JP2006311858A - 感作性物質のinvitro評価方法及びそれに用いる遺伝子工学的に作製された細胞 - Google Patents

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Abstract

【課題】取扱いが容易であり、安定して入手可能な培養細胞を用いる、精度の向上した感作性物質のインビトロ評価方法の提供。
【解決手段】本発明は、(a)感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞と、該感作性物質を含有すると予想される被験試料とをインキュベートし、(b)該ヒト株化細胞から発現されたレポーター遺伝子または該レポーター遺伝子がコードするタンパク質もしくはポリペプチドを検出する、ステップを含むことを特徴とする、該感作性物質の in vitro 評価方法またはスクリーニング方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、感作性物質の in vitro 評価方法、感作性物質を活性化又は抑制する物質の評価方法及び感作性評価が可能な遺伝子工学的に作製された細胞に関する。
生体においてアレルギー等を誘発する物質(感作性物質)を評価する方法としては、実験動物に被験物質を適用し、そして該実験動物の皮膚などに生ずる反応を視察しる方法が行われている。しかしながら、この方法は動物愛護等の見地から見直しがせまられている。
外来物質によりアレルギー反応が惹起される最初の段階では、抗原提示細胞が感作性物質に暴露されると、抗原は該細胞により従属リンパ節に運ばれる。そこで、該細胞は、その細胞表面に抗原を担持したMHCクラスIIタンパク質や、CD86分子などを発現し、T細胞に抗原提示を行う。これにより、抗原特異的な獲得性免疫応答が成立する。この一連の過程では、該細胞は多くのサイトカイン(IL-1β、IL-6、IL-12など)やケモカイン(MIP-1αやMIP-1β、RANTESなど)を産生することで、活性化し、従属リンパ節への遊走が可能になる。このような抗原提示細胞としては樹状細胞やヒト単核球細胞株が知られている。しかしながら、樹状細胞の性質には個人差があり、また再現性に問題があり、一定の特性を有する樹状細胞を安定的に入手することが困難である。また、樹状細胞はその調製に困難さが伴う。
他方、ヒト単核球細胞株は細胞の取扱いは、比較的容易であり、現時点ではヒト単核球細胞株に感作性物質を作用させた場合、該細胞表面に感作性物質の量や特性を反映してCD86分子が発現されることが、明らかとなっている。しかし、細胞表面のCD86分子を測定する方法は、測定機器であるフローサイトメトリー、CD86分子測定に必須な試薬(蛍光標識したCD86抗体、アイソタイプコントロール)が高価なこと、被験物質の蛍光の影響を受けること、測定に時間がかかること、アレルギー物質の中にはヒト単核球細胞株に該物質を作用させても、CD86を発現しない場合があること、などの問題を抱える。
特開2001-221796
従って、本発明は、取扱いが容易であり、安定して入手可能な培養細胞を用いる、精度の向上した感作性物質をインビトロで評価する方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の目的を達成するため、種々検討した結果、CD86又はMIP-1βプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞に感作性物質を作用させた場合、該細胞から感作性物質の量や特性に反映してレポータータンパク質分子が発現されることを見出し、本発明を完成させた。
従って、本発明は以下の発明を包含する。
(1)(a-1)感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞と、該感作性物質を含有すると予想される被験試料とをインキュベートし、
(b-1)該ヒト株化細胞から発現されたレポーター遺伝子または該レポーター遺伝子がコードするタンパク質もしくはポリペプチドを検出する、
ステップを含むことを特徴とする、該感作性物質の in vitro 評価方法またはスクリーニング方法。
好適には、上記方法はさらに、上記(b-1)で得られた検出結果を、該感作性物質の不在下で上記(a-1)と同様の条件下でインキュベートした上記ヒト株化細胞から発現されたレポーター遺伝子または該レポーター遺伝子がコードするタンパク質もしくはポリペプチドの検出結果と比較するステップを含む。
(2)(a-2)感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞と、該感作性物質と、被験物質とを一緒にインキュベートし、
(b-2)ヒト株化細胞から発現されたレポーター遺伝子または該レポーター遺伝子がコードするタンパク質もしくはポリペプチドを検出する、
ステップを含むことを特徴とする、該被験物質が該感作性物質に対する活性化剤又は抑制剤であるか否かを評価する方法又はスクリーニング方法。
好適には、上記方法はさらに、上記(b-2)で得られた検出結果を、該感作性物質の不在下で上記(a-2)と同様の条件下でインキュベートした上記該ヒト株化細胞から発現されたレポーター遺伝子または該レポーター遺伝子がコードするタンパク質もしくはポリペプチドの検出結果と比較し、当該検出結果の値が有意に上昇していれば該被験物質は該感作性物質の活性化剤と判定し、当該検出結果の値が有意に低下していれば該被験物質は該感作性物質の抑制剤と判定するステップを含む。
(3)(1)又は(2)の方法に使用できる、感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞。
(4)前記感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列がCD86プロモーター配列である、(1)〜(3)のいずれかの方法。
(5)前記感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列がMIP-1β(マクロファージ由来炎症性タンパク質1β)プロモーター配列である、(1)〜(3)のいずれかの方法。
(6)前記レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はヒト胎盤分泌アルカリホスファターゼである、(1)〜(5)のいずれかのヒト株化細胞系。
本発明に従い、取扱いが容易であり、安定して入手可能な培養細胞を用いる、精度の向上した感作性物質をインビトロで評価する方法が提供される。
本発明の感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞を得るのに必要なベクターは、原核及び真核発現系における増幅を可能にする任意のシャトルベクター、例えばpGlow-TOPO(Invitrogen社製)、pEGFD-1ベクター(BD-Clontech社製)等であってよい。これらのベクターは、好ましくは、少なくとも1つ以上の選択可能なマーカーを含む。かかるマーカーとしては、真核細胞培養においては、G418またはネオマイシン、ハイグロマイシン、ピューロマイシン、ジヒドロ葉酸レダクターゼが挙げられ、大腸菌及び他の微生物における培養に対しては、テトラサイクリン耐性遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子又はアンピシリン耐性遺伝子が挙げられる。前記ベクターを増幅するための適切な宿主の代表例としては、限定されず、大腸菌、サルモネラ菌などの細菌細胞、酵母細胞などの真菌細胞、Sf9等の昆虫細胞、動物細胞及び植物細胞が挙げられるが、特に好ましくはヒト細胞、特にヒト株化細胞、例えばTHP-1細胞である。
宿主細胞への前記ベクターの導入は、既知の方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE―デキストラン媒介トランスフェクション、カチオン脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、トランスダクション、インフェクション又は他の方法により実施されうる。かかる方法は、多くの標準研究室マニュアルに記載されている。
本明細書で用いられる用語「レポーター遺伝子」とは、その産物が、誘導可能なプロモーターにより支配された発現の割合を測定するために用いられうる任意の遺伝子に関する。かかるレポーター遺伝子及び該レポーター遺伝子の発現率を決定するアッセイ並びにレポーター遺伝子をプロモーターに作動的に連結する方法は、当業者に周知である。かかるレポーター遺伝子の一例は、ホタルルシフェラーゼをコードする遺伝子である。ホタルルシフェラーゼ活性は、蛍光基質ルシフェリンなどから構成される、簡便、高感度な検出キット(例えば、プロメガKK株式会社より提供)などにより測定可能である。他のレポーター分子としては、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はヒト胎盤分泌アルカリホスファターゼが挙げられる。
したがって、さらに好ましい態様において、レポーター遺伝子は、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はヒト胎盤分泌アルカリホスファターゼをコードする遺伝子である。
本明細書で用いられる用語「感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター」とは、本発明のin vitro系で有用な任意のプロモーター、すなわち、感作性シグナルを示す因子、例えば、感作性反応を導きうる因子により誘導可能な任意のプロモーターに関する。前記プロモーターは、感作性ハザードの高感度なインジケーターとして働くプロモーター構築物として、広範囲の感度と感作性物質に対する高い特異性を持つものが選択される。例えば、CD86又はMIP-1βのプロモーターが用いられ、化学物質の感作性に感受性を持つインジケーターとして働くことができる。CD86は、アレルギー反応の段階で、感作性物質に暴露された抗原提示細胞がT細胞に抗原提示を行う際に関与する分子であり、CD86プロモーターはNFκB結合領域、インターフェロンγ応答領域等の転写因子結合部位を有する。また、MIP-1β(マクロファージ由来炎症性タンパク質1β)は、刺激を受けた白血球や他の組織細胞、腫瘍細胞で生産されるペプチドであり、CCケモカインの一つである。MIP-1βは、T細胞活性化のための情報を提供して、増殖促進、IL-2分泌、細胞表面IL-2レセプターの発現を誘導することで知られる。また、MIP-1βは、様々な炎症疾患に関与していると考えられており、CD8+T細胞によるHIV抑制に関わることも報告されている。
したがって、好ましい態様において、レポーター遺伝子を作動的に連結したプロモーターを誘導する環境ハザードは、感作性物質である。
その他のかかるプロモーターの例としては、IL-1β、CD-54、MHC classII、MIP-1α等が挙げられる。
遺伝学的にヒト株化細胞のさらに好ましい様態は、ベクターがレポーター遺伝子を作動的に連結したCD86又はMIP-1βプロモーターを保持するものである細胞系である。CD86プロモーター配列を、配列番号1及び図3に示し、MIP-1βプロモーター配列を、配列番号2及び図6に示す。尚、CD86プロモーターには、配列番号1に示す配列のそのものの他に、配列番号1に示す配列の1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失もしくは付加された配列であって、CD86プロモーターと同等のプロモーター活性を示す配列、又は配列番号1に示す配列と高ストリンジェント条件下でハイブリダイズ可能な配列であって、CD86分子と同等のプロモーター活性を示す配列も含まれる。また、MIP-1βプロモーターには、配列番号2に示す配列のそのものの他に、配列番号2に示す配列の1又は数個のヌクレオチドが置換、欠失もしくは付加された配列であって、MIP-1βプロモーターと同等のプロモーター活性を示す配列、又は配列番号2に示す配列と高ストリンジェント条件下でハイブリダイズ可能な配列であって、MIP-1β分子と同等のプロモーター活性を示す配列も含まれる。ハイブリダイゼーションは周知の方法又はそれに準じる方法、例えばJ.SambrookらMolecular Cloning 2nd, Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989に記載の方法に従って行うことができ、そして高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、例えばナトリウム濃度が約10〜40mM、好ましくは約20mM、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃であることを含む条件をいう。
本発明のプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞を培養するための培地としては、これらの細胞を培養することができる常用の任意の培地を使用することができるが、例えば具体例としてRPMI1640培地、DMEM培地、ダルベッコ改変イーグル培地等が挙げられる。これらの培地にはおよそ10%程度のウシ胎児血清を添加することが必要である。
感作性物質の評価又はスクリーニングにおいては、培地中の上記ヒト株化細胞に被験物質を加え、例えばCO2インキュベーター中で、37℃にて24〜72時間培養(インキュベーション)を行う。ヒト株化細胞の初期濃度は1×105〜1×106細胞/mLが好ましい。この場合、好ましくは、被験物質を加えないで、上記の同様の培養を行い、対照とする。また、感作性物質を阻害又は活性化する物質の評価又はスクリーニングにおいては、培地中のヒト株化細胞に、既知の感作性物質と被験物質とを加えて、上記条件で培養(インキュベーション)を行う。この場合、好ましくは、被験物質を加えないで上記と同様の培養を行い、対照とする。
培養(インキュベーション)が終了した後、レポーター遺伝子を検出又は測定する。レポーター遺伝子の検出又は測定方法は、レポーター分子の特性に合わせた活性測定、フローサイトメトリーによる蛍光強度測定、レポーター遺伝子発現を検出する定量的又は定性的RT-PCR法、ノーザンブロッティング等の方法やレポーター分子に対する抗体との反応性に基づくエンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロッティング等の方法を用いることができる。いずれの方法によってもレポーター分子の検出が可能であるが、操作の簡便性、感度、設備等の点からレポーター分子の特性に合わせた活性測定、フローサイトメトリーによる蛍光強度測定で測定するのが好ましい。
被験物質が感作性物質を阻害するか又は活性化するか否かの評価基準として、例えば該ヒト株化細胞の上記方法による培養により得られたレポーター分子の検出測定値が、被験物質の不在下で上記インキュベーションを行った細胞の検出測定値と比べ10%以上、又は20%以上、又は30%以上、又は50%以上、又は70%以上、又は100%以上上昇していたなら「該被験物質は該感作性物質に対する活性化剤である」と判断する、としてよい。また、その評価基準として、例えば該ヒト株化細胞の上記方法による培養により得られたレポーター分子の検出測定値が、被験物質の不在下で上記インキュベーションを行った細胞の検出測定値と比べ10%以上、又は20%以上、又は30%以上、又は50%以上、又は70%以上、又は100%以上低下していたなら「該被験物質は該感作性物質に対する抑制剤である」と判断する、としてよい。
被験物質はしばしば細胞にダメージを与えることがある。そこで、培養(インキュベーション)が終了した後、細胞の一部を用いて細胞生存率を測定し、その値でレポーター遺伝子の検出又は測定値を補正することが望ましい場合がある。細胞生存率を測定する方法は、任意であるが、細胞内ATP量をルシフェラーゼを用いて測定する方法、細胞の還元状態を測定するMTT(2-(4,5-Dimethyl-2-thiazolyl)-2,5-diphenyl-2H-tetrazolium bromide)法、アラマーブルー法等が知られている。
次に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1.
THP-1細胞におけるベクター CD86ProLucNeoのトランスフェクション
図1にプラスミド地図を示すベクターpLucNeoのマルチクローニングサイトに常法に従ってCD86プロモーターのクローニングされた図2に示されるベクターpCD86ProLucNeoをTHP-1細胞(大日本製薬株式会社より購入)にEffectene試薬を用いてトランスフェクトした。なお、CD86プロモーター配列は、配列番号1及び図3に示した。トランスフェクトは、Effectene試薬の使用説明書(製造業者:キアゲン社)に従って行った。トランスフェクトされた細胞の選択を、G-418を用いて1ヶ月間行い、生き残っているクローンを標準的な培養技術により拡大させた。以下、このクローンをTHP-1/ CD86ProLucNeoと略す。
実施例2.
THP-1細胞におけるベクター MIP-1βProLucNeoのトランスフェクション
図1にプラスミド地図を示すベクターpLucNeoのマルチクローニングサイトに常法に従ってMIP-1βプロモーターのクローニングされた図5に示されるベクターMIP-1βProLucNeoをTHP-1細胞(大日本製薬株式会社より購入)にEffectene試薬を用いてトランスフェクトした。なお、MIP-1βプロモーター配列は、配列番号2及び図6に示した。トランスフェクトは、Effectene試薬の使用説明書(製造業者:キアゲン社)に従って行った。トランスフェクトされた細胞の選択を、G-418を用いて1ヶ月間行い、生き残っているクローンを標準的な培養技術により拡大させた。以下、このクローンをTHP-1/ MIP-1βProLucNeoと略す。
実施例3.
感作性物質によるTHP-1/ CD86ProLucNeo細胞又はTHP-1/ MIP-1βProLucNeo細胞のプロモーター誘導の測定
被験物質処理した前日又は当日にTHP-1/ CD86ProLucNeo細胞又はTHP-1/ MIP-1βProLucNeo細胞をRPMI1640(含10%FBS)培地を用いて5×105細胞/mLに調製し、24穴プレートに1mL/wellずつ播種した。被験物質は、滅菌水、RPMI1640(含10%FBS)培地あるいはDMSOを用いて適当な濃度に希釈した。被験物質で処理した細胞はCO2インキュベーター中で24時間培養した。培養後のTHP-1/ CD86ProLucNeo細胞又はTHP-1/ MIP-1βProLucNeo細胞をPBSで洗浄し、細胞内のルシフェラーゼ活性を発光法にて測定した。ルシフェラーゼ活性の測定は、ルシフェラーゼ・アッセイ・システム(プロメガ社製)を用い、下記のとおりにして行った。
ルシフェラーゼ・アッセイ・システムプロトコール
(準備工程)
1) Luciferase Cell Culture Lysis Reagent,5× 2mL を滅菌ミリQ水で5倍に希釈した(総容量10mL)
2) Luciferase Assay Substrate をLuciferase Assay Buffer 10mLに溶解させ、Luciferase Assay Substrate solutionを調製した。
(実験工程)
3) THP-1/ CD86ProLucNeo細胞又はTHP-1/ MIP-1βProLucNeo細胞をLuciferase Cell Culture Lysis Reagent 100μLに懸濁し、室温で10〜20分放置して細胞を溶解させ、細胞ライセートを調製した。
4) 細胞ライセート20μLをチューブに移し、Luciferase Assay Substrate solutionを100μL加え、ルミノメーター(Berthold社製)で発光強度を測定した。Luciferase Assay Substrate solutionの添加はルミノメーター付随のオートインジェクターにて行った。
代表的な感作性物質であるDNCBを用いた結果を図4及び図7に、その他の感作性物質を用いた検討を表1及び表2に示す。
Figure 2006311858
Figure 2006311858
実施例4.
本発明の方法と従来技術の方法との比較をいくつかの被験物質について、実施例1に記載した本発明の方法(THP-1/ CD86ProLucNeo細胞法又はTHP-1/ MIP-1βProLucNeo細胞法)の従来技術である下記のTHP-1/CD86法、文献によるGunea Pig Maximaization法(GPMT法)、Local Lymph Node Assay法(LLNA法)、さらにヒトアレルギーに関する文献データと比較した。
THP-1/CD86法
THP-1細胞(ATCC (American Type Culture Collection)より供与、または大日本製薬株式会社より購入)をRPMI1640(含10%FBS)培地を用いて5×105細胞/mLに調製し、24穴プレートに1mL/wellずつ播種した。被験物質は、滅菌水、RPMI1640(含10%FBS)培地あるいはDMSOを用いて適当な濃度に希釈した。被験物質で処理した細胞はCO2インキュベーター中で24時間培養した。培養後の細胞をPBSを用いて洗浄し、FITCで蛍光標識した抗ヒトCD86抗体を用いて氷水中で30分間染色した。染色した細胞をPBSを用いて洗浄し、洗浄後の細胞を0.1%BSAを含むPBSに浮遊させた。その細胞浮遊液を用いてフローサイトメトリーにより生細胞1×106細胞の蛍光強度を測定し、被験物質無処理のコントロールを比較した。生細胞の検出はPI染色により行った。
その比較結果を表3にまとめた。
Figure 2006311858
実施例2における実験工程と実施例3における実験工程、並び標準実験時間、コストを表4に示した。
Figure 2006311858
考察
従来法であるTHP-1/CD86法では、試験した6品のうち、4品がin vivoデータと一致した。詳しくは、CD86 in vitro法によれは、in vivoデータで陽性とされた化合物のうち、NiSO4とイソオイゲノールを除く化合物が陽性と判断され、 in vivoデータで陰性であるとされたDMSOやSDSは陰性と判断された。一方、THP-1/ CD86ProLucNeo細胞法又はTHP-1/ MIP-1βProLucNeo細胞法に関しては、試験した全品がin vivoデータと一致した。
尚、表4に示すようにTHP-1/ CD86ProLucNeo細胞法又はTHP-1/ MIP-1βProLucNeo細胞法は、従来法であるTHP-1/CD86法に比べて、測定にかかる時間、測定にかかる費用の面から安価で、簡易的な測定法であることが明らかとなった。
ベクター:pLucNeoプラスミドの地図を示す。 ベクター:pCD86ProLucNeoプラスミドの地図を示す。 CD86プロモーターのヌクレオチド配列を示す。 THP−1/CD86ProLucNeo細胞のDCNBに対する応答を示す。 ベクター:pMIP-1βProLucNeoプラスミドの地図を示す。 MIP-1βプロモーターのヌクレオチド配列を示す。 THP−1/MIP-1βProLucNeo細胞のDCNBに対する応答を示す。

Claims (6)

  1. (a)感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞と、該感作性物質を含有すると予想される被験試料とをインキュベートし、
    (b)該ヒト株化細胞から発現されたレポーター遺伝子または該レポーター遺伝子がコードするタンパク質もしくはポリペプチドを検出する、
    ステップを含むことを特徴とする、該感作性物質の in vitro 評価方法またはスクリーニング方法。
  2. (a)感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞と、該感作性物質と、被験物質とを一緒にインキュベートし、
    (b)ヒト株化細胞から発現されたレポーター遺伝子または該レポーター遺伝子がコードするタンパク質もしくはポリペプチドを検出する、
    ステップを含むことを特徴とする、該被験物質が該感作性物質に対する活性化剤又は抑制剤であるか否かを評価する方法又はスクリーニング方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の方法に使用できる、感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列と該プロモーターに作動的に連結したレポーター遺伝子とを含有したベクターでトランスフェクトされたヒト株化細胞。
  4. 前記感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列がCD86プロモーター配列である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記感作性物質の作用により誘導可能なプロモーター配列がMIP-1β(マクロファージ由来炎症性タンパク質1β)プロモーター配列である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はヒト胎盤分泌アルカリホスファターゼである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のヒト株化細胞系。
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