JP2006289411A - 溶融金属の連続鋳造方法および連続鋳造装置 - Google Patents

溶融金属の連続鋳造方法および連続鋳造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】金属元素の化合物の微粒子を溶融金属中に高い歩留りで添加し、鋳片内に均一に分散させることが可能な連続鋳造方法および連続鋳造装置を提供する。
【解決手段】タンディッシュ2を経て鋳型5内に溶融金属を供給する連続鋳造方法であって、溶融金属に添加する金属元素の化合物を懸濁させた液化ガス9、またはこの液化ガスとアルゴン等のガスとの混合物を、タンディッシュ底部に配置したノズル7、またはタンディッシュ内の溶融金属中に浸漬したランスを用いてタンディッシュ内の溶融金属中に吹き込む。この方法は、液化ガス供給装置8と金属元素の化合物の供給装置12と、タンディッシュ底部に配置されたノズルまたはタンディッシュ内の溶融金属中に浸漬したランスを具備する連続鋳造装置により実施できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶融金属の連続鋳造の過程で、溶融金属中に金属元素の化合物の粒子を高い歩留りで添加し、鋳片内に均一に分散させることができる溶融金属の連続鋳造方法および連続鋳造装置に関する。
近年、金属製品の機械的特性を向上させるために、結晶粒の微細化や析出物の微細化が図られている。結晶粒や析出物の微細化には微小な化合物を晶出または析出させることが有効であるが、結晶粒や析出物の微細化に有効な化合物は金属の種類により異なる。溶融金属中に金属元素を添加して所望の化合物を晶出させるためには、溶融金属成分の制御が必要であり精錬工程におけるコストの増大、時間の延長など、負荷が増大する。化合物の種類によっては添加した金属元素と溶融金属が反応せず、化合物を生成させることができない場合もある。精錬工程での負荷の低減あるいは溶融金属中で生成不可能な化合物を溶融金属に添加するには、溶融金属中に予め金属元素の化合物を添加すればよい。
溶融金属中へ金属元素あるいは金属元素の化合物を添加するには、塊状または粉末状の金属元素または金属元素の化合物を溶融金属の湯面に投入する方法や、溶融金属中に不活性ガスや溶湯の流れを利用して投入する方法などが採用されている。しかしながら、溶融金属中に添加される金属元素または金属元素の化合物の融点や沸点が溶融金属の温度よりも低い場合には、溶融金属に添加される前に、金属元素または金属元素の化合物が溶融または分解、気化して大気中に放散される。そのため、溶融金属中への添加量を制御することが難しく、添加歩留りも低下し、均一に添加することは困難である。
金属元素または金属元素の化合物の融点が溶融金属の温度よりも高い場合は、前述の金属元素または金属元素の化合物の溶融や、分解、気化という問題はない。しかし、金属元素または金属元素の化合物の粒径が小さい場合は、溶融金属に添加される際に凝集して粗大な塊になるため、溶融金属中に微細に分散させることが困難になる。また、金属元素または金属元素の化合物の密度が溶融金属の密度よりも小さい場合は金属元素または金属元素の化合物は溶融金属の表層近傍に偏在し、大きい場合は溶融金属の底部に沈降するため、金属元素または金属元素の化合物を溶融金属全体に分散させることが困難である。
特許文献1には、取鍋を出てタンディッシュ内の溶鋼浴面へ移動中の溶鋼流にビスマスを添加する方法が開示されている。しかし、ビスマスは沸点が低く、溶鋼流と接触すると爆発的に反応し、蒸気となって雰囲気中に飛散するため、添加歩留りが低く、溶鋼中に均一に添加できず、したがって、連続鋳造鋳片内に均一に分散しない。
特許文献2には、取鍋内の溶鋼にランスを用いてインジェクションにより鉛、ビスマス、鉛・ビスマス含有物質を添加するとともに、取鍋底部のポーラスプラグからガスを噴出させて攪拌する方法が開示されている。同文献で開示された方法においても、融点あるいは沸点の低い鉛やビスマスを添加する場合には、これらの金属が溶鋼と接触すると爆発的な反応が生じ、溶鋼中への金属の添加が不均一になるとともに歩留りが低く、連続鋳造鋳片内に均一に分散しない。また、溶鋼中に添加した鉛やビスマスの反応生成物を任意に調整することは難しい。
非特許文献1には、実験室規模の溶解炉内のアルミニウム合金溶湯を機械撹拌しながらこの溶湯中に粒子をガスとともに添加する方法が記載されている。この方法によれば溶湯中に粒子を分散させることができ、凝固後の鋳塊中にも粒子を分散させることができるとされている。
しかし、この方法を実生産に適用する場合には大型の機械撹拌装置やガス供給装置が必要であり、設備費用がかさむ。さらに、このような機械撹拌方法はアルミニウム合金溶湯のような比較的温度の低い場合に適用が可能であるが、溶鋼のように温度が高い場合には撹拌用インペラーの寿命が短く、実生産に適用するのは難しい。また、溶融金属中に添加する粒子の密度が溶融金属の密度より小さい場合は浮上分離し、大きい場合は粒子が沈降するので、粒子を添加して直ぐに鋳造するか、あるいは溶融金属を撹拌しながら鋳造する必要がある。このような鋳造作業は溶融金属の融点が比較的低い場合には可能であるが、溶鋼のように融点の高い場合には困難である。
特開2001−1116号公報 特開平9−13119号公報 Metallurgical and Materials Transactions A,35A(2004),p.3233:W.Khalifa,F.H.Samuel and J.E.Gruzleski
本発明は前述した問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、金属元素の化合物の微粒子を溶融金属中に添加するに際し、前記金属元素の化合物の高い添加歩留りを確保するとともに、連続鋳造鋳片内に均一に分散させることが可能な連続鋳造方法および連続鋳造装置を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明者らは、先に金属元素の化合物のタンディッシュ内または連続鋳造鋳型内の溶融金属中への添加について検討を重ね、金属元素の化合物を溶融金属中に均一に、しかも歩留り良く添加する方法を確立し、提案した。
この方法は、金属蒸気発生装置により金属蒸気を発生させ、あるいはワイヤーまたはロッドを溶融金属中に浸漬した浸漬ランスに供給してこのランス内で金属蒸気を発生させ、この金属蒸気とガスを反応させて化合物を生成し溶融金属中に供給する方法である。しかし、この方法では、沸点の高い金属の蒸気を発生させることができず、これら沸点の高い金属元素の化合物を生成させることはできなかった。
そこで、さらに研究を重ねた結果、アルゴン等のガスを液化した液体中に金属元素の化合物の粒子を懸濁させ、この液体を溶融金属中に吹き込むか、あるいはこの液体とガスの混合物を吹き込むことにより前記課題の解決が可能であることを見出した。
本発明は、この知見に基づいてなされたものであり、その要旨は、下記(1)および(2)の溶融金属の連続鋳造方法、ならびに(3)および(4)の溶融金属の連続鋳造装置にある。
(1)タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造方法であって、溶融金属に添加する金属元素の化合物を懸濁させたガスを液化した液体、またはこの液体とガスの混合物を、タンディッシュ底部に配置したノズルを用いてタンディッシュ内の溶融金属中に吹き込む溶融金属の連続鋳造方法。
(2)タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造方法であって、溶融金属に添加する金属元素の化合物を懸濁させたガスを液化した液体、またはこの液体とガスの混合物を、タンディッシュ内の溶融金属中に浸漬したランスを用いてタンディッシュ内の溶融金属中に吹き込む溶融金属の連続鋳造方法。
前記(1)または(2)の連続鋳造方法において、溶融金属が溶鋼であり、金属元素の化合物が、酸化物であるAl23、CaO、Ce23、Cr23、CuO、Dy23、La23、MgO、NiO、Nd23、Pr23、SiO2、Sm23、TiO2、Ti23、Y23、ZrO2、炭化物であるCr32、NbC、SiC、TiC、VC、および窒化物であるBNのうちから選ばれた1種以上を含む化合物である実施形態を採る場合、本発明の溶融金属の連続鋳造方法は特に有効である。
さらに、(1)または(2)の連続鋳造方法(前記実施形態を含む)においては、ガスを液化した液体がアルゴン、窒素またはヘリウムであり、前記液体とともに吹き込むガスがアルゴン、窒素およびヘリウムのうちの1種以上を含む不活性ガスである実施形態を採用するのが一般的である。
(3)タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造装置であって、ガスを液化した液体の供給装置と金属元素の化合物の供給装置とタンディッシュ底部に配置されたノズルとを有し、前記金属元素の化合物の供給装置を用いて前記ガスを液化した液体の供給装置内の液体に金属元素の化合物が供給されて該金属元素の化合物が該液体中に懸濁され、その液体が前記タンディッシュ底部に配置されたノズルを用いて、タンディッシュ内の溶融金属中に吹き込まれる溶融金属の連続鋳造装置。
(4)タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造装置であって、ガスを液化した液体の供給装置と金属元素の化合物の供給装置とタンディッシュ内の溶融金属中に浸漬されたランスとを有し、前記金属元素の化合物の供給装置を用いて前記ガスを液化した液体の供給装置内の液体に金属元素の化合物が供給されて該金属元素の化合物が該液体中に懸濁され、その液体が前記タンディッシュ内の溶融金属中に浸漬されたランスを用いて、タンディッシュ内の溶融金属中に吹き込まれる溶融金属の連続鋳造装置。
本発明の溶融金属の連続鋳造方法によれば、金属元素の化合物の微細な粒子を高い歩留りで溶融金属中に添加でき、連続鋳造鋳片内に均一に分散させることができる。また、本発明の連続鋳造装置は、溶融金属に前記金属元素の化合物を添加するための好適な装置である。
前述のとおり、本発明(前記(1)〜(4)に記載の発明)は、タンディッシュ底部に設けた小孔(ノズル)またはタンディッシュ内の溶融金属に浸漬させたランスを通して溶融金属に金属元素の化合物(以下、「金属化合物」ともいう)を供給する連続鋳造方法、およびこの方法を実施することができる連続鋳造装置である。
図1は、前記(1)に記載の連続鋳造方法を実施することができる装置で、前記(3)に記載した連続鋳造装置の要部の概略構成例を示す図である。
この装置は溶鋼の連続鋳造装置で、図1に示すように、連続鋳造鋳型5とタンディッシュ2を有し、さらにガスを液化した液体の供給装置(以下、「液化ガス供給装置」という)8を備え、タンディッシュ2の底部に、液化ガス供給装置8から供給される金属元素の化合物を懸濁させたガスを液化した液体(以下、ガスを液化した液体を「液化ガス」ともいう)を溶鋼中に吹き込むためのノズル7が設けられている。
液化ガス供給装置8内には金属元素の化合物を懸濁させた液化ガス9が充填されている。この装置8には、液化ガス9に金属元素の化合物を供給するための金属元素の化合物の供給装置12が付設され、さらに、液化ガス9に添加された金属元素の化合物を均一に混合、懸濁させるためのインペラー11とこれを回転させるモーター10が取り付けられ、この懸濁液(すなわち、金属元素の化合物を懸濁させた液化ガス9)をタンディッシュ2内の溶鋼1に供給する配管が液化ガス供給装置8からポンプ13を経て前記のノズル7に接続されている。
この装置を用いて(1)に記載の連続鋳造方法を実施するには、溶鋼1を取鍋3からタンディッシュ2に供給し、タンディッシュ2内で湯面のレベル制御を行い、浸漬ノズル4を介して連続鋳造鋳型5内に注入し、さらに鋳型下方に引き抜いて凝固シェル6を形成し、鋳片とするに際し、金属元素の化合物を懸濁させた液化ガス9をタンディッシュ底部に設けられたノズル7を用いてタンディッシュ2内の溶鋼中に吹き込む。
金属元素の化合物を液化ガスに均一に懸濁させるには、液化ガスをインペラー11で撹拌しながらこれに金属元素の化合物の粒子を添加すればよい。これにより金属元素の化合物の粒子を液化ガスに均一に分散させることができる。
この金属元素の化合物を懸濁させた液化ガスをタンディッシュ内の溶鋼中に吹き込むことによって、以下に述べるように金属元素の化合物を溶融金属中に微細に分散させることができ、連続鋳造鋳片内に均一に分散させることが可能となる。
すなわち、溶融金属中にガスを吹き込む場合には、吹き込みノズルのノズル孔の内径を小さくしても、ノズルが溶融金属に濡れると、ノズルから吹き込まれる気泡の直径はノズルの内径により決定される以上に大きくなる。また、ガスが吹き込まれる溶融金属が高温であれば、ガスが急激に膨張するため気泡の直径はさらに大きくなる。そのため、ガスと溶融金属との反応率、あるいはガス中に含まれる金属元素の化合物と溶融金属との反応率が低下するが、金属化合物を懸濁させた液化ガスを高温の溶融金属中に直接供給すれば、液化ガスの気化により溶融金属中に生じる気泡が爆発的な膨張により破裂し、気泡が微細に分断され、溶融金属中に吹き込むガス気泡の直径が小さくなる。
室温の気体が1600℃の溶融金属中に吹き込まれた場合も気泡は膨張するが、体積は高々6倍になるに過ぎず気泡の微細な分断には至らない。しかし、例えばアルゴンは、液体の密度は1.374g/cm3で、気体の密度は1.784×10-3g/cm3であり、液体から気体に変わる際に約770倍に膨張するので、溶融金属中に生じる気泡は破裂し、微細に分断される。
この液化ガスが気化する際の爆発的な膨張により、液化ガス中に懸濁していた金属元素の化合物の粒子も、微細化した気泡とともに溶融金属中に懸濁するが、ガスの質量より金属元素の化合物の質量の方が大きく、気泡の膨張に伴って獲得する運動エネルギーは金属元素の化合物の方が大きい。したがって、金属元素の化合物は気泡と溶融金属の界面に衝突し、溶融金属中に侵入して微細に分散する。
金属元素の化合物を懸濁させた液化ガスの溶融金属中への吹き込みに際しては、前記金属化合物を懸濁させた液化ガスとガスとの混合物を吹き込んでもよい。混合するガスは、金属元素の化合物や溶融金属に悪影響を及ぼさない限り、その種類や数に制約はない。すなわち、金属元素の化合物を懸濁させた液化ガスを1種または2種以上のガス(高圧のガスが望ましい)とともに吹き込むのである。
例えば、金属元素の化合物を懸濁させた液化アルゴンガスを気体状のアルゴン(気化した圧力のあるアルゴン)とともに溶融金属中へ吹き込む方法、あるいは前記液化アルゴンガスと気体状のアルゴンを高圧の窒素ガスで溶融金属中へ吹き込む方法等を用いることができる。
これによって、金属元素の化合物を懸濁させた液化ガスの供給速度を高め、後述するように配管の途中での液化ガスの気化を効果的に抑制するとともに、溶融金属中への吹き込み後は前記混合したガスも気泡の爆発的な膨張と微細な分断に寄与するので、金属元素の化合物粒子の溶融金属中への分散が促進される。
図2は、(2)に記載の連続鋳造方法を実施することができる装置で、前記(4)に記載した連続鋳造装置の要部の概略構成例を示す図である。
この装置は溶鋼の連続鋳造装置で、連続鋳造鋳型5とタンディッシュ2を有し、さらに液化ガス供給装置8を備える点で前記図1に示した装置と同じであり、液化ガス供給装置8の構成や機能についても差異はない。しかし、タンディッシュ2に、液化ガス供給装置8から供給される金属元素の化合物を懸濁させた液化ガス9を溶鋼中に吹き込むためのランス14がタンディッシュ2内の溶鋼に浸漬された状態で設けられている点で、両装置は相違している。
この装置を用いて(2)に記載の連続鋳造方法を実施するには、溶鋼1を取鍋3からタンディッシュ2に供給し、タンディッシュ2内で湯面のレベル制御を行い、浸漬ノズル4を介して連続鋳造鋳型5内に注入し、さらに鋳型下方に引き抜いて凝固シェル6を形成し、鋳片とするに際し、金属元素の化合物を懸濁させた液化ガス9をタンディッシュ2内の溶鋼に浸漬されたランス14を用いてタンディッシュ2内の溶鋼中に吹き込む。
前記図1に示した装置を用いて実施する(1)に記載の連続鋳造方法との違いは、前記吹き込みに際し、タンディッシュの底部に設けたノズルを用いる代わりにランス14を用いる点にある。ただし、後述する実施例に示すように、両方法間で、前記吹き込みの効果に顕著な差はない。
また、この金属元素の化合物を懸濁させた液化ガスの溶融金属中への吹き込みに際しては、前述した(1)に記載の連続鋳造方法の実施の場合と同様、前記金属化合物を懸濁させた液化ガスと気体状のアルゴンや窒素などのガスとの混合物を吹き込んでもよい。液化ガスの供給速度を高めることができるとともに、金属元素の化合物粒子の溶融金属中への分散が促進される。
(1)または(2)に記載の連続鋳造方法において、金属元素の化合物を懸濁させた液化ガス、またはこの液化ガスとガスとの混合物をタンディッシュ内の溶鋼中に吹き込む際に、液化ガス供給装置からポンプを経てノズルまたはランスに接続されている配管の途中で液化ガスが気化してしまうと、金属化合物を溶融金属中に添加することが難しくなる。この場合、液化ガス自体の温度が低いので、さらに冷却する必要はなく、配管を断熱しさえすれば、液化ガスの温度を低く保ち、配管内の液化ガスを液体の状態で保持して、液化ガスが配管内で気化する前に溶融金属中に液化ガスを供給することができる。
例えば、タンディッシュ内の溶鋼に浸漬させたランスを用いる(2)に記載の連続鋳造方法においては、ランスの溶鋼に浸漬させない領域は2重パイプ構造として断熱性を高めるのがよい。
また、タンディッシュ底部のノズル、溶鋼に浸漬させたランスのいずれを用いる場合も、液化ガスの供給量が少ないことから配管径を小さくすることができ、金属元素の化合物を懸濁させた液化ガスの供給速度を高めることが可能で、液化ガスの配管内での気化の抑制に有効である。この液化ガス供給の高速化および前記配管の断熱効果によって、前記液化ガスを気化させずにタンディッシュ内の溶鋼中に供給することができる。
液化ガスに懸濁させる金属化合物の粒子サイズは5μm以下とするのが望ましい。金属化合物の粒子サイズが5μmより大きい場合は、この金属化合物が製品において疵発生の起点となり、疵の発生頻度が増すからである。一方、金属化合物のサイズが0.5μm以下であれば、鋼の結晶粒の粗大化を抑制する効果が極めて大きい。したがって、さらに望ましい金属化合物の粒子サイズは、0.5μm以下である。
本発明の溶融金属の連続鋳造方法は、一般に金属元素の化合物の性状(融点、沸点、密度等)に関係なく、広範囲の金属化合物について適用可能であるが、特に、融点、沸点が高い金属元素の化合物を溶融金属中に供給する場合に有効である。
例えば、前記(1)または(2)の連続鋳造方法において、溶融金属が溶鋼であり、金属元素の化合物が、酸化物であるAl23、CaO、Ce23、Cr23、CuO、Dy23、La23、MgO、NiO、Nd23、Pr23、SiO2、Sm23、TiO2、Ti23、Y23、ZrO2、炭化物であるCr32、NbC、SiC、TiC、VC、および窒化物であるBNのうちから選ばれた1種以上を含む化合物である実施形態を採る場合、本発明の溶融金属の連続鋳造方法は特に有効である。
ここに記載される金属元素の化合物はいずれも融点、沸点が高く、例えば、これらの金属化合物を溶鋼中に添加する場合、粉状でキャリアガスとともにランスに供給しても、前述のように、粒径が小さいと凝集し、密度によっては、溶融金属の表層近傍に偏在したり底部に沈降し、溶鋼中への微細な分散添加は極めて困難である。また、溶融金属中に金属元素を添加してこれら金属の化合物を晶出させる等の方法を用いれば、精錬工程におけるコストの増大、時間の延長など、負荷が増大する。このような場合、本発明の連続鋳造方法で前記実施形態を採用すれば、前記金属化合物の微細な粒子を高い歩留りで溶鋼中に添加でき、連続鋳造鋳片内に均一に分散させることが可能である。
さらに、(1)または(2)の連続鋳造方法(前記実施形態を含む)においては、ガスを液化した液体(すなわち、液化ガス)がアルゴン、窒素またはヘリウムであり、前記液化ガスとともに吹き込むガスがアルゴン、窒素およびヘリウムのうちの1種以上を含む不活性ガスである実施形態を採用するのが一般的で、望ましい。
これらのガスは工業的に汎用されており、金属製品の機械的特性に対する影響が認められず、作業の安全性等においても問題ないからである。なお、液化ガスは、通常は前記ガスのうちの1種を用いる。また、液化ガスとともに吹き込むガスは、前述したように1種でもよいし、2種以上としてもよく、不活性ガス(この場合、窒素も含める)であれば使用できる。通常は前記のガスのうちの1種または2種を用いるのがよい。
本発明の連続鋳造方法および連続鋳造装置の効果を確認するため、以下に示す連続鋳造試験を実施して、その結果を評価した。
(実施例1)
図1に示した連続鋳造装置を用い、液化ガス(アルゴン)中に懸濁させた金属元素の化合物の粒子を、この液化アルゴンとともにタンディッシュの底部に設けたノズル7から溶鋼中に供給しながら連続鋳造を行い、金属化合物中の金属元素の添加歩留りおよび連続鋳造鋳片内における金属化合物中の金属元素の濃度変動を調査した。なお、用いた鋳型のサイズは、2500mm厚×1500mm幅であり、鋳造速度は1.2m/minである。
また、比較例として、液化ガス供給装置の代わりに粉体供給装置を取り付けた連続鋳造装置を用い、実施例で用いた化合物と同じ化合物の微粉を容器に入れ、この容器内の微粉を、アルゴンガスをキャリアガスとしてノズル7から溶鋼中に吹き込み、同様の調査を行った。
〔試験条件〕
(a)溶融金属
・低炭素鋼(C:0.04質量%)
・溶融金属量:4トン/分を連続鋳造
(b)液化ガス
・アルゴン
・吹き込み量:30ml(ミリリットル)/min
(c)金属元素の化合物
・MgO、Ce23、Nd23
・粒径:0.1μm
・液化アルゴン中での体積割合:20%
(d)液化アルゴン吹き込みノズル
・ノズル個数:1個
・孔径:0.5mm
・ノズルの孔数:5孔
調査結果を表1に示す。
Figure 2006289411
表1において、金属化合物中の金属元素の添加歩留りは、連続鋳造鋳片で測定した金属化合物中の金属元素の平均濃度に基づいて鋳片内の金属元素の総質量を求め、この値を添加した金属化合物中の金属元素の総質量で除して百分率により表示した。また、連続鋳造鋳片内における金属化合物中の金属元素の濃度変動指数は、鋳片幅中央部から1m間隔で10個の分析用サンプルを採取し、各位置での金属元素濃度(質量%)とこれらのサンプルの平均濃度(質量%)との偏差を前記の平均濃度で除して相対変動量(%)を求め、そのうちの最大値により表示した。
表1に示した結果から、本発明例では、金属化合物中の金属元素の添加歩留りが高く、また、金属化合物は鋳片内に均一に分散されていることがわかる。
しかし、比較例においては、容器内に吹き込んだ化合物の微粉が凝集して粗大な粒子を形成したため、溶鋼内に微粉を均一に添加することはもちろん、アルゴンガスとともにノズルに送ることすらできなかった。
(実施例2)
図2に示した連続鋳造装置を用い、液化ガス(アルゴン)中に懸濁させた金属化合物の粒子を、この液化アルゴンとともにタンディッシュ内の溶鋼に浸漬させたランス14から溶鋼中に供給しながら連続鋳造を行い、実施例1の場合と同様に、金属化合物中の金属元素の添加歩留りおよび連続鋳造鋳片内における金属化合物中の金属元素の濃度変動を調査した。なお、用いた鋳型のサイズおよび鋳造速度も実施例1の場合と同じである。
また、比較例については、液化ガス供給装置の代わりに粉体供給装置を取り付けた連続鋳造装置を用い、実施例で用いた化合物と同じ化合物の微粉を容器に入れ、この容器内の微粉を、アルゴンガスをキャリアガスとしてランス14から溶鋼中に吹き込み、同様の調査を行った。
〔試験条件〕
(a)溶融金属
・中炭素鋼(C:0.14質量%)
・溶融金属量:4トン/分を連続鋳造
(b)液化ガス
・アルゴン
・吹き込み量:30ml/min
(c)金属元素の化合物
・MgO、Ce23、Nd23
・粒径:0.1μm
・液化アルゴン中での体積割合:20%
(d)液化アルゴン吹き込みランス
・ランス本数:1本
・先端部径:0.5mm
調査結果を表2に示す。
Figure 2006289411
表2において、金属化合物中の金属元素の添加歩留り、および連続鋳造鋳片内における金属化合物中の金属元素の濃度変動指数は、実施例1の場合と同様に求め、表示した。
表2に示した結果から明らかなように、本発明例では、金属化合物中の金属元素の添加歩留りが高く、金属化合物は鋳片内に均一に分散されている。
しかし、比較例においては、容器内に吹き込んだ化合物の微粉が凝集して粗大な粒子を形成したために、実施例1の場合と同様、アルゴンガスとともにランスに送ることは不可能であった。
本発明の溶融金属の連続鋳造方法によれば、微細な金属元素の化合物の粒子を高い歩留りで溶融金属中に添加でき、連続鋳造鋳片内に均一に分散させることができる。また、本発明の連続鋳造装置は、この方法を実施することができる好適な装置である。
したがって、本発明の連続鋳造方法および連続鋳造装置は、結晶粒や析出物を微細化し、優れた機械的特性を有する金属製品の製造に広く利用することができる。
本発明の溶融金属の連続鋳造装置の一例で、要部の概略構成例を示す図である。 本発明の溶融金属の連続鋳造装置の他の例で、要部の概略構成例を示す図である。
符号の説明
1:溶鋼
2:タンディッシュ
3:取鍋
4:浸漬ノズル
5:連続鋳造鋳型
6:凝固シェル
7:ノズル
8:液化ガス供給装置
9:液化ガス
10:モーター
11:インペラー
12:金属元素の化合物の供給装置
13:ポンプ
14:ランス

Claims (6)

  1. タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造方法であって、溶融金属に添加する金属元素の化合物を懸濁させたガスを液化した液体、またはこの液体とガスの混合物を、タンディッシュ底部に配置したノズルを用いてタンディッシュ内の溶融金属中に吹き込むことを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  2. タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造方法であって、溶融金属に添加する金属元素の化合物を懸濁させたガスを液化した液体、またはこの液体とガスの混合物を、タンディッシュ内の溶融金属中に浸漬したランスを用いてタンディッシュ内の溶融金属中に吹き込むことを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
  3. 前記溶融金属が溶鋼であり、前記金属元素の化合物が、酸化物であるAl23、CaO、Ce23、Cr23、CuO、Dy23、La23、MgO、NiO、Nd23、Pr23、SiO2、Sm23、TiO2、Ti23、Y23、ZrO2、炭化物であるCr32、NbC、SiC、TiC、VC、および窒化物であるBNから選ばれた1種以上を含む化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  4. 前記ガスを液化した液体がアルゴン、窒素、またはヘリウムであり、前記液体とともに吹き込むガスがアルゴン、窒素およびヘリウムのうちの1種以上を含む不活性ガスであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
  5. タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造装置であって、ガスを液化した液体の供給装置と金属元素の化合物の供給装置とタンディッシュ底部に配置されたノズルとを有し、前記金属元素の化合物の供給装置を用いて前記ガスを液化した液体の供給装置内の液体に金属元素の化合物が供給されて該金属元素の化合物が該液体中に懸濁され、その液体が前記タンディッシュ底部に配置されたノズルを用いてタンディッシュ内の溶融金属中に吹き込まれることを特徴とする溶融金属の連続鋳造装置。
  6. タンディッシュを経て鋳型内に溶融金属を供給する連続鋳造装置であって、ガスを液化した液体の供給装置と金属元素の化合物の供給装置とタンディッシュ内の溶融金属中に浸漬されたランスとを有し、前記金属元素の化合物の供給装置を用いて前記ガスを液化した液体の供給装置内の液体に金属元素の化合物が供給されて該金属元素の化合物が該液体中に懸濁され、その液体が前記タンディッシュ内の溶融金属中に浸漬されたランスを用いてタンディッシュ内の溶融金属中に吹き込まれることを特徴とする溶融金属の連続鋳造装置。
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