JP2006238664A - 電力系統の動特性定数推定方法と装置、電力系統解析方法と装置、電力系統安定化方法と装置、およびプログラム - Google Patents

電力系統の動特性定数推定方法と装置、電力系統解析方法と装置、電力系統安定化方法と装置、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 電力系統解析の解析対象モデルが非線形特性を有する場合でも、解析対象モデル中の不確定な複数の動特性定数を同時に高精度で推定可能とする。
【解決手段】 動特性定数推定装置10の非線形最小2乗法計算部12は、不確定な1個以上の動特性定数Xを含む解析データDから電力系統解析装置20で得られたイベント発生時の解析結果データ点列Aと、測定データ保管データベース装置30に保管されている同一イベント発生時の測定データ点列Bの間の偏差を最小にする解析結果データ点列Aが得られるように、非線形最小2乗法計算を行い、解析データDに含まれる不確定な1個以上の動特性定数Xの値を求める。計算結果判定部13は、非線形最小2乗法計算前の動特性定数Xの値と計算後の値の変化分と予め設定された設定変化分とを比較して、今回の変化分が設定変化分より小さくなった場合に、当該計算後の値を動特性定数Xの推定値と決定する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電力系統の状態量変化の解析に使用する不確定な動特性定数を推定する電力系統の動特性定数推定技術に関するものであり、さらに、この技術を利用した電力系統解析技術、電力系統安定化技術に関するものである。
電力系統の計画、運用、制御等の分野においては、電力系統解析プログラムが活用されており、電力系統解析プログラムによる動特性解析結果は、電力系統の安定度判定や安定度を維持向上させるための電力機器の設置点や機器容量の決定、導入効果予測等に利用されている。
このような電力系統解析プログラムには、例えば、発電機や送電線などの電力系統を構成する要素や発電機の励磁制御系やガバナ制御系等の各モデルが組み込まれている。解析者は、このような電力系統解析プログラムを用いて、解析対象とする電力系統の構成に従い各モデルを接続し、例えば、発電機の励磁制御系等の各構成要素モデルに適切な定数を与えることで、系統内での、例えば、系統故障等のイベント発生時の有効電力変動や母線電圧変動などの状態量変化の応答を解析計算し、確認することができる。また、その時間応答が発散するかまたは収束するかにより、系統の安定性を確認することができる。
この電力系統解析において、各構成要素モデルの定数が不確定な場合は、解析結果が解析目的に対して厳しく評価されるような定数を想定して与えたり、系統機器ならば定数が明確となっている機器容量が近い類似系統機器の定数を流用したり、定数の推定処理により実系統から定数を得たりする。
例えば、特許文献1や特許文献2では、電力系統の負荷特性を表す複数のパラメータの推定方法が記載されている。また、特許文献3では、電力系統から収集したデータを用いて、電力系統全体の物理量の状態を決定する計算が記載されている。また、対象要素モデルの入出力間のデータ列が得られる場合には、例えば、非特許文献1に記載されているシステム同定手法により構成要素モデルの数学モデルを決定する方法などがある。
特開2003−274560 特開平10−28327 特開平11−252795 「システム同定」 相良節夫他 社団法人 計測自動制御学会 昭和56年
上記のような従来の電力系統解析技術において、電力系統の計画、運用、制御の信頼性を向上させるためには、電力系統解析プログラムの解析結果の精度が高く維持されることが必要であり、高精度で信頼性の高い解析結果を得るためには、電力系統解析プログラム内の各モデルの動特性定数が、対象とする実電力系統を反映した適切な値である必要がある。
近年、商用系統においては、分散型電源などの商用系統の管理者が直接運用を管理していない電力機器が連系される場合があり、この場合に、分散型電源システムの慣性定数や制御系定数などが不明なことに起因して電力系統解析の解析精度が低下することなどが懸念されている。例えば、前述した従来文献の各手法においては、それぞれ、次のような問題がある。
まず、特許文献1や特許文献2の手法は、負荷モデルの負荷特性定数の推定に限定しているため、電力機器モデルの制御系定数などの、他の動特性定数推定への適用が難しく、また、電力系統の構成要素それぞれの定数推定をそれぞれ個別に実施すると多大な手間を要する問題がある。
また、特許文献3の手法は、電力系統の静的パラメータの推定のみが可能であるため、送電線路を流れる有効電力値や送電線路のインピーダンス値の推定は可能であるが、電力系統解析プログラムで必要となる動特性定数、例えば、発電機の慣性定数や励磁制御系、ガバナ制御系定数等の動特性定数の推定は困難である。
また、非特許文献1のシステム同定手法は、対象モデルの構成自体とその定数を同時に求めることが多く、モデル構成を固定して定数部のみを求めることが難しい。このシステム同定手法はまた、入力信号がインパルス信号やランダム信号などに限定されるため、系統故障時等の系統現象時の応答データや周波数応答試験時等の試験時の応答データを同定データとして活用できない。さらに、このシステム同定手法は、非線形システムへの適用が難しく、非線形特性を有する電力系統の動特性モデルの同定は困難であった。
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、電力系統解析の解析対象モデルが非線形特性を有する場合でも、系統現象時や試験時の応答データ等を用いて、解析対象モデル中の不確定な複数の動特性定数を同時に高精度で推定可能な、電力系統の動特性定数推定方法と装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
また、そのような電力系統の動特性推定方法を用いた、より精度の高い電力系統解析方法と装置、およびプログラムを提供することも本発明の目的の一つである。さらに、そのような電力系統解析技術を用いた、より精度の高い電力系統安定化方法と装置、およびプログラムを提供することも本発明の目的の一つである。
本発明は、上記の目的を達成するために、不確実な動特性定数を含む解析データから得られる解析結果データ出力と、予め保存されたデータ点列とを用いて、動特性定数の値を非線形最小2乗法で計算することにより、電力系統解析の解析対象モデルが非線形特性を有する場合でも、系統現象時や試験時の応答データ等の測定データ点列を用いて、解析対象モデル中の不確定な複数の動特性定数を同時に高精度で推定可能としたものである。
本発明における電力系統の動特性定数推定方法は、電力系統の状態量変化の解析に使用する不確定な動特性定数を推定する電力系統の動特性定数推定方法において、非線形最小2乗法計算ステップと計算結果判定ステップを含むことを特徴としている。ここで、非線形最小2乗法計算ステップは、非線形最小2乗法計算手段により、不確定な1個以上の動特性定数を含む解析データから得られるイベント発生時の解析結果データ出力と、実電力系統でのイベント発生時の予め保存されたデータ点列とを用いて、この2種類のデータ間の偏差を最小にする前記解析結果データ出力が得られるように、非線形最小2乗法計算で前記動特性定数の値を求めるステップである。また、計算結果判定ステップは、計算結果判定手段により、前記非線形最小2乗法計算前の前記動特性定数の値に対する計算後の値の変化分と予め設定された設定変化分とを比較して、当該変化分が当該設定変化分より小さくなった場合に、当該計算後の値を動特性定数の推定値と決定するステップである。
また、本発明における電力系統の動特性定数推定方法とプログラムは、上記電力系統の動特性定数推定方法の特徴を、装置およびコンピュータプログラムの観点からそれぞれ把握したものである。
なお、本発明において、「イベント」とは、電力系統の状態量変化の原因となる系統現象を示しており、具体的には、「送電線路開放」、「電源脱落」、「系統故障」等の現象を含むが、さらに、「周波数応答試験」等の各種の試験を含む広い概念である。
以上のような特徴を有する本発明の電力系統の動特性定数推定技術によれば、電力系統解析の解析対象モデルが非線形特性を有する場合でも、系統現象時や試験時の応答データ等の測定データ点列を用いて、解析対象モデル中の不確定な複数の動特性定数を同時に高精度で推定可能である。また、本発明によれば、電力系統モデルに属する複数の解析対象モデル中の不確定な複数の動特性定数を同時に高精度で推定可能である。
この場合、「動特性定数」は、例えば、「発電機の慣性定数」、「励磁制御系定数」、「ガバナ制御系定数」、実電力系統内の電力機器の「制御系定数」、「負荷特性の定数」、等である。また、動特性定数を含む解析データとしては、電力系統解析プログラムに組み込まれているモデルを活用すればよい。
また、応答データは、系統故障時等の系統現象時に計測される応答データであればよく、ランダム信号などの特別な限定はない。また、測定データ点列は、系統中の任意の箇所における任意の状態量を計測したものであればよい。さらに、測定データ点列としては、時系列データと周波数応答データ点列のいずれを利用することも可能であり、いずれのデータを利用した場合でも、同一の推定手法で不確定な動特性定数を推定可能である。
そしてまた、本発明の電力系統解析方法と装置、およびプログラムは、上記の電力系統の動特性定数推定技術を電力系統解析に活用することにより、電力系統解析の解析精度向上を可能にするものである。また、本発明の電力系統安定化方法と装置、およびプログラムは、そのような電力系統解析技術を系統安定化に活用することにより、安定性の判別精度向上を可能にするものである。
本発明によれば、不確実な動特性定数を含む解析データから得られる解析結果データ出力と、予め保存されたデータ点列とを用いて、動特性定数の値を非線形最小2乗法で計算することにより、電力系統解析の解析対象モデルが非線形特性を有する場合でも、系統現象時や試験時の応答データ等を用いて、解析対象モデル中の不確定な複数の動特性定数を同時に高精度で推定可能な、電力系統の動特性定数推定方法と装置、およびプログラムを提供することができる。
以下には、本発明に係る電力系統の動特性定数推定技術、電力系統解析技術、電力系統安定化技術を適用した複数の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
[第1の実施形態]
[構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電力系統の動特性定数推定システムを示す構成図である。この図1に示すように、本実施形態に係る電力系統の動特性定数推定装置(以下には、「動特性定数推定装置」と略称する)10は、電力系統解析装置20および測定データ保管データベース装置30と組み合わされて動特性定数推定システムを構成している。各装置10,20,30の構成は次の通りである。
動特性定数推定装置10は、データ点列比較部11、非線形最小2乗法計算部12、計算結果判定部13、を備えている。ここで、データ点列比較部11は、電力系統解析装置20で得られたイベント発生時の解析結果データ点列Aと、測定データ保管データベース装置30に保管されている同一イベント発生時の測定データ点列Bを比較してこれらのデータ点列A,B間の偏差を得る手段である。
また、非線形最小2乗法計算部12は、データ点列比較部11で得られた2種類のデータ点列A,B間の偏差を最小にする解析結果データ点列Aが得られるように、非線形最小2乗法計算を行い、解析データDに含まれる不確定な1個以上の動特性定数(以下には、「不確定動特性定数」または「動特性定数」と略称する)Xの値を求める手段であり、本発明における非線形最小2乗法計算手段に相当する。
また、計算結果判定部13は、非線形最小2乗法計算前の動特性定数Xの値と計算後の値の変化分と予め設定された設定変化分とを比較して、今回の変化分が設定変化分より小さくなった場合に、当該計算後の値を動特性定数Xの推定値と決定する手段であり、本発明における計算結果判定手段に相当する。
電力系統解析装置20は、電力潮流計算部21と解析部22を備えている。ここで、電力潮流計算部21は、電力系統の電力潮流計算を行い、母線の電圧、送電線路の有効電力等を決定する手段である。また、解析部22は、不確定な1個以上の動特性定数Xを含む解析データDを用いて動特性計算を行い、イベント発生時における電力系統の任意の状態量の時系列データを解析結果データ点列Aとして得る手段であり、本発明における解析手段に相当する。さらに、初期値設定部23は、解析データDに含まれる動特性定数Xの初期値を予め設定する手段である。
測定データ保管データベース装置30は、実電力系統40でイベント発生時に計測された任意の測定点における任意の状態量の時系列データを測定データ点列Bとして保管する手段である。
なお、以上のような本実施形態において、動特性定数推定装置10は、CPUや各種メモリを備えたコンピュータと、動特性定数推定用として特化された動特性定数推定プログラムにより実現される。同様に、電力系統解析装置20は、CPUや各種メモリを備えたコンピュータと、電力系統解析用として特化された電力系統解析プログラムにより実現される。
これらの動特性定数推定装置10と電力系統解析装置20は、個別のコンピュータ上に実現してもよいが、単体のコンピュータ上で、異なるプログラムをそれぞれ動作させることにより、仮想的な2つの装置として実現してもよい。また、測定データ保管データベース装置30は、ハードディスク等の内蔵された記憶装置または外部記憶装置により実現される。
[動作]
以下には、本実施形態に係る電力系統の動特性定数推定システムの動作について、測定データ保管データベース装置30の動作と解析データについて説明した後、動特性定数推定装置10と電力系統解析装置20による動特性定数推定処理について説明する。
[測定データ保管データベース装置の動作]
測定データ保管データベース装置30は、実電力系統40でのイベント発生時に任意の状態量のデータが測定された場合に、その測定されたデータを保存する。すなわち、実電力系統40で、「送電線路開放」、「電源脱落」、「系統故障」などのイベント発生時に、実電力系統40の任意の測定点から任意の状態量の時系列データが測定されると、測定データ保管データベース装置30には、当該イベントの「イベント内容」、「測定点」、測定した「状態量名」、「時系列データ点列」、およびこのデータ点列の「サンプリング時間」が保存される。
[解析データ]
また、電力系統解析装置20により解析される解析データDは、実電力系統40の系統データを設定したものであり、電力系統解析装置20用のデータ入力フォーマットとされている。本発明において、この解析データDに含まれる不確定動特性定数Xは、1個でも複数個でもよい。「動特性定数」は、例えば、「発電機の慣性定数」、「励磁制御系定数」、「ガバナ制御系定数」、実電力系統40内の電力機器の「制御系定数」、「負荷特性の定数」、などであり、静的な電力潮流計算には利用しない定数である。したがって、動特性定数が不明の場合でも電力潮流計算は可能である。
解析データDに含まれる不確定動特性定数Xには、X(1),X(2),X(3),…などの変数が、不確定動特性定数Xの数だけそれぞれ割付けられており、外部から、[X(1),X(2),X(3),X(4)]=[1,3,100,2]などの手続きで、不確定動特性定数Xの各々へ数値を与えることができる。
[動特性定数推定処理の概要]
本実施形態に係る電力系統の動特性定数推定システムにおいては、動特性定数推定処理として、電力系統解析装置20による前準備処理が行われた後、動特性定数推定装置10と電力系統解析装置20による繰り返し計算処理が行われる。以下には、このような前準備処理と繰り返し計算処理について説明する。
[電力系統解析装置による前準備処理]
上記のように、動特性定数が不明の場合でも電力潮流計算は可能であるため、電力系統解析装置20においては、後述する繰り返し計算処理を行うための前準備処理として、電力潮流計算部21により、電力潮流計算が行われ、電力系統の静的な定常状態が求められた後に、初期値設定部23により、不確定動特性定数Xに対し、初期値として任意の数値が設定される。
[動特性定数推定装置と電力系統解析装置による繰り返し計算処理]
上記のような電力系統解析装置20による前準備処理の後、動特性定数推定装置10と電力系統解析装置20により、繰り返し計算処理として、動特性定数推定装置10によるデータ点列比較処理、非線形最小2乗法計算処理、計算結果判定処理、および電力系統解析装置20による動特性計算処理、からなる一連の繰り返し計算処理が行われる。以下には、このような繰り返し計算処理および使用するデータについて順次説明する。
[電力系統解析装置による動特性計算処理]
上記のような前準備処理の後、解析部22により、動特性計算処理として、解析データDの動特性計算が行われ、「送電線路開放」などのイベント発生前後における系統データ内の任意の「測定点」での任意の「状態量」を解析結果とし、予め設定された「サンプリング時間間隔」の時系列データが、解析結果データ点列Aとして出力される。
[イベントと解析結果データ点列]
電力系統解析装置20で解析される「イベント」は、測定データ保管データベース装置30に保存されているイベントの中から選択された1イベントとする。また、解析結果データ点列Aとして出力される「状態量」は、電力系統解析装置20で解析されたイベントに対応し、かつ、測定データ保管データベース装置30に保存されている1以上の任意の測定点での1以上の任意の状態量とする。この解析結果データ点列Aの「サンプリング時間間隔」は、測定データ保管データベース装置30に保存されているサンプリング時間間隔と同一とする。
[解析結果データ点列と測定データ点列の関係]
電力系統解析装置20で選択された1イベント発生時における測定点での状態量名に対応するデータ点列が、解析結果データ点列A(以下には、「データ点列A」と略称する)として出力される。一方で、測定データ保管データベース装置30からは、電力系統解析装置20で選択された「イベント」、「測定点」、および「状態量名」に対応する時系列データが測定データ点列B(以下には、「データ点列B」と略称する)として出力される。すなわち、データ点列Aとデータ点列Bは、同一の「イベント」時における、同一の「測定点」、同一の「状態量」、および同一の「サンプリング時間間隔」を持つ時系列データである。
[動特性定数推定装置によるデータ点列比較処理]
動特性定数推定装置10においては、データ点列比較部11により、データ点列比較処理として、図2に示すようにしてデータ点列Aとデータ点列Bの比較が行われ、2つのデータ点列の偏差が求められる。すなわち、図2に示すように、まず、データ点列Aとデータ点列Bの「イベント発生時刻」が一致させられた後、データ点列Aとデータ点列Bのデータが共に存在する時間範囲T1〜T2間でデータ点列Aとデータ点列B間の偏差が算出され、非線形最小2乗法計算部12に送られる。
[動特性定数推定装置による非線形最小2乗法計算処理、計算結果判定処理]
非線形最小2乗法計算部12においては、非線形最小2乗法計算処理として、データ点列Aとデータ点列B間の偏差が最小になるように、不確定動特性定数Xの「変化分」が求められる。計算結果判定部13においては、計算結果判定処理として、不確定動特性定数Xの今回の「変化分」と予め設定された「設定変化分」との比較がなされ、今回の「変化分」が「設定変化分」より大きい場合には、この「変化分」を新たな不確定動特性定数Xの「更新パラメータ」として解析データDの不確定動特性定数Xが更新される。
その後、この更新された不確定動特性定数Xを含む解析データDにより電力系統解析装置20から出力されるデータ点列Aが更新されると、データ点列比較部11のデータ点列比較処理により、この更新後のデータ点列Aとデータ点列Bとの偏差が再び求められ、非線形最小2乗法計算部12に送られる。
[動特性定数推定処理の終了]
このような一連の繰り返し計算処理、すなわち、動特性定数推定装置10によるデータ点列比較処理、非線形最小2乗法計算処理、計算結果判定処理、および電力系統解析装置20による動特性計算処理、からなる一連の繰り返し計算処理は、非線形最小2乗法計算処理により得られた不確定動特性定数Xの「変化分」が「設定変化分」より小さくなるか、あるいは、「繰り返し回数」が予め設定された設定回数を超えるまで、繰り返し行われる。
そして、非線形最小2乗法計算部12の非線形最小2乗法計算処理により得られた不確定動特性定数Xの今回の「変化分」が「設定変化分」より小さくなった場合には、計算結果判定部13の計算結果判定処理により、この「変化分」が新たな不確定動特性定数Xの「推定パラメータ」として決定され、解析データDの不確定動特性定数Xが「推定値」に更新されて、動特性定数推定処理が終了する。
計算結果判定部13はまた、非線形最小2乗法計算処理により得られた不確定動特性定数Xの「変化分」が「設定変化分」より大きい場合であっても、「繰り返し回数」が「設定回数」を超えた場合には、「推定パラメータ」を決定することなく、したがって、解析データDの不確定動特性定数Xを「推定値」に更新することなしに、そのまま動特性定数推定処理を終了する。
[動特性定数推定処理の流れ]
図3は、上述したような動特性定数推定処理(S100)の流れを示すフローチャートである。
この図3に示すように、電力系統解析装置20による前準備処理(S110)においては、まず、電流潮流計算部21による電力潮流計算処理として、解析データDに設定される電力系統の各種の情報、すなわち、「母線と送電線路の結合状態」、「送電線路のインピーダンス」、「母線に接続される負荷」、「発電機の出力」などの情報に基づいて電力潮流計算が実施され、「母線の電圧」、「送電線路の有効電力」などが決定される(S111)。
この電力潮流計算処理は、電力系統の静的な定常状態を求めるものであるため、前述したように、不確定動特性定数Xは設定されていてもいなくても計算可能である。続いて、初期値設定部23による不確定動特性定数初期値設定処理として、解析データDの不確定動特性定数Dに対して初期値が設定される(S112)。この時点で、繰り返し回数kの初期値は「1」となる(S113)。
また、動特性定数推定装置10と電力系統解析装置20による繰り返し計算処理(S120)においては、まず、電力系統解析装置20の解析部22による動特性計算処理として、電力潮流計算処理で求めた「母線の電圧」、「送電線路の有効電力」などの「定常状態」から、イベント発生時の動特性計算が実施され、前述したようなデータ点列Aが、動特性定数推定装置10に向けて出力される(S121)。ここでは、データ点列Aをy(t)と表記する。
また、測定データ保管データベース装置30に保存された測定データの中から、解析部22による動特性計算処理で解析したイベントと同じ過去のイベントの発生時に実電力系統40の測定点で実測され、かつ、データ点列Aと同一の状態量の実測データが抽出され、データ点列Bとして、動特性定数推定装置10に向けて出力される(S122)。ここでは、データ点列Bをym(t)と表記する。
なお、このような測定データ保管データベース装置30からのデータ点列Bの出力は、具体的には、電力系統解析装置20あるいは動特性定数推定装置10からの「イベント」、「測定点」、および「状態量名」を指定する情報を含むデータ要求に応答して行われる。
動特性定数推定装置10にデータ点列Aとデータ点列Bが与えられると、データ点列比較部11により、図2に示すようなデータ点列比較処理が行われる(S123)。この図2においては、一例として、データ点列Aが、[A1,A2,A3,…,AN-1,AN]として与えられ、データ点列Bが、[B1,B2,B3,…,BN-1,BN]として与えられており、データ「A3」とデータ「B2」がイベント発生時刻に対応する場合を示している。
この場合に、データ「A3」とデータ「B2」が対応するようにして、データ点列Aとデータ点列Bのイベント発生時刻を一致させてデータ点数を調整した後、2つのデータ点列A,Bの偏差が求められる。この例においては、図2に示すように、[A2−B1,A3−B2,…,AN−AN-1]という偏差が得られている。
なお、複数の測定点や複数の状態量の時系列データを取り扱う場合にはデータ点列Aとデータ点列Bを示す表記y(t)およびym(t)は、以下に示すように表される。すなわち、y(t)とym(t)のそれぞれについて、測定点と状態量に対応する時系列データを同様にイベント発生時間を一致させてデータ点数を調整した後、それぞれを連結して1つの時系列データとする。
y(t)=
[測定点A状態量B時系列データy(t), …,
測定点B状態量A時系列データy(t), …]
ym(t)=
[測定点A状態量B時系列データym(t), …,
測定点B状態量A時系列データym(t), …]
非線形最小2乗法計算部12による非線形最小2乗法計算処理においては、このようにして得られたデータ点列Aとデータ点列Bの偏差を用いて、この偏差が最小になるように不確定動特性定数Xの「変化分」が求められる(S124)。以下には、この非線形最小2乗法計算処理について説明する。
まず、本実施形態において、非線形最小2乗法処理は、下記の(1)式で表されるような、不確定動特性定数Xに関して目的関数J(X)を最小にする最適化問題である。なお、この(1)式においては、y(t)およびym(t)は、T1時間に対応するデータからT2時間に対応するデータ間の時系列データを利用することを表しており、時系列データのデータ範囲に制約を受けない。また、y(t)やym(t)が急変したり不連続な非線形特性を示す場合でも適用できる。
Figure 2006238664
この(1)式に示すような最適化問題の解法は、ガウスニュートン法などとして公知であり、Xは繰り返し回数kを用いて、下記の(2)式で解くことができる。ここで、(2)式のX(k+1)としては、不確定動特性定数Xの更新値として解析データDが更新され、動特性計算処理が行われることにより、更新したXに対するy(t)が出力される。
Figure 2006238664
次に、計算結果判定部13による計算結果判定処理(S125)においては、この(2)式における変化分ΔX(k+1)の絶対値と、予め設定された設定変化分の値αとを比較する(S1251)。ΔX(k+1)の絶対値がα以上である場合(S1251のNO)には、繰り返し回数kと予め設定された設定回数βとを比較する(S1252)。繰り返し回数kが設定回数βに比べて小さい間(S1252のYES)は、繰り返し回数kの値を「1」増加させて(S126)次回の繰り返し計算処理(S120)を行う。
また、ΔX(k+1)の絶対値がαに比べて小さくなれば(S1251のYES)、Xは解に収束したものとして、この時のXの値を不確定動特性定数Xの推定値として決定し(S127)、繰り返し計算処理(S120)を終了する。また、ΔX(k+1)の絶対値がαに比べて大きい場合でも(S1251のNO)、繰り返し回数kが設定回数β以上の値になった場合(S1252のNO)には、「収束解なし」として(S128)繰り返し計算処理(S120)を終了する。このような場合には、不確定動特性定数Xの初期値を変更して、繰り返し計算処理(S120)を初回から開始する。
このような動特性定数推定処理(S100)により、データ点列Aがデータ点列Bに一致するような不確定動特性定数Xを精度よく推定することができる。
[第1の実施形態の効果]
以上説明したような第1の実施形態によれば、実電力系統でイベント発生時に実測した急変や不連続などの非線形特性を含む1以上の複数の状態量に関する実測時系列データを利用して、電力系統解析による解析結果が実測時系列データに一致するように、電力系統解析に使用する解析データの不確定動特性定数を高精度に推定することができる。
したがって、電力系統解析の解析対象モデルが非線形特性を有する場合でも、系統現象時や試験時の応答データ等の測定データ点列を用いて、解析対象モデル中の不確定な複数の動特性定数を同時に高精度で推定可能である。なお、本実施形態による動特性定数推定技術は、動特性定数推定用として特化されたプログラム単体としても実現可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
また、本実施形態に係る動特性定数推定処理を電力系統解析に活用することにより、電力系統解析の解析精度を向上することができる。さらに、そのような電力系統解析を系統安定化に活用することにより、安定性の判別精度を向上することができる。そのような応用例については、第5、第6の実施形態として後述する。
[時系列データの変形例]
なお、第1の実施形態の動特性定数推定処理(S100)において、測定データ保管データベース装置30に保存される時系列データは、実電力系統40で測定した時系列データとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、測定データ保管データベース装置30に保存されるデータは、イベント発生時の時系列データであればよいので、他の電力系統解析装置で解析して得られた時系列データであってもよいことは容易に類推可能である。
[第2の実施形態]
図4は、本発明の第2の実施形態に係る動特性定数推定処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、本実施形態は、第1の実施形態と同様の構成により、第1の実施形態の動特性定数推定処理(S100)の一部を変更した動特性定数推定処理(S100a)を行うものである。この図4に示す動特性定数推定処理(S100a)において、図3の動特性定数推定処理(S100)と異なる部分は、複数のイベント時における複数の測定点と複数の状態量の時系列データを利用する点である。
すなわち、図4に示すように、図3と同様の前準備処理(S110)が行われて繰り返し回数の初期値が「1」とされた(S113)後に、本実施形態の繰り返し計算処理(S120)においては、電力系統解析装置20の解析部22により、イベント数カウントGが初期値「1」に設定され(S1201)、G=1に対応するイベントが動特性計算用に設定される(S1202)。そして、このように設定されたイベントについて動特性計算が実行され、測定点および各状態量の時系列データが出力される(S121)。
なお、イベント数カウントGに対応するイベントは、イベント設定情報として電力系統解析装置20内に予め保存されているものとし、測定データ保管データベース装置30にも、同一イベント時の状態量時系列データが保存されているものとする。
また、イベントの測定点と各状態量の時系列データは、第2以降のイベントの時系列データ出力時に前回までのイベントの時系列データと結合され、1つの時系列データy(t)となる(S1203)。次に、予め設定されている設定イベント数とイベント数カウントGが比較され、Gが設定イベント数に満たない場合(S1204のNO)には、Gの値が「1」増加されて更新され(S1205)、この更新されたイベント数カウントGに対応するイベントが動特性計算用に設定される(S1202)。以降、イベント数カウントGが設定イベント数に達する(S1204のYES)まで同様の処理を繰り返す。
このようにして算出された測定点と状態量は、時系列データが以下に示すように結合されることにより、第1の実施形態と同様に1つの時系列データy(t)となる。
y(t)=
[イベント1, 測定点A状態量B時系列データy(t), …,
イベント2, 測定点B状態量A時系列データy(t), …]
また、測定データ保管データベース装置30から読み出された各イベント時の対象測定点における状態量の時系列データも、y(t)と同様に結合されてym(t)となる。
なお、y(t)およびym(t)の各データ結合時には、第1の実施形態で説明したように、各時系列データのイベント発生時刻に対応するデータ点が一致するように調整され、データ点列の偏差が計算可能なデータ点列範囲のデータが結合されるものとする。この後の処理の流れは、第1の実施形態と同様である。
以上説明したような第2の実施形態によれば、複数の電力系統のイベントを同時に利用して不確定動特性定数を推定することが可能となり、複数のイベントに対して解析精度を保持した精度の高いロバストな不特定動特性定数が推定できるため、種々の系統故障に対して電力系統解析の解析精度を向上することができる。
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係る周波数データ点列の比較方法を示す図である。すなわち、本実施形態は、第1の実施形態においてイベント発生時における任意状態量の時系列データ点列としていたデータ点列A,Bを、周波数応答データ点列に置き換えたものである。
ここで、「周波数応答データ」とは、任意入力点の任意状態量に「特定周波数の正弦波」を入力した時の、任意出力点の任意状態量の入力周波数における「入力信号振幅に対する定常状態の出力信号振幅の振幅比」と、「入力信号位相に対する定常状態の出力信号位相の位相差」という、「周波数と振幅比と位相差からなるデータ」である。以下には、周波数を離散的に変化させてデータ取得した「周波数と振幅比と位相差からなるデータ点列」を、「周波数応答データ点列」と呼ぶ。
本実施形態では、電力系統解析装置20で不確定動特性定数Xをある値に設定し、かつ、任意入力点の任意状態量に特定周波数の正弦波を入力した場合の、任意出力点の任意状態量の入力周波数における周波数応答データを算出でき、複数の周波数に対する周波数応答データ点列をデータ点列(解析結果データ点列)Aとして出力できるものとする。
また、測定データ保管データベース装置30には、入力点と出力点と各状態量を明記した周波数応答データ点列が保存されており、電力系統解析装置20で算出した周波数応答データの入力点と出力点と入出力の状態量が同一である周波数応答データ点列をデータ点列Bとして出力する。
次に、図5を用いて、データ点列Aとデータ点列Bの比較方法を説明する。図5において、データ点列Aは、周波数がf1からfNまでの振幅比Aと位相差Tからなる。データ点列Bは、周波数がf2からfN-1までの振幅比Bと位相差Uからなる。データ点列Aとデータ点列Bの比較は、周波数を一致させて行う。
図5の例において、データ点列Aとデータ点列Bは、周波数f2からfN-1で一致するため、振幅比と位相差は、周波数f2からfN-1間のデータでそれぞれ比較され、2つのデータ点列の偏差e(k)が、次のように求められる。
e(k)=
[A2−B2, A3−B3, …, (AN-1)−(BN-1), T2−U2, …, (TN-1)−(UN-1)]
なお、kはデータ点列の個数を表し、図5では、X個あるものとする。この後は、第1の実施形態の説明におけるy(t)-ym(t)を、上記偏差e(k)とみなして第1の実施形態と同様に処理すればよい。また、第1の実施形態の(1)式は次の(3)式として取り扱えばよい。
Figure 2006238664
以上説明したような第3の実施形態によれば、時系列データと同一の処理により、周波数応答データ点列から不確定動特性定数を推定することが可能となり、時系列データ利用時と周波数応答データ利用時とで不確定動特性定数を推定するための異なる処理を準備する必要がない。
また、時系列データと周波数応答データ点列のどちらのデータ列も利用できるので、実電力系統でのデータ取得時に、不確定動特性定数の推定を考慮したデータ形式を意識する必要がなくなり、実電力系統で取得した種々のデータ列を利用して不確定動特性定数を推定できるので、不確定動特性定数を高精度に推定することが可能となる。
[第4の実施形態]
図6は、本発明の第4の実施形態に係る動特性定数推定処理の流れを示すフローチャートである。すなわち、本実施形態は、第1の実施形態と同様の構成により、第1の実施形態の動特性定数推定処理(S100)の一部を変更した動特性定数推定処理(S100b)を行うものであり、図3の動特性定数推定処理(S100)と異なる部分は、不確定動特性定数初期値設定と不確定動特性定数推定値の出力である。
この図6に示す動特性定数推定処理(S100b)においては、前準備処理(S110)における不確定動特性定数の初期値の設定(S112)にあたって、不確定動特性定数のそれぞれの上限値と下限値を設定し(S1101)、推定回数をnと設定して(S1102)、不確定動特性定数それぞれの初期値をn個を上限値と下限値の範囲内からランダムに設定する(S1103)ことにより、n個の初期値が設定される。
そして、繰り返し計算処理(S120)においては、第1の実施形態で説明したのと同様の処理(S121〜S126)により、n個の初期値のそれぞれに対してn組の不確定動特性定数Xを推定する。計算結果判定処理(S125)において、n組の不確定動特性定数Xから、(1)式のJが最小値となるものを1組選択し(S1253,S1254)、不確定動特性定数推定値として出力する(S127)。
以上説明したような第4の実施形態によれば、非線形最小2乗法の計算で不確定動特性定数推定値が局所解として得られた場合においても、実測データ列に近い応答を示す不確定動特性定数を不確定動特性定数の上下限値の範囲から求めることが可能となる。そのため、不確定動特性定数推定値の適用時における解析結果応答精度と応答精度を高くすることのできる不確定動特性定数推定値が得られる可能性が高くなる。したがって、より信頼性が高く、かつ、より精度の高い電力系統動特性解析が可能となる。
[第5の実施形態]
図7は、本発明の第5の実施形態に係る電力系統解析装置を示す構成図であり、図3の動特性定数推定処理(S100)を行う動特性定数推定機能付の電力系統解析装置50の一例を示す構成図である。すなわち、本実施形態の電力系統解析装置50は、図1に示す動特性定数推定装置10と電力系統解析装置20にそれぞれ対応する動特性定数推定部51と電力系統解析部52を組み合わせた装置であり、具体的には、CPUや各種メモリを備えたコンピュータと、「動特性定数推定処理を含む電力系統解析用として特化された電力系統解析プログラム」により実現される。
また、図8は、図7の電力系統解析装置50による電力系統解析処理(S200)の流れを示すフローチャートである。この図8に示すように、電力系統解析処理(S200)において、動特性定数推定部51の動特性定数推定処理(S100)により解析データDの解析対象モデルに含まれる不確実動特性定数Xの推定値が得られた場合(S210のYES)に、電力系統解析部52は、この推定値により当該解析対象モデルを完成させる(S220)。そして、完成した解析対象モデルについての動特性計算処理を含む解析処理を行い(S230)、その解析結果データR1を出力する(S240)。
以上説明したような第5の実施形態によれば、電力系統解析処理(S200)自体に動特性推定処理(S100)を組み込むことにより、電力系統解析の解析精度向上と不確定動特性定数の推定が可能となり、より実系統のイベント時に近い応答が得られる系統解析が可能となる。なお、この応用例による電力系統解析技術は、「動特性定数推定処理を含む電力系統解析用として特化された電力系統解析プログラム」単体としても実現可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
[第6の実施形態]
図9は、本発明の第6の実施形態に係る電力系統安定化装置を示す構成図であり、図8の電力系統解析処理(S200)を行う電力系統解析機能付の電力系統安定化装置60の一例を示す構成図である。すなわち、本実施形態の電力系統安定化装置60は、図4に示す電力系統解析装置50に対応する電力系統解析部61と、この電力系統解析部61の電力系統解析処理(S200)により得られた解析結果に基づいて電力系統の安定性を判定する安定性判定部62を組み合わせた装置である。
このような電力系統安定化装置60は、具体的には、CPUや各種メモリを備えたコンピュータと、「電力系統安定化用として特化され、かつ、動特性定数推定処理を含む電力系統解析処理を行う機能を持たせた電力系統安定化プログラム」により実現される。
また、図10は、図9の電力系統安定化装置60による電力系統安定化処理(S300)の流れを示すフローチャートである。この図10に示すように、電力系統安定化処理(S300)において、電力系統解析部61の電力系統解析処理(S200)により解析結果データR1が得られた場合(S310のYES)に、安定性判定部62は、この解析結果データR1に基づいて電力系統の安定性を判定する安定性判定処理を行い(S320)、その判定結果データR2を出力する(S330)。
以上説明したような第6の実施形態によれば、電力系統安定化装置60の電力系統安定化処理(S300)自体に、動特性推定処理(S100)を含む電力系統解析処理(S200)を組み込むことにより、電力系統安定化装置60内で、電力系統解析結果の応答の発散や収束により各種イベント発生時における系統安定性判別を実施している場合の、電力系統解析の解析精度を向上できるため、系統の安定性判別をより高精度に行うことができる。なお、この応用例による電力系統安定化技術は、「電力系統安定化用として特化され、かつ、動特性定数推定処理を含む電力系統解析処理を行う機能を持たせた電力系統安定化プログラム」単体としても実現可能であり、同様に優れた効果が得られるものである。
[他の実施形態]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。例えば、図面に示した装置構成、データ、処理手順は、一例にすぎず、具体的な装置構成、データ、処理手順は適宜選択可能である。
本発明の第1の実施形態に係る電力系統の動特性定数推定システムを示す構成図。 本発明の第1の実施形態におけるデータ点列比較処理を説明する図。 本発明の第1の実施形態における動特性定数推定処理の流れを示すフローチャート。 本発明の第2の実施形態における動特性定数推定処理の流れを示すフローチャート。 本発明の第3の実施形態におけるデータ点列比較処理を説明する図。 本発明の第4の実施形態における動特性定数推定処理の流れを示すフローチャート。 本発明の第5の実施形態に係る電力系統解析装置を示す構成図。 本発明の第5の実施形態における電力系統解析処理の流れを示すフローチャート。 本発明の第6の実施形態に係る電力系統安定化装置を示す構成図。 本発明の第6の実施形態における電力系統安定化処理の流れを示すフローチャート。
符号の説明
A…解析結果データ点列
B…測定データ点列
D…解析データ
R1…解析結果データ
R2…判定結果データ
X…不確定動特性定数
10…動特性定数推定装置
11…データ点列比較部
12…非線形最小2乗法計算部
13…計算結果判定部
20…電力系統解析装置
21…電力潮流計算部
22…解析部
23…初期値設定部
30…測定データ保管データベース装置
40…実電力系統
50…電力系統解析装置(動特性定数推定機能付)
51…動特性定数推定部
52…電力系統解析部
60…電力系統安定化装置(動特性定数推定・電力系統解析機能付)
61…電力系統解析部(動特性定数推定機能付)
62…安定性判定部

Claims (13)

  1. 電力系統の状態量変化の解析に使用する不確定な動特性定数を推定する電力系統の動特性定数推定方法において、
    非線形最小2乗法計算手段により、不確定な1個以上の動特性定数を含む解析データから得られるイベント発生時の解析結果データ出力と、実電力系統でのイベント発生時の予め保存されたデータ点列とを用いて、この2種類のデータ間の偏差を最小にする前記解析結果データ出力が得られるように、非線形最小2乗法計算で前記動特性定数の値を求める非線形最小2乗法計算ステップと、
    計算結果判定手段により、前記非線形最小2乗法計算前の前記動特性定数の値に対する計算後の値の変化分と予め設定された設定変化分とを比較して、当該変化分が当該設定変化分より小さくなった場合に、当該計算後の値を動特性定数の推定値と決定する計算結果判定ステップ
    を含むことを特徴とする電力系統の動特性定数推定方法。
  2. 前記解析結果データ出力と前記測定データ点列は、1箇所以上の測定点で取得した1個以上の状態量に対する時系列データ点列である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力系統の動特性定数推定方法。
  3. 前記解析結果データ出力と前記測定データ点列は、複数のイベント発生時の時系列データを連結したデータ点列である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力系統の動特性定数推定方法。
  4. 前記解析結果データ出力と前記測定データ点列は、周波数応答データ点列であり、前記イベントは正弦波信号注入である
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力系統の動特性定数推定方法。
  5. ランダム設定手段により、前記不確定な1以上の動特性定数の各動特性定数に対応する複数の初期値をランダムに設定するランダム設定ステップを含み、
    前記非線形最小2乗法計算ステップは、前記各動特性定数に対応する前記複数の初期値のそれぞれに対して前記非線形最小2乗法により前記動特性定数の値を計算するステップを含み、
    前記計算結果判定ステップは、前記各動特性定数に対応する前記複数の初期値のそれぞれに対して前記非線形最小2乗法計算により得られた複数の値の中から、前記解析結果データ出力と測定データ点列間の偏差が最小となる値を当該動特性定数の推定値と決定するステップを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の電力系統の動特性定数推定方法。
  6. 電力系統の状態量変化の解析に使用する不確定な動特性定数を推定する電力系統の動特性定数推定装置において、
    不確定な1個以上の動特性定数を含む解析データから得られるイベント発生時の解析結果データ出力と、実電力系統でのイベント発生時の予め保存されたデータ点列とを用いて、この2種類のデータ間の偏差を最小にする前記解析結果データ出力が得られるように、非線形最小2乗法計算で前記動特性定数の値を求める非線形最小2乗法計算手段と、
    前記非線形最小2乗法計算前の前記動特性定数の値に対する計算後の値の変化分と予め設定された設定変化分とを比較して、当該変化分が当該設定変化分より小さくなった場合に、当該計算後の値を動特性定数の推定値と決定する計算結果判定手段
    を備えたことを特徴とする電力系統の動特性定数推定装置。
  7. コンピュータを利用して、電力系統の状態量変化の解析に使用する不確定な動特性定数を推定する電力系統の動特性定数推定プログラムにおいて、
    不確定な1個以上の動特性定数を含む解析データから得られるイベント発生時の解析結果データ出力と、実電力系統でのイベント発生時の予め保存されたデータ点列とを用いて、この2種類のデータ間の偏差を最小にする前記解析結果データ出力が得られるように、非線形最小2乗法計算で前記動特性定数の値を求める非線形最小2乗法計算機能と、
    前記非線形最小2乗法計算前の前記動特性定数の値に対する計算後の値の変化分と予め設定された設定変化分とを比較して、当該変化分が当該設定変化分より小さくなった場合に、当該計算後の値を動特性定数の推定値と決定する計算結果判定機能
    を前記コンピュータに実現させることを特徴とする電力系統の動特性定数推定プログラム。
  8. 電力系統の状態量変化の解析を行う電力系統解析方法において、
    解析手段により、不確定な1個以上の動特性定数を含む解析データを用いて動特性計算を行い、イベント発生時における前記電力系統の任意の状態量を解析結果データ出力として得る解析ステップと、
    動特性定数推定手段により、前記解析結果データ出力と、実電力系統でイベント発生時に計測される測定データ点列とを用いて、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電力系統の動特性定数推定方法に基づく動特性定数推定を行う動特性定数推定ステップ
    を含むことを特徴とする電力系統解析方法。
  9. 電力系統の状態量変化の解析を行う電力系統解析装置において、
    不確定な1個以上の動特性定数を含む解析データを用いて動特性計算を行い、イベント発生時における前記電力系統の任意の状態量を解析結果データ出力として得る解析手段と、
    前記解析結果データ出力と、実電力系統でイベント発生時に計測される測定データ点列とを用いて、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電力系統の動特性定数推定方法に基づく動特性定数推定を行う動特性定数推定手段
    を含むことを特徴とする電力系統解析装置。
  10. コンピュータを利用して、電力系統の状態量変化の解析を行う電力系統解析プログラムにおいて、
    不確定な1個以上の動特性定数を含む解析データを用いて動特性計算を行い、イベント発生時における前記電力系統の任意の状態量を解析結果データ出力として得る解析機能と、
    前記解析結果データ出力と、実電力系統でイベント発生時に計測される測定データ点列とを用いて、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電力系統の動特性定数推定方法に基づく動特性定数推定を行う動特性定数推定手段
    を前記コンピュータに実現させることを特徴とする電力系統解析プログラム。
  11. 電力系統の安定性の判定を行う電力系統安定化方法において、
    電力系統解析手段により、請求項8に記載の電力系統解析方法に基づく電力系統解析を行う電力系統解析ステップと、
    安定性判定手段により、前記電力系統解析で得られた結果に基づいて前記電力系統の安定性を判定する安定性判定ステップ
    を含むことを特徴とする電力系統安定化方法。
  12. 電力系統の安定性の判定を行う電力系統安定化装置において、
    請求項8に記載の電力系統解析方法に基づく電力系統解析を行う電力系統解析手段と、
    前記電力系統解析で得られた結果に基づいて前記電力系統の安定性を判定する安定性判定手段
    を備えたことを特徴とする電力系統安定化装置。
  13. コンピュータを利用して、電力系統の安定性の判定を行う電力系統安定化プログラムにおいて、
    請求項8に記載の電力系統解析方法に基づく電力系統解析を行う電力系統解析機能と、
    前記電力系統解析で得られた結果に基づいて前記電力系統の安定性を判定する安定性判定機能
    を前記コンピュータに実現させることを特徴とする電力系統安定化プログラム。
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