JP2006284166A - 流下液膜式蒸発器用伝熱管及び使用方法 - Google Patents

流下液膜式蒸発器用伝熱管及び使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】管内流体温度と管外蒸発温度の差が小さい低温度差域で且つ冷媒散布量が多い場合においても伝熱性能が高い流下液膜式蒸発器用伝熱管及びその使用方法を提供する。
【解決手段】伝熱管1の外面において、突起3の配列方向に延びる線6と管周方向に延びる線7とがなす角度θを0乃至7°とし、突起3の高さhを0.15乃至0.50mmとし、管軸平行断面において、突起3の配列周期を1.15mmより大きく2.54mm以下とし、突起3の先端の幅を0.20乃至0.90mmとし、突起3の側面と管半径方向とのなす角度を0乃至15°とする。また、管軸直交断面において、溝部4bの両側面のなす角度を18乃至70°とし、溝部4bの底部の幅を0.10乃至0.25mmとし、突起3の配列周期を0.90乃至1.30mmとする。
【選択図】図1

Description

本発明は、管外表面に液冷媒を流下して管外表面に液膜を形成し、この冷媒を蒸発させることにより管内を流通する液体との間で熱交換を行う流下液膜式蒸発器用伝熱管及びその使用方法に関し、特に、管内流体温度と管外蒸発温度との差が小さい低温度差域で且つ冷媒流下量が多い場合において、熱交換性能を向上させた伝熱管に関する。
吸収式冷温水機等の流下液膜式蒸発器は、伝熱管の外周面に冷媒、例えば水等を流下させ低圧力下で蒸発させると共に、この伝熱管の内部に流体、例えば水を流すことにより、冷媒が伝熱管から蒸発熱を奪って伝熱管を冷却し、この伝熱管を介して内部を流れる流体を冷却している。
流下液膜式蒸発器内の伝熱管は、構造上の理由及びメンテナンス性の観点から水平に設置されるものが多い。これらの伝熱管は、その外表面は冷媒の蒸発を促進させるために冷媒が均一に濡れ広がるような特性を持ち、その内表面は流体が効果的に熱交換されるように流体が乱流促進されるような特性を持つことが好ましい。伝熱管にこのような特性を付与するために、従来より種々の形状の伝熱管が開発されている。
例えば、特許文献1(特開平10−318691号公報)及び特許文献2(特開平11−257888号公報)には、伝熱管の管外表面に独立突起を成形し、液膜流量が少ない場合においても管軸方向への濡れ広がり性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献3(特開平11−118382号公報)には、伝熱管の外表面積を増加させると共に、濡れ広がり性を向上させることを目的として、管外表面のフィン枚数を多くして、フィン内に周囲よりも高さが低い押圧部を形成する技術が開示されている。
更に、特許文献4(特許第3434464号)には、フィン先端において、乱流効果により冷媒液の流下を促進することを目的として、伝熱管のフィンにその長手方向に沿って凸部及び凹部を交互に設ける技術が開示されている。
更にまた、特許文献5(特開2002−372390号公報)には、伝熱管の外表面に大きさが相互に異なる突起を設ける技術が開示されている。これにより、相互に大きさが異なる突起群においては冷媒の表面張力が相互に異なるため、一の突起群から他の突起群に向かう冷媒の流れが発生する。この結果、冷媒の濡れ広がり性が向上する。
特開平10−318691号公報 特開平11−257888号公報 特開平11−118382号公報 特許第3434464号 特開2002−372390号公報
しかしながら、上述の従来の技術には、以下に示すような問題点がある。従来、吸収式冷温水機は高熱流束及び高温度差域における使用を前提として設計され、このような条件下で使用されてきたが、最近の省エネルギー化の要求に伴い、サイクル動力の低減、並びに冷却水及び冷水の搬送動力の低減化が図られている。サイクル動力の低減により、冷媒の蒸発温度が高くなる。また、冷却水及び冷水の搬送動力の低減により、冷却水及び冷水の流量が小さくなる。これらにより、熱交換量が低下し、熱流束が小さくなり、冷水の出口温度と冷却水の蒸発温度との温度差が小さくなり、蒸発伝熱性能が低下する。なお、最近は、冷却水及び冷水の流量を少なくする際には、冷水の出口温度と冷媒の蒸発温度との温度差を大きくとるようにして、性能を改善している例もあるが、依然として蒸発伝熱性能は低いままである。
表1に、流下液膜式蒸発器の従来機種及び現行機種の運転条件の一例を示す。現行機種としては、冷水出口温度が従来機種と同じである現行常温機種及び冷水出口温度が従来機種よりも低い現行低温機種の2種類を示す。冷水出口温度が低くなると、蒸発温度との差が小さくなる。表1に示すように、従来から現在にかけて、冷水出口温度と蒸発温度の差が小さくなり、蒸発伝熱は低熱流束又は低温度差になるように、運転条件が推移している。これにより、冷媒蒸発量の低下に伴って蒸発伝熱性能が低下する。この結果、吸収式冷温水機の大容量化を図る必要が生じ、コストが上昇する。
Figure 2006284166
このような運転条件の変更に伴い、上述の従来の伝熱管においては、以下の点が問題となる。即ち、特許文献1及び2に記載の伝熱管については、熱流束が小さくなって冷媒蒸発量が従来よりも低下すると、冷媒の表面張力により管外表面において保持される液膜が厚くなる。これにより、突起部が液膜で厚く覆われてしまい、液膜が熱抵抗となって伝熱性能が低下する。
また、特許文献3に記載の伝熱管については、フィンの数が多いため、冷媒に表面張力が大きい水を使用した場合、冷媒蒸発量が低下することにより、フィン間の溝部において液膜が厚く形成されやすくなる。また、フィンの数が多いことにより、管軸方向への液冷媒の濡れ広がりが阻害されやすく、押圧部の高さがフィンの他の部分の高さよりも低いことから、液冷媒の流動が不十分となって液膜が厚くなりやすい。この結果、厚い液膜が熱抵抗となって、伝熱性能が低下する。
更に、特許文献4に記載の伝熱管については、凸部の上流側において、管上部から流れてくる液冷媒により液膜が厚く成形されて熱抵抗になり、伝熱性能が低下する。特に、冷媒蒸発量が低下することにより蒸発伝熱性能が低下した場合、凹部がフィンの他の部分の高さよりも低いため、冷媒散布量が少ない場合には液冷媒の流動が不十分になり、濡れ広がりが阻害される。これにより、フィン先端の凸部の根元においては液膜が厚くなり、伝熱性能が更に低下する。
更にまた、特許文献5に記載の伝熱管については、複数の突起群間で突起の大きさを相互に異ならせているため、低熱流束又は低温度差条件とすると、いずれかの突起群において液膜が厚い部分が形成され、蒸発伝熱が低下する。
一方、地域冷暖房等に使用される大型の吸収式冷温水機、即ち、冷凍トン数が大きい機種においては、蒸発伝熱性能に及ぼす冷媒流下量の影響が大きい。このような大型の吸収式冷温水機は地下室に設置されることが多く、地下室は吸収式冷温水機を搬入するための搬入口の幅が狭いことが多い。このため、伝熱管を水平方向に配列すると、吸収式冷温水機の幅が大きくなり、搬入が困難になることがある。このため、近時、大型の吸収式冷温水機は、伝熱管の垂直方向の段数を多くして、その分、機械全体の幅が小さくなるように設計されることが多い。
このような大型機において、小型機において設定されている伝熱管単位長さ当たりの冷媒流下量をそのまま適用すると、流下された冷媒の大部分が上段に配列された伝熱管で蒸発してしまい、下段に配列された伝熱管に到達する冷媒量が少なくなる。この結果、下段の伝熱管の表面において液膜破断が生じ、ドライパッチ(乾き面)が生じたり、すじ状の流れであるリブレットが形成されたりして、有効伝熱面積が減少し、伝熱性能が低下する。従って、大型機を使用する際には、下段側に配列された伝熱管の表面における液膜破断を防止し、性能低下を回避するために、伝熱管の単位長さ当たりの冷媒の流下量を、小型機よりも多くする必要がある。しかしながら、冷媒流下量を多くすると、伝熱管表面に形成される液膜の厚さが厚くなり、伝熱性能が低下する。この結果、吸収式冷温水機をより一層大型化する必要が生じ、コストが上昇する。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、管外表面に液冷媒を流下して管外表面に液膜を形成し、この冷媒を蒸発させることにより管内を通水する流体との間で熱交換する流下液膜式蒸発器用伝熱管において、管内流体温度と管外蒸発温度との差が小さい低温度差域で且つ冷媒流下量が多い場合においても伝熱性能が高い流下液膜式蒸発器用伝熱管を提供することを目的とする。
本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管は、管外に流下された液体が形成する液膜と管内を流れる液体との間の熱交換を行う流下液膜式蒸発器用伝熱管において、管本体と、この管本体の外面に相互に独立に形成され螺旋状又は環状に配列された複数個の突起と、を有し、前記突起の高さが0.15乃至0.50mmであり、管周方向と前記突起の配列方向とのなす角度が0乃至7°であり、管軸直交断面における前記突起の配列周期が0.90乃至1.30mmであり、管軸直交断面における前記突起間の溝部の両側面のなす角度が18乃至70°であり、管軸直交断面における前記溝部の最小幅が0.10乃至0.25mmであり、管軸を含む断面における前記突起の配列周期が1.15mmより大きく2.54mm以下であり、管軸を含む断面における前記突起の先端の幅が0.20乃至0.90mmであり、管軸を含む断面における前記突起の側面と管半径方向とのなす角度が0乃至15°であることを特徴とする。
本発明においては、管外表面に形成された突起の形状を上述の如く規定することにより、管外表面に流下された冷媒の液膜をドライアウトさせることなく薄膜化することができる。これにより、管内流体温度と管外蒸発温度の差が小さい低温度差域においても、管外表面において良好な伝熱性能を得ることができる。
また、本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管は、前記管本体内を流れる液体の管出口温度と前記管外に流下される液体の蒸発温度との差が、0.23乃至2.24℃となるような条件で使用されることが好ましい。更に、本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管は、前記管本体外を流下する液体の流下量が、前記管本体1m当たり1.25乃至3.50kg/分となるような条件で使用されることが好ましい。本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管は、このような条件で使用された場合においても、蒸発性能の低下が少なく、従来の伝熱管よりも良好な伝熱性能を得ることができる。
更に、本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管は、前記管本体の内面に形成され螺旋状に延びるリブを有することが好ましい。これにより、管内を流れる流体を乱流とし、管内面の伝熱性能を向上させることができる。このとき、前記リブの高さが0.15乃至0.35mmであり、前記管本体の内面における前記リブが延びる方向と管軸に平行な直線とのなす角度が40乃至46°であり、管軸を含む断面における前記リブの配列周期が1.60乃至6.15mmであることが好ましい。
加えて、本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管は、前記複数個の突起における管軸方向に対向する側面に、管軸を含む断面でみて段差が形成されていることが好ましい。そして、前記段差は,前記突起の根元部からの高さが,前記突起の高さの0.33乃至0.70倍の位置に形成されていることが好ましい。更に、前記管軸を含む断面における前記段差の幅は、前記管軸を含む断面における前記突起の先端の幅の0.20乃至0.35倍であることが好ましい。
本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管の使用方法は、管本体及びこの管本体の外面に相互に独立に形成され螺旋状又は環状に配列された複数個の突起を備え、前記突起の高さが0.15乃至0.50mmであり、管周方向と前記突起の配列方向とのなす角度が0乃至7°であり、管軸直交断面における前記突起の配列周期が0.90乃至1.30mmであり、管軸直交断面における前記突起間の溝部の両側面のなす角度が18乃至70°であり、管軸直交断面における前記溝部の最小幅が0.10乃至0.25mmであり、管軸を含む断面における前記突起の配列周期が1.15mmより大きく2.54mm以下であり、管軸を含む断面における前記突起の先端の幅が0.20乃至0.90mmであり、管軸を含む断面における前記突起の側面と管半径方向とのなす角度が0乃至15°である流下液膜式蒸発器用伝熱管の管外に、前記管本体1m当たり1.25乃至3.50kg/分の流下量で液体を流下すると共に、管内に液体を流し、前記管外に流下された液体が形成する液膜と前記管内を流れる液体との間で熱交換を行わせることを特徴とする。
また、本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管の使用方法において、前記複数個の突起における管軸方向に対向する側面に、管軸を含む断面でみて段差が形成されていることが好ましい。そして、前記段差は,前記突起の根元部からの高さが,前記突起の高さの0.33乃至0.70倍の位置に形成されていることが好ましい。更に、前記管軸を含む断面における前記段差の幅は、前記管軸を含む断面における前記突起の先端の幅の0.20乃至0.35倍であることが好ましい。
本発明に係る流下液膜式蒸発器用伝熱管は、管内流体温度と管外蒸発温度の差が小さい低温度差域において、フィン先端部における液膜を薄くし、且つ管外表面に均一に濡れ広げることができるため、蒸発伝熱特性が向上する。これにより、流下液膜式蒸発器の高性能化及び小型化が可能となり、使用材料の低減及びコストダウンが可能となる。
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は本実施形態に係る伝熱管を示す部分斜視図であり、図2はこの伝熱管を示す管軸を含む断面図であり、図3はこの伝熱管を示す管軸直交断面図であり、図4はこの伝熱管の外面を示す展開図である。
本実施形態に係る伝熱管は、吸収式冷温水機等の流下液膜式蒸発器に組み込まれる流下液膜式蒸発器用伝熱管である。図1に示すように、本実施形態に係る伝熱管1においては、管本体2が設けられており、管本体2の外面には、螺旋状に配列された複数個の四角錐台形状の突起3が相互に独立に形成されている。突起3の配列方向に直交する方向における隣り合う突起3間は溝部4aとなっており、突起3の配列方向における隣り合う突起3間は溝部4bとなっている。なお、以下、溝部4a及び4bを総称して溝部4ともいう。また、管本体2の内面には、螺旋状に延びるリブ5が設けられている。
伝熱管1は、例えば銅又は銅合金からなり、例えばJIS H3300 C1201TS−1/2Hにより規定される低りん脱酸銅管である。また、伝熱管1の外径は例えば約16mmであり、肉厚は例えば約0.6mmである。管本体2の外面において、突起3が配列する方向に延びる線6と管周方向に延びる線7とがなす角度θは0乃至7°である。この角度θが0°である場合は、突起3が環状に配列される場合である。また、突起3の高さhは0.15乃至0.50mmである。
図2に示すように、管軸を含む断面(以下、管軸平行断面という)において、突起3の配列周期(ピッチ)PFは1.15mmより大きく2.54mm以下、例えば、1.30乃至1.40mmとなっている。また、管軸平行断面において、突起3の先端の幅PWは0.20乃至0.90mmである。更に、管軸平行断面において、突起3の側面と管半径方向とのなす角度θは0乃至15°である。
図3に示すように、管軸直交断面において、溝部4bのひらき角、即ち、溝部4bの両側面のなす角度θは18乃至70°である。また、溝部4bの底部の幅GWは0.10乃至0.25mmである。更に、管軸直交断面における突起3の配列周期PRは0.90乃至1.30mmである。なお、溝部4bの底部の幅GW及び突起3の配列周期PRは、いずれも円弧長さではなく直線長さである。
また、図2に示すように、管本体2の内面における管軸に平行な直線8とリブ5が延びる方向とのなす角度θは、例えば40乃至46°であり、リブ5の高さh、即ち、管本体2の内面とリブ5の頂部との間の距離は、例えば0.15乃至0.35mmである。また、管軸平行断面におけるリブ5の配列周期PRは、例えば1.60乃至6.15mmである。
更に、図4に示すように、伝熱管1の外面において、突起3は格子状に配列されている。なお、図4は、角度θ(図1参照)が0°である場合を示している。
次に、本発明の他の実施形態について、図5及び図6を参照して説明する。図5は本実施形態の伝熱管の部分斜視図、図6は管軸を含む断面における伝熱管の断面図である。本実施形態においては、図1及び図2に示す実施形態と同様の管本体の外面に螺旋状又は環状に配列された複数個の独立突起3の管軸方向に対向する側面に、管軸を含む断面でみて、段差9が形成されている。この段差9は、突起3の根元部からの高さhが、突起の高さhの例えば0.33乃至0.70倍(=h/h)となるような位置に形成されている。また、段差9の幅PWは、管軸を含む断面において、突起3の先端の幅PWの例えば0.20乃至0.35倍(=PW/PW)である。
このように構成された本実施形態の伝熱管においては、図7に示すように、管外面に流下した冷媒(水等)の液膜10は、段差9に若干たまり、この段差9にたまった部分10aからの表面張力により、突起3の先端上面を覆う液膜10と、管軸を含む断面における斜面の突起先端近傍の部分を覆う液膜10が引っ張られて引き下げられ、この上面及び側面の液膜10の厚さが薄くなる。これにより、段差9より上方の突起部分を覆っていた液膜10、即ち、突起先端上面及び先端近傍の側面を覆っていた液膜10が薄膜化される。このようにして、突起3の側面に段差9を設けることにより、突起3を覆う液膜の薄膜化が促進され、冷媒の薄膜化により冷媒が蒸発しやすくなって、蒸発効率が高まる。これにより、蒸発伝熱性能が更に向上する。
以下、本発明の各構成要件における数値限定理由について説明する。
突起高さ(h ):0.15乃至0.50mm
突起高さ(h)が0.15mm未満であると、管上部における冷媒液面が下がる速度が低下し、突起の先端部における冷媒液膜が薄膜化される速度が低下して液膜が厚くなり、伝熱性能が低下する。一方、突起高さ(h)が0.50mmよりも大きいと、突起の先端部において、冷媒液膜が薄膜化される際に突起先端部の端部にて液膜が破断してドライアウトする。このため、伝熱性能が低下する。従って、突起高さ(h)は0.15乃至0.50mmとする。
管周方向と突起の配列方向とがなす角度(θ ):0乃至7°
伝熱管を水平に保持して、この伝熱管の上方から伝熱管に冷媒を流下したときに、冷媒は、主として突起間の溝部を伝わって伝熱管上部から伝熱管下部へと流れる。前記角度θが7°を超えると、溝部が延びる方向が水平に近くなり、伝熱管上部から流れてきた冷媒が伝熱管下部に位置する突起に再付着してしまい、突起の先端部での冷媒液膜が不均一となり、部分的に冷媒の液膜が厚くなる。この結果、伝熱性能が低下する。このため、管周方向と突起の配列方向とがなす角度(θ)は0乃至7°とする。
管軸直交断面における突起の配列周期(PR ):0.90乃至1.30mm
管軸直交断面における突起の配列周期(PR)が0.90mm未満であると、突起先端の端部まで冷媒で覆われやすくなり、突起先端部における冷媒液膜の薄膜化が阻害されて冷媒液膜が厚くなり、伝熱性能が低下する。一方、突起の配列周期(PR)が1.30mmよりも大きいと、突起の先端部における冷媒液膜の均一性が失われ、突起先端部がドライアウトしやすくなる。このため、伝熱管の伝熱性能が低下する。従って、管軸直交断面における突起の配列周期(PR)は0.90乃至1.30mmとする。
管軸直交断面における溝部の両側面のなす角度(θ ):18乃至70°
溝部の両側面のなす角度(θ)が18°未満であると、突起間の溝部の根元部に液膜が集中する。このため、突起の先端部において冷媒液膜が薄膜化する際に、突起先端部の端部において液膜が破断してドライアウトし、伝熱性能が低下する。一方、前記角度(θ)が70°よりも大きいと、冷媒液面が下がる速度が低下し、突起の先端部における冷媒液膜が薄膜化する速度が低下して冷媒液膜が厚くなり、伝熱性能が低下する。従って、管軸直交断面において、溝部の両側面のなす角度(θ)は18乃至70°とする。
管軸直交断面における溝部の最小幅(GW):0.10乃至0.25mm
溝部の最小幅(GW)が0.10mm未満であると、冷媒液面が下がる速度が低下し、突起の先端部において冷媒液膜が薄膜化される速度が低下するため、突起を覆う冷媒液膜が厚くなり、伝熱性能が低下する。一方、溝部の最小幅(GW)が0.25mmよりも大きいと、突起間の溝部の根元部に液膜が集中する。このため、突起の先端部における冷媒液膜が薄膜化する際に、突起先端部の端部にて液膜が破断してドライアウトし、伝熱性能が低下する。従って、管軸直交断面において、溝部の最小幅(GW)は0.10乃至0.25mmとする。
管軸平行断面における突起の配列周期(PF):1.15mmより大きく2.54mm以下
管軸平行断面における突起の配列周期(PF)が1.15mm以下であると、溝部が細くなり過ぎて溝部に冷媒が停滞しやすくなり、冷媒液面が下がる速度が低下し、突起の先端部において冷媒液膜が薄膜化される速度が低下して冷媒液膜が厚くなり、伝熱性能が低下する。一方、突起の配列周期(PF)が2.54mmを超えると、溝部の冷媒がすぐに流れ落ちてしまい、突起の先端部における冷媒液膜が薄膜化される際に、突起先端部の端部において液膜が破断してドライアウトし、伝熱性能が低下する。従って、管軸平行断面における突起の配列周期(PF)は1.15mmより大きく2.54mm以下とする。より好ましくは、1.30乃至1.40mmとする。
管軸平行断面における突起先端の幅(PW):0.20乃至0.90mm
管軸平行断面における突起先端の幅(PW)が0.20mm未満であると、突起先端の端部まで冷媒で覆われやすくなり、突起先端部における冷媒液膜の薄膜化が阻害されて厚膜となり、伝熱性能が低下する。一方、突起先端の幅(PW)が0.90mmよりも大きいと、突起の先端部において冷媒液膜の均一性が失われ、突起先端部がドライアウトしやすくなる。このため、伝熱管の伝熱性能が低下する。従って、管軸平行断面における突起先端の幅(PW)は0.20乃至0.90mmとする。
管軸平行断面における突起の側面と管半径方向とのなす角度(θ ):0乃至15°
管軸平行断面における突起の側面と管半径方向とのなす角度(θ)が15°よりも大きいと、冷媒液面が下がる速度が低下し、突起の先端において冷媒液膜が薄膜化される速度が低下する。この結果、冷媒液膜が厚くなり、伝熱性能が低下する。従って、管軸平行断面における突起の側面と管半径方向とのなす角度(θ)は0乃至15°とする。
リブの高さ(h ):0.15乃至0.35mm
管本体の内面にリブを設けることにより、管内を流れる流体を乱流とすることができる。このため、管内面における伝熱性能が向上し、管内を流れる流体の流量が減少した場合においても、より優れた蒸発性能を確保することができる。このとき、リブの高さ(h)が0.15mm以上であると、管内を流れる流体の流量が減少しても、流体を乱流にする効果を十分に得ることができ、流体と伝熱管との間の伝熱性能が大きく向上する。この結果、伝熱管に流体から効率よく熱が供給されるようになり、管外面における冷媒の蒸発が促進され、冷媒の液膜が薄くなり、管外面における伝熱性能も向上する。また、リブの高さ(h)が0.35mm以下であると、管内の圧力損失の増大を抑制できると共に、管内の流体から伝熱管に過剰に熱が供給されることがなく、突起の先端部における冷媒液膜が薄膜化される際に、管内から伝熱管に過剰に供給された熱により、突起先端の端部において液膜が破断してドライアウトすることがない。従って、リブの高さ(h)は0.15乃至0.35mmであることが好ましい。
管内面における管軸に平行な直線とリブが延びる方向とのなす角度(θ ):40乃至46°
管内面における管軸に平行な直線とリブが延びる方向とのなす角度(θ)が40°以上であると、管内を流れる流体の流量が減少しても、この流体を乱流にすることができ、この流体と伝熱管との間の伝熱性能を十分に確保することができる。この結果、伝熱管に流体から効率よく熱が供給され、管外面の特に突起先端において冷媒の蒸発が促進され、冷媒の液膜をより一層薄くすることができる。このため、伝熱管の伝熱性能がより向上する。また、前記角度(θ)が46°以下であると、管内の圧力損失の増大を抑制でき、また、管内の流体から伝熱管に過剰に熱が供給されて、突起の先端においてドライアウトが発生することがない。このため、より良好な伝熱性能を実現できる。従って、管軸に平行な直線とリブが延びる方向とのなす角度(θ)は、40乃至46°であることが好ましい。
管軸平行断面におけるリブのピッチ(PR ):1.60乃至6.15mm
管軸平行断面におけるリブのピッチ(PR)が1.60mm以上であると、管内の圧力損失の増大を抑制できると共に、管内の流体から伝熱管に過剰に熱が供給されて、管外表面の突起の先端部の端部において液膜が破断してドライアウトすることを確実に防止できる。また、リブのピッチ(PR)が6.15mm以下であると、管内を流れる流体の流量が減少しても、この流体を乱流にする効果が得られるため、この流体と伝熱管との間の伝熱性能が確保される。この結果、伝熱管に流体から効率よく熱が供給され、管外面における冷媒の蒸発が十分に促進され、冷媒の液膜をより薄くすることができる。従って、管軸平行断面におけるリブのピッチ(PR)は1.60乃至6.15mmであることが好ましい。
段差がある場合の段差の突起根元部からの高さ(h ):突起高さh の0.33乃至0.70
段差9の突起根元部からの高さ(h)を、突起高さhの0.33乃至0.70倍にすることにより、突起3の管軸方向に対向する側面における突起先端部(上面)近傍の斜面部分において、より一層液膜の薄膜化が可能となり、蒸発伝熱性能をより一層向上させることができる。段差9における突起3根元部からの高さ(h)が,突起3高さhの0.33倍よりも小さいと、冷媒液面が下がった場合、管軸を含む断面において、突起11の突起先端部近傍(突起の肩部)の斜面部分において液膜の破断が生じ、ドライアウトして伝熱性能が低下する。一方,段差9の突起根元部からの高さ(h)が、突起高さhの0.70よりも大きいと、段差9により薄膜化すべき突起3の斜面の面積が減少し、液膜の薄膜化面積が減少するため、段差9を設けない場合の蒸発伝熱性能と差が無くなる。従って,段差9の突起根元部からの高さ(h)は,突起高さhの0.33乃至0.70倍であることが好ましい。
段差9の幅(PW ):突起3の先端の幅PWの0.20乃至0.35倍
段差9の幅(PW)を、突起3の先端の幅PWの0.20乃至0.35倍にすることにより、突起3の管軸を含む斜面における液膜の薄膜化が効果的に促進され、より一層蒸発伝熱性能を向上させることができる。段差9の幅(PW)が、突起3の先端の幅PWの0.20倍よりも小さいと、段差9における冷媒液の表面張力と、突起先端部近傍斜面を覆う冷媒液の表面張力との差が小さくなり、液膜の薄膜化効果が減少し、その結果、突起傾斜面に段差9が無い場合の性能と差が無くなる。一方、段差9の幅(PW)が、突起3の先端の幅PWの0.35倍よりも大きいと、突起3の斜面における液膜の薄膜化が進行しすぎて突起肩部において液膜破断が生じ、液膜がドライアウトして伝熱性能が低下する。従って、段差9における幅(PW)は、突起3の先端の幅PWの0.20乃至0.35倍であることが好ましい。
次に、本実施形態に係る伝熱管の製造方法について説明する。先ず、素管を用意する。この素管は、例えば、外径が16mm、肉厚が0.6mm、長さが1乃至10mであり、JIS H3300 C1201TS−1/2Hにより規定される低リン脱酸銅管である。そして、この素管(伝熱管53)に対して、図8に示すローフィンディスク54により、伝熱管外周面の両端部を除く中央部に転造加工を施し、螺旋状又は環状のフィンを管軸方向に一定のピッチで形成する。即ち、このローフィンディスク54は周面に周方向に延びる溝が形成されたものであり、このローフィンディスク54をその回転軸を伝熱管53の管軸方向と同一又は若干傾斜する方向に配置し、管軸の周りに回転する伝熱管53の外周面にこのローフィンディスク54を押し当てて、その溝を伝熱管53の外周面にフィンとして転写させる。従って、ローフィンディスク54のフィンが伝熱管外周面の溝部4aとなる。なお、フィンの形成は、上述の転造加工による方法以外の方法により行ってもよく、例えば、切削加工による方法でも可能である。
次に、このフィンの頂部に歯車ディスク55を転接させて、伝熱管外周面のフィンの頂部を管周方向に一定のピッチで押し込み、独立した複数個の突起3を形成する。このとき、歯車の歯が溝部4bになる。その後、図5及び図6に示す伝熱管を製造する場合は、溝部4aの幅より大きな厚さを有し平滑な周面をもつロール56を、突起3の管軸方向に対向する斜面に押し当て、突起3間に挟まれるようにしてロール56を伝熱管外周面に転動させて回転させることにより、段差9を形成する。
なお、両端部の未加工部の長さは夫々例えば50乃至100mmとする。一方、管内面には、螺旋状の溝が成形されたマンドレルを配置し、管外面における前記フィンの形成と同時に管内面に螺旋状のリブ5を形成する。次に、低温焼鈍を施し、管の残留応力を除去すると共に、管の内外面の加熱脱脂を行う。これにより、図1,2に示す伝熱管又は図5,6に示す伝熱管が製造される。
次に、前述の如く構成された本実施形態に係る伝熱管の動作について説明する。図9(a)乃至(c)は冷媒の挙動を経時的に示す管軸平行断面図であり、図10(a)乃至(c)は冷媒の挙動を経時的に示す管軸直交断面図である。また、図11は図9(c)に示す管軸平行断面図の一部を示す拡大図であり、図12は図10(c)に示す管軸直交断面図の一部を示す拡大図である。なお、図9乃至図12においては、管内面のリブは図示が省略されている。
本実施形態に係る伝熱管1は、吸収式冷温水機等の流下液膜式蒸発器に組み込まれている。この流下液膜式蒸発器においては、複数の伝熱管が垂直方向に配列されており、各伝熱管は水平に設置されている。伝熱管の周囲の雰囲気は、圧力が0.8kPa程度の真空雰囲気とする。このとき、冷媒として水を使用する場合は、その蒸発温度は3.761℃となる。そして、伝熱管1内を流れる液体の管出口温度と伝熱管1の外表面に流下される冷媒液の蒸発温度との差を、例えば、0.23乃至3.24℃とする。
そして、最上段の伝熱管の上方に設置された散布器により、一定の空間的間隔をあけて、液体状の冷媒を最上段の伝熱管の外表面に滴下又は散布する。このとき、滴下又は散布される冷媒の流下量は、伝熱管1m当たり1.25乃至3.50kg/分とする。伝熱管に流下された冷媒は、伝熱管の最上部から最下部まで主として溝部4aを通過して流れ落ちようとするが、溝部4bに案内されて管軸方向にも濡れ広がっていく。また、突起3の頂部にも濡れ広がる。この結果、冷媒は伝熱管外面において薄い液膜を形成し、この液膜が真空雰囲気下で蒸発することにより、伝熱管から蒸発熱を奪う。
一方、伝熱管1の管内には、流体、例えば水を流通させる。このとき、流体は管内においてリブ5に撹拌されて乱流を形成し、伝熱管1との間で熱交換を行う。これにより、冷媒と流体との間で熱交換が行われ、冷媒が蒸発すると共に、冷媒の蒸発熱により管内の流体(冷水)が冷却される。
そして、最上段の伝熱管の外面において蒸発しなかった冷媒は、この最上段の伝熱管の最下部から滴下し、次段の伝熱管の最上部に供給される。そして、次段の伝熱管において、最上段の伝熱管と同様に、冷媒が蒸発し、管内の流体が冷却される。これを繰り返すことにより、冷媒が最上段の伝熱管から最下段の伝熱管に向かって移動していき、流下液膜式蒸発器全体として効率よく熱交換が行われる。
次に、各伝熱管外表面の管上部における冷媒の挙動を説明する。図9(a)及び図10(a)に示すように、伝熱管1の外表面に散布された冷媒は、一旦、突起3を覆うように冷媒液膜51を形成する。このとき、冷媒液膜51の液面52は突起3の先端より上方に位置する。次に、図9(b)及び図10(b)に示すように、冷媒の流下に伴って冷媒液膜51が薄くなり、液面52が突起3の先端部の近傍の位置まで下がってくる。この時点までは、液面52は略平坦である。そして、図9(c)及び図10(c)に示すように、液面52が突起3の先端部近傍まで下がった後は、液面52における突起3間の溝部4に相当する部分のみが下がり、液面52における突起3に相当する部分はあまり下がらなくなる。
このとき、図11及び図12に示すように、突起3の先端の端部を境界として、冷媒液膜51における突起3上に位置する部分を部分51aとし、溝部4上に位置する部分を部分51bとする。図9(c)及び図10(c)に示す時点では、冷媒液膜51の部分51aは相対的に薄く形成され、部分51bは相対的に厚く形成される。このため、部分51aの方が部分51bよりも蒸発が促進されやすく、従って伝熱が促進されやすい。
また、図11に示すように、管軸方向において、部分51aにおける表面張力をσft1とし、部分51bにおける表面張力をσGB1とすると、部分51aは液膜が薄く冷媒が加熱されやすいことから、部分51aの表面張力が低下し、σft1<σGB1となる。このため、更に部分51aの液膜が部分51bの液膜に引き寄せられ、液膜が更に薄くなって、蒸発が促進されるようになる。
一方、図12に示すように、管周方向において、部分51aにおける表面張力をσft2とし、部分51bにおける表面張力をσGB2とすると、部分51aは液膜が薄く冷媒が加熱されやすいことから、部分51aの表面張力が低下し、σft2<σGB2となる。このため、更に部分51aの液膜が部分51bの液膜に引き寄せられ、液膜が更に薄くなって、蒸発が促進されるようになる。
なお、突起3は他の突起から独立に形成された独立突起であるため、溝部4における冷媒液膜51の液面52は、管軸方向及び管周方向の双方についてほぼ均等に低下する。このように、液面52が均等に下がることにより、溝部4における冷媒液膜51の表面張力はσGB1=σGB2となり、突起先端部の液膜が均等に引き寄せられ、より蒸発が促進される。
このように、本実施形態によれば、管外表面に上述のような形状の突起を形成することにより、管内流体温度と管外蒸発温度との差が小さい低温度差域においても、管外表面に流下された冷媒の液膜をドライアウトさせることなく薄膜化させ、良好な伝熱性能を得ることができる。また、管内表面に上述のようなリブを形成することにより、管内を流れる流体の流量が減少しても、流体を乱流状態とすることができ、良好な伝熱性能を確保することができる。
また、管軸平行断面における突起の配列周期(PF)を1.15mmより大きく2.54mm以下とすることにより、冷媒流下量が多い場合でも、突起間の溝部において冷媒が流れやすくなり、冷媒液面が下がる速度が速くなるため、突起の先端部における液膜の薄膜化が促進される。この結果、良好な伝熱性能を実現することができる。また、各突起の管軸を含む断面における傾斜面に,管円周方向に沿って段差9を設けることにより、より一層、突起先端部近傍の突起傾斜面における液膜の薄膜化が促進される。
更に、本実施形態に係る伝熱管は、通常の転造装置、マンドレル、歯車ディスク等を備えた製造装置によって製造できるため、特殊な製造装置を使用することなく、低コストで容易に製造することができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。図13はこの伝熱管の外面を示す展開図である。前述の本発明の実施形態においては、図4に示すように、突起3の配列パターンを格子状としたが、本変形例においては、図13に示すように、相互に隣り合う突起3の列において、突起3の位置が列方向にずれて互い違いになるように配列されている。本変形例における上記以外の構成、動作及び効果は、前述の実施形態と同様である。
なお、本発明においては、突起が形成された中央部における管の外径が8乃至30mm程度であれば、特に良好な伝熱性能を確保することができる。従って、中央部における管の外径は8乃至30mmであることが好ましい。
また、前述の実施形態においては、伝熱管1の材料としてJIS H3300 C1201TS−1/2Hにより規定される低りん脱酸銅管を使用したが、本発明はこれに限定されず、例えば、前記低りん脱酸銅管を硬質に調質したものでもよく、また、JISH3300 C1220又はC1020により規定される銅管でもよく、更に、キュプロニッケル(cupro nickel)等の銅合金であってもよい。更にまた、伝熱管を銅及び銅合金以外の金属又は合金により形成してもよい。
以下、本発明の実施例の効果について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明する。前述の本発明の実施形態と同様な方法により、各種の伝熱管を作製し、供試管とした。即ち、先ず、JIS H3300 C1201TS−1/2Hにより規定されるリン脱酸銅管であり、外径が16mm、肉厚が0.6mm、長さが1300mmの素管を用意した。次に、この素管の両端部を除く中央部に転造加工を施し、螺旋状又は環状のフィンを管軸方向に一定のピッチで形成した。このとき、両端部の長さを夫々150mmとし、中央部の長さを1000mmとした。なお、この中央部には、転造加工により加工を行ったときに、加工開始側及び加工終了側、即ち、中央部の両端部に、形成される突起の形状が不完全になる「不完全部」が形成された。この不完全部は、加工開始側及び加工終了側の合計で100乃至150mm程度の長さになった。
次に、このフィンの頂部に歯車ディスクを転接させて、フィンの頂部を管周方向に一定のピッチで押し込み、突起を形成した。このとき、一部の供試管については、管の内面には特別な加工を施さず、平滑なままとした。これを試験例1の供試管とする。一方、残りの供試管については、管内面に螺旋状の溝が成形されたマンドレルを配置し、管外面にフィンを形成するのと同時に管内面に螺旋状のリブを形成した。これを試験例2の供試管とする。次に、転造加工後の試験例1及び2の供試管を350℃の温度に加熱して、残留応力を除去すると共に、管表面の残油を加熱脱脂した。更に、突起側面に段差を形成する際は,段差成形用ロールを突起側面に転接させて、このロールをフィン側面に押し込み、段差を形成した。
次に、上述の如く作製した各供試管について、引張強さを測定した。この結果、加熱脱脂後の供試管の引張強さは、平均271N/mmであった。また、各供試管の管外面の残渣量、即ち、残油及び付着物の合計量を測定した。なお、付着物とは例えば、ごみ及び管の加工時に付着した金属粉等である。測定の結果、管外面の残渣量は平均0.014g/mであった。更に、各供試管の残留炭素量を測定した。この結果、供試管の残留炭素量は平均3.7mgであった。更にまた、各供試管の形状を測定した。試験例1(内面リブ無し)の供試管の形状測定結果を表2に示し、試験例2(内面リブ有り)の供試管の形状測定結果を表3に示す。なお、表2及び表3に示す「管外径Df」とは、供試管の最大外径、即ち、突起の先端を結ぶ仮想的な円筒の直径である。それ以外のパラメータは、前述の実施形態において規定したとおりである。
Figure 2006284166
Figure 2006284166
図14は、供試管の伝熱性能の評価に使用した吸収式伝熱性能試験装置を示す概略図である。図14に示すように、吸収式伝熱性能試験装置11は一重効用の吸収式冷温水機と略同じサイクル構成となっている。即ち、試験装置11においては、2つのチャンバ12及び13が設けられており、チャンバ12の内部は仕切板12aにより蒸発器14及び吸収器15に分けられており、チャンバ13の内部は再生器16及び凝縮器17に分けられている。そして、蒸発器14の上部と吸収器15の上部とは、仕切板12aの上部に設けられた通気口12bにより、冷媒の蒸気が通流するように連通されている。また、再生器16の上部と凝縮器17の上部も相互に連通しており、冷媒の蒸気が通流するようになっている。また、試験装置11には溶液熱交換器18が設けられている。
蒸発器14は冷媒としての水Wを蒸発させて熱交換を行うものであり、吸収器15は蒸発器14から流入した水蒸気を吸収液としての臭化リチウム水溶液LBに吸収させるものである。また、再生器16は吸収器15において水を吸収した臭化リチウム水溶液から水を蒸発させて取り出し、水蒸気(冷媒蒸気)と臭化リチウム水溶液(吸収液)とを分離するものである。更に、凝縮器17は再生器16から流入した水蒸気を凝縮させて水Wとし、この水Wを冷媒として蒸発器14に供給するものである。更にまた、溶液熱交換器18は再生器16に残留した臭化リチウム水溶液を冷却して、吸収液として吸収器15に供給するものである。
蒸発器14においては、供試管である伝熱管1が4本設けられている。各伝熱管1は管軸方向が水平になり、且つ、24mmのピッチで垂直方向に1列に配列されるように設置されている。4本の伝熱管1は相互に直列に連結されている。各伝熱管1の有効長は1050mmであり、両端部はOリングによりシールされている。そして、この4本の伝熱管1からなる水路には、水路19を介して冷水が供給され、水路20を介して排出されるようになっている。また、最上段の伝熱管1の上方には、冷媒(水W)を散布するための散布トレー22が設けられており、この散布トレー22には、蒸発器14の底部に溜まった冷媒がポンプ23により汲み上げられて供給されるようになっている。更に、蒸発器14の上部には、蒸発圧力を測定するための絶対圧力変換器37が取り付けられている。更にまた、散布トレー22からの冷媒の散布量を測定するためのコリオリ式質量流量計24が設けられている。更にまた、水路19及び20には、冷水の出入口温度を測定するためのクオーツ温度計(図示せず)が設けられており、冷水流量を測定するための容積式流量計21が設けられている。
吸収器15においては、蒸発器14に設けた伝熱管1と同じ伝熱管1が垂直方向に24mmのピッチで1列6段配列されており、相互に直列に連結されている。この6本の伝熱管1からなる水路には、水路25を介して冷却水が供給され、水路26を介して排出されるようになっている。水路25には流量計27が設けられている。また、最上段の伝熱管1の上方には、吸収液(臭化リチウム水溶液LB)を散布するための散布トレー28が設けられている。
再生器16においては、吸収器15の底部に溜まった液体がポンプ29により再生器16の底部に供給されるようになっており、この液体を加熱するための電気ヒータ30が設けられている。
凝縮器17においては、冷却水が通流する冷却コイル31が設けられており、この冷却コイル31により水蒸気を凝縮して水Wとするようになっている。そして、この凝縮した水が凝縮器17の底部に溜まり、ポンプ32により蒸発器14の底部に供給されるようになっている。
また、再生器16の底部に残留した吸収液を吸収器15の散布トレー28に供給する水路33が設けられており、この水路33に沿って、再生器16から吸収液を汲み出すポンプ34、汲み出された吸収液と冷却水との間で熱交換を行い、吸収液を冷却する溶液熱交換器18、吸収液の流量を測定する流量計36がこの順に設けられている。
更に、チャンバ12の蒸発器14側及び吸収器15側の側面には夫々、冷媒及び吸収液の滴下挙動が伝熱管全長にわたって観察できるように、観察窓(図示せず)が設けられている。なお、試験装置11の本体は、臭化リチウム水溶液による腐食を抑制するために、ステンレス鋼SUS304及びSUS316により形成されている。
次に、試験装置11を使用して、表2及び表3に示す各供試管の伝熱性能を評価する試験方法について説明する。先ず、表2及び表3に示す供試管のうちいずれかの供試管を、伝熱管1として試験装置11内に組み込む。そして、水路19及び20を介して、蒸発器14の伝熱管1内に一定流量の冷水を流通させる。また、ポンプ23により、冷媒である水Wを蒸発器14内において循環させる。このとき、冷媒は散布トレー22から最上段の伝熱管1の最上部に向けて、伝熱管1の管軸方向に10mmのピッチで滴下される。そして、この冷媒の一部が、伝熱管1の表面で蒸発して伝熱管1内を流れる冷水を冷却し、残部が最上段の伝熱管1から、2段目、3段目、4段目の伝熱管1に順次滴下し、その後、蒸発器14の底部に落下する。蒸発器14の底部に溜まった冷媒(水W)は、ポンプ23により再び散布トレー22に供給される。
また、伝熱管1の表面において蒸発した冷媒蒸気(水蒸気)は、仕切板12aの通気口12bを通過して吸収器15に供給される。吸収器15においては、水路25及び26を介して伝熱管1内に冷却水を通流させる。また、散布トレー28に吸収液(臭化リチウム水溶液LB)が供給され、この吸収液が1列6段に配置された伝熱管1の外面を伝いながら落下する。この過程において、吸収液は伝熱管1の表面にて水蒸気を吸収し、吸収器15の底部に到達する。
吸収器15の底部に溜まった液体、即ち、冷媒(水)を吸収した吸収液(臭化リチウム水溶液)は、ポンプ29により再生器16に供給される。そして、再生器16において、この液体が電気ヒータ30により加熱され、水が蒸発することにより、冷媒と吸収液とに再分離される。
そして、蒸発した水が凝縮器17に供給され、冷却コイル31により冷却されて凝集し、凝縮器17の底部に溜まっていく。そしてこの溜まった水が、ポンプ32により蒸発器14の底部に冷媒として供給される。
一方、再生器16の底部に残留した吸収液は、ポンプ34により汲み出され、溶液熱交換器18により冷却され、散布トレー28に供給される。このようにして、試験装置11内において、冷媒(水)及び吸収液(臭化リチウム水溶液)が循環し、冷媒と冷水との間で熱交換を行う。
上述の如く試験装置11を運転し、蒸発器14の伝熱管1に一定流量の冷水を流し、冷水出口温度が所定の測定条件になるように冷水入口水温を調節した。一方、吸収器15の伝熱管1には冷却水入口温度を一定にした冷却水を流し、チャンバ12内の圧力が所定の測定条件になるように冷却水流量を調節した。このときの試験条件を表4に示す。なお、表4において、冷水の流量は、伝熱管の加工部の内径を基準とした値である。条件1では、冷水出口温度と蒸発温度との温度差が小さい条件における伝熱管の伝熱性能を詳しく評価するために、冷水出口温度を4乃至7℃の範囲で試験毎に異ならせて評価を行った。なお、このとき、冷媒の流下量は伝熱管1m当たり1.50kg/分で一定とした。また、条件2では、冷媒の流下量が多い条件における伝熱管の伝熱性能を詳しく評価するために、冷媒の流下量を伝熱管1m当たり1.00乃至3.75kg/分の範囲で試験毎に異ならせて評価を行った。なお、このとき、冷水出口温度は5℃で一定とした。
Figure 2006284166
試験装置11の運転開始後、定常状態になったことを確認し、チャンバ12内の圧力、冷水の流量及び出入口温度、冷媒散布流量を測定した。そして、各測定器の信号をハイブリットレコーダー(図示せず)に取り込んで数値変換し、コンピューターにて伝熱管の総括伝熱係数を算出した。以下、その算出方法について説明する。
(1)冷水伝熱量Q
冷水伝熱量をQ(kW)、冷水流量をGw(kg/時)、冷水の比熱をCp(kJ/kg/K)、冷水入口温度をTin(℃)、冷水出口温度をTout(℃)とすると、冷水伝熱量Qを下記数式1により算出した。
Figure 2006284166
(2)対数平均温度差LMTD
対数平均温度差をLMTD(℃)、冷媒蒸発温度をTe(℃)とするとき、対数平均温度差LMTDを下記数式2により算出した。なお、冷媒蒸発温度Teは、蒸発圧力より予め蒸気表(例えば、伝熱工学資料、(社)日本機械学会 1991年、331頁参照)に基づいて作成した相関式を用いて換算した数値を使用した。
Figure 2006284166
(3)管外表面積Ao
供試管の外表面積をAo(m)、円周率をπ、供試管の突起部外径、即ち、供試管の最大外径をDo(m)、供試管の伝熱有効長をL(m)、供試管の本数をN(本)とするとき、供試管の外表面積Aoを、突起部外径基準として下記数式3により算出した。
Figure 2006284166
(4)総括伝熱係数Ko(外表面積基準)
外表面積を基準とした総括伝熱係数をKo(kW/mK)とするとき、上記数式1乃至3にて算出した値を用いて、総括伝熱係数Koを下記数式4により算出した。
Figure 2006284166
(5)冷媒散布量Γ
一方、冷媒の散布量(流下量)をΓ(kg/m/分)、冷媒の流量をGref(kg/分)とするとき、冷媒散布量Γを下記数式5により算出した。
Figure 2006284166
次に、前記各供試管の伝熱性能として、各供試管について上述の如く算出した総括伝熱係数(Ko)を示す。表2に示す試験例1(内面リブ無し)の供試管の伝熱性能を表5に示し、表3に示す試験例2(内面リブ有り)の供試管の伝熱性能を表6に示す。試験例1及び2において、冷水出口温度が4℃のときの冷水出口温度と冷媒蒸発温度との温度差は0.239℃であり、冷水出口温度が5℃のときの冷水出口温度と冷媒蒸発温度との温度差は1.239℃であり、冷水出口温度が6℃のときの冷水出口温度と冷媒蒸発温度との温度差は2.239℃であり、冷水出口温度が7℃のときの冷水出口温度と冷媒蒸発温度との温度差は3.239℃である。
また、図15は、横軸に冷水の出口温度をとり、縦軸に総括伝熱係数(Ko)をとって、表5に示す試験例1の条件1における試験結果を示すグラフ図であり、図16は、横軸に冷水の出口温度をとり、縦軸に総括伝熱係数(Ko)をとって、表6に示す試験例2の条件1における試験結果を示すグラフ図である。図15に示す線群41は、表2及び表5に示す試験例1における実施例1乃至17の結果を示し、線群42は段差を有する実施例18乃至23の結果を示し,線群43は、試験例1における比較例1乃至15の結果を示す。また、図16に示す線群44は、表3及び表6に示す試験例2において、請求項5の規定を満たす試験例2の実施例1乃至7の結果を示し、線群45は段差を有する実施例8乃至12の結果を示し、線群46は、請求項1の規定は満たすものの請求項5の規定は満たさない試験例2の実施例13乃至19の結果を示す。
更に、図17は、横軸に伝熱管1m当りの冷媒の流下量をとり、縦軸に総括伝熱係数(Ko)をとって、表5に示す試験例1の条件2における試験結果を示すグラフ図であり、図18は、横軸に伝熱管1m当りの冷媒の流下量をとり、縦軸に総括伝熱係数(Ko)をとって、表6に示す試験例2の条件2における試験結果を示すグラフ図である。図17に示す線群47は、表2及び表5に示す試験例1における実施例1乃至17の結果を示し、線群48は段差を有する実施例18乃至23の結果を示し、線群49は、試験例1における比較例1乃至15の結果を示す。また、図18に示す線群50は、表3及び表6に示す試験例2において、請求項5の規定を満たす試験例2の実施例1乃至7の結果を示し、線群51は段差を有する実施例8乃至12の結果を示し、線群52は、請求項1の規定は満たすものの請求項5の規定は満たさない試験例2の実施例13乃至19の結果を示す。
Figure 2006284166
Figure 2006284166
表2及び表5並びに図15及び図17に示すように、第1試験例の実施例1乃至17は、伝熱管の形状が本発明の規定を満たしているため、本発明の規定を満たしていない比較例1乃至15と比較して総括伝熱係数が高かった。特に、図15に示すように、冷水出口温度が低く、冷水出口温度と蒸発温度との差が小さい場合においても、比較例(従来例)よりも性能低下が小さく、伝熱性能が高かった。更に、突起側面に段差を設けた場合の実施例18乃至23は、実施例1乃至17よりも更に総括伝熱係数が高かった。また、図17に示すように、冷媒の流下量が多い場合においても、比較例よりも性能低下が小さく、伝熱性能が高かった。同様に突起側面に段差を設けた場合,実施例1乃至17よりも更に総括伝熱係数が高かった。
また、表3及び表6並びに図16及び図18に示すように、第2試験例の実施例1乃至7は、伝熱管内面に形成されたリブの形状が請求項5の規定を満たしているため、リブの形状が請求項5の規定を満たしていない実施例13乃至19と比較して、総括伝熱係数がより高かった。更に、突起側面に段差を設けた場合の実施例8乃至12は、実施例1乃至7よりも更に総括伝熱係数が高かった。但し、試験例2の実施例13乃至19も、試験例1の比較例1乃至15よりは総括伝熱係数が高かった。
更に、図17及び図18に示すように、第1試験例の実施例1乃至7及び第2試験例の実施例1乃至7について、伝熱管1m当たりの冷媒の流下量を1.25乃至3.50kg/分とした場合、即ち、請求項3の規定を満たしている場合は、冷媒の流下量を1.00kg/分又は3.75kg/分とした場合、即ち、請求項1の規定は満たすものの請求項3の規定は満たさない場合よりも、総括伝熱係数が高かった。但し、第1試験例の実施例1乃至7及び第2試験例の実施例1乃至7,13乃至19について、伝熱管1m当たりの冷媒の流下量を1.00kg/分又は3.75kg/分とした場合においても、試験例1の比較例1乃至15よりは総括伝熱係数が高かった。
本発明に係る伝熱管は、流下液膜式蒸発器に組み込む伝熱管として特に好適に利用できる。
本発明の実施形態に係る伝熱管を示す部分斜視図である。 この伝熱管を示す管軸を含む管軸平行断面図である。 この伝熱管を示す管軸直交断面図である。 この伝熱管の外面を示す展開図である。 本発明の他の実施形態に係る伝熱管を示す部分斜視図である。 この伝熱管を示す管軸を含む管軸平行断面図である。 この伝熱管の冷媒の薄膜化機構を示す図である。 伝熱管の製造方法を示す断面図である。 (a)乃至(c)は冷媒の挙動を経時的に示す管軸平行断面図である。 (a)乃至(c)は冷媒の挙動を経時的に示す管軸直交断面図である。 図5(c)に示す管軸平行断面図の一部を示す拡大図である。 図6(c)に示す管軸直交断面図の一部を示す拡大図である。 本実施形態の変形例に係る伝熱管の外面を示す展開図である。 供試管の伝熱性能の評価に使用した吸収式伝熱性能試験装置を示す概略図である。 横軸に冷水の出口温度をとり、縦軸に総括伝熱係数(Ko)をとって、表5に示す試験例1の条件1における試験結果を示すグラフ図である。 横軸に冷水の出口温度をとり、縦軸に総括伝熱係数(Ko)をとって、表6に示す試験例2の条件1における試験結果を示すグラフ図である。 横軸に伝熱管1m当りの冷媒の流下量をとり、縦軸に総括伝熱係数(Ko)をとって、表5に示す試験例1の条件2における試験結果を示すグラフ図であり。 横軸に伝熱管1m当りの冷媒の流下量をとり、縦軸に総括伝熱係数(Ko)をとって、表6に示す試験例2の条件2における試験結果を示すグラフ図である。
符号の説明
1、53;伝熱管
2;管本体
3;突起
4、4a、4b;溝部
5;リブ
6;突起3が配列する方向に延びる線
7;管周方向に延びる線
8;管軸に平行な直線
9;段差
10、10a;液膜
11;吸収式伝熱性能試験装置
12、13;チャンバ
12a;仕切板
12b;通気口
14;蒸発器
15;吸収器
16;再生器
17;凝縮器
18;溶液熱交換器
19、20、25、26;水路
21、24、27、36;流量計
22、28;散布トレー
23、29、32、34;ポンプ
30;電気ヒータ
31;冷却コイル
33;水路(吸収液)
37;絶対圧力変換器
41〜48;線群
51;冷媒液膜
51a、51b;部分
52;液面
54;ローフィンディスク
55;歯車ディスク
56;ロール
;突起3の高さ
;リブ5の高さ
;段差9の高さ
GW;管軸直交断面における溝部4bの最小幅
PW;管軸平行断面における突起3の先端の幅
PW;段差9の幅
PF;管軸平行断面における突起3の配列周期
PR;管軸直交断面における突起3の配列周期
PR;管軸平行断面におけるリブ5の配列周期
θ;線6と線7とがなす角度
θ;溝部4bのひらき角
θ;管軸に平行な直線8とリブ5が延びる方向とのなす角度
θ;管軸平行断面における突起3の側面と管半径方向とのなす角度
LB;臭化リチウム水溶液(吸収液)
W;水(冷媒)

Claims (13)

  1. 管外に流下された液体が形成する液膜と管内を流れる液体との間の熱交換を行う流下液膜式蒸発器用伝熱管において、管本体と、この管本体の外面に相互に独立に形成され螺旋状又は環状に配列された複数個の突起と、を有し、前記突起の高さが0.15乃至0.50mmであり、管周方向と前記突起の配列方向とのなす角度が0乃至7°であり、管軸直交断面における前記突起の配列周期が0.90乃至1.30mmであり、管軸直交断面における前記突起間の溝部の両側面のなす角度が18乃至70°であり、管軸直交断面における前記溝部の最小幅が0.10乃至0.25mmであり、管軸を含む断面における前記突起の配列周期が1.15mmより大きく2.54mm以下であり、管軸を含む断面における前記突起の先端の幅が0.20乃至0.90mmであり、管軸を含む断面における前記突起の側面と管半径方向とのなす角度が0乃至15°であることを特徴とする流下液膜式蒸発器用伝熱管。
  2. 前記管本体内を流れる液体の管出口温度と前記管外に流下される液体の蒸発温度との差が、0.23乃至3.24℃となるような条件で使用されることを特徴とする請求項1に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管。
  3. 前記管本体外を流下する液体の流下量が、前記管本体1m当たり1.25乃至3.50kg/分となるような条件で使用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管。
  4. 前記管本体の内面に形成され螺旋状に延びるリブを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管。
  5. 前記リブの高さが0.15乃至0.35mmであり、前記管本体の内面における前記リブが延びる方向と管軸に平行な直線とのなす角度が40乃至46°であり、管軸を含む断面における前記リブの配列周期が1.60乃至6.15mmであることを特徴とする請求項4に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管。
  6. 管本体及びこの管本体の外面に相互に独立に形成され螺旋状又は環状に配列された複数個の突起を備え、前記突起の高さが0.15乃至0.50mmであり、管周方向と前記突起の配列方向とのなす角度が0乃至7°であり、管軸直交断面における前記突起の配列周期が0.90乃至1.30mmであり、管軸直交断面における前記突起間の溝部の両側面のなす角度が18乃至70°であり、管軸直交断面における前記溝部の最小幅が0.10乃至0.25mmであり、管軸を含む断面における前記突起の配列周期が1.15mmより大きく2.54mm以下であり、管軸を含む断面における前記突起の先端の幅が0.20乃至0.90mmであり、管軸を含む断面における前記突起の側面と管半径方向とのなす角度が0乃至15°である流下液膜式蒸発器用伝熱管の管外に、前記管本体1m当たり1.25乃至3.50kg/分の流下量で液体を流下すると共に、管内に液体を流し、前記管外に流下された液体が形成する液膜と前記管内を流れる液体との間で熱交換を行わせることを特徴とする流下液膜式蒸発器用伝熱管の使用方法。
  7. 前記管本体内を流れる液体の管出口温度と前記管外に流下される液体の蒸発温度との差を、0.23乃至3.24℃とすることを特徴とする請求項6に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管の使用方法。
  8. 前記複数個の突起における管軸方向に対向する側面に、管軸を含む断面でみて段差が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管。
  9. 前記段差は,前記突起の根元部からの高さが,前記突起の高さの0.33乃至0.70倍の位置に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管。
  10. 前記管軸を含む断面における前記段差の幅は、前記管軸を含む断面における前記突起の先端の幅の0.20乃至0.35倍であることを特徴とする請求項8又は9に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管。
  11. 前記複数個の突起における管軸方向に対向する側面に、管軸を含む断面でみて段差が形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管の使用方法。
  12. 前記段差は,前記突起の根元部からの高さが,前記突起の高さの0.33乃至0.70倍の位置に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管の使用方法。
  13. 前記管軸を含む断面における前記段差の幅は、前記管軸を含む断面における前記突起の先端の幅の0.20乃至0.35倍であることを特徴とする請求項11又は12に記載の流下液膜式蒸発器用伝熱管の使用方法。

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