JP2006205159A - コーティング用アプリケータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 コーティング溶液の粘度,水性/有機溶剤系の別,ゾル状態の微粒子含有の有無,濃度,および被塗布基材の水平/垂直状態、平面/曲面の別をいずれも問わず、ガラスや外壁面等にコーティングを行う現場施工においても容易に均一塗布できるアプリケータを提供する。
【解決手段】 コーティング溶液を保持し供給する給液層と該給液層から供給される該溶液を被塗布基材に塗布する塗膜形成層とを積層してなるコーティング用アプリケータであって、前記給液層および塗膜形成層が、それぞれ互いに異なる少なくとも1種の多孔質弾性体からなることを特徴とするコーティング用アプリケータ。また、かかる給液層と塗膜形成層とを積層し、さらに給液層上に支持体層を積層してなるアプリケータ、さらには支持体層の長手方向への切り込み溝に金属ワイヤーを屈曲自在に装入させてなるアプリケータが提供される。
【選択図】 図5

Description

本発明は、コーティング用アプリケータに関するものであり、さらに詳しくは、建造物および車輌等の窓ガラスなどの平面または曲面基材に、コーティング溶液を塗布するアプリケータに関するものである。
従来、窓ガラス等に対して、常温下で塗布する方法としては、エアゾールを用いて均一に吹きかける方法、紙に含浸させて塗布する方法、刷毛で塗布する方法等が、また、塗布用具として、直径5mm前後のステンレスの棒(ロッド)にステンレスワイヤーを線同士が密に接するように巻いたバーコーターが知られていた。
しかしながら、エアゾールを吹きかける方法では、塗液の不均一な付着のためにガラス面上に形成した塗膜表面に微細なオレンジピール現象が発生し、表面の平滑性が損なわれる欠点があり、その上、周囲への飛散による歩留まりの低さと周囲への付着による基材の劣化などが問題となっていた。紙に含浸させて手で塗布する場合は、均一な接触と適切な液量転移、塗料のレベリングは期待しがたく、塗膜の不均一さはそのまま低性能ないしは性能劣化を招くという問題があった。刷毛で塗布する方法についても毛羽の単位が塗り筋斑を作り、刷毛の長さには限界があって塗り始めは塗布量が多く、次第に塗布量が少なくなることは否めない。
バーコーターを用いる場合、ワイヤー同士間にできる間隙にて定量的に塗料を塗布できるが、塗布量はワイヤーの太さを替えることにより段階的に変える必要がある。しかし、この方法はワイヤーの接した塗布面はほとんど塗料が接触しないため、塗液の全く存在しない部分または隣接の間隙からレベリングしてきた塗液の僅かな部分と、ワイヤー間の塗布量の多い部分とによって生じる塗布進行方向への縦筋斑が避けられなかった。
かかる状況下において、本発明者は、所定のセル数,伸び率,硬さを有するスポンジによる塗工方法によれば、ガラス板上に均一な塗膜を形成させ得ることに着目し、特許第3280576号(特許文献1)により、スポンジ塗工方法としてすでに提案した。しかしながら、かかる物性値を有するスポンジによっても、表面の孔構造の不均一さと液供給の不安定さにより塗布斑がわずかに生じていた。特に光触媒塗料や紫外線遮蔽塗料などの微粒子を含有するコーティング溶液については、これを均一に塗布するという目的に対して必ずしも最適な塗布方法を提供するものではなく、改良すべき点が残されていた。特に、ビルその他の家屋および自動車の窓ガラス等の現場でのコーティングにおいては、垂直状態のガラス表面を、また、自動車の窓ガラスの如く曲面をコーティングの対象とせざるを得ないなど、その他種々の制約があり、前記の如く低粘度の光触媒塗料、紫外線遮蔽塗料を薄く、かつ均一にコーティングすることは困難であった。
特に、ビルや車の窓ガラスに塗布し、汚れを防止して親水性皮膜に加工する親水性コーティング溶液については、前記の従来の塗布方法ではその塗布の均一化が困難なために光触媒粒子の塗膜内での偏在が生じ、結果として光触媒による親水性能が十分得られないという問題があった。
特許第3280576号公報
均一コーティングを難しくする問題は、特に光触媒用または紫外線遮蔽用のコーティン
グ溶液は粘度がきわめて低いうえに、現場施工ではほとんどが垂直状態のガラス面、外壁面に塗布しなければならないという事情に起因している。そのため均一コーティングを可能にするとともに、保液性に富み、窓ガラス等の被塗布基材の形状や配置によらず好適にコーティングを行うことのできるアプリケータが望まれていた。
従って、本発明の課題は、前記の先行技術が有する前記の問題点を踏まえ、コーティング溶液の粘度,水性/有機溶剤系の別,ゾル状態の微粒子含有の有無,濃度,および被塗布基材の水平/垂直状態、平面/曲面の別をいずれも問わず、ガラスや外壁面等に塗布を行なわなければならない現場施工においても容易に均一コーティングが可能な塗布用具、すなわちアプリケータを提供することにある。
そこで、本発明者は、前記の如き窓ガラス等の現場におけるコーティング技術の状況に鑑み、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ガラス板にコーティング溶液を塗布するにあたり、メラミンフォームに代表される多孔質弾性体からなる給液層と、不織布に代表される異種の多孔質弾性体とからなる塗膜形成層とを積層してなるアプリケータによれば、前記の課題の解決が可能となることを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、
コーティング溶液を保持し供給する給液層と該給液層から供給される該溶液を被塗布基材に塗布する塗膜形成層とを積層してなるコーティング用アプリケータであって、前記給液層および塗膜形成層が、それぞれ互いに異なる少なくとも1種の多孔質弾性体からなることを特徴とするコーティング用アプリケータ
が提供される。
本発明は、前記の如く、給液層と塗膜形成層とを積層してなるコーティング用アプリケータを提供するものであるが、さらに好ましい実施の態様としては、次の(1)〜(11)に掲げるものを包含する。
(1)前記塗膜形成層の多孔質弾性体の3種の溶媒のうち少なくとも1種の溶媒に対する吸液上昇速度が表1に示す試験方法により測定して1分間に20mm以上であるアプリケータ。
(2)前記塗膜形成層を構成する多孔質弾性体が、不織布、または密度が5乃至15kg/m、気孔率が80乃至97%、平均孔径が20乃至400μmの架橋ポリビニルアルコール多孔質弾性体である前記アプリケータ。
(3)前記給液層を構成する多孔質弾性体は、密度が10乃至40kg/mのメラミンフォームである前記アプリケータ。
(4)前記給液層を構成する多孔質弾性体は、密度が30乃至100kg/m、発泡セル数が25mmあたり20乃至100の連続気孔構造を有するポリウレタンフォームである前記アプリケータ。
(5)前記多孔質弾性体と該多孔質弾性体を格納保持した断面コの字型のチャンネル材とからなる前記アプリケータ。
(6)前記多孔質弾性体と、該多孔質弾性体を格納保持した断面コの字型チャンネル材と、該チャンネル材の両端部にそれぞれ接続した液漏れ防止手段とからなる前記アプリケータ。
(7)前記塗膜形成層と、前記給液層とを積層させ、さらに該給液層上に接合してなる支持体層とからなる前記アプリケータ。
(8)前記塗膜形成層と、前記給液層とを積層させ、さらに、前記給液層上に接合してなる支持体層と、該支持体層の長手方向に設けた切り込み溝に装入したワイヤーとからなる前記アプリケータ。
(9)前記コーティング溶液が、微粒子含有の光触媒塗料である前記アプリケータ。
(10)前記コーティング溶液が、紫外線吸収剤含有の紫外線遮蔽塗料である前記アプリケータ。
本発明にかかるアプリケータは、被塗布基材と直接接触する塗膜形成層が不織布または所定の物性値を有する架橋ポリビニルアルコール発泡体(以下、本明細書において、「PVA発泡体」または「PVAフォーム」ということがある。)からなるものである。従来から、複数の多孔質弾性体を積層したアプリケータは存在していたが、いずれも塗膜形成
層に相当する部分の網目が粗く、コーティング溶液の均一な塗布は困難であった。また、前記先行文献1に記載の塗工器具に関する発明において採用されているスポンジは、特に低粘度の光触媒塗料や紫外線遮蔽塗料などの微粒子含有のコーティング溶液を塗布するには塗装斑を生ずることがあり、本発明の如く塗膜形成層に不織布または所定の架橋ポリビニルアルコール発泡体を用いることにより該塗工器具の塗装性能を更に向上させることが可能となる。
本発明に係るアプリケータによれば、コーティング溶液の物性や被塗布基材の配置および形状によらず、塗装斑やアプリケータ脱落屑の少ない高品質のコーティングが可能となる。また、本発明に係るアプリケータは単純な構成からなり、専用の大規模装置を持ち込むことの困難な現場作業においても好適に用いることができるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。但し本発明は以下の各実施の形態に限定されるものではない。本発明にかかるコーティング用アプリケータは、塗布面に対して直接コーティング溶液を塗布する塗膜形成層と、該塗膜形成層にコーティング溶液を供給する給液層を積層してなることを特徴とする。
給液層に求められる特性は、保液容量が高く、塗料の粒子とベヒクルが分離しない程度の好適な孔径を有し、アプリケータを押圧した際に保持しているコーティング溶液を適切に塗膜形成層に供給できることである。また、耐溶剤性や洗浄性が高いことが更に望ましい。また、給液層は被塗布基材と直接接触しないため、引張強度や表面の平滑さを特別に高く要求されるものではない。給液層を構成する多孔質弾性体は、連続気泡構造を有し、上記の条件を満足する多孔質弾性体であれば特に制限されるものではないが、具体的には、所定の物性値をもつメラミンフォーム、ポリウレタンフォーム、または架橋ポリビニルアルコール発泡体等を挙げることができる。
具体的には、密度10乃至40kg/m、吸水率800%程度のメラミンフォームや、密度30乃至100kg/m、吸水率600%程度、孔数20乃至100個/25mmのポリウレタンフォーム、または密度5乃至15kg/m、気孔率80乃至97%、平均孔径20乃至400μmの架橋ポリビニルアルコール発泡体等を使用することができる。上記のうちメラミンフォームやポリウレタンフォームは、吸水率はいずれも600%以上もあって極めて高いため、給液層に用いることが好ましい。
給液層に用いる多孔質弾性体の第一の例であるメラミンフォームは、例えば以下の方法によって得ることができるが、製法はこれに限定されるものではない。
メラミンフォーム原料の発泡補助剤としてのハイドロフルオロエーテル(沸点60℃)と、発泡剤および溶媒として作用する水(沸点100℃)がマイクロウェーブ照射により気化をさせる。気化によって発生したガスは、前記メラミンフォーム原料を内部から膨張(発
泡)させる。この膨張の進行に伴って、前記メラミンフォーム原料内の温度も順次上昇し
、これによりメチロールメラミン樹脂の縮合反応が開始される。沸点の低い前記ハイドロフルオロエーテル等の発泡剤が完全にガス化し切る段階から、水の気化ガスによる膨張と共に、これまでの発泡により形成された骨格の硬化反応が進行し始める。前記水のガス化による発泡に伴って骨格の硬化反応が進行し、最終的に該水のガス化が終了し、また硬化反応も終点を迎えると共に、骨格間に形成されたセル膜が気化した発泡剤等により破壊される。蒸発物の消失により更なる温度の上昇が始まり、得られた骨格のキュアがなされる。
得られる骨格はその大きさ等は主として発生するガス量等によって決定される。すなわ
ちガスの発生が偏れば、一部分だけ発泡が進行し、その他の部分は充分な発泡がなされない不均質な骨格構造となってしまう。前記ガスの発生は、基本的に照射されるマイクロウェーブの均質性と、該マイクロウェーブ照射による加熱の均質性に影響される。マイクロウェーブ照射の深残に対する均質性については、他の加熱方法に較べて大きく高いものの、該マイクロウェーブが直接照射される部位と、間接的に照射される部位、例えばメラミンフォーム原料の平面方向における中心部と端部とで不均質となってしまう。該マイクロウェーブ照射が均質だとしても、前記メラミンフォーム原料の流動性、初期および発泡中における各原料分布の全体的に均質とし得るものではなく、部分的に流動性や密度に違いが生じてしまう。
かように、メラミンフォームは、ポリウレタンフォームなどに比べれば均質性に富むとはいえ、密度斑が本質的に存在するので、この多孔質弾性体単独でアプリケータとしてコーティング溶液を塗布すると塗膜の均質性では不十分なものとなる。その上、メラミンフォームの強度は、たとえば引張強度の例では1.7kg/cm程度と弱く、材料自体が脆いために塗布の摩擦で破片になって塗布面に残すおそれが十分にあり得るので、塗膜形成層として使用することは好適でない。
一方で、給液層としてのメラミンフォームはほとんどの溶剤に耐性があるので種々の塗料に広く応用することができ好適である。密度10〜40kg/mの範囲で孔径は20〜200μmの範囲になるが、これらは塗料に分散された一般に数μmまたはそれ以下の微粒子径の大きさよりは十分に大きいために、塗料の粒子とベヒクルを分離することなく給液層として使用することができる。
給液層に好適に用いられる多孔質弾性体の第二の具体例であるポリウレタンフォームについても、その製法は特に限定されるものではない。また、例えば、以下に示す如く、組織内部ばかりでなく表面でも周方向に均質となるポリウレタンフォームを用いることは、塗膜形成層へのコーティング溶液の供給がより均質になるという意味で好適である。
すなわち、ポリウレタン軟質スラブフォームを加工する方法において、該ポリウレタン軟質スラブフォームをその発泡方向に切断し、所定厚さのスラブフォームからなる板状体を得、その板状体の幅方向を発泡方向に切断して、横断面が略方形の角柱体とするという、ポリウレタンフォームの製造方法である。
前記のメラミンフォームまたはポリウレタンフォームを本発明に係るアプリケータに用いる場合、独立気泡構造は物理的処理などで連通孔を持った構造にすることができ、給液構造を取ることができる。
給液層に好適に用いられる多孔質弾性体の第三の具体例であるフォルマール化やアセタール化(以下、断りなき場合、両者を含め代表的表現として「フォルマール化」と記載する。)に代表される架橋ポリビニルアルコール発泡体の製法も特に限定されるものではなく、例えば、原料樹脂の溶融または溶液の状態において、空気、不活性ガス等の気体を導入し、樹脂を押し出した際の圧力変化により気泡を形成させる気体混入法、原料樹脂の粉体を焼結する焼結法、原料樹脂に発泡剤を混入し、温度を変化させることにより発泡剤を分解させる発泡剤分解法等を利用して製造されたものを用いることができる。
以下に、本発明に係るアプリケータの給液層に好適に用いられるフォルマール化ポリビニルアルコール発泡体(以下「PVA発泡体」または「PVAフォーム」ということがある。)の製法を例示する。すなわち、平均重合度1500の完全ケン化PVA400gを水に投入し、全量を2000mlとし、これを加熱してポリビニルアルコールPVAを完全に溶解する。次いで、水を加えて全量を3100mlにし、攪拌しながら冷却し温度8
4℃のPVA水溶液を用意する。次に、トウモロコシ澱粉150gを500mlの水に分散し12℃に調製した分散液を、先に用意したPVA水溶液に加え、全体が均一になるまで十分に攪拌混合する。上記PVAと澱粉との混合液が50℃まで冷却した時点で、37%ホルムアルデヒド水溶液500mlと50%硫酸900mlとを加え、均一に攪拌混合し、これを反応液とする。得られた反応液を、80℃に加熱したベルトコンベヤ上に流し込む。反応液はベルトコンベヤ上にシート状に流延する。該反応液をベルトコンベヤ上で10分間加熱して架橋反応を施し、シート状をした反応生成物を得る。引き続き、得られた反応生成物をベルトコンベヤから剥離し、十分に水洗し澱粉等を除去してPVA系多孔質シートとなす。得られたPVA系多孔質シートは、厚さ5mmで、気孔径40〜50μmの連続気孔を有する均質な多孔質構造体であり、見掛け密度0.15g/cc、50%圧縮強さが84kg/cmの湿潤時に好ましいゴム弾性を有するものである。
かかるフォルマール化ポリビニルアルコールの発泡体は造孔剤のデンプン粒などの種類に基づく粒子の大きさに依存し、30乃至400μmの平均径のものが選択使用される。デンプン粒の場合は米,麦,トウモロコシ等の穀類、馬鈴薯,甘薯,タロイモ等の芋類等が挙げられる。孔径分布はデンプン粒子が決めるために、ポリウレタンやメラミンなどの制御のむずかしい揮発性ガスで発泡するものに比べてきわめて精度の良い孔径に揃うことが特長である。また上記製法によって作られたフォルマール化ポリビニルアルコール発泡体は吸水率が1000乃至1300%ときわめて大きい。
一方、給液層と積層する塗膜形成層に求められる多孔質弾性体の特性は、引張強度、特に横方向の引張強度が高くて脱落屑が少なく、表面平滑性が高く塗膜が均一に形成されることである。好適な具体例の第1として、目付50乃至130g/m、厚さ0.1乃至3.0mm、好ましくは0.15乃至2.4mm、引張強度は縦・横方向とも40N/50mm以上、好ましくは50N/50mm以上、を満たす不織布が挙げられる。また、繊維その他の弾性体構成成分のくずが表面から発生しない摩耗強度も兼ね備えることが必要である。不織布にとって、引張強度、特に横方向の引張強度が、いずれも40N/50mm以上であることが好適である。
本発明に係るアプリケータの多孔質弾性体として用いられる不織布は、繊維集合体から糸の段階を経ずに直接布状としたものであり、短繊維またはフィラメント(および孔あきフィルム)を機械的、熱、化学的な手段を用いて接着または交絡させることにより得られるシート状またはウェブ構造のものである。不織布の原料としては、種々の繊維が用いられるが、例えばポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、炭素繊維等を挙げることができ、ポリエステル、ポリオレフィン、特にポリプロピレン、ポリエチレン等が好適である。
ポリオレフィン系不織布は、通常の繊維からなるものでよいが、芯成分がポリプロピレン、鞘成分がポリエチレンである芯鞘構造を有する繊維を用いることもできる。
また、有機溶媒系コーティング溶液に対してはポリオレフィン系不織布がそのまま使用することができるが、前記の光触媒塗料の如き、水系コーティング溶液の塗布に対しては親水化処理をしたポリオレフィン系不織布が好ましい。
親水化処理方法としては、従来、ポリオレフィン繊維に対して行なわれている方法であれば、特に限定されるものではないが、特に、スルホン化処理、フッ素化処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、プラズマ処理等を挙げることができる。
スルホン化処理としては、例えば、発煙硫酸、硫酸等で処理すればよいが、発煙硫酸によるスルホン化処理は、反応性が高く、比較的容易にスルホン化することができるため利用することが好ましい。処理条件は任意に選択すればよいが、例えば、不織布を2m/分
程度の測度で約10〜20重量%の発煙硫酸浴に浸漬することによりスルホン化が行なわれる。
フッ素化処理は、例えば、不活性ガスで希釈したフッ素ガスに酸素ガス、二酸化炭素ガス、二酸化硫黄ガス等を添加、混合したガスが用いられる。親水化処理としては、不織布に二酸化硫黄ガスを予め付着させた後にフッ素ガスを接触させる方法が効率的・恒久的で好ましいとされている。
また、ビニルモノマーのグラフト重合処理としては、ビニルモノマー、例えばアクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルオピロリドン等が使用される。
これらのビニルモノマーの重合方法は、ビニルモノマーと重合開始剤を含む溶液中に不織布を浸漬、加熱する方法、不織布にビニルモノマーを塗布した後、放射線を照射する方法、不織布に放射線を照射した後にビニルモノマーを接触させる方法等がある。
プラズマ処理としては、大気圧プラズマ処理、すなわち、1気圧付近で不織布にグロー放電を行い、プラズマを照射する方法が採用される。例えば、アルゴン、ヘリウム等の不活性元素含有ガスをプラズマ発生装置に導入し、1気圧付近でグロー放電を行ないプラズマ励起を行なうことにより、プラズマ発生装置内の電柱間に設置された不織布の繊維表面を改質する。プラズマ処理によれば不織布自体の処理が行われ、元素組成化変化により親水性が改良される。
以上の如き、例示した方法でポリオレフィン系不織布繊維の親水化処理を行なうことができる。
かかる親水化処理は、繊維のごく表面の分子レベルで行なわれるものであり、繊維表面は毛細管現象でコーティング溶液のべヒクル(水)で濡れやすくなるものであり、塗膜形成および平準化に対し著しい効果を奏するものである。かくしてポリオレフィン系不織布の親水化処理によりコーティング溶液の配合成分に与える影響はない。
これに対し、天然繊維による不織布は繊維自体が吸水膨潤し、コーティング溶液のべヒクルを選択吸収し配合成分を変えるという問題があるが、特に、合成系ポリオレフィン系不織布および親水化処理されたポリオレフィン系不織布を用いることにより、かかる問題点を解消したものである。
また、前記不織布としては、各種の製造方法により得られるものを用いることができるが、特にスパンボンド法、メルトブローン法によるものが引張強度が優れている点で好ましい。両方法は、いずれも紡糸直結方式であり、溶融高分子溶液から紡糸された繊維を集めて直接ウェブとするものであり、スパンボンド法によれば紡糸口金から多数のフィラメントを押し出し、それらを走行するベルト上に集めてウェブとし高温状態のフィラメントはフィラメントどうしで熱融着させたものである。メルトブローン法では溶融した高分子溶液をダイから押し出すときに高速高温空気で吹きとばし、ベルトまたは金網上で集めてウェブとするものであり、冷える途中で繊維を互いに接着させて得られるものである。
不織布の目付や厚さが前記下限を下回ると給液層からコーティング溶液を引き出す力が弱くなり、逆に前記上限を上回るとコーティング溶液の保持力が強すぎて塗膜厚さが十分に出なくなる。塗膜の均一性を高めるためには、目標とする塗膜厚さを塗料の粘度に応じて選択するとよい。一般にはコーティング溶液の粘度が低いほど塗膜形成層は厚く、粘度が高いほど塗膜形成層は薄くするとよいが、これに限られるものではない。
塗膜形成層に用いられる多孔質弾性体の第2の具体例は前述の架橋ポリビニルアルコー
ル発泡体である。該発泡体は、メラミンフォームやポリウレタンフォームと比べて十分な強度および孔径の均一さを有しているため、塗膜形成層を構成する多孔質弾性体としても選択しうる。
また、塗膜形成層として用いられる多孔質弾性体に求められる物性として、更に溶媒吸収速度を挙げる。すなわち吸収速度が速く、吸収性に優れる材料は、給液層からのコーティング溶液の供給をスムーズかつ均質に行うことができ、またコーティング溶液の濡れ性が良いことから塗布面に塗布した塗膜を平準化する能力に優れるものといえる。
本発明に係るアプリケータに用いられる多孔質弾性体の性能評価としての「吸液上昇速度」は、表1で示す測定方法により求める。
前記の表1の測定方法により、実施例等で用いる各種多孔質弾性体について吸液上昇速度を求めたところ、表2に示す結果を得た。
前記表2より明らかなように、ポリウレタンフォームおよびメラミンフォームはいずれの溶媒に対しても吸液上昇速度20mm/分を超えることはなかった。これに対し、前記の如く所定の物性を有するPVAフォームおよび不織布は吸液上昇速度が30mm/分を超え、溶媒吸収速度に優れることが分かる。
以上の観点より、前記のPVAフォームおよび不織布は、強度、表面平滑性および溶媒吸収速度のいずれの観点からも優れており、塗膜形成層として好適に使用できるものといえる。
塗膜形成層としての十分な表面平滑性や塗膜均一性は吸液上昇速度および厚さによって、またアプリケータ脱落屑の少なさは横方向(弱方向)の引張強度によって、それぞれ実現される。不織布は塗膜形成層に使用し、上述の給液層と積層して用いることが好適である。またこの場合、耐溶剤性の高い給液層の多孔質弾性体はアプリケータの長期間の使用によっても交換する必要性は乏しく、塗膜形成層たる不織布のみをその劣化時に交換すればよいため経済的である。
給液層と塗膜形成層の接合方法は、両層の間を互いにコーティング溶液が往来可能であり、塗膜形成層の気孔の均一性を損なわず、かつ被塗布基材へのアプリケータの押圧時にも塗膜形成層が給液層から剥離しない強度であれば特に限定されるものではない。具体的には、接着剤、粘着剤、または熱融着加工などの化学的接合のほか、継ぎ手接合やチャンネル材への圧入などの物理的接合からも適宜選択しうる。前記熱融着加工としては、サーマルボンド熱カレンダー法による点付けまたは温熱法等が採用される。また、前記熱融着加工における点付けの融着面積の合計は全接触面積の10〜20%程度とすることが、接合強度を保持しながらコーティング溶液の供給も十分に行なうことができ好適である。
なお、本発明に係るアプリケータを用いてコーティング溶液を手塗りする場合、塗布量の管理や変更は、アプリケータの押圧加減によっても行うことができることが好ましい。
従って、給液層の望ましい機能には、コーティング溶液を単に保持するだけではなく、適切な押圧時に適量のコーティング溶液を塗膜形成層に供給でき、押圧と塗布量の関係が制御できることにもある。そのため、給液層として特に好適に用いられる上述のフォルマール化ポリビニルアルコール発泡体、メラミンフォーム、ポリウレタンフォームなどにはそれぞれ好ましい密度範囲を規定し、適度の耐変形性を要求している。
アプリケータは塗布面垂直方向の厚さで3mm以上、好ましくは10mm以上100mm以下、塗布面進行方向で5mm以上、好ましくは20mm以上100mm以下、塗布巾は被塗布基材の巾に応じた状態で使用する。また、給液層の形状を保持し、塗膜形成層が被塗布基材に均一に当接するよう、図5に例示する第一の実施の形態の如く、給液層には発泡スチロールや樹脂などからなる支持体層を接着することも好適である。同様の理由により、給液層を断面コの字型のチャンネル材に装填して、塗布面(塗膜形成層)をチャンネル材から突出させた状態にして使用することも好適である。
図5および図5−1において、1は塗膜形成層、2は給液層、3は支持体層を表わす。給液層2は図示しない接着剤または熱融着加工により塗膜形成層1および支持体層3と接合し、これらを一体化している。これにより作業者は支持体層3部分を把持し、コーティング溶液により手を汚さずともコーティング作業を行うことができる。
一方、図6および図6−1に示す第二の実施の形態の如く、断面コの字型のチャンネル材に図5に示した塗膜形成層、給液層および支持体層からなる積層体を装填してアプリケータを構成する場合、かかるチャンネル材のサイズは、塗布面垂直方向の厚さ(図中上下方向:チャンネル材の高さに相当)で望ましくは10mm以上100mm以下、塗布面進行方向(図中横方向:チャンネル材の巾に相当)で5mm以上、望ましくは20mm以上100mm以下、塗布巾(図中奥行方向:チャンネル材の長さに相当)は塗布基材の巾に応じた状態で、たとえば、90cmのガラス窓巾には90cm等が選ばれて使用するのが好ましい。チャンネル材は、巾可変型で更には把手をつけたものも好ましい一態様である。また、本発明の実施の形態では、給液層2と支持体層3を接合し、これを塗膜形成層たる不織布1で包んだ上でチャンネル材6に圧入するという構成をとる。これは不織布1の劣化時にその交換を容易にするものである。塗膜形成層がポリビニルアルコール発泡体の場合も同様である。
給液層を断面コの字型のチャンネル材に格納するに際しては、チャンネル材と給液層のズレや脱落を防止するため、チャンネル材内面に突起を設け、給液層と嵌合することも好適である。
図7は断面コの字型のチャンネル材を用いたアプリケータの模式的断面図であり、塗膜形成層1と給液層2を積層した積層体をチャンネル材6より脱離した状態を示している。図中、左右方向が塗布方向であり、紙面に対する面外上下方向が塗布巾(チャンネル材長手)方向である。給液層2には塗布面と反対側の底部に切り込み5を設けておく。一方、チャンネル材6には内面に長手方向に沿って突起部7を設け、これを切り込み5と嵌合することにより塗膜形成層と給液層の積層体をチャンネル材6にて好適に保持することができる。なお突起部7や切り込み5の形状および配置は、かかる例示になんら限定されるものではない。
図8は、塗布側を下側に向けた第三の実施の形態を表わす模式図である。1は塗膜形成層、2は給液層、3は支持体層、6は下側が開放のチャンネル材、11は両端部の液漏れ防止手段の具体例としての液漏れ防止パッキンである。液漏れ防止パッキン11は発泡スチロールや樹脂などからなり、支持体層3の材料と同一であっても相違してもよい。同図では塗膜形成層1として厚さ2mm程度のPVAフォームを用い、給液層2および支持体
層3を包み込んだ状態でチャンネル材6に圧入している。なお同図では、給液層2や支持体層3が見えるよう、塗膜形成層1の左側を一部切り裂いた状態で示している。液漏れ防止パッキン11の存在により、チャンネル材6の両側端からコーティング溶液が漏れることが防止できる。コーティング溶液の塗布方向を矢印にて示す。
本発明の更なる実施の形態としては、アプリケータの支持体層に設けた切り込み溝に対して金属部材を添着し、作業者が手または冶工具にてこれを屈曲自在に折り曲げ、アプリケータを被塗布面の外形形状にあわせることを可能としたものを挙げることができる。すなわち球体ガラスや凹/凸面鏡などの被塗布面に対してコーティング溶液を塗布する場合、アプリケータ自体の形状を該球体などの曲率に合わせて湾曲させることにより、均一なコーティングが可能となることを意味している。かかる第四の実施の形態を図9に示す。1は塗膜形成層としてのポリビニルアルコール発泡体、2は給液層、3は支持体層、4は切り込み、8は金属部材の例としての金属ワイヤーである。
塗膜形成層や給液層に用いられる多孔質弾性体は、曲げ剛性が低く手作業により容易に湾曲させることができる。しかし、湾曲させた積層体はスプリングバックにより元形状に戻ろうとするため、特に、支持体層に設けた切り込み溝に対して、金属ワイヤーを屈曲自在に装入し、これを塑性変形させることで、塗膜形成層、給液層および支持体層(以下、「積層体」という。)の湾曲形状を保つことが可能となる。
塗膜形成層の折り曲げ方向は、塗布面垂直方向および塗布面進行方向のいずれをも許容することが好適である。塗布面の面外方向に積層体を折り曲げることで凹凸のある様々な形状の被塗布基材に対応することができ、また塗布面の面内で折り曲げることによって円形形状などの被塗布面に好適にコーティングを施すことが可能となる。
かかる金属部材の材質、形状、および積層体への添着方法は特に限定されない。材料は、例えばアルミ、鉄、タングステン、チタン、ニッケル、またはこれらの合金などから適宜選択しうる。なお、かかる材料は金属に限らず、適度な曲げ剛性を有し手作業により塑性変形をする材料であれば好適に使用することができ、例えば樹脂類などを除外するものではない。形状は、円形その他の断面形状を有するワイヤー状、薄板状などを採ることができ、特に直径1.5〜3mm程度のチタン・ニッケル合金ワイヤーが曲げ剛性や強度の観点から好適に用いられる。添着方法も、例えば金属ワイヤーを支持体層等内部に貫通させる方式、支持体層に切り込み溝を設け、かかる切り込み溝の内部に金属ワイヤーを非固定状態で装填する方式、薄板を支持体層の底面に接着する方式などを採りうる。また上述のように断面コの字型のチャンネル材にアプリケータを格納する方式の場合は、チャンネル材を長手方向に適宜分割し、アプリケータの湾曲を許容する必要がある。
かかる金属部材を添着したアプリケータについて、第五の実施の形態を図9に示す。積層体は不織布からなる塗膜形成層1とメラミンフォームからなる給液層2を積層してなり、これにポリスチレンからなる支持体層3を接合してある。支持体層3には切り込み4を設け、ここに金属ワイヤー8が塗布巾方向に貫通しており、これを積層体とともに折り曲げることにより、ワイヤー8の塑性変形によって積層体の湾曲形状が保持される。
かかるアプリケータによれば、凸型の被塗布基材に対して好適にコーティング作業を行うことができる。なお、本実施の形態では金属ワイヤー8を支持体層3の切り込みに屈曲自在に装入してある。支持体層3の切り込み溝4内に装入してある金属ワイヤー8は、支持体層に固着したものではなく、切り込み内で屈曲自在に設置したものである。従って、支持体層が被塗布基材の形状に応じて湾曲等変形する際に、前記金属ワイヤー8は、支持体層と密着していないので、支持体層の変形に対して密着による抵抗なしに対応することができる。また、給液層の材料剛性などによっては支持体層を用いずに金属ワイヤー8を
給液層2に直接貫通させる方式を採ってもよい。
また、支持体層3には把手10が複数箇所設けてある。把手10は作業者がこれを把持し、塗布面進行方向にアプリケータを滑らせるためのものであり、その個数および配置は同図に示すものに限られるものではない。
支持体層3および把手10を有する、本発明に係るアプリケータの第六の実施の形態について、図10に斜視図を、同図中X−Xで切った積層体およびチャンネル材の断面図を図11に、それぞれ示す。
図12は、チャンネル材6を塗布方向に8つに分割し、積層体の折り曲げを可能とした仕組みを示したものである。積層体には切り込み溝が設けられ金属ワイヤー8が塗布巾方向に装入され、該ワイヤーの塑性変形により積層体の湾曲形状を保持することができる。また、該チャンネル材6には鍾9または把手10が設けられており、所定の重量をもつ鍾9は、被塗布基材に対し、アプリケータを密着させ、適量のコーティング溶液を排出する機能を有するものである。
以下、本発明について、実施例および比較例を用いて更に詳細に説明する。もっとも、本発明は、これらの実施例等により限定されるものではない。
各実施例および比較例において、給液層および塗膜形成層にはそれぞれ下記の多孔性弾性体を用いた。また、その他の処理工程については下記に示す通り、全ての実施例および比較例について共通とした。
<A 給液層>
A1)メラミンフォーム:
アライ化成製「メラミンフォーム」:密度11.0kg/m,引張強度1.7
kg/cm2,吸水率820%
A2)ポリウレタンフォーム:
イノアック社製「MF50」:密度35kg/m,孔数50個/インチ=単純
計算の平均孔径500μm,引張強度147kg/cm2以上,吸水率560%
A3)アセタール化ポリビニルアルコール発泡体:
四谷ゴム工業社製「PVAスポンジ#130」:密度0.15g/cm,引張
強度14kg/cm,伸び30%,25%変形圧縮強さ8kg/cm,吸水
率1250%
<B 塗膜形成層>
B1)アセタール化ポリビニルアルコール発泡体:
A3)と同一材料。
B2)不織布:
旭化成(社)製合繊長繊維不織布「ELTASポリプロピレン P03070」
目付75g/m,厚さ0.46mm,横方向引張強度70N/50mm。
(引張強度;JIS L−1085により測定。)
B3)不織布:
PO乾式不織布「日本バイリーン製プラズマ処理品」
目付81g/m,t0.22mm。
<光触媒塗料>
D1)光触媒塗料1
光触媒ゾル(石原産業(株)製,商品番号:STS−01,固形分濃度30重量%,平均粒子径7nm)、コロイダルシリカ(粒子径20nm)を固形分重量比50:50に混合し、エタノール及び水を用いて固形分10重量%になるように希釈し、硝酸でpH=2.0になるように調整して光触媒層用塗布液を調製した。
<紫外線遮蔽液>
C1)紫外線遮蔽液1
無機酸化物微粒子として、酸化アルミニウム水和物で被覆された平均粒子径0.
04μmの略球状二酸化チタン微粒子(TTO−55(B):石原産業製)を用
い、容量70cmのガラス製ベッセルにし込み、ペイントシェーカーにて3時
間分散させ、分散液を得た。
・分散液… 22.54g
・アクリル系樹脂:アクリディック47−712(大日本インキ化学工業製)
[不揮発分50%]… 5.66g
・ブチル化メラミン系樹脂:スーパーベッカミンL117(大日本インキ化
学工業製)[不揮発分60%]… 1.65g
・トルエン/酢酸ブチル混合溶剤(重量比1/1)… 21.2g
C2)紫外線遮蔽液2
1段階目配合剤A
・溶剤(BPエトキシプロピルアセテート)協和発酵工業社製品 …200g
・ベンゾフェノン(「KEMISORB 1001」ケミプロ化成社製品)…60g
・シリコン樹脂(「A1310」日本触媒社品)…90g
以上の1段階目配合剤A:350gを特殊な貯蔵法で数日間貯蔵し、更に以下
の配合をする。
2段階目配合
・配合剤A…350g
・溶剤(ブチセルアセテ−ト)… 150g
・溶剤(BPエトキシプロピルアセテート)協和発酵工業社製品… 350g
・アクリル樹脂(「ゼムラックYC5920」キシレン溶解40%濃度品、カ
ネカ社製品… 150g
C3)紫外線遮蔽、熱線吸収剤
1段階目配合A
・溶剤(BPエトキシプロピルアセテート)協和発酵工業社製品… 210g
・ベンゾフェノン(「KEMISORB 1001」ケミプロ化成社製品)… 60g
・シリコン樹脂(「A1310」日本触媒社品)… 80g
以上の1段階目配合剤A:350gを特殊な貯蔵法で数日間貯蔵し、更に以下の
配合をする。
2段階目配合
・配合剤A… 350g
・溶剤(ブチセルアセテ−ト)… 100g
・溶剤(BPエトキシプロピルアセテート)協和発酵工業社製品… 180g
・アクリル樹脂(「ゼムラックYC5920」キシレン溶解40%濃度品、
カネカ社製品… 150g
・赤外線吸収剤(「ATO分散液」アンチモンドープ酸化スズ超微粒子赤外線
遮蔽材料、住友大阪セメント社製品… 220g
<ガラス板の清浄前処理>
ガラス板は厚さ5mm,10cm×30cmの大きさのものを用意した。水性塗料の塗布には、アルカリ液で洗浄後POE系ノニオン界面活性剤主体の家庭用洗剤でガラス板の汚れを落としてから十分に純水で水洗浄、乾燥した。溶剤系塗料の塗布にはイソプロピルアルコールで十分に清浄拭き取りをした。
<アプリケータでの塗布>
調製した接着層用塗布液を乾燥膜厚2μmなるようにアプリケータにて1度塗り法で塗
布し、室温で4時間乾燥後、さらに塗布の反対面から赤外線ヒーターで加熱して乾燥キュアした。
(実施例1)
給液層をメラミンフォーム(A1)、塗膜形成層をPVAフォーム(B1)にて構成したアプリケータである。かかるアプリケータの構成、および脱落屑,表面平滑性,塗膜均一性の観点から行った評価結果を表3に示す。
(実施例2)
給液層をポリウレタンフォーム(A2)、塗膜形成層をPVAフォーム(B1)にて構成したアプリケータである。かかる構成、および脱落屑,表面平滑性,塗膜均一性の観点から行った評価結果を表3に示す。
(実施例3)
給液層をメラミンフォーム(A1)、塗膜形成層を不織布(B2)にて構成したアプリケータである。かかる構成、および脱落屑,表面平滑性,塗膜均一性の観点から行った評価結果を表3に示す。
(実施例4)
給液層をポリウレタンフォーム(A2)、塗膜形成層を不織布(B2)にて構成したアプリケータである。かかる構成、および脱落屑,表面平滑性,塗膜均一性の観点から行った評価結果を表3に示す。
(実施例5)
給液層をアセタール化ポリビニルアルコール発泡体(A3)、塗膜形成層を不織布(B2)にて構成したアプリケータである。かかる構成、および脱落屑,表面平滑性,塗膜均一性の観点から行った評価結果を表3に示す。
(実施例6)
給液層をポリウレタンホーム(A2)、塗膜形成層を不織布プラズマ処理品(B3)にて構成したアプリケータである。かかるアプリケータの構成、脱落層、表面平滑性、塗膜均一性の観点から行なった評価結果を表3に示す。
(比較例1)
塗膜形成層と給液層をいずれもメラミンフォーム(A1)にて構成した1層型のアプリケータである。構成および評価結果を表3に示す。
(比較例2)
塗膜形成層と給液層をいずれもポリウレタンフォーム(A2)にて構成した1層型のアプリケータである。構成および評価結果を表3に示す。
表3において、項目ごとの評価方法は以下の通りである。なお段階評価は、◎(良好)>○(良)>△(やや劣る)>×(劣る)>××(かなり劣る)とした。
1)脱落屑…1m分を10cm角に裁断して純水に浸漬し、15分間超音波処理し、
サンプル取り出し後の水を黒色濾紙で濾過。屑の数をルーペで目視計算し、単位面
積あたりの個数(個/m)にて評価した。
2)表面平滑性…表面の60倍顕微鏡写真をデジタルカメラで撮影し、それを2階調処
理して均一性を目視にて評価した。図1〜4はそれぞれ素材A1,A2,A3=B
1,B2それぞれの表面のデジタルカメラによる顕微鏡写真である。
3)塗膜均一性…20mmコの字型チャンネル材に試験素材を把持させたアプリケータ
にて、前記紫外線遮断剤を前記ガラス板に2μm厚さで一度塗りをして乾燥。乾燥
後、ピーク波長360nmのブラックランプで照射して反対面からミノルタ社製ラ
ジオメータ(受光部UM36/UM−1)で5cmおきに5ケ所UV透過率を測定
し、UVカット率の最低値を求め評価した。
以上の結果より、実施例1乃至5についていずれも脱落屑、表面平滑性、塗膜均一性ともに良好な結果を得た。一方、比較例1は特に脱落屑および塗膜均一性について、比較例2は全ての評価項目について特に劣る結果となった。これらを総合的に判定すると本発明に係るアプリケータは、塗膜形成層にPVAフォーム(B1)または合繊長繊維不織布(B2)を用い、これを様々な給液層と積層することで良好な品質の塗膜を実現することが可能となったものといえる。
次に、評価項目ごとに具体的に考察を加える。脱落屑については、塗膜形成層にPVAフォーム(B1)を用いた実施例1,2、および合繊長繊維不織布(B2)を用いた実施例3〜5がほぼ同等の結果である一方、各比較例は1〜2オーダー劣る結果となっている。比較例1、2で用いたメラミンフォーム(A1),ポリウレタンフォーム(A2)は、いずれも引張強度が充分でないため、アプリケータの押圧による摩耗により脱落屑を多数生じたものと考えられる。
表面平滑性についても、実施例1乃至5で用いたPVAフォーム(B1)および合繊長繊維不織布(B2)は図3,4に示すように極めて微細かつ均質な空孔を有していることが分かる。これに対し、比較例1に用いたメラミンフォーム(A1),および比較例2に用いたポリウレタンフォーム(A2)は、素材表面の空孔のサイズおよび分布に斑があり、観察結果を不良とした。なお、合繊長繊維不織布(B2)にはニードルの穿孔があるため観察結果はPVAフォーム(B1)に劣るが、塗液溶媒の吸液速度が高いため後述のように塗膜均一性を損なうことはなかった。
塗膜均一性は塗膜形成層の表面平滑性と相関があり、実施例1乃至5はいずれも好適であったが、比較例1、2はいずれも実施例と比較して1オーダー高いUV透過率となった。これは多孔質弾性体表面の空孔のサイズや配置の斑によって、塗液の塗り斑や、塗布された塗液の局所的な掻き取りが行われたためと推測される。また、紫外線遮蔽剤C2およびC3による紫外線遮蔽効果の高さもあわせて示された。
本発明は、平面/曲面または水平/鉛直を問わずガラスや外壁等の基材表面に好適にコーティングを施すことのできるアプリケータを提供するものである。コーティング溶液や被塗布基材を選ばず、かつ特別な装置を用いることの難しい現場作業においても高品質のコーティング作業が可能となるため、窓ガラスや自動車等への光触媒塗装、紫外線遮蔽塗
装、外観塗装、電磁波遮蔽塗装、抗菌性塗装など、幅広い産業分野に対して利用することが可能である。
多孔質弾性体A1(メラミンフォーム)表面の60倍拡大画像である。 多孔質弾性体A2(ポリウレタンフォーム)表面の60倍拡大画像である。 多孔質弾性体A3およびB1(架橋ポリビニルアルコール発泡体)表面の60倍拡大画像である。 多孔質弾性体B2(合繊長繊維不織布)表面の60倍拡大画像である 本発明の第一の実施の形態に係るアプリケータの模式断面図である。 本発明の第一の実施の他の形態に係るアプリケータの模式断面図である。 本発明の第二の実施の形態に係るアプリケータの模式断面図である。 本発明の第二の実施の他の形態に係るアプリケータの写真である。 スポンジ部および断面コの字型チャンネル材の断面図である。 本発明の第三の実施の形態に係るアプリケータの斜視図である。 本発明の第四の実施の形態に係るアプリケータの斜視図である。 本発明の第五の実施の形態に係るアプリケータの斜視図である。 本発明の第六の実施の形態に係るアプリケータの斜視図である。 本発明の第七の実施の形態に係るアプリケータの斜視図である。
符号の説明
1 塗膜形成層(不織布)
2 給液層
3 支持体層(発泡スチロール)
4 切り込み溝(支持体層)
5 切り込み(給液層)
6 断面コの字型チャンネル材
7 突起部
8 金属ワイヤー
9 錘
10 把手
11 液漏れ防止パッキン

Claims (14)

  1. コーティング溶液を保持し供給する給液層と該給液層から供給される該溶液を被塗布基材に塗布する塗膜形成層とを積層してなるコーティング用アプリケータであって、前記給液層および塗膜形成層が、それぞれ互いに異なる少なくとも1種の多孔質弾性体からなることを特徴とするコーティング用アプリケータ。
  2. 前記塗膜形成層を構成する多孔質弾性体は、その吸液上昇速度が、明細書に記載の表1に示す試験方法で測定して少なくとも一種の溶媒について1分間に20mm以上である請求項1に記載のアプリケータ。
  3. 前記塗膜形成層を構成する多孔質弾性体は、不織布または密度が5乃至15kg/m、気孔率が80乃至97%、平均孔径が20乃至400μmの架橋ポリビニルアルコール発泡体である請求項1または2に記載のアプリケータ。
  4. 前記不織布の引張強度が、縦横方向共に40N/50mm以上である請求項3に記載のアプリケータ。
  5. 前記不織布が、ポリオレフィン系繊維からなる不織布である請求項3または4に記載のアプリケータ。
  6. 前記ポリオレフィン系繊維からなる不織布が、親水化処理または親水性付与されたものである請求項5に記載のアプリケータ。
  7. 前記給液層を構成する多孔質弾性体は、密度が10乃至40kg/mのメラミンフォームである請求項1に記載のアプリケータ。
  8. 前記給液層を構成する多孔質弾性体は、密度が30乃至100kg/m、セル数が25mmあたり20乃至100の連続気孔構造のポリウレタンフォームである請求項1に記載のアプリケータ。
  9. 前記多孔質弾性体が、断面コの字型のチャンネル材に格納保持されてなる請求項1乃至3のいずれか1項に記載のアプリケータ。
  10. 前記塗膜形成層と、該塗膜形成層に接合した前記給液層と、該給液層に接合した支持体層とが積層してなる請求項1乃至8のいずれか1項に記載のアプリケータ。
  11. 前記塗膜形成層と、該塗膜形成層に接合した前記給液層と、該給液層上に接合した支持体層とが積層してなり、前記給液層または前記支持体層に金属部材が添着されてなる請求項10に記載のアプリケータ。
  12. 前記コーティング溶液が、ガラス用の親水性コーティング溶液である請求項1に記載のアプリケータ。
  13. 前記親水性コーティング溶液が、微粒子含有の光触媒塗料である請求項1または12に記載のアプリケータ。
  14. 前記コーティング溶液が、紫外線吸収剤含有の紫外線遮蔽塗料である請求項1に記載のアプリケータ。
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