JP2006517763A - 無線ネットワークのための位置決め技法 - Google Patents

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Abstract

いくつかの基地局を含む無線ネットワーク(RN)内でのいくつかの端末(T)の位置決めをする方法。無線ネットワーク(RN)の確率モデル(PM)が、無線ネットワーク内のいくつかの位置におけるいくつかの基地局の信号値の確率分布(4131-413n)を示す。各端末が前記いくつかの基地局の部分集合の信号値の観測値集合(423)を作成する。確率モデル(PM)と観測値集合とにもとづいて端末の位置(425)が評価される。端末が、反復的に、少なくとも一つの追加項目(424)を測定し、この少なくとも一つの追加項目は該端末の位置の評価値の決定には使用されない。各情報タプル(42)が前記追加項目(424)ならびに前記追加項目が測定された時刻(422)および位置(425)を示す。この情報タプル(42)は、前記追加項目(424)を時刻と無線ネットワーク内での位置との関数(45)として決定するのに使用される。

Description

本発明は、無線ネットワークのための位置決め技法、特に無線ネットワークのための実地調査技法に関する。
無線ネットワークは、ネットワークサービスが特定の接続ポイントと連結されていない場合に、ますます多く利用されるようになってきている。最近の発見によれば、無線ネットワークにおける信号特性値、たとえば信号強度、ビット誤り率(bit error rate/ratio)、SN比、その他の観測値を、移動通信装置の位置決めに使用することができる。本発明の場合、‘端末(terminal)’という言葉は、位置を決定されるべき移動通信装置を意味する。
図1はそのような位置決め技法の一例を模式的に示す。端末Tは高周波インタフェース(radio interface)RIにより基地局BSを通じて通信する。この例では、通信は高周波通信であると仮定している。端末Tは高周波インタフェースRIにおける信号値を観測する。観測値(observations)Oを、端末の無線通信環境をモデル化する確率モデル(a probabilistic model)PMに使用し、位置評価値(a location estimate)LEを生成する。ここで使用する端末という言葉は、その位置を決定されるべき装置を意味する。端末は無線環境で信号により通信するので、端末の位置を決定するために、無線ネットワークにおける信号値が使用される。たとえば、端末は無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)で通信するデータ処理装置とすることができる。データ処理装置は汎用のラップトップもしくはパームトップコンピュータまたは通信装置とすることができ、あるいは専用の試験または測定装置たとえばWLANに接続された病院の装置とすることができる。ここで使用する位置という言葉は、1〜3個の座標から成る座標の組を意味する。いくつかの特殊なケースたとえばトンネルの場合、単一の座標で十分でありうるが、大部分の場合、この位置は座標対(x、y、または角度/半径)で表される。
移動通信装置は信号特性パラメータを測定する。信号特性パラメータの良い例は信号強度である。頭字語RSSIが受信信号強度指標を示すのに良く使用される。RSSIはたとえばセルまたは基地局を選択するのに使用される。
無線ネットワークを構築する場合、前記のような信号特性パラメータを多数の位置で決定する実地調査を行い、その無線ネットワークが適当な通達範囲(coverage)を確実に与えるようにすることが推奨される。普通の実地調査(a normal site survey)の場合、測定がなされる位置は他の手段たとえば平面図その他のマップによって知られる。
本発明のもとになった問題は、実地調査の実施と確率モデルの構成とが費用のかかる過程であると言う事実にかかわる。
実地調査というのは、無線ネットワークのある特性パラメータを観測することである。同様の問題は、ネットワークそのものを測定することなく、無線ネットワークと直接には結びついていないパラメータの観測、たとえば環境変数の測定を行い、無線ネットワークが、位置評価(location estimation)のためおよび測定結果の通信のために使用される場合にも生じる。無線ネットワークにおける、先行技術の実地調査その他の測定技法における問題は、これらの技法が労働集約的であり、かつ/または不適切な情報を生成するということである。
米国特許出願2001/0028313号(McDonnellその他)明細書には、分散遠隔測定(distributed telemetry)に関するある種の技法が開示されている。しかし、このMcDonnellの出願の技法は、外部位置決め技法(external positioning techniques)たとえばGPSに基礎を置いているため、本発明には適用できない。本発明は、ネットワークを測定する端末の位置決めのために、測定されるネットワークも使用され、したがって位置決めがネットワーク測定に影響を与え、逆にネットワーク測定が位置決めに影響を与える技法に関する。
米国特許出願2001/0028313号明細書
本発明の目的は、無線ネットワークにおける公知の実地調査その他の測定を改善するのに寄与する方法と装置を提供することである。言い換えると、本発明の目的は、無線ネットワークの信号特性観測値にもとづいて無線ネットワーク内の端末位置を評価することと、無線ネットワークの動作および/または位置評価値に影響を与えることなしには測定できない追加項目を測定することとを可能にする技法である。本発明のこの目的は、独立クレームに記載されていることを特徴とする方法と装置とによって実現される。本発明の好ましい実施態様を従属クレームに示す。
本発明の一つの側面は、いくつかの基地局を含む無線ネットワーク内のいくつかの端末の位置を決定する方法である。この方法は、
無線ネットワークの確率モデルを維持し、ここで、該確率モデルが、無線ネットワーク内のいくつかの位置におけるいくつかの基地局の信号値の確率分布を示し、
いくつかの端末のそれぞれに関して、
a)当該端末が前記いくつかの基地局の部分集合の信号値の観測値集合を作成し、
b)確率モデルと観測値集合とにもとづいて当該端末の位置の評価値を決定し、
c)当該端末が、反復的に、少なくとも一つの追加項目を測定し、ここで、この少なくとも一つの追加項目が当該端末の位置の評価値の決定には使用されず、またここで、この少なくとも一つの追加項目を無線ネットワークの動作および/または当該端末の位置評価値の前記決定に影響を与えることなしには測定することができず、
ここで、前記少なくとも一つの追加項目の前記測定が、
-前記少なくとも一つの追加項目の測定のための同時の必要性と適時性(a simultaneous need and opportunity)を検出し、
-共通の制御器により、前記いくつかの端末の測定動作を同調させる(synchronizing)、
ことから成り、
情報タプル(information tuples)を収集し、ここで、各情報タプルが前記少なくとも一つの追加項目ならびに前記少なくとも一つの追加項目が測定された時刻および端末の位置の評価値を示す、
各ステップから成る。
本発明のもう一つの側面はこの方法を実施するための装置である。この装置は、端末の位置において少なくとも一つの追加項目を測定する手段を含む。ここで、この少なくとも一つの追加項目は前記観測値集合には含まれない。この測定手段は測定される追加項目の特性によって変えられる。
無線ネットワークの典型的な例はWLAN(無線ローカルエリアネットワーク)であるが、本発明は、事実上、複数の基地局を含むすべての高周波またはマイクロ波ネットワークに適用することができる。
“少なくとも一つ追加項目を測定し、この少なくとも一つの追加項目が当該端末の位置の評価値の決定には使用されない”と表現されていることは、いくつかの形で具体化される。ある種の実施態様では、前記追加項目は基地局の信号値とすることができ、該追加項目は、該追加項目が測定されるときに端末の位置決めに使用されない。この基地局の測定値は確率モデルの更新に使用することができる。この実施態様は、現行の無線ネットワークにおいて、実地調査を実施して、確率モデルを更新することを可能にし、したがって端末は現用のユーザー端末とすることができる。その結果、この実施態様は実地調査および/または確率モデルに必要になる実費が減少する。新しい位置(サンプル点)を確率モデルに付け加えるための好ましい方法が、本件と一緒に譲り受けたPCT特許公開WO03/102622号明細書に開示されているので、同明細書を参照されたい。
“情報タプルを収集し、ここで、各情報タプルが前記一つの追加項目ならびに時刻および端末の位置の評価値を示す”と表現されていることも、いくつかの形で具体化される。ある種の実施態様では、この情報タプルは、端末の位置の評価のもとになる測定信号値を含むことができる。他の実施態様では、この情報タプルは位置評価値を含むことができる。
本発明は、無線ネットワーク内での測定を行うのに多数のエンドユーザーの端末を使用するというアイデアにもとづくものである。端末そのものは、無線ネットワーク内で該端末が観測する信号値にもとづいて位置決めされる。位置評価は、無線ネットワーク内のいくつかの位置でのいくつかの基地局の信号値の確率分布を示す確率モデルにもとづく。端末は、位置決め過程と並行して、端末の位置決めに使用されない一つ以上の追加項目を測定する。たとえば、この一つ以上の追加項目は、ネットワークスループット、またはネットワークとは完全に無関係のある種の変数とすることができる。あるいは、この追加項目は、端末の位置決めに(まだ)使用されていない基地局の信号値とすることができる。言い換えると、端末を、これらの位置決めに使用される確率モデルの改良に使用できる。
“多数のエンドユーザーの端末”という表現が意味するのは、専任の支援スタッフの端末の変わりに、普通のネットワークユーザーの通常の端末を使用して測定を実行できる、ということである。普通のネットワークユーザーと普通の端末とが測定を実行できるので、測定値を得るための費用は無視できる。この低費用の技術的利点は、測定の被覆率を、空間的にも時間的にも非常に大きく改良することができる、ということである。したがって、
“多数”の具体的数値には意味がなく、本質的なことは、測定に使用される端末が普通のエンドユーザー端末であるため、最小の追加出費で大きな空間的および時間的被覆率が実現されるということである。
多数のエンドユーザー端末の特別な利点は、少数の専用測定端末による測定に比して、スループット測定の方がより実際的であるということである。
このアイデアを式によって示すと、次のようである。まず、端末装置の集合D=[d1,d2,…,dk]が得られる。これらの装置は、一組の物理量V=[ν12,…νm]を測定する。これらの量の観測値は、O=[o1,o2,…om]で表される。確率モデルはサンプル点の集合S=[s1,s2,…sn]を含み、このとき、各サンプル点は、確率モデルによって被覆されるエリアA内の位置に対応し、Vに含まれる量の一部の信号値の確率分布を示す。言い換えると、確率モデルは、部分集合VPM⊂Vから成る。(“⊂”記号は部分集合を意味する)。追加項目たとえば実地調査測定値の保持のために、追加測定量VSS=V|VPMの集合が与えられる。これは、VPMが除かれた集合Vを意味する。(添え字SSはsite survey(実地調査)の頭字語であるが、本発明は他の種類の測定値にも適用できる)。
端末の観測値は情報タプル(t,d,O)として集められる。ここで、tは測定がなされた時刻、dは端末、Oは時刻tに端末dで測定されたVに含まれる変数の観測値の集合である。観測値の部分集合OPM⊂Oは位置決めのために使用されたVPMに含まれる変数の観測値を含み、部分集合OSS=O|OPMはVSSに含まれる変数の観測値を含む。
本発明のアイデアは、分布関数g(t,a,ν)を決定するために情報を集めるというものである。ここで、a∈A、ν∈VSS。この関数は、位置a、時刻tにおける変数νの値(分布)を示す(return)。実施態様に応じて、各種の量は離散量または連続量として解釈することができる。
端末の位置決めに使用されない追加項目は、以下のように、無線ネットワークのモデルの更新に使用できる。更新されるモデルは、端末の位置決めに使用される確率モデルとすることができ、あるいは位置決め評価値の基礎としないある量のモデルとすることができる。好ましくは、各物理量νi∈VSSに関して、各サンプル点sk(sk ∈S)は、先行観測値Hi k=[(oi k1,wk1,tk1),(oi k2,wk2,tk2),…]の履歴(集合)を伴う。ここで、oi klは、サンプル点skにおける物理量νiのl番目の観測値である。wklとtklとはそれぞれ該観測値の重みとタイムスタンプである。
時刻tに、量VPMとVSSが測定され、観測値集合OPMとOSSが生成される。量を測定する端末は、確率モデルと観測値OPMにもとづいて(また好ましくは、同じ端末で測定された先行観測値をも使用して)位置決めされる。位置決めの結果として、各サンプル点sk∈Sは、サンプル点skが時刻tにおける端末の最善の位置評価値となる確率である確率pkを伴う。新しい観測値OSSは先行観測値Hi kの集合の更新に使用することができる。このとき、任意の特定サンプル点における新しい観測値の重みが、該サンプル点が端末の最善の位置評価値である確率であるようにする。(あるいは、少なくとも新しい観測値の重みが該確率と強い相関を持つようにする)。言い換えると、各変数νi∈VSSとサンプル点sk∈Sに対して、対応する先行観測値Hi kの集合がタプル(oi,pk,t),oi∈OSSによって補充される。
本発明の好ましい実施態様は、無線ネットワーク内の測定値の可視化(visualizing)に関連している。この可視化は、それぞれの時刻になされた測定値を時間依存重み関数によって重み付けすることを含む。サンプル点skにおける先行観測値Hj kの集合から、時刻t0の当該点に関して変数νj∈VSSの確率分布(たとえば、ヒストグラムその他)を、より新しい観測値が古いものよりも大きな重みを有するようにして計算することができる。そのために、問題の瞬間(the moment of interest)(たとえば現在)が時刻t0であるとき、時刻tに得られた観測値の重みを示す重み関数f(t,t0)を定義する。たとえば、そのような重み関数fはf(t,t0)=α|t0-t|/βの形とすることができる。この式で、パラメータ0<α<1およびβ>0は、観測値の重みが時間とともに減少する割合を決定する。したがって、この分布における観測値oj kiの最終重みは、wki・f(tki,t0)である。
もう一つの好ましい実施態様は、各サンプル点sk∈Sにおける測定値の重み付き平均時間(a weighted average age)(現在の時刻t0からの平均隔たり)を下記のように計算することを含む。
Figure 2006517763
前記のような重み付き平均時間は、モデル更新の必要性、すなわち当該サンプル点またはその近くでのもっと多くの測定の必要性を示すために使用することができる。この重み付き平均時間が大きくなればなるほど、そのサンプル点のデータ更新の必要性が大きくなる。本発明の一つの好ましい実施態様においては、モデル更新のための同時の必要性と適時性とが二つの同時条件の検出によって検出される。二つの同時条件(simultaneous conditions)というのは、重み付き平均時間が所定のしきい値を越えていること、および一つ以上の端末が更新の必要のあるサンプル点またはその近くに存在すること、である。
“サンプル点またはその近くでの測定”という表現の簡単な解釈は、単にネットワーク内の各位置を最近接サンプル点と解釈するものである。より洗練された解釈は、測定値に距離の減少関数によって重み付けして、サンプル点近くの測定値が遠くの測定値よりも大きな重みを有するようにするものである。
サンプル点skの座標(xk,yk)と分布とにもとづいて、任意の位置(x,y)の分布を補間(または、まれには、信頼性は低いが、外挿)によって計算することができる。したがって、測定値を、任意の時刻に、問題の全エリアにわたって可視化することができる。そのような可視化の一例は、関心のある値(小さなスループットその他)が特定の色または強度で強調された“フィルム”としてネットワークスループットを表示するものである。このフィルムは、関心のある時間全体にわたって、ネットワーク内の全エリアにおけるネットワークスループットを示す。そのようなフィルムは、ネットワーク動作の十分な全体概要を与え、問題のあるエリアと時刻の発見に寄与する。
もう一つの問題は、多くのネットワークユーザーと管理者とがある特定の位置と時刻のネットワークスループットに主たる関心を有するが、端末によって知られるネットワークスループットと端末の位置を決定するための信号値とを同時に測定することはできない、ということから生じる。それは、端末はいろいろな基地局の信号の全体概要を得るためにすべての周波数を走査する必要があり、そのような走査は当然該端末の通信能力を停止して、スループット測定を実施することになるからである。
したがって、スループットは、好ましくは共通の管理条件のもとで測定され、たとえば位置測定とスループット測定とを同期させる共通の制御器によって制御される。本発明の基本的アイデアは測定の実施に多数の普通のエンドユーザー端末を使用するということなので、これらのエンドユーザーには、スループット測定時に、ある位置に動けとか静止せよとか命令することはできない。その代わりに、制御器は、同時の、所定の位置(サンプル点)のモデルの更新の必要性と、そのときたまたまその位置またはその近くにあるエンドユーザー端末を使用することの適時性とを検出する。この端末の位置は、いくつかの基地局の信号値測定(いくつかの周波数の走査)にもとづいて決定されるが、この走査はスループット測定時間中中断する必要がある。スループット測定の完了後、いくつかの周波数の走査が再開され、端末の新しい位置が評価され、スループット測定値の重みがスループット測定時に端末が動いた距離に応じて調節される。制御器は、逆重み付け(inverse weighting)を使用して、スループット測定値の重みとスループット測定時の端末の評価移動距離とが負の相関を有するようにすることができる。測定データが容易に得られる場合には、スループット測定時に端末がある所定距離よりも大きく移動したとき、制御器はスループット測定値を捨て去ることができる。言い換えると、信頼性の低い測定値は、より良いデータが得られない場合にのみ採用されうる。
あるいは、そのように信頼性の高い情報が欠如していることはネットワーク管理者に提示することができ、管理者はそれに応じて端末を測定に関して問題のある位置にもって来ることができる。
また、この共通管理により、調整されていない測定の欠点が排除される。すなわち、いくつかの端末による同時スループット測定が相互に影響しあうということがなくなる。スループット測定は、測定を行っている端末に向うかまたはこれから出る大量のトラフィックを生ずるため、制御器は、相互に影響しうる端末のうち一つだけが一回のスループット測定に関与するように、スループット測定を調整する必要がある。端末は、位置と周波数とが互いに近い場合には、互いに影響しうる。特に難しい状況は、二つの端末が互いに近く、基地局信号が弱く、一つの端末が送信している間に他が受信している場合である。この場合、送信端末は他の端末が弱い基地局を受信する能力に大きな影響を与えうる。したがって、最適制御器がある位置での測定実施の必要性を検出し、その位置で測定を実施する適当な機会を待つ。関与端末がその位置またはその近くにあるときに適当な機会が検出されると、測定が可能になり(すなわち、他の呼び出しまたは接続に関与していない)、その端末に生じているトラフィックを“正常”に分類することができる。これは、すなわち、特に妨害するような端末が近くに存在しないということである。測定値が代表的なものであるためには、近くの端末がスループット測定を同時に実施してはならない。
制御器の物理的実施態様は、専用のサーバーまたはネットワーク管理者のコンピュータ内でのプロセス実行とすることができる。
スループットの測定は、端末の位置決めの中断のほかに、いくつかの問題を引起す。たとえば、端末のクロックと共通制御器のクロックとを同期させることができない。スループットの測定には割合に大量のデータ(代表値100キロバイト)の送信と送信のタイミング決定とが含まれるので、送信の開始と受信の終了とが同じタイムシステム(time system)で測定されるということが必須である。同じタイムシステムとするための解決策の一例は、往復法(back-and-forth fashion)でスループット測定を実施することである。すなわち、まずデータブロックを一方向に(たとえば、制御器から端末へ)送信し、次に逆向きに送信することによって、同一の終端で、送信の開始と受信の終了とのタイミングが決定できるようにする。スループットの計算のために、得られた時間を二分割し、必要であれば、端末または制御器におけるオーバヘッドの補正のために調節する。
実施態様によっては、少なくとも一つの追加項目を新しい基地局の存在とすることができる。無線ネットワークは盗聴されやすい。合法の基地局のように見えるが盗聴のために使用される新しい基地局の設置が割合に容易だからである。そのような行為は“なりすまし(spoofing)”と呼ばれることがある。たとえば、不正な基地局は合法の基地局が行うようにそのサービスを広告し、合法基地局のすべてのサービスを提供するが、ユーザーは自分たちのトラフィックが傍受されているかもしれないということに気づかない。本発明のある種の実施態様では、そのような不正基地局は、ネットワーク管理者に基地局と端末位置とを報告することによって、検出することができる。端末位置と不正基地局の信号強度観測値とに関する複合情報により、不正基地局を発見することができる。
普通のエンドユーザーの端末の使用により、さらに別の問題が生じる。普通のエンドユーザーの端末の信号測定装置は、較正されておらず、互いに異なるからである。この部分的問題の一つの解決策は、複数の装置モデルによるものであり、これらの装置モデルのうち一つが各端末に対して選択され、該装置モデルが異なる端末の観測値間の違いを補正するようにする。言い換えると、この選択された装置モデルが特定端末の観測値とある共通基準値との間の違いを補正する。
以下、本発明を、好ましい実施態様により、添付の図面を参照しつつ、より詳細に説明する。
図2は、高周波インタフェースRIにおける信号値にもとづいて端末の位置を評価するための位置評価モジュールLEMの一例のブロック図である。図2は、コンパクトな位置評価モジュールLEMを示すが、より複雑な実施態様も可能である。この位置評価モジュールの本質的特徴は端末無線ネットワークの確率モデルPMであり、この確率モデルは高周波インタフェースからの複数の観測値が与えられると端末の位置を予想することができる。この例の場合、確率モデルPMがモデル構築モジュールMCMによって構築されて、維持される。モデル構築モジュールMCMは、一つ以上の目盛り定め用計測データ(calibration data)CDもしくは伝搬モデルの形の伝搬データPD、またはこれらの任意の組合せにもとづいて確率モデルを構築し、維持する。計測データCDは、既知の位置(すなわち、他の手段では知り得ない場合、物理的にこれらの位置の座標を決定する)での信号値の物理的測定の結果である。随意であるが、計測データレコードは、信号パラメータが時間とともに変化する場合には、観測がなされた時刻をも含むことができる。高周波インタフェースRIをモデル化するのに、計測データCDのかわりに、またはこれに加えて、一つ以上の伝搬モデルPDを使用することができる。伝搬モデルは、可視シミュレーションのための線追跡(ray-tracing)法に似た方法によって構築することができる。計測測定値が集められる位置を計測点と呼ぶ。計測データCDはデータレコードからなり、各レコードは、当該計測点の位置と該計測点で測定された信号パラメータの集合とを含む。この位置は任意の絶対または相対座標系で表すことができる。特殊な場合、たとえば列車、公道、トンネル、水路、その他では、単一の座標で十分でありうるが、通常は、二つまたは三つの座標が使用される。
端末の観測値集合OSと確率モデルPMとにもとづいて位置評価値LEを生成するための位置計算モジュールLCMも存在する。たとえば、この位置計算モジュールは、ラップトップまたはパームトップコンピュータで実行されるソフトウェアプログラムとして具体化することができる。
異なる信号特性観測値の間の違いを補正するために、端末の観測値の集合OSを、装置モデルDMによって位置評価モジュールLEMで使用する。実際には、多くの異なる装置モデルが存在するので、以下でもっと詳しく述べるように、適当なものをある論理によって選択する。図2は、計測データCDが第二の装置モデルDM´によってやはりモデル構築モジュールで使用される実施態様を示す。第二の装置モデルDM´は基本的には第一の装置モデルDMに似ており、いろいろな計測装置からの計測データCDの入力を許す。一方、すべての計測データCDが単一の計測装置または複数の整合計測装置(multiple matching calibration devices)で収集される場合には、第二の装置モデルDM´は不要でありうる。
図3は、測定を制御するための共通の制御器を有する装置である。そのような共通の制御器は、たとえば、ネットワークスループットの測定のために必要である。なぜならば、複数の端末の動作をモニターし、かつ/または協調させる必要があるからである。図3に示す実施態様の場合、高周波ネットワークRNは、制御器CTRLを有するか、またはこの制御器に機能的に連結されている。この制御器は、ルーターRを経由してデータネットワークDNたとえばインターネットに接続されている。
スループット測定のために、制御器CTRLは、スループット測定のための端末の同位エンティティ(a terminal's peer entity)として作用するサーバーSを有するか、またはこれに接続されている。好ましくは、スループット測定値は、二つの送信のタイミングを含み、その一つは端末から発信されるものであり、もう一つは端末によって受信されるものである。双方向スループット測定の利点は、端末とその同位エンティティたとえばサーバーSとの間のクロックの不一致がなくなる、ということである。
楕円31および32で示すように、制御器CTRLは、ネットワークスループットの測定のための同時の必要性と適時性とを検出する。ネットワークのある位置、すなわち、確率モデルのサンプル点に一致する位置またはその近くにおいてスループットを測定する必要性31は、次のようにして検出することができる。たとえば、制御器CTRLは、最新のスループット測定値を追跡することができ、このとき、最新のスループット測定値が所定のしきい時間よりも前の古いものである場合には、スループットをもう一度測定しなければならない。また、スループット測定の必要性は、ネットワークの構造もしくは能力が変わった場合、または最新の測定値がそれ以前の測定履歴から大きくずれた場合に、起こりうる。しかしまた、この必要性は、ネットワーク管理者からの信号に応答して検出されることもある。本発明の好ましい実施態様においては、スループットならびにその測定の必要性および適時性がサンプル点ごとに維持される。スループット測定のあと、制御器CTRLは、装置T1の位置が実質的に同じままであるかどうかをチェックする必要がある。同じでない場合には、その測定値の重みを減少させることができ、あるいはその測定値を完全に無視することができる。
追加項目のもう一つの例は、追加項目が測定されるときの端末の位置決定に使用されない基地局の信号特性パラメータである。たとえば、装置T3は、基地局BS1〜BS3の観測信号強度にもとづいて位置決定されることができ、一方、装置T3は、基地局BS4の信号強度を測定することができる。次に、この情報を、高周波ネットワークの確率モデルの更新に使用することができる。
追加項目のもう一つの例は、疑わしい基地局の違法性の検出である。たとえば、基地局BS5が盗聴のために使用されている不正な基地局であるとする。この基地局はもう一つのルーターR´によってデータネットワークDNに接続されている。この基地局BS5は、他の基地局BS1〜BS4と同様にそのサービス(その基地局識別子の送信を含む)を広告し、基地局の通常のサービスのすべてを提供する。不正な基地局BS5の発見のために、制御器CTRLは、基地局BS5を受信しうる端末に、BS5の信号を測定するように命令する。すべての装置T1〜T5がBS5を受信できるが、T4がBS5からもっとも強い信号を受信するとする。この場合には、BS5はT4の近くにあると考えられる。
BS5の位置のより良い決定法は、BS5からの信号のすべての観測値を使用して、逆伝搬モデル(inverse propagation model)によってBS5の位置を計算するというものである。さらなる代替法は、BS5の信号強度をマップ上に可視表示して、観察者がBS5の高確率存在位置を簡単に見つけられるようにすることである。
図4は、本発明の好ましい実施態様における情報のいろいろな流れを示す。確率モデルPMはいくつかのサンプル点を含む。参照番号41は、確率モデルPMのデータセクションの代表的レコードをまとめて示すものである。参照番号411は、サンプル点識別子を示し、これは内部データ処理操作のためにのみ必要である。参照番号412は、サンプル点に一致する地理的位置の座標(ある二方向または三方向座標系における)を示す。z座標は実際の第三次元の座標とすることができるが、離散フロアーまたは高さに関する情報と解釈することもできる。参照番号4131〜413nは、各基地局BS1〜BSnの信号値分布を、前述のような、対応する履歴および重みとともに示すものである。随意フィールド414は当該サンプル点の最新更新の時刻を示す。たとえば、時刻フィールド414の内容は、端末観測値のタイムスタンプ422の確率重み付き平均値を示すことができる。
各端末装置の測定結果は、データベースDBに記憶されている。参照番号42は、図2の観測値集合OSに大なり小なり対応する代表的情報タプルをまとめて示すものである。フィールド421は、装置識別子であり、フィールド422は、情報タプル42のタイムスタンプである。装置識別子421は、それぞれの装置タイプと通し番号とによって、対応する装置を直接に示すことができ、あるいは使用者/加入者レジスター(個別には図示しない)の参照番号によって、この装置を間接的に示すことができる。フィールド423と424は、タイムスタンプ422によって示される時刻に端末が測定した信号値を含む。もっと詳しく言えば、フィールド423は、端末の位置決定に必要な信号値を含み、フィールド424は、一つ以上の追加測定項目を示す。選択した位置評価アルゴリズムに依存するが、端末の位置決定は、観測信号値分布423と最良の相関を有するサンプル点41を見出すことを含むことができる。あるいは、端末の位置は、サンプル点(すなわち、ネットワーク内の位置)の集合として、これらのサンプル点の対応する確率とともに、評価することができる。フィールド423と424は、それぞれの端末の装置モデルによって補正された信号値を含むことができ、あるいは実施態様によっては、未加工の測定データを含むことができる。随意フィールド425は、タイムスタンプ422によって示される時刻の端末観測値(フィールド423)に対応する端末位置を含む。独立の位置フィールド425は、必ず必要と言うわけではない。端末の位置は、観測値(フィールド423)から再計算することができるからである。
矢印43aおよび43bによって示されるように、情報タプル42は、時刻と、無線ネットワークによって被覆されるエリア内の位置との関数として、追加測定値424を決定するのに使用される。図4には、関数の例として、一つのネットワークパラメータたとえば見かけのスループットのマルチページマップ45を示す。マップ45の各ページは、それぞれの時刻に対応する。タイムスタンプ422と位置座標425(または、412)は、マップ45のそれらと正確には一致しないことがあるが、マップは補間によって測定データ422、425(412)から決定することができる。確率モデルPMから時刻および位置依存関数45への矢印43aは、破線で示されている。これは、関数45は、各情報タプル42が端末の位置425を含む場合、情報タプル42だけから決定することができるからである。
時刻および位置依存関数たとえばマルチページマップ45は、管理者にいろいろな時刻と位置におけるネットワーク性能と障害の全体の様子を示すためのフィルムとして示すことができる。あるいは、この時刻および位置依存関数は、より精巧なデータ処理と解析とのための基礎として使用することができる。
本発明の実施態様によっては、追加項目はそのとき端末の位置決定に使用されていない基地局の信号値を含むことができる。追加基地局のそのような測定値は、確率モデルPMの更新に使用することができる。
当業者には容易にわかるように、技術の進歩に伴い、本発明の発明的概念はいろいろなやり方で具体化することができる。本発明およびその実施態様は、前述の実施態様のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲に示す範囲内で変更することができる。
位置決め法を模式的に示す図である。 高周波インタフェースRIにおける信号値にもとづいて端末の位置を評価するための位置評価モジュールLEMを示す図である。 測定を制御するための共通制御器を有する装置を示す図である。 本発明の好ましい実施態様における各種情報の流れを示す図である。
符号の説明
41 確率モデルPMのデータセクションの代表的レコード
42 観測値集合OSに対応する代表的情報タプル
43a、43b それぞれ41、42が45の決定に使用されることを示す矢印
45 マルチページマップ
BS 基地局
CTRL 制御器
DB データベース
DN データネットワーク
LCM 位置計算
LEM 位置評価モジュール
MCM モデル構築モジュール
PM 確率モデル
R、R´ ルーター
RI 高周波インタフェース
RN 高周波ネットワーク
S サーバー
T 端末

Claims (14)

  1. いくつかの基地局を含む無線ネットワーク(RN)内でのいくつかの端末(T)の位置決めをする方法であって、
    無線ネットワーク(RN)の確率モデル(PM)を維持し、ここで、該確率モデルが、無線ネットワーク内のいくつかの位置(412)におけるいくつかの基地局(BS)の信号値の確率分布(4131-413n)を示し、
    いくつかの端末のそれぞれに関して、
    a)当該端末が前記いくつかの基地局の部分集合の信号値の観測値集合(OS、423)を作成し、
    b)確率モデル(PM)と観測値集合(OS)とにもとづいて当該端末の位置(425)の評価値を決定し、
    c)当該端末が、反復的に、少なくとも一つの追加項目(424)を測定し、ここで、この少なくとも一つの追加項目が当該端末の位置の評価値の決定には使用されず、またここで、この少なくとも一つの追加項目を無線ネットワークの動作および/または当該端末の位置評価値の前記決定に影響を与えることなしには測定することができず、
    ここで、前記少なくとも一つの追加項目(424)の前記測定が、
    -前記少なくとも一つの追加項目の測定のための同時の必要性(31)と適時性(32)を検出し、
    -共通の制御器(CTRL)により、前記いくつかの端末の測定動作を同調させる、
    ことから成り、
    情報タプル(42)を収集し、ここで、各情報タプルが前記少なくとも一つの追加項目(424)ならびに前記少なくとも一つの追加項目が測定された時刻(422)および端末の位置(425)の評価値を示す、
    ことから成ることを特徴とする方法。
  2. 前記少なくとも一つの追加項目を測定する必要性(31)の前記検出が、いくつかの位置決めの各々のための測定値の重み付き平均時間を評価することから成ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも一つの追加項目を測定する適時性(32)の前記検出が、下記の条件
    1)問題の位置またはその近くに、前記少なくとも一つの追加項目の測定に使用できる端末が存在し、
    2)他のどの端末も、該使用できる端末に影響を与えると思われる測定を実行しない、
    が同時に満たされることの検出から成ることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. さらに、
    情報タプルを記憶して、組織化し、
    この記憶された情報タプルを使用して、前記少なくとも一つの追加項目を時刻と無線ネットワーク内での位置との関数(45)として決定する、
    ことを含むことを特徴とする請求項1から3の中のいずれか1つに記載の方法。
  5. 前記少なくとも一つの追加項目が前記部分集合の一部分でない基地局の信号値を含むことを特徴とする請求項1から4の中のいずれか1つに記載の方法。
  6. 前記少なくとも一つの追加項目が高周波ネットワーク(RN)のスループットを含むことを特徴とする請求項1から5の中のいずれか1つに記載の方法。
  7. スループットを測定するステップが、
    当該端末が観測値の集合の作成を中断し、
    当該端末がスループット測定を行い、
    当該端末が観測値の集合の作成を継続し、
    前記中断ステップと継続ステップとの間の当該端末位置の評価された変化によって前記スループット測定値に逆重み付けを行う、
    ことをこの順序で実施することを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. スループット測定のステップが、二つの送信のタイミング調節を含み、これらの送信の一つが端末から送り出され、もう一つが同じ端末で受信されるものであることを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
  9. 前記少なくとも一つの追加項目が基地局の識別子を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 基地局の識別子と端末位置の評価値とを使用して非合法の基地局(BS5)を検出することを特徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 無線ネットワーク(RN)の確率モデル(PM)を維持するステップが、無線ネットワークのいくつかの位置でいくつかの基地局(BS)の信号値を物理的に測定することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 無線ネットワーク(RN)の確率モデル(PM)を維持するステップが、無線ネットワークの伝搬モデルにもとづいていくつかの位置でのいくつかの基地局(BS)の信号値を計算することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 少なくとも一つの信号特性値のそれぞれの端末による観測値の違いを補正する複数の装置モデル(DM)を決定し、
    各端末(T1-T3)に対して、複数の装置モデルから一つの装置モデルを選択し、当該端末によって得られた観測値を選択された装置モデルによって処理する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. いくつかの基地局を含む無線ネットワーク(RN)内でのいくつかの端末(T、T1-T5)の位置決めをする装置であって、
    無線ネットワーク(RN)の確率モデル(PM)であって、無線ネットワーク内のいくつかの位置(412)におけるいくつかの基地局(BS)の信号値の確率分布(4131-413n)を示す確率モデル、
    確率モデル(PM)と、各端末によって得られた、前記いくつかの基地局の部分集合の信号値を示す観測値集合(OS、423)とにもとづいて該端末の位置(425)の評価値を決定する位置計算モジュール(LCM)、
    から成る装置において、
    -いくつかの端末の各々から、反復的に、少なくとも一つの追加項目(424)の測定値を受信し、ここで、この少なくとも一つの追加項目が当該端末の位置の評価値の決定には使用されず、またここで、この少なくとも一つの追加項目を無線ネットワークの動作および/または当該端末の位置評価値の前記決定に影響を与えることなしには測定することができず、
    -前記少なくとも一つの追加項目の測定のための同時の必要性(31)と適時性(32)との検出に応答して、前記いくつかの端末による前記少なくとも一つの追加項目の測定を同調させ、
    -複数の情報タプル(42)を記憶し、ここで、各情報タプルが前記少なくとも一つの追加項目(424)ならびに前記少なくとも一つの追加項目が測定された時刻(422)および端末の位置(425)の評価値を示し、
    -この記憶された情報タプルを使用して、前記少なくとも一つの追加項目を時刻と無線ネットワーク内での位置との関数(45)として決定する、
    制御手段(CTRL、DB、42、43a、43b)、
    を有することを特徴とする装置。
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