本発明の一実施形態について説明する。
(画像形成装置100)
図2は、本発明の画像形成装置の一例である画像形成装置100の概略構成を示す断面図である。なお、画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、記録用紙(シート)に対して多色または単色の画像を形成するカラータンデム方式の画像形成装置である。
この図に示すように、画像形成装置100は、露光ユニット1、現像器2a〜2d、感光体ドラム3a〜3d、帯電器5a〜5d、クリーナユニット4a〜4d、中間転写ベルト7、中間転写ベルトユニット8、定着ユニット12、用紙搬送路S、給紙トレイ10、排紙トレイ15などによって構成されている。なお、画像形成装置100に備えられるこれらの各部材の動作は、図示しないCPU(制御部)によって制御されている。
また、画像形成装置100は、前回現像剤を交換したときからの使用枚数(画像形成を行った記録紙の累積枚数)等の使用履歴を記憶する使用履歴記憶部48(後述する図11参照)と、使用履歴等を表示する表示部(図示せず)とを備えている。
また、画像形成装置100は、使用者からの現像剤排出モードの実行指示を受け付け、後述する現像剤排出制御部に備えられる主制御部101に伝達する図示しない操作入力部(排出モード設定手段)を備えている。この操作入力部は、例えば、表示手段に表示した選択項目に使用者が触れることによって指示入力を行う、いわゆるタッチパネル方式の操作入力部であってもよい。あるいは、選択項目に応じたボタンを使用者が押すことによって指示入力を行うキー入力方式の操作入力部であってもよい。
画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。従って、図2に示すように、現像器2a,2b,2c,2d、感光体ドラム3a,3b,3c,3d、帯電器5a,5b,5c,5d、クリーナユニット4a,4b,4c,4dは、各色(K,C,M,Y)に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられている。そして、これらの部材により、各色(K,C,M,Y)に対応する4つの画像ステーションSa,Sb,Sc,Sdが構成される。なお、各符号の「a」がブラック、「b」がシアン、「c」がマゼンタ、「d」がイエローにそれぞれ対応している。また、各画像ステーションSa〜Sdは、実質的に同一の構成を有している。
感光体ドラム3a〜3dは、画像形成装置100の上部に配置されている。そして、感光体ドラム3a〜3dの周囲には、帯電器5a〜5d,現像器2a〜2d,クリーナユニット4a〜4dが、感光体ドラム3a〜3dの回転方向(図中に示した矢印A方向)に沿って配置されている。
帯電器5a〜5dは、感光体ドラム3a〜3dの表面を所定の電位に均一に帯電させるための帯電手段であり、鋸刃形状の放電電極、網状のグリッドおよび放電電極を覆うケースを有するスコロトロン型の帯電器を使用している。そして、この例では、ブラック(K)の画像ステーションSaには帯電器5aが配置されており、その他のシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色の画像ステーションSb,Sc,Sdには帯電器5b,5c,5dがそれぞれ配置されている。
ここで、ブラック(K)の帯電器5a、および、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色の帯電器5b,5c,5dには、ケース幅(感光体ドラム3a〜3dの回転軸方向に略垂直な方向の幅)が14mmで同一形状のものが用いられている。さらに、帯電器5a,5b,5c,5dは、プロセス速度が異なる他の機種の画像形成装置にも使用できるように、形状および仕様の共通化が図られている。
また、各画像ステーションSa,Sb,Sc,Sdに配置された帯電器5a,5b,5c,5dには、それぞれ個別の高圧電源(図示せず)からの高圧電力が供給される。これらの高圧電源から帯電器5a,5b,5c,5dへの高圧出力のON・OFFは、各高圧電源の低圧1次側のスイッチングによって制御される。
なお、帯電器5a,5b,5c,5dとしては、例えば、ローラ帯電またはブラシ帯電などの接触型の帯電器を用いてもよい。
露光ユニット1は、帯電器5a〜5dによって帯電された感光体ドラム3a〜3dを、入力される画像データに応じて露光することにより、各感光体ドラム3a〜3dの表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する機能を有する。露光ユニット1には、レーザ照射部1aおよび反射ミラー1bなどを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)が用いられている。なお、露光ユニット1としては、発光素子をアレイ状に並べた、例えばELやLED書込みヘッドなどを用いてもよい。
現像器2a〜2dは、それぞれの感光体ドラム3a〜3d上に形成された静電潜像を、各色(K,C,M,Y)のトナーにより顕像化するものである。
クリーナユニット4a〜4dは、クリーナーブレード4Ba〜4Bdを備えており、このクリーナーブレード4Ba〜4Bdを感光体ドラム3a〜3dに当接させることで、現像・画像転写後における感光体ドラム3a〜3d上の表面に残留したトナーを除去・回収するものである。
中間転写ベルトユニット8は、感光体ドラム3a〜3dの上方に配置されている。中間転写ベルトユニット8は、中間転写ローラ6a〜6d、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73、および中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。これら中間転写ローラ6a〜6d、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73等は、中間転写ベルト7を張架し、中間転写ベルト7を矢印B方向に回転駆動させるものである。
中間転写ローラ6a〜6dは、中間転写ベルトユニット8の中間転写ベルトテンション機構73の中間転写ローラ取付部(図示せず)に回転可能に支持されており、感光体ドラム3a〜3d上のトナー像を、中間転写ベルト7上に転写するための転写バイアスを与えるものである。
中間転写ベルト7は、それぞれ感光体ドラム3a〜3dに接触するように設けられており、各感光体ドラム3a〜3dに形成された各色のトナー像を中間転写ベルト7に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト7上にカラーのトナー像(多色トナー像)を形成する。中間転写ベルト7は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。なお、モノクロ印刷の際には、ブラック(K)の感光体ドラム3aのみが中間転写ベルト7に接触する。
また、中間転写ベルト7は、感光体ドラム3a〜3dと離接することもできるようになっている。つまり、中間転写ベルトユニット8では、中間転写ローラ6a〜6d、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73等の相対位置を図示しない駆動手段によって移動させることにより、中間転写ベルト7を感光体ドラム3a〜3dから離接させることができるようになっている。
感光体ドラム3a〜3dから中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6a〜6dによって行われる。中間転写ローラ6a〜6dには、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
中間転写ローラ6a〜6dは、直径8mm〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えば、EPDM、発泡ウレタン等)にて覆われている。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。なお、この例では、転写電極として中間転写ローラ6a〜6dを使用しているが、それ以外にブラシなどを用いてもよい。
このように、各感光体ドラム3a〜3d上で各色相に応じた顕像化された静電像(トナー像)は中間転写ベルト7で転写(積層)され、装置に入力された画像情報に応じた画像となる。このようにして転写(積層)された画像は中間転写ベルト7の回転によって、後述の記録用紙と中間転写ベルト7の接触位置に搬送され、この接触位置に配置される転写ローラ11によって記録用紙上に転写される。
この際、中間転写ベルト7と転写ローラ11とは所定ニップ(所定の圧接力および所定のニップ幅)で圧接されるとともに、転写ローラ11にはトナーを記録用紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。なお、転写ローラ11が上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ11もしくは中間転写ベルト駆動ローラ71の何れか一方を硬質材料(金属等)で形成し、他方を弾性ローラ等の軟質材料(例えば弾性ゴムローラまたは発泡性樹脂ローラ等)で形成することが好ましい。
また、上記のように、感光体ドラム3a〜3dとの接触により中間転写ベルト7に付着したトナー、もしくは、転写ローラ11によって記録用紙上に転写が行われず中間転写ベルト7上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるので、中間転写ベルトクリーニングユニット9によって除去・回収されるように構成されている。
中間転写ベルトクリーニングユニット9は、中間転写ベルト7に接触する部材(クリーニング部材)として、例えばクリーニングブレードを備えている。なお、この場合、中間転写ベルト7は、クリーニングブレードと接触する位置において、裏側から中間転写ベルト従動ローラ72によって支持されている。
給紙トレイ10は、画像形成に使用する記録用紙(記録シート)を蓄積しておくためのトレイであり、画像形成装置100の露光ユニット1の下側に設けられている。また、画像形成装置100の上部に設けられている排紙トレイ15は、印刷済みの記録用紙をフェイスダウンで載置するためのトレイである。さらに、画像形成装置100の側壁に折り畳み自在に設けられた手差し給紙トレイ20は、手差しによる記録用紙の給紙を画像形成装置100の側方で行うためのトレイである。
また、画像形成装置100には、給紙トレイ10の記録用紙を転写ローラ(転写部)11や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に送るための、略垂直形状の用紙搬送路Sが設けられている。さらに、給紙トレイ10および手差し給紙トレイ20から排紙トレイ15までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ16,17、レジストローラ14、転写ローラ11、定着ユニット12、記録用紙を搬送する搬送ローラ21〜28等が配置されている。
搬送ローラ21〜26は、記録用紙の搬送を促進および補助するために使用される小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。搬送ローラ27,28は、両面複写を行うときに、片面に画像が転写された記録用紙の記録面を反転させるために、記録用紙を定着ユニット12の側方に設けられた用紙搬送路Sの反転排紙経路からレジストローラ14に搬送するためのローラである。
ピックアップローラ16は給紙トレイ10の用紙取り出し側端部に設けられ、ピックアップローラ17は手差し給紙トレイ20の用紙取り出し側端部に設けられている。ピックアップローラ16は、給紙トレイ10から、記録用紙を1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。アップローラ17は、手差し給紙トレイ20から、記録用紙を1枚毎に用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。
レジストローラ14は、用紙搬送路Sを搬送されている記録用紙を一旦保持するローラである。このレジストローラ14は、中間転写ベルト7上のトナー像の先端と記録用紙の先端とを合わせるタイミングで記録用紙を転写ローラ11に搬送する。
定着ユニット12は、ヒートローラ12a、加圧ローラ12bなどを備えている。それらヒートローラ12a及び加圧ローラ12bは、記録用紙を挟んで回転するようになっている。
また、ヒートローラ12aは、図示しない温度検出器からの信号に基づく制御によって所定の定着温度となるように設定されており、加圧ローラ12bと共に記録用紙を熱圧着することにより、記録用紙に転写されたトナー像(多色トナー像または単色トナー像)を溶融、混合および圧接し、記録用紙に対して熱定着させる。
なお、多色トナー像の定着後の記録用紙は、搬送ローラ22,23によって用紙搬送路Sの反転排紙経路に搬送され、反転された状態で(トナー像を下側に向けて)、排紙トレイ15上に排出されるようになっている。
本実施形態にかかる画像形成装置100では、磁性を有する粉体キャリアと磁性を持たないトナーとを攪拌することによって摩擦帯電させ、互いに静電的に吸着させた現像剤(2成分現像剤)を用いている。
図3は、画像形成装置100における、感光体ドラム3と帯電器5と現像器2との関係を模式的に示した説明図である。なお、上記したように、感光体ドラム3a〜3dはそれぞれ略同様の構成からなる。このため、本明細書では、各感光体ドラム3a〜3dを感光体ドラム3と称する。同様に、各現像器2a〜2dを現像器2と称し、各帯電器5a〜5dを帯電器5と称する。
この図に示すように、現像器2は、現像スリーブ(現像ローラ)31,ドクターブレード32,搬送スクリュー33および34,現像槽(ハウジング)35,トナー補給槽36,トナー補給スクリュー37を備えている。また、現像器2の下部には、現像剤排出口200a,排出口シャッター210,回収容器取付部220,回収容器300からなる廃現像剤回収装置50が設けられている(後述する図4〜図10参照)。また、画像形成装置100には、廃現像剤排出時(現像剤排出モード)における感光体ドラム3,帯電器5,現像器2等の動作を制御する現像剤排出制御部40(後述する図11参照)が備えられている。
現像槽35は、現像剤を収容するための収容槽である。また、現像槽35の側面には、現像剤濃度センサー(トナー濃度センサー)38が備えられている。また、現像槽35には、開口部が設けられており、この開口部を介してトナー補給槽36から現像剤が供給されるようになっている。なお、画像形成装置100では、図示しないCPU等の制御部が、現像剤濃度センサー38の検出結果に基づいて、トナー補給スクリュー37の回転を制御することで、現像槽35に補給するトナーの量が制御される。また、現像槽35には、他の開口部が設けられており、この他の開口部からは現像スリーブ31の一部が露出している。なお、現像剤濃度センサー38は、現像剤濃度の検出結果に基づいて、現像槽35内における現像剤の液面高さを検出する機能も有している。
トナー補給槽36には、トナー補給スクリュー37が備えられており、このトナー補給スクリューが回転することにより、所定量のトナーがトナー補給槽36から現像槽35に補給されるようになっている。
搬送スクリュー(撹拌スクリュー)33,34は、現像槽35内の現像剤を撹拌することで、現像剤を微小に帯電させるとともに、現像剤を現像スリーブ31へ搬送するものである。
ドクターブレード32は、現像スリーブ31とドクターブレード32の先端とのギャップであるドクターギャップを所定値に規定し、現像スリーブ31に付着したトナーの一部を穂切りするものである。このドクターブレード32は、現像槽35における現像スリーブ31と感光体ドラム3とのニップ部よりも上流側(現像スリーブ31の回転方向の上流側)に備えられている。
現像スリーブ31は、現像剤を現像槽35から汲み上げて感光体ドラム3の表面(あるいは感光体ドラム3との対向面)へ搬送するものである。つまり、本実施形態にかかる現像器2は、汲み上げ現像方式の現像器である。
現像スリーブ31は回転可能な円筒形に形成されており、その外周面の一部が感光体ドラム3と対向するように現像槽35の開口部から露出している。また、現像スリーブ31の内部には、磁性の異なる複数の磁石を組み合わせた固定マグネットが配設されている。現像スリーブ31内に配置された固定マグネットは、現像スリーブ31の外周面付近で現像スリーブの回転方向(矢印C方向)に沿って、搬送開始極N2、搬送極S1、現像剤供給極N1、搬送極S2、および剥離極N3を形成している。
なお、搬送開始極N2の少なくとも一部は、感光体ドラム3上の静電潜像を支障なく現像するために必要な量の現像剤を現像槽35に収容したときの当該現像剤の液面(現像剤排出処理を行う前の現像剤の液面)よりも低い位置に配置されている。これにより、現像スリーブ31は、現像剤排出処理を行う前の現像剤の液面よりも低い位置現像剤を汲み上げて搬送するようになっている。
感光体ドラム3は、現像スリーブ31内の現像剤供給極N1に対向して配置され、搬送スクリュー34は現像スリーブ31内の剥離極N3に対向して配置されている。また、ドクターブレード32は搬送開始極N2と搬送極S1との略中間位置に配置されている。
また、感光体ドラム3および現像スリーブ31は、それぞれ、図示しないモーター等の駆動手段によって回転可能に設けられている。また、通画像形成時(感光体ドラム3上の静電潜像を現像するとき)には、現像スリーブ31の周速は感光体ドラム3の周速に対して1.3倍〜2.5倍の範囲に設定されている。
(廃現像剤回収装置50)
次に、本発明に係る画像形成装置100に備えられる廃現像剤回収装置50について詳細に説明する。
はじめに、廃現像剤回収装置50の構造について説明する。なお、廃現像剤回収装置50は、現像器2の一部と図4および図5に示す回収容器300とからなる。
図4は、現像器2の外観を示す正面図である。図4は、現像器2の前面を示しているが、ここでいう「前面」とは、使用者が画像形成装置100に向かう操作側の面である。なお、画像形成装置100の前面には扉が設けられており、メンテナンス等でこの扉を開けることにより現像器2が露出するようになっている。図5は、図4のA−A線矢視断面図である。
図4および図5に示すように、現像器2における現像槽35の下方には、排出口シャッター210および回収容器取付部220が設けられている。
開閉手段としての排出口シャッター210は、水平部210aと、前面部210bとからなる。この排出口シャッター210は、図5に示した矢印方向に引き出しおよび押し込み可能に設けられている。
水平部210aは、水平方向に延びる板状に形成されており、現像器2の通常使用時(画像形成時)には、図5に一点鎖線で示すように、現像槽35の底面に設けられた現像剤排出口200aを現像剤が漏れ出ないように封止する位置に配される。現像剤排出口200aは、現像器2の底面における前面側に形成されている。これにより、現像剤排出口200aが、後述する回収容器300の取付位置に近いので、後述する排出スロープ221の傾斜を大きくすることができ、現像剤の排出を容易にすることができる。
前面部210bは、現像器2の前面側に設けられており、水平部210aに対して垂直かつ下方に延びるように形成されている。前面部210bは、その下端が後述する前面壁部(開口壁部)223における開口部223aのやや上方に位置しており、その開口部223aを覆わないように形成されている。
回収容器固定手段としての回収容器取付部220は、上記の水平部210aを間において現像器2の下側に現像器2の一部として設けられている。この回収容器取付部220は、排出スロープ221、排出口シャッター保持部222、前面壁部223、回収容器保持部224および基体部225を有している。
基体部225は、現像器2の底面と平行に、かつその底面と上記の水平部210aを間において設けられており、図示はしないが、現像器2に固定されている。
排出スロープ221は、基体部225の上側に設けられている。この排出スロープ221は、前記の現像剤排出口200aの最も奥側の端部から回収容器取付部220の前面側まで延びる傾斜面を有しており、現像剤排出口200aから排出される廃現像剤を現像器2の外部に導く通路となっている。この排出スロープ221の開口端部(前面側)は、排出口シャッター210が現像剤排出口200aを閉じている状態(一点鎖線で示す状態)にあるとき、前面部210bによって覆われる。
排出口シャッター保持部222は、基体部225に設けられ、固定手段としての固定用ビス240が螺合する孔(図示せず)を有している。固定用ビス240がその頭部で前面部210bを押さえ込んだ状態で排出口シャッター保持部222に螺合することによって、上記の排出口シャッター210が現像剤排出口200aを閉じている状態で回収容器取付部220に固定保持される。
前面壁部223は、排出スロープ220aの開口端部からやや下方に形成されている。この前面壁部223は、後述する回収容器300における爪部302の先端部302a(図6および図7参照)を挿入するための開口部223aを排出スロープ221の開口端部の横に有している。このように、開口部223aと排出スロープ221の開口端部とを並べて設けることで、回収容器取付部220の下方への大型化を抑えることができる。
回収容器保持部224は、基体部225の下端から下方に設けられ、前面壁部223と所定の間隔(隙間)をおいて形成されている。この回収容器保持部224は、上記の開口部223aの形成位置に開口を有する凹部224aを有している。
前面壁部223と回収容器保持部224との間の隙間には、開口部223aの後背位置にビス遮蔽部材400が挿入されている。固定解除/非解除手段としてのビス遮蔽部材400は、図8に示すように、細長く形成された本体部400aと、本体部400aの下端部から本体部400aの垂直方向に延びる固定部400bとからなっている。本体部400aは、まっすぐ延びた状態で、上端部が固定用ビス240の頭部を覆う位置に配され、かつ前面壁部223から露出している。これにより、ビス遮蔽部材400は、爪部302が開口部233aに結合していない状態で固定用ビス240の頭部を遮蔽する。また、固定部400bは、回収容器保持部224の下端面に固定されている。可撓性部材としてのビス遮蔽部材400は、外力によって容易に変形するように、ポリエチレンテレフタレートフィルム(例えば、デュポン社のマイラーフィルム(商品名))等の可撓性を有する材料によって薄く形成されること(例えば、厚み約0.1〜0.3mmのフィルム状)が望ましい。
図6は回収容器300の構成を示す側面図であり、図7は回収容器300の構成を示す斜視図である。
回収容器300は、図6および図7に示すように、廃現像剤を収容するための上方が開放された箱状の容器本体301を有している。また、容器本体301における回収容器取付部220への取り付け側面の上端部には、爪部302および当接部303が設けられている。
容器側結合部としての爪部302は、先端部302aと支持部302bとからなる。先端部302aは、回収容器300が図4に示すように回収容器取付部220に取り付けられて現像器2の下方に固定されている状態で、固定側結合部としての前述の開口部223aに係止(結合)され、かつその側方を排出スロープ221から排出された廃現像剤が通過できるような位置に形成されている。また、先端部302aは、前面壁部223の内側端面における開口部223aの周縁に係止するように上端部が突出するフック形状(突起状)をなしている。また、先端部302aは、開口部223a内への挿入が容易になるように前面部分に傾斜面を有している。さらに、爪部302は、開口部223aへの先端部302aの挿抜を容易にするため、かつ回収容器300の保持強度を備えるため、適度な可撓性を有している。
支持部302bは、先端部302aから水平に延びる水平部と、この水平部から下方に延びる垂直部とを含んでいる。上記の水平部は、開口部223aを挿通可能な太さ(断面形状)を有している。
爪部302は、このような形状に形成されることにより、ビス遮蔽部材400を凹部224aに押し込む機能と共に、回収容器300を回収容器取付部220に固定保持する機能を備える。これにより、回収容器300を画像形成装置100の本体に取り付けるための装着性の向上、回収容器300自体の自重による画像形成装置100の本体からの脱落防止、現像剤の重量による回収容器300の脱落防止が図られる。
当接部303は、爪部302の下端部よりやや下方に設けられており、爪部302における開口部223aに挿入される側の先端部と同じ方向に突出するように方形をなして形成されている。また、当接部303は、図9に示すように、爪部302が凹部224aに挿入された状態で、回収容器保持部224の下端面に当接する位置に形成されている。なお、図9は、現像器2に回収容器300が取り付けられた状態を示す部分断面図である。
次に、廃現像剤回収装置50による廃現像剤の排出方法について説明する。まず、廃現像剤の排出にあたり、前記の構造を有した現像器2を画像形成装置100に組み込んだ状態で、回収容器300を取り付けておく。
図9に示すように、回収容器300の取り付けにおいては、爪部302の先端部302aを開口部223aから凹部224aに挿入する。これにより、先端部302の上端部分が前面壁部223の内側端面における開口部223aの周縁に係止すると共に、支持部302bにおける水平部の下端面が前面壁部223における開口部223aの上端縁に当接することで、前面壁部223に爪部302が固定保持(結合)される。一方、爪部302が上記のように固定保持された状態では、当接部303が回収容器保持部224の下端面に当接している。
これにより、爪部302と当接部303とで回収容器保持部224を挟み込むような状態となり、回収容器300が回収容器保持部224に固定保持される。また、この状態では、ビス遮蔽部材400が先端部302aによって凹部224a内に押し込まれる。これにより、ビス遮蔽部材400の上端部分が下がり、固定用ビス240の頭部が露出する。
続いて、固定用ビス240を外し、排出口シャッター210が移動自在になると、排出口シャッター210を引く。これによって、現像剤排出口200aが開き、現像器2から回収容器300への廃現像剤の排出通路が確保される。
この状態で、図10に示すように、現像器2の空駆動(感光体ドラム3a〜3dに現像剤を供給しない駆動;後述する現像剤排出モード)を開始させる。この状態では、現像器2の現像槽内に設けられた2つの搬送スクリュー33,34が回転することによって、現像剤が撹拌されながら現像槽35内を循環する。搬送スクリュー33,34によって搬送されて循環してきた現像剤は、現像器2の底部に達すると、現像剤排出口200aから排出され、排出スロープ221を滑り落ちて回収容器300に回収される。このようにして、廃現像剤の排出および回収作業が完了する。
(現像剤排出制御部40の構成)
廃現像剤を排出する際、現像剤は、搬送極N2により現像スリーブ(MG)31上に運ばれるが、現像槽35内の現像剤量が減少すると現像槽35内の現像剤面の高さが徐々に減少し、搬送極N2の磁力による吸引力の減少により、現像剤を現像スリーブ31上へ搬送する量が減少してくる。一方、キャリアは現像スリーブ31の磁力によりキャリアとトナーとからなるチェーンを形成し、現像スリーブ31上に保持されているが、そのチェーンが感光体ドラム3と接触する時に、物理的および静電気的にチェーンから離脱する。ここで、穂立ち密度が密な場合には、近接する穂立ちによって離脱したキャリアを磁気的に回収することができる。しかしながら、穂立ち密度が疎な場合には、密な場合と比べて、その離脱したキャリアを磁気的に回収する近接する穂立ちが少ないため、磁気的な保持力から離脱したキャリアが感光体ドラム3に移行してキャリア上がりを生じる。
このため、上記したように、従来の画像形成装置では、現像槽35内の現像剤を排出する際に、現像剤の排出に伴って現像槽35内の現像剤量が減少していくため、現像スリーブ31から感光体ドラム3へのキャリア上がりが顕著になっていた。
これに対して、画像形成装置100は、現像剤排出時にこのようなキャリア上がりが生じることを防止するために、現像剤排出時(現像剤排出モード)における画像形成装置100の動作を制御する現像剤排出制御部40(図11参照)を備えている。
図11は、現像剤排出制御部40の概略構成を示すブロック図である。この図に示すように、現像剤排出制御部40は、主制御部101,電位ギャップ制御部41,感光体ドラム駆動制御部42,帯電制御部43,現像バイアス制御部44,現像器駆動制御部45,中間転写ベルト離接制御部47を備えている。
主制御部101は、現像剤排出制御部40における全ての動作を制御する現像剤排出制御部40の中枢部である。また、主制御部101には、現像剤排出モードが選択され選択されてからの経過時間、または、現像剤の排出が開始されてからの経過時間を計時するタイマー46が接続されており、主制御部101がタイマー46の計時時間を参照できるようになっている。また、主制御部101には、現像槽35内の現像剤濃度を検出する現像剤濃度センサー38の検出結果に応じた信号が入力されるようになっている。また、主制御部101は使用履歴記憶部48に接続されており、使用履歴記憶部48に記憶されている使用履歴をクリアする機能を有する。
なお、主制御部101は、画像形成装置100全体の動作を制御する画像形成装置100のCPU(制御部)と共通であってもよく、あるいは別個に備えられてもよい。
電位ギャップ制御部41は、主制御部101からの指示に応じて、帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御することにより、感光体電位および現像バイアス電位を制御するものである。
感光体ドラム駆動制御部(感光体駆動手段)42は、主制御部101からの指示に応じて、感光体ドラム3を回転駆動させるモーター等(感光体駆動手段)を制御し、感光体ドラム3の回転駆動状態を制御するものである。
帯電制御部43は、主制御部101からの指示に応じて、帯電器5の動作を制御し、それによって感光体電位を制御するものである。
現像バイアス制御部44は、主制御部101からの指示に応じて、現像スリーブ31の表面電位(現像バイアス電位)を制御するものである。
現像器駆動制御部(現像剤搬送駆動手段)45は、主制御部101からの指示に応じて、現像器2に備えられた現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34を回転駆動させるモーター等(現像剤搬送駆動手段)を制御し、現像器2の駆動状態、すなわち、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動状態を制御するものである。
中間転写ベルト離接制御部47は、主制御部101からの指示に応じて、中間転写ベルト7を感光体ドラム3a〜3dから離接させるための駆動手段を制御することにより、中間転写ベルト7を感光体ドラム3から離接させるものである。
(現像剤排出制御部40の動作)
次に、現像剤排出制御部40の動作、すなわち本発明に係る現像剤排出モードについて詳細に説明する。はじめに、現像剤排出モード(反転現像方式を用いた本発明における現像剤排出モード)における感光体電位および現像バイアス電位の制御方法の一例について図1(a)および図1(b)を用いて説明する。
図1(a)は、画像形成時における感光体電位(感光体ドラム3の現像スリーブ31との対向面の表面電位)と、現像バイアス電位(現像スリーブ31における感光体ドラム3との対向面の表面電位;現像電位)との関係を表したグラフである。図1(b)は、現像剤排出時(現像剤排出モード)における感光体電位と現像バイアス電位との関係を表したグラフである。
図1(a)に示すように、画像形成時には、感光体電位は−600V、現像バイアス電位(現像バイアス電圧)は−400Vに設定されている。つまり、感光体電位と現像バイアスの電位との差(電位差)は200Vに設定されている。これにより、画像形成時には、キャリア上がりやかぶりが発生しないようになっている。
一方、現像剤排出モード時には、感光体電位と現像バイアス電位とは、現像剤排出制御部40によって図1(b)に示すように制御される。つまり、時刻T1に現像剤排出モードが開始されると、感光体電位および現像バイアス電位は、画像形成時と同等の電位に立ち上げられる。すなわち、感光体電位は−600V、現像バイアス電位−400Vに設定される。なお、ここでは、現像剤排出モードの開始(時刻T1)は、図示しない操作部を介して主制御部101に使用者からの現像剤排出モードの選択指示が入力された後、現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の駆動が開始された時刻とする。
ここで、現像剤排出モードが開始されてすぐに感光体電位と現像バイアス電位との差を小さく設定(例えば0Vに設定)してしまうと、感光体ドラム3上へのトナー付着(いわゆる「かぶり」)が発生してしまう。このため、現像スリーブ31のN1極上に現像剤の穂立ちが十分に存在する間(画像形成時と同等程度に存在する間)は、感光体電位と現像バイアス電位との差を画像形成時と同等程度に保つ必要がある。
その後、時刻T2において、感光体電位と現像バイアス電位とを、両者の差が小さくなるように変更し始める。ここで、時刻T2は、現像スリーブ31上の穂立ち密度が所定値以上疎になり、キャリア上がりが所定量以上に増加する時間に設定されている。上記所定値あるいは所定量は、かぶりとキャリア上がりとを適切に防止できるように、現像剤や現像器2,感光体3などの特性に応じて適宜設定すればよい。
次に、時刻T3において、感光体電位および現像バイアス電位の変更(両者の電位差の変更)が終了し、両者の電位差は約0Vに設定される。
その後、時刻T4に至るまで、感光体電位と現像バイアス電位との電位差0Vを維持しながら現像剤排出を行う。
つまり、時刻T3から時刻T4に至る期間は、現像槽35内の現像剤量の減少に伴い、現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量が減少する。そして、それに伴って穂立ち密度が低下していき、キャリア上がり量が増加していく。このため、キャリア上がりを防止するために、現像剤排出制御部40は、感光体電位と現像バイアス電位との電位差(電位ギャップ)を小さくするように制御する。
その後、時刻T4で、現像槽35内からの現像剤の排出が完了する。
次に、現像剤排出制御部40の動作(制御方法)の一例について、図12に示すフローチャートを参照しながらさらに詳しく説明する。
まず、現像剤排出モードが実行(選択)されると(STEP1)、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45に、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転駆動を開始させる(STEP2)。なお、ここでは、感光体ドラム3および現像スリーブ31の回転速度を、画像形成時と略同等の速度に設定する。また、感光体ドラム3および現像スリーブ31の回転速度は後述するSTEP8において駆動停止されるまで、一定の速度に維持される。
さらに、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位および現像バイアス電位を、画像形成時と同等の電位に立ち上げさせる(STEP3)。すなわち、主制御部101は、帯電制御部43を制御して感光体電位を−600Vに設定させ、現像バイアス制御部44を制御して現像バイアス電位を−400Vに設定させる。
そして、この状態で、現像剤の排出が実行される(STEP4)。すなわち、排出口シャッター210が引き出されて、現像剤排出口200aから廃現像剤の排出が開始される。なお、STEP3で感光体電位および現像バイアス電位を画像形成時と同等の電位に設定した後、主制御部101が図示しない表示手段に現像剤の排出を開始できる状態になったことを表示し、使用者がそれを確認した後に排出口シャッター210の引き出し動作を行うようにしてもよい。あるいは、排出口シャッター210を開閉駆動する駆動手段(図示せず)を設け、STEP3の処理が完了した後に、主制御部101がこの駆動手段を制御することで、排出口シャッター210を開く(引き出す)ようにしてもよい。
次に、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間(現像槽35の駆動モーターの回転時間)が、所定時間(ここではn秒とする)を超えたかどうかを判断する(STEP5)。なお、時間n秒は、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤量の減少量に伴って現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量が減少し、それに伴って穂立ち密度が低下し、キャリア上がり量が増加し始める時間に設定しておく。
そして、STEP5において、n秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP5において、n秒経過したと判断した場合、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位と現像バイアス電位との電位差が画像形成時のときと比べて小さくなるように、感光体電位および現像バイアス電位を変更(設定)させる(STEP6)。なお、感光体電位および現像バイアス電位の変更を開始する時刻が図1(b)における時刻T2に対応しており、変更が完了する時刻が図1(b)の時刻T2に対応している。また、図1(b)には、時刻T3における感光体電位と現像バイアス電位との電位差を0Vとする場合を示しているが、これに限るものではなく、感光体電位と現像バイアス電位との電位差が、キャリア上がりを抑制できるように、画像形成時と比べて小さくなるように設定すればよい。
その後、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間が、所定時間(ここではm秒(m>n)とする)を超えたかどうかを判断する(STEP7)。なお、時間m(秒)は、例えば、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤の排出が完了するまでの時間に設定される。
そして、STEP7において、m秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態(感光体電位と現像バイアス電位との電位差を小さく設定した状態)を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP7において、m秒経過したと判断した場合、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45を制御し、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の駆動を停止させる(STEP8)。また、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位(感光体電圧)および現像バイアス電位(現像バイアス電圧)をOFFする(STEP9)。これにより、現像剤排出モード、すなわち現像剤排出制御部40の動作が終了する。
以上のように、画像形成装置100では、現像剤の排出中における感光体電位と現像バイアス電位との電位差を、画像形成時と比べて小さくする。これにより、現像剤の排出に伴って現像剤が減少しても、感光体ドラム3へのキャリア上がりが増加することを防止できる。したがって、キャリア上がりに伴って感光体ドラム3に損傷が生じたりクリーニング不良が生じたりして画像不具合が発生することを防止できる。
すなわち、感光体と現像スリーブとが接触しつつ現像剤を排出する機構を採用した画像形成装置において、安価で複雑な機構を用いることなく、現像剤を排出する際にキャリア上がりが生じることを防止し、感光体ダメージや画像不具合が発生しない画像形成装置を提供することができる。
また、画像形成装置100では、現像剤の排出が開始された直後(現像器2の駆動が開始されてからn秒が経過するまで)は、感光体電位および現像バイアス電位を、画像形成時と同等の電位に設定している。これにより、感光体ドラム3上へのトナー付着(かぶり)が発生することを防止できる。
なお、画像形成装置100では、現像器2の駆動が開始されてから時間n秒経過後に一度だけ感光体電位と現像バイアス電位との電位差を変更しているが、これに限るものではない。つまり、本発明は上記した実施例に限るものではなく、現像剤排出に伴うキャリア上がりを防止するために、感光体電位と現像バイアス電位との電位差を、画像形成時よりも小さく制御するものであればよい。
例えば、現像剤排出時間の経過に伴って、キャリア上がりの量が徐々に増加する場合などには、感光体電位と現像バイアス電位との電位差を段階的に小さくしていってもよい。例えば、現像器2の駆動が開始されてからn1秒経過後に感光体電位と現像バイアス電位との電位差を画像形成時の電位差よりも小さいΔV1とし、n2秒(n2>n1)経過後に両者の電位差をΔV1よりも小さいΔV2に設定してもよい。
また、画像形成装置100では、タイマー46によって、現像剤排出モードが選択されてからの経過時間を計時し、計時した経過時間に応じて、感光体電位および現像バイアス電位の制御を行っているが、これに限るものではない。
例えば、タイマー46によって、現像剤の排出が実際に開始されてからの経過時間を計時し、その経過時間に応じて、感光体電位および現像バイアス電位の制御を行ってもよい。
また、この場合、例えば、排出口シャッター210の開操作がなされたことを検出するセンサー(開状態検知手段)等を設け、排出口シャッター210が開かれて現像剤の排出が開始されたときに、タイマー46による計時を開始するようにしてもよい。このようなセンサーとしては、例えば、発光部および受光部を有する光センサーを用いることができる。この場合、例えば、現像剤排出口200aの最も前面側付近と、それに対向する回収容器取付部220における上端面の任意の位置とのいずれか一方に発光部を取り付け、他方に受光部を取り付ける。そして、排出口シャッター210が現像剤排出口200aを完全に開いた状態で、発光部から発された光を受光部で受けることによって、出力レベルを“L”から“H”に変化させるなどして、現像剤排出口200aが完全に開いたことを検知する。
このように、現像剤の排出が実際に開始されてからの経過時間を計時し、その経過時間に応じて、感光体電位および現像バイアス電位の制御を行うことにより、感光体電位および現像バイアス電位の制御をより適切に行うことができる。なお、この場合にも、現像剤の排出が開始された直後は、感光体電位および現像バイアス電位が画像形成時と同等になるように、現像剤の排出開始前に、感光体電位および現像バイアス電位を立ち上げておくことが好ましい。
(中間転写ベルトを離接させる場合の実施例)
また、排出モードが設定(選択)されたときに、中間転写ベルト(転写手段)7を感光体ドラム3から離接させるようにしてもよい。
なお、上記したように、中間転写ベルトユニット8では、中間転写ローラ6a〜6d、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ベルトテンション機構73等の相対位置を図示しない駆動手段によって移動させることにより、中間転写ベルト7を感光体ドラム3から離接させることができるようになっている。そして、中間転写ベルト離接制御部47が、主制御部101からの指示に応じて、上記駆動手段を制御することにより、中間転写ベルト7を感光体ドラム3から離接させるようになっている。
排出モードが設定(選択)されたときに、中間転写ベルト(転写手段)7を感光体ドラム3から離接させる場合、例えば、図12に示したフローチャートにおいて、STEP1で現像剤排出モードが開始された後、STEP2で感光体電位および現像バイアス電位を画像形成時と略同等の電位に立ち上げる前に、主制御部101が、中間転写ベルト離接制御部47を制御して、中間転写ベルト7を感光体ドラム3から離接させるようにすればよい。
このように、現像剤排出モードが実行されたときに、感光体ドラム3および現像器2の駆動に先立って中間転写ベルト7を感光体ドラム3から離接させることにより、中間転写ベルト7へのキャリア付着によって感光体ドラム3および中間転写ベルト7に傷等のダメージが発生することを防止できる。
つまり、感光体ドラム3にキャリア上がりが生じた場合でも、感光体ドラム3上のキャリアが中間転写ベルト7に当接することによって生じる感光体ドラム3および中間転写ベルト7へのダメージ、および、感光体ドラム3から中間転写ベルト7に転写されたキャリアを除去する際に生じる中間転写ベルト7のダメージを防止することができる。
なお、ここでは、排出モードが設定(選択)されたとき、すなわち現像剤の排出開始前に、中間転写ベルト7を感光体ドラム3から離接させる場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、現像剤の排出中に、中間転写ベルト7を感光体ドラム3から離接させてもよい。ただし、現像剤排出に伴う中間転写手段へのダメージをより適切に防止するためには、現像剤排出前に、感光体と中間転写手段とを離接させることが好ましい。
(感光体ドラムと現像スリーブを等速で駆動する場合の実施例)
また、現像剤排出時に、感光体ドラム3と現像スリーブ31とを等速(等周速)で回転させるようにしてもよい。つまり、主制御部101が感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45を制御することにより、現像剤排出時に、感光体ドラム3の周速と現像スリーブ31の周速とを略等しくするようにしてもよい。
この場合の、現像剤排出制御部40における処理の一例について図13を参照しながら説明する。図13は、感光体ドラム3と現像スリーブ31とを等速で回転させる場合の、現像剤排出制御部40の動作(制御方法)の一例を示したフローチャートである。
まず、現像剤排出モードが実行(選択)されると(STEP11)、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45に、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転駆動を開始させる(STEP12)。なお、ここでは、例えば、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転速度は、画像形成時(感光体ドラム3上の静電潜像を現像するとき)と同等の速度に設定すればよい。なお、画像形成装置100では、上記したように、画像形成時における現像スリーブ31の周速は、感光体ドラム3の周速に対して1.3倍〜2.5倍の範囲に設定されている。
さらに、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位および現像バイアス電位を、画像形成時と同等の電位に立ち上げさせる(STEP13)。すなわち、主制御部101は、帯電制御部43を制御して感光体電位を−600Vに設定させ、現像バイアス制御部44を制御して現像バイアス電位を−400Vに設定させる。
そして、この状態で、現像剤の排出が実行される(STEP14)。すなわち、排出口シャッター210が引き出されて、現像剤排出口200aから廃現像剤の排出が開始される。
次に、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間(現像槽35の駆動モーターの回転時間)が、所定時間(ここではn秒とする)を超えたかどうかを判断する(STEP15)。なお、時間n秒は、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤量の減少量に伴って現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量が減少し、それに伴って穂立ち密度が低下し、キャリア上がり量が増加し始める時間に設定しておく。
そして、STEP15において、n秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP15において、n秒経過したと判断した場合、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位と現像バイアス電位との電位差が画像形成時のときと比べて小さくなるように、感光体電位および現像バイアス電位を変更(設定)させる(STEP16)。
次に、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45を制御し、感光体ドラム3および現像スリーブ31の回転速度(周速)を等速にする(STEP17)。なお、ここでは、感光体ドラム3の回転速度を変化させずに維持し、現像スリーブ31の回転速度を下げることで、両者の回転速度を等速にする。
その後、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間が、所定時間(ここではm秒(m>n)とする)を超えたかどうかを判断する(STEP18)。なお、時間m(秒)は、例えば、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤の排出が完了するまでの時間に設定される。
そして、STEP18において、m秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態(感光体電位と現像バイアス電位との電位差を小さく設定した状態)を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP18において、m秒経過したと判断した場合、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45を制御し、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の駆動を停止させる(STEP19)。また、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位(感光体電圧)および現像バイアス電位(現像バイアス電圧)をOFFする(STEP20)。これにより、現像剤排出モード、すなわち現像剤排出制御部40の動作が終了する。
このように、現像剤排出時に、現像スリーブ31の周速と感光体ドラム3の周速とを等速にすることで、感光体ドラム3と現像スリーブ31上の現像剤の穂立ちとの接触回数を減らすことができる。また、現像スリーブ31の回転速度を下げることにより、キャリア上がりが発生する機会を減らすことができ、キャリア上がりをさらに抑制することができる。
なお、上記の説明では、感光体ドラム3の回転速度を変化させずに維持し、現像スリーブ31の回転速度を下げることで、両者の回転速度を等速にしているが、これに限るものではない。例えば、感光体ドラム3および現像スリーブ31の双方の回転速度を変化させてもよい。あるいは感光体ドラム3のみを変化させてもよい。
ただし、感光体ドラム3と現像スリーブ31上の現像剤の穂立ちとの接触回数を減らすことができるように、感光体ドラム3または現像スリーブ31の回転速度を、画像形成時よりも遅くすることが好ましい。この場合、キャリア上がりが発生する機会を減らすことができ、キャリア上がりをより効果的に防止をすることができる。
また、現像スリーブ31の回転速度を画像形成時よりも遅くすることが好ましい。この場合、現像スリーブ31の周速を下げることで、物理的なキャリアの離脱を減少させることができ、キャリア上がりをより好適に防止することができる。
また、現像スリーブ31の回転速度を変化させる場合、現像器2に備えられる現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34のうち、現像スリーブ31の回転速度のみを変化させてもよい。あるいは、現像スリーブ31および搬送スクリュー33,34の回転速度を共に変化させてもよい。この場合、搬送スクリュー33,34と現像スリーブ31とを独立して駆動する方式に比べて、駆動機構を簡略化できる。
(現像剤濃度センサーの検出結果に応じて制御する場合の実施例)
また、上記した各制御方法では、タイマー46が計時した、現像器2の回転駆動を開始してからの経過時間に応じて、感光体電位および現像バイアス電位を制御する場合について説明したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、現像剤排出時における現像槽35内の現像剤濃度あるいは現像剤残量(現像剤の液面高さ)を現像剤濃度センサー(検出手段)38によって検出し、この検出結果に応じて、感光体電位および現像バイアス電位を制御するようにしてもよい。
図14は、現像槽35内の現像剤量と、現像剤濃度センサー38の検出出力(センサー出力Vc)との関係を示すグラフである。この図に示すように、現像剤濃度センサー38の検出出力に基づいて、主制御部101は、現像槽35内の現像剤量を把握することができる。つまり、現像剤濃度センサー38は、上記したように、現像槽35内の側面に配置されているので、現像槽35内の現像剤の液面(液面の高さ)の変化をより正確に測ることができる。
なお、前述したように、現像剤の排出に伴って現像槽35内の現像剤量が減少していくが、現像剤濃度センサー38が現像槽の底部に配置されている場合、現像槽35内の現像剤がほぼ排出されるまで、現像剤濃度センサー38近傍に現像剤が存在し続けることになる。このため、現像剤の減少によって現像スリーブ31上の現像剤量が減っているかどうかを検出するためには、現像剤濃度センサー38を現像槽35の底部に配置するよりも、側面に配置したほうが、現像槽35内の現像剤面の変化を適切に検出できる。具体的には、前述した現像スリーブ31の搬送極N2極と同等の高さに配置することが好ましい。
次に、現像剤排出モード時に、現像剤濃度センサー38の検出結果に応じて、感光体電位および現像バイアス電位を制御する場合の現像剤排出制御部40の動作(制御方法)の一例について、図15に示すフローチャート参照しながら説明する。
まず、現像剤排出モードが実行(選択)されると(STEP31)、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45に、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転駆動を開始させる(STEP32)。なお、ここでは、例えば、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転速度は、画像形成時と同等の速度に設定すればよい。
さらに、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位および現像バイアス電位を、画像形成時と同等の電位に立ち上げさせる(STEP33)。すなわち、主制御部101は、帯電制御部43を制御して感光体電位を−600Vに設定させ、現像バイアス制御部44を制御して現像バイアス電位を−400Vに設定させる。
そして、この状態で、現像剤の排出が実行される(STEP34)。すなわち、排出口シャッター210が引き出されて、現像剤排出口200aから廃現像剤の排出が開始される。
次に、主制御部101は、現像剤濃度センサー38の出力Vcが、あらかじめ定めた所定値Vn以下かどうかを判断する(STEP35)。なお、上記の所定値Vnは、現像槽35内の現像剤が減少して現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量が減少し、それに伴って穂立ち密度が低下していき、キャリア上がり量が増加し始めるときの現像剤濃度センサー38の出力値に設定されている。すなわち、排出によって現像剤が減少した結果、キャリア上がりが増加し始めるときの現像槽35内の現像剤量(キャリア量)に応じた透磁率に対応する出力値に設定されている。
そして、STEP35において、現像剤濃度センサー38の出力Vcが、所定値Vnよりも大きい(Vc>Vn)と判断した場合、主制御部101は、そのままの状態を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP35において、現像剤濃度センサー38の出力Vcが、所定値Vn以下である(Vc≦Vn)と判断した場合、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位と現像バイアス電位との電位差が画像形成時のときと比べて小さくなるように、感光体電位および現像バイアス電位を変更(設定)させる(STEP36)。
その後、主制御部101は、現像剤濃度センサー38の出力Vcが、あらかじめ定めた所定値Vm以下かどうかを判断する(STEP37)。なお、上記の所定値Vmは、現像槽35内の現像剤が全て排出され、現像剤濃度センサー38近傍の現像剤濃度が十分に存在しなくなったときの現像剤濃度センサー38の出力値に設定されている。
そして、STEP37において、現像剤濃度センサー38の出力Vcが、所定値Vmよりも大きい(Vc>Vm)と判断した場合、主制御部101は、そのままの状態(感光体電位と現像バイアス電位との電位差を小さく設定した状態)を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP37において、現像剤濃度センサー38の出力Vcが、所定値Vm以下である(Vc≦Vm)と判断した場合、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45を制御し、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の駆動を停止させる(STEP38)。また、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位(感光体電圧)および現像バイアス電位(現像バイアス電圧)をOFFする(STEP39)。これにより、現像剤排出モード、すなわち現像剤排出制御部40の動作が終了する。
このように、現像剤排出モードが実行されたときに、現像剤濃度センサー38の濃度検出結果に応じて感光体電位と現像バイアス電位との電位差を制御することで、現像槽35内の現像剤量を正確に検出した結果に基づいて感光体電位と現像バイアス電位との電位差を制御できる。したがって、感光体電位と現像バイアス電位との電位差を、より適切なタイミングで制御する(画像形成時と比べて小さくする)ことができる。これにより、現像剤の排出に伴って現像槽35内の現像剤が減少しても、感光体ドラム3へのキャリア上がりが増加することをより適切に防止できる。したがって、感光体ドラム3に傷等のダメージやクリーニング不良等の画像不具合が発生することを適切に防止できる。
なお、現像剤を排出している最中の現像剤量を正確に監視するため、現像剤濃度センサー38を現像槽の側面に配置した場合、現像槽35内に現像剤がまだ残っているにもかかわらず、現像剤濃度センサー38付近の現像剤が存在しない状態となる場合がある。そこで、例えば、STEP37において、現像剤濃度センサー38の出力Vcが、所定値Vm以下になったことを検知した後、現像剤排出動作を所定時間継続してから、STEP38以降の処理を行うようにしてもよい。
また、現像剤濃度センサー38によって、現像スリーブ31の搬送極N2極と同等の高さにおける現像剤濃度と現像槽35の底面付近の現像剤濃度とを検出できる構成としてもよい。あるいは、現像スリーブ31の搬送極N2極と同等の高さにおける現像剤濃度を測定する現像剤濃度センサー38と、現像槽35の底面付近の現像剤濃度とを検出する現像剤濃度センサー38とを備え、STEP36では前者の現像剤濃度センサー38を用いる一方、STEP37では後者の現像剤濃度センサー38を用いて各STEPにおける判断を行うようにしてもよい。
また、現像剤濃度センサー38に代えて、現像剤の濃度を検出せず、現像槽35内における現像剤の液面(液面の高さ)の変化のみを検出する現像剤液面センサー(検出手段;図示せず)を用い、その検出結果に応じて、感光体電位および現像バイアス電位を制御してもよい。
(現像剤排出中に感光体ドラムの駆動を停止させる場合の実施例)
また、例えば、現像剤排出モードの開始から所定時間経過するまでは、感光体ドラム3と現像スリーブ31とを等速で回転させ、所定時間経過後は現像スリーブ31のみを回転(駆動)させてもよい。
この場合の、現像剤排出モードにおける動作(制御方法)の一例について、図16に示すフローチャート参照しながら説明する。図16は、現像剤排出モードを開始してから所定時間経過するまでは、感光体ドラム3と現像スリーブ31とを等速で回転させ、所定時間経過後は現像スリーブ31のみを回転させる場合の、現像剤排出制御部40動作の一例を示すフローチャートである。
まず、現像剤排出モードが実行(選択)されると(STEP41)、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45に、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転駆動を開始させる(STEP42)。なお、ここでは、例えば、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転速度は、画像形成時と同等の速度に設定すればよい。
さらに、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位および現像バイアス電位を、画像形成時と同等の電位に立ち上げさせる(STEP43)。すなわち、主制御部101は、帯電制御部43を制御して感光体電位を−600Vに設定させ、現像バイアス制御部44を制御して現像バイアス電位を−400Vに設定させる。
そして、この状態で、現像剤の排出が実行される(STEP44)。すなわち、排出口シャッター210が引き出されて、現像剤排出口200aから廃現像剤の排出が開始される。
次に、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間(現像槽35の駆動モーターの回転時間)が、所定時間(ここではn1秒とする)を超えたかどうかを判断する(STEP45)。なお、時間n1秒は、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤量の減少量に伴って現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量が減少し、それに伴って穂立ち密度が低下し、キャリア上がり量が増加し始める時間に設定しておく。
そして、STEP45において、n1秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP45において、n1秒経過したと判断した場合、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位と現像バイアス電位との電位差が画像形成時のときと比べて小さくなるように、感光体電位および現像バイアス電位を変更(設定)させる(STEP46)。
次に、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45を制御し、感光体ドラム3の周速(回転数)を維持したままで、現像スリーブ31の周速を感光体ドラム3の周速と等速になるまで変化させる(STEP47)。
その後、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間が、所定時間(ここではn2秒(n2>n1)とする)を超えたかどうかを判断する(STEP48)。なお、時間n2(秒)は、現像器2の駆動が開始された後、現像槽35内の現像剤量が十分に減少し、現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量がほとんど存在しなくなり、感光体ドラム3へのキャリア上がり量がほとんどなくなる時間に設定しておく。
そして、STEP48において、n2秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態(感光体電位と現像バイアス電位との電位差を小さく設定した状態)を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP48において、n2秒経過したと判断した場合、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45を制御し、感光体ドラム3の駆動を停止させ、現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の駆動のみを継続させる(STEP49)。
その後、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間が、所定時間(ここではm秒(m>n2>n1)とする)を超えたかどうかを判断する(STEP50)。なお、時間m(秒)は、現像器2の駆動が開始された後、現像槽35内の現像剤が全て排出されるまでの時間に設定しておく。
そして、STEP50において、m秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態(感光体ドラム3の駆動を停止し、現像器2の駆動を継続した状態)を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP50において、m秒経過したと判断した場合、主制御部101は、現像器駆動制御部45を制御し、現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の駆動を停止させる(STEP51)。また、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位(感光体電圧)および現像バイアス電位(現像バイアス電圧)をOFFする(STEP52)。これにより、現像剤排出モード、すなわち現像剤排出制御部40の動作が終了する。
このように、現像槽35内の現像剤量が十分に減少し、現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量がほとんど存在しなくなり、感光体ドラム3へのキャリア上がりがほとんどなくなった後(所定時間n2経過後)、感光体ドラム3の駆動を停止し、現像器2のみを駆動することにより、感光体ドラム3に付着したキャリアがクリーナーブレード4Bに到達することを防止できる。したがって、感光体ドラム3に付着したキャリアがクリーナーブレード4Bに到達することにより、クリーナーブレード4Bや感光体ドラム3に傷等のダメージが生じることを防止できる。
また、この場合にも、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤量の減少量に伴って現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量が減少し、それに伴って穂立ち密度が低下し、キャリア上がり量が増加し始める時間(所定時間n1)経過後に、感光体電位と現像バイアス電位との電位差を画像形成時と比べて小さくすることにより、現像剤の排出に伴って現像槽35内の現像剤が減少しても、感光体ドラム3へのキャリア上がりが増加することを防止できる。したがって、感光体ドラム3に傷等のダメージやクリーニング不良等の画像不具合が発生することを防止できる。
なお、図16では、タイマー46によって計時した現像器2の駆動を開始してからの経過時間に基づいて、感光体ドラム3,現像器2の駆動制御、および、感光体電位,現像バイアス電位の制御を行っているが、これに限るものではない。
例えば、上記した図14の場合と同様、現像剤濃度センサー38の検出結果に応じて、感光体ドラム3,現像器2の駆動制御、および、感光体電位,現像バイアス電位の制御を行ってもよい。つまり、現像槽35内の現像剤の排出を開始した後、現像剤濃度センサー38によって検出した現像剤の濃度または液面高さが所定値(第2所定値)に達したときに、感光体ドラム3の周速と現像スリーブ31の周速とが等速となり、かつ、感光体ドラム3および/または現像剤スリーブ31の周速が、感光体ドラム3上の静電潜像を現像するときよりも遅くなるように、主制御部101が感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動部45を制御し、現像剤濃度センサー38によって検出した現像剤の濃度または液面高さが所定値(第3所定値)に達したときに、感光体ドラム8の回転駆動を停止させるようにしてもよい。
この場合、現像槽35内の現像剤量を正確に検出した結果に基づいて、感光体ドラム3,現像器2の駆動制御、および、感光体電位,現像バイアス電位の制御を行うので、これらの各制御を、より適切なタイミングで精度よく行うことができる。
(AC重畳現像方式の画像形成装置に適用する場合の実施例)
また、本発明は、現像スリーブ31に印加する現像バイアス電圧に交流電圧(AC)を重畳する、AC重畳現像方式の画像形成装置に適用することもできる。
小型小粒径トナーを採用する二成分現像方式においては、現像効率およびトナー付着量を向上させる目的で交流成分を現像バイアスに重畳する方式がとられている。しかしながら、交流成分を重畳させる場合、現像剤排出時に、交流成分による電場の往復運動によって感光体ドラム3へのキャリア付着(キャリア上がり)が増大する場合がある。
一方、現像剤排出モード実行時には、感光体ドラム3へのトナー付着量の効率アップや均一性アップを図る必要はない。このため、交流成分の重畳のない直流成分のみで現像バイアス電圧を印加することが好ましい。ここでは、本発明をAC重畳現像方式の画像形成装置に適用する場合に、現像剤排出制御部40が、現像剤排出時に、現像バイアス電圧から交流成分を除去し、直流成分のみで現像バイアス電圧を印加する場合の実施例について説明する。
図17は、AC重畳現像方式の画像形成装置100における現像剤排出モードの処理を行う場合の、現像剤排出制御部40の動作(制御方法)の一例を示すフローチャートである。
まず、現像剤排出モードが実行(選択)されると(STEP61)、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45に、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転駆動を開始させる(STEP62)。なお、ここでは、例えば、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の回転速度は、画像形成時と同等の速度に設定すればよい。
さらに、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位および現像バイアス電位を、画像形成時と同等の電位に立ち上げさせる(STEP63)。すなわち、主制御部101は、帯電制御部43を制御して感光体電位を−600Vに設定させ、現像バイアス制御部44を制御して現像バイアス電位を−400Vに設定させる。
そして、この状態で、現像剤の排出が実行される(STEP64)。すなわち、排出口シャッター210が引き出されて、現像剤排出口200aから廃現像剤の排出が開始される。
次に、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間(現像槽35の駆動モーターの回転時間)が、所定時間(ここではn秒とする)を超えたかどうかを判断する(STEP65)。なお、時間n秒は、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤量の減少量に伴って現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量が減少し、それに伴って穂立ち密度が低下し、キャリア上がり量が増加し始める時間に設定しておく。
そして、STEP65において、n秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP65において、n秒経過したと判断した場合、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位と現像バイアス電位との電位差が画像形成時のときと比べて小さくなるように、感光体電位および現像バイアス電位を変更(設定)させる(STEP66)。
また、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して現像バイアス制御部44を制御し、現像バイアス電圧の交流成分(AC成分)を除去して直流成分(AC成分)のみ変更させる(STEP67)。
その後、主制御部101は、タイマー46を参照して、現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34の回転駆動を開始してからの経過時間が、所定時間(ここではm秒(m>n)とする)を超えたかどうかを判断する(STEP68)。なお、時間m(秒)は、例えば、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤の排出が完了するまでの時間に設定される。
そして、STEP68において、m秒経過していないと判断した場合、主制御部101は、そのままの状態(感光体電位と現像バイアス電位との電位差を小さく設定した状態)を維持しながら現像剤の排出を引き続き実行する。
一方、STEP68において、m秒経過したと判断した場合、主制御部101は、感光体ドラム駆動制御部42および現像器駆動制御部45を制御し、感光体ドラム3および現像器2(現像スリーブ31,搬送スクリュー33,34)の駆動を停止させる(STEP69)。また、主制御部101は、電位ギャップ制御部41を介して帯電制御部43および現像バイアス制御部44を制御し、感光体電位(感光体電圧)および現像バイアス電位(現像バイアス電圧)をOFFする(STEP70)。これにより、現像剤排出モード、すなわち現像剤排出制御部40の動作が終了する。
このように、現像剤排出時に、現像スリーブ31に印加する現像バイアス電圧の交流成分をOFFすることにより、交流成分による電場の往復運動によって、感光体ドラム3へのキャリア付着(キャリア上がり)が増大することを防止できる。したがって、現像剤の排出に伴って現像槽35内の現像剤が減少しても、感光体ドラム3へのキャリア上がりが増加することを防止できる。このため、感光体ドラム3に傷等のダメージやクリーニング不良等の画像不具合が発生することを防止できる。
また、現像剤の排出時に感光体電位と現像バイアス電位との電位差を画像形成時と比べて小さくすることにより、現像剤の排出に伴って現像槽35内の現像剤が減少しても、感光体ドラム3へのキャリア上がりが増加することを防止できる。したがって、感光体ドラム3に傷等のダメージやクリーニング不良等の画像不具合が発生することを防止できる。
また、現像剤排出モードが実行されたときに、感光体ドラム3および現像器2の駆動に先立って中間転写ベルト7を感光体ドラム3から離接させることにより、中間転写ベルト7へのキャリア付着によって中間転写ベルト7に傷等のダメージが発生することを防止できる。
なお、図17では、現像器2の駆動を開始した後、現像槽35内の現像剤量の減少量に伴って現像スリーブ31上へ運ばれる現像剤量が減少し、それに伴って穂立ち密度が低下し、キャリア上がり量が増加し始める時間である時間nに基づくタイミングでAC重畳をOFF(現像バイアス電圧の交流成分を除去)しているが、これに限るものではない。例えば、現像剤排出モード開始時(現像器2の駆動開始時)から、感光体ドラム3へのトナー付着による機内(画像形成装置100内)でのトナー飛散が発生しないタイミングで、AC重畳をOFFしてもよい。また、現像剤濃度センサー38の検出結果に基づくタイミングでAC重畳をOFFしてもよい。
(現像剤排出処理の終了時に使用履歴をクリアする場合の実施例)
また、現像剤排出処理の終了時に、現像剤の使用枚数(前回現像剤を交換したときからの画像形成を行った記録紙の累積枚数)等の使用履歴(使用履歴情報)を記憶する記憶手段である使用履歴記憶部48に記憶している使用履歴をクリアするようにしてもよい。つまり、使用履歴記憶部48に記憶されている、前回の現像剤排出処理時(現像剤交換処理時)から今回の現像剤排出処理までの使用履歴を、今回の現像剤排出処理の終了時にクリアするようにしてもよい。
この場合の、現像剤排出制御部40における処理(制御方法)の一例について、図18に示すフローチャートを参照しながら説明する。
現像剤排出モードが実行(選択)されると、主制御部101は、図12に示したSTEP1〜STEP9と同様の処理を行う。そして、STEP9の処理が完了すると、主制御部101は、使用履歴記憶部48に記憶されている使用履歴をクリアする(STEP10)。
このように、現像剤排出処理の終了時に、使用履歴記憶部48に記憶されている現像剤の使用枚数等の使用履歴を、主制御部101が自動的にクリアする構成とすることにより、使用者(あるいはサービスマン)が現像剤排出処理後に使用履歴をクリアする作業を行う必要がなくなる。したがって、現像剤排出作業の効率化を図ることができる。
また、例えば、現像剤の使用履歴に応じて画像形成条件の補正等を行う画像形成装置では、現像剤排出後に使用履歴のクリアを忘れると、適切な補正が行われない可能性がある。これに対して、上記のように、現像剤排出処理の終了時に主制御部101が自動的に使用履歴をクリアするようにすることで、使用履歴のクリア忘れによる画像形成条件の補正間違い等が生じることを防止できる。
(プログラムの実施例)
また、現像剤排出制御部40を構成する各部材(主制御部101,電位ギャップ制御部41,感光体ドラム駆動制御部42,帯電制御部43,現像バイアス制御部44,現像器駆動制御部45,中間転写ベルト離接制御部47)は、CPUなどの演算手段が、ROMやRAMなどの記録媒体に格納されたプログラムコードを実行することで実現される機能ブロックである。したがって、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるプログラム(制御プログラム)のプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置に備えられるコンピュータ(またはCPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって、達成することができる。
一方で、これらの部材は、上記ソフトウェアと同様の処理を行うハードウェアとして実現してもよい。この場合、本発明の目的は、ハードウェアである主制御部101,電位ギャップ制御部41,感光体ドラム駆動制御部42,帯電制御部43,現像バイアス制御部44,現像器駆動制御部45,中間転写ベルト離接制御部47によって達成されることになる。また、これらの部材は、処理の一部を行うハードウェアと、当該ハードウェアの制御や当該ハードウェアが行う処理以外の処理を行うプログラムコードを実行する上記演算手段とを組み合わせた構成としても実現できる。さらに、上記各部材のうち、ハードウェアとして説明した部材であっても、処理の一部を行うハードウェアと、当該ハードウェアの制御や当該ハードウェアが行う処理以外の処理を行うプログラムコードを実行する上記演算手段とを組み合わせた構成としても実現できる。
なお、上記演算手段は、単体構成であっても良いし、装置内部のバスや各種の通信路を介して接続された複数の演算手段が協同してプログラムコードを実行する構成であっても良い。
したがって、本発明にかかる現像剤排出制御部40は、印刷装置内の任意の場所に備えられることができる。例えば、現像剤排出制御部40は、上記実施形態では画像形成装置100内に構成されているが、画像形成装置100に接続されるコンピュータ上に構成されていてもよく、独立した装置として構成されていてもよい。さらに、現像剤排出制御部40は、この装置に含まれる上記各部材の一部が印刷装置上やコンピュータ上にあり、残りの部材が独立した構成であり、これらの部材が有機的に連携して機能する画像処理装置であってもよい。
また、上記演算手段によって直接的に実行可能なプログラムコード自体、または、後述する解凍などの処理によってプログラムコードを生成可能なデータとしてのプログラムは、当該プログラム(プログラムまたは上記データ)を記録媒体に格納し、当該記録媒体を配布したり、あるいは、上記プログラムを、有線または無線の通信路を介して伝送するための通信手段によって送信したりして配布され、上記演算手段で実行されるものとする。
なお、通信路を介して伝送する場合、通信路を構成する各種の伝送媒体が、プログラムを示す信号列を伝搬し合うことによって、当該通信路を介して、上記プログラムが伝送される。また、上記信号列を伝送する際、送信装置が、プログラムを示す信号列により搬送波を変調することによって、上記信号列を搬送波に重畳してもよい。この場合、受信装置が搬送波を復調することによって、信号列が復元される。一方、上記信号列を伝送する際、送信装置が、デジタルデータ列としての信号列をパケット分割してもよい。この場合、受信装置は、受信したパケット群を連結して、上記信号列を復元する。また、送信装置が、信号列を送信する際、時分割/周波数分割/符号分割などの方法で、信号列を他の信号列と多重化して伝送しても良い。この場合、受信装置は、多重化された信号列から、ここの信号列を抽出して復元する。いずれの場合であっても、通信路を介してプログラムを伝送できれば、同様の効果を得られる。
ここで、上記プログラムを配布する際の記録媒体は、取り外し可能であることが好ましいが、プログラムを配布した後の記録媒体は、取り外し可能であるか否かを問わない。また、上記記録媒体は、上記プログラムが記録されている媒体であれば良く、書き換え(書き込み)可能か否か、あるいは揮発性か否かは問われず、また、記録方法および形状も問われない。このような記録媒体を例示すると、磁気テープやカセットテープなどのテープ、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスクなどの磁気ディスク、CD−ROMや光磁気ディスク(MO)、ミニディスク(MD)、デジタルビデオディスク(DVDなどのディスクなどである。また、上記記録媒体は、ICカードや光カードのようなカード、あるいは、マスクROMやEPROM、EEPROMまたはフラッシュROMなどの半導体メモリーであってもよい。あるいは、CPUなどの演算手段内に形成されるメモリーであってもよい。
なお、上記プログラムコードは、上記各部材の全処理を上記演算手段へ指示するコードであってもよいし、所定の手順で呼び出すことで、上記各部材の処理の一部または全部を実行可能な基本プログラム(例えば、オペレーティングシステムやライブラリなど)がすでに存在していれば、当該基本プログラムの呼び出しを、上記演算装置へ指示するコードやポインタなどで、上記全処理の一部または全部を置き換えてもよい。
また、上記記録媒体にプログラムを格納する際の形式は、例えば、実メモリーに配置した状態のように、演算手段がアクセスして実行可能な格納形式であってもよいし、実メモリーに配置する前で、演算手段が常時アクセス可能なローカルな記録媒体(例えば、実メモリやハードディスクなど)にインストールした後の格納形式、あるいは、ネットワークや搬送可能な記録媒体などから、上記ローカルな記録媒体にインストールする前の格納形式であってもよい。
また、プログラムは、コンパイルされた後のオブジェクトコードに限る物ではなく、ソースコードや、インタプリトまたはコンパイルの途中で生成される中間コードとして、上記記録媒体に格納されていてもよい。いずれの場合であっても、圧縮された情報の解凍、符号化された情報の復元、インタプリト、コンパイル、リンク、または、実メモリーへの配置などの処理、あるいは、これらの処理の組み合わせによって、上記中間コードを上記演算手段が実行可能な形式に変換可能であれば、プログラムを記録媒体に格納する際の形式にかかわらず、同様の効果を得ることができる。
本発明は、その主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更、プロセスは、全て本発明の範囲内のものである。