JP2006250826A - 計測素子、加工装置および計測方法、屈折率の計測素子 - Google Patents

計測素子、加工装置および計測方法、屈折率の計測素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 精密計測装置に用いることができる計測素子を提供する。
【解決手段】低コヒーレント光を含む光源と、該光源からの光線を2本の光線に分岐する光分岐/合流部と、分岐された光線の一方が照射される対象物が設置されるステージ部と、前記光分岐/合流部と前記ステージ部との光路の間に設けられた光を集光する集光部と、分岐された光線の他の一方が照射されるミラー部とを有し、前記対象物からの反射光(1)と前記ミラーからの反射光(2)を前記光分岐/合流部により再度合流させて干渉させ、前記対象物またはミラーの位置を、移動させることにより、前記対象物からの反射光(2)の光路長が同一となる位置を、光路長が同一の時に振幅が最大になる干渉波形の包絡線にフィッティングした理論曲線のピークの位置から求め、さらに、前記干渉波形の位相差から対象物の位置を特定することを特徴とする、計測素子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、対象物の精密な位置を計測できる計測素子等に関し、特に、該計測素子を、加工機上等で加工工具(刃物、砥石など)と被加工物(対象物)双方の形状(厚さも含む)を非接触で精密に計測できる加工装置に関する。
技術背景
光通信機器、小型カメラなどに搭載される光学部品は、1μm以下の形状精度を求められており、精度と価格を両立させた製造方法が模索されている。ここで、機械加工による超精密加工技術は1μm以下の精度での加工が可能な技術水準に達しており、光学部品など高い形状精度が必要な製品の製造に広く用いられている。しかしながら、加工機上に加工工具を搭載する際、精密に位置決めした固定が困難であるため、10μm〜数十μmの取り付け誤差が生じている。また加工による、刃物の摩耗、温度変化による形状の変化等の問題が生じる。
さらに、被加工物においても、加工工具と同様に加工機への取り付け誤差が生じ、加工機上での初期形状が不正確になる。このため、加工初期の段階では、加工工具と被加工物双方の寸法が数十μmのオーダで不確定になっており、加工効率や精度の向上の大きな妨げになっている。従って、加工機上で加工工具および被加工物の形状(位置)を正確に計測する手法の確立が待ち望まれている。
一方、このような計測技術としては、従来から、光線による三角測量、光波干渉、コンフォーカル(共焦点)法などの光学方式、原子間力およびトンネル電流検出による走査プローブ型顕微鏡方式等が知られており、ナノメートルの分解能での形状計測が可能である。
しかしながら、加工機上での工具や被加工物の形状計測は、計測装置を設置する空間が限られており、切削、研削液または切り子等が飛び散る劣悪な環境下では、これらの手法は利用が困難である。特に、様々な形状を有する被加工物や加工工具の計測のためには、十分なワーキングディスタンスが必要である。また、コンフォーカル系の光学方式、原子間力およびトンネル電流を用いた手法は、焦点距離やセンサの剛性の問題があり、十分なワーキングディスタンスが得られない。
このため、加工機上での工具や被加工物の計測は、現実にはタッチプローブやカメラによる工具の観察などの限られた方法が実用化されているに過ぎない。
しかしながら、タッチプローブ等を用いた接触方式では、ワークに傷が生じ、また加工工具においては刃物や砥石によるプローブ端の損傷の可能性がある。また、カメラによる計測では精度が低い。
ところで、従来の光波干渉計は、非接触計測法で精度的に1μm以下の精度をもち、超精密加工の計測精度要求に応えることが可能である。しかしながら移動量や変位など相対的な距離の計測は可能であるものの、段差の大きい対象物や、一旦対象物を検出領域外に出して再び計測するなどの絶対距離計測が不可能であるため、機上計測のためには制約が多かった。さらに、従来の光波干渉方式で広い範囲の距離を計測するためには、レーザの光波長を要求される精度に応じて、正確に把握・制御する必要があり、装置のコストを引き上げている。
さらに、複数波長のレーザを用いた光波干渉方式により、ある程度段差がある対象物の形状計測が可能ではあるが、使用している複数のレーザの波長をそれぞれ高い精度で計測・管理する必要があり、絶対距離を広い範囲で計測することは実用上困難である。
また、低コヒーレント光源を用いた光波干渉計による計測法については、特許文献1に生体組織の断層情報を得る方法が開示されている。しかしながら、低コヒーレント光源である一般のSLD(Super Luminescent Diode)光源を用いた場合、有限長の干渉波形が観測可能であるため絶対位置計測が可能となるが、包絡線の半値幅は数十μm程度とされており、精密計測には利用困難とされている。
加えて、干渉波形の包絡線半値幅がさらに小さい超短パルスレーザを用いた場合、精度は向上するが、非常に高価な装置となり、白熱電球など点光源以外の光源を用いた場合は、コリメート光を導出する際の効率が非常に低く、十分な光強度を得ることができない。また、キセノンランプやメタルハライドランプ等の放電管では光源のちらつきが大きい。
このように、1μm以下の精度の絶対距離計測を実現するとともに、加工機上の劣悪な環境を克服することができる計測装置が求められている反面、これらの要求を十分に満足できる手法は確立されていなかった。
特開平4−174345号公報
本発明は上記課題を解決することを目的としたものであって、1μm以下の精度の計測を実現するとともに、加工機上の劣悪な環境を克服することが可能な計測装置に用いることができる計測素子等を提供することを目的とする。
上記課題の下、本発明者が鋭意検討を行なった結果、マイケルソン干渉の技術において、光源として低コヒーレント光を含む光源を用い、絶対距離の高精度計測に取り組んだ結果、従来法では着目していなかった干渉波形の包絡線の利用、さらには、位相情報の利用により、上記課題を解決しうることを見出した。
具体的には、以下の手段により達成された。
(1)少なくとも、低コヒーレント光を含む光源と、該光源からの光線を2本の光線に分岐する光分岐/合流部(A)と、前記2本に分岐された光線の一方が照射される対象物が設置されるステージ部と、前記光分岐/合流部(A)と前記ステージ部との光路の間に設けられた光を集光して照射する集光部と、前記2本に分岐された光線の他の一方が照射されるミラーが設置されたミラー部とを有し、前記対象物からの反射光(1)と前記ミラーからの反射光(2)を前記光分岐/合流部(A)により再度合流させて干渉させ、前記対象物またはミラーの位置を、それぞれ、前記対象物からの反射光(1)の光軸方向または前記ミラーからの反射光(2)の光軸方向に移動させることにより、前記対象物からの反射光(1)と前記ミラーからの反射光(2)の干渉波形を計測し、前記ミラーからの反射光(1)の光路長と前記対象物からの反射光(2)の光路長が同一となる位置を、光路長が同一の時に振幅が最大になる干渉波形の包絡線にフィッティングした理論曲線のピークの位置から求め、さらに、前記干渉波形の位相差から対象物の位置を特定することを特徴とする、計測素子。
(2)少なくとも、低コヒーレント光を含む光源と、該光源からの光線を2本の光線に分岐する光分岐/合流部(A)と、前記2本に分岐された光線の一方が照射される対象物が設置されるステージ部と、前記光分岐/合流部(A)と前記ステージ部との光路の間に設けられた光を集光して照射する集光部と、前記2本に分岐された光線の他の一方が照射されるミラーが設置されたミラー部と、前記光分岐/合流部(A)と前記集光部の間に設けられた、前記対象物からの反射光(1)を前記ミラーからの反射光(2)と干渉する対象物からの反射光(3)および前記ミラーからの反射光(2)と干渉しない対象物からの反射光(4)に分岐する光分岐/合流部(B)とを有し、前記干渉する対象物からの反射光(3)と前記ミラーからの反射光(2)を前記光分岐/合流部(A)により再度合流させて干渉させた干渉光(2+3)と、前記干渉しない対象物からの反射光(4)との信号差分から対象物の位置を特定することを特徴とする、計測素子。
(3)さらに、前記対象物は透明であり、前記対象物の上面からの反射光による干渉信号と前記対象物の下面からの反射光による干渉信号のピーク位置を測定し、下記式(1)により対象物の位置を計測する、(1)または(2)に記載の計測素子。
式(1)
d=d’/n
(式(1)中、dは対象物の上面と下面の間の距離を、d’は2つの干渉ピーク位置の距離を、nは対象物の屈折率を表す。)
(4)前記光分岐/合流部(A)と前記ミラー部との光路の間に、光強度および/または波長分散を調節する調節フィルタを有する(1)〜(3)のいずれかに記載の計測素子。
(5)前記光源は、中心波長が異なる2つ以上の低コヒーレント光源または低コヒーレント光源とレーザ光源を合波したものである、(1)〜(4)のいずれかに記載の計測素子。
(6)前記ミラーを高速振動させる、(1)〜(5)のいずれかに記載の計測素子。
(7)計測精度が1μm以下である、(1)〜(6)のいずれかに記載の計測素子。
(8)加工工具を駆動させる加工工具駆動部と、前記加工工具の位置を特定する加工工具計測部と、被加工物を載せるステージ部と、前記被加工物の位置を特定する加工物計測部とを有し、前記加工工具計測部および加工物計測部は、(1)〜(7)のいずれかに記載の計測素子である、加工装置。
(8−2)圧縮気体を噴き付けながら加工を行う機能を有する、(8)に記載の加工装置。
(9)少なくとも、低コヒーレント光を含む光源を2本の光線に分岐し、前記2本に分岐した光線の一方を対象物に照射し、前記2本に分岐された光線の他の一方をミラーに照射し、前記対象物からの反射光(1)と前記ミラーからの反射光(2)とを前記分岐した点において再度合流させて干渉させ、前記対象物またはミラーの位置を、それぞれ、前記対象物からの反射光(1)の光軸方向または前記ミラーからの反射光(2)の光軸方向に移動させることにより、前記対象物からの反射光(1)の光路長と前記ミラーからの反射光(2)の光路長が同一となる位置を、光路長が同一の時に振幅が最大になる干渉波形の包絡線にフィッティングした理論曲線のピークの位置および前記干渉波形の位相差から対象物の位置を特定する、計測方法。
(10)少なくとも、低コヒーレント光を含む光源を2本の光線に分岐し、前記2本に分岐した光線の一方を対象物に照射し、前記2本に分岐された光線の他の一方をミラーに照射し、前記対象物からの反射光であって集光した光(1)を、前記ミラーからの反射光(2)と干渉する対象物からの干渉反射光(3)および前記ミラーからの反射光(2)と干渉しない対象物からの反射光(4)の2本の光線に分岐し、前記干渉する対象物からの反射光(3)と前記ミラーからの反射光(2)を再度合流させて干渉させた干渉光(2+3)と、前記干渉しない対象物からの反射光(4)との信号差分から対象物の位置を特定する、計測方法。
(11)透明対象物の屈折率の測定方法であって、(1)、(2)、(4)〜(7)のいずれかに記載の計測素子を用い、前記透明対象物の上面からの反射光による干渉信号と前記透明対象物の下面からの反射光による干渉信号のピーク位置を測定し、下記式(1)により透明対象物の屈折率を計測する、屈折率の計測素子。
式(1)
d=d’/n
(式(1)中、dは対象物の上面と下面の間の距離を、d’は2つの干渉ピーク位置の距離を、nは対象物の屈折率を表す。)
本発明により、微細な対象物の位置を正確に測定することが可能になった。特に、1μm以下の精度で、対象物の位置を正確に特定することが可能になった。
また、本発明の素子を2以上採用することにより、加工機上で絶対距離を非接触によって高い精度で計測し、かつ、計測ヘッド部を小型化することが可能になった。
さらに、透明な対象物においては対象物の上面と下面からの反射光の光路長差を計測し干渉信号の差からさらに正確な厚さの計測が可能になった。また、対象物が既知の高さのステージ上に設置されている場合、対象物の高さと、対象物の底部からの反射光の光路長を計測することで、対象物の屈折率を求めることが可能となった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本発明では、光分岐/合流部および集光部の屈折率、透過率および反射体の反射強度は、光源の波長帯域内での波長依存性は無視できると仮定して説明している。
図1は、本発明の計測素子の一例を示したものであって、1は光源を、2は光分岐/合流部を、3はミラー部を、4はステージ部を、5は集光部を、6は調整フィルタを、7は検出器を、8は記録装置を、それぞれ示している。
ここで、光源1を出た光は、光分岐/合流部2で2本の光に分けられ、その一方は、ミラー部3へ、他方は、対象物40を設置するステージ部4へ照射される。ここで、ミラー部は、ミラー31と、送り機構32が設けられている。また、ステージ部は、対象物を設けるステージ41と送り機構42が設けられている。そして、光分岐/合流部で分岐された光は、対象物およびミラーで反射し、それぞれの反射光が、光分岐/合流部で、再度合流して干渉される。そして、対象物およびミラーの位置を、それぞれ、対象物からの反射光の光軸方向またはミラーからの反射光の光軸方向(図1中の矢印方向)に移動させることにより、前記対象物からの反射光と前記ミラーからの反射光の干渉波形を計測する。ここで、光軸方向への移動は、例えば、それぞれの送り機構(32、42)によって行うことができる。もちろん、送り機構を設ける以外の手段を採用してもよい。そして、ミラーからの反射光の光路長と対象物からの反射光の光路長が同一となる位置を、光路長が同一の時に振幅が最大になる干渉波形の包絡線にフィッティングした理論曲線のピークの位置および前記干渉波形の位相差から対象物の位置を特定する。フィッティングした理論曲線のピーク位置は雑音により真の光路長が同一となる位置からずれる。しかし、この誤差が光源の中心波長の1/2未満である場合は、理論曲線のピーク位置に近い干渉波形の山の部分を探すことで補正することが可能である。さらに理論曲線のピーク付近の干渉波形はサインカーブに近似できるので、その位相を求めることにより、さらに精度高く測定することができる。光の強度は、例えば、検出器7で検出することができる。
また、光分岐/合流部2とステージ部の光路の間には集光部5が設けられている。対象物は、一般的に、反射光が弱いため、このような集光部により光を集光して焦点を形成し、その焦点位置付近に対象物からの反射が生じるように設定されたものである。このような手段を採用することにより、乱反射面や傾いた面からも十分な反射光が得られる。また干渉最大点で焦点を結ぶように調整することで空間的な分解能を高めることができる。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明でいう対象物とは、精密な位置を計測したい物質(例えば、被加工物)をいい、主として微細な形状を有し、例えば、1μm以下の精度での精密な位置を計測したい物質をいう。具体的には、光学部品(レンズ、ミラー、プリズム、水晶板など)、半導体材料(ウェハ)、精密金型等が挙げられる。
また、本発明でいう位置とは、対象物が、他との関係もしくは全体との関係で占める場所のほか、高さ(厚さ)、形状等も含む趣旨である。
本発明では、光源に低コヒーレント光を含む光源を採用している。このため、従来の単一波長光源を用いたマイケルソン光干渉と異なり、干渉光のピークが複数存在することがないため、計測が容易に行える。すなわち、このような手段を採用することにより、その振幅は光路長が同一になった場合に干渉波形の振幅最大となることから、その位置を求めることで対象物の位置を高精度に知ることができるのである。さらに、干渉波形の位相差より、1μm以下の精度での測定も可能になるのである。
本発明でいう低コヒーレント光源とは、特定の幅の波長帯を含む光源で、空間干渉可能距離が短いものをいい、具体的には、SLD(Super Luminescent Diode)、超短パルスレーザ、LED、白熱電球、キセノンランプ、メタルハライドランプが挙げられる。この中でも、SLDは低価格であり良好な平行光線(コリメート光)に変換することが容易である点から好ましい。
本発明の光源としては、具体的には、中心波長の異なる2以上の低コヒーレント光の合波、低コヒーレント光と単一波長のレーザ光の合波を光源として用いることが好ましい。
中心波長が異なる2つ以上の低コヒーレント光源を用いると、空間干渉可能距離がさらに短くなり、干渉波形のピークの抽出が容易になる効果が期待できる。またレーザ光(空間干渉可能距離が長い)と中心波長が少し異なる低コヒーレント光を合波すると、干渉波形に2つの光源の波長の差に基づく長波長のビートが生じ、干渉波形の中心の検出がより容易になる。
また、中心波長が1100nm以上の低コヒーレント光源はシリコン結晶を透過するため、例えば、半導体ウェハの厚さの計測にも好ましく利用できる。このように、低コヒーレント光源の中心波長は、対象物に応じて適宜選択できる。
本発明でいう光分岐/合流部とは、低コヒーレント光源からの光線を2本の光線に分岐する部分をいい、例えば、光ビームスプリッタ、光ファイバーカプラ等が好ましい例として挙げられる。光ビームスプリッタは、プレート型またはキューブ型のいずれも好ましい。特に、光軸のシフトが無く使用が容易であるという点からはキューブ型が、重量、価格の点からはプレート型が好ましい。光線の分岐する角度は、特に定めるものではないが、好ましくは、90度である。
本発明では、2本の光源に分岐した光線の一方が、対象物に照射される。ここで、対象物は、ステージ部に設けられており、光分岐/合流部とステージ部の間に、光を集光して照射する集光部が設けられている。集光部としては、レンズ、ミラー等が利用可能である。より具体的には、凸レンズ、凹面鏡等が挙げられる。実際には、光学系が簡単になるため、凸レンズを用いた対物レンズが好ましい。対物レンズは収差、色収差が小さいものが好ましく、非球面レンズ、アクロマティックレンズ、HASTINGSトリプレット、STEINHEILトリプレット等がさらに好ましい。収差の小さいレンズは光線を細く絞り込むことが可能となり、空間分解能を向上させることが可能であるが、一般には高価になるため、必要な分解能により適宜選択することも可能である。
対物レンズは、また、無反射コーティングされたものが好ましい。無反射コーティングにより、迷光の影響を低減し、より正確な干渉波形観測が可能となる。
そして、2本の光源に分岐した光線の他の一方は、ミラーに照射される。ここでいうミラーは特に定めるものではないが、層構造を持たず、高い反射率が得られ、かつ平坦で光線を忠実に反射できるもの(例えば、光学用アルミコートミラー、光学用金コートミラー等)が好ましい。またミラー表面の酸化や傷などの問題を低減するため、半波長以下程度の厚みをもつ保護コーティング(酸化シリコン膜等)が施されたものがさらに好ましい。
また、回折格子も光線反射に利用可能であり、音響光学素子を利用することで、光路長の掃引を行うことも可能である。
検出器としては、利用する波長や感度、応答速度などを考慮して適宜選定できる。例えば、通常の受光素子である、フォトダイオードやフォトトランジスタが好ましい。また微弱な反射の場合はフォトマルチプレクサも有効である。特に高速な応答が得られる、PIN型フォトダイオード、高感度特性を併せ持つアバランシェフォトダイオードなどは、本発明での検出器に好適である。
本発明における集光部の焦点距離は、長くすることにより、対象物から離れたところからの計測が可能となり、一方、短くすることにより、ビームウエストが広がり焦点径が大きくなるのを防止できる。従って、焦点距離は対象物と横方向の分解能要求等に基づいて定めることが好ましい。例えば、形状が単純で面荒さが小さい光学部品などは焦点を絞る必要性が低いので操作性を重視して焦点距離の長い対物レンズを使用することが好ましい。一方、加工工具、精密金型等、形状が複雑で指定した場所のピンポイントの情報が重要な場合は焦点距離の短い対物レンズを用いて焦点径を絞るのが好ましい。また、焦点距離の短いレンズは一般にNA(Numerical Aperture)が大きいので対象物の傾きによる影響が低減される点でも好ましい特性をもつ。
さらに、本発明では、必要に応じて、光分岐/合流部とミラー部の光路の間に、光強度および/または波長分散を調節する調節フィルタを設けてもよい。このような手段を採用することにより、例えば、検出器が必要とするダイナミックレンジを小さくし、利得を大きく取って検出部の信号/雑音比を大きくすることができる。
調節フィルタの材質は、集光部の材質と同一であることが好ましく、調節フィルタの光路長と、集光部の光路長が同一になるように設けることがさらに好ましい。このような手段を採用することにより、集光部の分散に起因する波長による光路長の変化も同時に補償することができる。
調節フィルタは、例えば、ミラー光からの反射光強度を対象物からの反射光と同程度のレベルまで減衰させるために用いる。従って、ミラー光の光路中に挿入するのが好ましい。調節フィルタは、平行度が高く光路を曲げないものであり、また波長による吸収率の変化が小さいもの、例えば、吸収型ND(Neutral Density)フィルタ等が好ましい。
さらに、調節フィルタに集光部と同一の分散特性を持たせることが好ましい。このような手段を採用することにより、ミラーからの反射光と対象物からの反射光の波長による光路差に差異が生じることをより効果的に補償できる。
本発明の計測素子では、対象物に光を照射し、ミラー部またはステージ部を掃引動作することで光路長を変化させて干渉位置を探すことができる。この場合、一定の距離を掃引動作することも、干渉位置を基点に掃引動作や掃引する位置を制御することも可能である。
本発明の素子は、検出器によって、出力信号を得て、コンピュータや計測器等の記憶装置に格納し、これを演算することによって干渉信号の中心位置を算出することができる。ここで、コンピュータは波形解析のための数値演算が可能であれば、その種類等、特に定めるものではない。また、DSP、ロジック回路などでも演算は可能である。
コンピュータ等でのデジタル演算を可能とするため、検出器からのアナログ電気信号はA−D変換器によりデジタル信号に変換して用いるとよい。ここで、A−D変換器はビット数が多く量子化誤差が少ないものが好ましい。また計測時間を短縮するために対象物またはミラーの移動速度を速める場合は、A−D変換器のサンプリング速度も呼応して速くする必要がある。理論的には1つの干渉波形を観測するために最低2点のサンプルが必要であるが、実用的には干渉波形1サイクルの観察に10点以上のサンプリングが好ましい。
干渉波形は、例えば、1)ミラーを光軸方向に移動させる、2)対象物を光軸方向に移動させる、の少なくとも1の手法を採用することにより、計測することができる。ここでいう、移動には、計測素子自身を対象物に対して光軸方向に移動させることを含む趣旨である。
後述する加工装置(特に、超精密加工装置)に用いる場合、加工工具またはステージ部(対象物)を精密に移動可能であるので、2)の方法で干渉波形を計測することが好ましい。
本発明では、ミラーからの反射光と対象物からの反射光の光路長が同一の時に最大になる干渉波形の包絡線にフィッティングした理論曲線のピークの位置から特定することにより、対象物の位置を特定することが好ましい。これは、低雑音下で計測された干渉波形においては、干渉信号の振幅が最大となる点から、ミラーと光分岐/合流部、対象物と光分岐/合流部の光路長が同じになる点を求めることができるが、振幅が最大となる点と周囲のピークとの差は小さいため、僅かな雑音によりピーク位置の決定に誤差が生じる傾向にあるためである。
ここで、包絡線g(x)は、低コヒーレント光による干渉波形f(x)を下記式(2)と近似した場合に、下記のように定義される。
式(2)
f(x) = g(x)× sin(2πx/λ+α)
(式(2)中、f(x)は低コヒーレント光による干渉波形を、g(x)は包絡線を、λは波長を、αは位相差を表す。)
尚、近似とは、近似計算により得られる値をいう。
理論曲線は、例えば、関数近似(最小二乗法、直交多項式を利用したルジャンドル近似、チェビシェフ近似、エルミート近似、また、区間多項式を利用したスプライン近似など)を採用できる。また、後述するようなモデル曲線も、本発明の理論曲線として採用できる。特に、モデル曲線の各パラメータを最小二乗法により求める手法が現実的には計算量も少なく、より好ましい。理論曲線は、2以上のものを併用してもよい。
このような手法を採用する場合、例えば、検出器からの出力を増幅回路や同期検波回路を通して、高い信号/雑音比の状態で、コンピュータのA−Dコンバータへ入力し、記憶装置に記録する。そして、記録されたデータから、干渉信号を微分処理し、その内包振幅の個々のピーク位置を求め、それらの点群をモデル曲線としてフィッティングを行い、フィッティングした曲線のピーク位置を演算し干渉信号の中心位置を求めることができる。
また、モデル曲線として、複数のピークの高さの情報を利用することも好ましい。このような手段を採用することにより、1つの干渉ピークでは、雑音により容易に高さが変動してしまう場合においても、雑音に対する誤差を大幅に低減できる。
また、干渉波形は、例えば、後述する図5に示されるようなsin(x)で近似できる山と谷が繰り返す波形が包絡線g(x)の中に内包され、その上に様々な雑音が重畳した場合には、精度をより高くするために、以下のような理論曲線による対応が可能である。
すなわち、包絡線は内部のサイン関数全てに接する曲線であるが、ここでは実用的に、それぞれの山または谷のピークを結んだ曲線群をまず求める。この曲線群は直線を含んでいてもよい。そして、各山のピークを求める際に平滑化および/またはカーブフィッティングにより、g(x)内部の関数を本来のサイン関数に近似することができる。
次に、得られたピークを結んだ曲線群を左右対称で、上または下に凸な関数に近似する。例えば、SLD光源による干渉波形の包絡線は、ガウス関数に極めて近いので、ガウス関数が良好な理論近似曲線となる。
内包するサイン関数の位相はフーリエ変換、最大エントロピー法などにより、位相を求めることができる。
また、2つの光源を用いることで干渉波形に振幅変調を与えることも可能である。
例えば、光源に2以上の低コヒーレント光源(中心波長λ1)と単一波長レーザ(波長λ2)の合成光を光源として利用した場合、強度の同じ2光波による中心周波数のみを想定した簡略化した下記式(3)から、干渉信号はそれぞれの中心周波数λ1とλ2の平均周波数となり、その包絡線にはλ1とλ2の差周波数の1/2の周波数で振動が生じることが分かる。
式(3)
Figure 2006250826
これより、λ1−λ2を適当に調節することで内装される波数が数波程度の干渉波長を得ることができ、干渉の中心位置の特定が非常に容易になる。
また、ミラーを高速振動(高速微小振動)させることも好ましい。高速振動を加えるためにはピエゾ素子が大きさ、周波数帯域などの点で好適であるが、ボイスコイル、磁歪素子などその他のアクチュエータを用いてもよい。またミラーからの光路長を変えるためにはミラーと分岐/合流部間に光路長変えられる光学素子、例えばポッケルス素子、ファラデー素子、伸縮可能な光ファイバー等を挿入しても良い。このような手段を採用すると、検出信号にその振動周波数で変調を加えることができる。例えば、変調周波数を1kHz以上の高い周波数にし、変調周波数でロックイン検出する方式にすると、低周波で起こる種々のドリフトや1/fノイズの影響を低減できるため、より良好な干渉波形を再現できる。変調波形をロックイン検出した場合、干渉波形の微分波形が得られる。
本発明ではさらに、対象物が透明である場合、対象物の上面からの反射光による干渉信号と前記対象物の下面からの反射光による干渉信号のピーク位置の差から下記式(1)により対象物の位置(例えば、板状試料の厚さ)を測定する手法を併せて採用することがより好ましい。
式(1)
d=d’/n
(式(1)中、dは対象物の上面と下面の間の距離を、d’は2つの干渉ピーク位置の距離を、nは対象物の屈折率を表す。)
ここで、nは、既知の屈折率の値を用いる。また、対象物の上面とは、例えば、光源が最初に照射される位置をいい、下面とは、例えば、光源が最初に照射された位置から、さらに光が進行しステージ部に到達する位置をいう。例えば、試料が板状の場合、上面とは試料の上表面をいい、下面とは試料の下表面をいう。
また、透明とは、光源が下面まで照射され、該光が反射される状態のものをいう。
さらにステージ部の高さ(位置)を予め計測しておき、対象物をステージ上に置いて対象物の上面からの反射による干渉波形から対象物の高さを計測し、さらに試料の下面からの反射による干渉波形から、下面までの光路長を求めると、式(1)においてdとd‘が既知となるので屈折率nを求めることもできる。
図2は、本発明の計測素子の第二の実施形態であって、21は光源を、22は光分岐/合流部を、23はミラー部を、24は対象物を、25は集光部を、26は調整フィルタを、27は検出器を、28はミラーからの反射光と非干渉の光分岐/合流部を、29は差動増幅器を含む出力部を、図中の矢印は、対象物の移動方向をそれぞれ示している。本実施形態の特徴は、非干渉の光分岐/合流部28を有していることであって、この光分岐/合流部28は、対象物からの反射光のうち、干渉していない反射光のみが信号が検出器27によって測定される。そのため、反射光とミラーからの反射光の両方が入射されている信号と、非干渉光の信号の差分を計算できる構成となっている。このような手段を採用することにより、対象物として、例えば、微細凹凸のある物体(例えば、面荒さが1〜9μmの物体、例えば、砥石等)が高速移動する場合に好ましく対応できる。すなわち、対象物からの反射光の光路長とミラーからの光路長が近い場合(光源の空間干渉可能距離以下)は干渉による差分信号が生じ、光路長が光源の可干渉距離以上になると差分信号が発生しなくなることから、微細凹凸を有して高速移動する対象物の絶対距離を計測することができるのである。
図3は、本発明の計測素子を利用した加工装置の一例を示したものであって、ここで、一方の計測素子301が、被加工物の位置を測定し、他方の計測素子302が、加工工具の位置を測定し、加工工具駆動部33により調整を行なうものである。より具体的には、ステージ部34の基準面からの高さが既知(d1)の基準ミラー35の反射光と計測素子301内部のミラーからの反射光との干渉波形を、基準ミラー35からの反射光またはミラーからの反射光の光路長を変化させることで計測、記録し、ステージ部を水平移動して、同様の手順で高さが未知の被加工物36からの反射光と計測素子301内部のミラーからの反射光との干渉波形を計測、記録し、被加工物の高さ(d2)を計測し、次に、同様の手順で計測素子302により加工工具基準面からの高さが既知(d3)の基準ミラー37と加工工具38の高さの差から加工工具基準面からの高さ(d4)を求めることで、加工工具、被加工物両方の形状変化を加工機上で正確に計測できる。
さらに、本発明の加工装置には、送り機構を設けてもよい。送り機構を設けることにより、加工物計測部に精密な送り機構を装着する必要がなくなり、小型化および低価格化に大いに寄与することができる。
また、本発明の加工工具としては、ドリル、バイト、砥石等が挙げられる。
本発明の加工装置は、非破壊、非接触で対象物(加工工具、被加工物)までの距離計測が可能で、且つ安価な部品での構成が可能であり、精度と実用性を兼ね備えた計測装置となる。
本発明の計測素子を加工装置に用いる場合、光分岐/合流部、ミラー部、調整フィルタ、および検出器は金属ケース内に装填して密閉し、外部に露出する必要がある部位(集光部)はカバーの脱着等を行い保護することが好ましい。また、光源からの光を導入する光ファイバー、検出部の電源、信号伝達用の電線などは防水コネクタ、防水ケーブルを介して加工装置外に導出する。このような構成とすることにより、加工中の飛散物の影響を受けにくくなり、例えば、本発明の計測素子を、加工装置上に搭載しても、加工で必要な研削・切削液、潤滑などで用いられる油脂から生じる油煙、加工で生じる切り子などが干渉操作部を汚染し距離計測の誤差要因や、装置そのものを破損してしまうのをより効果的に抑止できる。
さらに、油煙や切削液のミストの影響を受けないようにするため、外部に露出する必要がある部位(集光部)にフィルタを通した圧縮気体(好ましくは、圧縮空気)を吹き付けることも好ましい。また計測の際は、加工工具、被加工物上の切削・研削液、切り子を飛散させて除去する目的でも圧縮気体の吹き付けが有効である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
(実施例1)
光源として、Inject社製の光ファイバー出力SLDを用い、マイケルソン干渉計を構成して、0.15mm厚のガラス板の表面から得られた干渉波形を図4に示した。用いた光源のパワースペクトルは中心波長825nmを中心にほぼガウス分布しているため、干渉波形の包絡線も理論上ガウシアンになる。本手法では雑音や誤差要因により複雑な形状となる包絡線を理論曲線(ガウシアン)でフィッティング(図4中点線で示す)してその曲線のピークで位置を求めた。従来は干渉波形の波高値が最大となる点を検索してピーク位置を決定していたため、包絡線の微分値が0に近い(従って殆ど位置情報が含まれていない)干渉波形の中心付近の情報のみを用いて干渉波形の中心位置を決定することになり、大きな誤差が生じていたが、干渉波形全体の情報(特に大きな微分値をもつ中心から少し離れた部分の情報)を利用することにより、雑音による擾乱を著しく低減して正確な干渉波形中心位置を得られることが確認された。
(実施例2)
2つの光源ピグテイルレーザーダイオード(波長635nm)とSLD(中心波長825nm)の光をFiber Optic Network Technology社のWDMカプラで合成し、光ファイバーを介して干渉計へ導入し、光ファイバー端から放射される光をコリメートレンズで平行光に変換して図1の計測素子の光源とした。その結果得られた干渉波形を図5に示した。波長635nmの光と825nmの光により波長約2752nmのビートが生じた。このことは、例え包絡線によるピーク位置決定が雑音により±2752/2nm以下の誤差が生じたとしても、近傍のビート波形のピーク位置を新のピーク位置として補正することにより、この誤差が補正可能であることを意味する。すなわち、2つの波長の差を適切に選択することにより、雑音に強く、結果的に精度の高い計測が可能となることが確認された。
(実施例3)
図1に示した計測素子を構築した。光源1は、Inject社製の光ファイバー出力SLD:LM2−850を用いた。中心波長は825nm、出力2mWmaxとした。これを、コリメートレンズ(エドモンドオプティクスEFL15.29mm)でコリメート光にして導出し、光分岐/合流部2でミラー部3側とステージ部4側に分けた。ミラー部側3は、鏡による正反射なので比較的強い反射光が返された。ミラーからの反射光のレベルを対象物の反射光に近づけるためNDフィルタ(駿河精機製、S73、吸収型、透過率50%、板厚2.5mm)(調整フィルタ6)をミラーからの反射光の光路中に設置した。一方、ステージ部4側は散乱対などの低反射体が想定されることや、空間的な分解能を上げる目的で、焦点距離20mmの対物レンズ(平凸、材質BK7、中心厚2.4mm)(集光部5)によって集光し、焦点位置付近で反射するようにアライメントを行った。
ミラー部3側、ステージ部4側のそれぞれの反射光は、光分岐/合流部で再び合波されて、光強度検出器であるPINフォトダイオード(浜松ホトニクス製、S5821−03)へ入力され、光電流に変換され、アンプ(自作)で電圧に変換した。
また、ミラー31は、振動させており、検出信号はこの振動で変調された状態となっていた。これをピエゾ素子の振動周波数で同期検波することで、ノイズ信号成分を分離した高S/Nな干渉信号を得ることができた。
この干渉信号をデータ処理用コンピュータに実装したA−D変換器(検出器)へ入力し、記録装置に記録した。このデータを微分処理し、内包振幅の個々のピーク位置を求め、それらの点群を干渉信号のモデル曲線であるガウス曲線に最小自乗法によるフィッティングを行い、モデル曲線のピーク位置を算出し、対象物の位置を決定した。
本実施例では、(1)ミラー、(2)透明体(顕微鏡用カバーガラス)の厚さおよび(3)粒度1500の砥石についての計測を行った。
この結果、空間干渉距離が数十μmのSLDを光源として用いたにもかかわらず、標準偏差100nmの精度でミラー、透明体(顕微鏡用カバーガラス)の厚さの計測が可能であった。
この結果から、本発明を採用することにより、用いた光源の空間干渉距離、波長以下の分解能で距離計測が可能であることが明らかになった。
特に、拡散反射体で面荒さが大きい砥石では反射光強度は照射強度の数%程度であったが、良好な干渉波形を得ることができた。
(実施例4)
実施例3の(2)透明体(顕微鏡用カバーガラス)について、さらに、図6(a)に示すように、その上面(上表面)からの反射光61による干渉波形と下面(下表面)からの反射光62による干渉波形のピーク位置の差から、カバーガラス63の光路長の差を計測した。ここで、dは、上記式(1)におけるdを示している。この結果、図6(b)に示されるように、上面からの反射光による干渉信号64と、下面からの反射光による干渉信号65の干渉ピーク位置には、距離d’が生じた。ここで、カバーガラス63内を通る光はカバーガラスの屈折率が空気より高いため、光路長を物理長に変換するため屈折率による除算が必要である。干渉計により得られた2つの干渉信号位置の干渉ピークの位置の距離はd‘=231.52μmであった。この値を、およびカバーガラスの屈折率n=1.515(HOYAガラスの公表値)を上記式(1)に当てはめると、d=152.8μmが得られた。これは、カバーガラスの厚さに相当する。この値はマイクロメータを用いた機械的な測定値d=152〜154μm(計測する場所によりバラツキが生じた)と良好な一致が得られた。さらに繰り返し精度を確認するため、同一箇所の500回の繰り返し計測を行ったところ、標準偏差は70nmで十分な繰り返し精度が得られていることが確認できた。
図1は、本発明の計測素子の一例の概略図を表す。 図2は、本発明の計測素子の他の一例の概略図を表す。 図3は、加工装置の一例の概略図を表す。 図4は、実施例1における、低コヒーレント光の干渉波形と包絡線を示す。 図5は、実施例2における、レーザ光(波長632nm)とSLD(中心波長825nm)の2つの光源を用いた干渉波形を示す。 図6は、実施例4における、計測の概略図を示す。
符号の説明
1 光源
2 光分岐/合流部
3 ミラー部
31 ミラー
32 送り機構
4 ステージ部
40 対象物
41 ステージ
42 送り機構
5 集光部
6 調整フィルタ
7 検出器
8 記録装置
21 光源
22 光分岐/合流部
23 ミラー部
24 対象物
25 集光部
26 調整フィルタ
27 検出器
28 光分岐/合流部
29 出力部
301 計測素子
302 計測素子
33 加工工具駆動部
34 ステージ部
35 基準ミラー
36 被加工物
37 基準ミラー
38 加工工具
61 上面からの反射光
62 下面からの反射光
63 カバーガラス
64 上面からの反射光による干渉信号
65 下面からの反射光による干渉信号

Claims (11)

  1. 少なくとも、低コヒーレント光を含む光源と、該光源からの光線を2本の光線に分岐する光分岐/合流部(A)と、前記2本に分岐された光線の一方が照射される対象物が設置されるステージ部と、前記光分岐/合流部(A)と前記ステージ部との光路の間に設けられた光を集光して照射する集光部と、前記2本に分岐された光線の他の一方が照射されるミラーが設置されたミラー部とを有し、前記対象物からの反射光(1)と前記ミラーからの反射光(2)を前記光分岐/合流部(A)により再度合流させて干渉させ、前記対象物またはミラーの位置を、それぞれ、前記対象物からの反射光(1)の光軸方向または前記ミラーからの反射光(2)の光軸方向に移動させることにより、前記対象物からの反射光(1)と前記ミラーからの反射光(2)の干渉波形を計測し、前記ミラーからの反射光(1)の光路長と前記対象物からの反射光(2)の光路長が同一となる位置を、光路長が同一の時に振幅が最大になる干渉波形の包絡線にフィッティングした理論曲線のピークの位置から求め、さらに、前記干渉波形の位相差から対象物の位置を特定することを特徴とする、計測素子。
  2. 少なくとも、低コヒーレント光を含む光源と、該光源からの光線を2本の光線に分岐する光分岐/合流部(A)と、前記2本に分岐された光線の一方が照射される対象物が設置されるステージ部と、前記光分岐/合流部(A)と前記ステージ部との光路の間に設けられた光を集光して照射する集光部と、前記2本に分岐された光線の他の一方が照射されるミラーが設置されたミラー部と、前記光分岐/合流部(A)と前記集光部の間に設けられた、前記対象物からの反射光(1)を前記ミラーからの反射光(2)と干渉する対象物からの反射光(3)および前記ミラーからの反射光(2)と干渉しない対象物からの反射光(4)に分岐する光分岐/合流部(B)とを有し、前記干渉する対象物からの反射光(3)と前記ミラーからの反射光(2)を前記光分岐/合流部(A)により再度合流させて干渉させた干渉光(2+3)と、前記干渉しない対象物からの反射光(4)との信号差分から対象物の位置を特定することを特徴とする、計測素子。
  3. さらに、前記対象物は透明であり、前記対象物の上面からの反射光による干渉信号と前記対象物の下面からの反射光による干渉信号のピーク位置を測定し、下記式(1)により対象物の位置を計測する、請求項1または2に記載の計測素子。
    式(1)
    d=d’/n
    (式(1)中、dは対象物の上面と下面の間の距離を、d’は2つの干渉ピーク位置の距離を、nは対象物の屈折率を表す。)
  4. 前記光分岐/合流部(A)と前記ミラー部との光路の間に、光強度および/または波長分散を調節する調節フィルタを有する請求項1〜3のいずれかに記載の計測素子。
  5. 前記光源は、中心波長が異なる2つ以上の低コヒーレント光源または低コヒーレント光源とレーザ光源を合波したものである、請求項1〜4のいずれかに記載の計測素子。
  6. 前記ミラーを高速振動させる、請求項1〜5のいずれかに記載の計測素子。
  7. 計測精度が1μm以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の計測素子。
  8. 加工工具を駆動させる加工工具駆動部と、前記加工工具の位置を特定する加工工具計測部と、被加工物を載せるステージ部と、前記被加工物の位置を特定する加工物計測部とを有し、前記加工工具計測部および加工物計測部は、請求項1〜7のいずれかに記載の計測素子である、加工装置。
  9. 少なくとも、低コヒーレント光を含む光源を2本の光線に分岐し、前記2本に分岐した光線の一方を対象物に照射し、前記2本に分岐された光線の他の一方をミラーに照射し、前記対象物からの反射光(1)と前記ミラーからの反射光(2)とを前記分岐した点において再度合流させて干渉させ、前記対象物またはミラーの位置を、それぞれ、前記対象物からの反射光(1)の光軸方向または前記ミラーからの反射光(2)の光軸方向に移動させることにより、前記対象物からの反射光(1)の光路長と前記ミラーからの反射光(2)の光路長が同一となる位置を、光路長が同一の時に振幅が最大になる干渉波形の包絡線にフィッティングした理論曲線のピークの位置および前記干渉波形の位相差から対象物の位置を特定する、計測方法。
  10. 少なくとも、低コヒーレント光を含む光源を2本の光線に分岐し、前記2本に分岐した光線の一方を対象物に照射し、前記2本に分岐された光線の他の一方をミラーに照射し、前記対象物からの反射光であって集光した光(1)を、前記ミラーからの反射光(2)と干渉する対象物からの干渉反射光(3)および前記ミラーからの反射光(2)と干渉しない対象物からの反射光(4)の2本の光線に分岐し、前記干渉する対象物からの反射光(3)と前記ミラーからの反射光(2)を再度合流させて干渉させた干渉光(2+3)と、前記干渉しない対象物からの反射光(4)との信号差分から対象物の位置を特定する、計測方法。
  11. 透明対象物の屈折率の測定方法であって、請求項1、2、4〜7のいずれかに記載の計測素子を用い、前記透明対象物の上面からの反射光による干渉信号と前記透明対象物の下面からの反射光による干渉信号のピーク位置を測定し、下記式(1)により透明対象物の屈折率を計測する、屈折率の計測素子。
    式(1)
    d=d’/n
    (式(1)中、dは対象物の上面と下面の間の距離を、d’は2つの干渉ピーク位置の距離を、nは対象物の屈折率を表す。)
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