JP2006255488A - マンガン含有水の処理装置及び処理方法 - Google Patents

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美保 重藤
Hiroyuki Oyachi
裕行 大矢知
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Abstract

【課題】既設の上水場に別の装置を追加することなく、高フラックスでマンガン含有水の処理が可能なマンガン含有水の処理技術を提供する。
【解決手段】マンガンを含有する原水に、比重が3〜4、粒子径が0.3〜2.0mmのマンガン触媒15と酸化剤14とを添加して急速攪拌槽11等で攪拌し、原水に含まれる溶解性マンガンを酸化させるとともに、マンガン触媒15の表面に形成された酸化不溶化マンガンを剥離させる。ついで緩速混和槽12等でマンガン触媒15を沈降分離させ、急速攪拌槽11へ返送する。緩速混和槽12の上澄水はセラミック膜ろ過装置13等に導き、濁質及び酸化不溶化マンガンを除去する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、井戸水や河川水などのマンガン含有水の処理装置及び処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特許第2772612号公報
【0003】井戸水や河川水などにはマンガンが含まれていることが多く、これらを上水源として利用するためにはマンガンを除去する必要がある。しかし一般にマンガンはイオン状態の溶解性マンガンとして水中に存在しているので、通常の膜ろ過処理によっては除去することができない。また原水にPACなどの凝集剤を添加して凝集混和槽で凝集させても、溶解性マンガンを除去することは不可能である。
【0004】そこで上記の特許文献1には、原水中の溶解性マンガンを酸化させて酸化不溶化マンガンとし、膜ろ過する方法が示されている。この方法は図5に示すように、上方が拡がったコーン状の反応槽1の底部にマンガン砂2を充填し、マンガンを含有する原水に次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を添加して槽底部から上向流として供給する方法である。原水中の溶解性マンガンは、マンガン砂2を酸化触媒として酸化剤により酸化不溶化される。マンガン砂2と酸化不溶化されたマンガン及び一部の濁質は槽下部では流動しているが、反応槽1は上部が拡がっているので上向流速は槽上部では小さくなり、自重により反応槽1の底部に沈降する。そして反応槽1の上部から引き出された処理水は後段のセラミック膜ろ過装置3によりろ過することができる。
【0005】ところがこの特許文献1の方法は、特殊な形状の反応槽1を設ける必要があり、既設の上水場に設置することは容易ではない。またマンガン砂2の流失を防止するおそれがあるので、高フラックスでの処理が困難である。しかも酸化不溶化されたマンガン及び一部の濁質は槽内に堆積するため、堆積物の定期的な抜き取りが必要になる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来の問題点を解決し、既設の上水場に容易に適用することができ、槽内堆積物の定期的な抜き取りが不要であり、しかも高フラックスでマンガン含有水の処理が可能なマンガン含有水の処理装置及び処理方法を提供するためになされたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するためになされた本発明のマンガン含有水の膜ろ過処理装置は、原水にマンガン触媒と酸化剤とを接触させ、原水中の溶解性マンガンを酸化不溶化させる手段と、不溶化したマンガン及び原水中の濁質とマンガン触媒とを分離し、分離したマンガン触媒を回収する手段と、不溶化したマンガン及び原水中の濁質を分離除去する手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】また本発明のマンガン含有水の処理方法は、原水にマンガン触媒と酸化剤とを接触させて、原水に含まれる溶解性マンガンを酸化不溶化させ、ついで不溶化したマンガン及び原水中の濁質からマンガン触媒を分離して回収したうえ、不溶化マンガン及び原水中の濁質を分離除去して処理水を得ることを特徴とするものである。
【0009】なお、マンガン触媒として比重が3〜4の粒状体を使用することが好ましく、マンガン触媒として粒子径が0.3〜2.0mmの粒状体を使用することが好ましい。また原水にマンガン触媒と酸化剤とを接触させる工程を急速攪拌槽により行い、不溶化したマンガン及び原水中の濁質からマンガン触媒を分離する工程を緩速攪拌槽により行い、不溶化マンガン及び原水中の濁質を分離除去する工程をセラミック膜ろ過装置を用いて行うことができる。
【0010】本発明によれば、原水に含まれる溶解性マンガンを酸化不溶化させ微細な不溶化粒子酸化物にするため、原水濁質とともに系内に堆積することがなく、定期的な抜き取り作業は不要である。また本発明で用いるマンガン触媒は比重が3〜4と重いため固液分離が容易であり、回収し、循環することができる。特にセラミック膜ろ過装置を用いれば、不溶化マンガン及び原水中の濁質を分離除去して処理水を得ることができ、セラミック膜ろ過装置を備えた浄水場などでは砂ろ過装置などの装置を別途追加する必要もない。
【0011】
【発明の実施の形態】 図1は本発明の好ましい実施形態を示すもので、この実施形態では、原水にマンガン触媒と酸化剤とを接触させ、原水中の溶解性マンガンを酸化不溶化させる手段として急速攪拌槽11が用いられている。また不溶化したマンガン及び原水中の濁質とマンガン触媒とを分離する手段として緩速混和槽12が、不溶化したマンガン及び原水中の濁質を分離除去する手段としてセラミック膜ろ過装置13が用いられている。
【0012】図1の装置において、溶解性マンガンを含む井戸水や河川水などの原水は、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤14とともに急速攪拌槽11に供給される。急速攪拌槽11内にはマンガン触媒15が投入されている。このマンガン触媒15としては、特許文献1に示されたマンガン砂よりもさらに重い、比重が3〜4(より好ましくは3.5)の二酸化マンガンの粒状体を使用することが好ましい。比重が3〜4のマンガン触媒15を用いれば、500m/day以上の高フラックスで原水を流してもマンガン触媒15が急速攪拌槽11からほとんど流出するおそれがなく、緩速混和槽12における沈降分離性も高まる。このマンガン触媒15として、粒子径が0.3〜2.0mmの粒状体を使用することが好ましい。粒子径がこの範囲より細かいと流出し易くなり、逆に粗いと表面積が小さくなって溶解性マンガンを酸化させる能力が低下するためである。
【0013】急速攪拌槽11は高速攪拌翼16を備えており、原水と酸化剤とマンガン触媒15とを激しく攪拌混合する。この結果、マンガン触媒15を酸化触媒として原水中に含まれる溶解性マンガンは酸化剤により酸化され、酸化不溶化マンガンとなる。この酸化不溶化マンガンはマンガン触媒15の表面に膜状に形成されるが、マンガン触媒15は激しく攪拌されているためにマンガン触媒15の表面に形成された酸化不溶化マンガンは剥離される。このためマンガン触媒15の表面は常に活性の高い状態に維持される。
【0014】このようにして急速攪拌槽11で溶解性マンガンを酸化不溶化マンガンとした原水は、マンガン触媒15とともに緩速混和槽12に送られ、緩速混和される。図2、図3、図4に、濁質、不溶化マンガン、マンガン触媒の粒子径による沈降度のグラフを示す。前記したようにマンガン触媒15は比重が大きいため図4に示すように速やかに沈降分離する。これに対して図2のように濁質はほとんど沈降しない。また図3に示すように不溶化マンガンは50μm以上の粒径となるまで酸化析出させる(既存法)と沈降してしまい定期的な抜き取りが必要となるが、本発明では高速接触により微粒子であり、沈降しにくい。このため本発明によれば、流出したマンガン触媒15のみを分離回収するとともに、不溶化マンガンを濁質とともに後段のセラミック膜ろ過装置13に送ることができる。
【0015】分離されたマンガン触媒15は再び急速攪拌槽11に返送する。このようにしてマンガン触媒15は流出することもなく、繰り返し使用することができる。緩速混和槽12でマンガン触媒15を沈降分離させた上澄水は後段のセラミック膜ろ過装置13に送られ、膜ろ過される。このとき濁質のみならず酸化不溶化マンガンの剥離物も分離除去されるので、マンガンが除去された処理水を得ることができる。セラミック膜ろ過装置13の種類や孔径は特に限定されるものではないが、膜孔径が0.1μmのモノリス膜を用いることができる。なお、原水にPACなどの凝集剤を添加してフロックを形成したうえセラミック膜ろ過装置13に送り込むようにすれば、セラミック膜ろ過装置13のろ過性能が高まり、目詰まりを生じにくくなる。
【0016】上記の実施形態では、原水にマンガン触媒と酸化剤とを接触させ、原水中の溶解性マンガンを酸化不溶化させる手段として急速攪拌槽11を用いたが、サイクロンや上向流接触槽を用いることもできる。また上記の実施形態ではマンガン触媒を回収する手段として緩速攪拌槽12を用いたが、重力沈殿槽や遠心分離装置を用いることもできる。不溶化したマンガン及び原水中の濁質を分離除去する手段としてセラミック膜ろ過装置13を用いたが、有機膜ろ過装置や重力沈殿槽や遠心分離装置を用いることもできる。
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例を示す。
この実施例は実験室規模で本発明の効果を確認したもので、0.5m×0.5m×0.5mの急速混和槽と、0.5m×1.0m×0.5mの緩速混和槽とを用いた。急速混和槽には150rpmのプロペラ式攪拌翼を設置し、比重が3.5、中央粒子径が0.6mmのマンガン触媒を、静止状態における高さが0.04mになるように急速混和槽に入れた。
【0018】この急速混和槽に溶解性マンガンを0.05mg/L含有する原水を滞留時間が5分となるように連続的に供給し、プロペラ式攪拌翼で槽内全体を激しく攪拌した。また急速混和槽には酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを0.5mg/L投入した。急速混和槽では溶解性マンガンの酸化とマンガン触媒の表面に形成された酸化不溶化マンガンの剥離とが行われた。
【0019】マンガン触媒を含む急速混和槽からの流出水は、緩速混和槽に導かれた。緩速混和槽の滞留時間は10分である。緩速混和槽の槽底にマンガン触媒が沈降するので、これを急速混和槽へ返送した。緩速混和槽の上澄水は膜孔径が0.1μmのセラミック製モノリス膜でろ過され、酸化不溶化マンガンが除去された。膜ろ過水中のマンガン濃度は0.002mg/Lにまで低下しており、マンガン除去率は96%であった。
【0020】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれば、装置を別途追加することなく、既設の上水場において溶解性マンガンを容易に除去することができる。また本発明によれば、酸化不溶化されたマンガン及び濁質は槽内に堆積することなくセラミック膜ろ過装置に送られるので、槽内堆積物の定期的な抜き取り作業が不溶である。しかも原水のフラックスを高めてもマンガン触媒が流出することがなく、小型の設備で多量の原水の処理が可能となる。さらに本発明によれば、マンガンとともに原水中の濁質も分離除去することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】濁質の沈降性を示すグラフである。
【図3】不溶化マンガンの沈降性を示すグラフである。
【図4】マンガン触媒の沈降性を示すグラフである。
【図5】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 従来技術の反応槽、2 マンガン砂、3 セラミック膜ろ過装置、11 本発明における急速攪拌槽、12 緩速混和槽、13 セラミック膜ろ過装置、14 酸化剤、15 マンガン触媒、16 高速攪拌翼

Claims (7)

  1. 原水にマンガン触媒と酸化剤とを接触させ、原水中の溶解性マンガンを酸化不溶化させる手段と、不溶化したマンガン及び原水中の濁質とマンガン触媒とを分離し、分離したマンガン触媒を回収する手段と、不溶化したマンガン及び原水中の濁質を分離除去する手段とを備えたことを特徴とするマンガン含有水の処理装置。
  2. 原水にマンガン触媒と酸化剤とを接触させて、原水に含まれる溶解性マンガンを酸化不溶化させ、ついで不溶化したマンガン及び原水中の濁質からマンガン触媒を分離して回収したうえ、不溶化マンガン及び原水中の濁質を分離除去して処理水を得ることを特徴とするマンガン含有水の処理方法。
  3. マンガン触媒として、比重が3〜4の粒状体を使用する請求項2記載のマンガン含有水の処理方法。
  4. マンガン触媒として、粒子径が0.3〜2.0mmの粒状体を使用する請求項2または3記載のマンガン含有水の処理方法。
  5. 原水にマンガン触媒と酸化剤とを接触させる工程を、急速攪拌槽により行わせる請求項2記載のマンガン含有水の処理方法。
  6. 不溶化したマンガン及び原水中の濁質からマンガン触媒を分離する工程を、緩速攪拌槽により行わせる請求項2記載のマンガン含有水の処理方法。
  7. 不溶化マンガン及び原水中の濁質を分離除去する工程を、セラミック膜ろ過装置を用いて行う請求項2記載のマンガン含有水の処理方法。
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