JP2006256508A - 車両用エアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 斜め衝突の場合の乗員保護性能を高めることができる車両用エアバッグ装置を提供する。
【解決手段】 エアバッグ４を左右方向で左側気室Ａ、中央気室Ｂ、右側気室Ｃに３分割し、斜め衝突の場合には、反衝突側の右側気室Ｃを非膨張（他よりも低圧膨張でも可）させるようにしたため、衝突側の左側気室Ａが相対的に大きく膨張し、エアバッグ４が衝突側に変位した状態で車室内側へ展開する。従って、衝突側へ倒れる乗員Ｍを、エアバッグ４の中心に近い状態で且つ衝突側から回り込んだ状態で受け止めることになり、斜め衝突の場合の乗員保護性能が向上する。
【選択図】 図７

Description

本発明は、車両用エアバッグ装置に関するものである。

自動車の助手席側のエアバッグ装置としては、フロントウィンドウパネルの下方に位置するインストルメントパネルの内部に、エアバッグを折り畳み状態で収納した構造になっている。エアバッグは、衝突時にインフレータから噴出されたガスにより膨張し、インストルメントパネルの上部から車室内側へ向けて展開し、前倒れする乗員を受け止めて保護するようになっている。

車両の衝突形態には、車両が障害物に正面から衝突する正面衝突だけでなく、斜めに衝突する斜め衝突がある。斜め衝突の場合、車両に反衝突側への横加速度が生じ、乗員は衝突側へ向けて斜めに前倒れする。従って、エアバッグは、このように斜めに前倒れする乗員も確実に受け止められるように、高出力のインフレータを用いて、大容量のエアバッグを膨張させるようにしている（例えば、特許文献１。）。
特開平１１−５５０５号公報

しかしながら、このような従来の技術にあっては、高出力のインフレータで、大容量のエアバッグを膨張させることにより、まっすぐ前に倒れる乗員だけでなく、斜めに倒れる乗員も保護するようになっているものの、斜めに倒れる乗員はエアバッグの中心からずれた位置で受け止めることになるため、どうしても真っ直ぐ前に倒れる乗員をエアバッグの中心で受け止める場合に比べて、乗員保護性能が相対的に低下することがある。

本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、斜め衝突の場合の乗員保護性能を高めることができる車両用エアバッグ装置を提供するものである。

請求項１記載の発明は、エアバッグを折り畳み状態でインストルメントパネルの内部に設置すると共に、衝突時にエアバッグを膨張させてインストルメントパネルの上部から車室内側へ展開させる車両用エアバッグ装置であって、前記エアバッグは隔壁により左右方向で３つの気室に区画され、各気室にガスを供給するインフレータがそれぞれ備えられ、且つ車両の正面衝突及び斜め衝突を検出可能な衝突センサーが備えられ、該衝突センサーが、正面衝突を検出した場合には、エアバッグの全ての気室を膨張させ、斜め衝突を検出した場合には、反衝突側の気室を非膨張又は他よりも低圧膨張させることを特徴とする。

請求項２記載の発明は、インフレータがディスク型であることを特徴とする。

請求項３記載の発明は、中央のインフレータが、他のインフレータよりもフロントウィンドウパネルに近い位置にあることを特徴とする。

請求項１記載の発明によれば、エアバッグを左右方向で３分割し、斜め衝突の場合には、反衝突側の気室を非膨張又は他よりも低圧膨張させるようにしたため、衝突側の気室が他よりも相対的に大きく膨張し、エアバッグが衝突側に変位した状態で車室内側へ展開する。従って、衝突側へ倒れる乗員を、エアバッグの中心に近い状態で且つ衝突側から回り込んだ状態で受け止めることになり、斜め衝突の場合の乗員保護性能が向上する。

請求項２記載の発明によれば、インフレータがディスク型であるため、分割した気室の中に設置し易い。

請求項３記載の発明によれば、中央のインフレータが他よりもフロントウィンドウパネルに近い位置にあるため、膨張したエアバッグの中央部がフロントウィンドウパネルと早期に当接し、エアバッグがフロントウィンドウパネルに沿った状態で車室内側へ展開し易い。

本発明は、斜め衝突の場合の乗員保護性能を高めることができる車両用エアバッグ装置を提供するという目的を、エアバッグを折り畳み状態でインストルメントパネルの内部に設置すると共に、衝突時にエアバッグを膨張させてインストルメントパネルの上部から車室内側へ展開させる車両用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、隔壁により左右方向で３つの気室に区画され、各気室にガスを供給するインフレータがそれぞれ備えられ、且つ車両の正面衝突及び斜め衝突を検出可能な衝突センサーが備えられ、該衝突センサーが、正面衝突を検出した場合には、エアバッグの全ての気室を膨張させ、斜め衝突を検出した場合には、反衝突側の気室を非膨張又は他よりも低圧膨張させることで、実現した。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。

図１〜図９は、本発明の一実施例を示す図である。図１に示すように、自動車の助手席側におけるフロントウィンドウパネル１の下方には、インストルメントパネル２が位置している。このインストルメントパネル２の上部には、図示せぬリッドにて塞がれたケース３が設けられ、このケース３の中に、折りたたみ状態のエアバッグ４と、それを膨張させるガスを噴出するインフレータ５ａ、５ｂ、５ｃが収納されている。

ケース３は、上部が突出した六角形の容器形状をしており、インストルメントパネル２の上面部に沿った状態で設置されている。内部に設置されているインフレータ５ａ、５ｂ、５ｃはディスク型で、中央のインフレータ５ｂが他の２つのインフレータ５ａ、５ｃに比べて上方に位置している。

エアバッグ４の基端部は、ケース３の底面に図示せぬリテーナを介して固定される。エアバッグ４の内部は、２枚の隔壁６により、左右方向で左側気室Ａ、中央気室Ｂ、右側気室Ｃに３分割されている。左側気室Ａ、中央気室Ｂ、右側気室Ｃは、それぞれ各インフレータ５ａ、５ｂ、５ｃに対応しており、各インフレータ５ａ、５ｂ、５ｃから個別にガスを供給することができる。インフレータ５ａ、５ｂ、５ｃがディスク型であるため、分割した各気室Ａ、Ｂ、Ｃの中に設置し易い。各インフレータ５ａ、５ｂ、５ｃは、制御部Ｓからの信号により、どのインフレータ５ａ、５ｂ、５ｃを作動させるか制御される。

車両７の前方には、衝突形態を検出する衝突センサーａ、ｂ、ｃが、左側と中央と右側にそれぞれ設けられている。衝突センサーａ、ｂ、ｃも制御部Ｓに接続されており、制御部Ｓに信号を出力するようになっている。制御部Ｓでは、衝突センサーａ、ｂ、ｃの信号に基づいて衝突形態を判断し、どのインフレータ５ａ、５ｂ、５ｃを作動させるか判断して制御する。

制御部Ｓでは、中央の衝突センサーｂが他よりも先に又は他と略同時に検出状態になった場合は、障害物８ｂに対する正面衝突と判断し（図４）、左側の衝突センサーａが他よりも先に検出状態になった場合は、左側が手前に位置する障害物８ａに対する斜め衝突と判断し（図６）、右側の衝突センサーｃが他よりも先に検出状態になった場合は、右側が手前に位置する障害物８ｃに対する斜め衝突と判断する（図８）。

次に作用を説明する。

制御部Ｓが障害物８ｂとの正面衝突と判断した場合は（図４）、全てのインフレータ５ａ、５ｂ、５ｃを作動させ、左側気室Ａ、中央気室Ｂ、右側気室Ｃの全てを膨張させる（図５）。すると、エアバッグ４が全体的に大きく膨張して、まっすぐ前方に倒れる乗員Ｍをエアバッグ４の中心付近で受け止めて、確実に保護することができる。中央のインフレータ５ｂが上方位置（フロントウィンドウパネル１に近い位置）にあるため、膨張したエアバッグ４の中央部がフロントウィンドウパネル１と早期に当接し、エアバッグ４がフロントウィンドウパネル１に沿った状態で車室内側へ展開し易い。

制御部Ｓが左側の障害物８ａとの斜め衝突であると判断した場合は（図６）、左側と中央のインフレータ５ａ、５ｂだけ作動させて、右側のインフレータ５ｃは作動させない。すると、左側気室Ａと中央気室Ｂだけが膨張して、右側気室Ｃは非膨張状態となり（図７）、エアバッグ４が左側（衝突側）に変位した状態で車室内側へ展開する。従って、左側へ倒れる乗員Ｍを、エアバッグ４の中心に近い状態で且つ左側から回り込んだ状態で受け止めて、確実に保護することができる。

逆に制御部Ｓが右側の障害物８ｃとの斜め衝突と判断した場合は（図８）、中央と右側のインフレータ５ｂ、５ｃだけ作動させて、左側のインフレータ５ａは作動させない。すると、中央気室Ｂと右側気室Ｃだけが膨張して、左側気室Ａは非膨張状態となり（図９）、エアバッグ４が右側（衝突側）に変位した状態で車室内側へ展開する。従って、右側へ倒れる乗員Ｍを、エアバッグ４の中心に近い状態で且つ右側から回り込んだ状態で受け止めて、確実に保護することができる。

以上の実施例では、反衝突側の気室を非膨張にする例を示したが、インフレータが出力調整可能な構造であれば、反衝突側の気室を他よりも低圧膨張させるようにしても良い。

また、斜め衝突はオフセット衝突を含む概念であり、必ずしも車両が障害物に対して斜めに衝突する場合だけを意味するものではない。

本発明の一実施例に係るエアバッグの膨張状態を示す断面図。 図１のエアバッグを膨張展開するインフレータを設置したケースを示す斜視図。 図１のエアバッグの全ての気室を膨張させた状態を示す後面図。 図１乃至図３のエアバッグを搭載した車両における正面衝突状態を示す平面図。 図１のエアバッグが正面衝突時でのエアバッグの膨張状態を示す断面図。 図１乃至図３のエアバッグを搭載した車両における左側の障害物への斜め衝突状態を示す平面図。 図１のエアバッグが左側の障害物への斜め衝突時でのエアバッグの膨張状態を示す断面図。 図１乃至図３のエアバッグを搭載した車両における右側の障害物への斜め衝突時を示す平面図。 図１のエアバッグが右側の障害物への斜め衝突時でのエアバッグの膨張状態を示す断面図。

符号の説明

１ フロントウィンドウパネル
２ インストルメントパネル
３ ケース
４ エアバッグ
５ａ、５ｂ、５ｃ インフレータ
６ 隔壁
７ 車両
８ａ、８ｂ、８ｃ 障害物
Ａ、Ｂ、Ｃ 気室
ａ、ｂ、ｃ 衝突センサー
Ｓ 制御部
Ｍ 乗員

Claims (3)

1. エアバッグを折り畳み状態でインストルメントパネルの内部に設置すると共に、衝突時にエアバッグを膨張させてインストルメントパネルの上部から車室内側へ展開させる車両用エアバッグ装置であって、
   前記エアバッグは、隔壁により左右方向で３つの気室に区画され、各気室にガスを供給するインフレータがそれぞれ備えられ、且つ車両の正面衝突及び斜め衝突を検出可能な衝突センサーが備えられ、
   該衝突センサーが、正面衝突を検出した場合には、エアバッグの全ての気室を膨張させ、斜め衝突を検出した場合には、反衝突側の気室を非膨張又は他よりも低圧膨張させることを特徴とする車両用エアバッグ装置。
2. 請求項１記載の車両用エアバッグ装置であって、
   インフレータがディスク型であることを特徴とする車両用エアバッグ装置。
3. 請求項２記載の車両用エアバッグ装置であって、
   中央のインフレータが、他のインフレータよりもフロントウィンドウパネルに近い位置にあることを特徴とする車両用エアバッグ装置。
   

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