JP2006182891A - 単孔担持体澱粉およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のマイクロカプセルよりも品質に優れ、生産効率に優れるマイクロカプセルを提供する。さらに熱、酸などに弱い物質をカプセル内部に保持することによって安定化させ、食品、医薬、工業用途など幅広い分野に利用可能なものにする。
【解決手段】架橋剤などの複数の加工処理によって澱粉粒子を膨潤度3〜15に調整し、該澱粉粒子含有水溶液を高圧均質化機などによって加温および加圧することで単孔担持体澱粉が得られる。
【選択図】図1
【解決手段】架橋剤などの複数の加工処理によって澱粉粒子を膨潤度3〜15に調整し、該澱粉粒子含有水溶液を高圧均質化機などによって加温および加圧することで単孔担持体澱粉が得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、澱粉の粒子構造の加工処理に関する技術であり、澱粉の内部に空隙を設けることにより澱粉をマイクロカプセルとする。この澱粉原料のマイクロカプセルは、目的物質の安定化をはかり、食品、医薬、工業用途などの分野に広く利用できるものである。
マイクロカプセルは、大きさ(直径)が数μmから数千μm(1μm=1000分の1mm)の範囲にある微小容器の総称である。その容器は、ゼラチン、アルギン酸カルシウム、共重合樹脂などが様々な原料が使用されている。
澱粉は、天然物であり、安価であることからマイクロカプセルの容器として活用することが期待されている。
引用文献1は、生澱粉分解能を有する酵素を作用させ、澱粉粒に多孔を生じさせる技術であり、この多孔部分に特定の物質を貯蔵する技術である。
引用文献2は、澱粉粒子を架橋化し、その内部構造に澱粉を分解する酵素処理を行ない、澱粉をマイクロカプセルとする技術である。
引用文献3は、澱粉粒子を湿熱処理及び澱粉分解能を有する酵素にて多孔状の澱粉に関する技術である。
特開平8−143602号公報
特許第2565728号公報
特開平8−143602号公報
上記方法ような加工澱粉の製造は、澱粉粒子の内部を分解する目的で澱粉を分解する酵素を使用しており、その製造法は、澱粉を分解する酵素を働かせる条件として一定の温度、一定の反応時間が必要であることや生産効率の良い連続式製造法が使用できないなどの問題があった。
また、澱粉を分解する酵素は、全ての澱粉粒子に働くことは困難であり、均一な構造のマイクロカプセルを製造するのに好ましい製造法ではなかった。
本発明は、架橋処理等による澱粉の外層の強化する工程と澱粉粒子の内部を分解する目的として加圧および加温処理の工程によって澱粉を原料とした新たなマイクロカプセルおよびその製造方法を成したことである。
従来のマイクロカプセルよりも品質に優れ、生産効率に優れるマイクロカプセルを提供することにより熱、酸などに弱い物質をカプセル内部に保持することによって安定化させ、食品、医薬、工業用途など幅広い分野に利用できるようになったことである。
単孔担持体澱粉とは、澱粉粒子の外層部は結晶構造を保持しており、10〜50μm程度に粒形が保たれているが、澱粉粒子内部が加温および加圧により溶出し、中心部分に1〜25μm程度の空隙が認められるものを指し、単孔担持体澱粉の外側は、一ヶ所もしくは一部においてはその空洞が澱粉粒子を貫通し、ドーナッツ状をなしている構造を多く有するものが観察できる。本発明の単孔担持体澱粉は、原料澱粉当たり30%以上が上記構造になっているものである。
本発明に使用される原料澱粉は、市販の澱粉であれば特に制限はないが、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、甘藷澱粉などが使用でき、特にタピオカ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチは製造が簡易であり、最も好ましい。
本発明の膨潤度とは、澱粉を水溶液中において加温し、澱粉のどの程度水分を保持しているかの指標となる数値であり、下記の測定方法にて計測することができる。
<膨潤度>乾燥物換算で試料1.0gを脱イオン水100mlに分散し、90℃で30分間加温後30℃に冷却する。
次いで、この糊化液を遠心分離(3000rpm、10分間)してゲル層と上澄層に分け、ゲル層の重量を測定してこれをAとする。
次いで、重量測定したゲル層を乾固(105℃、恒量)して重量を測定してこれをBとし、A/Bで膨潤度を表す。
本発明の膨潤度は、3〜15が望ましく、5〜8が最も好ましい。膨潤度が3より小さくなると粒構造が強固になり過ぎて、加温および加圧する工程で目的とする単孔担持体澱粉が得られなくなり、膨潤度が15を越えて大きくなった場合には粒構造が加温および加圧に耐えられずに崩壊、消失してしまう。
澱粉粒子の加工は、最終的に膨潤度3〜15になればどのような原料、どのような加工処理を行なってもよく、複数の加工処理を行なっても良い。
加工処理方法は架橋剤による架橋処理、官能基付与処理、漂白処理、アルファ化処理、湿熱処理などが例示され、架橋剤による架橋処理が最も好ましい。
架橋剤は、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、エピクロロヒドリンなどが例示される。
複数の加工処理の例としては架橋処理した架橋澱粉にアセチル基又はヒドロキシプロピル基などの官能基を付与した澱粉が示される。これら澱粉は、酵素耐性が顕著に高まることから、特に医薬品等に用いた際の小腸や大腸における担持物の徐放性に効果を発揮することが期待できる。
澱粉粒子含有水溶液とは架橋澱粉を加温によって膨潤させる為、水に懸濁することを指し、無水物換算5〜20%が望ましい。濃度が20%以上だと澱粉粒子の摩擦係数が大きくなり、懸濁液の粘度が高くなり、加圧が安定しなくなってしまう。濃度が5%以下だと収率が低過ぎて、コストに見合わない。
加温及び加圧は、加温後に加圧するもしくは加温及び加圧を同時に行なうなどの手段がある。加温は、水に懸濁した澱粉粒子を膨潤させる為に行ない、90〜100℃で3〜20分加温することより均一な膨潤粒を得ることができる。
加温温度や加温時間が足りないと均一な膨潤粒が得られず、加圧を行っても目的とする単孔担持体澱粉が得られないが、加温温度や加温時間が多過ぎると澱粉粒の多くが崩壊してしまい、目的とする単孔担持体澱粉が得られない。
加圧工程は、澱粉粒内部を溶出させる為に1〜200MPaの圧力を与えることが望ましく、すべての澱粉粒に均一な圧力が掛かる高圧均質化機を使用することが望ましい。高圧均質化機は牛乳、ヨーグルト等の乳製品製造工場において広く一般的に使用されている。
単孔担持体澱粉は、そのまま使用しても良いが、エタノール沈殿、スプレードライ、凍結乾燥等の乾燥方法によって粉末化することが望ましい。
また、担持したい物質と単孔担持体澱粉を水溶液中で共存させた状態で乾燥させることによって、単孔担持物を効率的に得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の内容により技術的範囲が限定されるものではない。
澱粉の調整
無水物換算41%濃度の未加工タピオカ澱粉の懸濁液を調整し、澱粉乾物重量に対して10%の硫酸ナトリウムを加えた。さらに3%濃度の水酸化ナトリウムを用いて澱粉懸濁液のpHを11.3〜11.5に調整した後、オキシ塩化リンを澱粉乾物重量に対して0.2%加え、35℃にて1時間反応した。
反応後、中和した後、重亜硫酸ナトリウムによって塩素を除去し、洗浄、乾燥、粉砕を行って、リン酸架橋タピオカ澱粉を得た。
なお、上記方法で得られたリン酸架橋タピオカ澱粉の膨潤度は6.0であった。
実施例1のリン酸架橋澱粉を用いて、無水物換算10%濃度の澱粉粒子含有水溶液を調整した。上記澱粉粒子含有水溶液を攪拌しつつ加熱し、沸騰後5分間維持することで糊液を得た。
上記で得られた糊液に、高圧均質化機にて200MPaの加圧処理を行なった。加圧後に得られた糊液を遠心分離し、沈殿物にエタノールを加え、脱水処理を行なった。乾燥、粉砕を行なった後、80メッシュの篩を通過したものを採取して、単孔担持体澱粉の粉末を得た。
上記方法にて得られた単孔担持体澱粉の粉末に、金蒸着を施した後の電子顕微鏡観察結果を図1に示す。
Claims (5)
- 澱粉粒子を膨潤度3〜15に調整する工程と該澱粉粒子含有水溶液を加温および加圧する工程を有することを特徴とする単孔担持体澱粉。
- 澱粉粒子を膨潤度3〜15に調整する工程に架橋剤を使用することを特徴とする請求項1記載の単孔担持体澱粉。
- 澱粉粒子の外層部が結晶構造を保持し、内部の澱粉粒子が加温および加圧により溶出することを特徴とする請求項1〜2記載の単孔担持体澱粉
- 加圧する工程が高圧均一化工程であることを特徴とする請求項1〜3記載の単孔担持体澱粉。
- 請求項1〜4記載の単孔担持体澱粉の製造法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004377086A JP2006182891A (ja) | 2004-12-27 | 2004-12-27 | 単孔担持体澱粉およびその製造法 |
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JP2004377086A JP2006182891A (ja) | 2004-12-27 | 2004-12-27 | 単孔担持体澱粉およびその製造法 |
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JP2004377086A Withdrawn JP2006182891A (ja) | 2004-12-27 | 2004-12-27 | 単孔担持体澱粉およびその製造法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009089669A (ja) * | 2007-10-10 | 2009-04-30 | Nippon Shokuhin Kako Co Ltd | 均質化工程を有する食品の製造方法 |
JP2013520191A (ja) * | 2010-02-26 | 2013-06-06 | ウニベルシダ デ ナバーラ | 化合物をカプセル化するためのナノ粒子、その調製およびその使用 |
-
2004
- 2004-12-27 JP JP2004377086A patent/JP2006182891A/ja not_active Withdrawn
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