JP2006227160A - ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、前記(A)成分が、一般式(a1−2)または(a1−4)で表される構成単位(a1)と、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)と、前記構成単位(a1)および(a2)以外の構成単位であって、脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基を含み、かつ極性基を含まないアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)とを含み、かつ前記(B)成分が、式R41−SO3 −で表されるアニオン部を有するオニウム塩(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【化1】
【選択図】 なし
Description
このような短波長の光源用のレジストには、微細な寸法のパターンを再現可能な高解像性と、このような短波長の光源に対する感度の高さが求められている。このような条件を満たすレジストの1つとして、ベース樹脂と、露光により酸を発生する酸発生剤(以下、PAGという)とを含有する化学増幅型レジストが知られており、化学増幅型レジストには、露光部のアルカリ可溶性が増大するポジ型と、露光部のアルカリ可溶性が低下するネガ型とがある。
そのため、現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が一般的に用いられている。また、ポジ型の場合、下記特許文献1に示されるように、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位として(メタ)アクリル酸の第3級エステル化合物、例えば2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート等から誘導される構成単位を有する樹脂が主に用いられている。かかる樹脂は酸解離性溶解抑制基の解離エネルギーが高いことで知られており、該樹脂を用いたレジスト組成物においては、使用できる酸発生剤の種類に限りがある。すなわち、発生する酸の強度が強い酸発生剤、例えばフッ素化アルキルスルホン酸イオンをアニオン部に有するオニウム塩等を適用しないと、酸解離性溶解抑制基が充分に解離せず、レジストとして充分に機能しないという問題がある。
近年、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用される酸解離性溶解抑制基を有する樹脂として、(メタ)アクリル酸の水素原子が1−アルコキシアルキル基等のいわゆるアセタール基で置換された構成単位を有する樹脂が注目され始めている(非特許文献1参照)。
しかし、酸解離性溶解抑制基としてアセタール基を有する樹脂を用いたポジ型レジスト組成物によりレジストパターンを形成した場合、レジストパターン側壁表面に荒れ(ラフネス)、すなわちラインエッジラフネス(LER)が生じたり、レジストパターンのトップ形状が丸みをおびるなど形状(矩形性)が不十分である。LERは、ホールパターンにおけるホール周囲の歪みや、ラインアンドスペースパターンにおけるライン幅のばらつき等の原因となるため、微細な半導体素子の形成等に悪影響を与えるおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、LERが低減され、形状に優れたレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、下記一般式(a1−2)または(a1−4)
で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位(a1)と、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)と、前記構成単位(a1)および前記構成単位(a2)以外の構成単位であって、脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基を含み、かつ極性基を含まないアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)とを含み、かつ
前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(B−01)
R41−SO3 − (B−01)
[式中、R41は炭素数4〜12の環式基を有するアルキル基又はフッ素化アルキル基を表す。]
で表されるアニオン部を有するオニウム塩(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に水素原子が結合しているアクリル酸エステルのほか、α位に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合しているものも含む概念とする。置換基としては、フッ素原子等のハロゲン原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
なお、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」において、「α位(α位の炭素原子)」という場合は、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「露光」は放射線の照射全般を含む概念とする。
本発明のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)(以下、(A)成分という)と、放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下、(B)成分という)とを含有するものである。
本発明のポジ型レジスト組成物においては、(A)成分が、いわゆる酸解離性溶解抑制基を有する構成単位である構成単位(a1)を有するため、露光前はアルカリ不溶性であり、露光により前記(B)成分から発生した酸が作用すると、酸解離性溶解抑制基が解離し、これによって(A)成分全体のアルカリ溶解性が増大し、アルカリ不溶性からアルカリ可溶性に変化する。そのため、レジストパターンの形成において、ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、または露光に加えて露光後加熱(PEB)を行うと、露光部はアルカリ可溶性へ転じる一方で、未露光部はアルカリ不溶性のまま変化しないので、アルカリ現像することによりポジ型のレジストパターンが形成できる。
本発明においては、(A)成分が、下記構成単位(a1)と、構成単位(a2)と、構成単位(a3)とを含有することが必要である。
構成単位(a1)は、上記一般式(a1−2)または(a1−4)で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位である。
構成単位(a1)は、カルボキシ基に由来するカルボニルオキシ基(−C(O)−O−)の末端の酸素原子に、アセタール基(アルコキシアルキル基)タイプの酸解離性溶解抑制基である、式−C(R1’)(R2’)−O(CH2)n−Yで表される酸解離性溶解抑制基が結合した構成単位である。かかる酸解離性溶解抑制基は、解離(脱保護)エネルギーが、たとえば従来一般的に用いられている2−アルキル−2−アダマンチル基等の3級アルキル基等に比べて低く、後述するオニウム塩(B1)から発生する酸によっても充分に解離するため、微細パターンを解像することが可能である。
Rの低級アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基であり、直鎖または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。Rとしては、工業的にはメチル基が好ましい。
フッ素化低級アルキル基は、上述した炭素数1〜5の低級アルキル基の一部または全部の水素原子がフッ素原子で置換されたものである。本発明においては水素原子が全部フッ素化されていることが好ましい。フッ素化低級アルキル基としては、直鎖または分岐鎖状のフッ素化低級アルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基等がより好ましく、トリフルオロメチル基(−CF3)が最も好ましい。
Rとしては、水素原子、トリフルオロメチル基、またはメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
nは0または1〜3の整数を表し、好ましくは0又は1〜2の整数であり、さらに好ましくは0又は1であり、最も好ましくは1である。
Yの低級アルキル基としては、上記Rの低級アルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来のArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができる。
ここで、本特許請求の範囲及び明細書における「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。「脂肪族環式基」は、芳香性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
脂肪族環式基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
脂肪族環式基は、置換基を除いた基本の環が炭素および水素のみで構成される炭化水素基(脂環式基)であってもよく、脂環式基の環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子(酸素原子、窒素原子等)で置換された複素環式基であってもよく、好ましくは脂環式基である。
脂肪族環式基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数5〜7の単環式基、炭素数10〜16の多環式基が挙げられる。炭素数5〜7の脂肪族単環式基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が例示でき、具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサンなどから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。炭素数10〜16の脂肪族多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから1個の水素原子を除いた基などを例示でき、具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの中でも、脂肪族多環式基が好ましく、工業上、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が好ましく、特にアダマンチル基が好ましい。
Xの極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基において炭素原子に結合した水素原子の一部がフッ素原子で置換されたフッ素化ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。これらの中でも、水酸基またはカルボキシ基が好ましい。また、Xは1価の基に限定されず、酸素原子(=O;当該酸素原子は、環を構成する炭素原子とともにカルボニル基を構成する)も好ましい。
lは0または1が好ましく、0が最も好ましい。
また、Xが酸素原子であるものも好ましく、このときの酸素原子の好ましい数は1である。
(A)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、20〜60モル%がより好ましく、30〜50モル%が特に好ましく、35〜45モル%が最も好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に微細なパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a2)は、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。構成単位(a2)を有することにより、本発明の効果が得られる。また、レジスト膜と基板との密着性が高められ、微細なレジストパターンにおいてもパターン倒れ、膜剥がれ等が起こりにくくなる。また、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
構成単位(a2)のα位の炭素原子に結合しているのは、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であり、前記構成単位(a1)のRと同様のものが挙げられる。
構成単位(a2)としては、このようなラクトンの構造(−O−C(O)−)と環基とを共に持てば、特に限定されることなく任意のものが使用可能であり、たとえば、アクリル酸エステルのエステル側鎖部にラクトン環からなる単環式基またはラクトン環とこれに結合する脂環式基を有する多環式基が結合した構成単位が挙げられる。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。特に、以下のような構造式を有するラクトン含有トリシクロアルカンから水素原子を1つを除いた基が、工業上入手し易いなどの点で有利である。
R’の低級アルキル基としては、前記構成単位(a1)におけるRの低級アルキル基と同じである。
一般式(a2−1)〜(a2−5)中、R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を示す。
すなわち、一般式(a2−1)で表される、アクリル酸のブチロラクトンエステル、すなわちブチロラクトンのアクリル酸エステルから誘導される構成単位は、本願発明の効果の観点から好ましく、その中でも、R’がすべて水素原子であって、ラクトン骨格上のα炭素にエステル結合を有するアクリル酸のγ−ブチロラクトンエステル、すなわちγ−ブチロラクトンのアクリル酸エステルから誘導される構成単位が最も好ましい。また、γ−ブチロラクトンのアクリル酸エステルから誘導される構成単位は、近接効果の抑制・低減についての効果にも優れる等の点で好ましい。
また、一般式(a2−2)または(a2−3)で表される、アクリル酸のノルボルナンラクトンエステル、すなわちノルボルナンラクトンのアクリル酸エステルから誘導される構成単位は、得られるレジストパターンの形状、特に矩形性が良好であるため好ましい。
具体的には、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−2)、(a2−3−1)、(a2−3−2)、(a2−3−9)及び(a2−3−10)から選択される少なくとも1種以上を用いることが好ましい。
(A)成分中、構成単位(a2)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、10〜80モル%が好ましく、20〜60モル%がより好ましく、25〜50モル%が特に好ましく、35〜50モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより本発明の効果に優れ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
構成単位(a3)は、前記構成単位(a1)および前記構成単位(a2)以外の構成単位であって、脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基を含み、かつ極性基を含まないアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a3)のα位の炭素原子に結合しているのは、水素原子、フッ素原子、低級アルキル基またはフッ素化低級アルキル基であり、前記構成単位(a1)のRと同様のものが挙げられる。
構成単位(a3)において、「脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基」とは、芳香族性を有しない環式基を有する基であって、(B)成分から発生した酸によって解離することがなく、露光前後の(A)成分全体の疎水性を高めてアルカリ溶解性を抑制する機能を有する基である。すなわち、構成単位(a3)は、露光前の(A)成分全体のアルカリ溶解性を低減させるとともに、露光後に、(B)成分から発生する酸の作用により解離することなく、前記構成単位(a1)の酸解離性溶解抑制基の解離により(A)成分全体がアルカリ可溶性へと変化した際の(A)成分全体のアルカリ溶解性を、アルカリ不溶とならない範囲で低減する溶解抑制性を有する基を含む構成単位である。かかる構成単位は、PEB(露光後加熱処理)後の純水リンスに対する接触角を向上(疎水性向上)させることができる。
脂肪族環式基としては、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能であり、たとえば前記構成単位(a1)においてYの脂肪族環式基として例示したものと同様のものを例示することができる。脂肪族環式基としては、特に多環式基が好ましく、特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種以上であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖又は分岐状のアルキル基で置換されていてもよい。
また、構成単位(a3)は、極性基を含まないことが必要である。極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基において炭素原子に結合した水素原子の一部がフッ素原子で置換されたフッ素化ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。
また、構成単位(a3)は、酸解離性溶解抑制基を含まないことが好ましい。
前記構成単位(a3)として、具体的には、下記一般式(a3−1)で表される構成単位が挙げられる。
当該脂肪族環式基は、炭素数1〜10のアルキル基を1〜3個有していてもよい。該アルキル基としては、直鎖又は分岐状の炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。該アルキル基の数は好ましくは0又は1であり、さらに好ましくは0である。
(A)成分中、構成単位(a3)の割合は、(A)成分を構成する全構成単位の合計に対して、3〜50モル%が好ましく、5〜35モル%がより好ましく、15〜30モル%が最も好ましい。下限値以上とすることにより本発明の効果に優れ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
かかる共重合体としては、たとえば、下記一般式で表される、少なくとも3つの構成単位を含む共重合体が例示できる。
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記構成単位(a1)〜(a3)以外の構成単位を有していてもよく、たとえば従来化学増幅型のポジ型レジストのベース樹脂のモノマー成分として公知のアクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのアルカリ可溶性とするためのエチレン性二重結合を有するカルボン酸、その他アクリル樹脂の製造に用いられる公知のモノマーなどを、必要に応じて適宜組み合わせ、共重合させて用いることもできる。
また、(A)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH2−CH2−CH2−C(CF3)2−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF3)2−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLERの低減に有効である。
下限値は、特に限定するものではないが、解像性、有機溶剤への溶解性等を考慮すると、3000以上が好ましく、5000以上がより好ましい。
分散度は3.0以下、好ましくは1.0〜2.5の範囲であると、解像性や耐熱性が向上するため好ましい。
本発明のポジ型レジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚に応じて調整すればよい。
本発明は、(B)成分が、下記一般式(B−01)
R41−SO3 − (B−01)
[式中、R41は炭素数4〜12の環式基を有するアルキル基又はフッ素化アルキル基を表す。]
で表されるアニオン部を有するオニウム塩(B1)を含有することが必要である。
「炭素数4〜12の環状アルキル基」としては、単環式基であっても多環式基であってもよい。単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、たとえばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12が好ましく、具体的には、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。これらの中でも、多環式基が好ましく、工業上、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が好ましく、特にノルボルニル基が好ましい。
これらの環状のアルキル基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
「鎖状アルキル基の水素原子の少なくとも1つが炭素数4〜12の環状アルキル基で置換された基」において、炭素数4〜12の環状アルキル基としては、上記と同様のものが挙げられる。鎖状アルキル基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられる。特に、直鎖状のアルキル基が好ましく、工業的にはメチル基またはエチル基が好ましい。
R1”〜R3”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基であることが最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていても良いハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
R1”〜R3”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中でも、R1”〜R3”は、置換基を有さないか、またはアルキル基、アルコキシ等の置換基を有するフェニル基またはナフチル基が好ましく、特に、これらのうち少なくとも2つが置換基を有さないフェニル基であることが好ましい。
R5”〜R6”のアリール基としては、R1”〜R3”のアリール基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のアルキル基としては、R1”〜R3”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
R5”〜R6”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R5”〜R6”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R5”〜R6”のすべてがアリール基であることがより好ましく、R5”〜R6”がすべてフェニル基であることが最も好ましい。
(B)成分中のオニウム塩(B1)の割合は、本発明の効果のためには、5〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%がさらに好ましく、10〜30質量%が特に好ましく、15〜30質量%が最も好ましい。
本発明においては、(B)成分が、オニウム塩(B2)として、下記オニウム塩(B2−1)および(B2−2)の少なくとも一方を含有することが好ましい。
R4”は、直鎖または分岐状のアルキル基またはフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖または分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
R4”としては、直鎖状のアルキル基またはフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
オニウム塩(B2)を含有する場合、(B)成分中のオニウム塩(B2)の割合は、60〜95質量%であることが好ましく、60〜85質量%がさらに好ましく、65〜85質量%が特に好ましく、70〜85質量%が最も好ましい。
R21の有機基としては、直鎖、分岐または環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していても良い。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖、分岐または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部または全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
R21としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
R22としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
R31としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
R31におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが好ましい。
R32のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していても良い。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
R33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましく、部分的にフッ素化されたアルキル基が最も好ましい。
R33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
R35の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R32のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
pは好ましくは2である。
また、下記化学式で表される化合物が挙げられる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、以下に示す構造をもつ1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(A=3の場合)、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン(A=4の場合)、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(A=6の場合)、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(A=10の場合)、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン(B=2の場合)、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン(B=3の場合)、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン(B=6の場合)、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン(B=10の場合)などを挙げることができる。
本発明のポジ型レジスト組成物には、レジストパターン形状、引き置き経時安定性などを向上させるために、さらに任意の成分として、含窒素有機化合物(D)(以下、(D)成分という)を配合させることができる。
この(D)成分は、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いれば良いが、脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNH3の水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)が挙げられる。その具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン等が挙げられる。これらの中でも、アルキルアルコールアミン及びトリアルキルアミンが好ましく、アルキルアルコールアミンが最も好ましい。アルキルアルコールアミンの中でもトリエタノールアミンやトリイソプロパノールアミンが最も好ましい。
これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。
有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸若しくはその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステルなどのリン酸又はそれらのエステルのような誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステルなどのホスホン酸及びそれらのエステルのような誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸などのホスフィン酸及びそれらのエステルのような誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類や、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、またはジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテルまたはモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類およびその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
また、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)と極性溶剤とを混合した混合溶媒は好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比が好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2であると好ましい。
また、有機溶剤として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
有機溶剤の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度2〜20質量%、好ましくは5〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
本発明のレジストパターン形成方法は例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まずシリコンウェーハのような基板上に、上記ポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベークを40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施してレジスト膜を形成する。
次いで該レジスト膜に対して、例えばArF露光装置などにより、ArFエキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。
次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて現像処理する。必要に応じて現像処理後にポストベークを施してもよい。
このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
なお、基板とレジスト組成物の塗布層との間には、有機系または無機系の反射防止膜を設けることもできる。
その理由は定かではないが、(A)成分における構成単位(a1)が有する酸解離性溶解抑制基(式−C(R1’)(R2’)−O(CH2)n−Yで表される基)の構造と、オニウム塩(B1)のアニオン部の構造とが大きく影響していると推測される。すなわち、オニウム塩(B1)は、環式基を含む特定のアニオン部を有することにより、LERの低減や形状の改善に大きく寄与できるものと考えられるが、従来のレジストに一般的に用いられている第3級エステルタイプの酸解離性溶解抑制基を解離させるには発生する酸の強度が弱く、レジストパターンを形成できない。しかし、上記のような酸解離性溶解抑制基と組み合わせにおいては、レジスト全体のアルカリ可溶性を増大させるのに充分に酸解離性溶解抑制基を脱離させることができ、レジストパターンを形成することができる。また、構成単位(a1)とオニウム塩(B1)との組み合わせによる効果に加えて、これらと構成単位(a2)および(a3)を組み合わせることによる効果も加わって、優れたLER低減効果および形状改善効果が得られると考えられる。
オニウム塩(B1)がLERの低減や形状の改善に寄与する理由としては、定かではないが、アニオン部が特定の構造を有することにより、上記のような(A)成分で構成されるレジスト膜中での酸の拡散挙動(たとえば拡散長)が、たとえばオニウム塩(B2)等の場合と異なった挙動を示すことが考えられる。
[合成例1](2−アダマンチルオキシメチル)メタクリレートの合成
6.9gのメタクリル酸を200mLのテトラヒドロフランに溶解し、トリエチルアミン8.0gを加えた。室温で攪拌した後、15gの2−アダマンチルクロロメチルエーテルを溶解させたテトラヒドロフラン100mLを滴下した。室温で12時間攪拌した後、析出した塩を濾別した。得られた濾液を溶媒留去し、酢酸エチルに200mLに溶解させた後、純水(100mL×3)で洗浄し、溶媒留去した。氷冷下放置後、白色固体を得た。
赤外吸収スペクトル(IR)、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定した結果を示す。
IR(cm−1):2907、2854(C−H伸縮)、1725(C=O伸縮)、1638(C=C伸縮)
1H−NMR(CDCl3、内部標準:テトラメチルシラン)ppm:1.45〜2.1(m、17H)、3.75(s、1H)、5.45(s、2H)、5.6(s、1H)、6.12(s、1H)
得られた化合物((2−アダマンチルオキシメチル)メタクリレート)は、下記化学式で表される。
前記合成例1で得た(2−アダマンチルオキシメチル)メタクリレートの20.0gと、γ−ブチロラクトンメタクリル酸エステルの13.6gと、トリシクロデカニルメタクリレートの8.8gとを、200mlのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル1.64gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂(樹脂1)を得た。
この樹脂1の構造式を下記に示す。
GPC測定の結果、樹脂1の質量平均分子量(Mw)は7000、分散度(Mw/Mn)は2.6であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、下記構造式に示す各構成単位の組成比はp/q/r=40/40/20(モル比)であった。
前記合成例1で得た(2−アダマンチルオキシメチル)メタクリレートの20.0gと、ノルボルナンラクトンメタクリル酸エステルの18.9gと、トリシクロデカニルメタクリレートの8.8gとを、200mlのテトラヒドロフランに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル1.64gを加えた。12時間還流した後、反応溶液を2Lのn−ヘプタンに滴下した。析出した樹脂を濾別、減圧乾燥を行い白色な粉体樹脂(樹脂2)を得た。この樹脂2の構造式を下記に示す。
GPC測定の結果、樹脂2の質量平均分子量(Mw)は7700、分散度(Mw/Mn)は1.8であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定した結果、下記構造式に示す各構成単位の組成比はp/q/r=40/40/20(モル比)であった。
表1に示す各成分を混合、溶解してポジ型レジスト組成物溶液を得た。
PAG1〜3:下記化学式で表される化合物。
Amine1:トリエタノールアミン
溶剤1:PGMEA/EL=8/2(質量比)の混合溶剤
ADD1:γ−ブチロラクトン
有機系反射防止膜組成物「ARC−29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で215℃、90秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚38nmの有機系反射防止膜を形成した。該反射防止膜上に、上記で得られたポジ型レジスト組成物溶液をスピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、表2に示すPAB温度で90秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、表2に示すレジスト膜厚のレジスト膜を形成した。
ついで、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60,2/3輪帯照明)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、マスクパターン(ハーフトーンマスク)を介して選択的に照射した。
そして、表2に示すPEB温度で90秒間のPEB(露光後加熱)を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で60秒間パドル現像し、その後20秒間水洗して乾燥して、ライン幅120nmのラインアンドスペースパターン(以下、L/Sパターンという))を形成した。
120nmのL/Sパターンが、ライン幅:スペース幅=1:1に形成される際の露光量(感度)をEopとし、該Eopにおいて得られた120nmL/Sパターン(1:1)について、LERを示す尺度である3σを求めた。3σは、側長SEM(日立製作所社製,商品名「S−9220」)により、試料のレジストパターンの幅を32箇所測定し、その結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)である。この3σは、その値が小さいほどラフネスが小さく、均一幅のレジストパターンが得られたことを意味する。測定電圧は800Vを用いた。
<形状>
上記Eopにおいて形成した120nmのL/Sパターン(1:1)について、その断面形状を、測長SEMを用いて下記の基準で評価した。
◎:非常に矩形
○:矩形
×:パターンTOPが丸みを帯びている
上記の結果を表3に示す。
一方、比較例1,2は、LERが大きく、形状も悪かった。また、DOFについても、実施例1,2のほうが優れた結果となった。
Claims (7)
- 酸の作用によりアルカリ溶解性が増大する樹脂成分(A)と、放射線の照射により酸を発生する酸発生剤成分(B)とを含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記樹脂成分(A)が、下記一般式(a1−2)または(a1−4)
で表される構成単位からなる群から選ばれる1種以上の構成単位(a1)と、ラクトン含有単環または多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)と、前記構成単位(a1)および前記構成単位(a2)以外の構成単位であって、脂肪族環式基含有非酸解離性溶解抑制基を含み、かつ極性基を含まないアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)とを含み、かつ
前記酸発生剤成分(B)が、下記一般式(B−01)
R41−SO3 − (B−01)
[式中、R41は炭素数4〜12の環式基を有するアルキル基又はフッ素化アルキル基を表す。]
で表されるアニオン部を有するオニウム塩(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。 - 前記一般式(B−01)で表されるアニオン部が、カンファースルホン酸イオンである請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
- 含窒素有機化合物(D)を含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いて基板上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程とを含むレジストパターン形成方法。
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