JP2006262781A - 中種連続製パン法とそのパン類 - Google Patents

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Abstract

【課題】 中種を比較的低温に長時間保持する製法において、中種を比較的低温に長時間保持する製法の利点を維持しつつ、工場規模の大量生産に適し、ボリューム、風味および食感が良好でありながら、中種の発酵時間を短縮することができる中種連続製パン法およびパン類の提供。
【解決手段】 中種の発酵を低温で行う仕込み量が多い工場規模の中種連続製パン法であって、6〜15時間の範囲で行う中種の発酵時間に応じてイーストの添加量を調整し、且つ、中種の発酵時の環境温度を5ないし20℃の範囲内で、好ましくは10ないし15℃の範囲内で調整して生地の外側と中心部の温度差の発生を抑え、好ましくは該温度差を5℃以内、更に好ましくは3℃以内とし、中種の発酵が未熟でも過熟でもない最適な熟成状態とすることにより風味と食感が良好なパン類を製造する中種連続製パン法とそのパン類。
【選択図】 図1

Description

本発明は、中種の発酵を比較的低温に長時間保持する仕込量が多い工場規模で製造する中種連続製パン法およびそのパン類に関し、より具体的には中種の発酵時間が比較的短時間でありながら、中種の発酵が未熟でも過熟でもない最適な熟成状態とする中種連続製パン法およびそのパン類に関する。
製パン法は、ストレート法(直捏ね法とも呼ばれる)と中種法とに大別される。
ストレート法は、小麦粉、水、砂糖、油脂、食塩、酵母などの全ての製パン原材料を一度に混捏、発酵させる方法で、風味良好なパンが得られるのが長所である。その反面、発酵の温度、時間は厳密に管理する必要があり、生地は機械耐性に劣るなどの欠点があり大量生産には適さない。
中種法は、製パン原材料の一部を混捏発酵させた後、残りの原材料を加えて本捏ねする方法で、出来上がったパンの内層のきめが細かく、ソフトで老化が遅いパンができる。その反面、製パンに長時間が必要で、通常行われる2〜4時間で発酵させる中種製パン法では、風味がストレート法に比べて劣るなどの欠点があった。
近年、こうした中種法の欠点を改良して、長所を活かす製パン法が考案されている。
(1)特許文献1:中種を適当に発酵させた後、適度な熟成状態にするために−5℃乃至5℃で冷蔵して発酵を遅延させた状態を長時間(6〜72時間)維持することによって、風味良好なパンを製造する。
(2)特許文献2:中種の捏上げ温度を24〜30℃に設定し、これを直ちに0〜10℃の冷蔵室で冷却しながら発酵させることによって、風味良好なパンを製造する。
(3)特許文献3:低温域(−5〜15℃)で発酵力が抑制される酵母を用いて、中種を冷蔵することにより、過発酵による風味の劣化のないパンを製造する。
(4)特許文献4:中種を冷蔵状態(0〜10℃)で発酵させると共に、本捏ねに乳酸発酵物の油脂エマルジョンを添加することにより、ソフト感、色艶並びに風味が改善されたパンを製造する。
(5)特許文献5:中種を10〜18℃で捏上げた後、同温度帯で15〜30時間発酵させることにより、大量仕込み、大量生産を可能にすると共に、香味と食感の良いパンを製造する。
これらの方法に共通する意図は、中種を比較的低温に長時間保持することにより風味を補うことである。しかしながら、低温中種法では、酵母の発酵に伴って発生する炭酸ガスによりパン生地が膨張することによって生地自体が断熱材となり、生地の外側と中心部とで熱が伝導しにくくなる。すなわち、外側は雰囲気温度に冷やされて温度が低下するが、中心部は発酵熱により温度が上昇するため、中種の量が増えるほど外側と中心部との温度差が拡大して、発酵状態が不均一となるという問題があった。
そこで、これら公知の製法では、さらなる工夫として中種の中心部温度を短時間で雰囲気温度まで下げるために、中種の大きさを制限して低温に保持する(特許文献2)、中種の捏ね上げ温度を低めにして生地中心部の温度上昇を抑える(特許文献5)などの工夫が検討されている。
しかしながら、仕込み量が多い場合には中種の外側と中心部とに温度差が発生し、焼き上げたパン製品のボリューム、風味や食感が必ずしも満足できるものとはならないなど、低温長時間発酵の中種製パン法は工場規模の大量生産に適したものとは言えなかった。
そこで、出願人は、小麦粉、イースト、水、その他の製パン材料を混合し、温度条件を履歴することにより、工場規模の大量生産においても中種の外側と中心部との温度差を抑え、次いで昇温させてから本捏を行うことを特徴とする低温長時間発酵の中種連続製パン法を提言した(特許文献6)。
特開昭54−67053号公報 特公昭56−46731号公報 特開昭61−195637号公報 特開平2−92231号公報 特開平4−207148号公報 特開平11−196758号公報
特許文献6に係るパン製品は、工場規模の大量生産に適するばかりでなく、最終的に焼き上げたパン製品のボリューム、風味および食感が良好であり、市場の評価は高い。ただ中種の発酵時間が15〜35時間と長時間であることが、今日の流通の変化に合理的に対応できないという新たな課題が生じた。つまり流通業界の要請に応じ、夕方に受注を受けた翌日にはパンを提供することが通常となった今日においては、特許文献6に記載の製法では受注量の確定前に見込みで中種の発酵を行わなくてはならないという問題が生じた。こうした見込みで中種の発酵を行うことがないようにすること、すなわち製造時間の短縮が求められるようになったのである。
また、今日は市場に評価され受け容れられているパン製品であっても、更なる品質の向上に勤めることは食品メーカーが忘れてはならない課題である。一般に発酵時間の長さに応じて各種のアルコール、エステル、アルデヒト、有機酸などが増加するため、発酵時間が長すぎると好ましくない発酵臭が生じると言われている。発酵時間が長すぎることによる香りに関わる発酵産物が増加し過ぎないようにすること、つまり中種の発酵時間を短くすることにより、香りを改善することが求められているのである。
上記課題を鑑み、本発明は、中種を比較的低温に長時間保持する製法において、中種を比較的低温に長時間保持する製法の利点を維持しつつ、工場規模の大量生産に適し、ボリューム、風味および食感が良好でありながら、中種の発酵時間を短縮することができる中種連続製パン法およびパン類を提供することを目的とする。
本発明は、中種の発酵を低温で行う仕込み量が多い工場規模の中種連続製パン法であって、6〜15時間の範囲で行う中種の発酵時間に応じてイーストの添加量を調整し、且つ、中種の発酵時の環境温度を5ないし20℃の範囲内で、好ましくは10ないし15℃の範囲内で調整して生地の外側と中心部の温度差の発生を抑え、好ましくは該温度差を5℃以内、更に好ましくは3℃以内とし、中種の発酵が未熟でも過熟でもない最適な熟成状態とすることにより風味と食感が良好なパン類を製造する中種連続製パン法を要旨とする。
イーストの添加量および中種発酵時の環境温度を調整して、酢酸および/または乳酸の少ないパン類を製造しており、その場合本発明は、中種の発酵を低温で行う仕込み量が多い工場規模の中種連続製パン法であって、6〜15時間の範囲で行う中種の発酵時間に応じてイーストの添加量を調整し、且つ、中種の発酵時の環境温度を5ないし20℃の範囲内で、好ましくは10ないし15℃の範囲内で調整して生地の外側と中心部の温度差の発生を抑え、好ましくは該温度差を5℃以内、更に好ましくは3℃以内とし、中種の発酵が未熟でも過熟でもない最適な状態とすることにより、酢酸および/または乳酸が少なく、風味と食感が良好なパン類を製造する中種連続製パン法を要旨とする。
イーストを、中種と本捏とに分割して加えること、好ましくは中種には発酵力の弱いイーストを加え、本捏には発酵力の強いイーストを加えることを特徴としており、その場合本発明は、中種の発酵を低温で行う仕込み量が多い工場規模の中種連続製パン法であって、6〜15時間の範囲で行う中種の発酵時間に応じてイーストの添加量を調整すること、その際イーストを、中種と本捏とに分割して加えること、および、中種の発酵時の環境温度を5ないし20℃の範囲内で、好ましくは10ないし15℃の範囲内で調整して生地の外側と中心部の温度差の発生を抑え、好ましくは該温度差を5℃以内、更に好ましくは3℃以内とし、中種の発酵が未熟でも過熟でもない最適な状態とすることにより、風味と食感が良好な、好ましくは酢酸および/または乳酸が少なく、風味と食感が良好なパン類を製造する中種連続製パン法を要旨とする。
中種発酵時の環境温度に応じて環境湿度を調整することを特徴としており、その場合本発明は、中種の発酵を低温で行う仕込み量が多い工場規模の中種連続製パン法であって、6〜15時間の範囲で行う中種の発酵時間に応じてイーストの添加量を調整すること、その際イーストを、中種と本捏とに分割して加えること、中種発酵時の環境温度に応じて環境湿度を調整すること、および、中種の発酵時の環境温度を5ないし20℃の範囲内で、好ましくは10ないし15℃の範囲内で調整して生地の外側と中心部の温度差の発生を抑え、好ましくは該温度差を5℃以内、更に好ましくは3℃以内とし、中種の発酵が未熟でも過熟でもない最適な状態とすることにより、風味と食感が良好な、好ましくは酢酸および/または乳酸が少なく、風味と食感が良好なパン類を製造する中種連続製パン法を要旨とする。
また、本発明は、上記のいずれかの中種連続製パン法で製造されたパン類を要旨とする。
本発明によれば、従来の中種を比較的低温に長時間保持する中種製パン法における長所を有しながら、15ないし35時間と製造時間が長くかかるという問題、受注量の確定前に見込みで中種の発酵を行わなくてはならないという問題を解決することができる。すなわち、中種を比較的低温に長時間保持する方法の利点を維持しつつ、工場規模の大量生産に適し、ボリューム、風味および食感が良好でありながら、中種の発酵時間を短縮することができる中種連続製パン法およびパン類を提供することができる。
また、総有機酸量に対する酢酸・乳酸の量が少なく、風味および食感が良好でありながら、酸臭を感じさせないパン類を提供することが可能となった。
一般にパン生地は放置する時間に従って熟成が進み、ある最高点に到達した後に過熟となる。最高点への到達時間は種々の要因により異なるため、製造時間を短くするためには最高点への到達時間を短くするための最適条件を見つける必要がある。
発明者は、中種を比較的低温に長時間保持する方法において、中種の発酵時間を短縮するべく、より短い時間で最高点に到達するための要因として次の4点に着目した。
(一)イーストの種類と投入方法
一般的な中種法では、後述の汎用・超高糖生地用イーストを中種調製工程のみで使用している(分割投入しない)が、本発明は中種調製工程と本捏工程とで異なる種類のイーストを使用することを特徴とする。
中種調製工程では、発酵力が極めて穏やかで持続性に富んでおり、長時間発酵を行う製法に適したもの(低発酵力・長時間中種用イースト)を使用する。
本捏工程では、発酵力が強く、糖配合適性が低糖から高糖の配合にも適した非常に耐糖性に優れたもの(汎用・超高糖生地用イースト)を使用する。本捏工程のイーストは、砂糖を分解するインベルターゼ活性が非常に低いため、焼成したパン着色が淡くなる特色も有する。なお、従来の低温長時間発酵の中種製パン法で用いるものと比べ発酵力が強いため、投入するイースト量は少なくなる。
(二)中種発酵時の環境温度等
イーストの発酵力と生地温度には相関があることが知られており、低温域から最も発酵力が高まると言われる生地温度35〜38℃に至るまでほぼ右肩上がりのグラフを描く。本発明では、従来の低温長時間発酵の製法と比べ環境温度を昇温することで生地温度を昇温させ、中種の発酵時間が比較的短くとも充分な発酵が得られるようにした。但し、生地温度の上昇と共にイーストの活性が高まり、生地の外側と中心部の温度差に開きが大きくなるため、最適な範囲内での昇温とする必要がある。
なお、生地の環境湿度も中種発酵時間に応じて調整することが好ましく、例えば本発明の製パン法では、環境湿度の調整を従来の発酵時間が4時間の中種製パン法と比べ高く、従来の発酵時間が24時間の中種製パン法と比べ低い範囲で行う。
(三)イースト投入量
イーストの量を増やすと一定量まではイーストの増殖数を増やすことができ、その数とパンの体積に密接な関係が認められることが知られている。発明者は、従来の低温長時間発酵の製法と比べ中種へのイースト投入量を適度に増やすことにより、中種の発酵時間が比較的短くとも充分な発酵が得られるようにした。但し、イーストを過度に増量すると好ましくない発酵臭が強くなるため、単純に増量すれば良いというわけではない。
(一)ないし(三)の条件は組み合わせて中種の熟成の度合いを検証する必要がある。中種の熟成の度合いは、生地のpHやイーストによるガス発生曲線によっても確認することができる。生地の熟成が若めになるとpHが高く滴定酸度は低くなる傾向がある。また、ガス発生曲線がプラトーに到達(頭打ち)する以前の生地は発酵が不充分で未熟な状態であり、頭打ちとなり一定時間経過後に熟成の最高点に到達し、以後時間が経ち過ぎると発酵が進みすぎた過熟な状態となる。
(四)生地の外側と中心部の温度差
生地の外側と中心部の温度差が大きくなると発酵状態が不均一となるため、温度差は限りなくゼロに近くすることが好ましい。しかしながら、工場での連続製パン法において温度差をゼロにすることは極めてコストが高くなるため、中種の発酵時間に応じて生地の外側と中心部の温度差が許容温度内となるようにするのが合理的である。許容できる中種の外側と中心部の温度差は、中種の発酵時間により異なる。従来の中種を15〜35時間発酵させる製法においては、温度差は10℃以内であれば良いが、本発明のように中種を6〜15時間発酵させる製法においては、温度差は5℃以内とする必要がある。
本発明の製造方法により製造した中種発酵時間が12時間程度の三斤食パン(以下「12時間発酵パン」という)と、従来の中種発酵時間が4時間程度の三斤食パン(以下「4時間発酵パン」という)とを比較した結果、12時間発酵パンは以下の特徴を有することを確認することができた。
1)物性測定を行ったところ、4時間発酵パンと比べて保水性がよい傾向にあり、経時変化が少なく冷蔵耐性が高いことが確認できた。特にチルド(10℃以下)での保管性に優れており、流通業界からの要請が多様化した今日においては、この意義は大きい。残糖量(主に単糖類、二糖類など)が多いことが原因であると推察される。
2)4時間発酵パンと比べて旨み、甘み、コクが優れている。遊離アミノ酸含有量が多いことによってもたらされる効果と推察される。
3)4時間発酵パンと比べてグルテンネットワークが細かい。このことから、気泡が細かく薄い特性があり、生地の伸展性が高く機械耐性に優れる(機械成型による荒れが少なく、大量生産に適している)ことが分かる。また、ケービング(パンの横腹の窪み、腰折れとも言う)が少ないことも特筆すべき点である。
各品質指標の確認手段と、その要因と思われる事項を図1にまとめた。
以下では、本発明の詳細を実施例で説明する。本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(捏ね上げ温度の比較)
表1に示した配合Aの材料を用いて、食パンを製造した。表1は小麦粉350kg仕込みでの割合であり、小麦粉量を100%としたときの、中種調製工程、本捏工程における他の材料の比率(ベーカリーパーセント)を示している。
本実施例においては、試験例1(捏上げ温度19℃)、比較例1(捏上げ温度13℃)、および比較例2(捏上げ温度26℃)について、表2に示すように、製造工程の環境条件等を違えて製造したパンの比較試験を行った。
表2中、中種調製工程については、捏ね上げ温度と、生地の内外温度差を除く条件は同じである。なお、表2中、「L3H2」とあるのは、低速回転で3分間、高速回転で2分間撹拌することを意味する。捏上げ温度の測定は、外側温度として生地表層より1cmのところを3点、内側温度として中心部2点の温度を測定し、これら5点の平均温度で表した。生地の外内温度差は、[外側温度−内側温度]の最大値を表示した。
表2中、本捏工程については、捏ね上げ温度、フロアタイム、ベンチタイム、および焼成温度・時間は同一条件となっている。なお、表2中、「L2H5↓L3H4」とあるのは、低速回転で2分間、高速回転で5分間撹拌した後に油脂を投入し、その後低速回転で3分間、高速回転で4分間撹拌することを意味する。
表3は、焼成した各食パンについての官能検査で評価した結果である。官能検査は専門のパネラー7名により行い、「外観(表面状態、ボリューム等)、内相(均一に発酵しているか)、やわらかさ、香り、食味(食感)」という5つの評価項目について評価した。評価点は、「5:大変良い、4:良い、3:普通、2:やや悪い、1:悪い」の5段階である。なお、評価点は平均値を四捨五入したものを記載している。
表3を見ると分かるとおり、試験例1では各要素の評価点が全て5であり、品質良好な食パンが得られたことが分かる。比較例1については、捏ね上げ温度が13℃と低温であったため、熟成が不足していたものと考えられる。比較例2については、生地の外内温度差が8℃と大きいため、発酵が不均一になったためと考えられる。
Figure 2006262781
Figure 2006262781
Figure 2006262781
(温度履歴の比較)
実施例1と同様に配合Aの材料を用いて食パンを製造した。本実施例においては、表4−1,4−2に示すように、試験例2〜4と比較例3〜7の温度履歴を経て各食パンを製造した。
得られた食パンを、実施例1と同様の官能検査で評価し、その結果を示したものが表5である。表5を見ると分かるとおり、試験例2〜4では各要素の評価点が全て4以上であり、品質良好な食パンが得られたことが分かる。
比較例3〜6については、外内温度差が大きく、発酵が不均一であり、充分な品質を得ることはできなかった。
比較例7については、中種調製工程の発酵時間が26時間と長時間であったため、生地の外内温度差が大きいにも拘わらず、品質良好な食パンを得ることができた。しかしながら、本発明の課題である製造時間の短縮は達成することができていない。
Figure 2006262781
Figure 2006262781
Figure 2006262781
(イーストの添加方法)
本実施例では、上記配合Aの材料と配合Bの材料(表6)を用いて、上記試験例3と同じ製法で食パンを製造した。配合Aと配合Bは、イーストの添加方法で異なり、前者は中種調製工程と本捏工程で分割してイーストを添加しているのに対し、後者は中種調製工程において全てのイーストとイーストフードを添加している。なお、使用したイーストはいずれもオリエンタル酵母社のものである。
配合Aの材料を用いた場合の評価は、表5に示すとおり、外観が5であり、その他の評価項目は全て4である。これに対し、配合Bの材料を用いた場合には、外観的にボリュームが低下しており、イーストを分割添加した方がより好ましい結果が得られることが分かった。但し、配合Bの材料を用いた場合でも、やわらかさ、香り、食味が劣るものの、官能評価の結果は概ね食パンとしての許容範囲に含まれるものであり、内相についてもきめが細かくソフトで老化が遅く、ストレート法で作られたパンに比べて遜色のないパンを得ることができた。
Figure 2006262781
(中種の発酵時間による風味の比較)
試験例2、試験例3、比較例7の食パンについて、有機酸の含有量を測定し、酸味について官能評価を行った(表7参照)。有機酸の含有量は、食パンの水抽出液を調製し、キャピラリー電気泳動分析装置により分析した。
酸味についての官能評価は、専門のパネラー7名が、食味として感じる酸味(すっぱ味)の嗜好性を評価した。評価点は「+:酸味が気になる、−:酸味が気にならない、±:どちらとも言えない」の3段階である。表7中、各数字は評価したパネラーの人数を示している。
表7を見ると分かるとおり、試験例2および試験例3は、比較例7と比べて総有機酸量に大差はないものの、酢酸と乳酸の含有量が少なく、このことが酸味の官能評価に影響していると考えられる。すなわち、試験例2および試験例3の食パンは、とがった酸味が無くまろやかな風味を有するものであると言える。
Figure 2006262781
本発明の中種製パン法の対象となるパン類とは、フランスパン、食パン、菓子パン、デニッシュペストリーの他、中華まんじゅう、イーストドーナッツなどのイーストを使用するパン製品全てを含む。
パン類の品質指標、その確認手段および要因と思われる事項

Claims (8)

  1. 中種の発酵を低温で行う仕込み量が多い工場規模の中種連続製パン法であって、
    6〜15時間の範囲で行う中種の発酵時間に応じてイーストの添加量を調整し、且つ、
    中種の発酵時の環境温度を5ないし20℃の範囲内で調整して生地の外側と中心部の温度差の発生を抑え、中種の発酵が未熟でも過熟でもない最適な熟成状態とすることにより風味と食感が良好なパン類を製造する中種連続製パン法。
  2. 中種生地の外側と中心部の温度差を5℃以内とする請求項1の中種連続製パン法。
  3. 中種の発酵時の環境温度は10ないし15℃であり、中種生地の外側と中心部の温度差は3℃以内である請求項1または2の中種連続製パン法。
  4. イーストの添加量および中種発酵時の環境温度を調整して、酢酸および/または乳酸の少ないパン類を製造する請求項1,2または3の中種連続製パン法。
  5. イーストを、中種と本捏とに分割して加えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの中種連続製パン法。
  6. 中種には発酵力の弱いイーストを加え、本捏には発酵力の強いイーストを加えることを特徴とする請求項5の中種連続製パン法。
  7. 中種の発酵時の環境温度に応じて環境湿度を調整する請求項1ないし6のいずれかの中種連続製パン法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかの中種連続製パン法で製造されたパン類。

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