JP2006315920A - 電子放出源及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】均一に形成されたより細い複数のカーボンナノチューブから電子放出源が構成できるようにする。
【解決手段】基板101の上に形成されたカーボンナノチューブ層102の上より、例えば蒸着法などにより例えば鉄を堆積し、カーボンナノチューブ層102の上層に触媒金属層103が形成された状態とする。例えば、平坦な基板の上であれば膜厚1nm程度となるように、触媒金属層103が形成された状態とする。ついで、化学気相成長法により、触媒金属層103よりカーボンナノチューブ104が形成された状態とする。このとき、1nm薄い触媒金属層103は、加熱されて融解するなどのことにより、複数の島状部分に離散的に存在する状態となる。従って、新たに成長するカーボンナノチューブは、あまり近設した状態では形成されず、各々離散して配置された状態となる。
【選択図】 図1
【解決手段】基板101の上に形成されたカーボンナノチューブ層102の上より、例えば蒸着法などにより例えば鉄を堆積し、カーボンナノチューブ層102の上層に触媒金属層103が形成された状態とする。例えば、平坦な基板の上であれば膜厚1nm程度となるように、触媒金属層103が形成された状態とする。ついで、化学気相成長法により、触媒金属層103よりカーボンナノチューブ104が形成された状態とする。このとき、1nm薄い触媒金属層103は、加熱されて融解するなどのことにより、複数の島状部分に離散的に存在する状態となる。従って、新たに成長するカーボンナノチューブは、あまり近設した状態では形成されず、各々離散して配置された状態となる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、化学的気相成長法により鉄などを含む基板の上に形成された直径の小さな複数のカーボンナノチューブからなる電子放出源とその製造方法に関する。
カーボンナノチューブは、完全にグラファイト化した直径4〜50nm程度で長さ1〜10μm程度の筒状をなしている。このカーボンナノチューブは、グラファイトの単層(グラフェン)が円筒状に閉じた形状と、複数のグラフェンが入れ子構造的に積層し、それぞれのグラフェンが円筒状に閉じた同軸多層構造となっている形状とがある。これら円筒状のグラフェンの中心部分は、空洞となっている。また、先端部は、閉じているものものや、折れるなどのことにより開放しているものもある。
このような独特の形状を持つカーボンナノチューブは、特有の電子物性を利用して新規な電子材料やナノテクノロジーへの応用が考えられている。例えば、電子放出のエミッタとして用いることが可能である。固体表面に強い電場をかけると、固体内に電子を閉じこめている表面のポテンシャル障壁が低くなりまた薄くなる。この結果、閉じこめられていた電子が、トンネル効果により固体の外部に放出されるようになる。これらの現象が、電界放出といわれている。
この電界放出を観測するためには、107V/cmもの強い電界を固体表面にかけなければならないが、これを実現するための一手法として先端を鋭く尖らせた金属針を用いるようにしている。このような針を用いて電界をかければ、尖った先端に電界が集中し、必要とされる高電界が得られる。前述したカーボンナノチューブは、先端の曲率半径がnmオーダと非常に鋭利であり、しかも化学的に安定で機械的にも強靱であるなど、電界放出のエミッタ材料として適した物理的性質を有している。
上述したような特徴を有するカーボンナノチューブを、例えば、FED(Field Emission Display)などの電子放出源に用いる場合、カーボンナノチューブを大きな面積の基板上に形成することが要求される。カーボンナノチューブの製造方法としては、ヘリウムガス中で2本の炭素電極を1〜2mm程度離した状態で直流アーク放電を起こすことで行う電気放電法や、レーザ蒸着法などがある。ところが、これらの製造方法では、カーボンナノチューブの直径や長さを調整しにくく、また、目的とするカーボンナノチューブの収率があまり高くできないという問題があった。また、カーボンナノチューブ以外の多量の非晶質状態の炭素生成物が同時に生成されるため、精製工程を必要とするなど、製造に手間がかかるという問題がある。
これらを解消するため、基板の上に触媒金属の層を用意し、基板を加熱した状態で触媒金属の層上にカーボンソースガスを供給し、触媒金属の層よりカーボンナノチューブを大量に成長させる方法が提案されている(特許文献1参照)。この熱化学気相成長(CVD)法によるカーボンナノチューブの製造は、触媒金属の主対や成長させる時間、また、基板の種類などにより、形成されるカーボンナノチューブの長さや直径を制御可能としている。
ところで、カーボンナノチューブを電子放出源として用いる場合、より細いカーボンナノチューブを用いることで、より低い電圧で電子を放出させることができる。例えば、FEDの電子放出源としてカーボンナノチューブを用いる場合、より細いものを用いることで、より低い電圧での駆動が可能となり、消費電力の省力化の点で好ましい。
CVD法でカーボンナノチューブを形成する場合、複数のカーボンナノチューブを基板の上に近設させて形成させることが可能となる。また、例えば、基板の温度を800〜1000℃と高温の条件とすることで、直径10nm程度の細いカーボンナノチューブが形成できる。しかしながら、電子放出源として用いるために、カソードとなる電極構造体を触媒金属から構成し、ここに直接カーボンナノチューブが形成された状態とする場合、次に示すような問題がある。
まず、上述した構成では、カーボンナノチューブが成長する形成面はすべてが触媒金属であるため、形成面のいずれの箇所においても、カーボンナノチューブが成長可能となっている。従って、CVD法で形成する場合、あまり間隔を開けずにカーボンナノチューブが林立して成長しやい状態となっている。このため、CVD法により複数の細いカーボンナノチューブを形成する場合、隣接する複数のカーボンナノチューブが接触して束になりやすく、基板の全域において均一な状態でカーボンナノチューブが形成された状態が非常に得にくい。均一な状態でカーボンナノチューブが形成されていない場合、電界放出が局所的におきやすい状態となる。局所的な電界放出は、カーボンナノチューブの破壊を引き起こし、場合によっては、連鎖的に多くのカーボンナノチューブが破壊される。
一方、基板の温度を600〜700℃程度と比較的低い温度条件とすることで、成長面の全域が触媒金属で構成されていても、より均一な状態で複数のカーボンナノチューブが、束になりにくい状態で形成されるようになる。しかしながら、このようにして形成されたカーボンナノチューブは、直径が40nmと比較的太く、細いカーボンナノチューブに比較してより高い駆動電圧が必要となり、省力化の観点で好ましくない。
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、均一に形成されたより細い複数のカーボンナノチューブから電子放出源が構成できるようにすることを目的とする。
本発明に係る電子放出源の製造方法は、所定の面に複数のカーボンナノチューブが形成された鉄,ニッケル,コバルト,クロムのいずれかを含む金属からなるカソード構造体より構成された電子放出源の製造方法において、カーボンソースガスが導入された反応炉中に、カソード構造体を配置してこのカソード構造体を第1温度に加熱し、カソード構造体の上に化学的気相成長法により複数の第1カーボンナノチューブが形成された状態とする第1工程と、複数の第1カーボンナノチューブの上に金属を堆積することで、第1カーボンナノチューブの上方部分に金属から構成された触媒金属層が形成された状態とする第2工程と、カーボンソースガスが導入された反応炉中に、カソード構造体を配置してこのカソード構造体を第2温度に加熱し、化学的気相成長法により複数の第2カーボンナノチューブが、触媒金属層より成長した状態とする第3工程とを少なくとも備え、第2温度は第1温度より高くされ、第2カーボンナノチューブは、第1カーボンナノチューブより細く形成されるようにしたものである。第1カーボンナノチューブの上方部分より、これより細い第2カーボンナノチューブが形成された状態となる。
また、本発明に係る他の電子放出源の製造方法は、所定の面に複数のカーボンナノチューブが形成された鉄,ニッケル,コバルト,クロムのいずれかを含む金属からなるカソード構造体より構成された電子放出源の製造方法において、カーボンソースガスが導入された反応炉中に、カソード構造体を配置してこのカソード構造体を第1温度に加熱し、カソード構造体の上に化学的気相成長法により複数の第1カーボンナノチューブが形成され、かつ各第1カーボンナノチューブの間のカソード構造体上にカーボン層が形成された状態とする第1工程と、第1カーボンナノチューブの隙間のカーボン層の上に金属を堆積することで、カーボン層の上に金属から構成された触媒金属層が形成された状態とする第2工程と、カーボンソースガスが導入された反応炉中に、カソード構造体を配置してこのカソード構造体を第2温度に加熱し、化学的気相成長法により複数の第2カーボンナノチューブが、触媒金属層より成長した状態とする第3工程とを少なくとも備え、第2温度は第1温度より高くされ、第2カーボンナノチューブは、第1カーボンナノチューブより細く形成されるようにしたものである。従って、第2カーボンナノチューブの隙間より、これより細い第1カーボンナノチューブが形成された状態となる。
本発明に係る電子放出源は、所定の面に複数のカーボンナノチューブが形成された鉄,ニッケル,コバルト,クロムのいずれかを含む金属からなるカソード構造体より構成された電子放出源において、カソード構造体の上に形成された複数の第1カーボンナノチューブと、この第1カーボンナノチューブの上方部分に形成された金属から構成された触媒金属層と、触媒金属層より成長された複数の第2カーボンナノチューブとを少なくとも備え、第2カーボンナノチューブは、第1カーボンナノチューブより細く形成されているようにしたものである。
また、本発明に係る他の電子放出源は、所定の面に複数のカーボンナノチューブが形成された鉄,ニッケル,コバルト,クロムのいずれかを含む金属からなるカソード構造体より構成された電子放出源において、 カソード構造体の上に形成された複数の第1カーボンナノチューブと、複数の第1カーボンナノチューブの隙間のカソード構造体の上に形成されたカーボン層と、カーボン層の上に形成された金属からなる触媒金属層と、触媒金属層より成長された第2カーボンナノチューブとを少なくとも備え、第2カーボンナノチューブは、第1カーボンナノチューブより細く形成されているようにしたものである。
以上説明したように、本発明によれば、太いカーボンナノチューブが形成された後にこれより細いカーボンナノチューブが形成されるようにしたので、均一に形成されたより細い複数のカーボンナノチューブから電子放出源が構成できるようになるという優れた効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における電子放出源の製造方法例を示す工程図である。なお、図1では、電子放出源の一部構成の断面状態を、模式的に示している。まず、図1(a)に示すように、426合金などのステンレス鋼からなりカソードとなる基板(カソード構造体)101を用意する。次に、例えば、石英管などから構成されたCVD装置の処理室(反応路)の内部に、用意した基板101を配置し、処理室の一方より一酸化炭素ガス(原料ガス)と水素ガス(キャリアガス)を流した状態で、基板101が650℃程度に加熱された状態とする。この化学気相成長の工程においては、例えば、一酸化炭素ガスが500sccm程度の流量で供給され、水素ガスは1000sccm程度の流量で供給されていればよい。なお、sccmは流量の単位であり、1sccmは、0℃・1気圧の流体が1分間に1cm3流れることを示す。
加熱されている基板101の上では、供給された原料ガスが熱分解されて炭素が生成され、生成された炭素は、基板101を構成している鉄に溶け込み、炭素が溶けた基板101よりカーボンナノチューブが成長する。なお、原料ガスとしては、一酸化炭素ガスに限るものではなく、例えば、アセチレン,エチレン,メタン,エタン,プロピレン,及びプロパンなどの炭素数が1〜3程度の炭化水素ガスを用いるようにしてもよい。また、基板101は、ステンレス鋼に限らず、化学気相成長法によりカーボンナノチューブが成長する触媒金属を含む材料から構成されていればよい。触媒金属としては、例えば、鉄の他に、ニッケル,コバルト,クロムなどを用いることが可能である。
上述した化学気相成長法によるカーボンナノチューブの成長を例えば30分程度行うことで、図1(b)に示すように、基板101の上に、直径が30〜40nm程度の複数のカーボンナノチューブからなるカーボンナノチューブ層102が形成された状態となる。また、成長したカーボンナノチューブは、長さが15μm程度の多層カーボンナノチューブである。基板101の上には、複数のカーボンナノチューブが林立して繊維状に形成され、これらが3次元的に絡み合って綿状を呈するようになっている。カーボンナノチューブ層102は、直径が40nm程度と太いカーボンナノチューブから構成されているが、層厚が均一に形成され、局所的な電界放出などが抑制された状態となっている。
次に、基板101の上に形成されたカーボンナノチューブ層102の上より、例えば蒸着法などにより例えば鉄を堆積し、図1(c)に示すように、カーボンナノチューブ層102の上層に触媒金属層103が形成された状態とする。例えば、平坦な基板の上であれば膜厚1nm程度となるように、触媒金属層103が形成された状態とする。なお、蒸着法に限らず、スパッタ法などの他の堆積法により触媒金属層103が形成されているようにしてもよい。
ついで、触媒金属層103が形成された基板101を処理室の内部に配置(搬入)し、処理室の一方より一酸化炭素ガス(原料ガス)と水素ガス(キャリアガス)を流した状態で、基板101が800〜1000℃程度に加熱された状態とする。この化学気相成長の工程においては、例えば、一酸化炭素ガスが500sccm程度の流量で供給され、水素ガスは1000sccm程度の流量で供給されていればよい。このとき、触媒金属層103は、1nm程度と薄いため、加熱されて融解するなどのことにより、複数の島状部分に離散的に存在する状態となる。従って、新たに成長するカーボンナノチューブも、あまり近設した状態では形成されず、各々離散して配置された状態となる。
上述した化学気相成長法によるカーボンナノチューブの成長を例えば4〜5分程度行うことで、図1(d)に示すように、カーボンナノチューブ層102の上層部分より、直径が10nm程度の複数のカーボンナノチューブ104が、各々離散配置されて形成された状態となる。また、成長したカーボンナノチューブ104は、長さが1μm程度である。加えて、上述したカーボンナノチューブ104の形成では、成長時間が短いため、局所的に他より長い部分が形成されにくい状態となっている。これらのことにより、局所的な電界放出が抑制されるなど層厚が均一に形成されたカーボンナノチューブ層102において、より多くの電界放出端が均一に形成された状態となる。なお、上記加熱により、触媒金属層103は、微小な複数の島部分に離散的に存在する状態となるため、650℃程度の温度条件としても、細いカーボンナノチューブが成長する。ただし、より高温とした方が、形成されるカーボンナノチューブの結晶性がよくなる。
この後、基板101に対向するようにアノード電極が配置された状態とするなどのことにより、電子放出源が構成された状態とする。このように構成された電子放出源によれば、カーボンナノチューブ層102に付加された複数の電界放出端は、より細いカーボンナノチューブ104であるため、より低い電圧で電子放出が起こるようになり、消費電力が大幅に低減可能である。また、基体となるカーボンナノチューブ層102は、より低温条件のCVD法で形成された複数の太いカーボンナノチューブからなる均一な層である。このため、部分的に層厚が異なり電界集中が起こりやすい場所がないなど、安定した電子放出が可能となっている。
次に、本発明実施の形態における他の電子放出源の製造方法例について説明する。図2は、本実施の形態における電子放出源の製造方法例を示す工程図である。まず、図2(a)に示すように、426合金などのステンレス鋼からなりカソードとなる基板101を用意する。次に、例えば、石英管などから構成されたCVD装置の処理室(反応路)の内部に、用意した基板101を配置し、処理室の一方より一酸化炭素ガス(原料ガス)と水素ガス(キャリアガス)を流した状態で、基板101が650℃程度に加熱された状態とする。この化学気相成長の工程においては、例えば、一酸化炭素ガスが500sccm程度の流量で供給され、水素ガスは1000sccm程度の流量で供給されていればよい。
加熱されている基板101の上では、供給された原料ガスが熱分解されて炭素が生成され、生成された炭素は、基板101を構成している鉄に溶け込み、炭素が溶けた基板101よりカーボンナノチューブが成長する。この化学気相成長法によるカーボンナノチューブの成長を例えば2〜3分程度行うことで、図2(b)に示すように、基板101の上に、長さが1μm程度の複数のカーボンナノチューブ202が形成された状態となる。また、成長したカーボンナノチューブ202は、直径が30〜40nm程度の多層カーボンナノチューブである。
基板101の上には、複数のカーボンナノチューブ202が、各々10nm程度離間して、均一に林立した状態に形成される。また、短い成長時間により長さ1μm程度と短いカーボンナノチューブを形成するようにしたので、カーボンナノチューブ202は、基板101のほぼ法線方向に延在(配向)して成長した状態となっている。また、図2には示していないが、各カーボンナノチューブ202の間においては、基板101の上に薄い(数nm程度)のカーボンの層が形成される。なおこのとき、基板101の法線方向に電界(電場)を与えることで、カーボンナノチューブ202がほぼ完全に垂直配向した状態に形成することが可能である。
次に、基板101の上に形成された複数のカーボンナノチューブ202の上より、例えば鉄を蒸着し、図2(c)に示すように、カーボンナノチューブ202の間の上述したカーボン層の上に、膜厚1nm程度の触媒金属層203が形成された状態とする。カーボンナノチューブ202は、各々が短く垂直配向しているため、蒸着源より飛来した蒸着原子が、隙間のカーボン層(基板101)の上に到達しやすい状態となっている。このため、蒸着法により、触媒金属層203の形成が可能となる。なお、蒸着法に限らず、スパッタ法などの他の堆積法により触媒金属層203が形成されているようにしてもよい。
ついで、触媒金属層203が形成された基板101を処理室の内部に配置(搬入)し、処理室の一方より一酸化炭素ガス(原料ガス)と水素ガス(キャリアガス)を流した状態で、基板101が800〜1000℃程度に加熱された状態とする。この化学気相成長の工程においては、例えば、一酸化炭素ガスが500sccm程度の流量で供給され、水素ガスは1000sccm程度の流量で供給されていればよい。このとき、触媒金属層203は1nm程度と薄く、また、上記カーボン層の上に形成されているため、加熱されて融解するなどのことにより、触媒金属層203は、複数の島状部分(微粒子)に離散的に存在する状態となる。また、触媒金属層203は、すでに形成されている太いカーボンナノチューブ202の隙間に配置されているため、この点においても、加熱により形成された触媒金属の微粒子は、所定の間隔で離散的に配置された状態となる。
上述した化学気相成長法によるカーボンナノチューブの成長を例えば10〜15分程度行うことで、図2(d)に示すように、各カーボンナノチューブ202の隙間の基板101上より、直径が10nm程度の細いカーボンナノチューブ204が、長さ4〜5μm程度に各々離散配置されて形成された状態となる。従って、カーボンナノチューブ204の上端は、カーボンナノチューブ202の上端を超え、カーボンナノチューブ202の層より突出した状態となる。なお、成長したカーボンナノチューブ204は、グラフェンが円筒状に閉じた単層構造である。また、上述したカーボンナノチューブ204の形成では、成長時間が短いため、局所的に他より長い部分が形成されにくい状態となっている。これらのことにより、局所的な電界放出が抑制されるなど各々の長さが均一に形成された複数のカーボンナノチューブ204が、形成された状態が得られる。また、複数のカーボンナノチューブ204は、ほぼ束になることが抑制された状態となっている。
この後、基板101に対向するようにアノード電極が配置された状態とするなどのことにより、電子放出源が構成された状態とする。このように構成された電子放出源によれば、直径10nm以下とより細い複数のカーボンナノチューブ204から構成されているので、より低い電圧で電子放出が起こるようになり、消費電力が大幅に低減可能である。また、各々のカーボンナノチューブ204は、各々均一な長さで所定の間隔を開けて形成された状態で形成されているので、部分的に層厚が異なり電界集中が起こりやすい場所がないなど、安定した電子放出が可能となっている。
101…基板、102…カーボンナノチューブ層、103…触媒金属層、104…カーボンナノチューブ。
Claims (4)
- 所定の面に複数のカーボンナノチューブが形成された鉄,ニッケル,コバルト,クロムのいずれかを含む金属からなるカソード構造体より構成された電子放出源の製造方法において、
カーボンソースガスが導入された反応炉中に、前記カソード構造体を配置してこのカソード構造体を第1温度に加熱し、前記カソード構造体の上に化学的気相成長法により複数の第1カーボンナノチューブが形成された状態とする第1工程と、
複数の前記第1カーボンナノチューブの上に前記金属を堆積することで、第1カーボンナノチューブの上方部分に前記金属から構成された触媒金属層が形成された状態とする第2工程と、
カーボンソースガスが導入された反応炉中に、前記カソード構造体を配置してこのカソード構造体を第2温度に加熱し、化学的気相成長法により複数の第2カーボンナノチューブが、前記触媒金属層より成長した状態とする第3工程と
を少なくとも備え、
前記第2温度は前記第1温度より高くされ、前記第2カーボンナノチューブは、前記第1カーボンナノチューブより細く形成される
ことを特徴とする電子放出源の製造方法。 - 所定の面に複数のカーボンナノチューブが形成された鉄,ニッケル,コバルト,クロムのいずれかを含む金属からなるカソード構造体より構成された電子放出源の製造方法において、
カーボンソースガスが導入された反応炉中に、前記カソード構造体を配置してこのカソード構造体を第1温度に加熱し、前記カソード構造体の上に化学的気相成長法により複数の第1カーボンナノチューブが形成され、かつ各第1カーボンナノチューブの間の前記カソード構造体上にカーボン層が形成された状態とする第1工程と、
前記第1カーボンナノチューブの隙間の前記カーボン層の上に前記金属を堆積することで、前記カーボン層の上に前記金属から構成された触媒金属層が形成された状態とする第2工程と、
カーボンソースガスが導入された反応炉中に、前記カソード構造体を配置してこのカソード構造体を第2温度に加熱し、化学的気相成長法により複数の第2カーボンナノチューブが、前記触媒金属層より成長した状態とする第3工程と
を少なくとも備え、
前記第2温度は前記第1温度より高くされ、前記第2カーボンナノチューブは、前記第1カーボンナノチューブより細く形成される
ことを特徴とする電子放出源の製造方法。 - 所定の面に複数のカーボンナノチューブが形成された鉄,ニッケル,コバルト,クロムのいずれかを含む金属からなるカソード構造体より構成された電子放出源において、 前記カソード構造体の上に形成された複数の第1カーボンナノチューブと、
この第1カーボンナノチューブの上方部分に形成された前記金属から構成された触媒金属層と、
前記触媒金属層より成長された複数の第2カーボンナノチューブと
を少なくとも備え、
前記第2カーボンナノチューブは、前記第1カーボンナノチューブより細く形成されている
ことを特徴とする電子放出源。 - 所定の面に複数のカーボンナノチューブが形成された鉄,ニッケル,コバルト,クロムのいずれかを含む金属からなるカソード構造体より構成された電子放出源において、 前記カソード構造体の上に形成された複数の第1カーボンナノチューブと、
複数の前記第1カーボンナノチューブの隙間の前記カソード構造体の上に形成されたカーボン層と、
前記カーボン層の上に形成された前記金属からなる触媒金属層と、
前記触媒金属層より成長された第2カーボンナノチューブと
を少なくとも備え、
前記第2カーボンナノチューブは、前記第1カーボンナノチューブより細く形成されている
ことを特徴とする電子放出源。
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