JP2006136520A - 血液体外循環装置における異常検知システム - Google Patents
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Abstract
【課題】既存の装置を大幅に変えることなく、血液流路内の圧力挙動データを適切に処理することにより、容易に、迅速かつ的確に、抜針等の異常を検知できるようにした、血液体外循環装置における異常検知システムを提供する。
【解決手段】血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液流路を有する血液体外循環装置における異常検知システムであって、血液ポンプ以降の血液流路内の圧力の挙動、とくに、血液流路内の静脈側圧力の挙動を検出し、かつ、周波数解析する手段を有することを特徴とする血液体外循環装置における抜針等の異常検知システム。
【選択図】図3
【解決手段】血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液流路を有する血液体外循環装置における異常検知システムであって、血液ポンプ以降の血液流路内の圧力の挙動、とくに、血液流路内の静脈側圧力の挙動を検出し、かつ、周波数解析する手段を有することを特徴とする血液体外循環装置における抜針等の異常検知システム。
【選択図】図3
Description
本発明は、血液体外循環装置における異常検知システムに関し、とくに、患者への穿刺針の抜針を迅速かつ的確に検知可能な、血液体外循環装置における異常検知システムに関する。
血液体外循環装置、たとえば、血液透析装置においては、患者の動脈側から採血され、体外の血液透析装置で透析した後の浄化された血液が静脈側に戻される。血液透析装置は既に広く実用化されており、代表的なものとして、たとえば特許文献1や特許文献2等に記載されたものが知られている。血液透析装置では、血液透析を行うための血液透析要素として、透析膜を内在させた血液透析要素(ダイアライザー)が用いられ、患者の動脈側から送られてきた血液中から、血液透析要素内で血液流路側と透析液流路側との間で透析膜を介して尿成分等が除去され、また、余剰水分が除水されて、透析後の血液が患者の静脈側へと戻される。この患者の体内との間の血液の送液・循環には、通常、血液流路中の血液透析要素の上流側に設けられたチューブとローラーを備えたチューブポンプからなる血液ポンプが用いられている。
血液透析装置のより具体的な構成としては、たとえば図1に示すように、患者の動脈側2からの血液を血液透析後に静脈側3へと戻すように循環させる血液流路1中の血液は、一対のローラ4aを備えたチューブポンプからなる血液ポンプ4によって定量送液され、血液透析要素としての血液透析フィルター5(ダイアライザー)内で、血液流路1と透析液流路6との間で透析膜7を介して血液透析される。透析膜7は、実際には、たとえば多数の中空糸膜からなるが、図1では模式的に示してある。透析液は、たとえば図1に示したように、調製済透析液供給装置8から供給された透析液を、計量チャンバー9の一方の室9aから膜10の押圧を介して吐出し、フィルター11を介して血液透析フィルター5に供給される。血液透析済みの透析液は、循環ポンプ12によって計量チャンバー9の他方の室9bに戻されるとともに、除水ポンプ13を介して一部が除水される。透析液流路6にはバイパス流路14が設けられており、ダイアライザー5内へ透析液を送液しない場合には、バイパス流路14を介して循環ないし排出できるようになっている。通常、血液ポンプ4以降の血液流路1内の圧力を検知するために、図示例では静脈側の位置に、圧力センサ15が設けられ、圧力値およびその挙動を検知できるようになっている(ダイアライザー5の動脈側に設けられることもある)。
血液透析中、静脈圧は上記のように血液流路を介して、血液透析装置に表示される。この静脈圧の挙動は、血液ポンプ(チューブポンプ)によるしごき、透析液圧、除水による影響、患者穿刺部の患者側静脈圧等の要因により決定される。現在はこられの要素を総合して検知し、静脈圧として表示を行っている。この血液透析中の静脈圧の変動をより詳細に観察すると、たとえば図2のような波形のデータが得られる。図2に示すような波形のデータからは、大きな波は血液ポンプによる脈動(チューブポンプしごきによる脈動)の影響を受けていることは容易に推察できるが、他の要因の個別の影響を観察すること、たとえば患者穿刺部における抜針を検知することは困難である。
特公昭56−82号公報
特公昭61−25382号公報
そこで本発明の課題は、既存の装置を大幅に変えることなく、血液流路内の圧力挙動データを適切に処理することにより、容易に、迅速かつ的確に、抜針等の異常を検知できるようにした、血液体外循環装置における異常検知システムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る血液体外循環装置における異常検知システムは、血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液流路を有する血液体外循環装置における異常検知システムであって、前記血液ポンプ以降の前記血液流路内の圧力の挙動(たとえば、血液流路内の静脈側圧力の挙動)を検出し、かつ、周波数解析する手段を有することを特徴とするものからなる。
この周波数解析により、後述の実施例に詳しく示すように、圧力変動要因のうち、静脈側圧力の脈動の周期を適切に取り出すことが可能になり、この静脈側圧力の脈動の周期の検知により、異常、とくに抜針の有無を迅速かつ的確に検知できるようになる。
上記血液ポンプとしては、通常、チューブとローラーを備えたチューブポンプが用いられる。また、本発明は、血液体外循環装置として、血液流路と透析液流路との間で血液透析を行う血液透析装置、血液流路中の血液を浄化する血液浄化装置のいずれにも適用可能である。
また、本発明においては、検出圧力に影響を与える因子に関して所定時間ごとに周波数解析を行う演算処理装置を備えていることが好ましい。さらに、周波数解析の結果に基づき、異常が認められた場合、血液体外循環装置に異常を知らせる手段を有することが好ましい。
本発明は、圧力挙動を決定する要因になるものであれば、その周波数解析の結果に基づいて異常の有無の判断が可能であり、とくに、透析等において事故防止のための重要な要素となる抜針の有無の検知に適用して最適なものである。
本発明によれば、血液流路における圧力挙動の周波数解析という新しい手法により、血液体外循環装置における異常、とくに患者穿刺部における抜針の有無を容易に、迅速かつ的確に検知できるようになり、安価なシステム構成でありながら、新設、既存の装置にかかわらず、確実に抜針等に起因する事故を防止できるようになる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について、本発明の開発経過から、試験結果に至るまでを主体に説明する。
前述の図2に示したデータは、図3に示す試験装置を用いて得られたものである。図3に示す試験装置21においては、患者の腕22の穿刺部23の動脈側穿刺部24からの血液は、体外の血液流路25を流れ、所定の処理(図示例では血液透析であるが、血液浄化も可能)が行われた後、静脈側穿刺部26から患者の体内に戻される。動脈側穿刺部24からの血液は、血液透析装置27(東レ・メディカル(株)製、TR−7000S)に設けられた、チューブとローラーを備えたチューブポンプからなる血液ポンプ28により、血液透析要素としてのダイアライザー29に送られ、透析液流路30を介して供給排出される透析液との間で血液透析が行われ、しかる後に上記静脈側穿刺部26から患者の体内に戻される。血液流路25のダイアライザー29よりも静脈側部分からは、静脈圧センサ31により静脈圧が検知され、信号処理器32を介して検知信号がコンピュータ33に送られる。透析液流路30における透析液圧は、透析液圧センサ34により検知され、信号処理器32を介して検知信号がコンピュータ33に送られる。前述の図2に示したデータは、200mL/minの血液流量設定で、除水1.0L/hr(図1における除水ポンプ13による除水)の条件で得られたものである。
前述の図2に示したデータは、図3に示す試験装置を用いて得られたものである。図3に示す試験装置21においては、患者の腕22の穿刺部23の動脈側穿刺部24からの血液は、体外の血液流路25を流れ、所定の処理(図示例では血液透析であるが、血液浄化も可能)が行われた後、静脈側穿刺部26から患者の体内に戻される。動脈側穿刺部24からの血液は、血液透析装置27(東レ・メディカル(株)製、TR−7000S)に設けられた、チューブとローラーを備えたチューブポンプからなる血液ポンプ28により、血液透析要素としてのダイアライザー29に送られ、透析液流路30を介して供給排出される透析液との間で血液透析が行われ、しかる後に上記静脈側穿刺部26から患者の体内に戻される。血液流路25のダイアライザー29よりも静脈側部分からは、静脈圧センサ31により静脈圧が検知され、信号処理器32を介して検知信号がコンピュータ33に送られる。透析液流路30における透析液圧は、透析液圧センサ34により検知され、信号処理器32を介して検知信号がコンピュータ33に送られる。前述の図2に示したデータは、200mL/minの血液流量設定で、除水1.0L/hr(図1における除水ポンプ13による除水)の条件で得られたものである。
このような図3に示した装置を用いて得られた図2に示したデータは、前述したように、血液ポンプ28によるしごき、透析液圧、除水による影響、患者穿刺部の患者側静脈圧を総合して得られた波形である。ここで血液透析中に静脈側穿刺針が抜けたとすると、前述の患者穿刺部の患者静脈圧による影響のみが除かれた静脈圧となる。そこで、血液透析装置で静脈圧を監視することで、このような血液透析中の抜針が検知できるのではないかと考えた。すなわち、図2に示した波形データは通常の血液透析中の波形データであるから、この波形データから前述の血液ポンプ(チューブポンプ)によるしごき、透析液圧、除水による影響を除去することで患者穿刺部の患者側静脈圧が決定され、穿刺部からの患者側静脈圧による脈動の波形が得られると考えられた。
そこで、図4に示すように、血液ポンプによるしごき、透析液圧、除水による影響の除去を試みた波形データを得た。つまり、血液透析装置の影響を除外した静脈圧の変化データを血液流量設定:0mL/min、除水:0L/hr、バイパス工程(図1のバイパス流路14を通す工程)の条件で得た。図2と図4を比較すると、血液ポンプのしごきによる静脈圧の変化が消失していることは明らかである。しかし、患者穿刺部の静脈圧の脈動を、両者の差から認めることは困難であった。そこで周波数解析を行うことで、より詳細な脈動の変化が理解できると考え、本発明を完成したものである。
そこで、血液流量設定:200mL/min、除水設定:1.0L/hrで、血液透析装置側表示値としての静脈圧:168mmHg、透析液圧:116mmHgの条件にて、血液透析中の静脈圧の変化を周波数解析したところ、図5に示すようなデータが得られた。図5において、○印の箇所は、患者穿刺部からの患者静脈圧の脈動の周期、□印の箇所は、血液ポンプしごきによる脈動の周期、△印の箇所は、除水ポンプの周期を、それぞれ示しており、患者穿刺部からの患者静脈圧の脈動の周期を検知することが可能であった。したがって、この周期が現れるか否かにより、患者穿刺部における抜針の有無の検知、判定が可能になる。
また、図6に示すように、血液流量設定:200mL/min、除水設定:1.0L/hrで、血液透析装置側表示値としての静脈圧:168mmHg、透析液圧:116mmHgの条件にて、バイパス工程(つまり、透析液をダイアライザーには供給しないでバイパス流路14(図1に示した。)に流す工程)における血液ポンプしごき(図中、□印の箇所)と患者穿刺部の静脈圧(図中、○印の箇所)についての周波数解析を行った。この場合、除水ポンプの周期の影響は除去されており、やはり、患者穿刺部からの患者静脈圧の脈動の周期を検知することが可能であった。したがって、この周期が現れるか否かにより、患者穿刺部における抜針の有無の検知、判定が可能になる。
さらに、図7に示すように、バイパス工程設定とし、血液流量設定:0mL/min、除水設定:0L/hrで、血液透析装置側表示値としての静脈圧:−11mmHgの条件にて、バイパス工程における患者穿刺部の静脈圧(図中、○印の箇所)についてのみの周波数解析を行った。この場合、血液ポンプしごきによる脈動の周期、および除水ポンプの周期の影響は除去されており、患者穿刺部からの患者静脈圧の脈動の周期をより明瞭に検知することが可能であった。したがって、この周期が現れるか否かにより、患者穿刺部における抜針の有無の検知、判定が可能になる。
このように、周波数解析を行うことにより、患者静脈圧の脈動の周期を検知することが可能であり、この患者静脈圧の周期を定期的に(つまり、所定時間ごとに)監視することで、血液透析中、静脈側穿刺針が抜けていることが検知可能である。
上記検知では、主として抜針を検知するようにしたが、目的に応じて、図5や図6から、血液ポンプしごきによる脈動の周期や除水ポンプによる周期の検知も可能である。
また、上記説明は、血液透析装置について行ったが、本発明は、患者の血液を体外に循環させ、血液流路中の血液を浄化する血液浄化装置に対しても適用できる。とくに本発明は、既存の装置、新設の装置に関わらず、容易に実施することができる。
1 血液流路
2 動脈側
3 静脈側
4 血液ポンプ
4a 血液ポンプのローラ
5 血液透析要素としての血液透析フィルター(ダイアライザー)
6 透析液流路
7 透析膜
8 調製済透析液供給装置
9 計量チャンバー
10 膜
11 フィルター
12 循環ポンプ
13 除水ポンプ
14 バイパス流路
15 圧力センサ
21 試験装置
22 患者の腕
23 穿刺部
24 動脈側穿刺部
25 血液流路
26 静脈側穿刺部
27 血液透析装置
28 血液ポンプ
29 血液透析要素としてのダイアライザー
30 透析液流路
31 静脈圧センサ
32 信号処理器
33 コンピュータ
34 透析液圧センサ
2 動脈側
3 静脈側
4 血液ポンプ
4a 血液ポンプのローラ
5 血液透析要素としての血液透析フィルター(ダイアライザー)
6 透析液流路
7 透析膜
8 調製済透析液供給装置
9 計量チャンバー
10 膜
11 フィルター
12 循環ポンプ
13 除水ポンプ
14 バイパス流路
15 圧力センサ
21 試験装置
22 患者の腕
23 穿刺部
24 動脈側穿刺部
25 血液流路
26 静脈側穿刺部
27 血液透析装置
28 血液ポンプ
29 血液透析要素としてのダイアライザー
30 透析液流路
31 静脈圧センサ
32 信号処理器
33 コンピュータ
34 透析液圧センサ
Claims (7)
- 血液ポンプを用いて患者の体内との間で血液を循環させる血液流路を有する血液体外循環装置における異常検知システムであって、前記血液ポンプ以降の前記血液流路内の圧力の挙動を検出し、かつ、周波数解析する手段を有することを特徴とする、血液体外循環装置における異常検知システム。
- 前記血液ポンプが、チューブとローラーを備えたチューブポンプからなる、請求項1の血液体外循環装置における異常検知システム。
- 前記血液体外循環装置が、前記血液流路と透析液流路との間で血液透析を行う血液透析装置からなる、請求項1または2の血液体外循環装置における異常検知システム。
- 前記血液体外循環装置が、前記血液流路中の血液を浄化する血液浄化装置からなる、請求項1または2の血液体外循環装置における異常検知システム。
- 検出圧力に影響を与える因子に関して所定時間ごとに周波数解析を行う演算処理装置を備えている、請求項1〜4のいずれかに記載の血液体外循環装置における異常検知システム。
- 周波数解析の結果に基づき、異常が認められた場合、血液体外循環装置に異常を知らせる手段を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の血液体外循環装置における異常検知システム。
- 検知する異常が抜針である、請求項1〜6のいずれかに記載の血液体外循環装置における異常検知システム。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004328865A JP2006136520A (ja) | 2004-11-12 | 2004-11-12 | 血液体外循環装置における異常検知システム |
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2004
- 2004-11-12 JP JP2004328865A patent/JP2006136520A/ja active Pending
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