JP2006238852A - ペプチド輸送酵素遺伝子による酵母の形質転換法と当該遺伝子のプロモーター領域を用いたタンパク質の発現法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 Saccharomyces cerevisiaeのペブチド輸送酵素遺伝子(PTR2)を含むベクターを用いて、ペブチド輸送能が喪失した酵母を宿主とする形質転換系が可能となる。Saccharomyces cerevisiaeのペプチド輸送酵素遺伝子のプロモーターを利用した発現ベクターを用いて、YPD培地、清酒もろみ、麦汁、ブドウ果汁などでプロモーター下流の遺伝子を発現させることができる。その結果、酵母への遺伝子導入のためのマーカーが更に一つ加わることで、酵母の遺伝子操作がより容易となった。醸造環境下でも発現可能なプロモーターの入手により、酒類の研究開発がより容易になった。
【選択図】 なし
Description
酵母に遺伝子導入するためのマーカーの付与に、フルオロオロチン酸耐性によるウラシル要求性、α−アミノアジピン酸耐性によるリジン要求性等が利用されている。また、マーカーを有さない醸造用酵母には、薬剤耐性遺伝子を利用した形質転換系が報告されている。
サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)を含むベクター及び/又はPTR2をプラスミドに導入することを特徴とする該ベクターの製造方法。
ペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)が配列番号1の塩基配列で示されるDNAからなるかあるいはそれを含むものであること、を特徴とする態様1に記載のベクター及び/又はその製造方法。
プラスミドpRS316(その塩基配列を配列番号2に示す)にペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)のDNAを導入してなること、を特徴とする態様1又は2に記載のベクター及び/又はその製造方法。
態様1〜3のいずれか1項にしたがってベクターpRS316−Ptr2を製造する方法及び/又は得られた該ベクター。
サッカロマイセス・セレビシエのPTR2遺伝子のプロモーターを導入すること、を特徴とする発現ベクターの製造方法及び/又は得られた発現ベクター。
プロモーターが、配列番号1の塩基配列において、塩基番号51〜1499の領域からなるかあるいはそれを含むもの(例えば、塩基番号1〜1499の領域、また、その上流域及び/又は下流域を含む領域、更にPTR2遺伝子自体も使用可能であり、その場合は該遺伝子が有するプロモーターを利用することとなるし、ペプチド輸送酵素遺伝子としての作用も奏される。)であること、を特徴とする態様5に記載の発現ベクターの製造方法、及び/又は得られた発現ベクター。
プラスミド(例えば、YEpFLAGといったYEp型プラスミド)にPTR2遺伝子のプロモーター領域を導入すること、を特徴とする態様5又は6に記載の発現ベクター及び/又はその製造方法。
更にタンパク質をコードする遺伝子のDNAを導入してなること、を特徴とする態様5又は態様6に記載の発現ベクター及び/又はその製造方法。
タンパク質をコードする遺伝子がキシラナーゼ遺伝子XynF3(その塩基配列を配列番号3に示す)であること、を特徴とする態様8に記載の発現ベクター及び/又はその製造方法。
態様1〜4のいずれか1項に記載のベクターを用いること、を特徴とするペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)による酵母の形質転換方法。
態様5〜9のいずれか1項に記載の発現ベクターを用いること、を特徴とするペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)のプロモーター領域を利用するタンパク質の発現方法。
態様9にしたがって発現ベクター(YEpPtr2Pro−XynF3)を構築し、この発現ベクターを用いて酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)を形質転換し、得られた形質転換体を清酒もろみ、麦汁、ブドウ果汁に添加し、キシラナーゼ遺伝子を発現させて、キシラナーゼを分泌せしめること、を特徴とするキシラナーゼの製造方法。
Saccharomyces cerevisiaeのペプチド輸送酵素遺伝子の上流域約1500bpをプロモーターの利用としては、当該プロモーターの下流にマルチクローニング部位を導入することが一般的であるが、タンパク質分泌のためのシグナルペプチド領域のDNA配列を下流におき、更にその下流に酵母菌体外に分泌させたいタンパク質をコードする遺伝子を挿入するためのマルチクローニング部位を導入してもよい。
(ペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)を含むベクターの作成)
pRS316(A system of shuttle vectors and yeast host strains designed for efficient manipulation of DNA in Saccharomyces cerevisiae,Robert S.Sikorski and Philip Hieter.Genetics.122,19−27,(1989):その塩基配列を配列番号2(図4〜6)に示す)の制限酵素XhoI及びXbal部位に、酵母X2180AのゲノムDNAよりプライマーA(配列番号4(図8):PTR2の上流域1500−1479に相当する配列を含む)とプライマーB(配列番号5(図9):PTR2の下流域377−346に相当する配列を含む)を用いたPCR反応により増幅したPTR2遺伝子を含むDNA断片を挿入し、プラスミドpRS316−Ptr2(図14)を作成した。
(pRS316−Ptr2による酵母の形質転換)
Blasticidin Sに対して耐性となった清酒酵母協会9号に、pRS316−Ptr2による形質転換を行った。形質転換処理した酵母はYNB−peptide plate(0.7% yeast nitrogen base w/o amino acids and ammonium sulfate,2% glucose,0.1% phe−ala peptide,2% agar)に塗布し、30℃でコロニーを生育させた。その結果、pRS316−Ptr2、1マイクログラム当たり20コロニーの形質転換株が得られた。
(ペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)のプロモーターを含むベクターの作成)
酵母S288CのゲノムDNAよりプライマーC(配列番号6(図10):PTR2の上流域1447−1428に相当する配列を含む)とプライマーD(配列番号7(図11):PTR2の上流域32−1に相当する配列を含む)を用いたPCR反応によりPTR2遺伝子のプロモーターDNA(配列番号1において、塩基番号51−1499の領域:図中、下線を付し且つ太字で示した領域)を調製した。
(YEpPtr2Pro−XynF3形質転換酵母による培地中へのキシラナーゼ分泌)
YEpPtr2Pro−XynF3(本ベクター)を酵母BJ3505株に形質転換し、形質転換株をYPD培地(1% yeast extract,2% peptone,2% glucose)に植菌し30℃で培養し、菌体外のキシラナーゼ活性を測定した。なお、対照としてYEpPtr2Pro−XynF3のプロモーター領域をADH1(アルコールデヒドロゲナーゼ1)若しくはADH2(アルコールデヒドロゲナーゼ2)のプロモーターに置き換えたもの(各々YEpAdh1Pro−XynF3(対照1)、YEpAdh2Pro−XynF3(対照2))を作成し、同様の実験を行った。培養液中のキシラナーゼ活性(U)測定結果を表1に示す。
――――――――――――――――――――――――――――――――
培養時間(時間) 本ベクター 対照1 対照2
――――――――――――――――――――――――――――――――
16 8.7 7.6 1.48
24 10.5 9.2 1.48
――――――――――――――――――――――――――――――――
但し、活性の表示は、(U/min/ml)
(YEpPtr2Pro−XynF3形質転換酵母による清酒もろみ中へのキシラナーゼ分泌)
YEpPtr2Pro−XynF1の2μ領域を除いたベクターを清酒酵母協会701号のトリプトファン要求性株T1に形質転換した株(T1−Ptr2Pro−XynF3)を造成した。また、YEpAdh2Pro−XynF3も同様に酵母T1株に形質転換し、株(T1−Adh2Pro−XynF3)を造成した。なお、宿主酵母T1株は、上記K7011号のトリプトファン、ウラシル要求性株UT1株のウラシル要求性を相補した株である。
(YEpPtr2Pro−XynF3形質転換酵母による麦汁中へのキシラナーゼ分泌)
YEpPtr2Pro−XynF1を清酒酵母協会701号のトリプトファン要求性株T1に形質転換した株(T1−YEpPtr2Pro−XynF3)を造成した。また、YEpAdh2Pro−XynF3も同様に酵母T1株に形質転換し、株(T1−YEpAdh2Pro−XynF3)を造成した。
(YEpPtr2Pro−XynF3形質転換酵母によるブドウ果汁中へのキシラナーゼ分泌)
YEpPtr2Pro−XynF1を清酒酵母協会701号のトリプトファン要求性株T1に形質転換した株(T1−YEpPtr2Pro−XynF3)を造成した。また、YEpAdhPro−XynF3も同様に酵母T1株に形質転換し、株(T1−YEpAdh2Pro−XynF3)を造成した。
Claims (10)
- サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)を含むベクター。
- ペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)が配列番号1に示す塩基配列からなるものであること、を特徴とする請求項1に記載のベクター。
- プラスミドpRS316(その塩基配列を配列番号2に示す)にペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)のDNAを導入してなること、を特徴とする請求項1又は2に記載のベクター。
- サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)のプロモーターを含有してなる発現ベクター。
- プロモーターが、配列番号1において、塩基番号51〜1499の領域からなるものであること、を特徴とする請求項4に記載の発現ベクター。
- YEp型プラスミドにペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)のプロモーター領域を導入してなること、を特徴とする請求項4又は5に記載の発現ベクター。
- 更にタンパク質をコードする遺伝子のDNAを導入してなること、を特徴とする請求項6に記載の発現ベクター。
- タンパク質をコードする遺伝子がキシラナーゼ遺伝子XynF3(その塩基配列を配列番号3に示す)であること、を特徴とする請求項7に記載の発現ベクター。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のベクターを用いること、を特徴とするペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)による酵母の形質転換方法。
- 請求項4〜8のいずれか1項に記載の発現ベクターを用いること、を特徴とするペプチド輸送酵素遺伝子(PTR2)のプロモーター領域を利用するタンパク質の発現方法。
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JP2012509082A (ja) * | 2008-11-18 | 2012-04-19 | ダニスコ・ユーエス・インク | 改変されたタンパク質生産のために低活性化されたptrB活性を有する糸状菌 |
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JP3321597B2 (ja) * | 1996-08-09 | 2002-09-03 | 独立行政法人 酒類総合研究所 | 多酸・低アミノ酸酒類製造用酵母の育種 |
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