K以下であるZnS−SiO2、Nb2O5−CeO2−SiO2が望ましい材料として挙げられる。
断熱層15は、再生レーザ照射により昇温された超解像層17より生じる記録層14への熱伝導を抑制し、記録層14に書き込まれた記録マークの熱による擾乱を防止する役割を有するよう、熱伝導率と層厚が選択される。断熱層を形成するための材料としては、熱伝導率の低い透明材料を用いることが好ましい。具体的には、ZnS、SiO2、TiO2、Nb2O5、CeO2などが挙げられ、これら二つ以上の組み合わせでもよい。特に、熱伝導率が0.01W/cm・K以下であるZnS−SiO2、Nb2O5−CeO2−SiO2が望ましい材料として挙げられる。
断熱層の層厚は、熱伝導の抑制のために所定以上の厚さが必要である。しかしながら、超解像層で絞り込んだ光スポットの光強度を低下させることなく記録層に到達させるためには、超解像層と記録層を近接させる必要があり、断熱層の最大層厚はこの範囲内に限定される。これらより、断熱層の層厚は、50nm以上、200nm以下であることが好ましい。
(拡散防止層)
拡散防止層16は、記録レーザ照射による昇温時に超解像層材料と断熱層材料との拡散を防止する効果があり、書き換え耐久性を得るために、必要に応じて設けられる層である。特に、断熱層15にZnS−SiO2を用いた場合に超解像層17の硫化を防止する。また、Fe2O3等の超解像層を成膜するときに、雰囲気による断熱層の酸化を防止する役割も持つ。拡散防止層を形成するための材料としては、レーザ照射による昇温や、酸化や硫化などの化学反応に対して安定な材料が用いられる。また、入射レーザ光の損失が生じないよう、透明材料であることが望ましい。具体的な材料としては、特に限定されないが、SiO2、Al2O3等が挙げられる。
拡散防止層16は、記録レーザ照射による昇温時に超解像層材料と断熱層材料との拡散を防止する効果があり、書き換え耐久性を得るために、必要に応じて設けられる層である。特に、断熱層15にZnS−SiO2を用いた場合に超解像層17の硫化を防止する。また、Fe2O3等の超解像層を成膜するときに、雰囲気による断熱層の酸化を防止する役割も持つ。拡散防止層を形成するための材料としては、レーザ照射による昇温や、酸化や硫化などの化学反応に対して安定な材料が用いられる。また、入射レーザ光の損失が生じないよう、透明材料であることが望ましい。具体的な材料としては、特に限定されないが、SiO2、Al2O3等が挙げられる。
断熱層にNb2O5−CeO2−SiO2などの反応性の低い材料を用いた場合には、超解像層への材料の拡散が少なく、繰り返しの記録、再生を行っても超解像層が劣化しないので、拡散防止層を設けなくてもよい。
(超解像層)
超解像層17を形成する材料としては、低温部と高温部で光学特性が異なる材料が用いられる。特に、低温部と高温部との間で透過率の差が大きい材料であることが望ましい。ここでいう低温は室温程度、高温は200℃前後が好ましい。具体的な材料としては、Co3O4、Fe2O3、ZnO、Sb等が挙げられる。他の材料の中に、これらの材料が含まれる形態でも良い。
超解像層17を形成する材料としては、低温部と高温部で光学特性が異なる材料が用いられる。特に、低温部と高温部との間で透過率の差が大きい材料であることが望ましい。ここでいう低温は室温程度、高温は200℃前後が好ましい。具体的な材料としては、Co3O4、Fe2O3、ZnO、Sb等が挙げられる。他の材料の中に、これらの材料が含まれる形態でも良い。
(カバー層)
カバー層18は、紫外線硬化樹脂、プラスチックフィルム等の光透過性の透明材料により形成される。カバー層の厚さは特に限定されないが、通常、1μm〜100μmの範囲である。尚、カバー層は、薄型カバー層として厚さ数nm〜数10nmのカーボン系保護層を形成した表面に潤滑材を塗布してもよい。
カバー層18は、紫外線硬化樹脂、プラスチックフィルム等の光透過性の透明材料により形成される。カバー層の厚さは特に限定されないが、通常、1μm〜100μmの範囲である。尚、カバー層は、薄型カバー層として厚さ数nm〜数10nmのカーボン系保護層を形成した表面に潤滑材を塗布してもよい。
以下に、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明する。
(光ディスクの製作:拡散防止層なし)
本発明の断熱層を設けた光情報記録媒体として、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート樹脂製のディスク基板上に後述の相変化記録方式の層構成とカバー層を形成した形態の、相変化記録方式の膜面入射型光情報記録媒体を製作した。ここでは、断熱層の熱伝導率及び層厚の異なる複数枚の光情報記録媒体を製作した。ディスク基板は射出成型により形成し、溝ピッチ0.32μmのスパイラル状のトラッキング案内溝を設けた。ディスク基板上のトラッキング案内溝を形成した面側には、Al−Ti反射層150nm、ZnS−SiO2誘電体層25nm、Ge−Cr−N界面層2nm、Ge−Sb−Te記録層10nm、Ge−Cr−N界面層2nm、断熱層、Fe2O3超解像層20nmを順に形成した。さらに、Fe2O3超解像層上に、紫外線硬化樹脂をスピンコートにより塗布し、さらに紫外線照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、厚さ100μmのカバー層を形成した。尚、断熱層は、熱伝導率の異なる材料、ZnS−SiO2(80:20mol%)、Nb2O5−CeO2−SiO2(60:20:20mol%)、Si−Nのうちいずれかから選択して形成し、層厚は40〜220nmとした。断熱層材料の熱伝導率は、表1に示すとおりであった。
(光ディスクの製作:拡散防止層なし)
本発明の断熱層を設けた光情報記録媒体として、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート樹脂製のディスク基板上に後述の相変化記録方式の層構成とカバー層を形成した形態の、相変化記録方式の膜面入射型光情報記録媒体を製作した。ここでは、断熱層の熱伝導率及び層厚の異なる複数枚の光情報記録媒体を製作した。ディスク基板は射出成型により形成し、溝ピッチ0.32μmのスパイラル状のトラッキング案内溝を設けた。ディスク基板上のトラッキング案内溝を形成した面側には、Al−Ti反射層150nm、ZnS−SiO2誘電体層25nm、Ge−Cr−N界面層2nm、Ge−Sb−Te記録層10nm、Ge−Cr−N界面層2nm、断熱層、Fe2O3超解像層20nmを順に形成した。さらに、Fe2O3超解像層上に、紫外線硬化樹脂をスピンコートにより塗布し、さらに紫外線照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、厚さ100μmのカバー層を形成した。尚、断熱層は、熱伝導率の異なる材料、ZnS−SiO2(80:20mol%)、Nb2O5−CeO2−SiO2(60:20:20mol%)、Si−Nのうちいずれかから選択して形成し、層厚は40〜220nmとした。断熱層材料の熱伝導率は、表1に示すとおりであった。
(光ディスクの製作:拡散防止層あり)
本発明の断熱層及び拡散防止層を設けた光情報記録媒体として、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート樹脂製のディスク基板上に後述の相変化記録方式の層構成とカバー層を形成した形態の、相変化記録方式の膜面入射型光情報記録媒体を製作した。ここでは、断熱層の層厚の異なる複数枚の光情報記録媒体を製作した。ディスク基板は射出成型により形成し、溝ピッチ0.32μmのスパイラル状のトラッキング案内溝を設けた。ディスク基板上のトラッキング案内溝を形成した面側には、Al−Ti反射層150nm、ZnS−SiO2誘電体層25nm、Ge−Cr−N界面層2nm、Ge−Sb−Te記録層10nm、Ge−Cr−N界面層2nm、ZnS−SiO2(80:20mol%)断熱層、SiO2拡散防止層2nm、Fe2O3超解像層20nmを順に形成した。さらに、Fe2O3超解像層上に、紫外線硬化樹脂をスピンコートにより塗布し、さらに紫外線照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、厚さ100μmのカバー層を形成した。
本発明の断熱層及び拡散防止層を設けた光情報記録媒体として、厚さ1.1mm、直径120mmのポリカーボネート樹脂製のディスク基板上に後述の相変化記録方式の層構成とカバー層を形成した形態の、相変化記録方式の膜面入射型光情報記録媒体を製作した。ここでは、断熱層の層厚の異なる複数枚の光情報記録媒体を製作した。ディスク基板は射出成型により形成し、溝ピッチ0.32μmのスパイラル状のトラッキング案内溝を設けた。ディスク基板上のトラッキング案内溝を形成した面側には、Al−Ti反射層150nm、ZnS−SiO2誘電体層25nm、Ge−Cr−N界面層2nm、Ge−Sb−Te記録層10nm、Ge−Cr−N界面層2nm、ZnS−SiO2(80:20mol%)断熱層、SiO2拡散防止層2nm、Fe2O3超解像層20nmを順に形成した。さらに、Fe2O3超解像層上に、紫外線硬化樹脂をスピンコートにより塗布し、さらに紫外線照射して紫外線硬化樹脂を硬化させ、厚さ100μmのカバー層を形成した。
(再生耐久性の比較試験)
光ディスク記録再生装置を用いて、製作した光ディスクについて、繰り返し再生を106回行い、その前後において、キャリア・ノイズ比(以下、CNR)を測定し、CNRの変化量(以下、ΔCN)、及び、繰り返し再生開始初期のCNR(以下、初期CNR)の比較を行った。光ディスク記録再生装置において、レーザ光源の波長λは405nm、対物レンズの開口数NAは0.85とした。記録レーザパワーは7mW、消去レーザパワーは3mW、再生レーザパワーは1mWとし、線速度4.55m/secでディスクを回転させた。記録再生は、ディスク基板上のトラッキング案内溝の溝間(凸部)に対して行い、溝ピッチと等しいトラックピッチ0.32μmで記録再生を行った。CNR測定は、測定対象のトラックにマーク長0.139μmの繰り返しパターンを記録し、その記録マークを再生して、得られたキャリアとノイズの比を求めた。再生レーザパワー1mW、106回繰り返し再生における、ΔCNの測定結果を図2に、初期CNRの測定結果を図3に示す。尚、使用した光ディスクは、ディスク構造ごとに、表2に示す4種に分類した。
光ディスク記録再生装置を用いて、製作した光ディスクについて、繰り返し再生を106回行い、その前後において、キャリア・ノイズ比(以下、CNR)を測定し、CNRの変化量(以下、ΔCN)、及び、繰り返し再生開始初期のCNR(以下、初期CNR)の比較を行った。光ディスク記録再生装置において、レーザ光源の波長λは405nm、対物レンズの開口数NAは0.85とした。記録レーザパワーは7mW、消去レーザパワーは3mW、再生レーザパワーは1mWとし、線速度4.55m/secでディスクを回転させた。記録再生は、ディスク基板上のトラッキング案内溝の溝間(凸部)に対して行い、溝ピッチと等しいトラックピッチ0.32μmで記録再生を行った。CNR測定は、測定対象のトラックにマーク長0.139μmの繰り返しパターンを記録し、その記録マークを再生して、得られたキャリアとノイズの比を求めた。再生レーザパワー1mW、106回繰り返し再生における、ΔCNの測定結果を図2に、初期CNRの測定結果を図3に示す。尚、使用した光ディスクは、ディスク構造ごとに、表2に示す4種に分類した。
図2の結果によると、ディスク構造Cでは、繰り返し再生におけるCNRの低下が大きく、ディスク構造A、B及びDにおいても、断熱層50nm未満において、CNRの低下が大きかった。このように、断熱層の熱伝導率が高い、或いは、断熱層の厚さが薄いと、断熱層での断熱性が不十分となり、再生レーザ光照射時の超解像層から記録層への熱伝導により、記録層に形成されている記録マークが擾乱或いは破壊が生じる。
また、図3の結果によると、いずれのディスク構造においても、断熱層200nm超において、初期CNRの大幅な低下が見られた。再生レーザ光の光スポットは超解像層で回折限界未満に絞り込まれているため、このように、断熱層の厚さが厚いと、超解像層と記録層の距離が大きくなり、再生レーザ光が記録層に到達するまでに、回折による光スポットの再拡大が無視できなくなる。これらの結果より、十分な再生耐久性及びCNRを得るためには、熱伝導率の低いZnS−SiO2断熱層、Nb2O5−CeO2−SiO2断熱層を設けることが有効であり、また、断熱層の厚さは50nm以上、200nm以下が好ましいことが分かった。
(書き換え耐久性の比較試験)
続いて、再生耐久性に優れたディスク構造A、B及びDの光ディスクにおいて、書き換え記録を103回行い、その前後において、CNRを測定し、ΔCNの比較を行った。記録再生条件は、再生耐久性の比較試験と同様である。103回書き換えにおけるΔCNの測定結果を図4に示す。
続いて、再生耐久性に優れたディスク構造A、B及びDの光ディスクにおいて、書き換え記録を103回行い、その前後において、CNRを測定し、ΔCNの比較を行った。記録再生条件は、再生耐久性の比較試験と同様である。103回書き換えにおけるΔCNの測定結果を図4に示す。
図4の結果によると、ディスク構造Aでは、繰り返し書き換えることによりCNRの低下が大きかったが、これに対し、ディスク構造B及びDではCNRの低下が小さかった。ディスク構造Aのように、断熱層と超解像層とが直接接触し、且つ、Fe2O3超解像との反応性が高いZnS-SiO2断熱層を用いる場合、記録レーザ光の繰り返し照射での加熱により、ZnS-SiO2断熱層の成分が超解像層に拡散し、硫化等による超解像層の劣化が生じる。この結果より、断熱層としてZnS-SiO2を用いた場合、拡散防止層なしでは十分な書き換え耐久性が得られず、Fe2O3超解像層との反応性の低いSiO2拡散防止層を設けることで十分な書き換え耐久性が得られることが分かった。一方、Fe2O3超解像層との反応性の低いNb2O5−CeO2−SiO2断熱層を用いた場合、拡散防止層を設けなくても十分な書き換え耐久性が得られることが分かった。
11:ディスク基板、12:反射層、13:誘電体層、14:記録層、15:断熱層、16:拡散防止層、17:超解像層、18:カバー層
Claims (5)
- レーザ光入射側から順に、入射レーザ光の光スポットを小さく絞り込むための超解像層と、情報が記録される記録層と、を具備する光情報記録媒体において、
前記超解像層と前記記録層との間に、低熱伝導性を有する断熱層を設けたことを特徴とする光情報記録媒体。 - 前記断熱層は、熱伝導率0.01W/cm・K以下の材料から形成され、50nm以上、200nm以下の層厚を有することを特徴とする請求項1記載の光情報記録媒体。
- 前記超解像層は、Co3O4、Fe2O3のいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の光情報記録媒体。
- 前記断熱層は、ZnS、SiO2、Nb2O5、CeO2のいずれか或いは二つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光情報記録媒体。
- 前記超解像層と前記断熱層との間に、該超解像層と該断熱層との材料の拡散を遮断する拡散防止層を設けた構造を有することを特徴とする請求項4記載の光情報記録媒体。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2005
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20081007 |