JP2006136840A - スライド型カーテン塗布装置とスライドホッパー型塗布装置及びそれらを用いた塗布方法 - Google Patents

スライド型カーテン塗布装置とスライドホッパー型塗布装置及びそれらを用いた塗布方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大きな設備改造が必要でなく、メンテンナンス容易性に優れ、かつ長時間にわたり安定した連続塗布ができ、種々の塗布品種に対応可能な厚膜防止手段を備えたスライド型カーテン塗布装置とスライドホッパー型塗布装置及びそれらを用いた塗布方法を提供する。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成するのに用いるスライド型カーテン塗布装置において、スライド面上における最下層を形成する塗布液の流下巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下巾より0.5〜5mm広いことを特徴とするスライド型カーテン塗布装置。
【選択図】図4

Description

本発明は、塗布液を搬送中の支持体に塗布する新規のスライド型カーテン塗布装置、スライドホッパー型塗布装置と、それらを用いた塗布方法に関する。
従来より、連続走行する帯状支持体上に塗布液を高精度に塗布する方法としては、例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバース塗布法、リバースロール塗布法、エクストルージョン塗布法、スライドホッパー塗布法、エクストリュージョン型カーテン塗布法、スライド型カーテン塗布法等が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。これらの塗布方法においては、支持体の幅手方向で高精度に均一な塗膜を形成するため、塗布工程(塗布前、塗布中及び乾燥前)において、塗布膜厚の精度や塗膜均一性等に細心の注意を払いながら塗布を行っている。
これらの塗布方法の中で、特に、流量規制型のコーター部(以下、ダイスともいう)を有する塗布装置は、高速、薄膜、多層同時塗布が可能であり、その特徴によりハロゲン化銀写真感光材料、インクジェット記録材料、磁気記録材料等の塗布装置として広く用いられている。
その好ましい一例としては、Russell等により提案されたスライドビード塗布装置(例えば、特許文献1参照。)等が広く用いられている。また、カーテン塗布装置もダイスを有する流量規制型の塗布装置であるが、同様に広く用いられている。
例えば、スライドホッパー型塗布装置の場合、送液ポンプよりダイスに送られた塗布液は、ダイス内に設けられた巾方向に広がるポケットと呼ばれる液溜り部に入り、ここから塗布巾方向に均一な厚さになるように狭いスリット間隙から押し出され、スライド面を流下し、スライド面先端と連続走行する支持体との間に、ビードと称する塗布液溜まりを形成し、このビードを介して高精度の塗布が行われる。
また、スライド型カーテン塗布装置の場合では、同様に塗布巾方向に均一な厚さでスライド面を流下し、スライド面先端の両端に設けられたエッジガイドの間でカーテン状の塗布液膜を形成し、この自由落下するカーテン状塗布液膜が連続走行する支持体と衝突して高精度の塗布層が形成される。
上述したスライドビード塗布装置あるいはスライド型カーテン塗布装置は、高精度でかつ均一な塗膜形成には大変有用な塗布装置ではあるが、一般にこれらの塗布装置で複数層が積層した塗布ユニットを形成する場合には、搬送方向に直角な幅手方向の両端部で膜厚が厚くなってしまう、いわゆる厚膜が発生し、塗布層の幅手方向における膜厚のプロファイルとして、一定でなくなってしまうという傾向がある。更に、スライド型カーテン塗布装置の場合には、カーテン状の塗布液膜の落下速度は、カーテン膜の巾手中央部に比べ、エッジガイド近傍部はエッジガイドとの接触のために遅くなっているため、より両端部における厚膜が助長される結果となる。
そのため、この両サイドに発生する僅かな厚膜部を基準とし、その厚膜部が正常乾燥される乾燥条件に設定しないと、塗布後の乾燥ゾーンで塗膜の未乾燥部分が発生するため、余計な乾燥エネルギーを必要とすることになる。また、乾燥ゾーン後の巻取り工程においても、ロール状に積層した際に、ロールの両端部で厚膜部の積み重なりにより、高速で巻き取りを行った場合には、巻きズレ等の二次的な問題も誘発することとなる。
上述のような幅手方向の両端部に発生する厚膜を防止する方法として、スライド面上の両端部に、塗布液とは組成の異なる補助液をスライド面の流下方向に0.5〜5ml/min流下させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、特許文献2で提案されている方法では、両端部における厚膜防止効果はあるものの、補助液の流量を多くしすぎると、両端部より少し内側に入った領域で二次厚膜が発生し、膜厚の不均一性が増大するという欠点があり、この技術単独では限られた効果しか得られないのが実情である。
一方、両端部で発生する厚膜部を、塗布部の下流側に設けた吸引装置により、強制的に吸引除去する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、特許文献3で提案されている方法では、使用する塗布液の固形分濃度、粘度、あるいは塗布液の性質にもよるが、吸引ノズルの詰まりがしばしば発生し、連続塗布ができないという状況が発生する。また、高速塗布を行った場合に、それに対応した十分な吸引能力を維持することが困難となり、適用できる塗布速度に制限を受けることとなる。また、連続塗布を行う際に、途中で塗布が中断し、再開する際に、吸引ノズル部に付着した塗布液が固化し、再吸引が困難になるケースも発生する。
一方、スライド型カーテン塗布装置においては、巾規制プレートとエッジガイドを同断面形状で作製し、巾規制プレート部の水に対する接触角を、エッジガイド部の接触角に対して大きくなるように設計した塗布方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。この特許文献4で提案されている方法に従えば、塗布装置で使用する塗布液の種類が限定されていればある程度の効果は認められるものの、広範囲にわたる液物性を備えた様々な塗布液を、同一の構成からなる塗布装置で生産する場合においては、必ずしも全ての条件に対し、対応可能な巾規制プレートあるいはエッジガイド部の材質を見つけ出すことは難しい。
一方、塗布液の液溜まり部であるポケットからスライド面へ通じるスリット部の巾を、ポケットからスライド面に向かい漸増させる塗布装置が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この方法を用いる場合、ある程度の効果は認められるものの、依然として両端部に厚膜の発生を防止するには至らず、その効果としては不十分であり、また、この方法を適用した場合には、スリット部の構造が複雑となり、塗布装置(ダイス)の作製をより困難にしている。
上述のように、大きな設備改造を必要とせず、メンテンナンス容易性に優れ、かつ長時間にわたり安定した連続塗布ができ、種々の塗布品種に対応可能な厚膜防止手段を備えた塗布装置の開発が望まれている。
米国特許第2,761,791号明細書 特開2001−104856号公報 特開2000−33314号公報 特開2000−354813号公報 特開2002−254006号公報 Edward Cohen,Edgar Gutoff著「MODERN COATING AND DRYING TECHNOLOGY」
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、大きな設備改造が必要でなく、メンテンナンス容易性に優れ、かつ長時間にわたり安定した連続塗布ができ、種々の塗布品種に対応可能な厚膜防止手段を備えたスライド型カーテン塗布装置とスライドホッパー型塗布装置及びそれらを用いた塗布方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成するのに用いるスライド型カーテン塗布装置において、スライド面上における最下層を形成する塗布液の流下巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下巾より0.5〜5mm広いことを特徴とするスライド型カーテン塗布装置。
(請求項2)
前記スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを有し、前記最下層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾が、スライド面の流下方向に向かい漸減していることを特徴とする請求項1記載のスライド型カーテン塗布装置。
(請求項3)
前記スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを有し、前記最下層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾より狭いことを特徴とする請求項1記載のスライド型カーテン塗布装置。
(請求項4)
前記スライド面の両端部に、補助液を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスライド型カーテン塗布装置。
(請求項5)
前記補助液の供給量が、0.3〜5.0ml/minであることを特徴とする請求項4記載のスライド型カーテン塗布装置。
(請求項6)
請求項1〜5のいずれか1項に記載のスライド型カーテン塗布装置を用いて、支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成することを特徴とする塗布方法。
(請求項7)
支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成するのに用いるスライドホッパー型塗布装置において、スライド面上における最下層を形成する塗布液の流下巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下巾より0.5〜5mm広いことを特徴とするスライドホッパー型塗布装置。
(請求項8)
前記スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを有し、前記最下層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾が、スライド面の流下方向に向かい漸減していることを特徴とする請求項7記載のスライドホッパー型塗布装置。
(請求項9)
前記スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを有し、前記最下層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾より狭いことを特徴とする請求項7記載のスライドホッパー型塗布装置。
(請求項10)
前記スライド面の両端部に、補助液を供給することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のスライドホッパー型塗布装置。
(請求項11)
前記補助液の供給量が、0.3〜5.0ml/minであることを特徴とする請求項10記載のスライドホッパー型塗布装置。
(請求項12)
請求項7〜11のいずれか1項に記載のスライドホッパー型塗布装置を用いて、支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成することを特徴とする塗布方法。
本発明によれば、大きな設備改造が必要でなく、メンテンナンス容易性に優れ、かつ長時間にわたり安定した連続塗布ができ、種々の塗布品種に対応可能な厚膜防止手段を備えたスライド型カーテン塗布装置とスライドホッパー型塗布装置及びそれらを用いた塗布方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成するのに用いるスライド型カーテン塗布装置またはスライドホッパー型塗布装置において、スライド面上における最下層を形成する塗布液の流下巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下巾より0.5〜5mm広いことを特徴とするスライド型カーテン塗布装置またはスライドホッパー型塗布装置により、特別な既存塗布装置の大幅な改造を伴うことなく、また塗布装置のメンテナンス容易性が高く、更に、連続搬送する支持体上に安定した塗布が可能となり、様々な塗布液特性を有する塗布に対しても対応可能な厚膜防止手段を備えたスライド型カーテン塗布装置またはスライドホッパー型塗布装置を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
更に、上記効果に加えて、両端部に厚膜が発生する場合は、乾燥ゾーンの条件設定を、両端の厚膜部に合わせ乾燥条件に設定とする必要があるが、両端部の厚膜を無くすことにより、定常塗布部を基準の乾燥条件設定とすることが可能となり、最適な塗膜物性の設計とエネルギー費用が削減できる。また、近年、生産性向上の観点から高速塗布化の要望が高くなっいるが、乾燥後に積層状態で巻取りを行う際、両端部に発生した厚膜に起因した巻きズレの発生が顕著となっており、搬送条件設定が難しくなってきているが、本発明の方法による両端部の厚膜低減により、巻きズレについても防止可能となる。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のスライド型カーテン塗布装置及びスライドホッパー型塗布装置(以下、総称して本発明の塗布装置ともいう)について、図を参照しながら本発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、以下の説明には用語等に断定的な表現があるが、本発明の好ましい例を示すもので、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
はじめに、本発明のスライド型カーテン塗布装置の概要について説明する。
カーテン塗布装置とは、前計量型の塗布装置であり、支持体への塗布が行われる前に、塗布装置内で液の計量が終了している。その塗布装置内で計量された液でカーテン状の液膜を形成する。カーテン塗布装置の特徴は、塗布装置からカーテン状の塗布液膜を自由落下させ、落下先に被塗布体を位置させることにより塗布を行い、高精度で均一な塗布膜厚を得るのに有効な塗布方法である。
従来より連続走行する帯状支持体に塗布液を塗布する方法としては、コータから押し出された塗布液がビードを形成して支持体に塗布するエクストルージョン塗布方法、スライド塗布方法、コータから押し出された塗布液が膜を形成し、自由落下させ支持体に衝突させて塗布するカーテン塗布方法及びコータから塗布液を噴出させ、膜を形成し支持体に塗布する方法、液溜め部で支持体上に過剰に塗布された塗布液をバックアップロール上にあるブレードにより一定の膜厚にして塗布するコンマ塗布方法が知られているが、最近では、これらの塗布方法の中でカーテン塗布方式は、エクストルージョン塗布方法、スライド塗布方法に比べると、高速かつ薄膜の塗布が可能であり、大量生産・省エネルギーの面で優れているため、写真感光材料、磁気記録材料、記録材料等の塗布に広く用いられている。カーテン塗布方法にはエクストルージョン型コータ、又はスライド型コータを使用したカーテン塗布装置が知られているが、本発明においては、スライド型カーテン塗布装置を用いることを特徴とする。
スライド型コータを用いたカーテン塗布装置の場合は、送液ポンプによりコータ内に送られた塗布液は、幅方向にひろがるポケットと称している液溜まりに入り、ここから塗布幅方向に均一になるように狭いスリットから押し出され、スライド面を落下しスライド面の下端部のリップ下端面の両端に設けられた一対のエッジガイドの間でカーテン状液膜を形成する。このカーテン状液膜がエッジガイドに接触しながら自由落下し、連続搬送される支持体に落下衝突して塗布層が形成される。
本発明においては、カーテン塗布装置を用いた塗布においては、塗布速度としては150〜300m/minの高速塗布を行うことが好ましい。
図1は、スライド型カーテン塗布装置の一例を示す概略図である。
図1の(a)はスライド型コータ及びバックロールから構成される本発明のカーテン塗布装置の概略斜視図である。図1の(b)はスライド型コータの拡大概略斜視図である。図1の(c)は図1の(b)のA−A′に沿った概略断面図である。尚、図1の(b)はスライド型コータを説明するため塗布液及びカーテン状液膜は削除してある。
図中、Cはスライド型カーテンコータを示す。101a〜101dはスライド型カーテンコータ1を構成しているバーを示す。102a〜102cは塗布液供給部(不図示)よりスライド型カーテンコータ1に送られてきた各塗布液を各バー101a〜101dから構成される各スリット103a〜103cの幅手方向に均一に供給するための液溜まりを示す。104a〜104dは各バー101a〜101dの先端のスライド面を示す。105はスライド面104dの先端のリップを示す。106a、106bは本発明に係る巾規制プレートを示す。107a、107bはスライド面より落下するカーテン膜の保持するエッジガイドである。
スライド型カーテンコータCを構成している各バー101a〜101dの数は塗布する塗布液の数により変更することが可能である。本図で示されるスライド型カーテンコータは3層同時重層塗布用のスライド型カーテンコータを示している。
各スリット103a〜103cより吐出され積層状態でスライド型カーテンコータCの各スライド面104a〜104dを流下する塗布液4は、巾規制プレート106a、106bで流下巾を規制しながら流下し、リップ105でスライド面104dより離れた直後にリップ105の下面の両端に配設されている一対のエッジガイド107a、107bに接触し、カーテン状液膜5を形成し一対のエッジガイド107a、107b間を接触しながら自由落下し、バックアップロール2によって上流から下流(図中矢印方向)に搬送される帯状支持体3に衝突し、帯状支持体3上に塗布層を形成する。
バックアップロール2は、支持体に接触するものであっても、接触しないものであってもよい。支持体に接触しないバックアップローラである場合は、ローラ表面に設けられた多数の小孔からエア等の流体を吹き出す、いわゆるエアバックロールを用いることができる。
本発明では、上記のような構成からなる多層同時塗布対応のカーテン塗布装置を用いた支持体上への塗布において、最下層の塗布液粘度を、他の層の塗布液粘度より低く設定することを特徴の1つとして、好ましくは最下層と他の層との粘度差が5.0mPa・s以上、100mPa・s以下であることが好ましく、更に好ましくは10mPa・s以上、80.0mPa・s以下である。また、最下層の塗布液粘度としては5〜40mPa・sの範囲であることが好ましく、更に好ましくは5〜30mPa・sの範囲である。
粘度測定としては、JIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることができる。粘度計としては、Saybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定でき、例えば、トキメック社製、円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電気社製のVISCO MATE MODEL VM−1A等を挙げることができる。
次に、本発明のスライドホッパー型塗布装置の概要について説明する。
図2は、本発明に係るスライドホッパー型塗布装置の一例を示す概略図である。
連続的に搬送される支持体1は、コーターダイス3に対面した位置にある支持体1の搬送速度に合わせて同方向に回転しているバックロール2に保持されて、接液部6で塗布がなされる。コーターダイス3は、複数のブロック(図1では、4層同時塗布の形態を示している)より構成されており、そのコーターのスライド表面部の両端には、塗布巾を規制するための巾規制板4が1対設けられている。また、コーターダイス3は、一定のスライド面角度8(β)を設けて、コーター保持台(図示していない)に固定されている。バックロール2とコーターダイス3間の下部には、減圧チャンバー5が設けられている。減圧チャンバー5は、接液部6で形成されるビートの安定化のため、ビードの上下に圧力差、具体的には下方部を減圧するため、減圧部10より排気して、減圧チャンバー5内を負圧とする。
図3は、本発明に係る巾規制プレートを設けたスライドホッパー型塗布装置の一例を示す概略図である。
図3において、コーターダイス3の上部にあるスライド面上の両端に、スリットからの塗布液流出を制御し、塗布幅を規制するため、巾規制プレート4が設けられている。本発明では、各々の巾規制板の任意の位置に、後述する請求項4または10に係る補助液の供給ライン19を各々設け、ここから塗布液で用いているのとは異なる低粘度の補助液を塗布液の両サイドから供給し、連続塗布における塗布両端部における厚膜の発生を防止するものである。塗布液への補助液の供給位置は、特に制限はなく、塗布液の特性等を考慮し、任意の位置に設けることができる。
本発明の塗布装置においては、スライド面上における最下層を形成する塗布液の流下巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下巾より0.5〜5mm広いことを特徴とし、上記で規定する流下巾を実現するための具体的手段としては、特に制限はないが、本発明においては、1)スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを設け、最下層を形成する塗布液の流下領域における巾規制プレートの形状を、スライド面の流下方向に向かい、巾規制プレートの巾が漸減している形状とすること、2)スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを設け、最下層を形成する塗布液の流下領域に設ける巾規制プレートの巾を、最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下領域に設ける巾規制プレートの巾より狭くすることが好ましい。
図1に代表される本発明のスライド型カーテン塗布装置では、少なくともスライド面と塗布液供給スリットと巾規制プレート及び一対のエッジガイドを備えている。
図1を用いて説明した様に、塗布液供給装置から送液管により前記塗布装置のコーターダイスのポケットに供給される塗布液は、スリットから巾手方向に均一に供給され、スライド面を流れることにより、塗布液の薄膜が形成される。スライド面上で、その両端部に設けられた一対の巾規制プレートによって塗布液が側方に流れ落ちないようにガイドされ、スライド面の先端からはエッジガイドにより支持され、カーテン膜を形成して、搬送される支持体に塗られ、塗布層が形成される。
一方、図2、図3に示したようなスライドホッパー型塗布装置では、スライド型カーテン塗布装置と同様に、少なくともスライド面と塗布液供給スリットと巾規制プレートを備えている。塗布液供給装置から送液管により前記塗布装置のコーターダイスのポケットに供給される塗布液は、スリットから巾手方向に均一に供給され、スライド面を流れることにより、塗布液の薄膜が形成される。スライド面上で、その両端部に設けられた一対の巾規制プレートによって塗布液が側方に流れ落ちないようにガイドされ、搬送される支持体に塗られ、塗布層が形成される。
次いで、本発明に係る巾規制プレートについて説明する。
本発明に係る巾規制プレートにおいては、最下層を形成する塗布液の流下領域における巾規制プレートの形状を、スライド面の流下方向に向かい、巾規制プレートの巾が漸減している形状であることが好ましい形態の1つである。
図4は、本発明に係る巾規制プレートの形態の一例を示す模式図である。
図4は、図1のb)で示したスライド型カーテンコータC、あるいは図3で示したコーターダイス3の上面図であり、4つのダイブロックEと、各ダイブロックE間に、塗布液をスライド面上に供給する3つのスリットF(最下層用:F1、第2層:F2、第3層:F3)から構成される3層同時塗布可能なコータである。塗布液は、図の下から上に流下し、最下層を形成する塗布液は、スリットF1から供給され、流下領域Hを経てコータエッジSに到達する。この様な構成からなるコータにおいて、コータの両端部に塗布液の流下巾を規制する巾規制プレートDを設けるが、本発明においては、この巾規制プレートDの形状が、最下層塗布液をスリットF1から供給し、スライド面を流下して、コーターエッジSに到達するまでの流下領域Hにおいて、下流側ほど巾が漸次細くなるような形状であることが好ましい。この様な形状の巾規制プレートを適用することにより、長時間にわたり連続塗布を行った際でも、塗布の両サイドでの厚膜部の発生を防止でき、その形状から、様々な液物性を有する塗布液に対し汎用性が高く、かつメンテナンスも極めて容易となる。
また、スライド型カーテン塗布装置においては、スライド面先端部よりエッジガイドが下方に伸びているが、エッジガイドを巾規制プレートと一体型で作成することも可能であるし、エッジガイドを巾規制プレートと独立させた形で作成することも可能である。
本発明に係る巾規制プレートにおいては、最下層を形成する塗布液の流下領域に設ける巾規制プレートの巾を、最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下領域に設ける巾規制プレートの巾より狭くすることが好ましい形態の1つである。
図5は、本発明に係る巾規制プレートの形態の他の一例を示す模式図である。
図5において、図4と同様の4つのダイブロックEと、各ダイブロックE間に、塗布液をスライド面上に供給する3つのスリットF(最下層用:F1、第2層:F2、第3層:F3)から構成される3層同時塗布可能なコータにおいて、最下層塗布液をスリットF1から供給し、スライド面を流下して、コーターエッジSに到達するまでの流下領域Hに付与する巾規制プレートDの巾L1が、その他の層の流下領域に付与された巾規制プレートDの巾L2より狭くすることが好ましく、この様な形状の巾規制プレートを適用することにより、長時間にわたり連続塗布を行った際でも、塗布の両サイドでの厚膜部の発生を防止でき、その形状から、様々な液物性を有する塗布液に対し汎用性が高く、かつメンテナンスも極めて容易となる。
図6は、本発明に係る巾規制プレートの設置方法の一例を示す模式図である。
上記図4及び図5で説明した本発明に係る巾規制プレートは、図6のa)で示すようなコーターダイスの全スライド面を一枚の巾規制プレートで覆う一体型の巾規制プレートであっても、あるいは図6のb)で示すように、各ダイブロックを独立に被覆する形態の巾規制プレートで、側面方向に塗布液が流れ落ちないようにガイドして設けても良い。
図7は、本発明に係る巾規制プレートの断面構造の一例を示す模式図である。
本発明に係る巾規制プレートの断面構造としては、特に制限はないが、好ましくは図7に記載のように、塗布液等と接触する面は、スライド面上に対し垂直面を形成し、スライド面端部に向かって一定距離で傾斜構造を有する傾斜面を持っていることが好ましい。この傾斜面の角度は、スライド面に対して10〜60°が好ましく、より好ましくは20〜40°である。
本発明で用いることのできる巾規制プレートの材質としては、特に制限はなく、金属、プラスチック、ガラス等の本発明で規定する形状に加工可能なものであればよい。
本発明のスライド型カーテン塗布装置あるいはスライドホッパー塗布装置においては、スライド面の両端部に、補助液の供給を有していることが好ましく、具体的には、上記説明した巾規制プレートに、補助液の供給口を設けることが好ましい。
本発明の塗布装置において、補助液の流入口は、例えば、図2に記載のように、巾規制プレートの上面部に設け、例えば、図7に示すような塗布液と接する垂直面に排出口を設け、塗布時に、スライド面上を流れる各塗布液は各スリット部で重なり合い、排出口より供給される補助液と共に流下し、支持体に塗布される。この様な塗布時に補助液を供給する機構を適用することにより、長時間にわたり連続塗布を行った際でも、塗布の両サイドでの厚膜部の発生を防止でき、その形状から、様々な液物性を有する塗布液に対し汎用性が高く、かつメンテナンスも極めて容易となる。
本発明に係る補助液は、両端部における厚膜の発生を抑制する観点から、低粘度の液体であることが好ましく、10mPa・s以下の液体が好ましい。例えば、希薄なゼラチン水溶液に、増粘剤、界面活性剤等により粘度や表面張力を調整した液を使用することも可能であり、純水のみであっても良い。また、補助液を用いる場合には、殺菌装置、フィルター、脱気装置を通して供給することが、補助液に起因する塗布故障を防止する観点から好ましい。
補助液の流量については、流量計を用いて制御することができる。流量については、0.3ml/min未満では、厚膜防止の効果が認められず、5ml/minを超えると両端部よりやや内側に二次厚膜を発生させるという問題が発生するため、0.3〜5ml/minの範囲が好ましく、より好ましくは0.3〜3ml/minの範囲である。
本発明のスライド型カーテン塗布装置またはスライドホッパー型塗布装置を用いた塗布方法は、連続搬送する支持体上に塗膜を形成する様々な分野に適用することができ、例えば、インク吸収層塗布液等を非吸収性支持体に塗布して作製するインクジェット記録媒体、透明支持体や反射支持体を用いたハロゲン化銀写真感光材料(例えば、カラーフィルム、カラーペーパー、印刷用感光材料、医療用感光材料等)、磁気記録テープ等の磁気記録材料、感圧紙、熱転写記録材料、感熱紙等の情報記録材料の製造に広く適用可能である。
また、本発明の塗布方法に適用可能な支持体としては、連続搬送が可能であれば特に制限はなく、種々の支持体を用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、両面がポリエチレンで被服された紙支持体などが挙げられる。
以下、インクジェット記録媒体用の塗布液を紙支持体の両面をオレフィン樹脂で被覆した支持体に塗布する場合について説明するが、本発明の利用分野は、これらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インクジェット記録用紙の作製》
下記の手順に従って、インクジェット記録用紙を作製した。
〔支持体の作製〕
含水率が6%、坪量が200g/m2の写真用原紙の裏面側に、押し出し塗布法により密度が0.92の低密度ポリエチレンを35μmの厚さで塗布した。次いで、表面側にアナターゼ型酸化チタンを5.5%含有する密度が0.92の低密度ポリエチレンを40μmの厚さで押し出し塗布法で塗布して両面をポリエチレンで被覆した支持体を作製した。表側にコロナ放電を行った後、ポリビニルアルコールからなる下引き層を固形分量で0.03g/m2、裏面にもコロナ放電を行った後、ラテックス層を固形分量で0.12g/m2となる条件で塗布して、支持体を作製した。
〔各分散液の調製〕
(シリカ分散液1の調製)
一次粒子の平均粒径が約12nmの気相法シリカ(トクヤマ製:レオロシールQS−20)160kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した480Lの純水(エタノール10Lを含有)中に室温で吸引分散した後、全量を600Lに純水で仕上げて、シリカ分散液1を調製した。
(シリカ分散液2の調製)
カチオン性ポリマー(HP−1)を2.12kg、エタノールを2.2L、n−プロパノールを1.1L含有する水溶液(pH=2.3)15Lに、上記シリカ分散液1の60.0Lを攪拌しながら添加し、次いで、ホウ酸320gとホウ砂190gを含有する水溶液8.0Lを添加し、サンノブコ株式会社消泡剤SN381を2g含有する水溶液200mlを添加した。
この混合液を三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で85Lに仕上げて、シリカ分散液2を調製した。
Figure 2006136840
(オイル分散液の調製)
ジイソデシルフタレート20kgと酸化防止剤(AO−1)20kgとを45kgの酢酸エチルに加熱溶解し、酸処理ゼラチン8kg、カチオン性ポリマー(HP−1)を2.9kgおよびサポニン5kgとを含有するゼラチン水溶液210Lと55℃で混合し、高圧ホモジナイザーで乳化分散した後、全量を純水で300Lに仕上げて、オイル分散液を調製した。
Figure 2006136840
〔インク吸収層塗布液の調製〕
下記の構成からなるインク吸収層用の各塗布液を調製した。なお、各層の添加量は塗布液1L当たりの量で表示した。また、粘度測定は、40℃でB型粘度計により実施した。
(第1層用塗布液1:最下層)
シリカ分散液2 580ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800ケン化度88%)6.5%水溶液
290ml
オイル分散液 30ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 42ml
エタノール 8.5ml
純水量を適宜調整して、粘度を40mPa・sとした。
(第2層用塗布液1)
シリカ分散液2 600ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)6.5%水溶液
270ml
オイル分散液 20ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 22ml
エタノール 8ml
純水量を適宜調整して、粘度を80mPa・sとした。
(第3層用塗布液1)
シリカ分散液2 630ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)6.5%水溶液
270ml
オイル分散液 10ml
ラテックス分散液(昭和高分子社製:AE803) 5ml
エタノール 3ml
純水量を適宜調整し、粘度を100mPa・sとした。
(第4層用塗布液1:最上層)
シリカ分散液2 660ml
ポリビニルアルコール(クラレ社製:PVA203)10%水溶液 5ml
ポリビニルアルコール(平均重合度:3800 ケン化度88%)6.5%水溶液
250ml
ベタイン型界面活性剤の4%水溶液 3ml
サポニンの25%水溶液 2ml
エタノール 3ml
純水量を適宜調整し、粘度を60mPa・sとした。
〔インク吸収層の塗布〕
次に、上記の各層塗布液を下記の湿潤膜厚となるよう、40℃で上記支持体上に、コータの両端部にそれぞれ巾規制プレートを設け、該巾規制プレートの第4層流下領域に補助液付与機能を設け、かつ4層同時塗布可能な構造とした図1に記載のスライド型カーテン塗布装置を用いて、第1層(最下層)の流下領域の巾規制プレート形状及び補助液(純水)付与の有無を表1に記載のようにして、塗布速度250m/minの条件で4層同時塗布して、インクジェット記録用紙である試料1〜11を作製した。
なお、表1に記載の巾が漸減、あるいは漸増している巾規制プレートの形状は、最下層塗布液のスリット部の巾規制プレートの巾を基準として、その巾を直線的に形状を変化させ、先端部(コータエッジ部)における巾規制プレートの基準巾に対する巾変化量(mm)で表示した。なお、試料9、11の作製に用いた巾規制プレートは、全域同一巾とした。
各塗布液を塗布した後、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させたあと、温風を順次インク吸収層表面に吹き付けながら乾燥工程30の各ゾーンを通過させて乾燥した。なお、全乾燥工程は360秒とし、このうち前半の270秒は、吹き付ける風の平均相対湿度を30%以下とした。270秒以降は、相対湿度が40〜60%の調湿ゾーンとした。
(各層塗布湿潤膜厚)
第1層:40μm
第2層:39μm
第3層:30μm
第4層:30μm
《インクジェット記録用紙の評価》
以上のようにして作製した各試料について、下記の方法に従った各評価を行った。
〔端部膜厚の評価〕
各試料の両端部の平均膜厚hd1(塗布巾の両端部から5%の塗布領域での平均膜厚)と、通常塗布量域の平均膜厚hd2(塗布巾の一方の端部から10%〜90%の平均膜厚)を膜厚計で測定し、厚膜比hd1/hd2を求めた。数値は1.0に近いほど両端部での塗布膜厚変動が小さいことを示す。
〔乾燥性の評価〕
約2000mの連続塗布を行った後、試料の両端部の乾燥状態及び乾燥ゾーン出口の搬送ロールの汚れ具合を目視評価し、下記の基準に従って乾燥性を評価した。
◎:乾燥終了時で、両端部の乾燥は完了しており、未乾燥部の発生及び搬送ロール汚れは全く発生していない
○:乾燥終了時で、両端部の乾燥はほぼ完了しており、未乾燥部の発生及び搬送ロール汚れが共に発生していない
△:乾燥終了時で、両端部で僅かに未乾燥部の発生が認められるが、搬送ロール汚れは発生していない
×:乾燥終了時で、両端部での未乾燥部の発生及び搬送ロール汚れが認められ、実用上問題となる特性
〔巻取安定性の評価〕
約2000mの連続塗布を行い、プラスチックコア材にロール状に積層した後、この積層面での巻ズレ発生の有無を目視観察し、下記の基準に従って巻取安定性を評価した。
◎:巻ズレの発生が全くなく、安定した巻取適性である
○:巾5mm未満の極弱い巻ズレが1カ所発生しているが、安定した巻取適性である
△:5mm〜1cm未満の巾の巻ズレの発生が1カ所認められるが、実用上許容される範囲である
×:1cm以上の巾の巻ズレが散発しており、実用上問題となる特性
〔連続塗布適性の評価〕
各試料の作製条件で、20,000mの連続処理を行い、下記の基準に従って連続塗布適性を評価した。
◎:20,000mを全くトラブルなく、安定して塗布が完了した
○:20,000mを僅かなロール汚れは認められたものの、ほぼトラブルなく安定して塗布が完了した
△:塗布後半で、搬送ロール汚れの裏面転写及び巻取時の巻ズレが僅かに発生したが、20,000mの塗布は完了した
×:連続塗布時に、両端部に発生した未乾燥部に起因した搬送ロール汚れや大きな巻ズレが発生し、その都度塗布を停止し、搬送ロールの清掃及び巻ズレの補正が必要であり、安定した連続塗布は不可であった
〔品質均一性の評価〕
各試料の両端部から横方向にA4サイズの試料を切り出し、この試料にセイコーエプソン社製のインクジェットプリンターPM−980Cを用いて、純正インクにより濃度約1.0のマゼンタベタ画像を印字し、このベタ画像の濃度均一性を目視観察し、下記の基準に従って画像均一性の評価を行った。
◎:端部部での濃度変化が全くなく、極めて良好な画像均一性である
○:端部に極弱い濃度変化が認められるが、良好な画像均一性である
△:端部に弱い濃度変化は認められるが、実用上許容される画像品質である
×:端部に強い濃度変化が認められ、画像均一性に欠け、実用上問題となる品質である
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2006136840
表1に記載の結果より明らかなように、流下方向に向かい漸減している巾規制プレートを用いて最下層の流下巾を他の層より0.5〜5mm広くしたスライド型カーテン塗布装置を用いた本発明の塗布方法は、比較例に対し、端部の膜厚変化が小さく、乾燥性、巻取安定性、連続塗布適性及び品質均一性に優れていることが分かる。更に、巾規制プレート部より補助液として純水を供給することにより上記効果がより一層発揮されることが分かる。
実施例2
《インクジェット記録用紙の作製》
〔インク吸収層塗布液の調製〕
実施例1で調製した各インク吸収層塗布液を、下記の条件に変更した以外は同様にして、第1層〜第4層のインク吸収層塗布液を調製した。
(第1層用塗布液2:最下層)
実施例1に記載の第1層用塗布液1の調製において、純水の添加量を適宜調整して、塗布液粘度を30mPa・sに変更した以外は同様にして、第1層用塗布液2を調製した。
(第2層用塗布液2)
実施例1に記載の第2層用塗布液1の調製において、純水の添加量を適宜調整して、塗布液粘度を40mPa・sに変更した以外は同様にして、第2層用塗布液2を調製した。
(第3層用塗布液2)
実施例1に記載の第3層用塗布液1の調製において、純水の添加量を適宜調整して、塗布液粘度を60mPa・sに変更した以外は同様にして、第3層用塗布液2を調製した。
(第4層用塗布液2:最上層)
実施例1に記載の第4層用塗布液1の調製において、純水の添加量を適宜調整して、塗布液粘度を40mPa・sに変更した以外は同様にして、第4層用塗布液2を調製した。
〔インク吸収層の塗布〕
次に、上記の各層塗布液を下記の湿潤膜厚となるよう、40℃で実施例1で作製した支持体上に、コータの両端部にそれぞれ巾規制プレートを設け、かつ4層同時塗布可能な構造とした図3に記載のスライドポッパー型塗布装置を用いて、表2に記載の第1層(最下層)の流下領域の巾規制プレート形状を用いて、塗布速度200m/minの条件で4層同時塗布して、インクジェット記録用紙である試料21〜25を作製した。
なお、表2に記載の巾が漸減、あるいは漸増している巾規制プレートの形状は、最下層塗布液のスリット部の巾規制プレートの巾を基準として、その巾を直線的に形状を変化させ、先端部(コータエッジ部)における巾規制プレートの基準巾に対する巾変化量(mm)で表示した。
各塗布液を塗布した後、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させたあと、温風を順次インク吸収層表面に吹き付けながら乾燥工程30の各ゾーンを通過させて乾燥した。なお、全乾燥工程は360秒とし、このうち前半の270秒は、吹き付ける風の平均相対湿度を30%以下とした。270秒以降は、相対湿度が40〜60%の調湿ゾーンとした。
(各層塗布湿潤膜厚)
第1層:45μm
第2層:46μm
第3層:35μm
第4層:35μm
《インクジェット記録用紙の評価》
以上のようにして作製した各試料について、実施例1に記載の方法と同様にして各評価を行い、得られた結果を表2に示す。
Figure 2006136840
表2に記載の結果より明らかなように、流下方向に向かい漸減している巾規制プレートを用いて最下層の流下巾を他の層より0.5〜5mm広くしたスライドポッパー型塗布装置を用いた本発明の塗布方法は、比較例に対し、端部の膜厚変化が小さく、乾燥性、巻取安定性、連続塗布適性及び品質均一性に優れていることが分かる。
実施例3
《インクジェット記録用紙の作製》
〔インク吸収層塗布液の調製〕
実施例1で調製した各インク吸収層塗布液を、下記の条件に変更した以外は同様にして、第1層〜第4層のインク吸収層塗布液を調製した。
(第1層用塗布液3:最下層)
実施例1に記載の第1層用塗布液1の調製において、純水の添加量を適宜調整して、塗布液粘度を60mPa・sに変更した以外は同様にして、第1層用塗布液2を調製した。
(第2層用塗布液3)
実施例1に記載の第2層用塗布液1の調製において、純水の添加量を適宜調整して、塗布液粘度を100mPa・sに変更した以外は同様にして、第2層用塗布液2を調製した。
(第3層用塗布液3)
実施例1に記載の第3層用塗布液1の調製において、純水の添加量を適宜調整して、塗布液粘度を150mPa・sに変更した以外は同様にして、第3層用塗布液2を調製した。
(第4層用塗布液3:最上層)
実施例1に記載の第4層用塗布液1の調製において、純水の添加量を適宜調整して、塗布液粘度を100mPa・sに変更した以外は同様にして、第4層用塗布液2を調製した。
〔インク吸収層の塗布〕
次に、上記の各層塗布液を下記の湿潤膜厚となるよう、40℃で上記支持体上に、コータの両端部にそれぞれ巾規制プレートを設け、該巾規制プレートの第4層流下領域に補助液付与機能を設け、かつ4層同時塗布可能な構造とした図1に記載のスライド型カーテン塗布装置を用いて、第1層(最下層)の流下領域の巾規制プレート形状及び補助液(純水)付与の有無を表3に記載のようにして、塗布速度300m/minの条件で4層同時塗布して、インクジェット記録用紙である試料31〜40を作製した。
なお、表3に記載の第1層の巾規制プレートの巾は、最下層以外の巾規制プレートの巾に対する巾の増減値(mm)で表示した。
各塗布液を塗布した後、5℃に保った冷却ゾーンを15秒間通過させて膜面の温度を13℃にまで低下させたあと、温風を順次インク吸収層表面に吹き付けながら乾燥工程30の各ゾーンを通過させて乾燥した。なお、全乾燥工程は360秒とし、このうち前半の270秒は、吹き付ける風の平均相対湿度を30%以下とした。270秒以降は、相対湿度が40〜60%の調湿ゾーンとした。
(各層塗布湿潤膜厚)
第1層:35μm
第2層:35μm
第3層:20μm
第4層:21μm
《インクジェット記録用紙の評価》
以上のようにして作製した各試料について、実施例1に記載の方法と同様にして各評価を行い、得られた結果を表3に示す。
Figure 2006136840
表1に記載の結果より明らかなように、最下層塗布液の流下領域での巾が、最下層以外の塗布層の流下領域における巾より狭い形状の規制プレートを備えたスライド型カーテン塗布装置を用いた本発明の塗布方法は、比較例に対し、端部の膜厚変化が小さく、乾燥性、巻取安定性、連続塗布適性及び品質均一性に優れていることが分かる。更に、巾規制プレート部より補助液として純水を供給することにより上記効果がより一層発揮されることが分かる。
実施例4
実施例2に記載のスライドポッパー型塗布装置を用いた塗布方法において、巾規制プレートを、実施例3に記載の巾規制プレートに変更した以外は同様にして試料を作製した結果、実施例3に記載の結果と同様に、本発明の塗布方法は、比較例に対し、端部の膜厚変化が小さく、乾燥性、巻取安定性、連続塗布適性及び品質均一性に優れていることを確認することができた。
本発明に係るスライド型カーテン塗布装置の一例を示す概略図である。 本発明に係るスライドホッパー型塗布装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る巾規制プレートを設けたスライドホッパー型塗布装置の一例を示す概略図である。 本発明に係る巾規制プレートの形態の一例を示す模式図である。 本発明に係る巾規制プレートの形態の他の一例を示す模式図である。 本発明に係る巾規制プレートの設置方法の一例を示す模式図である。 本発明に係る巾規制プレートの断面構造の一例を示す模式図である。
符号の説明
1 支持体
2 バックロール
3 コーターダイス
4 巾規制板
5 減圧チャンバー
6 接液部
7 バックロール中心と接液部がなす角度(γ)
8 コーターダイスのスライド面角度(β)
9 支持体の走行面とコーターダイスのスライド面がなす角度(α)
19 補助液供給ライン
C スライド型カーテンコータ
105 リップ
107a、107b エッジガイド
107b1 上端面
107b2 面
108a、109b 流出口
108b、109c 供給口
108c、109e 供給管
D、D1、D2、D3、D4 巾規制プレート
E ダイブロック
F、F2、F3 スリット
H 流下領域
L1、L2 巾規制プレート巾
S コーターエッジ

Claims (12)

  1. 支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成するのに用いるスライド型カーテン塗布装置において、スライド面上における最下層を形成する塗布液の流下巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下巾より0.5〜5mm広いことを特徴とするスライド型カーテン塗布装置。
  2. 前記スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを有し、前記最下層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾が、スライド面の流下方向に向かい漸減していることを特徴とする請求項1記載のスライド型カーテン塗布装置。
  3. 前記スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを有し、前記最下層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾より狭いことを特徴とする請求項1記載のスライド型カーテン塗布装置。
  4. 前記スライド面の両端部に、補助液を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスライド型カーテン塗布装置。
  5. 前記補助液の供給量が、0.3〜5.0ml/minであることを特徴とする請求項4記載のスライド型カーテン塗布装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のスライド型カーテン塗布装置を用いて、支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成することを特徴とする塗布方法。
  7. 支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成するのに用いるスライドホッパー型塗布装置において、スライド面上における最下層を形成する塗布液の流下巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下巾より0.5〜5mm広いことを特徴とするスライドホッパー型塗布装置。
  8. 前記スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを有し、前記最下層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾が、スライド面の流下方向に向かい漸減していることを特徴とする請求項7記載のスライドホッパー型塗布装置。
  9. 前記スライド面の両端部に一対の巾規制プレートを有し、前記最下層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾が、該最下層以外の塗布層を形成する塗布液の流下領域における該巾規制プレートの巾より狭いことを特徴とする請求項7記載のスライドホッパー型塗布装置。
  10. 前記スライド面の両端部に、補助液を供給することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のスライドホッパー型塗布装置。
  11. 前記補助液の供給量が、0.3〜5.0ml/minであることを特徴とする請求項10記載のスライドホッパー型塗布装置。
  12. 請求項7〜11のいずれか1項に記載のスライドホッパー型塗布装置を用いて、支持体の少なくとも一方の面に、2層以上から構成される塗布層を形成することを特徴とする塗布方法。
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