(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造システムは、図1に示すように、半導体基板としてのウエハ17若しくはその表面の薄膜に対して処理を実行する処理装置14と、処理装置14をイクイップメント・エンジニアリング・システムEES(以下、「EES」と称する。)による自己管理をする自己診断システムとしてのコンピュータ11aと、処理を経た半導体基板としてのウエハ17の検査装置19による検査結果に基づいて、処理装置14を自動修復するか否かを判定し、判定結果が有効判定(又は適正)のときは自己診断システムのパラメータの係数を維持(又は微調整)し、判定結果が無効判定(又は不適正)のときは自己診断システムのパラメータを変更(例えば、検査回数を増加)するパラメータフィッティング装置としてのコンピュータ11、を備え、半導体製造プロセス段階の検査頻度を調整することができるシステムである。
ここで、「EES」とは、処理装置14から装置情報を取得し、装置情報のデータを統計的に解析し、処理装置14の状況が正常又は異常であるかを判定するシステムである。
ESSは、自己診断装置システムとしてのコンピュータ11a上で実行され、ウエハ17を処理している処理装置14の内部状態をリアルタイムで取得する。処理装置14の内部状態が推定できるので内部で処理されているウエハ17のプロセス状態をもリアルタイムに取得することができる。
自己診断システムとしてのコンピュータ11aは、処理装置14が実行するプロセスの経時的な変化をデータベース13aにウエハ17に対応させて記憶することができる。
すなわち、半導体装置の製造システム10は、この製造システム全体を制御するコンピュータ11と、コンピュータ11に接続し半導体製造プロセスに関するデータ処理アルゴリズムを記憶する記憶装置12と、コンピュータ11に接続しAPC(アドバンスト・プロセス・コントロール、以下、単に「APC」と略記する)やMES(マニュファクチャリング・エグゼキューション・システム、以下、単に「MES」と略記する)に使用するデータを記憶するメインデータベース13と、半導体基板としてのウエハ17を処理する処理装置14と、この処理装置14で処理したウエハ17を検査する検査装置19と、を備えている。
ここで、「APC」とは、処理装置14で処理したウエハ17の処理内容に応じて、コンピュータ11が半導体製造プロセスを変更するシステムを意味する。ウエハ17を検査装置19で検査した結果、期待の品質に達しない場合は、処理装置14のプロセス条件を過去のプロセス条件を参照しながら、新たなプロセス条件に変更する。又、「MES」とは、複数のロットのウエハ17を処理装置14で処理する際に、コンピュータ11が半導体装置の生産管理を実行し、選択した1つのロットのウエハ17を処理装置14へ搬送し、処理装置14に処理を実行させ、検査装置19にも検査を実行させるシステムを意味する。
図示する処理装置14は簡単化のため単一として例示するが、現在のLSIの製造工程から容易に理解できるように半導体装置の製造システム10は、一般には処理装置14が10台以上の複数台設けられている。そして複数の処理装置14から信号線14aを介してコンピュータ11aに接続し、EESによる自己管理を実行させることができる。また、複数の処理装置14は直接又はコンピュータ11aを介してコンピュータ11に接続し処理装置14の装置情報を送信することができ、コンピュータ11は受信した装置情報に基づきAPC、MESの管理下で半導体製造システム全体を統合的に管理することができる。
また、処理装置14は半導体装置を加工処理する各種処理装置に対応させることができ、例えば、膜形成プロセスを実行する膜形成処理装置、不純物の拡散処理装置、CVDによる薄膜堆積膜装置、PSG膜、BSG膜、BPSG膜(絶縁膜)などをリフロー(メルト)する加熱炉装置、CVD酸化膜などのデンシファイ量、シリサイド膜(電極)厚などを調整する熱化学反応処理装置、金属配線層を堆積するスパッタリング装置や真空蒸着装置、更にはメッキするメッキ処理装置、半導体基板を化学的・機械的に研磨するCMP処理装置、半導体基板表面をエッチングするドライ又はウエットエッチング処理装置、フォトリソグラフィー処理関連のスピンコート処理装置、ステッパー等の露光処理装置、ダイシングされたチップ状の半導体装置の電極をリードフレームに接続するボンディングワイヤ処理装置など様々な半導体製造プロセスに応用できる処理装置を対象とするのは勿論である。
なお、本発明の半導体装置の製造システム10は、バッチ式装置あるいは枚葉式装置のいずれにも適用可能である。後述するすべての実施の形態についても同様にバッチ式装置あるいは枚葉式装置を適用しても構わない。
コンピュータ11aは製造プロセスデータを内部のデータベース13aに記憶させ、逐次的にウエハ17のロット番号に関連する処理内容データやウエハ17のプロセス履歴に関連する処理内容データを更新し、現時点(リアルタイム)の最良プロセス状態を処理装置14に提供しながら、処理装置14の内部で何が起きているかを検出処理21して半導体製造プロセスに内部状態をフィードバックすることができる。
例えば、処理装置14が真空処理系の膜形成処理装置、拡散処理装置、薄膜堆積膜装置のようなチャンバを有する処理装置である場合は、炉内複数箇所の温度、サセプタ温度、チャンバ外壁複数箇所の温度、チャンバの真空度を表す圧力、ガスの流量、ガス流量を制御するバルブの開度などの諸条件を決定する各種パラメータに基づき半導体製造プロセスを実行している。
また、処理装置14がプラズマ処理系のドライエッチング装置、イオン注入装置のような電極を有する処理装置である場合は、上述した真空処理系の各種パラメータの他にRFのマッチング位置、RF電圧(進行波電圧、反射波電圧)、ウエハの位置情報のような各種パラメータに基づき半導体製造プロセスを実行している。
さらに、処理装置14が大気圧処理系のウエットエッチング処理装置、スピンコート処理装置、ステッパー露光処理装置、ボンディングワイヤ処理装置の場合は、処理時間やウエハ若しくはチップの位置情報のような各種パラメータに基づき半導体製造プロセスを実行している。
さらにまた、半導体装置の製造システム10は、処理装置14が膜形成処理装置、拡散処理装置、薄膜堆積膜装置のようなガスやケミカルを使用する場合は、そのガスやケミカルがゲート16を介して供給され、供給するガスやケミカルのような直材や、コンテナのような間材からなる直材間材15を数値化して材料モデルとしたデータをメインデータベース13に記録し自己管理をしている。この材料モデル化によりガスやケミカルのような材料から半導体製造プロセスに影響があるか否かをリアルタイムに判定処理22することができる。
ウエハ17は、処理装置14とリンク18して、所定の処理工程を通過する度にセンサー/検査装置19により膜厚NGやパターン欠陥の有無によりウエハ17上の現象判定23が行われる。この検査結果はウエハ17のロット又は枚単位で管理するキーとなる情報となりコンピュータ11を介して情報収集することによりリアルタイムモニター/QCの判定処理24に供される。
コンピュータ11は、検査装置19及び処理装置14若しくはコンピュータ11aから品質情報や装置情報や直材間材情報を取得し、処理装置14の状態やこの処理装置14から搬出したロットのウエハ17がどのような品質(例えば、膜厚)なのかリアルタイムにシミュレーションすることで、中間処理工程での検査を省略しても半導体装置の品質を十分把握することができる。
またコンピュータ11は、品質情報を半導体製造プロセスにフィードバック処理し、若しくは次工程以降の処理装置(不図示)へフィードフォワード処理を実行することができ、複数のロットを処理する毎に検査装置19側から送信される品質情報とコンピュータ11aから送信される推定品質情報とを比較し、半導体製造プロセスをコンピュータ11上でシミュレーションすることで推定品質情報の確度を高めることができる。
さらに、コンピュータ11は、リソグラフィー処理に使用されるマスク20(レチクル)の設計情報25も管理し、リアルタイムモニター/QCの判定処理24で特定の欠陥個所をウエハ上で発見した場合、マスク20が設計不良か否かも判定処理することができる。
上述の如く、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造システム10は、処理装置14、直材間材15、ウエハ17のプロセスをモデル化して、コンピュータ11によるAPCシステムを構成しているので、リアルタイムの品質管理を実行することができ、TCAD(テクノロジー・キャド)やYMS(イールド・マネジメント・システム)を実施できるため、最終工程を完了する前の中間処理工程においても最終的な半導体装置の歩留を予測することができるという利点がある。以下、第1乃至第7実施の形態を用いて、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造システム10の特徴を説明する。
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する模式的な流れ図である。半導体装置の製造システム30は、その半導体製造プロセス順序として、ウエハのロット投入工程42、半導体基板としてのウエハ若しくはその表面の薄膜に対して処理装置による加工A処理を実行する第1の処理工程43、第1の検査装置によるインラインQC処理を実行する第1の検査工程44、第2の検査装置による表面パターンの欠陥検査処理をする第2の検査工程45、ウエハ若しくはその表面の薄膜に対して処理装置による加工B処理を実行する第2の処理工程46、更には図示を省略した第3の処理工程、第4の処理工程、第3の検査工程等の複数の処理工程や検査工程を順番に経由しながら、ウエハ状態で完成するロット上がり工程47に至る。このロット上がり工程47のウエハに形成された複数の半導体装置は、D/S(ダイソーティング)処理工程48(以下、単に「D/S処理工程」と略記する)で歩留検査装置による半導体装置の歩留が検査される。このD/S処理によりチップの電気的特性がプローブ検査され良品または不良品として区分けされ、不良品のチップにはインクによるマークが施され識別することができる。
第1の処理工程43は、ロット投入工程42によりウエハを内部に搬入し、予め設定された半導体製造プロセスシークエンスに従い、加工Aを処理する。この加工Aは、成膜処理、酸化処理、プラズマ処理、ウエット処理、CMP処理、ボンディング処理など種々のプロセスを適用させることができる。
例えば、加工Aを実行する第1の処理工程43が成膜プロセスの場合では、ガスの注入、温度管理、圧力管理、RF電圧管理、ガスの排気という一連の成膜処理をウエハに施しながら、処理装置のガス圧、温度、RF電圧、スパークの有無、堆積物量等の装置情報43aを自己診断システム31へ送信する。
また、第1の処理工程43がCMPプロセスの場合では、研磨剤の量、研磨テーブルの回転数、研磨テーブルの劣化状態を監視しながら、ウエハの研磨処理を施し、処理装置への研磨剤の供給、研磨テーブルの交換時期等の装置情報43aを自己診断システム31へ送信する。
この自己診断システム31はリアルタイムにウエハを全数検査するように処理装置に複数配置した圧力検出器や、温度検出器や、スパーク検出器や、堆積膜厚検出器等で構成してもよく、半導体製造プロセスに対応する複数の検出器を設けて処理装置の装置状態を示す検知信号を受信するように構成するとよい。
また、第1の処理工程43で使用される処理装置のメンテナンス時期、洗浄時期、部品交換時期のようなイベント情報43bを加工B処理を実行する第2の処理工程46の自己診断システム34へ送信する。このイベント情報43bに基づいて、現時点(リアルタイム)における第1の処理工程43で処理中のロットがどのような状態(又は特性)で第2の処理工程46へ引き継がれるか推測することができる。
自己診断システム31は、半導体製造プロセスの進行により図1に示す処理装置14の内部に蓄積又は堆積若しくは消耗する物質の量を所定の時間間隔(例えば、1秒間隔)で測定及び解析し、この物質の量が所定量に達した段階で自動修復要求信号を生成する。この自動修復要求信号はQC情報31aとして警告装置32へ送信される。半導体装置の製造システム30が稼動した初期段階では、QC情報31aに含まれる自動修復要求信号に応答して、警告装置32が第1の処理工程43で稼動する酸化炉のような処理装置14へ自動修復のタイミング指示情報32aを送信する。
加工Aを行う第1の処理工程43が熱化学反応プロセスを実行する場合を例示すると、処理装置14としての酸化炉の内部に堆積する酸化堆積物量を所定の時間間隔(例えば、1秒間隔)により測定及び解析し、この酸化堆積物量が所定の堆積量に達した段階で自動修復要求信号を生成する。この自動修復要求信号はQC情報31aとして警告装置32へ送信される。半導体装置の製造システム30は、QC情報31aに含まれる自動修復要求信号に応答して、警告装置32が酸化炉へ自動修復のタイミング指示情報32aを送信するように構成することができる。
例示した酸化炉は、自動修復のタイミング指示情報32aを受信しているが第1の処理工程43を実行中の段階では、1単位の半導体製造プロセスが終了するまで自動修復処理を待機させ、現時点で処理しているウエハのロット処理が完了し酸化炉の外へウエハを搬出した後に、酸化炉内部へクリーニングガスを導入するとよい。
この場合、搬出したウエハは、引き続き、第1の検査工程44によりインラインQC処理を実施し、ウエハ上に生成した膜厚情報を含むQC情報44aをパラメータフィッティング装置33へ送信する。
第1の検査工程44でインラインQC処理が完了したウエハは、第2の検査工程45において第2の検査装置によりウエハ上のパターン欠陥の有無が検査され、欠陥検査の結果を含むQC情報45aをパラメータフィッティング装置33へ送信する。この「インラインQC」では、主に薄膜の膜厚測定等の厚み方向のパラメータの測定を行う。また、「欠陥検査」とはフォトリソグラフィー工程により形成されるような平面パターン上の欠陥の検査を主に意図している。
パラメータフィッティング装置33は、上述した自己診断システム31のモデル及びそのパラメータをフィッティングさせる。本実施の形態におけるフィッティングとは、自己診断システム31が所定の時間間隔(例えば、1秒間隔)で受信する処理装置からの装置情報43aに基づく自動修復要求信号を生成するタイミングを適切な時期に変更又は再構成(例えば、3ロット連続して処理装置不具合信号を受信して初めて自動修復要求信号を生成)する機能を意味する。
自己診断システム31のモデル及びそのパラメータが適切でない場合は、装置情報43aの中に処理装置の酸化プロセスに不具合が生じた不具合パラメータが入ったとしても、現時点で処理中のロットが処理を終えて処理装置から搬出され、第1の検査工程44による検査結果は正常値に入る。また、第2の検査工程45による検査結果も正常値に入る。したがって、処理装置から発信された装置情報43aの中の不具合パラメータそのものがエラーであり、信憑性が低いものと判定することができる。
本実施の形態では、信憑性の低い不具合パラメータを含む装置情報43aの確度を高めるために、不具合パラメータが発信された時点のウエハのロットを品質検査して、装置情報43aとウエハの状態が一致するか否かを統計的に求め、パラメータフィッティング装置33から自己診断システム31へ修正したパラメータ33aなどをフィードバックするように構成している。
典型的には、過去10ロットのウエハのQC情報44a及びQC情報45aを第1の検査工程44および第2の検査工程45を通じて取得し、装置情報43aの不具合パラメータと比較しながら逐次的に自己診断システム31のモデルのパラメータ33aを変更するように制御することができる。
成膜処理装置を用いた半導体装置の製造システムで例示すると、第1の検査工程44で膜厚検査装置を使用して膜厚検査を施し、第2の検査工程45でパターン欠陥検査装置を使用して欠陥検査を施し、各検査結果情報を取得し、装置情報43aの不具合パラメータと比較して逐次的に自己診断システム31のモデルのパラメータ33aを変更するように制御することもできる。
自己診断システム31は、半導体装置の製造システム30が稼動している間に自己診断システム31のモデルのパラメータを修正しながら、処理装置の自己診断を実行する。すなわち、処理装置の状態を監視し不具合信号の受信に応答して確度の高いQC情報31aを生成する。このQC情報31aは、下流に位置するMESへの警告発信をする警告装置32に対して、自動修復のタイミング指示情報32aの送信を促す信号である。
警告装置32は、QC情報31aの受信に応答し、処理装置に対してメンテナンスの指示をする自動修復のタイミング指示情報32aの警告情報を送信する。この場合、メンテナンスの頻度が増加すると半導体装置の製造システム30の稼働率が低下するため、特に自動修復のタイミング指示情報32aの正確さが品質管理及び量産効率に対して影響することは勿論である。
例えば、図1に示す処理装置14が成膜処理装置の場合では、炉内部をクリーニングするガスの導入回数を適正化してクリーニング回数を減少させながら品質低下を防止することで半導体装置の製造量を増大させることができる。
また警告装置32は、QC情報31aの受信に応答し、メンテナンス情報32bを発信しオペレータへ自動修復が発生することを報知する。例えば、クリーンルーム内に設置された処理装置の近傍に配置したアラームの点滅報知や、クリーンルーム外で半導体製造プロセス全体を監視しているオペレータのモニターへメンテナンス指示画面38を表示させることもできる。
さらに警告装置32は、別ルートで受信する検査頻度修正指示情報33bに応答して、上述した第1の検査工程44や第2の検査工程45の処理回数を制御し、ウエハのロット検査頻度を調整することができる。すなわち、半導体製造プロセスが習熟曲線に沿って品質が安定し、リアルタイム/全数検査の必要性が低くなった段階で、パラメータフィッティング装置33からの検査頻度修正指示情報33bに応答して第1の検査工程44や第2の検査工程45による品質検査を省略するように半導体製造プロセスを自動的に再構成することができ、検査工程を減少させ半導体装置としてのウエハのスループットを増大させることができる。
さらにまた、パラメータフィッティング装置33は、所定のロットで発生した新規欠陥発見のレポート情報33cを生成し、クリーンルームの外で活動している技術者の欠陥発見報告部39に対して中間工程にあるウエハの新規欠陥発見の事実をリアルタイムに報告することができる。
一方、出来映え/歩留収集部36は、D/S処理工程48がロット上がり工程47のウエハを検査した歩留情報48aを取得し、例えば歩留の低下と判定した場合は、即座に品質管理体制を自動的に強化するように、歩留低下を示す歩留情報36bを出来映え/歩留予測システム35へ送信する。
出来映え/歩留予測システム35は、実時間(リアルタイム)にウエハの品質管理を処理し、従前の歩留情報と現時点の歩留情報36bとを比較しながら、歩留の傾向(増加又は減少)を予測する。この歩留の傾向を示す歩留の予測情報35aを上述したパラメータフィッティング装置33へ送信することにより、パラメータフィッティング装置33から警告装置32へ検査頻度修正指示情報33bを送信させることができる。
上述した検査頻度修正指示情報33bは自動調整されるが、その制御手法を例示する。典型的には、第1の処理工程43で作動する処理装置の工程能力指数Cpを用いて検査頻度を自動調整することができる。ここで、ウエハに形成する膜厚又は不純物拡散深度若しくはエッチングレートなどを目標値として定め各変数を規定する。この目標値に対して所定量増加する処理装置の上限規格Su、この目標値に対して所定量減少する処理装置の下限規格Sl、数ロット処理した実測値を平均した処理装置の平均値x、この平均値xに対する各実測値のバラツキを示す処理装置の標準偏差δ、を蓄積し、処理装置の工程能力指数Cpを算出した場合、上限規格Suに基づいて工程能力指数Cpは(Su−x)/3δの関係が成立し、また、下限規格Slに基づいて工程能力指数Cpは(x−Sl)/3δの関係が成立する。
上述した工程能力指数Cpが、例えば1.33未満の状態(Cp<1.33)では検査頻度を増加させるように半導体製造プロセスを再構成する。また、工程能力指数Cpが、例えば1.33以上で且つ1.67未満の状態(1.33≦Cp<1.67)では検査頻度を維持させ変更しないように制御する。さらに、工程能力指数Cpが、例えば1.67以上の状態(1.67≦Cp)では検査頻度を減少させるように半導体製造プロセスを再構成するように自動制御するとよい。
また、処理装置から搬出したロットの過去10回分の膜厚や不純物拡散深度やエッチングレートなどの検査結果から処理装置の検査平均値xと、処理装置の上限規格Su、若しくは処理装置の下限規格Slに基づき、処理装置の工程能力指数を算出してもよい。この場合、工程能力指数Cpに対応させて検査頻度を現時点の2倍、1倍、及び0.5倍に変更しても、上述した検査頻度の制御と同等の半導体製造プロセス管理を実行することができる。
なお、処理装置としての酸化炉を例示すると、目標値とする膜厚を10nmと設定した場合、上限規格Suを12nm、下限規格Slを8nmに夫々設定し検査頻度の制御を行うことができる。
さらに、出来映え/歩留収集部36は、歩留情報36aをGDSデータ切り出し要求部37へ送信し、フォトリソグラフィー工程に用いるマスクデータの一部を切り出したマスク情報37aを上述したパラメータフィッティング装置33へ送信するように促すことができる。例えば、半導体装置の歩留を左右するウエハ上の欠陥部位が局所性を示す場合に自己診断システム31のモデルへのフィードバック効果が有利に働く場合がある。
(第2の実施の形態)
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造システム30の動作の流れを説明する。なお、上述した第1実施の形態と重複する部材若しくは工程の説明は省略するものとする。
半導体装置の製造システム30は、ロット投入工程42により搬入されたウエハを処理する第1の処理工程43と、第1の処理工程43で処理されたウエハの検査を行う第1の検査工程44と、第1の検査工程44を経たウエハの検査を行う第2の検査工程45と、第2の検査工程45を経たウエハを処理する第2の処理工程46と、複数の処理工程と検査工程を経てウエハ内に半導体装置が完成するロット上がり工程47と、ウエハを検査するD/S処理工程48と、を備えている。
半導体装置の製造システム30は、さらに第1の処理工程43を自己診断する自己診断システム31と、第2の処理工程46を自己診断する自己診断システム34と、D/S処理工程48で取得した歩留情報48aを受信する出来映え/歩留収集部36と、この出来映え/歩留収集部36に接続し半導体装置の出来映え/歩留を予測する出来映え/歩留予測システム35と、を備えている。
半導体装置の製造システム30は、上述したロット上がり工程47を通過したウエハをD/S処理工程48により検査して歩留情報48aを出来映え/歩留収集部36へ送信し、新たな歩留情報36bを生成させ、出来映え/歩留予測システム35へ送信するように構成する。
また、半導体装置の製造システム30は、上流の半導体製造プロセスの状態を下流の半導体製造プロセスに反映させ、ウエハ中の半導体装置の歩留をロット毎に予測する。すなわち、上流工程に配置される処理装置の事象を管理し、この処理装置の消耗品を交換したメンテナンス時期、洗浄時期、部品交換時期のようなイベント情報43bを下流工程の第2の処理工程46でプロセスを実行する処理装置に接続した自己診断システム34へ転送し、イベント情報43bの適否を判断させることで、第1の処理工程43で作動している処理装置の状態をリアルタイムに第2の処理工程46で実行される半導体製造プロセスへ反映させることができる。
例えば、上流工程に配置される成膜処理装置の事象を管理し、成膜処理装置の消耗品を交換したメンテナンス時期、成膜処理装置の洗浄時期、成膜処理装置の部品交換時期のようなイベント情報43bを下流工程の第2の処理工程46で作動する別の半導体製造プロセス用のエッチング処理装置に接続した自己診断システム34へ転送することで、第1の処理工程43で作動している成膜処理装置の状態をリアルタイムに第2の処理工程46で実行される半導体製造プロセスへ反映させることができる。
さらに、上流工程に配置される自己診断システム31は、下流工程に配置される自己診断システム34に接続し、処理装置により処理されたウエハの品質管理に関するロット情報49を送信する。
自己診断システム34は、上述したイベント情報43bとロット情報49とを総合的に数値的に評価し、第2の処理工程46により処理されるウエハのロットが、処理装置状態の良い上流工程を通過したのか、処理装置状態の劣化した上流工程を通過したのか、これらを数値に基づいて客観的に品質を判定し、第2の処理工程46でウエハへ加工Bの処理を施す処理装置からリアルタイムに送られてくる装置情報46aに基づき、確度の高い自己診断処理を実行することができる。
また、自己診断システム34は、イベント情報43b、ロット情報49、及び第2の処理工程46でプロセスを実行する処理装置の装置情報46aを乗じて、第2の処理工程46を経たウエハの歩留(例えば、数10%の歩留)を演算してから、この演算結果をデリバリー予測部40へ送信する。
この場合、第1の処理工程43の不具合プロセスによる欠陥部位は第2の処理工程46で修復できないので、半導体製造プロセスの下流工程に進むほどウエハ内の歩留は低下するため、デリバリー予測部40は半導体製造プロセスの中間工程で最終的に良品となる半導体装置の数量を予測若しくは判定することができる。
デリバリー予測部40は、半導体装置の製造システム30の稼動計画を作成する不図示の生産計画用コンピュータに対して、ウエハの投入量制御特急申請処理41を自動的に実行することができ、ウエハの最終検査で欠品を発見するよりも、早期にリカバリーロットをウエハ工程に流すことができるので、企業体としての半導体メーカーのキャッシュフローの最大化を期待することができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態で説明する半導体装置の製造システム51は、半導体装置を加工処理する各種処理装置に対応させることができ、例えば、膜形成プロセスを実行する膜形成処理装置、不純物の拡散処理装置、CVDによる薄膜堆積膜装置、PSG膜、BSG膜、BPSG膜(絶縁膜)などをリフロー(メルト)する加熱炉装置、CVD酸化膜などのデンシファイ量、シリサイド膜(電極)厚などを調整する熱化学反応処理装置、金属配線層を堆積するスパッタリング装置や真空蒸着装置、更にはメッキするメッキ処理装置、半導体基板を化学的・機械的に研磨するCMP処理装置、半導体基板表面をエッチングするドライ又はウエットエッチング処理装置、フォトリソグラフィー処理関連のスピンコート処理装置、ステッパー等の露光処理装置、ダイシングされたチップ状の半導体装置の電極をリードフレームに接続するボンディングワイヤ処理装置など様々な半導体製造プロセスに応用できる処理装置を対象とするのは勿論である。
図3は、本発明の第3の実施の形態の半導体装置の製造システム51の模式的なブロック図である。半導体装置の製造システム51は、例えば、熱化学反応を使用したホットプロセスが実行されるプロセス処理部としての酸化炉54と、プロセス処理部制御装置としての酸化炉コントローラ52と、この酸化炉コントローラ52の作動および非作動、ならびに作動状態を制御するコンピュータ11と、このコンピュータ11と酸化炉54との間に配置されたウエハ上の酸化膜厚の量を計算する酸化膜厚リアルタイムシミュレータ53とを備える。なお、この酸化膜厚リアルタイムシミュレータ53は、本実施の形態では酸化炉コントローラ52と別体の装置として構成されているが、酸化炉コントローラ52の内部に、その機能の一部として一体に構成されていても構わない。
この酸化膜厚リアルタイムシミュレータ53は、酸化炉コントローラ52から酸化炉54へ送信されるスタート信号に応答し、内部の酸化膜厚計算部56が酸化炉54からリアルタイムに送信される炉内部の温度や圧力を示す装置内部情報に基づき、酸化炉54へ搬入したウエハに形成される酸化膜厚の計算を開始する。この酸化膜厚の計算値はリアルタイムにコンピュータ11へ送信され、MESを用いた工場の生産管理に使用される。
コンピュータ11は、内部のデータベースに記憶したMESの制御情報に基づき、酸化膜厚の計算値が所定の酸化膜厚計算値に達した段階で酸化炉コントローラ52へ制御信号を送信する。酸化炉コントローラ52は、この制御信号に応答して酸化炉54へ酸化処理を停止させるストップ信号を送信する。このストップ信号は、並行して酸化膜厚リアルタイムシミュレータ53内部の酸化膜厚計算部56でモニタされ、リアルタイムで酸化処理停止に移行したタイミングを酸化膜厚リアルタイムシミュレータ53へ検知させることができる。
従来の半導体装置の製造装置では、酸化膜厚計算部が酸化処理を停止させるストップ信号をモニタしていないため、現時点での装置内部情報がストップ信号が送信された後の炉内部状態を示す情報なのか否かが判別できなかったが、図3に示す本実施の形態の半導体装置の製造システム51は、酸化炉コントローラ52から送信されるストップ信号を酸化膜厚リアルタイムシミュレータ53でモニタしているので、酸化処理を停止させた時点からの酸化炉54の内部温度や圧力の降下を示す装置内部情報に基づき酸化膜厚計算を継続してリアルタイムに処理することができる。
酸化膜厚計算部56は、酸化炉コントローラ52から送信されたスタート信号を受信してから装置内部情報に基づき酸化炉54内部のウエハに形成される酸化膜厚の計算を開始し、所定のプロセス期間後に酸化炉コントローラ52から送信されるストップ信号を受信しさらに所定時間が経過するまでリアルタイムに酸化膜厚の計算を継続する。
酸化膜厚計算部56による酸化膜厚の計算値は、装置内部情報が酸化炉54から送信された時点毎に計算される瞬時値を示し、この瞬時値が実験計画法によるDOE(デザイン・オブ・エクスペリメンツ)モデル59に従いスタート信号着信時点から酸化プロセスを完了させるストップ信号着信を経て所定時刻が経過するまでの期間に亘り積分処理が遂行され、ウエハに形成される酸化膜全体の厚さを算出することができる。
また、酸化膜厚リアルタイムシミュレータ53による半導体装置の製造システム51が従来の製造装置と相違する点は、コンピュータ11が処理するEESデータ60へチャンバNO情報を付加して、例えば、酸化炉54内部が複数のチャンバで構成されている場合、これら複数のチャンバ毎に異なるEESデータ60を対応させ、酸化膜厚の計算精度を向上させることができる。しかもリアルタイムにチャンバ毎の装置内部情報を取得しているので枚葉処理の酸化膜厚リアルシミュレーションに有利となることは勿論である。
本実施の形態では、酸化炉54の経時的要素を熱化学反応プロセスにリアルタイムで加味しているので、例えば、消耗品を交換するメンテナンス時期や、酸化炉54の洗浄時期のようなイベント情報を受信し、それ以降の経過時間について酸化膜厚リアルタイムシミュレータ53により積分処理をする積分機能を達成することもできる。したがって、全ロットを同様の半導体製造プロセス条件で処理する従来の半導体装置の製造装置に比して精密な品質管理を施すこともできる。
なお、半導体装置の製造システム51を酸化処理装置として説明をしたが、本発明は酸化処理装置に限定されるものではない。例えば、エッチング装置などの処理装置に対しても図3のリアルタイム・シミュレータの構成要素として例示した「エンドポイントモニタ+エッチレート推定」のようなリアルタイムシミュレータ機能を有する半導体装置の製造システムを構築することもできる。
(第4の実施の形態)
図4は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する模式的な流れ図である。加工Aを実行する第1の処理工程43、インラインQCを実行する第1の検査工程44、欠陥検査を実行する第2の検査工程45、加工Bを実行する第2の処理工程46、技術者への欠陥発見報告部39a、QC情報44a、45a、メンテナンス情報32bは、上述した第1実施の形態と同等であり重複する説明を省略する。
本実施の形態に示す半導体装置の製造システムは、推定品質管理値と実測値の差異を利用して、各処理装置、各種センサ、自己診断システムのモデルを診断するように構成する。品質推定部61は、第1の処理工程43でプロセスを実行している処理装置から複数の変数Xを含む装置情報43a(例えば、EESデータ)を受け取り、関数fで表現される自己診断システムのモデル及びそのパラメータa、パラメータbとリアルタイムに受け取った装置情報43aに含まれる複数の変数Xに基づき、現時点での熱化学反応プロセス中のロットに対応する複数の出力Yデータを含む推定品質データ61aを算出し、この推定品質データ61aを異常検知装置として機能するコンパレータ62へ送信する。
この推定品質データ61aには、ウエハの酸化膜厚さの面内分布や、酸化膜厚さの平均値のμデータ、酸化膜厚さのバラツキを示す標準偏差値のσデータが含まれ、コンパレータ62に接続しているMESの制御を実行するコンピュータ11にリアルタイムの半導体装置の品質情報を提供することができる。
このコンピュ−タ11は、第1の検査工程44を実行するインラインQC処理装置や、第2の検査工程45を実行する欠陥検査装置に接続し、推定品質データ61aと第1の検査工程44によるQC情報44aや第2の検査工程45によるQC情報45aとを夫々比較した差異情報に基づき、第1の検査工程44又は第2の検査工程45の検査頻度の最適化情報64をインラインQC処理装置又は欠陥検査装置に対して出力し、第1の検査工程44又は第2の検査工程45を省略させることができ、半導体装置の製造工程期間を短縮させることができる。
品質推定部61は、例えばQCデータベース65に格納されている品質管理データとしてのマハラノビス距離に基づく自己診断システムのモデル及びパラメータ情報63を受け取り、経時的に変化する第1の処理工程43でプロセス処理を実行している酸化炉内部の状態の演算処理により推定品質データ61aを算出する。推定品質データ61aは上述したようにコンパレータ62に送信されるが、並行して第1の処理工程43でプロセスを実行している酸化炉へフィードバック情報61bとして送信され、この第1の処理工程43の下流工程に位置する第2の処理工程46で加工Bを処理するエッチング処理装置若しくはフォトリソグラフィー処理装置のような酸化処理プロセス以外の半導体製造プロセスを実行する処理装置へフィードフォワード情報61cとして送信される。
コンパレータ62は、品質推定部61からの推定品質データ61aと、第1の検査工程44を実施する検査装置からのQC情報44aと、第2の検査工程45を実施する検査装置からのQC情報45aと、警告装置32からのメンテナンス情報32bと、を受信するように構成されている。
このようにコンパレータ62は、品質推定部61から装置情報43aとモデル及びパラメータ情報63とを演算処理した推定品質データ61aを受信し、第1の検査工程44並びに第2の検査工程45でプロセス処理を実行している検査装置の夫々から実測値を受信することができ、品質管理に関する推定値と実測値とを比較しながら、自己診断システムのパラメータの推定をすることができる。すなわち、推定した自己診断システムのパラメータを実測値に近似させながら、コンパレータ62から品質推定部61へ補正した自己診断システムのパラメータa、パラメータbを送信することができる。
品質推定部61から出力される推定品質Ysを第1の処理工程43の半導体製造プロセスにフィードバックして品質を安定させると供に、推定品質Ysを第2の処理工程46へフィードフォワードすることで、第2の処理工程46のプロセス処理を実行する処理装置のパラメータを予め推定品質Ysに合致させ、現時点で第1の処理工程43中のロットが第2の処理工程46に搬入された段階で推定品質Ysに基づくプロセス処理を実行させることができる。
さらに、コンパレータ62は、上述したように推定品質データ61aと実測値としてのQC情報44a、45aを取得しているので、推定値と実測値との間に乖離が発生した段階で、第1の処理工程43の処理装置、第1の検査工程44の検査装置、第2の検査工程45の検査装置の何れか、若しくは全てが不具合を生じて確度の高い品質管理ができない状態を早期に判定することができる。
コンパレータ62は、推定品質データ61aに基づき第1の処理工程43の処理装置、第1の検査工程44の検査装置、或いは第2の検査工程45の検査装置に不具合が発生したことを示す信号を検出したときは、装置/センサー異常検知信号62aを警告装置32並びにオペレータのモニターへ送信して、半導体製造プロセスを停止させ、オペレータのメンテナンス指示画面38へ現時点の品質管理情報を表示させることができる。
(第5の実施の形態)
図5は、本発明の第5の実施の形態の半導体装置の製造方法を説明する模式的な流れ図である。ロット投入工程42、第1の処理工程43、第1の検査工程44、第2の処理工程46、ロット上がり工程47、D/S処理工程48、品質推定部61は、上述した第4の実施の形態と同等であり重複する説明を省略する。
本実施の形態による半導体装置の製造方法は、半導体製造プロセスの上流に配置される例えば、成膜処理装置による第1の処理工程43、この第1の処理工程43の下流工程に配置された第2の処理工程46と、ロット上がり工程47を経たウエハ上に形成された複数の半導体装置のデバイス性能及び歩留を検査するD/S処理工程48を備える。
加工Aを処理する第1の処理工程43は、プロセス処理を実行する処理装置の装置情報43aを品質推定部61へ送信し、品質推定部61は装置情報43aに基づき、推定品質データ61aを推定品質管理部66へ送信する。この推定品質管理部66は現時点で加工Aが施されているロットの処理が完了した後に、第1の検査工程44によるウエハのインラインQC処理結果を比較データ67として取得し、推定品質データ61aと比較することができるので、推定品質データ61aの確度を判定することができる。
例えば、推定品質管理部66は、品質推定部61が推定した推定品質データ61aと第1の検査工程44で実測した実測値とを比較しながら、装置情報43aと実測値との相関処理を遂行する。ここで、本実施の形態の相関処理とは、品質推定部61により推定した推定品質データ61aを実測値に近似させる処理を意味し、各ロットで得られた装置情報43aを第1の処理工程43の半導体製造プロセスへフィードバックし次回のロットを処理する段階で装置情報43aを補正し実測値に近づけることができる。したがって、相関処理により品質推定部61における推定品質データ61aの算出モデルのパラメータを適宜修正することができる。
例えば、推定品質管理部66が、10ロットの相関処理を実行した後の推定品質データ61aと実測値との乖離は、第1の検査工程44(インラインQC)や第3の検査工程44c(インラインQC)が不要となる程度に減少し、推定品質管理部66に接続したプロセス及びデバイスシミュレーション装置69aへ第1の処理工程43で加工Aを施したロットの歩留情報を転送することで、処理工程43で処理されたロットの歩留を予測することができる。
同様に、加工Bを処理する第2の処理工程46は、第2の処理工程46のプロセス処理を実行する装置情報を品質推定部68へ送信し、品質推定部68は受信した装置情報に基づき、推定品質データとしてのQC情報68aを推定品質管理部66aへ送信する。この推定品質管理部66aは現時点で加工Bが施されているロットの処理が完了した後に、第3の検査工程44cによるウエハの検査結果データとしてのQC情報44dを比較データ67aとして取得し、QC情報68aと比較することができる。
推定品質管理部66aは、品質推定部68が推定したQC情報68aと第3の検査工程44cで実測したQC情報44dとを比較しながら、装置情報と実測値との相関処理を遂行する。
例えば、推定品質管理部66aが、10ロットの相関処理を実行した後のQC情報68aと実測値との乖離は、加工Bを施す第2の処理工程46から搬出したウエハを検査する第3の検査工程44c(インラインQC)が不要となる程度に減少し、推定品質管理部66aに接続したプロセス及びデバイスシミュレーション装置69aへ第2の処理工程46で加工Bを施したロットの歩留情報を転送することで、処理工程46で処理されたロットの歩留を予測することができる。
プロセス及びデバイスシミュレーション装置69aは、上流工程としての第1の処理工程43の歩留情報と下流工程としての第2の処理工程46の歩留情報に基づいて半導体製造プロセス及び半導体装置としてのデバイスのシミュレーションを実行し、各ロットの推定歩留情報を次段のデバイス性能歩留予測部70aへ送信する。
上述したデバイス性能歩留予測部70aは、推定品質管理部66及び推定品質管理部66aが推定した情報に基づき半導体装置の歩留を予測しているが、さらに本実施の形態ではインラインQC処理による第1の検査工程44のQC情報44a、及び第3の検査工程44cのQC情報44dを収集し、実測値に基づき半導体装置の歩留を中間処理工程の段階で予測することができる。
プロセス及びデバイスシミュレーション装置69は、上流工程(又は前段工程)に配置された第1の検査工程44によるQC情報44aと、下流工程(又は後段工程)に配置された第3の検査工程44cのQC情報44dと、をマージさせプロセス及びデバイスのシミュレーションを実行し、シミュレーション結果としての歩留情報を次段のデバイス性能歩留予測部70へ送信する。
デバイス性能歩留予測部70は、各ロット毎の歩留予測情報72を上述したデバイス性能歩留予測部70aへ送信する。デバイス性能歩留予測部70aは、推定歩留情報と歩留予測情報72とを比較し、半導体装置の歩留予測処理75を実行することでさらに高精度の歩留予測を提供することができ、歩留予測処理75と並行して第1の検査工程44と、第3の検査工程44cによるインラインQCの頻度を再設定(例えば、検査の省略または間引き)することができる。
さらに、本実施の形態による半導体装置の製造システムは、第1の処理工程43及び第2の処理工程46の夫々に配置された処理装置の装置情報に基づく推定品質から半導体装置の歩留を予測すると供に、各処理工程から搬出されるウエハの検査結果に基づき半導体装置の歩留を予測したが、この予測した歩留と並行して、ロット上がり工程47のウエハに対しプローブ検査装置によるD/S処理工程48でデバイス性能歩留を求めることができる。
D/S処理工程48により実測した歩留とデバイス性能歩留予測部70の歩留とを比較処理71し、その差異からデバイス性能歩留予測部70のシミュレーション精度を補正することもでき、D/S処理工程48により実測した歩留とデバイス性能歩留予測部70aの歩留とを比較処理73し、その差異からデバイス性能歩留予測部70aのシミュレーション精度を補正することもできる。すなわち、プロセス及びデバイスシミュレーション装置69、69aにおけるシミュレータモデルのパラメータを適宜修正することができる。
本実施の形態で示した半導体装置の製造システムによれば、実測された半導体装置の歩留に基づき各歩留予測を補正しながら半導体製造プロセスを繰り返せば、精度の高い歩留予測ができるため、例えば、品質管理用のウエハとしてのNPW(ノン・プロダクト・ウエハ)を省略することができ、インラインQCとしての検査工程をも省略することもでき、各ロット毎の半導体製造プロセス毎葉シミュレーションを実行することもできるという利点がある。
(第6の実施の形態)
図6は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の不良ロットを発生させた製造装置を特定する方法を説明する図である。図中の半導体装置の処理工程を酸化炉を用いて例示するが、本発明における第1の処理工程43に用いる処理装置は酸化炉に限定されるものではなく、他の半導体製造プロセスを実行する処理装置にも適用できることは勿論である。
酸化工程のような第1の処理工程43は、処理装置内部のチャンバで熱化学反応プロセスによりウエハ上に酸化膜を生成させる。また、第1の処理工程43に用いる処理装置は、測定器77に接続されチャンバ内部に配置した複数の検知器から測定器77へ圧力、温度、電圧、バルブ開度のような装置情報をリアルタイムに送信している。
測定器77は、受信した各種検知データに基づき、半導体製造プロセス中のウエハの状態を判定する。例えば第1の処理工程43の半導体製造プロセスを実行している処理装置内部のチャンバから複数のデータを収集し、半導体製造プロセスのレシピ毎に、処理したウエハのロットを特定することができる。
また、測定器77はリアルタイムのデータ収集能力を有し、例えば、所定の時間間隔で同時に検出した9種のアナログデータをデジタルデータに変換し、このデジタルデータをロット毎に時系列に記録及び解析する。図中央のヒストグラムは、測定器77で収集したチャンバ内部の状態を時系列に記憶し、この記憶した時系列データをスカラー量へ変換し検出値79(デテクション)として表示している。この検出値79の中でプロセス制御可能な低い波高値と高い波高値で示すプロセス制御できない非制御値80(アウトオブコントロール)をディスプレイ上で確認することができる。
測定器77は、非制御値80で示すスカラー量に基づき処理工程43の所定の処理時刻に対応するチャンバ状態を解析処理し、チャンバ内部の要素情報を特徴量化81(ローカライゼーション)した数値情報をグラフで表示する。この特徴量化81は、処理中のロットの何番目のウエハの特定個所にどのような欠陥が存在するのかを示している。例えば、検出した非制御値80に基づいてチャンバ内部の特徴量(又は要素情報)としてのパラメータAの値を0.78、パラメータBの値を−0.63として演算処理し、測定器77の内部又は外部にこの特徴量化81のデジタル情報を記録する不図示の特徴量データベースにアクセスして、リアルタイムの欠陥識別処理としての同程化処理82(フォールトアイデンティケーション)を実行する。
上述した同程化処理82に用いる特徴量データベースは、図中の相関表83の形式で管理することができ、酸化炉のような処理工程43の装置状態の修正(コレクション)に用いることができる。例えば、相関表83の左欄に示す欠陥パラメータの欠陥分類番号の欄に示すX1に対応する右欄の特徴量(A=0.8/B=−0.6)と、測定器77が演算処理した特徴量のパラメータA0.78、パラメータB−0.63とが同程化処理82された場合は、ウエハのロット状態は、図左上に示す欠陥部を有するロット状態84のように奇数と偶数の順番で良品多数ウエハと良品少数ウエハが搬出されるという統計的なデータが記録されている。この統計的なデータには半導体製造プロセスのレシピ情報やTEG情報も含まれ、検査履歴及び半導体装置の分類情報もデータに含むことができる。
なお、相関表の左欄のX1に対応する右欄の特徴値により特定されるウエハの処理は、酸化工程のような処理工程43において複数のチャンバ間で何らかのEES信号の差が検出されている場合があり、処理装置の推定不良モードを特定することができる。
また、相関表83の左欄に示す欠陥パターンの欠陥分類番号のX2により同程化処理82されるウエハのロット状態は、特徴量データベースに記憶されている特徴量としてのパラメータAの値が0.2、パラメータBの値が0.7の少数点以下を1桁で表示する数値情報が読み出され、特徴量化81されたデータと比較し近似している場合には、このウエハのロット状態は、図左中段に示すロット状態85のようにランダムな状態で良品少数ウエハが搬出されるという統計的なデータに基づいて処理工程43が評価される。
同様に、相関表83の左欄に示す欠陥パターンの欠陥分類番号のX3により同程化処理82されるウエハのロット状態は、特徴量データベースに記憶されている特徴量としてのパラメータAの値が0.4、パラメータBの値が−0.3の少数点以下を1桁で表示する数値情報が読み出され、特徴量化81されたデータと比較し近似している場合には、このウエハのロット状態は、図左下段に示すロット状態86のようにロットの前半は良品少数ウエハが存在し、ロットの後半は良品多数ウエハが存在するロットが搬出されるという統計的なデータに基づいて処理工程43が評価される。なお、X3の欠陥分類番号に対応するロットのウエハは、例えば、処理工程43の炉内温度が徐々に上昇すると欠陥が消滅するという修復工程により歩留を向上させることができる。
測定器77は、上述の如く、リアルタイムに処理工程43のチャンバ状態を検出し、特徴量化81し、同程化処理82を遂行するため、同程化処理82により不良多数のロットが発見された段階で自動的に不良原因となる処理工程43を特定することができる。したがって、不良多数のロットが発見された場合は、不良ロットを発生する処理工程43を直ちに停止し、メンテナンスを実施するようにオペレータへ報知するように構成するとよい。なお、新たなパターンに特徴量化81されたロットは図中右下に示す「新記号」を割り振り上述した特徴量データベースへその特徴量やウエハのロット状態を示す情報を記録することもできる。
(第7の実施の形態)
図7は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の製造方法を説明する模式的な流れ図である。ロット投入工程42、第1の処理工程43、第1の検査工程44、第3の検査工程44c、第2の処理工程46、ロット上がり工程47、D/S処理工程48、品質推定部61、推定品質管理部66、検出値79、非制御値80、特徴量化81、同程化処理82、相関表83、及び新記号は、上述した実施の形態と同等であり重複する説明を省略する。
半導体装置の製造システムは、既知の特徴量化81した情報と関連付けられた欠陥部84bを有するウエハ17bや、欠陥部84aを有するウエハ17cに対応する欠陥パラメータX1、X2、X3の分類番号と複数の特徴量を特徴量データベースに記憶させて、特徴量化81されたロットを同程化処理82することにより不良ロットが発見できるが、同種の欠陥部84aが存在しても、未知の不良パターンとしてウエハ17aが処理されたロットに対してはロットアウト処理及びメンテナンス処理が困難である。
これに対して、本実施の形態では、処理工程43を実施する処理装置から品質推定部61へリアルタイムに収集した装置情報を各ロットに対応させて送信し、その後に下流工程を終了しロット上がり工程47を通過したウエハ17aをD/S処理工程48により検査し、最終的な欠陥部84aが特定される。
D/S処理工程48は、ロットの番号、欠陥部のアドレスを記憶又は出力しているので、半導体装置の製造システムは、このロット番号を頼りに、このロットの加工Aを処理した処理工程43に用いた装置の装置情報(例えば、図2の43a参照)を検索し、品質推定部61に検索した装置情報43aを不良ロット情報として監視させ品質推定部61内部のパラメータを自動的に更新するように制御する。推定品質管理部66は上述の如く品質推定部61から推定品質データを受け取り半導体装置の歩留を推定するので、現時点より後の半導体製造プロセスにおいてはウエハ17aのような欠陥パターンを有するロットを半導体装置の製造システムのラインから早期に排除し、無駄なケミカル等を消費することを有効に防止することができる。
また、半導体装置の製造システムは、新たに発見した不良パターンの特徴量情報を相関表83の中の欠陥パラメータの欠陥分類番号X4として新記号を割り当て特徴量データベースへ自動的に登録できることは勿論である。
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の製造システムは、図8に示すように、ウエハ17aを処理する処理装置14aと、ウエハ17bを処理する処理装置14bと、ウエハ17cを処理する処理装置14cと、ウエハ17dを処理する処理装置14dと、各処理装置14a〜14d毎に設けられた自己診断装置5a〜5dと、各自己診断装置5a〜5d毎に設けられたデータベース13a〜13dと、ウエハ17aを検査する検査装置19aと、ウエハ17bを検査する検査装置19bと、ウエハ17cを検査する検査装置19cと、ウエハ17dを検査する検査装置19dと、自己診断装置5a〜5dに接続され、各処理装置14a〜14dが処理したウエハ17a〜17d毎の推定品質値を受信するコンピュータ11と、を備える。
第8の実施の形態に用いる自己診断装置5a〜5dは、第1の実施の形態に用いた自己診断システム11aと同等のハードウエア資源及びこれと協働したソフトウエアで構成することができる。したがって、自己診断システムとしての自己診断装置5a〜5dは、処理措置14a〜14dの装置情報を受信し、自己診断を実行する。
コンピュータ11は、自己診断装置5a〜5dと接続し、すべてのウエハ17a〜17dの推定品質値を記憶装置12に記憶し、又、検査タイミング毎に検査装置19a〜19dから送信される数ロットのウエハの中から選択したロットのウエハの検査結果を受信し、検査結果に基づく検査品質値(例えば、膜厚、エッチングレート、不純物の拡散深度、メルト状態)をロット番号、ウエハ番号に対応させて記憶装置12へ記憶する。
コンピュータ11による品質管理は、選択したロットに複数のウエハが存在する場合は代表ウエハだけを検査装置19a〜19dが検査し、検査結果をロット番号、代表ウエハ番号に対応させてコンピュータ11が受信する。検査されないウエハは代表ウエハと同品質を有するものと推定しコンピュータ11がロット番号及びウエハ番号に対応させて記憶しロット及びウエハ毎に品質管理をする。
したがって、コンピュータ11は、全ロットの全ウエハの推定品質値をロット番号及びウエハ番号に対応させて記憶し、検査タイミング毎に出力される一部のロットのウエハの検査品質値をロット番号及びウエハ番号に対応させて記憶する。
コンピュータ11は、メインデータベース13に記憶したAPC、MESのデータを使用して製造システム全体を管理し、複数の処理装置14a〜14dに対して異なるプロセスを実行させている。例えば、処理装置14aは、ウエハ17aに対して酸化膜形成プロセスを実行させ、処理装置14bは、ウエハ17bに対してエッチングプロセスを実行させ、処理装置14cは、ウエハ17cに対して不純物拡散プロセスを実行させ、処理装置14dは、例えば、ウエハ17dに対してリフロー(又はメルト)プロセスを実行させるように制御する。
但し、図示する処理装置14a〜14dは、簡単化のため4台として例示するが、現在のLSIの製造工程から容易に理解できるように半導体装置の製造システムは、一般には、同種の処理装置が複数台設けられ、全体で10台以上の処理装置が配置されている。
各処理装置14a〜14dは、内部の状態を表わす装置情報を各種センサを通して出力する。例えば、プラズマプロセスの装置であれば、チャンバ内部の圧力、温度、高周波電力値、高周波のインピーダンスを整合させるキャパシタの値、チャンバ内に導入するガスの流量など、各プロセス毎に定めた装置情報をそれぞれに設けられた自己診断装置5a〜5dへ出力する。
自己診断装置5aは、装置情報を保存するデータベース13aに接続され、ESSによりウエハ17aを処理している処理装置14aから装置情報を受信し、装置情報に基づきウエハ17aに対応した推定品質値(例えば、処理装置14aが酸化炉とすれば、ウエハ17a上に形成される膜厚)を算出し、この推定品質値をコンピュータ11へ送信すると共に、データベース13aにウエハ17aに対応させて推定品質値を記憶する。
又、「推定品質値」とは、例えば、処理装置14aが酸化炉とすれば、処理装置14aから受信した装置情報Xを膜厚形成モデルの式(例えば、Ye=aX+b)に代入して推定膜厚値Yeを算出するウエハ17a上に形成される膜厚の推定値を意味する。装置情報Xは、ヒータ温度でも良く、ガスの流量でも良い、装置情報毎に膜厚形成モデルの式をデータベース13aが記憶し、自己診断装置5aが膜厚形成モデルの式に装置情報を入力し推定品質値を算出する。
自己診断装置5bは、装置情報を保存するデータベース13bに接続され、ESSによりウエハ17bを処理している処理装置14bから装置情報を受信し、装置情報に基づきウエハ17bに対応した推定品質値(例えば、処理装置14bがドライエッチング装置であれば、エッチングレート)を算出し、この推定品質値をコンピュータ11へ送信すると共に、データベース13bにウエハ17bに対応させて推定品質値を記憶する。
自己診断装置5cは、装置情報を保存するデータベース13cに接続され、ESSによりウエハ17cを処理している処理装置14cから装置情報を受信し、装置情報に基づきウエハ17cに対応した推定品質値(例えば、処理装置14cが拡散炉とすれば、不純物の拡散深度)を算出し、この推定品質値をコンピュータ11へ送信すると共に、データベース13cにウエハ17cに対応させて推定品質値を記憶する。
自己診断装置5dは、装置情報を保存するデータベース13dに接続され、ESSによりウエハ17dを処理している処理装置14dから装置情報を受信し、装置情報に基づきウエハ17dに対応した推定品質値(例えば、処理装置14dがアニール炉とすれば、絶縁膜のメルト状態)を算出し、この推定品質値をコンピュータ11へ送信すると共に、データベース13dにウエハ17dに対応させて推定品質値を記憶する。
図8及び図9を参照し、ウエハの製造プロセスの中でエッチングを例示して半導体装置の製造システムの動作を説明する。製造システムでは、期待値の範囲に入る検査品質値Yqを抽出し、推定品質値Yeと検査品質値Yqとを比較し、推定品質値Yeのモデルを次のフローに沿って更新する。
ここで、「期待値」とは、記憶装置12に記憶している過去の検査品質値Yqを時系列に並べ、検査品質値Yqの傾向を算出し現時点で適切と期待される検査品質値を意味する。
(再検査フロー)
以下においては、処理装置14a、処理装置14b、処理装置14c、処理装置14dのうちのドライエッチング装置としての処理装置14bを例にとり説明する。
(a)コンピュータ11は、スタートステップ90(以下、ステップを「S」と略記する。)で、検査装置19bが処理装置14bで処理したウエハ17bを定期的に検査した検査結果を受信した段階で、異常チェックS91に移行する。コンピュータ11は検査結果を検査品質値Yqへ変換し、検査品質値Yqと記憶装置12に記憶した期待値と比較し検査品質値Yqが異常か否かを判定する。異常判定の場合は、再測定S92へ分岐し検査装置19bに再測定指令を送信する。
(b)検査装置19bは、再測定S92で、ウエハ17bを再測定し、再測定した検査結果をコンピュータ11へ再送信する。
(c)コンピュータ11は、再測定S92で、再測定した検査結果を検査品質値Yqへ変換し、期待値と比較して異常判定とした場合は、メール送信S93へ移行しプロセス担当者宛に電子メールを送信し、ウエハ17bの異常発生を通知する。
(d)コンピュータ11は、履歴更新S94に移行し、記憶装置12へウエハ17bの異常を記録し、ウエハの番号、ウエハのロット、ウエハを処理した処理装置14bに対応つけてデータベースを更新する。
(実測値比較フロー)
(a)コンピュータ11は、再測定S92で受信した再測定の検査品質値Yqを期待値と比較し適正判定とした場合は、記憶装置12へ再測定の履歴を検査装置19bとウエハ17bに対応つけて記憶すると共に、ノード95を経由し推定品質比較S96に移行する。
(b)コンピュータ11は、異常チェックS91で検査品質値Yqを適正と判定した場合も、推定品質比較S96へ移行する。
(c)コンピュータ11は、推定品質比較S96で、自己診断装置5bが算出した推定品質値Yeと検査品質値Yqを比較し、判定基準と一致するか判定する。判定基準は、推定品質値Yeと検査品質値Yqの回帰直線の信頼区間内に推定品質値Yeが存在する場合は一致と判定し、信頼区間から外れたときは不一致と判定する。
(d)コンピュータ11は、推定品質比較S96で、不一致判定をした場合は、要素判定処理S97に移行し自己診断パラメータを修正する。例えば、自己診断パラメータは次の式(1)で表わされる。
Ye1=aX1+b …・・(1)
コンピュータ11は、現在の推定品質値「Ye1c」を記憶装置12に記憶し、係数「a」、係数「b」の何れか1つ又は係数「a」、係数「b」の双方を変更した新たな推定品質値「Ye1n」を記憶装置12に記憶する。
(e)コンピュータ11は、要素判定処理S97で、記憶装置12に記憶している検査品質値Yqの履歴を参照し、過去の検査品質値Yq1cの増減と不一致と判定した時点の推定品質値Ye1nとを比較し、推定品質値Ye1nを検査品質値Yqに近似させるように、係数「a」の変更、係数「b」の変更、装置情報「X1」と異なる装置情報「Xn」を追加させるか判定する。
(f)コンピュータ11は、推定品質値Ye1nが過去の検査品質値Yq1cと比較して想定外の変動と判定した場合は、装置情報追加S98で、装置情報「X1」と異なる新たな装置情報「Xn」を追加し、推定式更新S101に移行し新たな自己診断パラメ−タをデータベース13bへ自己診断装置5bを経由して記録する。
(g)コンピュータ11は、推定品質値Ye1nが過去の検査品質値Yq1cと比較して単調に変化していると判定した場合は、a変更S99で、係数「a」を増減させ推定品質値Ye1nを検査品質値Yqに近似させ、推定式更新S101に移行し新たな自己診断パラメ−タをデータベース13bへ自己診断装置5bを経由して記録する。
(h)コンピュータ11は、推定品質値Ye1nが過去の検査品質値Yq1cと比較して急峻に変化していると判定した場合は、b変更S100で、係数「b」を増減させ推定品質値Ye1nを検査品質値Yqに近似させ、推定式更新S101に移行し新たな自己診断パラメ−タをデータベース13bへ自己診断装置5bを経由して記録する。
(i)その後、コンピュータ11は、メール送信S102に移行し、プロセス担当者宛に電子メールを送信し、新たな自己診断パラメータの更新報告を実行する。
(j)コンピュータ11は、履歴更新S94に移行し、記憶装置12へウエハ17bの異常を記録し、ウエハの番号、ウエハのロット、ウエハを処理した処理装置14bに対応つけてデータベースを更新する。
(k)コンピュータ11は、推定品質比較S96で、一致判定をした場合は、スペック確認S106へ分岐し、推定品質値Ye1nが規格に入るか判定する。規格に入ると判定した場合は、履歴更新S94に移行し、記憶装置12へウエハ17bの正常を記録し、ウエハの番号、ウエハのロット、ウエハを処理した処理装置14bに対応つけてデータベースを更新する。
ここで、「規格」とは、半導体装置を製造する各プロセスで画一的に定めた基準値で、上述した期待値と異なる。
(センサ異常通知フロー)
(a)コンピュータ11は、開始S90でウエハ17bのロットが処理装置14bに搬送され処理が開始される場合、センサチェックS103へ移行し、自己診断装置5bによる処理装置14bに設けられた各種センサの動作を検査する。例えば、エッチングガスの流量センサ、高周波電源のセンサ、チャンバの圧力センサなどのエッチングに影響する装置情報を出力するセンサが正常に動作しているか否かを判定し、正常判定のときは推定品質計算S104へ移行し、何れか1つでもセンサが異常の場合は、センサ異常通知S113へ分岐する。
(b)コンピュータ11は、センサ異常通知S113で自己診断装置5bから処理装置14bの装置情報に対応させたセンサ異常通知を受信し、記憶装置12に記憶している処理装置14bのセンサ履歴情報を参照し、異常と判定されたセンサの関連履歴情報を抽出する。例えば、前回の異常発生時から今回の異常判定時までの経過時間(又は、連続正常動作期間)、処理装置14bが製造ラインに設置されてから異常判定された通算回数、処理装置14bが正常動作時の装置情報の傾向に基づく正常推奨値などを記述した電子メールを作成する。
(c)コンピュータ11は、メール送信S114に移行し、センサ異常通知S113で作成した電子メールをプロセス担当者宛に送信し、処理装置14bのセンサの異常を通知し、処理を終了する。
(推定品質算出フロー)
(a)自己診断装置5bは、開始S90からセンサチェックS103へ移行し、センサがすべて正常の場合は、推定品質計算S104へ移行し、ウエハ17bを処理装置14bへ搬入し処理を開始する段階で、例えば、チャンバのインピーダンス調整を行うキャパシタンスを示す装置情報「X1」も取得開始し、式(1)を用いて推定品質値Ye1を算出し、品質管理S105へ移行する。
(b)コンピュータ11は、品質管理S105で自己診断装置5bが算出したウエハ17bの推定品質値Ye1を受信すると共に、ウエハ17bが検査装置19bで検査されたか否かをロット番号又はウエハ番号に基づいて判定する。検査済みと判定した場合は、推定品質比較S96へ分岐し、実測値比較フローのシーケンスを実行する。
一方、ウエハ17bが検査装置19bで検査されていない場合は、スペック確認S106へ分岐する。すなわち、複数のロットを処理装置14bで処理しながら、定期的にウエハ17bを検査するので検査されないウエハ17bが存在し、また、検査したロットであっても代表ウエハでないウエハ17bは検査装置19bで検査されていない履歴が記憶装置12に保存されているので、コンピュータ11はウエハの履歴を参照しスペック確認S106へ分岐する。
(c)コンピュータ11は、スペック確認S106で推定品質値Ye1が規格に入るか判定する。規格に入ると判定した場合は、履歴更新S94に移行し、記憶装置12へウエハ17bの正常を記録し、ウエハ番号、ウエハのロット番号、ウエハを処理した処理装置14bに対応つけてデータベースを更新し、処理を終了する。
一方、コンピュータ11が、スペック確認S106で推定品質値Ye1が規格に入らないと判定した場合は、追加検査決定S107へ分岐する。
(d)コンピュータ11は、追加検査決定S107でプロセス担当者からの指令で追加検査をする場合は、追加品質管理S108へ分岐し、ウエハ17bを検査装置19bで検査させ検査結果を変換した検査品質値Yqをウエハ17bに対応付けて記憶装置12へ保存する。
(e)コンピュータ11は、処理を推定品質比較S96に移行させ、追加品質管理S108で記憶装置12に保存した検査品質値Yqと推定品質値Ye1とを比較し、実測値比較フローのシーケンスを実行する。
(f)コンピュータ11は、追加検査決定S107でプロセス担当者からの指令により、ウエハ17bの追加検査をしない場合は、上位成分レポートS109へ移行し、記憶装置12に記憶された過去の推定品質値Ye1cとスペック確認S106で規格に入らないと判定した推定品質値Ye1nとを比較し、式(1)で表わす推定品質値Ye1を算出するモデルの中で不一致の大きい上位の成分(例えば、上位の係数「a」と、次の係数「b」)を記述した電子メールを作成する。
また、コンピュータ11は、上位成分レポートS109において、スペック確認S106で規格外と判定された推定品質値Ye1nを記憶装置12のデータベースに記憶すると共に、データベースに記憶された推定品質値Ye1cの履歴を参照し、過去に同様な異常がないか調査し、調査結果を記述した電子メールを作成する。
(g)コンピュータ11は、メール送信S110へ移行しプロセス担当者宛に上位成分レポートS109で作成した電子メールを送信し、ウエハ17bの推定品質値Ye1の異常発生を通知する。
このように、第8の実施の形態に係る半導体装置の製造システムでは、コンピュータ11は、自己診断装置5bが算出する推定品質値Ye1と定期的に取得する検査装置19bから得られた検査品質値Yqとを比較し、推定品質値Ye1と検査品質値Yqとの差に応じて推定品質値Ye1の推定式の係数を修正し、又は推定式を変更するので、処理装置14bの自己診断の精度を高めることができる。
図9の推定品質計算S104に用いるウエハの断面図を図10に例示する。処理装置14bは、ウエハをチャンバ内へ搬入する。搬入するウエハは、シリコン基板119の上方に形成された層間絶縁膜のテトラエトキシシランTEOS118、TEOS118上に形成された反射防止膜117の膜構造を備える。なお、本発明は層間絶縁膜をTEOSに限定するものではなく、他の半導体薄膜形成材料としてのTMPO、TEMも対象とする。
反射防止膜117の表面には、露光現像処理が終了したレジスト116が形成される領域と、露光現像処理でレジスト116が除去され反射防止膜117が露出した領域を有する。
処理装置14bは、反射防止膜117が露出した領域に対して、TEOS118が現れるまで反射防止膜117のエッチングを行う。
自己診断装置5bは、反射防止膜117をエッチングするエッチングガス(四フッ化炭素CF4、臭化水素酸HBr、酸素O2など)の流量、高周波電源の進行波、高周波電源の反射波などの高周波電源関連のパラメータ、圧力などの複数の装置情報Xi(iは収集される情報の個数分存在)を処理装置14bから受信する。
自己診断装置5bは、例えば、エッチングレートの推定品質Ye1を算出するために、チャンバのインピーダンス調整をするキャパシタの容量の値を装置情報として取得する。なお、エッチングガスの流量を装置情報X2として取得し、エッチングレートの推定品質Ye2を算出することは、製造プロセスの選択事項である。
図9の推定品質比較S96に用いる判定基準のグラフを図11に示す。グラフの横軸は、自己診断装置5bが算出したエッチングレートの推定品質値Ye1を表わし、グラフの縦軸は、検査装置19bがウエハ17bを検査した実測値に基づき、コンピュータ11が算出したエッチングレートの検査品質値Yq1を示している。
コンピュータ11は、推定品質比較S96で推定品質値Ye1と検査品質値Yq1を比較する際に、判定基準として、推定品質値Ye1と検査品質値Yq1の回帰直線の信頼区間内(点線124と点線125に挟まれた領域)に推定品質値Ye1が存在する場合は一致と判定し、信頼区間から外れたときは不一致と判定する。
コンピュータ11は、処理装置14bでエッチングした複数のロットのウエハを検査した実測値に基づき、ウエハ番号に対応したエッチングレートの検査品質値Yq1を算出し、記憶装置12へ記憶する。又、コンピュータ11は、自己診断装置5bからウエハ番号に対応させたエッチングレートの推定品質値Ye1を受信し、記憶装置12に記憶する。
推定品質値Ye1を求めるモデルの式(1)が適切な場合、各ウエハ番号の検査品質値Yq1に対する推定品質値Ye1との交点を出現させるウエハでは、エッチングレート「2.3」〜「4.3」(nm/秒)の範囲で回帰直線126に重なる若しくは近傍に位置する品質を有する。
ただし、処理装置14bに設けられたチャンバの圧力、キャパシタの値、エッチングガスの流量が変動したときは、ロット間でウエハ品質に変動が生じる場合がある。例えば、図中のサークル120、121、122、123で囲んだ交点を出現させるウエハは、検査品質値Yq1に対して、それぞれ推定品質値Ye1との差が生じているため、推定品質値Ye1を求めるモデルの式(1)を変更し、推定品質値Ye1の信頼性を高める必要がある。
サークル120で囲んだ交点を出現させたウエハは、検査品質値Yq1が「2.8」に対して推定品質値Ye1が「2.3」であり、回帰直線126より上側に位置し推定品質値Ye1を増加させるようにモデルの式(1)のパラメータを変更する。例えば、係数「a」を増加させ検査品質値Yq1に近似させる。
サークル121で囲んだ交点を出現させたウエハは、検査品質値Yq1が「3.1」に対して推定品質値Ye1が「2.6」であり、回帰直線126より上側に位置し推定品質値Ye1を増加させるようにモデルの式(1)のパラメータを変更する。例えば、係数「a」を増加させ検査品質値Yq1に近似させる。
サークル122で囲んだ交点を出現させたウエハは、検査品質値Yq1が「2.3」に対して推定品質値Ye1が「2.8」であり、回帰直線126より下側に位置し推定品質値Ye1を減少させるようにモデルの式(1)のパラメータを変更する。例えば、係数「a」を減少させ検査品質値Yq1に近似させる。
サークル123で囲んだ交点を出現させたウエハは、検査品質値Yq1が「2.5」に対して推定品質値Ye1が「3.0」であり、回帰直線126より下側に位置し推定品質値Ye1を減少させるようにモデルの式(1)のパラメータを変更する。例えば、係数「a」を減少させ検査品質値Yq1に近似させる。
コンピュータ11は、モデルの式(1)のパラメータを変更する際に、記憶装置12に記憶しているウエハの実測値に基づく検査品質値Yq1の時系列グラフのデータを参照する。
図12に示すように、検査品質値Yq1の時系列グラフでは、横軸はウエハを処理した日時を示し、縦軸はエッチングレート(nm/秒)の検査品質値Yq1を示している。
図11のサークル120で囲んだ交点を出現させたウエハは、図中のサークル130で囲んだ2月4日に処理したロットに該当し、2月1日から検査品質値Yq1が単調増加しているので、コンピュータ11は式(1)の係数「a」を増加させ、エッチングレートの推定品質値Ye1nに更新する。
図11のサークル121で囲んだ交点を出現させたウエハも、図中のサークル131で囲んだ2月5日に処理したロットに該当し、2月4日から検査品質値Yq1が単調増加しているので、コンピュータ11は式(1)の係数「a」を増加させ、エッチングレートの推定品質値Ye1nに更新する。
図11のサークル122で囲んだ交点を出現させたウエハは、図中のサークル132で囲んだ2月7日に処理したロットに該当し、2月5日の検査品質値Yq1に比して急峻に減少しているので、コンピュータ11は式(1)の係数「b」を減少させ、エッチングレートの推定品質値Ye1nに更新する。
図11のサークル123で囲んだ交点を出現させたウエハは、図中のサークル133で囲んだ2月13日に処理したロットに該当し、2月7日から検査品質値Yq1cが単調増加しているので、コンピュータ11は式(1)の係数「a」の変更判定をし、検査品質値Yq1nが回帰直線126の下側に位置するため、係数「a」を減少させエッチングレートの推定品質値Ye1nに更新する。
図中のサークル134で囲んだ交点を出現させたウエハは、2月22日に処理したロットに該当し、2月13日の検査品質値Yq1cに比して急峻に増加している。このロットは、現状の式(1)では想定外の変動であり、コンピュータ11は、図9の推定式更新S101に移行し新たな自己診断パラメ−タをデータベース13bへ自己診断装置5bを経由して記録し、メール送信S102(図9参照)に移行して推定品質値推定式の変更をプロセス担当者宛にメールで通知する。
第8の実施の形態では、コンピュータ11がデータベース13bの自己診断パラメ−タを変更すると共に、記憶装置12に記憶したウエハ番号に対応する推定品質値Ye1cと検査品質値Yq1cをロットに対応させて記憶し、複数のロットで処理された複数のウエハの推定品質値Ye1nを検査品質値Yq1nに近似させる。
しかも、コンピュータ11は、エッチングレートの推定品質値Ye1と検査品質値Yq1の比較結果と、検査品質値Yq1cの時系列変化に基づき、要素判定処理S97(図9参照)を実行し、式(1)の要素を選択し、係数「a」、係数「b」の変更を自動更新し、式(1)が更新された後に、新たな推定品質値Ye1nを求め適正な状態に保持することができる。
したがって、エッチングレートの推定品質値Ye1だけを監視して起こりうる処理装置14bの異常誤検出及び異常見逃しの防止が可能となる。すなわち、異常誤検出の防止により処理装置14bの稼働率を上昇させ、異常見逃しの防止により低歩留りロットの発生を未然に防止する。
以下においては、処理装置14a、処理装置14b、処理装置14c、処理装置14dの中で、酸化炉を有する処理装置14aを例にとり説明する。
自己診断装置5aは、処理装置14aへ供給する供給ガス(酸素O2、窒素N2、水素H2など)の流量、ヒーター電力、酸化炉周囲の気圧などを装置情報として受信する。受信した装置情報をデータベース13aに記憶すると共に、ウエハ17aの酸化膜厚の推定品質値Ye2を次の式(2)を用いて算出する。
Ye2=cX2+dX3+eX4+f …・・(2)
装置情報X2はヒーター電力を示し、装置情報X3は酸素O2の流量を示し、装置情報X4は酸化炉周囲の気圧を示している。又、コンピュータ11は、係数「c」、係数「d」、係数「e」、係数「f」に自己診断パラメータを割り当てる。
ウエハ17aの酸化膜厚はすべてのパラメータの影響を受けるが、図13に示すように、長期連休前(図中の4月13日から4月28日まで)の酸化膜厚(nm)の推定品質値Ye2cは、「98」〜「99」の範囲に収まる。処理装置14aは4月28日の夜から5月6日の朝まで停止され、長期連休後(図中の5月6日以降)の酸化膜厚(nm)の推定品質値Ye2nは、「96」〜「97」の範囲に移動し酸化膜厚の推定品質値Ye2が大きく変動している。
自己診断装置5aは、図14に示すように、処理装置14aからヒータ電力(W)の装置情報を受信する。長期連休前のヒータ電力140は、処理装置14aを稼動させてから500秒後に900W、600秒後に200W、650秒以降は100W以下である。
これに対して、長期連休後のヒータ電力141は、処理装置14aを稼動させてから500秒後に600W、600秒後にゼロW、650秒後にゼロから200Wへ上昇し、750秒以降は150W〜300W以下であり、長期連休前のヒータ電力140と比較して650秒後までヒータ電力が下がり、700秒後はヒータ電力が上昇している点で相違する。
処理装置14aは、酸化炉の温度上昇をモニタする。長期連休前の温度142は、処理装置14aを稼動させてから560秒後に800℃に上昇し、700秒後に840℃に上昇し、800秒以降に840〜850℃の範囲に推移する。長期連休後の温度143は、処理装置14aを稼動させてから570秒後に800℃に上昇し、700秒後に830℃に上昇し、800秒以降に840〜850℃の範囲に推移し、長期連休前に比較して温度上昇曲線が下がっている。
自己診断装置5aは、処理装置14aから長期連休の前後で異なる装置情報X2のヒーター電力の装置情報を受信したため、温度上昇曲線が長期連休の前後で変動したと考えられる。
そこで、コンピュータ11は、推定品質比較処理を実行し検査装置19aで実測した長期連休後のウエハ17aの膜厚に基づく検査品質値Yq2と、自己診断装置5aから受信した長期連休後のウエハ17aの酸化膜厚の推定品質値Ye2とを比較し、不一致判定をする。
コンピュータ11は、要素判定処理を実行し、式(2)の係数「c」を増加させ、長期連休後に対応する自己診断パラメータを自動生成することで、今後、長期連休前後(例えば、年に数回の非定常作業)での酸化炉に設けたヒーターの状態変化を予め捉え、ウエハ17aの酸化膜厚の推定品質値Ye2の信頼性を高めることができる。
コンピュータ11は、自己診断装置5aに対して式(2)の変更を通知し、自己診断装置5a側に設けたデータベース13aに新たな式(2)を記憶し、記憶装置12にも式(2)の変更を記憶させる。なお、式(2)の変更通知はメール送信処理により、コンピュータ11から自動的にプロセス担当者宛に電子メールが送信される。
このように、ウエハ17aの酸化膜厚実測に基づく検査品質値Yq2と自己診断装置5aが算出する酸化膜厚の推定品質値Ye2とを定期的に比較することにより、長期連休前後(年に数回の非定常作業)でのヒーターの状態変化を捉えることが可能となり、ウエハ17aの酸化膜厚の推定品質値Ye2の異常を未然に防止することができる。
なお、本発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
以下に、本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造システム及び半導体装置の製造方法に関連する技術事項を開示する。
(a)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造システムは、半導体基板を用いたプロセス処理を実行する処理装置と、処理装置から装置情報を受信しプロセス処理の推定品質値を算出する自己診断システムと、プロセス処理の結果を検査する検査装置と、検査結果と推定品質値とを比較し、推定品質値を有効判定するときは自己診断システムのパラメータを維持し、推定品質値を無効判定するときは自己診断システムのパラメータの係数を変更するコンピュータと、を備える。
(b)本発明の実施の形態に用いるコンピュータは、推定品質値を無効判定するときはパラメータの式を変更する。
(c)本発明の実施の形態に用いるコンピュータは、推定品質値と実測値からなる回帰直線の信頼区域内に検査結果が存在するときは有効判定を行う。
(d)本発明の実施の形態に用いるコンピュータは、記憶装置に記憶した過去の実測値に基づく品質傾向を算出し、検査結果と品質傾向とを比較して、判定を行う。
(e)本発明の実施の形態に用いるコンピュータは、半導体基板の酸化処理プロセスの検査結果に基づいて判定を行う。
(f)本発明の実施の形態に用いるコンピュータは、半導体基板のエッチング処理プロセスの検査結果に基づいて判定を行う。
(g)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板のプロセス処理を実行する処理装置を診断し所定の条件を満たした段階で自動修復要求信号を生成する自動修復要求工程と、処理を経た半導体基板の品質を検査する品質検査工程と、品質検査工程により取得した品質管理情報に基づいて自動修復要求信号の生成タイミングの良否を判定し、該判定結果が有効判定のときは自己診断システムのパラメータを維持し、該判定結果が無効判定のときは自己診断システムのパラメータを変更すると供に、品質検査の作動頻度を変更する自動検査頻度修正工程と、を備える。
(h)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、判定結果が無効判定のときは、コンピュータが自己診断システムのパラメータを追加する。
(i)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板のプロセス処理を実行する処理装置の状態を監視すると供に、処理プロセスモデルに沿って該処理装置の装置情報を積分し、半導体製造プロセスのシミュレーションを実行し、該処理による半導体基板の品質を推定するリアルタイムシミュレーション工程を備える。
(j)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板のプロセス処理を実行する処理装置の装置情報を監視し該半導体基板の推定品質情報を出力する品質推定工程と、処理を経た半導体基板の検査品質情報を出力する品質検査工程と、推定品質情報と、検査品質情報とを比較し、品質検査工程のタイミングの良否を判定し、判定結果が無効判定のときは処理装置の異常を検知する異常検知工程と、を備える。
(k)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板のプロセス処理を実行する処理装置の状態を監視し半導体基板の推定品質情報を出力する品質推定工程と、処理を経た半導体基板の検査品質情報を出力する品質検査工程と、推定品質情報と検査品質情報との品質相関処理を実行する推定品質管理工程と、推定品質情報に基づき、半導体製造プロセスシミュレーションを実行し、半導体装置の歩留を予測する歩留予測工程と、処理装置による処理を経て、少なくともウエハ工程が完了した半導体装置の歩留を検査する歩留検査工程と、歩留予測工程による歩留と歩留検査工程による歩留とを比較した歩留相関処理工程と、を備える。
(l)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板のプロセス処理を実行する加工処理工程と、加工処理工程を経た半導体基板の品質情報を出力する品質検査工程と、品質検査工程で得られた品質情報を受信し、半導体製造プロセスシミュレーションを実行し、半導体装置の歩留を予測する歩留予測工程と、処理装置の処理を経て、少なくともウエハ工程が完了した半導体装置の歩留を検査する歩留検査工程と、歩留予測工程による歩留と歩留検査工程による歩留とを比較して、歩留予測工程の歩留の予測確度を高める歩留相関処理工程と、を備える。
(m)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板のプロセス処理を実行する加工処理工程と、加工処理装置の装置情報を監視し半導体基板の推定品質情報を出力する品質推定工程と、加工処理工程を経た半導体基板の品質情報を出力する品質検査工程と、推定品質情報と品質情報との品質相関処理を実行する推定品質管理工程と、品質検査工程による品質情報に基づく半導体製造プロセスシミュレーションを実行し、半導体装置の歩留を予測する第1の歩留予測工程と、推定品質管理工程による推定品質情報に基づき、第1の歩留予測工程の半導体製造プロセスシミュレーションと異なる半導体製造プロセスシミュレーションを実行し、半導体装置の歩留を予測する第2の歩留予測工程と、加工処理工程を経て、少なくともウエハ工程が完了した半導体装置の歩留を検査する歩留検査工程と、第1の歩留予測工程による歩留と歩留検査工程による歩留とを比較した第1の歩留相関処理工程と、第2の歩留予測工程による歩留と歩留検査工程による歩留とを比較した第2の歩留相関処理工程と、第1及び第2の歩留相関処理工程の相関結果に基づいて、第1及び第2の歩留予測工程の歩留予測確度を高める予測歩留比較工程と、を備える。
(n)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板のプロセス処理を実行する処理装置の状態を示す検出値を検出し、該検出値の中から該処理の非制御値を抽出して特徴量を得る特徴量化工程と、特徴量化工程により抽出して得た特徴量と、固有の欠陥イメージをカテゴリ分類によって数値化し予め記憶している相関表内の特徴量とを比較し、相互の特徴量が同程化し得る値と判定した段階で半導体製造プロセスを中断し、半導体基板を不良ロットとして報知する品質検知工程と、を備える。
(o)本発明の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、相関表内の特徴量と同程化し得ない新たな特徴量を有する不良ロットが検出されたときは、該不良ロットのプロセス履歴情報に基づき不良ロット生成時の処理装置の状態を示す装置情報を抽出し、該処理装置の装置情報を品質推定部へ自動的にフィードバックする推定品質自動更新工程をさらに備える。