JP2006199970A - 複合発泡体及びその成形品並びにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量でなお強い圧縮強さを示し、さらに釘打ちや鋸引き、刃物加工といった木質様の加工ができる、構造主体材としても利用可能で断熱材としても働く軽量の複合発泡体及びその成形品並びにその製造方法を提供する。
【解決手段】複合発泡体を、多面体形状のフォームドメインと、このフォームドメインを取り囲む別の物質からなる薄膜状のセル壁とからなるセル構造単位が隙間無く多数集まった構造を持つものとする。この複合発泡体は断熱材、軽量構造部材、サンドイッチ構造パネル等として用いられる。
【選択図】なし
【解決手段】複合発泡体を、多面体形状のフォームドメインと、このフォームドメインを取り囲む別の物質からなる薄膜状のセル壁とからなるセル構造単位が隙間無く多数集まった構造を持つものとする。この複合発泡体は断熱材、軽量構造部材、サンドイッチ構造パネル等として用いられる。
【選択図】なし
Description
軽量でなお高い圧縮強さを示し、さらに釘を打っても実用的な抜け強度を発揮し、鋸引きや刃物加工といった木質様の加工ができる、構造主体材としても利用可能で断熱材としても働く軽量の発泡体(複合発泡体、再生複合発泡体等)及びその成形品(断熱材、軽量構造部材、サンドイッチ構造パネル、表面加飾複合成形品、表面強化成形品等)並びにその製造方法に関する。
従来、プラスチック軽量発泡体は、断熱材としてよく用いられてきた。例えば、発泡スチロール、ウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなどが断熱材として好適に用いられている。
しかし、発泡スチロールのような軽量高倍率の発泡体では、圧縮強度が弱いという弱点がある。ポリエチレンフォームやポリプロピレンフォームについても同様である。
ある程度の構造強度が期待できる硬質フォームでもその力学的性能の限界からみて、構造の主体材料になることは考えにくい(非特許文献1参照)。
このため、住宅天井断熱、床断熱などの構造強度の要求される部分の断熱については、発泡スチロールやウレタンフォームなどの発泡体を断熱材として用いるかぎり、木枠のような剛性を担う構造材と組合わせることが必須であった。
グラスウールやロックウールのような繊維状の断熱材については、構造強度が期待できない事は言うまでもない。
硬質ウレタンフォームに代表される硬質フォームは、発泡スチロールに代表される高発泡倍率の発泡体などと比較するとかなり強いが、これで強度的に充分な場合でも、重量でかなり重くなる。
逆に、構造主体材となりうるもののうち軽量化の工夫がなされているものを探すと、発泡コンクリート、発泡スチロール充填コンクリート、発泡金属などがある。これらは充分な構造強度を発揮するが、熱容量が大きく、断熱性は発泡プラスチックに劣り、発泡プラスチックとしては重い部類の硬質発泡ウレタンと比較しても更に重い。
軽量かつ構造強度をもったものとして木材がある。しかしながら、木材は防水性がなく、吸湿乾燥による寸法変化が大きいといった不具合がある。何より他材に比べコスト高になる。
このように、従来、高発泡倍率の発泡スチロールなみに軽量でなおかつ断熱性と構造強度を合せ持つ材料は知られていない。
断熱材に構造材が併用されるもうひとつの理由は釘打ちである。従来知られている断熱フォーム建材では、釘でしっかりと固定することができなかった。
断熱材に構造材が併用されるもうひとつの理由は釘打ちである。従来知られている断熱フォーム建材では、釘でしっかりと固定することができなかった。
日刊工業新聞、昭和48年出版、プラスチックフォームハンドブック、P601
つまり、下記表1に一覧形式でまとめたように、発泡スチロールは、軽さや断熱性能に優れているものの、圧縮強さと釘抜き強度とが不足している。又、硬質ウレタンフォームは、断熱性能に優れているものの、軽さと釘抜き強度とが不足し、圧縮強さも不十分である。又、軽量コンクリートは、圧縮強さに優れているものの、軽さと釘抜き強度と断熱性能とが不足している。又、木材は、軽さと圧縮強さと釘抜き強度とが優れているものの、断熱性能は不十分である。このように、従来の構造主体材では、軽さ、圧縮強さ、断熱性能、釘抜き強度の全てを満足するようなものは存在していなかった。
本発明はこのような問題点を解決すべく創案されたものであって、その目的は、軽量でなお強い圧縮強さを示し、さらに釘打ちや鋸引き、刃物加工といった木質様の加工ができる、構造主体材としても利用可能で断熱材としても働く軽量の複合発泡体及びその成形品並びにその製造方法を提供することにある。
ここでいう、釘打ち可能とは、釘を打っても割れず、かつ実用上充分な釘抜き強さを有するということである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の複合発泡体は、多面体形状のフォームドメインと、このフォームドメインを取り囲む別の物質からなる薄膜状のセル壁とからなるセル構造単位が隙間無く多数集まった構造を持つ。又、請求項6に記載の複合発泡体は、熱可塑性物質と気泡からなる多面体形状のフォームドメインと、このフォームドメインの主材である熱可塑性物質より軟化温度が低い同系の物質からなる発泡していない薄膜状の剛性セル壁とからなるセル構造単位が隙間無く多数集まった構造を持つ。即ち、図1に拡大(拡大倍率は7倍である)して示すように、高倍率発泡して断熱性と弾性を担い軽量化に貢献する微細発泡したフォームドメインと、多数のフォームドメインを区分けし剛性を担うが伝熱性に影響が小さい薄膜状のセル壁構造からなる。図中、符号1が微細発泡したフォームドメイン、符号2が薄膜状のセル壁(セル膜)である。このセル壁は、通常、2μmよりも大きな気泡を含まない実質的に非発泡の膜であるが、2〜100μmの気泡径の微細気泡を含む発泡した薄膜であっても良い。
フォームドメイン内の微細な気泡は、直径0.1μmから0.3mmの大きさのものであることが望ましい。粗い気泡は高発泡倍率で軽量化には貢献するが、断熱性能は0.3mm以下の気泡の方が対流伝熱が押えられるため性能が良い。又、フォームドメインの充分な弾性回復力を引き出すためにも、粗すぎる気泡は好ましくない。但し、目的複合発泡体が要求性能を満たすのであれば、フォームドメイン内に直径0.3mm以上の空隙が含まれていてもかまわない。
フォームドメインは、多面体形状の粒子であっても良いし、断面が多角形のストランドであっても良い。
フォームドメイン自体の大きさは、一般的な定義をするのが難しいが、あえて最大内接球の直径で定義すると、通常1mmから10mmのサイズとなる。これは、フォームドメインが大きい程、軽量化されるが、大きなフォームドメインをつくるためには原料ビーズもしくは芯材の大きさを大きくする必要があり、伝熱加熱による発泡では外側から発泡していくため、未発泡芯を残さずに発泡させることが難しくなるためである。
加熱方式に工夫を凝らせば、最大内接球の直径が10mmより大きなサイズのフォームドメインも作ることができる。但し、発明の実施の形態のところで詳述する複合効果は、応力を受ける面の最大内接球の直径がフォームドメインの最大内接球の直径の10倍程度の大きさから顕著に現われるので、圧縮応力を受ける面の最大内接円の直径が数センチ程度から複合効果を期待するのであれば、フォームドメインの大きさは上述の範囲に納めるのが望ましい。土木用途などで、圧縮面が剛体で大面積があるものにより押されるのであれば、フォームドメインの大きさは、その最大内接球の直径で10mmより大きくなっていても構わない。
フォームドメイン内部の構造および組成は、従来知られている断熱フォーム材料である。重要なのは、各フォームドメインの接触界面に、薄膜剛性セル壁が存在し、全ての薄膜剛性セル壁が膜網状に連なっていることである。
直径2mmから10mmのサイズのフォームドメインに対する薄膜剛性セル壁の厚さは、引っ張り強さと重量増加の比を大きくするために上限値200μm以下であることが望ましい。特殊な用途で大きなフォームドメインサイズを適用する場合には、サイズに比例してセル壁の厚さが厚くなっていても構わない。
請求項1に記載の発泡体を形成しているフォームドメイン及びセル壁となる材料の組み合わせは、熱可塑性物質と熱硬化性物質とから選ばれる。即ち、少なくとも、フォームドメインとして熱可塑性物質及びセル壁として熱硬化性物質、フォームドメインとして熱可塑性物質及びセル壁として熱可塑性物質、フォームドメインとして熱硬化性物質及びセル壁として熱硬化性物質、フォームドメインとして熱硬化性物質及びセル壁として熱可塑性物質の組み合わせから選ばれる。
請求項1に記載の複合発泡体を製造するための請求項2に記載の原料組成物としては、熱分解性もしくは揮発性の発泡剤を含有し、発泡剤の分解温度で軟化点を越える熱可塑性物質を主材とする加熱により特定発泡温度で発泡する発泡性ビーズと、この発泡性ビーズの発泡温度で重合硬化もしくは架橋硬化する常温で粘性流動状態の熱硬化性物質とを発泡性ビーズの表面が粘性流動状態の熱硬化性物質で濡れ覆い尽くされるように混合したものを用いる。又、請求項1に記載の複合発泡体を製造するための請求項3に記載の多層構造ビーズとしては、熱分解性もしくは揮発性の発泡剤を含有し、発泡剤の分解温度で軟化点を超える熱可塑性物質を主材とする加熱により発泡する熱発泡性の芯材と、この芯材の発泡温度以下の軟化温度で軟化し、この芯材の発泡温度で重合もしくは架橋硬化する発泡剤を含まない熱硬化性物質の周辺材とからなる構造のものを使用する。
又、請求項1に記載の複合発泡体を製造する方法として、請求項4に記載の製造方法、即ち、請求項2に記載の原料組成物又は請求項3の多層構造ビーズを用いて、成形型内で発泡温度まで加熱することにより、熱発泡させてフォームドメインを形成しつつ熱硬化性物質を硬化させることで、多数のフォームドメインの接触界面に熱硬化性物質が硬化してできた薄膜状の剛性セル壁を形成する方法をとる。
又、請求項6に記載の複合発泡体を製造するための請求項7に記載の多層構造ビーズとしては、発泡剤を含有し、発泡剤の分解温度で軟化点を超える熱可塑性物質を主材とする加熱により発泡する熱発泡性の芯材と、この芯材の発泡温度以下の軟化温度で軟化する発泡剤を含まない熱可塑性物質の周辺材とからなる多層構造ビーズを用いる。
又、請求項6に記載の複合発泡体を製造する方法として、請求項8に記載の製造方法、即ち、成形型内で発泡温度まで加熱して、フォームドメインを形成したのち冷却することで、多数のフォームドメインの接触界面に熱可塑性物質が冷却固化してできた薄膜状の剛性セル壁を形成する方法をとることもできる。
図2は、上記の各製造方法を説明する概念図である。発泡性ビーズ3と熱硬化性物質4とを混合して成形型5内に充填し、成形型5内で発泡温度まで加熱することで、又は、成形型5内で発泡温度まで加熱してフォームドメイン1を形成したのち冷却することで、多数のフォームドメイン1の接触界面に熱可塑性物質が冷却固化してできた薄膜状の剛性セル壁2が形成されている。
ここで、以下の説明を簡単にするために、請求項2に記載した熱発泡性のビーズ並びに請求項3、7に記載した多層構造ビーズを総称して「発泡性ビーズ」と呼び、請求項2に記載した熱発泡性ビーズ並びに請求項3、7に記載した多層構造ビーズの芯材を「発泡材料」と呼ぶことにする。
図3は、請求項3、請求項7に記載の発泡性ビーズを拡大して示す断面図であり、同図(a)は多層構造ビーズの構造を示す断面図、同図(b)はラミネートにより作成した多層構造ビーズの構造を示す断面図であり、同図の符号3aが発泡芯材、符号3bが発泡剤を含まない周辺材(非発泡性材料)である。
発泡材料は、特定の発泡温度において発泡するものである限り特に限定されないが、熱可塑性物質を主材とし、1) 気体もしくは液体を発泡剤として含浸させたもの、2)熱分解性の発泡剤を含有するものが好適に用いられるが、1)、2)共に含有するものでも良い。又、熱可塑性物質は架橋されていても良い。さらに、発泡材料は、例えば予備発泡ビーズや発泡体の破砕品のような既に発泡している材料に高圧下でガスを含浸させたものでも良い。
上記1)としては、市販のポリスチレン発泡性ビーズ、ポリエチレン発泡性ビーズ、ポリプロピレン発泡性ビーズなどを用いても良いし、ブタン、ペンタン、フロン等の炭化水素、水、CO2、N2を含浸させたものでも良い。又、上記2)としては、下記に示す熱分解性の発泡剤及び熱可塑性物質から適宜調製して用いても良い。この熱分解性の発泡剤と該熱可塑性物質は、発泡剤の分解温度が熱可塑性物質の可塑化温度よりも高いことが好ましく、発泡剤の分解温度と熱可塑性物質の可塑化温度がほぼ等しくなるように選ばれることが、発泡材料を綺麗に発泡できることから更に好ましい。
発泡材料の主材および請求項6に記載した熱可塑性物質としては、加熱により軟化する物質である限り特に制限を受けず、熱可塑性樹脂として知られる一群の合成プラスチック材料が好適に用いられる。例えば、ポリ(スチレン);ポリ(エチレン)、ポリ(プロピレン)等のオレフィン系樹脂;ポリ(塩化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニル)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリ(フシ化ビニリデン)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)体、フッ素化エチレンプロピレン共重合体、ポリ(テトラフルオロエチレン)、塩素化ポリ(塩化ビニル)、塩素化ポリ(エチレン)、塩素化ポリ(プロピレン)等のハロゲン化樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610 、ナイロン612 、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン46、N−メトキシメチル化ポリ(アミド)、アミノポリ(アクリルアミド)等のポリアミド;スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレンブロック共重合体、ポリプロピレン−EPDM、ポリエチレン−EPDM、イソブチレン−無水レイン酸共重合体、アクリルニトリル−アクリレート−スチレン共重合体、アクリルニトリル−エチレン−スチレン共重合体、アクリルニトリル−スチレン共重合体、アクリルニトリル−ブタジエンースチレン共重合体、アクリルニトリル−塩化ビニル−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の共重合体;さらに、アイオノマー、ケトン樹脂、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリル酸エステル)、ポリ(メタクリル酸エステル)、ポリ(プロピオン酸ビニル)、ポリ(アセタール)、ポリ(アミドイミド)、ポリ(アリレート)、熱可塑性ポリ(イミド)、ポリ(エーテルイミド)、ポリ(エーテルエ−テルヶトン)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(サルホン)、ポリ(エーテルサルホン)、ポリ(アミノサルホン)、ポリ(パラメチルスチレン)、ポリ(アリルアミン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルブチラール)、ポリ(フェニレンオキサイド)、ポリ(フェニレンサルファイド)、ポリ(ブタジエン)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(メチルペンテン)、ポリ(メチルメタクリレート)、液晶ポリマー、ポリ(ウレタン)等を挙げることができる。又、適宜、上記重合体の変成体、架橋体を用いても良いし、これらを組み合わせて成る共重合体を用いても良い。さらに、これらの熱可塑性樹脂は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
発泡材料に混練する熱分解性の発泡剤としては、一般的に使用されている熱分解性発泡剤である限り特に限定されず、発泡材料の主材の可塑化温度に適合させて選ばれる。
このような熱分解性発泡剤としては、例えば、アゾジカルボンアミド(ADCA)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾシクロヘキシルニトリル、ジアゾアミノベンゼン、アゾジカルボンアミドエステル等のアゾ化合物;ジニトロソベンタメチレンテトラミン(DPT)等のニトロソ化合物;p−トルエンスルホニルヒドラジド(TSH)、ベンゼンスルホニルヒドラジド(BSH)、p,p´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3´−ジスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド化合物;4,4´−ジフェニルジスルホニルアジド、p−トルエンスルホアジド等のアジド化合物;p−トルエンスルホセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、炭酸水素ナトリウム、炭酸アンモン、亜硝酸アンモン等を挙げることができる。さらに、これらの熱分解性発泡剤は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
発泡材料には、これら発泡剤と共に、発泡速度を調節する目的で発泡助剤を添加しても良い。発泡速度を速める発泡助剤として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸、亜鉛華硝酸亜鉛などの無機塩、アジピン酸、しゅう酸などの酸類があげられ、発泡速度を遅延する発泡助剤として、マレイン酸、フタル酸などの有機酸、無水マレイン酸、無水フタル酸などの有機酸無水物、ジブチル錫マレート、塩化錫などの錫化合物があげられる。
発泡助剤は、使用する樹脂、発泡剤、助剤の種類によって異なるが、通常熱可塑性樹脂100重量部に対して0.1〜2.0重量部程度の割合で添加されることが好ましい。これは、添加量が0.1重量部以下では効果が小さく、2.0重量部以上では効果が飽和する傾向があるためである。
発泡性ビーズの形状は、球形のものが好適に用いられるが、金平糖形状のもの、ラグビーボール形状のもの、ダルマ形状のもの、丸く押し出した樹脂を狭い間隔で切ったペレット形状、粉砕カレット形状のように一様な半径で規定できない形状のものでも良い。本質的には発泡する材料が多数の個体集合となっていれば良く、立方体や直方体、ストランド形状のものや平らな円盤のような潰れた形状、シートの小断片であっても良いのであって、ここでは便宜上このビーズという言葉でこれらの形状まで含めて代表させている。
発泡性ビーズの大きさは、0.3ミリから5ミリが好適に用いられる。ここで発泡性ビーズの大きさとは、発泡性ビーズがほぼ球形の場合には平均直径とする。又、平らなものやストランド状のものの場合に発泡性ビーズの大きさといえば、最も幅が小さいサイズをさすものとし、以下、発泡性ビーズの大きさといえばこの例に倣うものとする。発泡性ビーズの大きさが0.3ミリから5ミリのものが好適に用いられるのは、発泡性ビーズの製造しやすさと発泡性ビーズの表面積、そして伝熱遅れによる軟化ムラが出にくいということの兼ね合いの結果である。0.3ミリより小さいビーズの使用も可能であるが、しかしこの場合、ビーズの表面積の総和が大きくなるので最終的な発泡ドメインの接触する界面の面積が大きくなり、薄膜状剛性セル壁を構成する材料がずっと多く必要となる。したがって、圧縮強度は増すものの、軽量化の効果は小さくなる。
又、発泡性ビーズ内部からの発熱をひきおこす仕組みを併用すれば、直径5ミリより大きな発泡性ビーズを用いることもできる。発泡性ビーズ内部からの発熱をひき起こす仕組みとしては、例えば、発泡性ビーズに金属粉を混ぜ込み高周波電磁場環境下での電磁誘導を利用することができる。
均質なセル構造を持つ複合発泡体を得るためには、発泡性ビーズの大きさは、概略揃っているのが望ましい。しかし、厳密に揃っている必要はない。又、あえて発泡性ビーズの大きさに分布を持たせることで、セル膜に特異な3次元構造を持たせることができるので、異なる大きさの発泡性ビーズを混ぜて用いることもある。
発泡性ビーズの発泡倍率は、体積比で6倍以上あることが好ましい。発泡倍率が低すぎると、隣り合うフォームドメインの間に隙間を残すからである。軽量化の観点からは、10倍以上の発泡をすることが更に好ましい。一般の熱可塑性樹脂は、10倍発泡すると、比重が0.1程度になり、軽量木材として知られるバルサ材よりも軽くなる。
請求項2、3に共通する熱硬化性物質は、上記発泡性ビーズの発泡温度より低い温度で流動状態を示し、発泡温度で重合硬化あるいは架橋硬化する限り特に限定されず、発泡性ビーズの発泡温度に応じて適宜選択される。熱硬化性樹脂組成物、無機ポリマー組成物などがこれにあたる。請求項2の熱硬化性物質は、常温でも流動状態にあり、請求項3の熱硬化性物質は、常温でコールドフロー性がない。
熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、エポキシ樹脂系熱硬化性組成物、オリゴエステルアクリレート樹脂系熱硬化性組成物、キシレン樹脂系熱硬化性組成物、グアナミン樹脂系熱硬化性組成物、ジアリルフタレート樹脂系熱硬化性組成物、ビニルエステル樹脂系熱硬化性組成物、フェノール樹脂系熱硬化性組成物、不飽和ポリエステル樹脂系熱硬化性組成物、フラン樹脂系熱硬化性組成物、ポリイミド樹脂材料組成物、ポリ(p−ヒドロキシ安息香酸)樹脂材料組成物、ポリ(ウレタン)系硬化樹脂材料組成物、マレイン酸樹脂材料組成物、メラミン樹脂材料組成物、ユリア樹脂材料組成物、シリコン系樹脂材料組成物等を挙げることができる。これらは、単独で用いても良いし、複数種組み合わせて用いても良い。その他、モノマー分子中に水酸基、アミノ基、カルボキシル基を複数個有する反応性樹脂材料と熱分解性架橋剤を混合したものが用いられる。
熱硬化性材料には、発泡性ビーズの発泡速度と硬化速度のバランスを取る目的で硬化促進剤や硬化遅延剤などの硬化助剤を添加することがある。
エポキシ樹脂系熱硬化性組成物は、エポキシ樹脂とその硬化剤から成る。より詳しく例示すると、エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、異節環状型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ウレタン変成エポキシ樹脂、ゴム変成エポキシ樹脂、エポキシ化エラストマー、エポキシ化ステアリン酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ変成ポリシロキサン、可撓性エポキシ樹脂、エポキシ化(メタ)アクリル系オリゴマー及びエポキシ基を持つ反応性希釈剤等を挙げることができる。
エポキシ樹脂用硬化剤としては、例えば、無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルハイミック酸、無水メチルCD酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、無水ヘット酸、ドデセニル無水コハク酸、ポリアゼライン無水コハク酸等の酸無水物系硬化剤;エチレンアミン類、ジエチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、脂肪族アミン変成体等の脂肪族アミン系硬化剤;m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、芳香族アミン変成体等の芳香族アミン系硬化剤;また、その他硬化剤として、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、ピペリジン、ポリアミド樹脂、フェノール系樹脂、ポリチオール樹脂、メルカプタン系化合物、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾール系化合物等があげられる。
エポキシ系樹脂向けの硬化促進剤として、第3級アミン、トリフェニルフォスフィン、スタナースオクトエート、三フッ化ホウ素錯体、ベンジルジメチルアミン、DBU、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、イソシアネート類、スルフォニウム塩類、ヨードニウム塩類、ジアゾニウム塩類、ヒドラジド系化合物、ナイロン塩系化合物、有機金属化合物類等をさらに用いても良い。
ポリ(ウレタン)系硬化樹脂は、イソシアネート系化合物とポリオール類を組み合わせることで得られる。イソシアネート系化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシフネート、トリフェニルメタンジイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフオスフアイト、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(ジイソシアネートメチル)シクロヘキサン、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの単量体又はこれらのイソシアヌレート変性体、ウレタン変性体、ビゥレット変性体、カルボジイミド変性体、アロファネート変性体、トリメチロールプロパン付加体、ブロックイソシアネートなどがあげられる。
ポリオール類としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、水酸基変成(メタ)アクリル系ポリマー、水酸基変成ビニル系ポリマー、水酸基変成ポリエステル、水酸基変成ポリカーボネート等を挙げることができる。
硬化促進剤として、アミン類、金属塩類、シリコーン油等を用いても良い。又、上記熱硬化性樹脂組成物の流動性を調整する為に、減粘剤、増粘剤、チキソトロープ剤等を用いて良い。減粘剤として、例えば、ペンタン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等の各種溶剤を挙げることができる。増粘剤として、例えば、アクリルゴム、エビクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム等を挙げることができる。チキソトロープ剤として、例えば、コロイダルシリ力、ポリビニルピロリドン等を挙げることができる。
無機ポリマーとしては、水ガラス、ポリシラン、シリコーンゴムなどがあげられる。シリコーンゴムは、2液型の液状ゴムが好適に用いられる。即ち、2液型LTV及び2液型RTVがある。
上述の発泡材料、熱硬化性物質、熱可塑性物質には、本発明の目的を阻害しない範囲において、増量剤、着色剤、補強繊維、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難然剤、防カビ剤、可塑剤、カップリング剤、電気伝導性フィラー、磁性体フィラー、熱伝導性フィラー、帯電防止材剤、弾性微粒子などの改質剤が必要に応じて添加されていても構わない。
増量剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、カーボンブラック、二酸化ケイ素、酸化チタン、ガラス粉、中空ガラスバルーン、珪藻土、カオリン、パーライト、蛍石、ベントナイトなどがあげられる。
着色剤には、一般的な顔料又は染料が用いられる。顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、シアニン系顔料、キナクドリン系顔料などがある。染料では、アゾ系染料、アントラキノン系染料、インジゴイド系染料、スチルベン系染料などがある。
又、アルミフレーク、ニッケル粉、金粉、銀粉、銅粉、酸化チタンなどの金属粉を着色剤として用いても良い。
補強繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、セルロース繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、金属繊維などがあげられる。
紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤などがある。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などがあげられる。
難燃剤としては、塩素化パラフィン、ヘキサブロモフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどのハロゲン系難燃剤;ポリリン酸アンモニウム、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどの含リン酸系難燃剤;メラミン誘導体;赤リン、酸化錫、三酸化アンチモン、水酸化ジルコニウム、水酸化マグネシウム、メタホウ酸バリウムなどの無機系難然剤などの1種もしくは2種以上を用いることができる。
防カビ剤としては、10,10´−オキシビスフェノキシアルシン、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N−ジメチル−N´−フェニルーN´−(フルオロジクロロメチルチオ)−スルファミド、2−メトキカルボニルアミノベンズイミダゾール、2−メトキカルボニルアミノベンゾイミダゾール、チアベンゾールなどがある。
可塑剤としては、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪族一塩基酸エステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、二価アルコールエステル系可塑剤、オキシ酸エステル系可塑剤等を挙げることができる。
カップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のシランカップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルーアミノエチル)チタネート等のチタネート系カップリング剤を挙げることができる。
電気伝導性フィラーとしては、金、銀、銅、ニッケル、パラヂウム、白金、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛等の金属を粒子状にしたもの、上記金属の合金を粒子状にしたもの、酸化錫等の金属酸化物を粒子状にしたもの、カーボン等の導電性炭素同素体を粒子状にしたも、ガラス、カーボン、マイカ、プラスチック等の粒子の表面に導電の金属をコートしたもの等を挙げられる。
磁性体フィラーとしては、コバルトフェライト系磁性体、メタル磁性体、CrO2、γ−Fe2O3、Fe4N、Baフェライト等を粉末状にしたものを挙げることができる。
熱伝導性フィラーとしては、銅、アルミニウム、ベリリア、窒化アルミニウム、窒化ボロン、アルミナ、マグネシア、チタニア、ダイアモンド、鉛、ジルコン等を粉体状にしたものが挙げられる。
帯電防止材剤としては、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミン、ポリ(オキシエチレン)アルキルアミド、ポリ(オキシエチレン)アルキルエーテル、ポリ(オキシエチレン)アルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン系帯電防止剤;アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェートなどのアニオン系帯電防止剤;第4級アンモニウムクロライド、第4級アンモニウムサルフェート、第4級アンモニウムナイトレートなどのカチオン系帯電防止剤;アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリン型、アルキルアラニン型などの両性系帯電防止剤;ポリビニルベンジル型カチオン、ポリアクリル酸型カチオンなどの導電性樹脂などを挙げることができる。
弾性微粒子としては、アクリルビーズ、ポリエチレンビーズ、ポリプロピレンビーズなどを挙げることができる。
請求項2に記載の発泡性ビーズと熱硬化性物質の混合割合、請求項3、7に記載の芯材と周辺材の割合の好適な範囲は、いずれも、発泡材料100重量部に対し5から40重量部の範囲である。最適な割合の細かい値は、材料に何を選んだか、軽量化と強度のどちらに性能の重点を置いたかによって変るのであるが、例えば、10倍発泡の時、発泡材料100重量部に対し8から15重量部の範囲で軽量かつ高強度の良好な結果を得る。
請求項2に記載の原料組成物には、酸化還元反応を利用した発熱性の混合物を添加しても良い。鉄粉と酸化剤との組合せが普通に用いられる。
請求項3、7に記載の多層構造ビーズでは、中心から外側へ向かって発泡芯材と周辺材とが多層構造をなす。こうした多層構造ビーズの製造方法については、特に方法は限定されず、様々な方法がとれる。即ち、発泡材料を周辺材となる材料のシートでラミネートして型抜きしたラビオリ状の二重構造をつくる方法、発泡芯材の発泡温度以下で可塑化する材料を選び、二重押し出ししてカット後、転がしながら冷却固化させて丸い二重構造をつくる方法、発泡材料の粒子のまわりに揮発性溶媒による周辺材の溶解液を吹きつけつつ転がしながら溶媒を飛ばして金平糖のように成長させる方法、発泡材料の粒子のまわりに周辺材の溶融物を付着させては固化させ、この操作の1回以上の繰り返しでつくる方法、発泡材料の粒子のまわりに周辺材の粉体をつなぎとなる素材で固めて作る方法、発泡芯材と相溶性のある周辺材を選び、芯材の周辺部に浸透させる方法などがある。
請求項4に記載の熱発泡させてフォームドメインを形成後、熱硬化性物質を硬化させる手段は、熱硬化性材料を発泡性ビーズの発泡温度と同じ温度で硬化反応が始まるように請求項2又は3の原料組成物を予め成分調整しておくことで実現する。高発泡率とするためには、発泡膨張が硬化によって阻害されることのないように、発泡の開始と同時か僅かに遅れて硬化が始まり、発泡の終了と同時か発泡の終了からまもなく硬化が完了するのが望ましい。このタイミングは、発泡助剤、硬化促進剤、硬化遅延剤で調整する。
請求項4、8及び9の製造方法で用いる成形型は、発泡温度と発泡圧に耐えることができれば、その容器としての形状と材質とについては特に制限はない。例えば、アルミ鋳造型や石膏型や木型でも良いが、通常はプレス加工に用いられる金属型が良好に用いられる。プレス型を用いる利点は、発泡前や発泡中に圧縮工程を任意に挿入できることである。
請求項4、8及び9の製造方法で用いる加熱の手段としては、型をオーブンに入れて加熱しても良いし、プレス機を用いて、型壁を直接もしくは熱風やスチームなどの熱媒体で加熱しても良い。型内へ熱風やスチームを直接吹き込んで加熱することもできる。更に、型ごとオイルバスや熱水槽に浸して加熱しても良い。各加熱手段につき、挿入コアや挿入管を併用した加熱を行うことができる。以下に具体的例をいくつか示す。
熱風やスチームを直接型内に吹き込んで加熱する場合には、一般に知られている発泡性ビーズや予備発泡ビーズから成形品を製造する際に用いられる型構造及び製造機を用いることができる。
図4は、微細な穴やスリットを有する成形型を用い、熱風やスチームで加熱発泡する方法の一例を示す図である。図4の製造方法においては、微細な穴やスリットを有する成形型5に発泡性ビーズ3を入れ、熱風やスチームで発泡性ビーズ3を発泡させる。発泡ムラを少なくするために、熱風やスチームの出入の向きを途中で変えるとなお良い。尚、成形型5は多孔質金属であっても良い。
図5は、熱風オーブンを用いて加熱発泡する方法の一例を示す図であり、図6は、オイルバスや熱水槽を用いて加熱発泡する方法の一例を示す図であり、図7は、熱プレスを用いて加熱発泡する方法の一例を示す図である。図5、図6、図7の加熱発泡方法においては、それぞれ熱風オーブン51、オイルバス又は熱水槽52、熱プレス53で成形型5中の発泡性ビーズ3を発泡させる。
図8及び図9は、挿入コアもしくは挿入管を併用した熱風加熱方法の一例を示す図である。図8の加熱発泡方法においては、型内に穴やスリットを有するコア54を挿入し、このコア54に熱風やスチームを吹き込んで成形型5中の発泡性ビーズ3を加熱発泡させる。又、図9の加熱発泡方法においては、型内に穴やスリットを有する管55を挿入し、この管55に熱風やスチームを吹き込んで成形型5中の発泡性ビーズ3を加熱発泡させる。
加熱発泡後、複合発泡体が硬化するまでコア54や管55を残しておけば、そこが中空になり、ある程度加熱した状態で発泡途中にコア54や管55を引き抜けば、引き抜いた部分も発泡体で埋まり、中実の成形品となる。
硬化性物質が型壁に接着する性質がある場合には、型壁に離型処理を施しておくと良い。テフロン(登録商標)樹脂の焼付加工やクロム等のち密なメッキが好適に用いられる。
請求項4、5、7、16及び17の製造方法で用いる冷却の手段は、発泡後、加熱手段を停止もしくは取り去って放冷するだけでも良いし、型壁内循環冷却水もしくは冷却オイルで積極的に冷却しても良い。更に、型内の成形品に冷風、水などの冷却媒体を直接当てても良い。型内を減圧して水分を気化させる等の手段も効果的である。製造サイクル時間を短縮するためには、放冷ではなく、型内で積極的に冷却するのが望ましい。
同様の冷却手段は、請求項4の製造方法にも併用できる。特に架橋硬化後も高温で塑性変形しうる熱硬化性物質を用い、面積が1平方メールを超えるような板を成形する時には、型開時に変形することがないように、冷却してから取り出す方が望ましい。長尺成形品を効率良く製造したい場合には、ダブルベルト式の生産ラインを構築すれば良い。
図10及び図11は、長尺成形品の製造方法の一例を示す図である。図10の製造方法においては、発泡性ビーズ3を加熱装置56を有するダブルベルト57に導入し、引取機58で引き取りながら発泡させる。側面にさらにダブルベルトを設置しても良い。又、図11の製造方法においては、発泡性ビーズ3を熱プレス53で発泡させ、タクト送りにより長尺成形品を製造する。
請求項4、8及び9の製造方法に用いる発泡性ビーズは、完全に未発泡の発泡性ビーズであっても良いし、一旦事前に途中まで発泡させた、1次発泡済の発泡性ビーズであっても良い。1次発泡済の発泡性ビーズを用いることは、従来の発泡スチレンの製造でも、高発泡倍率を出すための方策として用いられている。
請求項9に記載の破砕フォーム粒子を得るための発泡成形品としては、ビーズ発泡による発泡体が望ましい。
ビーズ発泡による発泡体としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンのものが現在市場に出回っているが、将来出回るであろうこれ以外のビーズ発泡による発泡体でもかまわない。ビーズ発泡による発泡体が望ましい理由としては、フォームドメイン単位で大きさが概略揃った状態で簡単に破砕されるからである。破砕フォーム粒子を得るための発泡成形品としては、注型発泡、押出発泡、射出発泡又は成形後発泡により製造されたフォームも用いることができる。これらの素材の破砕時には、発泡性ビーズを単独発泡させたときにできる発泡ドメインと概略同じ大きさとなるようにするのが望ましい。小さすぎる破砕フォーム粒子は、発泡性ビーズと発泡ドメインとの間に隙間をつくりやすく、大きすぎる破砕フォーム粒子は、そこだけ局所的に複合発泡体の構造強度が弱くなる原因になる。
請求項1、5、6、10、15、17及び19の複合発泡体もしくは成形品では、用途によっては多孔質もしくは中空のコア材を内包するように成形するものがある。多孔質コアとしては、軽石やボーキサイト、オーカー、発泡セメントなどが用いられる。中空コアとしては、射出成形品を組合わせたものやブロー成形品、消失コア成形品などが用いられる。
又、請求項1、5、6、10、15、17及び19の複合発泡体もしくは成形品では、浮力相殺など比重の調整のために、重量物を内包するように成形することがある。
請求項4、8、9、14、16及び18の製造方法では、製造しようとする発泡構造体の全長に亘る長繊維を原料組成物とともに型内に投入し補強しても良い。補強用の長繊維としては、ポリエステルやナイロンなどの汎用の化学繊維の他、ガラス繊維、カーボン繊維、ワイヤーなどを用いても良い。粗に編んだ金網や化学繊維ネットを用いても良い。軽量にはならないが、鉄骨補強を始め他の部材のインサートによる補強構造も可能である。
請求項2の原料組成物は、請求項1の複合発泡体を製造するためのものであるが、発泡性ビーズに直径が0.3mm以下の微小サイズのものを用いた上に、硬化性物質の粘度を調整することで、パテ状の原料組成物を得ることができる。該原料組成物はパテ状なので、チューブや容器に入れての保管や携帯ができ、現場でパテ状の原料組成物を構造物の隙間に差し込んだ後にヒートガン等で発泡させて、構造強度をもつ断熱防水シーリングとするという使い方ができる。又、コンクリート構造物の溝欠き部やダボ孔に詰めて発泡させ、釘打ちや木ネジ止めができる構造を作りだすことができる。
請求項6の発泡体のうち、揮発性液体を発泡剤として用いて製造したものは、成形後放置した後に再び発泡温度まで加熱することで成形品を追加発泡することができる。これは現場で追加発泡できる隙間断熱材料として利用できる。
請求項2の原料組成物は、発泡性ビーズの一部もしくは全部を特定温度で体積比6倍以上の熱膨張性の中空粒子で置き換えることができる。熱膨張性の中空粒子としては、発泡剤を塩化ビニリデンでくるんで小球としたものなどを用いることができる。こうした熱膨張性の中空粒子は既に数種類市販されている。
請求項11に記載の断熱材は、複合発泡体を直接釘打ちすることができる性質を生かし、従来、断熱材まわりに配置していた化粧板(壁表面材)を釘で打ち留めるための木枠や木桟を廃し、断熱材に直接釘打ちして化粧板を留めることができる。
請求項12に記載の軽量構造部材は、断熱機能を併せ持つ軽量構造部材を提供することで、建築の壁、床、天井断熱構造を単純な構造に置き換えることができる。
請求項13に記載のサンドイッチ構造パネルは、従来の単純な硬質発泡プラスチックを用いたサンドイッチ構造パネルにくらべ軽量で同等以上の圧縮強さ、曲げ強さを発揮する。又、従来の硬質発泡プラスチックのサンドイッチ構造パネルのように接着剤を用いて作れるだけでなく、本発明の複合発泡体を用いた結果、断熱材のサンドイッチ構造であるにもかかわらず、釘やステイプラーで固定する方法がとれる。釘やステイプラーによる固定方法を用いれば、接着剤を用いずにもしくは接着剤と併用して作ることができる。又、表面に貼る薄板として鋸や刃物で切断可能なものを選べば、サンドイッチ構造パネル自体も鋸で切断可能となる。鋸や刃物で切断可能な薄板としては、ベニア板やプラスチックの薄板、金属箔などが用いられる。
請求項14に記載の製造方法によって製造される請求項15に記載の複合成形品は、セル膜構造を形成する熱硬化もしくは冷却固化する材料が接着剤として働くことで、自然成形物が熱融着する素材でなくとも、又、アンダーカット形状となっていなくとも型内で一体成形できる。特に、単純な平面に対してさえも容易に接着し型内で一体成形される。従来技術では、このような一体成形品は事前成形物がアンダーカット形状であるか熱融着するものでなければ固定できなかった。事前成形物は、発泡温度でも軟化変形、変質せず、伝熱性に優れるものが望ましい。例えば、金属やガラスに対して、エポキシ樹脂は有効な接着剤として働き、任意の発泡材料との組み合わせで、請求項15に記載の複合成形品を製造することができる。
請求項16に記載の製造方法によって製造される請求項17に記載の表面加飾複合成形品は、セル膜構造を形成する熱硬化もしくは冷却固化する材料が接着剤として働くことで、シートが固定される。この際、発泡性ビーズの膨張圧は、シートを難なく密着させるのに有効に働く。加飾シートの材料は、発泡材料の発泡温度で後に影響の残る変質をしないことと、セル膜構造材料と接着性を示すことが要求される他は特に制約はなく、発泡材料の発泡温度で可塑化しない熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、ゴムなどのシートが好適に用いられる。又、金属箔、紙、織布、不織布なども好適に用いられる。更に、金属やガラスの薄板を用いても良い。
請求項18に記載の製造方法によって製造される請求項19に記載の表面強化成形品は、表面硬化層を形成するのに、セル壁を形成する熱硬化性物質もしくは熱可塑性物質が織布もしくは不織布に含浸固化することを利用している。
織布もしくは不織布の厚さは、熱硬化性物質もしくは熱可塑性物質が充分に含浸できる範囲であれば良く、特に制約はないが、少ない量の熱硬化性物質もしくは熱可塑性物質で充分含浸できるように、織布もしくは不織布の厚さは1mm以下である事が望ましい。
織布もしくは不織布に含浸して硬化もしくは固化した物質は、セル壁の網目構造自体と直接繋がっているので極めて強く固定され、薄くても強固な保護層を形成する。尚、原料組成物に含まれるのと同じ熱硬化性物質もしくは熱可塑性物質を織布もしくは不織布に事前に塗布しておけば、1mm以上の厚みの織布もしくは不織布を用いることもできる。
請求項20に記載の表面強化成形品は、複合発泡体のセル壁もしくはフォームドメインが溶融する温度以上に熱した薄板を圧着してつくる。常温の薄板を圧着後に板を加熱しても良い。薄板の材質は、溶融温度でも後に残る変質をしないもので、セル壁もしくはフォームドメインの溶融物と接着するものであれば何を用いても良く、金属やガラス、セラミック、無機多孔質の薄板などが好適に用いられる。
表面強化成形品は、薄板を用いずに、複合発泡体の表面を熱で融かして表皮を形成して作ることもできる。このような方法に用いる複合発泡体では、発泡性材料にゴム成分を加えておくと外観が美しく仕上がり、より好ましい。例えば、ゴム変性ポリスチレン発泡性ビーズがあげられる。これは、ゴム成分として、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのジエン系のゴム、スチレン−ブタジエン共重合体およびその水素添加物、エチレン−プロピレンゴム、アクリルゴムのうちどれか1種類以上を含有したポリスチレン系樹脂を主材とする発泡性の粒子である。
表面強化成形品は、請求項2の原料組成物を袋皮状の成形品に入れて発泡硬化させて製造することもできる。又、原料組成物を編上げ袋ヒモに入れていき発泡硬化のための加熱ゾーンを潜らせる方法で、棒状成形品の連続成形を行うことができる。この方法で成形された棒体は、軽量支柱として良い物性を示す。把手や手摺としても利用できる。棒体のより厳密な賦形を連続成形で行うために、ダブルベルト方式の賦形ラインが利用できる。
請求項21に記載のサンドイッチ構造パネルは、複合発泡体の製造手段と原料の他には表面材を用意するだけで型内で一体成形される。従来のサンドイッチパネル製造方法では、貼り合わせるためだけの工程が必要であったり、型内で貼り合わせるための接着手段を別途用意する必要があったが、本発明では、そのどちらも必要なくなる。
請求項22に記載の壁構造は、壁裏一面に請求項11に記載の断熱材を添設して、この断熱材に直接釘を打ち込むことで断熱材を壁裏に固定し、この断熱材の表面に内壁用化粧板を添設して、この内壁用化粧板側から断熱材に対して直接釘を打ち込むことで内壁用化粧板を断熱材に固定したことを特徴とする。これにより、内壁用化粧板を釘打ちするための従来の木枠が不要となる。
請求項1及び請求項6に記載の複合発泡体の構造によって、軽量でなお強い圧縮強さを示し、さらに釘打ちや鋸引き、刃物加工といった木質様の加工ができる、構造主体材としても利用可能で断熱材としても働く軽量の複合発泡体が実現できる。
請求項2に記載の原料組成物又は請求項3に記載の多層構造ビーズを原料とし、請求項4の製造方法によって、請求項1に示した構造を比較的簡単なプロセスで製造できる。特に、従来のプレス成形と同じ設備で成形できる。
請求項7に記載の多層構造ビーズを原料とし、請求項8に記載の製造方法によって、請求項6に示した構造を比較的簡単なプロセスで製造できる。特に、従来のプレス成形と同じ設備で成形できる。
請求項11の発明により、直接釘打ちすることができる断熱材を提供することができる。これにより、従来、断熱材まわりに配置していた釘打ち用の木枠を廃し、断熱材に直接釘打ちできる。
請求項12の発明により、断熱機能を併せ持つ軽量構造部材を提供することができる。これにより、建築の壁、床、天井断熱構造を単純なものに置き換えることができる。
請求項13の発明により、従来の単純な硬質発泡プラスチックを用いたサンドイッチ構造パネルにくらべ軽量で同等以上の圧縮強さ、曲げ強さを発揮するサンドイッチ構造パネルが提供できる。又、その製造において、接着剤を用いずに釘やステイプラーで固定する方法がとれる。更に、本発明のサンドイッチ構造パネルは、鋸で容易に切断可能で釘打ちできる特性を付与でき、現場作業性に優れる。
請求項14及び15の発明により、自然成形物が熱融着する素材でなくとも、またアンダーカット形状となっていなくとも型内で一体成形できる。特に単純な平面に対してさえも本発明は適用できる。この際、貼り合わせのためだけの工程や接着手段を別途用意する必要がない。
請求項16及び17の発明により、従来の型内加飾成形品に比べはるかに軽量な成形品をつくることができる。又、加飾成形品に釘を打てるようにできる。
請求項18及び19の発明により、極薄で高硬度かつ剥がれ強い表面強化層を一体形成できる。
請求項20の発明により、接着剤を塗布することなく、後加工による貼り合わせで表面保護層を追加できる。
請求項21の発明により、複合発泡体の曲げ強さを格段に向上させたパネルを提供することができる。軽量、圧縮強さ、木質加工性、断熱といった複合発泡体本来の特徴にさらに曲げ強さを加え、機能一体化による断熱構造の単純化が適用できる範囲をさらに飛躍的に拡げることができる。
請求項22の発明により、内壁用化粧板を釘打ちするための従来の木枠が不要壁構造を実現できる。
以上のように、軽量でなお強い圧縮強さを示し、さらに釘打ちや鋸引き、刃物加工といった木質様の加工ができる、構造主体材としても利用可能で断熱材としても働く軽量の複合発泡体とその簡便な製造方法、製造コスト低減法、幅広い応用を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、必要に応じ図面を参照して説明する。
本発明の複合発泡体および複合構造発泡体は、前述した図1に拡大して示すように、微細発泡している多数の各発泡ドメイン1と、これらを区分けしている熱硬化性物質もしくは熱可塑性物質の高剛性のセル壁2とからなり、更にこのセル壁構造単位が隙間なく集まった構造を持っている。
まず、この構造がいかにして形成されるかについて説明する。型内で原料組成物もしくは多層構造ビーズを伝熱加熱していくと、発泡性ビーズが発泡温度に達するとともに、発泡性ビーズ内部の発泡剤の熱分解もしくは気化によってガスが発生し、発泡性ビーズの内部状態に限れば、発泡スチロールなどの通常のフォーム材料と同じく発泡体を形成する。
従来知られる発泡スチロールの場合、各ビーズが発泡ドメインを形成し、各発泡ドメインは発泡圧によりほぼ隙間なく充填されていくため、自ずとボロノイ多面体類似の多面体形状をなす。各面は隣り合う発泡ドメインとの接触境界面となっている。このとき、隣り合う面のなす角は鋭角にはならない。
本発明の原料組成物又は多層構造ビーズでは、発泡時に各発泡ドメイン同士の隙間に、軟化した粘性流動状態の熱硬化性物質もしくは熱可塑性物質が存在するのであるが、この粘性流動状態の熱硬化性物質もしくは熱可塑性物質は、発泡圧により、圧力分布の最小状態を求めてこの接触境界面に均等な厚みで分配される。この接触境界面に均等な厚みで分配された熱硬化性物質もしくは熱可塑性物質は、フォームドメインの発泡終了後、熱硬化反応もしくは冷却固化により、薄膜状の剛性セル壁を形成する。この剛性セル壁は、ボロノイ多面体類似形状の各発泡ドメイン表面の各面上に存在し、辺を共有する全ての面上の剛性セル壁と連結している。ここで、セル壁が剛性であるとは、フォームドメインよりも高密度で強度的に強いという意味合いである。
このようにして、請求項1に記載の複合発泡体及び請求項6に記載の複合構造発泡体、即ち、微細な気泡から成る多面体形状のフォームドメインと、このフォームドメインを取り囲む薄膜状の剛性セル壁とからなり、更にこのセル構造単位が隙間無く多数集まった構造が形成される。
次に、この構造によりもたらされる複合発泡体の性能が如何にして発現するかについて説明する。
軽量にできるのは、体積の大部分が高発泡倍率の発泡ドメインで、全体としても大きなみかけ発泡倍率が出ているからである。例えば、ポリスチレン−エポキシ樹脂系のような樹脂同士の組み合わせの場合、みかけの発泡倍率が10倍出ていれば、比重は0.10を下回り、軽量木材として知られるバルサ材よりも軽くなる。市販のポリスチレンビーズでは30倍以上の発泡をするのが普通であり、発泡ドメインの全重量に対して剛性セル壁の重量が5%から40%の範囲では、硬化競合による発泡倍率低減があってもなお、みかけの発泡倍率は10倍以上にすることができる。
断熱性能もやはり、その大部分は高発泡倍率の発泡ドメインに因っている。特に3.0mm以下の微細気泡系では、気泡内の対流伝熱が押さえられ、断熱効率が高くなることが知られている。局所的に高密度構造が連なる剛性セル壁部分は、伝熱係数は大きいが、薄膜状となっていることで正味の伝熱量が少なくなる。
次に、大きな圧縮強さを発揮する理由について図12を参照して説明する。本発明の複合発泡体は、圧縮応力を受けると、正のポアッソン比を持つ個々の発泡ドメインが圧縮応力と概略直交する面に反って膨らもうとする。このため圧縮歪みは多面体各面のうち圧縮応力を受けている面以外の各面に張力を発生させる。しかしながら発泡ドメインの多面体各面には剛性セル壁があるため、この張力は硬いセル壁の面内張力歪み回復力と、更に隣り合う発泡ドメインの表面のセル壁からの張力とによって打ち消される。
即ち、発泡ドメイン自体の圧縮歪みに対する回復力は小さくても、圧縮応力の大部分は剛性セル壁の面内張力へと転換されて、更に注目している発泡ドメインに接続する隣接ドメインのセル壁面に伝播分散されて、結果的に多数のセル壁の張力歪み回復力と均衡してしまうのである。
薄膜状の剛性セル壁は、面に垂直な針先のような1点集中荷重もしくは刃物の先のような線集中荷重に対して坐屈しやすいが、張力はかなり大きく、面垂直な荷重に対しても坐屈限界以下であれば歪み量に対して大きな係数で回復力を示す。
このような、本発明固有の微細複合構造にもとづく複合効果によって、本発明の複合発泡体は、軽量にもかかわらず大きな圧縮強度を発揮する。
次に、釘打ちが可能、すなわち釘打ち時に割れず、大きな釘抜き強度を発揮する理由について説明する。
釘のような先端が尖ったものからの面に垂直な1点集中荷重に対しては、薄膜状の剛性セル壁が坐屈破断してしまうので発泡ドメイン内に釘の先端は侵入することができる。
一般の硬質フォームにおいては、釘の侵入は、その体積分の排除効果によって大きな歪みを発生し、割れることもしばしばである。一方、本発明の複合発泡体構造では、発泡ドメインの発泡倍率が大きいから、釘の侵入体積をその微細な発泡の潰れ体積で吸収してしまえるので、複合発泡体自体が割れてしまうことはない。
釘侵入による排除体積効果に基づく歪みを回復しようと弾性体である発泡体は釘の側面をしめつける。これは発泡体側から見れば釘側面からの圧縮応力を受けているのと同じことである。
従来の通常の発泡体では、発泡体の弾性回復力だけであり、それほど大きな締めつけ力は生じない。発泡セルは釘抜き時のせん断に弱く、大きな摩擦を生じない。
これに対し、本発明の構造では、上述の複合効果により大きな応力でも剛性セル壁の張力に変換されて分散均衡するので、面垂直な1点集中荷重を受けないセル壁は坐屈することなく歪みを広範囲にわたって分散させ、釘側面に直接接触するセル壁を通して大きな締めつけ力を生む。又、硬いセル壁は釘抜き時のせん断に負けず、大きな摩擦力を生む、そのため一旦打ち込まれた釘は容易には抜けなくなる。
このように、請求項1および請求項6に示した構造によって、軽量でなおかつ強い圧縮強さを持ち、釘打ちも可能な複合発泡体が実現できる。
鋸引きが可能な理由も、釘の侵入を許したのと同じく、1点もしくは線集中応力に対しては、薄膜構造が坐屈破壊されてしまうからである。
ここで、このように軽量でなおかつ強い圧縮強さを示し、更に釘打ちや鋸引き、刃物加工といった木質様の加工ができる、構造主体材としても利用可能で断熱材としても働く軽量の発泡体の使用例をいくつか挙げる。
まず、木質施工性のある軽量構造部材なので、簀の子のような大きな木工品の素材として木材の代わりに用いることができる。木材代替の用途としては、建築用材や土木用材として用いることができる。より具体的には、巾木、根太、桟、デッキ材、サイディングボード、壁パネル等があげられる。
熱可塑性物質を主材とする発泡材料を用いて製造した複合発泡体においては、木質施工性があるばかりでなく電熱ワイヤでの自由曲線切断も可能である。見た目の良好な切断ができるので、発泡ポリスチレンに替えて、看板や商業POP表示に簡便に利用できる。
構造強度があるにもかかわらず、極軽量木材として知られるバルサ材よりも軽くでき、吸湿寸法変化が木材にくらべずっと小さく、防水性もあるので、フロート構造物を作るのにも適している。浮桟橋や浮蓋などが例としてあげられる。又、浮揚材としての利用もでき、浮標やサーフボードやレジャーボートの船底といった使い方ができる。又、ヘドロや水に浮くという性質を活かして、大判のブロックを用いて軟弱地盤の改質工事に活用できる。盛土工法用材として用いて、堤防や道路の建設に使用することができる。このような使用においては、複数の複合発泡体ボードがフレキシブルなヒンジで連結された形に成形すると便利である。この構造は風呂の蓋として用いる際にも便利である。土木用材の例としては他に、崩落斜面のコンクリート被覆工事の際に概形を形作るブロック材として利用できる。
耐水性があり軽量で構造強度があるという特徴からエアコンや冷却機などのドレンパン等にも使える。植木鉢やプランター、魚箱、食料品通函、トレイやパレットとしても利用できる。軽量高強度物性を利用して、本発明の複合発泡体をクラッシャブル緩衝材とすることができる。例えば、粗い数ミリから数センチ巾の格子状の構造物として、衝突時に破壊されることによって衝撃を吸収する機能を付与する。歩行者ガードや移動体の衝突衝撃吸収体、ニーボルスターなどへの利用が可能である。
従来、高発泡プラスチックが断熱材として用いられていた箇所に本発明の複合発泡体を用いて強度向上が図れる。又、硬質フォームが用いられていた箇所に用いて軽量化が図れる。例えば、壁裏断熱材、床下断熱材、容器蓋裏打ち断熱材、マンホール蓋裏打ち断熱材、更に畳や襖、雨戸の芯材、ドアインサート、スケートリンク床材、ジャグジー風呂床材などである。又、構造強度がある断熱材としてのメリットを更に引き出すために、複合発泡体をブロック形状として、冷蔵施設や発酵室やサイロの断熱壁用のブロックとすることができる。断熱性は要求されないが、外壁材や外塀にする他、見かけが石垣のブロックにもできる。バルサ材よりも軽く木質施工性を有しているので、模型作成材料にも適している。
これらの用途には、断熱材なのに釘やステイプル、木ネジなどが直接使えるという従来の断熱部材には無かったメリットも同時に付与される。堅い構造体であるので、ワッシャを用いてボルト留めもできる。こうした特性は、発泡体をコンクリート型枠として用いて更にそのまま残して断熱材としても利用するAAB工法に適用して特に有効であり、本発明の複合発泡体自体に構造強度があるため表面化粧壁紙を貼るだけにまで工法が改良簡便化される。又、複合発泡体だけで充分な強度を備えている場合、内部にコンクリートを流し込む代わりに、発泡性ウレタン樹脂や発泡性セメントプラスチックを流し込んで、断熱性や吸音性に優れる壁を作ることができる。複合発泡体自体は堅く音をよく反射するので、音響反射板としても利用できる。
又、従来、構造部材と断熱材を組合わせていた部分に用いて、断熱構造全体を単純化することができる。例えば、住宅の壁裏断熱材、床下断熱材として用い、これまで壁板、床板を打ちつける役目と強度を担っていた木枠や根太を廃止して、直接本発明の複合発泡体からなる断熱ボードに板を釘で直接打ち付けるようにできる。これにより、構造は単純化され、木枠や根太を無くしたことでコストは下がり、どこにでも釘が打てるなど施工性は向上する。例えば、根太と巾板とが一体となった軽量複合断熱構造パネルを一体成形できる。住宅用の一体型断熱構造パネルとする他、OAシステム床パネル、タイル一体断熱パネルにもなる。湯循環パイプを複合発泡体に添設し、床暖房や融雪屋根、融雪道路にも利用することができる。
同様の構造単純化は、より構造強度の要求される天井断熱構造においてより顕著にその効果が引き出せる。
本発明の複合発泡体の軽量さと剛性、賦形性、現場施工性を活かして、ゴルフ場のバンカーやグリーン、芝地、運動場、公園、歩道、農地、側溝、排水路などの基礎として利用できる。透水性が必要な場合には、賦形時に孔あきボードとするか、後加工により孔を設けることができる。タイル貼りやレンガ歩道の基礎としても利用できる。タイルを一体成形した複合ボードとすることもできる。
表皮一体成形を行って、自動車の内装部品やバンパーとして利用できる。
ペースト状に調整した原料組成物を用いて、保管、携帯し、施工現場で隙間に充填し、ヒートガンで発泡させる断熱材として利用できる。例えば、建造物のコンクリート躯体と窓サッシとの隙間などに用いることができる。又、該ペースト状原料組成物をコンクリート躯体の溝欠き落とし部に充填して発泡させ、釘打ちや木ネジ留め用のダボとして利用することもできる。
本発明の複合発泡体の回収物や商品価値のない断片は、ブロック小片として切り分け、コンクリートやセメントポリマーの軽量骨材として再利用することが可能である。
本発明の複合発泡体成形後、表面が80℃から100℃の状態で、ガラス繊維にウレタンを含浸させ加熱発泡する人工木材(FFU、積水化学工業社製)を同時に積層成形することで、曲げ強度が更に改善され、見た目も木材により近い複合パネルを製造することもできる。耐候性を向上させるために更に表面にアクリルコーティングを施しても良い。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
この実施例1は、請求項2の原料組成物を用い、請求項4の製造方法によって請求項1の発泡体を製造する実施例である。
この実施例1は、請求項2の原料組成物を用い、請求項4の製造方法によって請求項1の発泡体を製造する実施例である。
20Lぺール缶内で、
発泡ポリスチレンビース:エスレンHA(積水化成品工業社製)8685g
エポキシ樹脂:コピコート828(油化シェルエポキシ社製)500g
酸無水物系硬化剤:アデカハードナーEH−730(旭電化工業社製)450g
3級アミン触媒:アデカハードナーEHC−30(旭電化工業社製)15g
緑色顔料:MACROLEX GREENG(BAYER社製)5g
を均一になるまで攪拌混合し、熱硬化発泡性樹脂組成物を得た。
発泡ポリスチレンビース:エスレンHA(積水化成品工業社製)8685g
エポキシ樹脂:コピコート828(油化シェルエポキシ社製)500g
酸無水物系硬化剤:アデカハードナーEH−730(旭電化工業社製)450g
3級アミン触媒:アデカハードナーEHC−30(旭電化工業社製)15g
緑色顔料:MACROLEX GREENG(BAYER社製)5g
を均一になるまで攪拌混合し、熱硬化発泡性樹脂組成物を得た。
上記熱硬化発泡性樹脂組成物70gを硬質ガラス試験管(φ30mm、長さ250mm)の中に充填し、130℃のオーブン中で15分間養生して発泡体を得た。
この発泡体を鋸切断面をミクロトームで平坦に仕上げ光学顕微鏡で拡大観察したところ、平均気泡径50μmで発泡した直径3mm〜5mmの白色の多面体形状のポリスチレン発泡体を、緑色の顔料が分散した発泡していないエポキシ樹脂の約8〜20μm薄膜層が取り囲んだ単位セル構造が隙間無く集まった構造が観察された。
[実施例2]
実施例1の原料組成物4.5kgを1辺1mの130℃に温度調節したプレス型に流し入れ、最終的な厚さが40mmになるまで型締圧が5ton/m2を超えないように拡厚しつつ、プレス成形し、冷却後取り出して1辺1m、厚さ40mmの請求項1に記載の発泡体の大判パネルを得た。
得られた発泡体は、
比重:0.11g/cm3 (測定温度23℃)
圧縮弾性率:1800kgf/cm2
圧縮強さ(降伏):25kgf/cm2
熱伝導係数:0.034kcal/mhr℃(23℃)
であった。
実施例1の原料組成物4.5kgを1辺1mの130℃に温度調節したプレス型に流し入れ、最終的な厚さが40mmになるまで型締圧が5ton/m2を超えないように拡厚しつつ、プレス成形し、冷却後取り出して1辺1m、厚さ40mmの請求項1に記載の発泡体の大判パネルを得た。
得られた発泡体は、
比重:0.11g/cm3 (測定温度23℃)
圧縮弾性率:1800kgf/cm2
圧縮強さ(降伏):25kgf/cm2
熱伝導係数:0.034kcal/mhr℃(23℃)
であった。
尚、圧縮弾性率、熱伝導率の測定方法は、それぞれ、JISK7220(硬質発泡プラスチックの圧縮試験方法)、JISA1412(保温材の熱伝導率測定方法)に依った。
[比較例]
ビーズ発泡による実施例2とほぼ同じみかけ密度のポリスチレン発泡ボードを作成し、対応する物性値を測定した。
ビーズ発泡による実施例2とほぼ同じみかけ密度のポリスチレン発泡ボードを作成し、対応する物性値を測定した。
比重:0.10g/cm3
圧縮弾性率:123kgf/cm2
圧縮強さ(10%):9kgf/cm2
熱伝導係数:0.034kcal/mhr℃
圧縮弾性率:123kgf/cm2
圧縮強さ(10%):9kgf/cm2
熱伝導係数:0.034kcal/mhr℃
[実施例3]
160℃に設定された押出機の中に、ポリプロピレン(三菱化学社製)1000g、発泡剤ADCA(大塚化学社製)100g、架橋助剤トリメチロールプロパントリアクリレート(日本油脂社製)20gを投入し、混練して、φ0.8mmのロッド状金型より押し出した。押し出されると同時に、カッター刃を用いて切断し、粒径約1mmの発泡性ビーズを製造した。このビーズに電子線(750kv×3Mrad)を照射し、架橋した。
160℃に設定された押出機の中に、ポリプロピレン(三菱化学社製)1000g、発泡剤ADCA(大塚化学社製)100g、架橋助剤トリメチロールプロパントリアクリレート(日本油脂社製)20gを投入し、混練して、φ0.8mmのロッド状金型より押し出した。押し出されると同時に、カッター刃を用いて切断し、粒径約1mmの発泡性ビーズを製造した。このビーズに電子線(750kv×3Mrad)を照射し、架橋した。
上記発泡性ビーズの製造とは別に、エピコート828(エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製)50g、エピコート834(エポキシ樹脂、油化シェルエポキシ社製)50g、アデカハードナーEH−3636AS(硬化剤、旭電化工業社製)7g、アデカハードナーEH−3366S(硬化剤、旭電化工業社製)5gを、50℃で加熱混合して、エポキシ樹脂系熱硬化性樹脂を製造した。
次いで、上記発泡性ビーズ90gおよび上記エポキシ樹脂系熱硬化性樹脂10gを、0.3Lのビーカー中で、上記発泡性ビーズが上記エポキシ樹脂系熱硬化性樹脂で均一に被覆されるまで攪拌し、混合した。得られた混合物80gを型(200mm×200mm×20mm)に投入し、200℃で10分間加熱養生した後、冷却して、請求項1に記載の発泡体を得た。
得られた発泡体は、
比重:0.11g/cm3
圧縮弾性率:1300kgf/cm2
圧縮強さ(降伏):27kgf/cm2
熱伝導率:0.036kcal/mhr℃
であった。
得られた発泡体は、
比重:0.11g/cm3
圧縮弾性率:1300kgf/cm2
圧縮強さ(降伏):27kgf/cm2
熱伝導率:0.036kcal/mhr℃
であった。
[実施例4]
この実施例4は、請求項3の多層構造ビーズを用い、請求項4の製造方法によって請求項1の発泡体を製造する実施例である。
この実施例4は、請求項3の多層構造ビーズを用い、請求項4の製造方法によって請求項1の発泡体を製造する実施例である。
図13は、この実施例4で用いた多層構造ビーズ製造装置の構造を示す概念図である。この製造装置は、ホッパ6と、スクリュ15を内蔵したスクリューフィーダ7と、ピストン13を備えたポンプ9とを具備している。
まず、エポキシ樹脂(エピコート1001、油化シェルエポキシ社製)を518g、酸無水物系硬化剤(アデカハードナーEH−703、旭電化工業社製)を233gの割合で、50℃で加熱混合して熱硬化性樹脂組成物14を得、これを予め90℃に加熱した状態でポンプ9に投入する。
一方、発泡ポリスチレンビーズ8をスクリューフィーダ7のホッパ6に投入する。その後、スクリュ15を回転して発泡ポリスチレンビーズ8を、熱硬化性樹脂組成物14との合流部10に供給する。同時に、ポンプ9のピストン13を往復運動させ、間欠的に熱硬化性樹脂組成物14を圧送することにより、ポンプ9の先端の排出口11より、芯材が発泡ポリスチレンビーズ8で表皮が熱硬化性樹脂組成物14の構成の多層構造ビーズ12を得た。
この多層構造ビーズ12を4.5kg計量し、室温のプレス金型(1000mm×1000mm)に投入、その後、型締め圧力が5ton/m2を超えない状態でプレス金型を130℃まで加熱し、プレス圧力を保ちながら厚さ40mmまで拡厚を行い、冷却後、プレス金型より発泡体を取り出した。
この発泡体の断面を実施例1と同様に拡大観察した結果、平均気泡径50μmで発泡した直径3mm〜5mmのポリスチレン発泡体を、発泡していないエポキシ樹脂の約10〜50μ薄膜層が取り囲んだ単位セル構造が隙間無く集まった構造が観察された。
[実施例5]
この実施例5は、請求項7の多層構造ビーズを用い、請求項8の製造方法によって請求項6の発泡体を製造する実施例である。
この実施例5は、請求項7の多層構造ビーズを用い、請求項8の製造方法によって請求項6の発泡体を製造する実施例である。
まず、低密度ポリエチレン(ミラソンNEO23H、三井化学社製)を低温粉砕し、粉体とした。次に、低密度ポリエチレン粉体を入れた回転ミキサー容器に、110℃の温風でブロー加熱した平均直径φ1.5mmの発泡ポリスチレンビーズ(エスレンHA、積水化成品工業社製)を転がし入れて、外皮に低密度ポリエチレンが融着した、芯材が発泡ポリスチレンビーズの多層構造ビーズを得た。
この多層構造ビーズ130gを130℃のプレス金型(200mm×200mm)に流し入れ、ヘラで上面を平らに均し、型締め圧力が5ton/m2を超えない状態でプレス圧力を保ちながら厚さ30mmまで拡厚を行い、冷却後、プレス金型より発泡体を取り出した。
この発泡体の断面を電子顕微鏡で拡大観察した結果、平均気泡径100μmで直径3mm〜5mmのポリスチレン発泡体を、発泡していない低密度ポリエチレン樹脂の約8〜20μm薄膜層が取り囲んだ単位セル構造が隙間無く集まった構造が観察された。
[実施例6]
この実施例6は、請求項11に記載の断熱材の実施例である。
この実施例6は、請求項11に記載の断熱材の実施例である。
実施例2で得られた発泡体パネルを用いて、図14(a)の構成からなる壁構造を作った。即ち、実施例2で得られた発泡体パネルの表面に内壁用化粧板(化粧クロス)を添設して、この内壁用化粧板側から支柱に対し釘を打ち込むことで、これら内壁用化粧板及び発泡体パネルを支柱に一体に固定した壁構造を作った。本構造のものは断熱性を有していたが、図14(b)の比較例で得られた従来の壁構造では断熱性を有さず、グラスウールを用いることによって断熱性を得ることができた。
[実施例7]
この実施例7は、請求項11に記載の断熱材の他の実施例である。
この実施例7は、請求項11に記載の断熱材の他の実施例である。
図15(a)の構成のように、壁裏一面に実施例2の発泡体パネルを敷き詰め釘打ち固定で壁裏断熱材として使用し、内壁用化粧合板をこの壁裏断熱材に直接釘で打ち付けた。
図15(b)の比較例では、断熱材として発泡スチロールを使用したため、内壁用化粧合板を釘打ち固定するための木枠、木桟、間柱が必要であった。
[実施例8]
この実施例8は、請求項12に記載の軽量構造部材の実施例である。
この実施例8は、請求項12に記載の軽量構造部材の実施例である。
実施例1の原料組成物3250gを用い、型締圧が10ton/m2を超えないようにする以外、実施例2と同様の方法により厚さ25mmの軽量構造部材が得られた。比重0.13g/cm3、圧縮弾性率3600kg/cm2、圧縮強さ(降伏)28kgf/cm2であった。
これを用いて、釘打ちにより、図16に示すような簀の子を作った。この簀の子は体重70kgの人が乗っての使用に耐えた。又、ヒノキ材による同様の簀の子より、重さを75%軽量化することができた。
[実施例9]
この実施例9は、請求項13に記載のサンドイッチ構造パネルの実施例である。
この実施例9は、請求項13に記載のサンドイッチ構造パネルの実施例である。
図17に示すように、実施例2の複合発泡体のボード21に、厚さ3mmのベニヤ板22を載せ、周辺100mmを残し200mm間隔の格子点のそれぞれの箇所に、長さ15mmの釘17を打ち付けた。さらに、複合発泡体のボード21の裏面にも同様の加工を施して、複合発泡体のボード21とベニヤ板22とからなるサンドイッチ構造パネルを作った。各釘17の釘抜きに要した力は10kgf以上あり、接着剤によること無く、釘打ちだけで断熱性に優れた発泡体を芯材とするサンドイッチ構造パネルを作成することができた。
発泡スチロールを芯材として同様のサンドイッチ構造パネルをやはり接着剤によること無く、釘打ちだけで製作しようとしたが、各釘の釘抜き強度はどれも4kgf以下しか出なかった。
[実施例10]
釘留め強度をより正確に評価するために、次のようにして、釘抜時の引張強度を測定した。
釘留め強度をより正確に評価するために、次のようにして、釘抜時の引張強度を測定した。
径3mmの釘をサンプルの切断面から30mm以上打ち込み、鋼鉄製の治具で引っ張る。そのときの引張最大荷重を測定し、打ち込み長さで割って引張強度を求める。実験を各サンプルにつき5回行い、平均を求めた。この実験結果を表2に示す。
本発明品によれば、一般的な木材であるスギ材と同等の釘抜き抵抗を示した。
[実施例11]
この実施例11は、請求項14および15に記載の複合成形品の実施例である。
この実施例11は、請求項14および15に記載の複合成形品の実施例である。
射出成形で賦型した、ハイインパクトポリスチレン製のインサート部品31{図18(a)参照}を、プレス金型32に図18(b)に示すごとくセットした。その後、インサート部品31を固定具33で固定後、発泡ポリスチレンビーズと熱硬化性樹脂より構成される実施例1と同様の熱硬化性発泡混合物34を130℃のプレス金型32に投入した{図18(c)参照}。
その後、130℃の上型35を閉じて15分間加熱した後、5分間冷却を行い、プレス金型32から図18(e)に示した形状の成形品36を取り出した。これにより、ポリスチレン製のインサート部品31と本発明の成形品(複合発泡体)36とが一体化した手すり部材が得られた。
この手すり部材を壁にビス止めし、複合発泡体である握り部(成形品)36に100kgの荷重をかけたが、問題は確認されなかった。
[実施例12]
この実施例12は、請求項14および15に記載の複合成形品の他の実施例である。
この実施例12は、請求項14および15に記載の複合成形品の他の実施例である。
実施例2に記載の120℃に加熱したプレス型内に、板ガラス(厚み5.0mm)を敷き、その板ガラスに実施例1に記載の熱硬化発泡性樹脂組成物を流し込み、型締圧が5ton/m2を超えないように最終厚みが5cmになるまで拡厚しつつプレス成形して、請求項15に記載の複合成形品を得た。
[実施例13]
この実施例13は、請求項16および17に記載の表面加飾成形品の実施例である。
この実施例13は、請求項16および17に記載の表面加飾成形品の実施例である。
実施例2で用いる金型の底面に、熱可塑性樹脂EVA100phrと木粉100〜200phrとを混合した0.5〜2.0mm厚のシートをプレス型に予め敷いておいてから、実施例2の原料組成物をシートの上に流し込み、実施例2と同様にして発泡硬化させてから冷却後取り出し、スエード調に表面加飾された請求項17に記載の表面加飾成形品を得た。
[実施例14]
この実施例14は、請求項18および19に記載の表面強化成形品の実施例である。
この実施例14は、請求項18および19に記載の表面強化成形品の実施例である。
実施例2で用いる金型の底面に、厚さ0.2mmのセルロース不織布を予め敷いておいてから、実施例2の原料組成物を不織布の上に流し込み、実施例2と同様にして発泡硬化させ、冷却後取り出した。不織布の表面にエポキシが含浸して固まった保護層が形成された表面強化成形品が得られた。
[実施例15]
この実施例15は、請求項20に記載の表面強化成形品の実施例である。
この実施例15は、請求項20に記載の表面強化成形品の実施例である。
厚さ10mm、サイズ120cm×120cmの鉄板の上に厚さ0.3mmのアルミ板を載せ、オーブンで200℃まで加熱しておき、鉄板ごとアルミ板を取りだして、すぐに実施例2で作った複合発泡体ボードをアルミ板に載せて、60kg/m2で5秒間押えたあと、アルミ板ごと複合発泡体を別の冷たい鉄板の上に移して冷却した。ボードがアルミ板に貼りついた表面強化成形品を得た。
[実施例16]
この実施例16は、請求項18に記載の製造方法により製造された請求項19の表面強化成形品によるサンドイッチ構造パネルの実施例である。
この実施例16は、請求項18に記載の製造方法により製造された請求項19の表面強化成形品によるサンドイッチ構造パネルの実施例である。
実施例2に記載の120℃に加熱したプレス型内に、厚さ0.5mmのアクリル塗装鋼板を敷き、その鋼板上に実施例1に記載の熱硬化発泡性樹脂組成物を流し込み、さらにその組成物上に厚さ0.5mmのアクリル塗装鋼板を敷き、型締圧が5ton/m2を超えないように最終厚みが5cmになるまで拡厚しつつプレス成形し、図19に示すサンドイッチ構造パネルを得た。
[実施例17]
この実施例17は、請求項20に記載の製造方法により製造された表面強化成形品によるサンドイッチ構造パネルの実施例である。
この実施例17は、請求項20に記載の製造方法により製造された表面強化成形品によるサンドイッチ構造パネルの実施例である。
実施例2で得られた複合発泡体(厚み5cm)を2枚のアクリル塗装鋼板(厚み0.5mm)ではさみ、加熱プレス装置を用いて120℃で30秒間、クリアランス5cmに維持して圧締した。その後加熱プレス装置から取り出し、冷却して図19に示すサンドイッチ構造パネルを得た。
1 フォームドメイン
2 ル壁(セル膜)
3 発泡性ビーズ
3a 発泡芯材
3b 発泡剤を含まない周辺材
4 熱硬化性物質
5 成形型
51 熱風オーブン
52 オイルバス又は熱水槽
53 熱プレス
54 穴やスリットを有するコア
55 穴やスリットを有する管
56 加熱装置
57 ダブルベルト
58 引取機
6 ホッパ
7 スクリューフィーダ
8 発泡ポリスチレンビーズ
9 ポンプ
10 合流部
11 排出口
12 多層構造ビーズ
13 ピストン
14 熱硬化性樹脂組成物
15 スクリュ
17 釘
21 複合発泡体のボード
22 ベニヤ板
31 インサート部品
32 プレス金型
33 固定具
34 熱硬化性発泡混合物
35 上型
36 成形品(複合発泡体)
2 ル壁(セル膜)
3 発泡性ビーズ
3a 発泡芯材
3b 発泡剤を含まない周辺材
4 熱硬化性物質
5 成形型
51 熱風オーブン
52 オイルバス又は熱水槽
53 熱プレス
54 穴やスリットを有するコア
55 穴やスリットを有する管
56 加熱装置
57 ダブルベルト
58 引取機
6 ホッパ
7 スクリューフィーダ
8 発泡ポリスチレンビーズ
9 ポンプ
10 合流部
11 排出口
12 多層構造ビーズ
13 ピストン
14 熱硬化性樹脂組成物
15 スクリュ
17 釘
21 複合発泡体のボード
22 ベニヤ板
31 インサート部品
32 プレス金型
33 固定具
34 熱硬化性発泡混合物
35 上型
36 成形品(複合発泡体)
Claims (22)
- 多面体形状のフォームドメインと、このフォームドメインを取り囲む別の物質からなる薄膜状のセル壁とからなるセル構造単位が隙間無く多数集まった構造を持つことを特徴とする複合発泡体。
- 加熱により発泡する発泡性ビーズと、この発泡性ビーズの発泡温度で重合硬化もしくは架橋硬化する常温で粘性流動状態の熱硬化性物質とを、発泡性ビーズの表面が粘性流動状態の熱硬化性物質で濡れ覆い尽くされるように混合したことを特徴とする請求項1に記載の複合発泡体を製造するための原料組成物。
- 加熱により発泡する発泡性の芯材と、この芯材の発泡温度以下の軟化温度で軟化し、この発泡温度で重合もしくは架橋硬化する発泡剤を含まない熱硬化性物質の周辺材とからなることを特徴とする請求項1に記載の複合発泡体を製造するための多層構造ビーズ。
- 請求項2に記載の原料組成物もしくは請求項3に記載の多層構造ビーズを成形型内で発泡温度まで加熱することにより、熱発泡させてフォームドメインを形成しつつ熱硬化性物質を硬化させることで、多数のフォームドメインの接触界面に熱硬化性物質が硬化してできた薄膜状のセル壁を形成することを特徴とする請求項1に記載の複合発泡体の製造方法。
- 請求項4に記載の製造方法によって製造された複合発泡体。
- 熱可塑性物質と気泡からなる多面体形状のフォームドメインと、このフォームドメインの熱可塑性物質より軟化温度が低い同系の熱可塑性物質からなる発泡していない薄膜状の剛性セル壁とからなるセル構造単位が隙間無く多数集まった構造を持つことを特徴とする請求項1に記載の複合発泡体。
- 加熱により発泡する発泡性の芯材と、この芯材の発泡温度以下の軟化温度で軟化する発泡剤を含まない熱可塑性物質の周辺材とからなることを特徴とする請求項6に記載の複合発泡体を製造するための多層構造ビーズ。
- 請求項7に記載の多層構造ビーズを成形型内で発泡温度まで加熱して、フォームドメインを形成したのち冷却することで、多数のフォームドメインの接触界面に熱可塑性物質が冷却固化してできた薄膜状のセル壁を形成することを特徴とする請求項6に記載の複合発泡体の製造方法。
- 請求項8に記載の製造方法において、多層構造ビーズの代わりに、発泡成形品を破砕したフォーム粒子と、請求項7に記載の多層構造ビーズであって単独で発泡させたときにこのフォーム粒子と同じ大きさに膨らむように調整した発泡性ビーズとの混合物を原料として用いることを特徴とする再生複合発泡体の製造方法。
- 請求項9に記載の製造方法によって製造された再生複合発泡体。
- 請求項1、5、6又は10に記載の発泡体を用いた断熱材。
- 請求項1、5、6又は10に記載の発泡体を用いた軽量構造部材。
- 請求項1、5、6又は10に記載の発泡体を用いたサンドイッチ構造パネル。
- 請求項4、8又は9に記載の製造方法において、発泡温度で変形しない事前に成形された物体の面の一部を成形型の一部として利用することにより、製造された複合発泡体と事前成形物とを一体接着することを特徴とする複合成形品の製造方法。
- 請求項14に記載の製造方法によって製造された複合成形品。
- 請求項4、8又は9に記載の製造方法において、予め成形型内にシートをインサートしておくことにより、熱硬化もしくは冷却固化してセル壁をなす物質がシートをも接着して形成されることを特徴とする表面加飾複合成形品の製造方法。
- 請求項16に記載の製造方法によって製造された表面加飾複合成形品。
- 請求項16の製造方法において、シートとして織布もしくは不織布を用い、熱硬化もしくは冷却固化してセル壁をなす物質をシートにも含浸硬化させることを特徴とする表面強化成形品の製造方法。
- 請求項18に記載の製造方法によって製造された表面強化成形品。
- 請求項1、5、6又は10に記載の発泡体の表面に薄板を熱融着させたことを特徴とする表面強化成形品。
- 請求項15、17又は19に記載の成形品を用いたサンドイッチ構造パネル。
- 壁裏一面に請求項11に記載の断熱材を添設して、この断熱材に直接釘を打ち込むことで断熱材を壁裏に固定し、この断熱材の表面に内壁用化粧板を添設して、この内壁用化粧板側から断熱材に対して直接釘を打ち込むことで内壁用化粧板を断熱材に固定したことを特徴とする壁構造。
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