JP2006179106A - 磁気テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 非磁性支持体と、非磁性支持体の一方の面に、少なくとも1層の磁性層を有する磁気テープにおいて、前記磁気テープのエッジウィーブ量が1μm以下で、かつ磁気テープの最上層磁性層の長手方向の保磁力HcMDと幅方向の保磁力HcTDとの差〔HcMD−HcTD〕が140kA/m以上HcMD以下にする。
【選択図】 図7
Description
なお、ヘリキャルスキャンレコーディングタイプのカートリッジを記録・再生する装置で多数対の磁気ヘッドを搭載しているタイプのものもあるが、このタイプでは多数対の磁気ヘッドは時間差を設けて記録・再生されるので、同時に使用される磁気ヘッドは1対のみである。
なお、このタイプでは、上述の磁気テープの磁気記録層にサーボトラック用の磁気信号を記録する方式の他、磁気テープのバック層にサーボトラック用の磁気信号を記録する方式、バック層にサーボトラック用の光学信号を設ける方式もある。
塗布型の高記録密度の磁気テープでは、オーディオ用や家庭用ビデオテープに使用されていた強磁性酸化鉄、Co変性強磁性酸化鉄、酸化クロム等に代えて、現在では、長軸方向の粒子サイズが100nm程度の針状の金属磁性粉末が主として使用されている。
なお、HcMD、HcTDは何れも正の値なので、(HcMD−HcTD)はHcMD以下である。
エッジウィーブ量を小さくするには、磁気テープの厚さむらを小さくする、改良したスリッティング法を採用する、ことが有効である。
なお、薄膜型の磁気テープでは、最上層磁性層の上に5〜30nm厚さ(特に5〜15nm厚さ)のダイアモンドライクカーボン(DLC)保護膜を形成し、かつDLC保護膜の上にフッ素系の潤滑剤を塗布することで耐久性を高めることが好ましい。
なお、2層以上の磁性層を有する磁気テープの最上層磁性層の保磁力HcMDおよびHcTDを測定する場合には、磁化の値をカー回転角で測定する方法を利用してもよい。この場合には、直径8mmに打ち抜いた磁気テープ1枚を使用する。
以下の(a)〜(d)の方法を単独で用いて、好ましくはこれらの幾つかを併用することにより、所定の(HcMD−HcTD)の値を有する磁気テープを製造することができる。もちろん、(HcMD−HcTD)の値を制御する方法は、以下の(a)〜(e)の方法に限定されず、他の公知の方法を、適宜併用しても差し支えない。
磁性粉末が球に近い程磁性粉末が磁場配向しやすいので、磁性粉末の形状は略粒状である。また、単結晶の磁性粉末に近い程磁場配向した場合のHcTDが小さくなり、(HcMD−HcTD)が大きくなる。略粒状の磁性粉末とは、軸比(長径/短径)が2未満、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.5未満である、球状、略球状、楕円体状、略楕円体状、多面体状、略多面体状、板状、略板状の粒子である。
なお、長径とは、略球状、楕円体状、略楕円体状、多面体状、略多面体状では最大さしわたし径であり、板状、略板状粒子では板径である。また、短径とは、略球状、楕円体状、略楕円体状、多面体状、略多面体状粒子では最大さしわたし径と直角方向のさしわたし最大径であり、板状、略板状粒子では板厚である。磁性粉末が単結晶か否かは高分解能TEMで格子像を観察することで判断できる。
HcMDに対し、相対的にHcTD をより小さくして、(HcMD−HcTD)の値を大きくするには、略粒状の微粒子磁性粉末の粒子サイズは30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、15nm以下がさらに好ましく、15nm未満が最も好ましい。また、3nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、8nm以上がさらに好ましい。この範囲の粒子サイズが好ましいのは、3nm未満では磁性粉末の磁気塗料への分散が難しいため、相対的にHcTD が高くなり、(HcMD−HcTD)の値が小さくなりやすい。また、30nmを超えると、磁気テープのノイズが高くなる傾向にある。
本発明の磁気テープに用いられる最上層磁性層に含まれる略粒状の磁性粉末としては、希土類元素、アルミニウム、珪素、ジルコニウム、チタンのように、その酸化物が600℃以下の水素還元によって還元されない元素(特に、希土類元素、アルミニウム、珪素)の少なくとも一つが外層部分に主体的に存在し、かつ鉄または鉄を主体とする遷移金属元素と窒素がコアー部分に主体的に存在するものが好ましい。
磁性粉の外層部分をこのような構成にすることにより、磁性粉製造時の磁性粉末どうしの焼結が防止され、HcMDに対して、相対的にHcTDをより小さくして、(HcMD−HcTD)の値を大きくすることができる。さらに、コアー部分がFe16N2 相を含有する窒化鉄系磁性粉末がより好ましい。また、磁性粉末の粒子毎の窒素等の組成分布が小さいことが好ましい。
記録方向つまり長手方向の保磁力HcMDを大きくすることと電磁変換特性を低下させないことのため、長手方向の角形(Br/Bm)MDは0.75以上であるのが好ましい。(Br/Bm)MDは大きければ大きいほど好ましい。理論的な理想値としては1であるが、現実的には0.95程度が限界である。また、幅方向の角形(Br/Bm)TDを小さくして長手方向の角形と幅方向の角形との比[(Br/Bm)MD/(Br/Bm)TD]を大きくすることが好ましい。さらに、長手方向媒体のSFD(異方性磁界分布)は小さい方が好ましい。SFDは1.0以下が好ましく、0.7以下がより好ましい。粒子径がそろっている、つまり粒度分布が狭い磁性粉末を用いると、SFDは良好になる。媒体のSFDが小さい方が、同じ長手方向の角形を示しても幅方向の保磁力HcTDが小さく、(HcMD−HcTD)の値を大きくする効果がある。粒子径がそろっている方が均一分散が行えて同様の効果が生じる。
これらを具現化する方法としては、最上層磁性層の塗布後に強い(例えば0.5T以上の)配向磁界を印加し、その後、均一配向磁界(例えば0.1T以上)を最上層磁性層が略乾燥するまで継続して印加すればよい。均一磁界の印加方法としては、反発磁石を多数並べる方法と、ソレノイドを使用する方法、両者の併用方法があり、いずれの方法を採用してもよい。反発磁石を多数並べる方法はランニングコストが安いという長所があるが、反発磁石と反発磁石の間で磁界が磁気媒体膜面方向に対して磁界が垂直方向に立ったり、磁界がない部分や反転が生じたりするので、磁性塗膜の乾燥位置を長手方向に磁界が生じている部分にうまく合わせる必要がある。一方、ソレノイドを使用する方法は電力等のランニングコストは高いが、配向磁界が磁気テープの長手方向に正確に向くので、磁性粉末の磁化容易軸の長手方向への配向が良くなり、長手方向の保磁力HcMDと幅方向の保磁力HcTDとの差(HcMD−HcTD)が非常に大きくなるという長所を有する。
このための手法は、微粒子磁性粉末の分散性を上げるために従来から用いられている公知の手法が可能であり、これらを適宜組み合せて実施すればよい。磁性塗料の調製においては、磁性粉末を混練する前に、分散工程で良くほぐれるように、予め分散剤や樹脂と一緒に高速撹拌混合しておくのが好ましい。
混練には、樹脂とよくなじむように、大きなせん断力がかかる加圧型混練機や連続式2軸混練機等を用いるのが好ましく、通常の混練機であるならば、磁性粉末のバッチ量を適宜工夫するのが好ましい。分散は、通常のサンドミル型の分散機でよい。分散メディアとしては、従来の一般的な材質のものが使えるが、粒径が1mm未満で、チタニア、ジルコニアを主成分とする比重の大きいビーズを使用するのが好ましい。これは小粒径で比重が大きいほど分散能力が大きく、磁性粉末がよくほぐれて配向しやすく、かつテープ幅方向の保磁力が小さくなりやすいからである。また、磁性粉末の表面を分散しやすいように、公知の表面処理剤で処理してもよい。さらに、バインダとして用いる樹脂には、分散性を向上させる官能基を持つ従来公知の樹脂を使用するのが好ましい。また、カーボンブラックやアルミナのような充填剤を磁性粉末とは別に分散して、予め分散しておいた磁性粉末や分散剤、樹脂の分散塗料に添加して磁性層用の塗料にする方法が好ましい。
リニアレコーディングタイプの磁気テープカートリッジの一例を示す。図2は本発明が適用される磁気テープカートリッジの一般的な構造を示し、図3はその内部構造を示す。図2において、磁気テープカートリッジは、上下ケース1a・1bを蓋合わせ状に接合してなる角箱状のケース本体1を有し、ケース本体1の内部に配置した1個のリール2に磁気テープ3を巻装している。ケース本体1の前壁6の一側端には、テープ引出口4が開口してある。テープ引出口4は、スライド開閉可能なドア5で開閉できるようになっている。リール2に巻装した磁気テープ3をケース外へ引き出し操作するために、磁気テープ3の繰り出し端にテープ引出具7が連結されている。符号20は、ドア5を閉じ勝手に移動付勢するためのドアばねを示す。
本発明の磁気テープは、非磁性支持体、非磁性支持体の上に少なくとも1層の磁性層を有する構成で、高密度記録に寄与する磁性層は最上層磁性層である。また、必要に応じて、磁性層形成面(記録面)とは反対の面にバック層を設けてもよく、最上層磁性層と非磁性支持体の間に下層を設けてもよい。さらに、最上層磁性層の下に下層を介してサーボ信号を記録する下層磁性層を設けてもよい。
非磁性支持体には、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナフタレンテレフタレートフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、芳香族ポリイミドフィルム等が使用される。
非磁性支持体の厚さは、用途により異なるが、通常2〜5μm、好ましくは2〜4.5μm、より好ましくは2〜4μmである。この範囲の厚さの非磁性支持体が使用されるのは、2μm未満では製膜が難しく、またテープ強度が小さくなり、5μmを超えるとテープ全厚が厚くなり、テープ1巻当りの記録容量が小さくなるためである。
なお、長手方向のヤング率ESMDが高い非磁性支持体は高コストなので、ESMDは通常40GPa以下である。
磁性層は、少なくとも1層の、記録層として設けられる最上層磁性層からなり、この最上層磁性層の厚さは、5〜90nmが好ましい。この範囲が好ましいのは、5nm未満では均一厚さの磁性層形成が難しく、90nmを超えると厚さ減磁により再生出力の低下が起こりやすいためである。
なお、最上層磁性層が90nm以下と薄い場合、非磁性下層を介して最上層磁性層の下に、サーボ信号記録用の下層磁性層を設けてもよい。
塗布型磁気テープでは磁性粉末を磁性層に用いるが、この磁性粉末の特性が磁気テープの特性に重要な役割を果たす。上述のように塗布型磁気テープには、WO03/079332A1、WO03/079333A1に記載の略粒状の磁性粉末の使用が好ましい。略粒状の窒化鉄系微粒子磁性粉末が、本発明の塗布型磁気テープの最上層磁性層の微粒子磁性粉末として、特に好ましい。
なお、磁性粉末の保磁力は、最上層磁性層の長手方向の保磁力が、160〜400kA/mになるように選択する。
本発明において、MRヘッドを用いて高いC/Nを実現するには、上記の希土類−窒化鉄系磁性粉末をはじめとした略粒状の窒化鉄系微粒子磁性粉末が特に好ましい。窒化鉄系磁性粉末の製造方法については、WO03/079332A1、WO03/079333A1に記載されている方法を使用する。
塗布型磁気テープの磁性層には、WO03/079332A1、WO03/079333A1等に記載のバインダ樹脂(以下、単にバインダと記載)と量を適用できる。バインダとして2種以上の樹脂を併用する場合、官能基の極性を一致させるのが好ましく、中でも−SO3M基どうしの組み合わせが好ましい。−SO3M基のような官能基を有する塩化ビニル系樹脂と、−SO3M基のような官能基を有するポリウレタン樹脂とを複合するか、同種の官能基を有する複数のポリウレタン樹脂を複合して用いるのがより好ましい。これらのバインダとともに、バインダ中に含まれる官能基等と結合させて架橋するために、ポリイソシアネート化合物等の熱硬化性の架橋剤を併用するのが望ましい。しかし、下層の上にウエット・オン・ウエットで磁性層を塗布する場合には、下層塗料からある程度のポリイソシアネート化合物が拡散供給されるので、ポリイソシアネート化合物を併用しなくても、磁性層はある程度架橋される。
塗布型磁気テープの最上層磁性層には、従来公知のα−アルミナ、α−酸化鉄等のモース硬度が6以上の研磨材を単独でまたは組み合せて添加することができる。通常、これら研磨剤の数平均粒子径は、10〜150nmである。また、必要に応じて、数平均粒子径が10〜100nmの板状粒子を添加してもよい。さらに、磁性層には、導電性向上と表面潤滑性向上のため、従来公知の数平均粒子径が10〜100nmのカーボンブラックを添加することができる。また、導電性向上のために、数平均粒子径が10〜100nmの板状ITO粒子を添加してもよい。磁性層に含ませる研磨剤やカーボンブラック等の非磁性粉末は、粒度分布が小さいものほど、幅方向の保磁力(HcTD)が小さくなりやすく、好ましい。
酸化鉄粒子やITO粒子の分散性向上の目的で、アルミナ、シリカ、ジルコニア(特にアルミナ)のようなアルミニウム、珪素、ジルコニウム化合物(特にアルミナのような酸化物)で表面処理することが好ましい。
塗布型磁気テープの最上層磁性層には、粒子サイズが30nm以下の超微粒子磁性粉末を塗膜中に高充填化し、かつ高分散させるためには、下記のような工程で、塗料製造を行うのが好ましい。
混練工程の前工程として、磁性粉の顆粒を解砕機を用いて解砕し、その後、混合機でリン酸系の有機酸等やバインダ樹脂と混合し、磁性粉の表面処理、バインダ樹脂との混合を行う工程を設けるのが好ましい。
混練工程には、連続式2軸混練機により固形分濃度80〜85重量%、磁性粉末に対するバインダ樹脂の割合が17〜30重量%で混練を行うのが好ましい。
なお、磁性層に含ませる非磁性粉末が磁性粉末よりも大きなものでは、非磁性粉末が磁性塗料の分散時に分散力となる分散メディアによるせん断応力を遮断して、磁性粉末の分散を阻害する場合がある。このような非磁性粉末は、磁性粉末とは別に分散してスラリー状にしておき、これを磁性粉末を分散した塗料と混合して磁性層用塗料を調製するようにすると、幅方向の保磁力(HcTD)が小さくなりやすく、(HcMD−HcTD)が高い最上層磁性層が得やすいので好ましい。
塗布型磁気テープの最上層磁性層の磁場配向処理は、前述したように従来公知の磁場配向方法で行うことができる。塗布後に、反発磁石で強い(例えば0.5T以上)配向磁界を印加し、引き続きソレノイド電磁石で均一配向磁界(例えば0.1T以上)の印加を、最上層磁性層が略乾燥するまで継続させて行うのが好ましい。また、ランニングコストを安くするためには、反発磁石を多数並べる方法を採用してもよいが、磁界の反転が繰り返されるので、均一磁界発生部で乾燥するようにするのが好ましい。
本発明の磁気テープカートリッジに使用する磁気テープにおいては、最上層磁性層の配向性の向上、平滑性の向上、厚さむらの低減、耐久性の向上のため、下層を形成するのが望ましい。特に、塗布型磁気テープにおいては下層形成効果が大きい。また、最上層磁性層の磁気記録信号を乱さないため、通常、下層は非磁性である。
通常は、数平均長軸長が50〜200nm、数平均短軸長が5〜100nmの非磁性の酸化鉄と、数平均粒子径が10〜100nmのカーボンブラック、必要により、数平均粒子径が10〜200nmの酸化アルミニウム、特に数平均粒子径が10〜100nmの酸化アルミニウム粒子が用いられる。下層の酸化鉄、酸化チタン等の研磨剤には、分散性向上を目的に、アルミニウム、珪素、ジルコニウムまたはこれらの化合物(特にアルミナのような酸化物)の少なくとも一つで表面処理することが好ましい。処理量は通常2〜15重量%である。
このような超微粒子の板状非磁性粉末を使用すると、0.9μm以下の薄層塗布においても厚みむらが小さく、また表面の平滑性が低下することもない。また、板状の粒子が重なった状態で塗膜が形成されるので、塗膜の平面方向の補強効果が大きく、同時に温度、湿度の変化による寸法安定性も大きくなる。
非磁性板状粒子としては、酸化アルミニウムに限らず、セリウムなどの希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄等の元素の酸化物または複合酸化物が用いられる。導電性改良の目的で、板状ITO(インジウム、スズ複合酸化物)粒子を添加してもよい。非磁性板状微粒子の製造方法としては、WO030/079332A1、WO03/079333A1に記載の公知の方法が用いられる。
なお、酸化鉄、酸化セリウム、酸化チタン、ITOの分散性向上の目的で、アルミナ、シリカ、ジルコニアのようなアルミニウム、珪素、ジルコニウム化合物(特にアルミナのような酸化物)で表面処理することが好ましい。処理量は通常2〜15重量%である。
薄膜型磁気テープでは、最上層磁性層の上、または5〜30nm(特に5〜15nm)のDLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)を介してフッ素系の潤滑剤を形成する。
塗布型磁気テープでは、磁性層、下層には、WO03/079332A1、WO03/079333A1に記載の従来公知の潤滑剤を添加でき、その添加量も上記公知の量でよい。例えば、下層にミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の炭素数10以上の高級脂肪酸と、ステアリン酸ブチルなどの高級脂肪酸のエステルを含有させると、ヘッドとの摩擦係数が小さくなるので、好ましい。また、磁性層には、パルミチン酸、ステアリン酸等のアミドである脂肪酸アミドと、高級脂肪酸のエステルを含有させると、テープ走行時の摩擦係数が小さくなるので、好ましい。なお、磁性層の潤滑剤と下層の潤滑剤の相互移動を排除するものではない。
本発明の磁気テープを構成する非磁性支持体の他方の面(磁性層が形成されている面とは反対側の面)には、走行性の向上等を目的として、バック層を形成できる。
このバック層は、蒸着、スパッタ、CVD、塗布により、形成できる。バック層に磁気サーボ信号を記録する場合には、従来公知の薄膜型または塗布型磁性層がバック層に使用されるが、磁性層に磁気サーボ信号を記録する場合や、バック層に光学サーボ信号を記録する場合には、バック層としてバックコート層が使用される。バックコート層としては、カーボンブラックとバインダ樹脂からなるバックコート層が一般的である。このようなバックコート層の厚さとしては、0.2〜0.8μmが好ましい。また、表面粗さRaとしては、3〜8nmが好ましく、4〜7nmがより好ましい。
バックコート層のバインダ樹脂としては、セルロース系樹脂とポリウレタン系樹脂を使用するのが好ましい。また、バインダ樹脂を硬化するために、ポリイソシアネート化合物等の架橋剤を用いるのが好ましい。
また、バックコート層には、必要により、強度向上を目的として、数平均粒子径が10〜100nmの酸化アルミニウム、セリウム等の希土類元素、ジルコニウム、珪素、チタン、マンガン、鉄等の元素の酸化物または複合酸化物板状粒子や、導電性改良を目的として、板状ITOを添加することができる。
なお、バックコート層の酸化鉄、酸化セリウム、酸化マンガン、ITOの分散性向上の目的で、アルミナ、シリカ、ジルコニアのようなアルミニウム、珪素、ジルコニウム化合物(特にアルミナのような酸化物)で表面処理することが好ましい。処理量は通常2〜15重量%である。
塗布型磁気テープ用の磁性塗料、下層塗料、薄膜型および塗布型磁気テープ用のバックコート層塗料に使用する有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独でまたは混合して使用でき、さらにトルエンなどと混合して使用することもできる。
図5に示したスリッティングシステム100を用いて磁気テープ原反Gを裁断して磁気テープ3とする。ここで、図5中に記載されているテンションカットローラ50のサクション吸引部の拡大図を図6に示す。このサクション吸引部は、図示しない吸引源に連通されて磁気テープ原反を吸引する吸引部51と、外周面に磁気テープ原反が接触するテープ接触部52とからなり、これらを、テンションカットローラ50の外周面に沿って一定間隔をあけて交互に配置した構成である。図示例では、テンションカットローラ50の外周面において、一つの吸引部51の終端から直ぐ隣の吸引部51の終端までの周方向距離、つまり吸引部51の周期T1は例えば13.5mmである。通常、吸引部51は孔が開いているが、改良システムでは、多孔金属を埋め込みメッシュサクションとした。このようなテンションカットローラ50を備えたスリッティングシステム100を使用し、そのサクションの吸引圧を例えば1.33×104Pa(100mmHg)、テンションカットローラ50に対する磁気テープ原反Gの巻付角を例えば188度に設定して、磁気テープ原反Gに対するスリティングを行う。図示はしないが、通常のスリッティングシステムでは、図5中の刃物駆動部60に駆動モータから駆動ベルトを介して動力伝える動力伝達装置がついている。改良装置では刃物駆動部60に駆動ベルトを介さず動力を伝えるダイレクトドライブ方式とした。さらに、ダイレクトドライブの使用するモータを超防振構造に改良して、刃物駆動部60に振動が発生しない構造とした。通常のサクションローラとベルトドライブとの組合せをスリッティングシステムA、メッシュサクションローラとダイレクトドライブとの組合せをスリッティングシステムB、メッシュサクションローラと防振ダイレクトドライブとの組合せをスリッティングシステムCとする。
(1) 磁気テープのエッジウィーブ量が1μm以下で、磁気テープの最上層磁性層の長手方向の保磁力HcMDと幅方向の保磁力HcTDとの差〔HcMD−HcTD〕が140kA/m以上HcMD以下が好ましい。エッジウィーブ量は0.8μm以下がより好ましく、0.6μm以下がさらに好ましい。また、(HcMD−HcTD)は、155kA/m以上がより好ましく、160kA/m以上がさらに好ましく、180kA/m以上がいっそう好ましい。
(2) 磁気テープの最上層磁性層の長手方向の角形(Br/Bm)MDと幅方向の角形(Br/Bm)TDとの比[(Br/Bm)MD/(Br/Bm)TD]が3.0以上が好ましく、3.5以上がより好ましく、4.0以上がさらに好ましく、4.5以上がいっそう好ましい。通常12以下である。
(3) 長手方向のヤング率が11GPa以上が好ましく、長手方向のヤング率は12GPa以上がより好ましく、14GPa以上がさらに好ましい。通常、長手方向のヤング率は30GPa以下である。
(4) 磁気テープの最上層磁性層の長手方向の保磁力HcMDが160〜400kA/mであることが好ましい。
(5) 磁気テープの最上層磁性層における〔(長手方向の保磁力)/(幅方向の保磁力)〕の値が2.2以上であることが好ましい。通常は10以下である。
(6) 磁気テープの上層磁性層の厚さが0.09μm以下であることが好ましい。
(7) 磁気テープの最上層磁性層の残留磁束密度(Br)と厚さδとの積(Br・δ)が0.0018μTm以上、0.05μTm以下であることが好ましい。
(8) 磁気テープが、非磁性支持体と最上層磁性層との間に、少なくとも1層の下層を有することが好ましい。
(9) 磁気テープが、非磁性支持体の他方の面上に形成されたバック層を有することが好ましい。
(10) 磁気テープのバック層がカーボンブラック粉末と結合剤とを含有するバックコート層であることが好ましい。
(11) 磁気テープの磁気テープの全厚が6μm未満であることが好ましい。
(12) 磁気テープに記録された磁気記録信号は磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)で再生される磁気テープカートリッジが好ましい。
(13) 磁気テープに記録されたサーボ信号によってトラッキングされる磁気記録カートリッジが好ましい。
(14) サーボ信号が、磁気サーボ信号および光学サーボ信号からなる群から選ばれる少なくとも一つのサーボ信号である磁気記録カートリッジが好ましい。
(15) 磁気テープの磁性層およびバック層の少なくとも一方にサーボ信号が記録されている磁気記録カートリッジが好ましい。
(16) サーボ信号は磁気サーボ信号であり、磁気サーボ信号が磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)で再生される磁気記録カートリッジが好ましい。
(17) サーボ信号は光学サーボ信号であり、光学サーボ信号で再生される磁気記録カートリッジが好ましい。
(18) 箱状のケース本体、該ケース本体の内部に配置された、磁気テープを巻回した単一リールを有する、リニアトラッキングタイプの磁気テープカートリッジが好ましい。
なお、以下の実施例および比較例において、部とあるのは重量部を示すものとする。
<下層塗料成分>
(1)成分
非磁性針状酸化鉄粉末(平均粒径:100nm、軸比:5 68部
Al2O3:10重量%)
粒状アルミナ粉末(平均粒径:80nm) 8部
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 24部
ステアリン酸 2.0部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 8.8部
(含有−SO3Na基:1×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4.4部
(Tg:40℃、含有−SO3Na基:1×10-4当量/g)
シクロヘキサノン 25部
メチルエチルケトン 40部
トルエン 10部
(2)成分
ステアリン酸ブチル 1部
シクロヘキサノン 70部
メチルエチルケトン 50部
トルエン 20部
(3)成分
ポリイソシアネート 1.4部
シクロヘキサノン 10部
メチルエチルケトン 15部
トルエン 10部
(1)混練工程成分
粒状磁性粉(Y−N−Fe)〔以下、(A)粉という〕 100部
(外層部分にY,Alを主体的に含有し、コアー部分にFe16N2相
を含有、Y/Fe:5.5原子%、Al/Fe:8.2原子%、
N/Fe:11.9原子%、Fe16N2相:主相、
飽和磁化量:101.5Am2/kg(101.5emu/g)、
Hc:211.0kA/m(2,650Oe)、
平均粒子サイズ:17nm、平均軸比:1.2)
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 13部
(含有−SO3Na基:0.7×10-4当量/g)
ポリエステルポリウレタン樹脂 4.5部
(含有−SO3Na基:1.0×10-4当量/g)
メチルアシッドホスフェート 2部
テトラヒドロフラン 20部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(重量で1:1) 9部
(2)希釈工程成分
パルミチン酸アミド 1.5部
ステアリン酸n−ブチル 1部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(重量で1:1) 350部
(3)別分散スラリー成分
粒状アルミナ粉末(平均粒径:80nm) 10部
塩化ビニル−ヒドロキシプロピルアクリレート共重合体 1部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(重量で1:1) 15部
(4)配合工程成分
ポリイソシアネート 1.5部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(重量で1:1) 29部
これとは別に、上記の磁性塗料成分のうち、(1)の混練工程成分中、磁性粉末全量と樹脂および溶剤の所定量を予め高速撹拌混合しておき、その混合粉末を(1)の混練工程成分となるように調整したのち、連続式2軸混練機で混練し、さらに(2)の希釈工程成分を加えて、連続式2軸混練機で少なくとも2段階以上に分けて希釈を行い、サンドミルで分散メディアとして直径0.5mmのジルコニアビ−ズを用いて、滞留時間を45分として分散した。これに(3)の別分散スラリー成分をサンドミルで滞留時間を40分として分散したものを加え、さらに(4)の配合工程成分を加えて、撹拌、ろ過したのち、磁性塗料とした。
なお、上記磁場配向処理は、ドライヤ前に50cm長さのN−N対向磁石(0.5T)1基、ドライヤ内に50cm長さのソレノイド電磁石(0.2T)5基を20cm間隔で設置して、行った。N−N対向磁石とソレノイド電磁石との距離は20cmで、対向磁石に近いソレノイド電磁石の極はS極である。塗膜の指蝕乾燥位置(粒子が全く動かなくなる位置)は、4台目と5台目のソレノイド電磁石の間であった。塗布速度は100m/分とした。以下、この磁場のかけかたを、配向方法(A)という。
カーボンブラック(平均粒径:25nm) 80部
カーボンブラック(平均粒径:350nm) 10部
粒状酸化鉄粉末(平均粒径:50nm、Al2O3:3重量%) 10部
ニトロセルロース 45部
ポリウレタン樹脂(SO3Na基含有) 30部
シクロヘキサノン 260部
トルエン 260部
メチルエチルケトン 525部
その後、この磁気シートを、金属ロールからなる7段カレンダで、温度100℃、線圧200kg/cmの条件で、鏡面化処理し、さらに磁気シートをコアーに巻いた状態で、70℃72時間エージングしたのち、上述のスリッティングシステムCを用いて1/2インチ幅に裁断した。これを200m/分で走行させながら、磁性層表面に対し、ラッピングテープ研磨、ブレード研磨、表面拭き取りの後処理を行い、磁気テープを作製した。
ラッピングテープにはK10000、ブレードには超硬刃、表面拭き取りには東レ社製の商品名「トレシー」を用い、走行テンション0.294Nで処理を行った。
このようにして得られた磁気テープにサーボライタで磁気サーボ信号を記録し、コンピュータ用磁気テープを作製した。この磁気テープの残留磁束密度と磁性層厚さの積Br・δは、0.032μTmであった。さらに、この磁気テープを単一リールに巻回し、図2、図3に示すリニアレコーディングタイプのカートリッジに組み込み、コンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、磁性粉末(Y−N−Fe)の平均粒子サイズを13nm(平均軸比は1.2)のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、磁性粉末(Y−N−Fe)の平均粒子サイズを28nm(平均軸比は1.2)のものに変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁場配向処理において、ソレノイド電磁石の強度を0.35Tに変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、(3)の別分散スラリー成分の添加を省いた以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁場配向処理において、ソレノイド電磁石の強度を0.10Tに変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁場配向処理を、下記のように変更した以外は、実施例1と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
ドライヤ前に50cm長さのN−N対向磁石(0.5T)を設置し、ドライヤ内で塗膜の指蝕乾燥位置の手前側75cmから50cm長さのS−S対向磁石(0.5T)とN−N対向磁石(0.5T)各1基を50cm間隔で設置して行った。塗布速度は100m/分とした。以下、この磁場のかけかたを、配向方法(B)という。
下層およびバックコート層の研磨剤としてアルミナ処理をしていない酸化鉄を使用したこと以外は、実施例7と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、磁性粉末として、σs:110A・m2/kg(110emu/g)、Hc:159.2kA/m(2,000Oe)、平均粒子サイズ:35nm、平均軸比:3.5の合金磁性粉末(Al−Y−Co−Fe)を用いたこと、下層およびバックコート層の研磨剤としてアルミナ処理をしていない酸化鉄を使用したこと以外は、実施例6と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁場配向処理に際し、ドライヤ前に50cm長さのN−N対向磁石(0.5T)を1基のみ設置した。この磁場のかけ方を配向方法(C)という。配向方法(C)としたこと、下層およびバックコート層の研磨剤としてアルミナ処理をしていない酸化鉄を使用したこと以外は、実施例6と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、粒状アルミナの平均粒径を160nmのものに変更し、かつサンドミルの分散メディアを直径1.5mmのチタニアビーズに変更したこと、下層およびバックコート層の研磨剤としてアルミナ処理をしていない酸化鉄を使用したこと以外は、実施例6と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、磁性粉末として、Y/Fe:0.4原子%、Al/Fe:1.5原子%、N/Fe:12.2原子%、Fe16N2相:主相、飽和磁化量:105.5Am2/kg(105.5emu/g)、Hc:202.9kA/m(2,550Oe)、平均粒子サイズ:17nm、平均軸比:1.2)の粒状磁性粉(Y−N−Fe)〔以下、(B)粉という〕を使用したこと、下層およびバックコート層の研磨剤としてアルミナ処理をしていない酸化鉄を使用したこと以外は、実施例6と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、粒状アルミナの平均粒径を160nmのものに変更し、かつサンドミルの分散メディアを直径1.0mmのチタニアビーズに変更したこと、下層およびバックコート層の研磨剤としてアルミナ処理をしていない酸化鉄を使用したこと以外は、実施例7と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、磁性粉末として、σs:120A・m2/kg(120emu/g)、Hc:171.1kA/m(2,150Oe)、平均粒子サイズ:100nm、平均軸比:6.0の合金磁性粉末(Al−Y−Co−Fe)を用いたこと、下層およびバックコート層の研磨剤としてアルミナ処理をしていない酸化鉄を使用した以外は、実施例6と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
磁性塗料成分中、磁性粉末として、Y/Fe:5.5原子%、Al/Fe:8.2原子%、N/Fe:12.2原子%、Fe16N2相:主相、飽和磁化量:105.5Am2/kg(105.5emu/g)、Hc:211.0kA/m(2,650Oe)、平均粒子サイズ:35nm、平均軸比:1.2の粒状磁性粉(Y−N−Fe)〔以下、(C)粉という〕を使用したこと、下層およびバックコート層の研磨剤としてアルミナ処理をしていない酸化鉄を使用した以外は、実施例6と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いて、コンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
表3に示す非磁性支持体を使用したことを除き、実施例4と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
下層の酸化鉄、およびバックコート層の酸化鉄にアルミナ(Al2O3)処理を施さなかったことを除き実施例4と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
下層の酸化鉄にアルミナ(Al2O3)処理を施さなかったことを除き実施例4と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
スリッティングシステムBを使用したことを除き実施例4と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
スリッティングシステムAを使用したことを除き実施例4と同様にして、磁気テープを作製した。また、これを用いてコンピュータ用磁気テープとコンピュータ用磁気テープカートリッジを作製した。
なお、磁性層中の磁性粉末の粒子サイズは、下記の方法により測定し、原料磁性粉末とほぼ同様の平均粒子サイズ、平均軸比を有していることを確認した。表1中、「SC」はソレノイド電磁石を意味する。
<磁性粉末の粒子サイズ>
磁気テープを樹脂埋めし、それを集束イオンビーム加工装置で長手方向に厚さ方向の断面を切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM) で20万倍にて必要枚数の磁性層断面の写真撮影を行い、磁性層中の磁性粉末の外形を縁取りする。その外径の最大さしわたしを粒子サイズとして計測する。50個の磁性粉末を計測し、その平均値を平均粒子サイズとした。
また、上記の各磁気テープの磁性層および下層の厚さは、下記の方法により、測定したものである。
<磁性層および下層の厚さ>
磁気テープを樹脂埋めし、それを集束イオンビーム加工装置で長手方向に厚さ方向の断面を切り出し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で2万倍にて10視野の写真撮影を行い、(1)磁性層表面、(2)磁性層−下層の界面、(3)下層−非磁性支持体の界面を縁取りする。つぎに、写真1視野当り、界面に非磁性粉末のかかっていない任意の5個所を選び、(1)−(2)の縁取りした線間の距離を磁性層の厚さ、(2)−(3)の縁取りした線間の距離を下層の厚さ、として計測した。それらの磁性層および下層の厚さを10視野について平均して各層の厚さとした。
<ヤング率の測定>
非磁性支持体および磁気テープのヤング率は、支持体および磁気テープのS−S曲線から0.3%伸びにおけるヤング率を求めた。0.3%伸びた時点での荷重をa(kgf)、試料幅をw(mm)、試料厚さをt(mm)とすると、ヤング率E=[(荷重a)÷(試料幅w × 試料厚さt)]÷(伸び率0.003)、の式から求めることができる。
なお、測定装置にはソニーマグネスケール社製、MSS−701Sを用い、測定条件は、試料の長さが120mm、試料幅が10mm、チャック間距離が100(mm)、引張り速度が20(mm/分)とした。
<出力と出力対ノイズ比>
磁気テープの電磁変換特性の測定には、ドラムテスターを用いた。ドラムテスターには電磁誘導型磁気ヘッド(トラック幅25μm、ギャップ0.1μm)とMR磁気ヘッド(トラック幅8μm)を装着し、誘導型ヘッドで記録、MRヘッドで再生を行った。
両ヘッドは、回転ドラムに対して異なる場所に設置されており、両ヘッドを上下方向に操作することで、トラッキングを合わせることができる。磁気テープはカートリッジに巻き込んだ状態から適切な量を引き出して廃棄し、さらに60cmを切り出し、さらに4mm幅に加工して、回転ドラムの外周に巻き付けた。記録・再生は磁気テープの長手方向である。
出力およびノイズは、ファンクションジェネレータにより、波長0.2μmの矩形波を書き込み、MR磁気ヘッドの出力をスペクトラムアナライザーに読み込んだ。0.2μmのキャリア値を媒体再生出力Cとした。また、0.2μmの矩形波を書き込んだときに、記録波長0.2μm以上に相当するスペクトルの成分から、再生出力およびシステムノイズを差し引いた値の積分値をノイズ値Nとして用いた。さらに、両者の比をとってC/Nとした。C、C/N共に、比較例1の磁気テープの値との相対値として、求めた。
<エラーレート>
エラーレートは、薄手テープも測定できるように改造したLTOドライブを用いて記録(記録波長0.37μm)・再生することによって求めた。エラーレートは、ドライブから出力されるエラー情報(エラービット数)をもとに、下式より求めた。
エラーレート=(エラービット数/書き込みビット数)
<オフトラック量の測定>
PES(Positioning error signal、位置ずれ量のばらつきを表す数値、標準偏差σの値)をLTOドライブで測定し、換算表によりPESからサーボトラックのオフトラック量を求めた。LTOドライブの記録トラック幅は20.6μm、再生トラック幅は12μm、記録波長は0.37μmである。
なお、実施例12の磁気テープは、(HcMD−HcTD)が140kA/m以上なので、ドラムテスターで評価したCおよびC/Nは高いが、磁気テープの長手方向のヤング率が11GPa未満なので、エラーレートは若干高い。
2 リール
3 磁気テープ
Claims (2)
- 非磁性支持体と、非磁性支持体の一方の面に、少なくとも1層の磁性層を有する磁気テープにおいて、前記磁気テープのエッジウィーブが1μm以下であり、かつ前記磁気テープの最上層磁性層の長手方向の保磁力HcMDと幅方向の保磁力HcTD との差〔HcMD−HcTD〕が140kA/m以上HcMD以下であることを特徴とする磁気テープ。
- 前記磁気テープの長手方向の角形(Br/Bm)MDと幅方向の角形(Br/Bm)TDとの比[(Br/Bm)MD/(Br/Bm)TD]が3.0以上であることを特徴とする請求項1に記載の磁気テープ。
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