JP2006176894A - 脱臭繊維、脱臭不織布及びそれらを用いた成型品 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルデヒド系、酸系の揮発性物質に対して効果的な除去ができ、消臭効果を有する繊維、不織布、及びそれから得られる成型品の提供。
【解決手段】熱可塑性樹脂100重量部に対し、アニオン交換性層状粘土鉱物の層間に、アミノ基を有するカルボン酸、スルホン酸若しくはフェノール並びにそれらの塩から選ばれるアミノ基含有有機化合物がインターカレートされた改質層状粘土鉱物が0.01〜20重量部配合された熱可塑性樹脂組成物から得られることを特徴とする脱臭繊維、脱臭不織布、及びそれらから得られる脱臭成型品。
【選択図】なし

Description

本発明は、脱臭繊維、脱臭不織布及びそれらを成形して得られる脱臭用成型品に関する。詳しくは、アニオン交換性層状粘土鉱物の層間に、アミノ基を有するカルボン酸、スルホン酸若しくはフェノール並びにそれらの塩から選ばれるアミノ基含有有機化合物がインターカレートされた改質層状粘土鉱物を有効成分として含有する熱可塑性樹脂組成物からの繊維類であって、アルデヒド系の物質を主とする揮発性有機化合物(以下、Volatile Organic Compounds:VOCと言うことがある)のアルデヒド類、およびそれ以外の異臭物質として酸類等の物質に対し、優れた除去性能を示す脱臭繊維、脱臭不織布及びそれらを成形して得られる脱臭用成型品に関する。
近年、繊維は、家屋に使用されている壁紙、椅子の外張りなどの内装材、エアコン等に用いられているフィルター、食品用のナフキン、タバコフィルター、おむつ等の衛生材料など、日常生活の多様な場面で使用されている。
家屋に使用されている内装材においては、構成部品を組み立て上げるために接着剤などを多用しており、その接着剤等の溶剤から揮発される物資、揮発性有機化合物が、人体にアレルギー等の悪影響を及ぼす(ハウスシック症候群の発症など)ことが一般的に認知され始めている。その対策法として、発生する揮発成分を接着剤等の材料からなるべく減らしていく努力もなされているが、現実的には完全に取り除くことはできず、尚、微量に発生する揮発性有機化合物が存在している。
また、生活環境の向上という視点から、人は環境の臭いに対しても敏感になり、空気清浄機や空気清浄機能付きエアコンが販売台数を延ばし、また、エアゾールタイプの脱臭剤、芳香剤がスーパーなどの棚をにぎわしているのは、このことを反映している。このような生活環境に影響を与え、時にアレルギー等の原因物質となる、揮発性有機化合物の一部であるアルデヒド系の物質や、異臭の原因物質の一つである酸系の物質を取り除くことは、生活環境の向上という視点から重要なことと考えられる。
そこで、微量に発生する揮発性有機化合物を除去する方法が考えられている。その方法として、揮発性有機化合物を吸着除去する手法がある。揮発性有機化合物を吸着除去する物質として、活性炭等の吸着剤は有力な基材となりうるが、炭素からなるために黒色を呈しており、他の基材と混合して使用する際、着色が出来ない等の不便がある。
さらに、活性炭や、その他ゼオライトなどの吸着剤の場合、脱臭機構は物理吸着であるため、吸着した物質が脱離しやすいという欠点も持っており、また吸着した物質が蓄積されて、変色等の問題もあった。
また、その他の脱臭剤としてポリアミン系、アゾ系の吸着剤を層状粘土鉱物に担持、インターカレーションされた吸着剤(例えば、特許文献1〜4参照)も提案されているが、ポリアミン等の物質は生理活性を持っており、遺伝子阻害物質となる可能性もあるため、生活環境で使う際において危険性が高いと言われている。また、アルデヒドとの反応点が、担持、ないしインターカレーションの反応点となるため、吸着後は、反応物が脱離しやすく、着色の原因となりえる。また、酸系の物質に対しては吸着能力を持っていない。
さらに、近年、光触媒を利用した脱臭剤などを空気清浄機に備え付けて使用する方法が実施されているが、樹脂との複合では樹脂自身が光触媒で劣化してしまうという欠点を有しているので、それを防ぐために自ずと構造が複雑になり、それに伴い価格が高価になってしまうので、実用的ではないのが現状であった(例えば、特許文献5参照)。
特開平9−276380号公報 特開2001−25660号公報 特開2002−191967号公報 特開2000−6730号公報 特開2000−262597号公報
本発明は、上記問題点に鑑み、アルデヒド系、酸系の揮発性物質に対して効果的な除去ができ、消臭効果を有する繊維、不織布、及びそれから得られる成型品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、アニオン交換性層状粘土鉱物の層間に、アミノ基を有するカルボン酸、スルホン酸若しくはフェノール並びにそれらの塩から選ばれるアミノ基含有有機化合物がインターカレートされた改質層状粘土鉱物が、揮発性物質を反応吸着し固定化でき、これを熱可塑性樹脂に配合したものを繊維、及び不織布に用いることにより、特に、アルデヒド系、酸系の揮発性物質に対して効果的な除去ができる脱臭繊維、脱臭不織布、及びそれらから得られる成型品を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、熱可塑性樹脂100重量部に対し、アニオン交換性層状粘土鉱物の層間に、アミノ基を有するカルボン酸、スルホン酸若しくはフェノール並びにそれらの塩から選ばれるアミノ基含有有機化合物がインターカレートされた改質層状粘土鉱物が0.01〜20重量部配合された熱可塑性樹脂組成物から得られることを特徴とする脱臭繊維が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明の脱臭繊維から得られることを特徴とする脱臭不織布が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明の脱臭繊維もしくは第2の発明の脱臭不織布を成型して得られることを特徴とする脱臭成型品が提供される。
本発明の脱臭繊維、脱臭不織布及びそれらから得られる成型品は、熱可塑性樹脂にアニオン交換性層状粘土鉱物の層間に、アミノ基を有するカルボン酸、スルホン酸若しくはフェノール並びにそれらの塩から選ばれるアミノ基含有有機化合物がインターカレートされた改質層状粘土鉱物が配合された熱可塑性樹脂組成物から得られる脱臭繊維、脱臭不織布であるので、揮発性物質を反応吸着し固定化でき、特に、アルデヒド系、酸系の揮発性物質を効率的に除去する効果を有する。
本発明は、熱可塑性樹脂に、アニオン交換性層状粘土鉱物の層間に、アミノ基を有するカルボン酸、スルホン酸若しくはフェノール並びにそれらの塩から選ばれるアミノ基含有有機化合物がインターカレートされた改質層状粘土鉱物が配合された樹脂組成物から得られる脱臭繊維、脱臭不織布及びそれらから得られる成型品である。以下に本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における用語の説明として、「インターカレート(インターカレーションと言う場合もある。)」とは、層状粘土の層間に目的の化合物を挿入することであり、一般的にインターカレートに用いるアニオン交換性層状粘土鉱物のことをホスト分子、挿入される化合物のことをゲスト分子と呼ぶこともある。
本発明の脱臭繊維、脱臭不織布の材料の熱可塑性樹脂組成物で用いるアニオン交換性粘土鉱物は、ブルーサイト構造[Mg(OH)]類似の正の電荷を持つ2次元基本層と、アニオンおよび層間水からなる負の電荷を持つ中間層とからなる積層構造化合物である。
該アニオン交換性粘土鉱物としては、下記の基本層(i−1)及び中間層(i−2)の一般式で表される層状複水酸化物(i)、下記の基本層(ii−1)及び中間層(ii−2)の一般式で表される層状複水酸化物(ii)が挙げられる。
層状複水酸化物(i)としては、
基本層:[M2+ 1−X3+ (OH)X+ …(i−1)
中間層:[An− X/n・yHO]X− …(i−2)
と表すことが出来る。
式(i−1)及び(i−2)中、M2+は、2価の金属イオンを表し、例えば、Mg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Zn2+等が挙げられる。また、M3+は、3価の金属イオンを表し、例えば、Al3+、Cr3+、Fe3+、Co3+、In3+等が挙げられる。An−は、n価のアニオンであり、これらのアニオンとしては、OH、F、Cl、NO 、SO 2−、CO 2−、Fe(CN) 4−、V1028 6−、Br、I、ClO 、HPO 、HBO 2−、CO 2−、SiO 2−、HPO 2−、PO 3−、Fe(CN) 4−等が挙げられる。xは、0.2〜0.33の範囲であり、yは、乾燥温度により異なるがその値は0<y<1であり、nは整数である。
層状複水酸化物(i)の化合物の具体例としては、[Mg2+ 0.75Al3+ 0.25(OH) 0.25+[(CO2− 1/8・0.5HO]0.25−、[Mg2+ 0.75Al3+ 0.25(OH)0.25+[Cl 1/8・0.5HO]0.25−などが挙げられる。
また、層状複水酸化物(ii)としては、
基本層:[M1+ 1−X3+ (OH)(2x−1)+ …(ii−1)
中間層:An− (2x−1)/n・yHO …(ii−2)
と表すことが出来る。
式(ii−1)及び(ii−2)中、M1+は、1価の陽イオンを表し、Liがある。また、M3+は、3価の金属イオンを表し、例えば、Al3+、Cr3+、Fe3+、Co3+、In3+等が挙げられる。An−は、n価のアニオンであり、これらのアニオンとしてはOH、F、Cl、NO 、SO 2−、CO 2−、Fe(CN) 4−、V1028 6−、Br、I、ClO 、HPO 、HBO 2−、CO 2−、SiO 2−、HPO 2−、PO 3−、Fe(CN) 4−等が挙げられる。xは、0.2〜0.33の範囲であり、yは、乾燥温度により異なるがその値は0<y<1であり、nは整数である。
層状複水酸化物(ii)の具体例としては、[Li 0.33Al3+ 0.67(OH) 0.34+[(CO2− 1/6・0.5HO]0.34−などが挙げられる。
これらの層状複水酸化物は天然のものであっても合成品でもかまわないが、構造の安定性から合成品を用いることが好ましい。上記層状複水酸化物は、通称ハイドロタルサイト類化合物とよばれるが、例えば、マグネシウム−アルミニウムハイドロタルサイト類化合物が例示される。
上記層状複水酸化物の製造方法の一例としては、硝酸マグネシウム六水和物、硝酸亜鉛六水和物および硝酸アルミニウム九水和物を純水に溶解したもの(I液)と、水酸化ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを純水に溶解したもの(II液)とを攪拌しながら徐々に加える。その際、溶液のpHを約8〜12、好ましくは9〜11に保つのが好ましい。約20〜80℃で24時間〜7日間程度反応させることにより沈澱物を得、ついでこの沈澱物を熟成させた後、洗浄、脱水、乾燥することにより、製造することができる。
なお、上記の沈澱物を製造する際の反応温度、反応時間および反応系における攪拌速度を適宜調節することにより、使用目的や使用対象に応じた所望の結晶形や粒子径を有するハイドロタルサイト類化合物を容易に製造することができる。マグネシウム−アルミニウムハイドロタルサイト類化合物の市販品としては、協和化学工業社製DHT6、水沢化学社製ミズカラック等が挙げられる。
本発明で用いられるアニオン交換性層状粘土鉱物は、吸着面積が大きい方が好ましいという観点から、本発明では平均粒径が10μm以下が好ましく、特に1μm以下が好ましい。
ここで、層状構造とは、単位結晶層が互いに積み重なって構成されていることをいう。その結晶層同士の結合は比較的弱く、層状構造を破壊することなくこの層間に種々のイオンや分子または化合物、即ちゲスト分子をインターカレート(層間挿入)することができる。
アニオン交換性層状粘土鉱物は、層間距離が広いほどインターカレートしやすいという意味で有効であるが、本発明において層が負電荷をもつ層状構造を有する粘土鉱物であるなら特に制限されない。
インターカレーションの方法としては、特に限定はされず、ゲスト分子の溶液とアニオン交換性層状粘土鉱物を懸濁させる方法、アニオン交換性層状粘土鉱物にゲスト分子の蒸気を接触させる方法、アニオン交換性層状粘土鉱物の合成時の溶媒にゲスト分子を介在させる方法等がある。これらの中では、ゲスト分子の溶液とアニオン交換性層状粘土鉱物を懸濁させる方法が簡易で好ましい。以下、これを詳細に説明する。
ゲスト分子の溶液とアニオン交換性層状粘土鉱物を懸濁させる方法としては、まず、アニオン交換性層状粘土鉱物を水等の溶媒に分散させ、次に、必要に応じて混練して、アニオン交換性層状粘土鉱物の層間に溶媒を含ませ、膨潤させる。
この時に用いる溶媒としては、水が一般的であるが、これ以外の極性溶媒、たとえば、メタノール、エタノール等のアルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル等を用いてもよい。溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン交換性層状粘土鉱物を、水等の溶媒で処理する際の溶媒は、アルカリ性条件の方が好ましく、更に好ましくはpH7〜9である。それ以外では、該アニオン交換性層状粘土鉱物が溶解するなど、インターカレーションがスムーズに行われない場合がある。
また、該アニオン交換性層状粘土化合物では、一度300〜500℃程度にて焼成した後、溶媒中でインターカレーションする方法もあり、この方法を用いたほうがインターカレーションしやすい場合がある。
溶媒処理温度は、20〜80℃が好ましく、より好ましくは40〜80℃である。また、処理時間は、1〜72時間が適当であるが、5〜48時間が効率の面からも好ましい。
また、インターカレーションの進行を速やかにするために、予め極性有機分子(以下、ピラーという)で、アニオン交換性層状粘土鉱物を有機化処理しておくことで層間距離を広げておき、更に本発明で使用するゲスト分子を取り込ませる手法も有効である。その際のピラーとしては、特に制限は無いが、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸が一般的である。ピラーでの処理も20〜80℃、好ましくは40〜80℃、時間としては1〜72時間が適当であるが、5〜48時間が効率の面からも好ましい。
上記のようにして、アニオン交換性層状粘土鉱物を膨潤させ、層間隔を膨潤前に比べて大きく拡大させたところへ、ゲスト分子の溶液を添加混合し、さらには、必要に応じて混練することにより、イオン交換もしくは酸塩基反応の作用でゲスト分子をアニオン交換性層状粘土鉱物の層間へインターカレーション(層間挿入)する。その後、乾燥することにより、改質層状粘土鉱物が得られる。乾燥方法としては、たとえば、自然乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥、超臨界乾燥等が挙げられ、特に限定はされないが、真空下ですることが好ましい。更に好ましくは、層間の溶媒分子を完全に除去するために、熱風乾燥が好ましく、また、出来上がりの粉体状の改質層状粘土鉱物の粉砕のし易さから凍結乾燥により乾燥させたものが有効である。乾燥後もゲスト分子は層間にとどまり、結果的に初期に比べて改質層状粘土鉱物の層間隔は拡大されたまま保持される。
インターカレート後のアニオン交換性層状粘土鉱物(すなわち、改質層状粘土鉱物)の粒径は、使用用途に対し任意に選択できるが、該用途に供する場合、粒径が小さい方が好ましく、具体的には100μm以下、更には10μm以下がより好ましい。
改質層状粘土鉱物の層間距離は、原料として使用した粘土鉱物の種類及びゲスト分子の大きさに依存し、吸収するアルデヒドの大きさが空隙よりも大きいと吸収できない。従って、層間距離は通常、0.1〜50nm、好ましくは0.5〜5nmの範囲から選択される。
改質層状粘土鉱物が保有しているゲスト分子の量は、任意に選択できるが、多すぎると層間にアルデヒドが侵入しがたく、少なすぎるとアルデヒドを吸着できる官能基が少ないことから、ホスト、ゲストの分子量、層間距離によってそれぞれの組み合わせで最適な量があるが、目安としてNの重量比率として0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%が好ましい。
ここで、得られた改質層状粘土鉱物にゲスト分子がインターカレートしたか否かは、例えば、粉末X線回折測定、炭素、水素、窒素元素分析、示差熱分析などによって判定することができる。例えば、ゲスト分子がアニオン交換性層状粘土鉱物にインターカレートすると、それにより得られた改質層状粘土鉱物の層間距離は、大きく広がる(X線回折ピークが低角度側へ大きくシフトする)ので、粉末X線回折測定で改質層状粘土鉱物の層間距離を測定することにより、ゲスト分子がアニオン交換性層状粘土鉱物の層間にインターカレートしたか否かを判定することができる。また、炭素、水素、窒素の元素分析値から、インターカレートしたゲスト分子の量を測定することができる。
本発明で用いられるアミノ基を有するカルボン酸、スルホン酸若しくはフェノール並びにそれらの塩から選ばれるアミノ基含有有機化合物(ゲスト分子)は、1分子中に、アミノ基を少なくとも1個有し、かつカルボキシル基、スルホン基若しくはフェノール性水酸基などのホスト分子と相互作用を行える官能基を少なくとも1個有する化合物、又はそれらの塩から選ばれるものである。
ゲスト分子は、1分子中の炭素数が1〜20であるものが好ましく、より好ましくは1〜10である。具体的な化合物としては、以下の(1)〜(5)に示す分類の化合物として例示できるが、それらに限定されるものではない。また、下記の分類は、便宜的なものであって、複数の類に属する化合物も、これらのいずれにも分類されない化合物もある。
(1)1分子中に、アミノ基1個を有するモノカルボン酸
例えば、グリシン、ロイシン、システイン、チロシン、フェニルアラニン、アラニン、セリン、イソロイシン、バリン、スレオニン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジン、アミノ酢酸、アミノ酪酸、アミノ吉草酸、アミノペンタン酸、アミノヘキサン酸、アミノドデカン酸、アミノシクロプロパン−1−カルボン酸、アミノイソ酪酸、アミノクロトン酸、アミノシクロブタンカルボン酸、アミノ馬尿酸、アミノシクロプロパンカルボン酸、アミノカプロン酸、アミノカプリル酸、o,m,p−アミノ安息香酸、アミノフェニル酢酸、アミノサリチル酸、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸、5−アミノイソフタル酸、3−アミノ−2−ナフチル酸、6−アミノニコチン酸、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−カルボン酸、アンピシリン、シクラシリン、シクロロイシン、5−アミノ−3−メチル−2,4−チオフェンジカルボン酸、5−アセチル−2−アミノ−4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2−c]ピリジン−3−カルボン酸、3−アリル−4−アミノ−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸、4−アミノ−3−(2−ブロモフェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸、5−アミノ−1−(4−クロロベンジル)−1H−4−ピラゾールカルボン酸、4−アミノ−3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸、5−アミノ−1−(4−クロロフェニル)−1H−4−ピラゾールカルボン酸5−アミノ−1−(4−クロロフェニル)−1H−4−ピラゾールカルボン酸、4−アミノ−3−(4−クロロフェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸、2−アミノ−4,5−ジメチルチオフェン−3−カルボン酸、4−アミノ−3−(2−フルオロフェニル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸、2−アミノ−8−フルオロ−4H−チエノ[3,2−c]クロメン−3−カルボン酸、2−アミノ−4−(2−フリル)−3−チオフェンカルボン酸、5−アミノ−1−(2−ヒドロキシエチル)−1H−4−ピラゾールカルボン酸、2−アミノ−4−メチルチアゾール−5−カルボン酸、4−アミノ−5−メチルチエノ[2,3−d]ピリミジン−6−カルボン酸、2−アミノ−4−メチルチオフェン−3−カルボン酸、4−アミノ−3−(1−ナフチル)−2−チオキソ−2,3−ジヒドロ−1,3−チアゾール−5−カルボン酸、5−アミノ−1−フェニル−4−ピラゾールカルボン酸、4−アミノ−1−ピペリジンカルボン酸、3−アミノ−4−ピラゾールカルボン酸エチル、メフェナム酸、2−アミノ−4,5−ジメチル−3−チオフェンカルボン酸、3−アミノ−4−メチルチオフェン−2−カルボン酸、2−アミノ−4−フェニル−3−チオフェンカルボン酸、3−アミノ−2−チオフェンカルボン酸、ニコチンアミド、ニアラミド、フェネチシリン等が挙げられる。
(2)1分子中に、アミノ基1個を有するジカルボン酸
例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、アミノシクロペンタンジカルボン酸、アミノシクロプロパンジカルボン酸、5−アミノ−1,3−ベンゼンジカルボン酸、アミノマレイン酸、アミノアジピン酸、アミノスベリン酸等が挙げられる。
(3)1分子中に、アミノ基を2個以上有するカルボン酸
例えば、グルタミン、リジン、アスパラギン、アルギニン、ジアミノ安息香酸、ジアミノ酪酸、2,6−ジアミノピメリン酸等、ペプチド類が挙げられる。
(4)1分子中、アミノ基を1個以上有するスルホン酸
例えば、アミノメタンスルホン酸、2−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸、2−アミノ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、1−アミノ−4−ブロモアントラキノン−2−スルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、S−(2−アミノエチル)チオスルホン酸、3−アミノ−4−ヒドロキシ−5−ニトロベンゼンスルホン酸、4−アミノ−5−メトキシ−2−メチルベンゼンスルホン酸、2−アミノ−5−メチルベンゼン−1−スルホン酸、4−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、5−アミノ−2−メチルベンゼン−1−スルホン酸、1−アミノ−3,8−ナフタレンジスルホン酸、3−アミノ−1,5−ナフタレンジスルホン酸、4−アミノナフタレン−1−スルフォン酸、4−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、6−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、5−アミノ−1−ナフタレンスルホン酸、1−アミノ−8−ナフタレンスルホン酸、4−アミノナフタレン−1−スルホン酸、5−アミノナフタレン−1−スルホン酸、8−アミノナフタレン−1−スルホン酸、7−アミノ−1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、8−アミノ−1−ナフトール−3,6−ジスルホン酸、4−アミノ−5−ナフトール−2,7−ジスルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、1−アミノ−5−ナフトール−7−スルホン酸、4−アミノ−3−メチルベンゼン−1−スルホン酸、アニリン−2,5−ジスルホン酸、アゾフクシン、アゾリトミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸、4,4’−ビス(4−アミノ−1−ナフチルアゾ)−2,2’−スチルベンジスルホン酸、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸、m−アミノ安息香酸エチルメタンスルホン酸、メタニル酸、1−ナフチルアミン−6−スルホン酸、4−ニトロアニリン−2−スルホン酸、スルファニルアミド、スルファニル酸、スラミンナトリウム、タウリン、トリパンブルー、ジアミノベンゼンスルホン酸、4,4’−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホン酸などが挙げられる。
(5)アミノ基を有するフェノール化合物
例えば、p−アセトアミノフェノール、o−アセトアミノフェノール、アセトアミノフェン、2−アミノ−4−クロロフェノール、5−アミノ−o−クレゾール、3−アミノ−4−ヒドロキシベンゼンスルホンアミド、4−アミノ−3−メチルフェノール、2−アミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロフェノール、m−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アニシジン、2,4−ジアミノフェノール、m−ジエチルアミノフェノール、4−ヒドロキシジフェニルアミン、ジアミノフェノール、チロシンなどが挙げられる。
上記のようなゲスト分子を塩として用いる場合には、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などアルカリ(土類)金属塩があげられる。1分子中に、カルボキシル基及び/又はスルホン基が2個以上存在する多塩基酸については、一塩、二塩(例えば、アミノナフタリンジカルボン酸一ナトリウム塩、アミノナフタリンジカルボン酸二ナトリウム塩)いずれも使用できる。遊離酸として用いる場合と比較して、塩の場合は水への溶解性がよいので取扱い易いメリットがある。しかし、層間に金属イオンもまた取り込まれることがある。この場合、脱臭剤の使用態様として特に支障はないが、金属イオンが取り込まれた改質層状粘土鉱物を熱可塑性樹脂に配合して使用するとき、着色の原因となることがあるので、用途に制限がでることもある。
上記ゲスト分子がアニオン交換性層状粘土鉱物にインターカレートされることにより、該粘土鉱物の層間にゲスト分子が固定されるが、ゲスト分子の固定をより完全にするためには、上記(1)、(2)、(3)で示した1または2個のカルボキシル基を有するゲスト分子を用いるのが好ましい。
中でも、入手のし易さ、人体への影響の少なさからアミノ酸が好ましく、例として、グリシン、ロイシン、システイン、チロシン、フェニルアラニン、アスパラギン酸、リジン、アラニン、セリン、アスパラギン、イソロイシン、グルタミン酸、アルギニン、バリン、スレオニン、グルタミン、メチオニン、トリプトファン、ヒスチジン、及びそれらの多量体であるペプチド類などが挙げられる。
また、本発明には揮発成分除去の機能を損なわない範囲において、他の機能、例えば、抗菌、芳香などの目的で、ゲスト分子と他の物質を同時にインターカレートすることが可能である。他の物質の例としては、抗菌機能を付与するためにベンザルコニウム、セチルピリジニウムクロライド等の物質を挙げることができる。具体的にはゲスト分子のインターカレーションに際して、ゲスト分子と共にこれらの物質を所定量配合して使用すればよい。場合によっては、インターカレーションの後、これらの物質で再処理する方法、これらの物質で処理後、インターカレーションする方法でもよい。
本発明の脱臭繊維、脱臭不織布、及びそれらを成形して得られる脱臭用成型品は、改質層状粘土鉱物を有効成分とするものであり、酸系の揮発成分、フェノール系の揮発成分、アルデヒド系の揮発成分に対して、それらを除去する効果がある。
除去される具体的な成分としては、酸系成分としてギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸、安息香酸、アミノ酸、アセチルサリチル酸などのカルボン酸、フェノール系の揮発成分としてフェノール、クレゾールなどのフェノール化合物、アルデヒド系の揮発成分として、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、エチルアルデヒド、プロピルアルデヒド、t−ブチルアルデヒド、イソプロピルアルデヒド、ベンズアルデヒド、パラトルアルデヒド、ナフチルアルデヒドなどが挙げられる。
本発明の脱臭繊維、脱臭不織布用の熱可塑性樹脂組成物に用いられる熱可塑性樹脂は、熱によって可塑化可能であれば全て利用可能であり、例えば、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、AS、ABS、EPR、EPDM、SEBS、NBR、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などが挙げられる。
特に繊維、不織布には、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
本発明の脱臭繊維、脱臭不織布に用いる熱可塑性樹脂組成物における改質層状粘土鉱物の配合量は、熱可塑性樹脂100重量部に対し、0.01〜20重量部であり、好ましくは0.02〜15重量部である。改質層状粘土鉱物が0.01重量部未満では脱臭能力が不足し、20重量部を超えると紡糸性に影響を及ぼす。
また、本発明の脱臭繊維、脱臭不織布に用いる熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、一般的に熱可塑性樹脂に用いられる補助添加成分、例えば、酸化防止剤、中和剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、抗菌剤、着色剤、難燃剤、導電材、制電材等を配合することができる。また、必要に応じてポリオレフィン系エラストマー、SEBS,SBR,EPRなどのエラストマー、マレイン酸変成ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィンなどの変成材、ポリスチレン、ABS、PETなど他のポリマーを改質材として物性を損なわない範囲で添加しても良い。
熱可塑性樹脂に改質層状粘土鉱物や他の添加剤を配合させる方法は、任意の公知の方法で可能であるが、ドライブレンド等によりこれらを混ぜた後、単軸、ないしは2軸押出機などにより溶融混練することにより複合化させる方法が、分散が良いという点で好ましい。また、予め高濃度のマスターバッチを作成しておき、成形加工の段階で添加して使用するという方法も好ましい。さらには、ロール混練等による方法も挙げることができる。
本発明の脱臭繊維、脱臭不織布は、上記熱可塑性樹脂組成物を用いて、公知の成形方法により成形加工して得られる。
例えば、脱臭繊維としては、下記の(1)未延伸成形体の製造、(2)延伸操作、(3)熱処理の工程を経て製造される。
(1)未延伸成形体の製造
未延伸繊維の成形は、溶融成形で、一般に溶融押出成形により行われる。例えば、所望の温度に加熱してある紡糸口金を通して、本発明に用いる熱可塑性樹脂組成物(ここでは、例として、熱可塑性樹脂にポリプロピレンを用いて説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。)を溶融押出することにより未延伸フィラメントが得られる。
(2)延伸操作
前記(1)未延伸成形体の製造にて得られた未延伸フィラメントの延伸操作は、1段あるいは2段以上の多段で行うことができる。延伸温度は、70〜150℃の範囲で、オーブン、熱板、遠赤外線等を熱源として行う。延伸倍率は、繊維の場合1.5〜10倍、好ましくは2〜7倍である。
(3)熱処理
前記(2)延伸操作で得られた延伸された脱臭ポリプロピレン繊維は、所望により(拘束条件下で)熱処理を施すことができる。この熱処理は、一般に140〜170℃、好ましくは150〜165℃の範囲内で、0.5〜30分、好ましくは1〜20分行う。
また、脱臭不織布としては、不織布の形態として、短繊維不織布あるいは長繊維不織布のどちらでも用いることができるが、力学的特性および発塵性の観点から長繊維不織布の方が好ましい。また、その製造法も特に限定されないが、不織布の形態により、前記で得られた繊維を用いる方法と、熱可塑性樹脂組成物から直接製造する方法がある。
好ましい方法としては、例えば短繊維不織布であれば、前記の繊維の製造方法により得られた脱臭繊維を、所望の長さにカッティングしたものを、カーディング法やエアレイ法等により得ることができる。また、長繊維不織布であれば、熱可塑性樹脂と改質層状粘土鉱物よりなる熱可塑性樹脂組成物をスパンボンド法やメルトブロー法等により容易に得ることができる。更に、得られた不織布(ウエブも含む)に対し、ニードルパンチ加工やウォーターパンチ加工、カレンダー加工などの後加工を行ってもよい。
本発明の脱臭繊維や、本発明の脱臭不織布を構成する繊維には、熱可塑性樹脂からなる合成繊維が好ましいが、必要に応じて天然繊維や再生繊維、半合成繊維、無機繊維などが混綿あるいは混繊されていても構わない。
また、該合成繊維についても、繊維形成能を有するものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、イソフタル酸を共重合した低融点ポリエステル等のポリエステル類;ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、プロピレンと他のα−オレフィンとの2〜3元共重合体等のポリオレフィン類;ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド類;もしくはこれらの混合物や共重合体などを用いることができる。
本発明の脱臭繊維は、単一成分系で構成されていてもよく、複数の成分で構成されていてもよい。例えば、芯鞘型や偏心芯鞘型、並列型、海島型などの多成分系であってもよく、繊維断面の形状にも格別の制限はない。多成分系である場合、改質層状粘土鉱物が少なくとも1つの成分に入っていれば良く、例えば、鞘側の成分に改質層状粘土鉱物を含み、芯側に改質層状粘土鉱物を含まない鞘芯型複合繊維であってもよい。
本発明の脱臭用成形品は、本発明の脱臭繊維および本発明の不織布を成型して得られる。該脱臭用成形品は、本発明の脱臭繊維をそのまま成型して得ても良く、本発明の脱臭繊維を布状もしくは不織布としてから、それらを成型して得ても良い。
例えば、本発明の脱臭繊維を布状に成形した後、該布をいす等に貼合して脱臭用成形品とする、もしくは本発明の脱臭繊維を不織布とした後、一方でTダイ押出成形等によって成型されたプラスチックを得、両者を熱ラミ等の方法で貼合し、その後プレス成型等の方法で部品等に加工し脱臭用成形品とするなどの方法がある。また、脱臭不織布どうしを重ねあわせる、もしくは厚目に加工した後、波状にプレス加工し、空気清浄機用フィルターなどの脱臭用成型品としても良い。
本発明の脱臭繊維、脱臭不織布、及びそれらから得られる脱臭用成型品は、自動車部品、家具、建築部材、空気清浄機、エアコンなどのフィルター、ろ過装置、クロス、壁紙などの、アルデヒド類、酸類の捕捉が有効な用途に効果的に用いることができる。
以下、本発明を実施例により、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例での評価方法、及び用いた材料は、次の通りである。
1.評価方法
(1)元素分析:ファイソンズ社製、EA1110型CHNS−O分析計を用い、燃焼管1000℃、カラム70℃、錫製のサンプルパン、He流量130ml/分の条件で分析した。
(2)粉末X線回折:島津製作所社製、RAD−RDを用い、測定角2θ=2〜30°、Cu−Kα線原、50kV、300mAで測定した。
(3)揮発成分吸着実験:4Lの密閉系容器を作成し、アセトアルデヒド(和光純薬社製 98%)、もしくは酢酸(和光純薬製)を約12ppmの濃度になるまで気化させ、サンプルパンを接続して室温にて24時間後の容器中のガス濃度(単位ppm)を測定した。ガス濃度の測定は、アセトアルデヒド用ガス検知管(ガステック社製アセトアルデヒド用ガス検知管No92)、もしくは酢酸用ガス検知管を使用し、1回の測定で密閉容器中の気体200mlを採取して測定した。また、実験終了後、空気置換した4Lの密閉形容器に試験片を24時間放置し、その後のガス濃度を測定し、脱着ガス濃度を測定した。
2.材料
改質、及び未改質層状粘土鉱物として、製造例1〜製造例3で得られた(A−1)〜(A−3)及び市販の(A−4)、(A−5)を用いた。物性を表1に示す。
(製造例1:A−1の製造)
ゲスト分子にグルタミン酸ナトリウム0.03molを蒸留水300mlに溶解し、アニオン交換性粘土鉱物としてMgAl系ハイドロタルサイト(協和化学工業社製、DHT6、M=603.98、)を事前に500℃で5時間焼結処理したもの(不定形のため層間距離は検出できない)を5gを攪拌しながら投入し、室温(23℃)下、24時間反応させた。その後、メンブランフィルター(3μm)にて吸引ろ過した。ろ過残渣を、真空中80℃にて24時間乾燥させ、乳鉢にて粒径約0.5μmに粉砕し、改質層状粘土鉱物(A−1)を得た。得られた改質層状粘土鉱物の元素分析および粉末X線回析を行い、その層間距離および含有ゲストの量を調べた。その結果を表1に示す。
(製造例2:A−2の製造)
ゲスト分子をアスパラギン酸ナトリウム(和光純薬製)に代えた以外、製造法1と同様の製造法で改質層状粘土鉱物(A−2)を得た。得られた改質層状粘土鉱物の元素分析および粉末X線回析を行い、その層間距離および含有ゲストの量を調べた。その結果を表1に示す。
(製造例3:A−3の製造)
ゲスト分子としてdiethylene−triamine(Aldrich社製)0.03molを蒸留水300mlに溶解し、カチオン交換性粘土鉱物としてγ‐リン酸チタン(テイカ社製、層間距離11.6Å、分子量296)を用い、γ‐リン酸チタン5gを攪拌しながら投入し、室温(23℃)下、24時間反応させた。その後、メンブランフィルター(3μm)にて吸引ろ過した。ろ過残渣を、真空中80℃にて24時間乾燥させ、乳鉢にて粒径約0.5μmに粉砕し、カチオン系の改質層状粘土鉱物(A−3)を得た。得られた改質層状粘土鉱物の元素分析および粉末X線回析を行い、その層間距離および含有ゲストの量を調べた。その結果を表1に示す。
(A−4):MgAl系ハイドロタルサイト(協和化学工業社製、DHT4A)をインターカレーションせずそのまま用いた。この未改質層状粘土鉱物の粉末X線回析を行い、その層間距離調べた。その結果を表1に示す。
(A−5):γ‐リン酸チタン(テイカ社製)をインターカレーションせずそのまま用いた。この未改質層状粘土鉱物の粉末X線回析を行い、その層間距離調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2006176894
(実施例1〜6、比較例1〜8)
ポリプロピレンパウダー(日本ポリケム社製、MA3、MFR=15g/10分)100重量部に対して、表2に記載の改質もしくは未改質層状粘土鉱物を表2に記載の量、酸化防止剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガノックス1010)を0.1重量部、加工安定剤(チバスペシャリティーケミカル社製、イルガフォス168)を0.2重量部、ステアリン酸カルシウム0.3重量部をミキサーでブレンドした後、シリンダー温度を230℃に設定した15ミリ同方向回転2軸押出機(日本製鋼所社製:TEX30α)を用いて、スクリュー回転数300rpm、押出レート15kg/hの条件で溶融混練し、ペレットを得た。
得られたペレットを、下記成形法1〜3のいずれかの成形法により、各種試験片を得、実施例1〜6および比較例1〜8のサンプルとした。次に、各種サンプルの(アセトアルデヒト、酢酸)揮発成分吸着実験を行った。その結果を表3に示す。
(成形法1)
前記各種ペレットを、ギアポンプ付きマルチフィラメント紡糸機(ダイス:0.8mmφ×30穴)を用いて、紡糸温度290℃、巻取速度300m/mにて溶融紡糸し、約20デニールの未延伸糸を得た。次いで、フィードスピード50m/m、フィードロール温度90℃、延伸点のヒーター温度130℃、ドローロール温度110℃の条件下にて延伸を行った。最高延伸倍率は、3.5倍で、3.2倍の延伸糸を得た。
(成形法2)
前記各種ペレットを、ギアポンプ付きマルチフィラメント紡糸機(ダイス:0.8mmφ×30穴)を用いて、紡糸温度290℃、巻取速度300m/mにて溶融紡糸し、約20デニールの未延伸糸を得た。この未延伸糸を延伸機を用い、温度90℃の熱ロール間で2.5倍で延伸し、次いで繊維仕上剤を付着させた後、スタフィングボックス形クリンパーで機械捲縮を付与し、サクションドライヤーで乾燥し、切断して繊度8デニール、繊維長38mmのステープル繊維を得た。次に、該繊維をカード機を用いウェッブとし、凸部形状菱形、凸部面積率23%、の金属エンボスロールと金属フラットロールからなる熱圧着装置を用い、金属エンボスロール温度130℃、金属フラツトロール温度130℃、線圧20kgfの条件で熱圧着処理し、目付20g/mの不織布を得た。
(成形法3)
成形法2で得られた不織布を、押出温度、ダイス温度220℃、ダイス幅600mm、リップ開度0.8mmの条件で厚み1.0mmで押し出したポリプロピレンシート(日本ポリプロ製 EC9)に両面熱ラミを行い、得られた積層ラミシートをヒーターにて余熱後15cm×10cm×4cmの型にプレス成型を行い各種試験片とした。
Figure 2006176894
Figure 2006176894
表3の実施例1〜6の結果より、本発明の脱臭用成型品は、アルデヒド、酢酸の両者に対して、良好な吸着効果を有する脱臭繊維および脱臭不織布であることがわかる。また、該脱臭繊維および脱臭不織布から得られる脱臭用成型品は、アルデヒド、酢酸等の揮発性有機化合物を除去する用途に有効であることがわかる。
これに対し、改質層状粘土鉱物を含まない成型品(比較例1)およびゲスト分子をインターカレートしていない未改質層状粘土鉱物(未改質リン酸チタン)を配合した脱臭用成型品(比較例4、6、8)は、揮発性のアルデヒドや酸に対する吸着能力が全くなく、ゲスト分子をインターカレートしていない未改質層状粘土鉱物(未改質ハイドロタルサイト)を配合した脱臭用成型品(比較例3、5、7)は、揮発性の酸に対する吸着能力はあるが、揮発性のアルデヒドに対する吸着能力に乏しく、カチオン系の改質層状粘土鉱物を配合した脱臭用成型品(比較例2)から得られる成形物は、揮発性のアルデヒドに対する吸着能力はあるが、揮発性の酸に対する吸着能力が全くないという欠点を有していた。
本発明の脱臭繊維、脱臭不織布及びそれらを成形してなる成型品は、VOCのアルデヒド類、およびそれ以外の異臭物質として酸類等の物質に対し、優れた除去性能を有し、自動車部品、家具、建築部材、空気清浄機、エアコンなどのフィルター、ろ過装置、クロス、壁紙などの、アルデヒド類、酸類の捕捉が有効な用途に効果的に用いることができる。

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂100重量部に対し、アニオン交換性層状粘土鉱物の層間に、アミノ基を有するカルボン酸、スルホン酸若しくはフェノール並びにそれらの塩から選ばれるアミノ基含有有機化合物がインターカレートされた改質層状粘土鉱物が0.01〜20重量部配合された熱可塑性樹脂組成物から得られることを特徴とする脱臭繊維。
  2. 請求項1に記載の脱臭繊維から得られることを特徴とする脱臭不織布。
  3. 請求項1に記載の脱臭繊維もしくは請求項2に記載の脱臭不織布を成型して得られることを特徴とする脱臭用成型品。
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