JP2006122072A - 生体内留置器具 - Google Patents

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芳穂 豊田
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Abstract

【課題】 磁性粒子との併用よる治療効果の向上と、生体内への留置態下でのMRI診断や人体への影響の解消とを、有利に実現可能な生体内留置器具を提供する。
【解決手段】 10-9〜0.002Tの範囲内の磁束密度を有する金属材料からなる金属成形体24を有して構成すると共に、かかる金属成形体24の内部にヨーク26を挿入した状態下において、0.3〜1.2Tの磁束密度を有する磁界内に12〜48時間の間位置せしめることにより、該金属成形体24を磁気化して、構成した。
【選択図】 図 3

Description

本発明は、生体内留置器具に係り、特に、筒状乃至は袋状形態を呈する金属成形体を有して構成された生体内留置器具の新規な構造に関するものである。
従来から、生体内の管腔や体腔等の所定部位に挿入、留置される生体内留置器具が、経皮経管的及び外科的療法における医療器具の一種として、一般に使用されている。例えば、かかる生体内留置器具の一種たるステントは、多くの場合、全体として、多数の透孔を備えたメッシュ状の筒形態を呈し、径方向に拡張可能とされた金属成形体にて構成されている。そして、血管やその他の管腔内の狭窄乃至は閉塞部位の治療に用いられている。
すなわち、ステントは、通常、カテーテルの先端部に設けられたバルーンに外挿された状態で、血管の狭窄部位等に挿入される。そして、そこで、バルーンが拡張されるのに伴って拡張せしめられる。これにより、血管の狭窄部位等を押し広げつつ、そこに留置される。以て、この血管の狭窄部位等における内部空間を確保し得るようになっているのである。なお、このような筒状形態や袋状形態を呈する金属成形体からなる生体内留置器具や、かかる金属成形体を有する生体内留置器具としては、ステントの他に、ステントグラフトや塞栓用コイル(エンボリゼーションコイル)、薬液保存リザーバー等が、知られている。
ところで、そのような生体内留置器具の一種たるステントを用いた血管の狭窄部位等の拡張術を行った場合、ステントが留置される血管部位の生体内反応によるプロラプスの生成等によって、再狭窄が生ずる恐れがあった。そこで、ステントの表面に、各種の薬剤等をコーティングし、その薬効等により、再狭窄率の低減を図るようにした技術が、近年において、種々、提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、一般に、ステントは、血管内に挿入可能な程の小さな大きさで且つメッシュ構造を有している。そのため、各種の薬剤等がコーティングされるべき表面の面積も極めて小さい。それ故、そのようなステントの表面に、薬剤等を、その効果が長期間に亘って持続可能な程、十分な量においてコーティングすることは、困難であった。
かかる状況下、本発明者等は、ステントとは別の生体内留置器具の一種たる塞栓用コイルと、一般に、磁気ビーズ等と称される、磁性体材料からなる磁性粒子とを組み合わせて使用する動脈瘤の治療方法を、上述の如きステントを用いた血管の狭窄部位の拡張術後の再狭窄化を防止する方法に応用することを、着想した。
すなわち、よく知られているように、磁性粒子は、表面に、所定の薬剤や各種のタンパク質等を保持し得る構造とされている(例えば、特許文献3及び特許文献4参照)。また、所定の細胞を吸着し、更にその吸着された細胞を分離し得るようにもなっている(例えば、非特許文献1参照)。
そして、このような磁性粒子と塞栓用コイルとを用いて動脈瘤の治療を行う場合には、先ず、塞栓用コイルが動脈瘤内に挿入位置せしめられる。その後、表面に、所定の薬剤等が保持された磁性粒子の多数が、塞栓用コイルが位置せしめられた動脈瘤内に、カテーテル等にて注入される。これにより、動脈瘤内の塞栓用コイルを核として、多数の磁性粒子が、相互に或いは塞栓用コイルと吸着せしめられて、凝集される。その結果、動脈瘤内への血液の流入が抑制されることとなる。また、その一方で、動脈瘤内の多数の磁性粒子の表面に各々保持された薬剤等の効果により、血栓の生成や動脈瘤の器質化が惹起される。以て、動脈瘤が閉塞せしめられるようになるのである。
そこで、本発明者等は、先ず、血管内に、その閉塞部位等を拡張するようにステントを留置した後、再狭窄化を防止するための薬剤や各種タンパク質、細胞、遺伝子等が表面に保持せしめられた磁性粒子の多数を、血管内のステント留置部位に注入し、かかる多数の磁性粒子を、その磁気力によりステントに吸着させることを考え出した。そして更に、かかるステントとして、従来から公知の磁気力を有するステント(例えば、特許文献5参照)を使用して、磁性粒子とステントとの吸着力の向上を図ることとした。
かくして、表面に所定の薬剤等が保持された磁性粒子の多数を、血管内のステントの留置部位に対して選択的に且つ集中的に位置せしめるように工夫した。そして、それにより、血管内のステントの留置部位において、磁性粒子の表面に保持された薬剤等の効果を、より長期に亘って持続せしめて、かかる血管内のステント留置部位における再狭窄化の発生防止効果の向上を図るようにしたのである。
ところが、従来より公知の磁気力を有するステントを使用した場合、かかるステントが体内に留置された患者が、例えば、MRI装置(磁気共鳴イメージング装置)を用いた検査や診断(以下、MRI診断という)を受ける際に、MRI装置による強磁界において、磁気をもつステントが、例えば、患者の体内で移動してしまい、場合によっては、この移動せしめられたステントが患者に深刻なダメージを与える恐れがあるといった不具合をも、発生する。
また、筒状乃至は袋状形態を呈する金属成形体を有して構成された、ステント以外の生体内留置器具の何れのものにあっても、ステントと同様に磁気化すれば、生体内への留置状態下で、表面に各種の薬剤等が保持された磁性粒子が、より確実に吸着せしめられ得るようになる。然るに、これらの生体内留置器具を用いる場合にも、かかる器具の磁気によるMRI診断時の人体への影響が生ずることとなる。
つまり、磁気化された生体内留置器具と、各種の薬剤やタンパク質、細胞、遺伝子等が表面に保持された磁性粒子とを組み合わせて使用すれば、目的とする治療の効果の向上が期待され得る。しかしながら、磁気化された生体内留置器具として、単に、従来より公知のものを使用した場合、そのような生体内留置器具の磁気が、MRI診断時に、人体に影響を及ぼすといった不具合が生ずることが避けられなかったのである。
特開平8−33718号公報 特開平9−99056号公報 実開平2−35750号公報 特開2004−187932号公報 米国特許第6673104号明細書 寺町友絵、外3名、「ヒト臍帯血由来CD34陽性巨核球前駆細胞のin vitroコロニー形成に対するGlycosaminoglycansの作用」、薬学雑誌、日本薬学会、2001年9月、第121巻、第9号、p.691−699
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、各種の薬剤やタンパク質、細胞、遺伝子等が表面に保持された磁性粒子との組み合わせによる使用によって、治療効果の向上を図ることが出来、しかも、生体内に留置された状態下でのMRI診断時の人体への影響を有利に解消乃至は抑制し得る生体内留置器具を提供することにある。
そして、本発明者等は、かかる課題の解決のために、種々検討を重ねた。そして、その過程で、生体内留置器具を構成する金属材料の磁束密度の大きさについて着目した。
すなわち、筒状乃至は袋状形態を呈する金属成形体を有する生体内留置器具は、一般に、その製造に際して、先ず、所定の金属材料に対して、塑性加工や加熱加工等を始めとした種々の加工が施される。これにより、筒状乃至は袋状の所望の形状を有する金属成形体が、成形される。そして、かくして得られた金属成形体が、そのまま生体内留置器具として利用されるか、若しくは別途形成された人工血管や薬剤が収容可能な袋体等と組み合わされて、生体内留置器具として完成され、使用に供される。
而して、そのようにして得られる金属成形体を有する生体内留置器具にあっては、その構成材料たる金属材料が、それに対する加工により、磁性を帯びるようになる。そのため、通常では、そのような磁性を有する金属材料からなる金属成形体が、アニール加工によりキュリー点以上に加熱されて、熱減磁される。それによって、金属成形体を構成する金属材料の磁束密度が、所望の大きさとなるように調節されるのである。
そこで、本発明者等は、かかる熱減磁によって、金属材料の磁束密度が様々な大きさに調節された金属成形体を有する各種の生体内留置器具を用いて、それらの器具のMRI診断時における人体への影響を調べた。その結果、0.002T以下の十分に小さな磁束密度を有する金属材料からなる金属成形体を有する生体内留置器具が、生体内に留置された状態下において、MRI診断時に、人体に対して殆ど影響を及ぼさないことを確認した。
これらのことから、本発明者等は、そのようなMRI診断時の人体に対する影響がないか若しくは極めて少ない金属材料からなる金属成形体を有する生体内留置器具を着磁し、磁気化することで、磁性粒子を吸着する吸着力の増大を図る一方、この磁気化された生体内留置器具を脱磁することにより、かかる器具の磁気によるMRI診断時の人体への影響を低減せしめることを、着想したのである。
ところが、磁束密度が0.002T以下に調節された、生体内留置器具を与える金属材料には、例えば、一部のステンレス鋼等のように、これまで磁気化が極めて困難であるとされていた金属材料が、多く含まれる。
そのため、本発明者等は、そのような磁気化が困難な0.002T以下の磁束密度を有する金属材料からなる生体内留置器具の磁気化を容易と為すべく、更に鋭意研究を重ねた。その結果、生体内留置器具を、ヨーク(継鉄)に接触させた状態下で、特定の範囲内の磁束密度を有する磁界内に、所定範囲内の時間だけ位置せしめる着磁操作を行うことにより、磁気化が困難とされていた金属材料からなる生体内留置器具が容易に磁気化され得ることを見出した。しかも、そのようにして磁気化された生体内留置器具は、容易に脱磁され得るばかりでなく、一旦、脱磁された後においても、極めて容易に着磁や脱磁が、繰り返し行われ得ることをも、見出したのである。
而して、本発明は、かくの如き知見に基づいて完成されたものであって、その第一の態様とするところは、筒状乃至は袋状形態を呈する金属成形体を有して構成されて、生体内の所定部位に挿入、留置される生体内留置器具であって、前記金属成形体が、10-9〜0.002Tの範囲内の磁束密度を有する金属材料にて構成されると共に、かかる金属成形体を、その内部にヨークを挿入した状態下において、0.3〜1.2Tの磁束密度を有する磁界内に12〜48時間の間位置せしめることにより、該金属成形体が磁気化されて構成されていることを特徴とする生体内留置器具にある。
要するに、この本発明に従う生体内留置器具に係る第一の態様にあっては、金属成形体が磁気化されて、構成されている。そのため、磁気化された金属成形体の吸着力によって、例えば、各種の薬剤やタンパク質、細胞、遺伝子等が表面に保持された磁性粒子を、より確実に且つ強固に吸着せしめることが出来るようになる。
それ故、かかる第一の態様では、例えば、生体内留置器具を与える金属成形体が生体内に挿入、留置された状態下において、各種の薬剤やタンパク質、細胞、遺伝子等が表面に保持された磁性粒子の多数を生体内に注入するだけで、それらの磁性粒子のより多くのものを、生体内における金属成形体(生体内留置器具)の留置部位に対して、選択的に且つ集中的に位置せしめることが出来る。また、生体内への挿入前に、金属成形体の表面に、各種の薬剤やタンパク質、細胞、遺伝子等が表面に保持された多数の磁性粒子を吸着させた状態で、かかる金属成形体を生体内に挿入、留置する場合にあっても、金属成形体が生体内の所定の部位に到達するまでの間に、磁性粒子が金属成形体の表面から離脱するようなことが有利に防止され得る。そして、それらによって、多数の磁性粒子を、生体内における生体内留置器具の留置部位に対して、より確実に且つより長期に亘って安定的に位置せしめることが可能となるといった特徴が発揮され得ることとなる。
しかも、このような本発明に従う生体内留置器具に係る第一の態様においては、金属成形体を構成する金属材料の磁束密度が、金属成形体の磁気化前において、10-9〜0.002Tの範囲内の値、つまり、生体内への留置状態下でのMRI診断時に、人体に対して殆ど影響を与えない大きさとされている。
それ故、金属材料の磁束密度が金属成形体の磁気化前の値となる程度に低下するまで、金属成形体に対する脱磁を行えば、生体内に留置された状態下において、金属成形体の磁気により、MRI診断時に、人体が影響を受けることが効果的に解消乃至は抑制されるようになるといった優れた特徴をも、発揮される。
さらに、本発明に従う生体内留置器具の第一の態様においては、金属成形体が、その内部にヨークが挿入された状態下で、例えば、コンデンサ式着磁電源装置や強力な永久磁石等を用いて比較的に容易に発生させることが出来る0.3〜1.2Tの磁束密度を有する磁界内に12〜48時間の間位置せしめられることにより、磁気化されている。
それ故、このような第一の態様では、大がかりな装置や設備、或いは複雑な作業を要することなく、金属成形体を容易に磁気化することが出来る。また、金属成形体が位置せしめられる磁界の磁束密度の上限値が1.2Tとされていることによって、磁気化された金属成形体の脱磁を、特別に大きな磁気エネルギーを要することなく、簡単に行うことも可能となる。その上、そのような脱磁後に、例えば、金属成形体の内部にヨークを挿入せしめることなく、単に、金属成形体を0.3〜1.2Tの磁束密度を有する磁界内に、例えば1時間以下程度の間、位置せしめるだけの操作を行うことにより、金属成形体を再び磁気化せしめることが可能となる。そして、それによって、金属成形体を生体内に留置せしめた状態下で、かかる金属成形体に対する脱磁操作と着磁操作とを、任意に且つ極めて容易に繰返し実施出来るといった優れた特徴が、更に発揮され得ることとなる。
なお、これらの特徴が発揮されるのは、以下の如き理由によるものと考えられる。即ち、熱減磁により、磁束密度が10-9〜0.002Tの範囲内の値に調節された金属材料であって、且つ磁気化が困難なものは、軟磁性体の性質を有すると考えられる。つまり、かかる金属材料は、N極とS極とが表面には現れていないものの、内部に、N極とS極とを有する磁気双極子が多数存在し、また、それら多数の磁気双極子が、磁壁に囲まれた幾つかの磁区のそれぞれの内部で、磁界の方向(N極からS極への向き)が互いに異なった乱雑な向きとされた状態で位置せしめられているものと推測される。
そして、このような軟磁性体の性質を有する金属材料からなる金属成形体が、磁束を導くヨークを内部に挿入した状態で、上述の如き範囲内の磁束密度を有する強磁界環境下に一定時間以上曝されると、磁壁が押し出され、ついには磁気双極子の多くが、磁界の方向を一方向に揃えた状態となる。これによって、磁気化されるものと考えられる。
また、かくして磁気化された金属成形体の金属材料は、脱磁せしめられた際に、磁気双極子が、磁気化される前の状態、つまり、磁界の方向が互いに異なった乱雑な向きとされた状態ではなく、互いに平行で且つ相反する向きとされた状態で、位置せしめられるようになる。そのため、そのような脱磁の際に、或いは再び磁気化する際にも、最初に磁気化するときよりも小さな磁気エネルギーで、確実に且つ容易に脱磁と着磁とが実施され得ると考えられるのである。
なお、このような本発明に従う生体内留置器具の第二の態様においては、前記金属成形体の磁気化により、該金属成形体の内側表面と外側表面のうちの何れか一方がN極とされる一方、それらのうちの何れか他方がS極とされている。
かかる第二の態様によれば、例えば、金属成形体の長さや高さ方向の一方側の端部と他方側の端部のうちの何れか一方がN極とされる一方、それらのうちの何れか他方がS極とされる場合に比して、各磁極を構成する部位の表面積を可及的に大きく為すことが出来る。そして、それによって、磁性粒子を吸着する部位の面積が有利に増大せしめられ得るといった特徴が発揮される。
また、本発明に従う生体内留置器具の第三の態様では、前記金属成形体の表面上に、磁性体が形成されることとなる。
このような第三の態様においては、磁性体として、金属成形体が磁気化される前において既に磁界を有するものとそうでないものの両方が、使用され得る。そして、そのような磁性体が表面上に形成された金属成形体が磁気化された状態で、磁性体が磁界を発するようになると、金属成形体の表面における磁性体の形成部位がヨークとして機能せしめられる。それによって、磁性体のN極−S極間で、より多くの磁束をよりスムーズに流動せしめる磁気回路が形成される。
かくして、本発明に従う生体内留置器具に係る第三の態様にあっては、磁性体形成部位での吸着力が効果的に増大せしめられ得るようになる。また、磁性体形成部位での磁束の漏洩が有利に抑制される。以て、金属成形体を脱磁しない限りにおいて、磁界が、より長期に亘って安定的に保持され得ることとなる。
さらに、本発明に従う生体内留置器具の第四の態様においては、前記磁性体が、前記金属成形体の表面のうち、少なくとも内側表面上と外側表面上とに形成されることとなる。
このような第四の態様では、金属成形体における磁性体の形成面の面積が可及的に大きく為され得る。それによって、大きな吸着力をもって磁性粒子を吸着する部位の面積が有利に増大せしめられ得ることとなる。また、特に、金属成形体の磁気化によって、かかる金属成形体の内側表面と外側表面とが異極とされている上で、それら内側及び外側表面上に磁性体が形成される場合には、更に一層大きな吸着力をもって磁性粒子を吸着する部位が、金属成形体の表面上に、より大きな面積をもって分布せしめられるようになる。
更にまた、本発明に従う生体内留置器具の第五の態様では、前記磁性体が、スピネル型の結晶構造を有して、構成される。
このような第五の態様においては、各種の細胞やタンパク質、遺伝子等の生体物質が、磁性体上の表面官能基と固体触媒反応として吸着を起こすようになる。また、それら磁性体上に吸着された生体物質は、磁性体が表面に形成された金属成形体の脱磁によって、何等の損傷も受けることなく、磁性体上から容易に分離せしめられる。
これによって、かかる第五の態様では、金属成形体の着磁と脱磁に伴って、各種の生体物質を磁性体上に吸着せしめ、またそこから分離せしめることが出来る。しかも、かかる生体物質が、そのような磁性体に対する吸着/分離によって損傷を受けるようことも、有利に回避され得る。
それ故、この本発明に従う生体内留置器具の第五の態様によれば、所望の治療に有用な生体物質を、磁性体上に吸着させた状態で、生体内の所望の部位に搬送することが出来る。そして、そこで、単に、金属成形体を脱磁するだけで、かかる生体物質を、何等損傷せしめることなく、生体内に放出することが可能となるといった極めて優れた特徴が発揮され得る。
また、本発明に従う生体内留置器具の第六の態様においては、前記磁性体が、気気混相流と気液混相流と気固混相流と液液混相流と液固混相流のうちの何れか1種類の混相流中での該磁性体の原料の自己組織化により形成されることとなる。
かかる第六の態様では、各種の混相流中での磁性体原料の自己組織化による磁性体の形成条件をそれぞれ変更することで、膜状形態や粒子状形態等の様々な形態を有する磁性体を、金属成形体の表面上の所望の位置に容易に形成することが出来る。それによって、金属成形体の表面上の所望の部位に対して、磁性粒子を選択的に且つ集中的に吸着させるように為すことが可能となる。
そして、特に、このような第六の態様によれば、例えば、全体として、筒状形態を呈し、径方向に拡張可能とされたステント等において、拡張時における変形量が小さく、変形応力の小さな部位に対して、磁性体を選択的に形成することが出来るようになる。それによって、かかるステント等において、拡張変形等に起因して、磁性体の剥離や損傷等が生ずることが未然に防止され得ることとなる。
さらに、本発明に従う生体内留置器具の第七の態様では、前記磁性体が、所定の厚さ乃至は高さを有し、且つかかる厚さ乃至は高さ方向に対する垂直面に交差する側面を有して構成されると共に、それら垂直面と側面との交角の大きさが、45°を越え且つ135°未満の範囲内の値とされる。
かかる第七の態様においては、磁性体の側面上の磁束密度が、十分な大きさにおいて、有利に確保され得る。それによって、金属成形体表面上の磁性体形成部位における磁性粒子の吸着力が、安定的に維持せしめられ得るといった特徴が発揮される。
また、本発明に従う生体内留置器具の第八の態様においては、前記磁性体が、50〜300nmの範囲内の厚さ乃至は高さを有して、構成される。
このような第八の態様では、金属成形体が、曲げや引張等による変形応力を受けた場合に、かかる金属成形体表面上に形成された磁性体が、金属成形体表面上から剥離するようなことが、効果的に防止され得る。
さらに、本発明に従う生体内留置器具の第九の態様では、前記磁性体の表面の動摩擦係数が、0.2以上で且つ0.5未満の範囲内の値とされる。
かかる第九の態様によれば、金属成形体を生体内に挿入する際において、かかる金属成形体と生体内の様々な部位との間で生ずる接触抵抗が可及的に小さく為され得る。
また、本発明に従う生体内留置器具の第十の態様においては、前記金属成形体の表面上に、ヒドロキシアパタイトからなるセラミックス膜、若しくはヒドロキシアパタイトのOH基の一部がFe,Mg,K,Fの中から選択された少なくとも何れか一つにて置換されたものからなるセラミックス膜が、形成されることとなる。
かかる第十の態様によれば、金属成形体表面におけるセラミックス膜の形成部位が、優れた生体親和性を発揮する膜にて被覆されるようになる。
また、本発明に従う生体内留置器具の第十一の態様では、前記セラミックス膜の厚さが50〜300nmの範囲内の値とされる。
このような第十一の態様では、金属成形体が、曲げや引張等による変形応力を受けた場合に、かかる金属成形体表面上に形成されたセラミックス膜が、金属成形体表面上から剥離するようなことが、効果的に防止乃至は抑制され得る。
而して、本発明に従う生体内留置器具に係る第一の態様にあっては、前述せる如く、数々の優れた特徴が、有利に発揮され得る。従って、各種の薬剤やタンパク質、細胞、遺伝子等が表面に保持された磁性粒子との組み合わせによる使用によって、所望の治療効果を飛躍的に高めることが可能となる。しかも、そのような優れた効果を何等損なうことなく、生体内への留置状態下でのMRI診断時における人体への影響が、極めて効果的に解消乃至は抑制され得ることとなるのである。
また、前記せる特徴を有する本発明に従う生体内留置器具の第二の態様においては、より多くの磁性粒子を確実に且つ強固に吸着することが可能となる。そして、その結果として、各種の薬剤やタンパク質、細胞、遺伝子等が表面に保持された磁性粒子と組み合わせての使用による治療効果の向上が、更に高いレベルで達成され得ることとなる。
さらに、本発明に従う生体内留置器具の第三の態様にあっても、より多くの磁性粒子を、磁性体形成部位において確実に且つ強固に吸着することが可能となる。また、そのような磁性体形成部位での磁性体の吸着状態を、より長期に亘って安定的に維持することが出来る。そして、それによって、各種の薬剤等が表面に保持された磁性粒子と組み合せての使用により、所望の治療効果が、より有利に高められ得ることとなる。
更にまた、本発明に従う生体内留置器具の第四の態様によれば、金属成形体の内側表面と外側表面とに、更に一層多量の磁性粒子を、強固に且つ長期間安定的に吸着せしめることが出来る。そして、その結果として、上記第三の態様において奏され得る効果が、より有利に達成され得る。
また、前述せる如き優れた特徴を発揮する本発明に従う生体内留置器具の第五の態様によれば、各種の薬剤等が表面に保持された磁性粒子と組み合せての使用による所望の治療効果と、磁性体上に吸着される生体物質による治療効果とが相俟って、より優れた治療効果が得られることとなる。
さらに、本発明に従う生体内留置器具の第六の態様においては、生体内における生体内留置器具の留置部位のうちの所望の部分に対して、各種の薬剤等が表面に保持された磁性粒子を位置させることが出来る。それによって、より緻密且つ繊細な治療を行うことが可能となる。
しかも、かかる第六の態様によれば、ステント等のように、生体内への挿入状態下で拡張変形せしめられる場合にあっても、そのような拡張変形による磁性体の剥離や損傷によって、磁性体に吸着される磁性粒子の吸着量の減少や吸着状態の悪化等が生ずることが防止され得る。そして、その結果として、各種の薬剤等が表面に保持された磁性粒子と組み合せての使用による所望の治療効果が、より安定的に確保され得ることとなる。
更にまた、本発明に従う生体内留置器具の第七の態様においても、前記せる特徴が発揮されることにより、各種の薬剤等が表面に保持された磁性粒子と組み合せての使用による治療効果の向上が、安定的に確保され得る。
また、本発明に従う生体内留置器具の第八の態様によれば、金属成形体の生体内での曲げ変形や引張変形による磁性体の剥離によって、磁性粒子の磁性体への吸着量の減少や吸着状態の悪化等が生ずる恐れが、解消され得る。そして、その結果として、各種の薬剤等が表面に保持された磁性粒子と組み合せての使用による所望の治療効果が、より安定的に確保され得ることとなる。
さらに、本発明に従う生体内留置器具の第九の態様によれば、生体内への挿入のための手技をスムーズに行うことが可能となる。
更にまた、本発明に従う生体内留置器具の第十の態様によれば、生体親和性が有利に高められ得る。
また、本発明に従う生体内留置器具の第十一の態様によれば、生体内への挿入の際に曲げ変形や引張変形が惹起せしめられても、セラミックス膜が剥離せしめられるようなことが可及的に回避乃至は抑制され得る。それによって、生体内への留置状態下において、優れた生体親和性が、安定的に維持せしめられ得ることとなる。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明に係る生体内留置器具の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1及び図2には、本発明に従う構造を有する生体内留置器具の一実施形態としてのステントが、その正面形態と側面形態とにおいて示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態のステント10は、全体として、長手の略円筒形状を呈している。そして、かかる円筒の筒壁に、長手方向に延びる透孔や切欠が多数設けられてなるストラット構造乃至は網状構造を有している。
より具体的には、このステント10は、4個の変形ユニット12を有して、構成されている。また、それら各変形ユニット12は、薄肉、狭幅の長手平板からなり、且つ幅方向に容易に屈曲変形可能な2個の変形バー14a,14bと、薄肉、狭幅で、各変形バー14よりも十分に短い長さの平板からなる3個の接続バー16a,16b,16cとを、更に有している。そして、2個の変形バー14a,14bが、円筒状の全体形状を呈するステント10の周方向において互いに所定距離を隔てて、その長手方向に平行に延びるように位置せしめられている。そしてまた、それら2個の変形バー14a,14bが、その長手方向の両端部と中間部とにおいて、3個の接続バー16a,16b,16cにて、それぞれ一体的に接続されている。
すなわち、換言すれば、変形ユニット12は、2個の変形バー14a,14bのそれぞれにおける長手方向一方側の半分の部分と、かかる長手方向一方側の端部と長手方向の中央部とにそれぞれ位置する2個の接続バー16a,16cとにて囲まれてなる、長手矩形の第一枠体18と、2個の変形バー14a,14bのそれぞれにおける長手方向他方側の残り半分の部分と、かかる長手方向他方側の端部と長手方向の中央部とにそれぞれ位置する2個の接続バー16b,16cとにて囲まれてなる、長手矩形の第二枠体20とを一体的に有する枠状形態をもって、構成されているのである。
そして、そのような変形ユニット12の4個が、同一円周上において、周方向に等間隔を隔てて位置せしめられている。また、それら4個の変形ユニット12のうちの隣り合うもの同士の間には、薄肉、狭幅の平板からなる連結部22が、各変形ユニット12の第一及び第二枠体18,20のそれぞれの長さ方向中央部と対応する位置に、各々1個ずつ配置されている。そして、そのような連結部22にて、隣り合う変形ユニット12の第一枠体18同士と第二枠体20同士とが、それぞれの長さ方向中央部において、一体的に連結されている。
かくして、ステント10が、第一枠体18と第二枠体20とからなる変形ユニットの4個と、それらを一体的に連結する8個(図1、図2には4個のみ示す)の連結部22とにて、筒壁部が構成された円筒状のストラット構造乃至は網状構造とされているのである。
そして、それによって、かくの如き構造とされたステント10にあっては、例えば、カテーテルの先端部に設けられたバルーンに外挿された状態で、かかるバルーンが拡張されること等により、図1に二点鎖線で示されるように、各変形ユニット12の第一枠体18と第二枠体20とが、連結部22との連結部分において周方向に引張せしめられるようになる。また、それに伴って、それら第一及び第二枠体18,20が、長手矩形形状から六角形形状となるように、それぞれ変形せしめられる。以て、ステント10全体が、径方向に拡張せしめられるようになっているのである。
従って、本実施形態のステント10は、従来と同様に、図示しないカテーテルの先端部に設けられたバルーンに外挿された状態で、血管の狭窄部位等に挿入される等して、かかる狭窄部位の治療に用いられ得るように構成されているのである。
而して、このような本実施形態に係るステント10は、従来において磁気化が困難とされていた10-9〜0.002Tの範囲内の磁束密度を有する金属材料にて構成されている。然るに、かかるステント10にあっては、そのような金属材料にて構成されているにも拘わらず、特別な手法により磁気化されている。この点において、従来品には見られない極めて大きな特徴が、存しているのである。
すなわち、かかるステント10は、その製造に際して、例えば、従来と同様に、先ず、生体適合性を有する金属材料からなる円筒体が、冷間で、引抜加工された後、所定の長さに切断されることにより、小径且つ薄肉の金属スリーブが形成される。次に、かかる金属スリーブに対するレーザ加工等が施されて、筒壁部に多数の透孔や切欠が設けられる。これによって、ストラット構造乃至は網状構造を有し、且つ全体として円筒形状を呈する金属成形体が、成形される。このとき、金属成形体は、引抜加工やレーザ加工等により、不可避的に磁性を帯びるようになる。そのため、かかる金属成形体が、公知の手法により熱減磁される。かくして、金属成形体を構成する金属材料の磁束密度が、10-9〜0.002Tの範囲内の値とされるのである。
なお、このように、冷間での加圧加工や加熱を伴う加工等により磁性を帯びるようになるものの、その後の熱減磁により、磁束密度が10-9〜0.002Tの範囲内の値まで低下せしめられる、生体適合性を備えた金属材料には、ステンレス鋼、デュ・プレックスステンレス鋼、コバルト・クロム合金、ニッケル・銅合金、鉄・ニッケル合金、パラジウム・コバルト合金、白金・ニッケル合金、白金・イリジウム合金、白金・鉄合金、金・銀・パラジウム合金、白金加金等が、例示される。
つまり、本実施形態のステント10は、それらの金属材料の何れかにて、構成されているのである。なお、磁束密度が10-9を下回る金属材料は、一般には存在しない。また、磁束密度が0.002Tを越える金属材料は、人体内に留置された状態下において、MRI診断時に、人体に対して何等かの影響を与える。即ち、ここでは、ステント10を与える金属成形体の構成材料として、磁気化が困難であって、且つMRI診断時に人体に影響を与えない磁束密度を有する一般的な金属材料が、選択されているのである。
そして、かかるステント10にあっては、そのような金属材料からなる金属成形体が磁気化されることによって完成されているのであるが、この金属成形体の磁気化は、金属成形体が、円筒形状の内孔内にヨークを挿入せしめた状態下において、所定の磁界内に位置せしめられることにより実現される。
この金属成形体の磁気化操作において、金属成形体内に挿入されるヨークは、金属成形体が位置せしめられる磁界内の磁束を導いて、金属成形体内を通過させるようにするものである。従って、かかるヨークは、そのような機能を有するものであれば、その材質が、特に限定されるものではない。即ち、ここでは、金属成形体内に挿入されるヨークとして、従来から、電磁石の磁心として、或いは永久磁石の吸着力を高めるために用いられるもの等が、適宜に用いられるのである。
そして、そのようなヨークが内挿された金属成形体が位置せしめられる磁界の磁束密度は、その下限値が0.3Tとされている必要がある。何故なら、かかる磁界の磁束密度が0.3を下回る場合、磁界内の金属成形体を通過する磁束が少な過ぎるため、金属成形体の磁気化が困難となるからである。
一方、かかる磁界の磁束密度の上限値は、金属成形体の磁気化を実現することに限った場合、何等限定されるものではない。ところが、一般に、1.2Tを越える磁界を形成するためには、大がかりで且つ多大な費用が掛かる設備が必要となる。それ故、1.2Tを越える磁束密度の磁界内で、金属成形体の磁気化を行う場合には、作業が繁雑なものとなり、且つコストも高騰するといった問題が、不可避的に生ずることとなる。しかも、そのような1.2T超の磁界内では、ステント10が、極めて大きな磁気エネルギーによって磁気化されることになる。そのため、かくして磁気化されたステント10を脱磁しようとすると、より多大な磁気エネルギーが必要となり、容易に脱磁出来なくなるといった問題も惹起される。
従って、ここでは、磁気化されたステント10を低コストに且つ容易に得るために、また、そのような磁気化ステント10の脱磁をも、簡単に且つ経済的に有利行われ得るように為す上で、金属成形体の磁気化を、0.3〜1.2Tの範囲内の磁束密度を有する磁界内で行う必要がある。
また、かくの如き磁界内での金属成形体の磁気化は、12時間以上実施する必要がある。けだし、かかる時間が12時間を下回る場合、金属成形体が磁界内に位置せしめられる時間が短過ぎるため、磁界の磁束密度が0.3Tを下回る場合と同様に、金属成形体の磁気化が困難となるからである。なお、この金属成形体の磁気化が断続的乃至は間欠的に実施された場合であっても、その合計時間が12時間以上とされておれば良い。
一方、かかる金属成形体の磁気化の実施時間の上限値も、金属成形体の磁気化を実現することに限った場合、何等限定されるものではない。しかしながら、先に例示された金属材料等は、何れも、上記の如き磁界内で磁気化される場合、48時間で飽和磁束密度に達する。そのため、かかる金属成形体の磁気化操作を48時間を越えて実施しても、磁束密度が更に増大せしめられることがなく、却って、磁気化操作を冗長化せしめることとなる。
従って、ここでは、磁気化されたステント10を効率的に且つ確実に得るために、金属成形体の磁気化の実施時間を、12〜48時間の範囲内とする必要があるのである。
そして、本実施形態では、かくの如き条件下での磁気化が、図3に示される状態で、金属成形体24に対して実施されることにより、ステント10が形成されているのである。
すなわち、図3に示されるように、先ず、磁気化前のステント10であって、上記の如き金属材料からなる金属成形体24の内部に、それよりも長尺な丸棒状のヨーク26が挿入される。このとき、図示されてはいないものの、金属成形体24が、ヨーク26の挿入状態下で、ステントクリンパ等を用いて縮径される。これにより、金属成形体24の内周面とヨーク26の外周面とが密接せしめられる。なお、ヨーク26の材質としては、例えば、軟鉄や炭素鋼等が選択される。
そして、かかるヨーク26が挿入された金属成形体24が、磁界発生装置28上に載置されて、磁界発生装置28から発生せしめられる磁界内に、位置せしめられる。
ここで用いられる磁界発生装置28は、複数の永久磁石30と、磁性体カバー32とを有して、構成されている。また、かかる磁界発生装置28を構成する複数の永久磁石30は、円柱状を呈し、高さ方向の一端面と他端面とが、それぞれ、N極とS極とされている。一方、磁性体カバー32は、永久磁石30が接触状態で内挿可能な内径と所定の高さとを備えた円筒部34と、かかる円筒部34が一体的に立設される基板部36とにて構成されている。また、この磁性体カバー32の円筒部34は、磁性体材料である鉄製のパイプの外周面がステンレスの薄膜にて被覆されている。
そして、複数の永久磁石30が、異極同士において吸着されるように、直列に配置されている。これにより、それら複数の永久磁石30が、全体として、上端面と下端面のうちの何れか一方がN極とされ、且つそれらのうちの何れか他方がS極とされた長手の1個の棒磁石形態を呈するようになっている。そしてまた、そのような長手の1個の棒磁石形態を呈する複数の永久磁石30の全部が、磁性体カバー32の円筒部34に内挿されて、磁界発生装置28が、構成されているのである。
また、ここでは、特に、図3には明示されてはいないものの、永久磁石30として、0.54T程度の極めて大きな磁束密度を有するネオジム・鉄・ボロン磁石が、12個用いられている。そして、そのような12個の強力な永久磁石30が、上記せるように、直列に繋げられ、磁性体カバー32の基板部36上に吸着された状態で、円筒部34内に挿入されている。かくして、直列に繋げられた12個の永久磁石30の磁気回路が閉回路とされている。また、それにより、かかる磁界発生装置28にて、1.2Tの極めて大きな磁束密度を有する磁界が、容易に形成されるようになっているのである。
そして、ここでは、そのような磁界発生装置28の上端に位置する永久磁石30のN強若しくはS極とされた上面上に、ヨーク26が挿入された金属成形体24が、横転せしめられた状態で、載置される。そうして、そのような載置状態下で、12〜48時間放置される。このとき、磁界発生装置28の上端に位置する永久磁石30の上面若しくは磁界発生装置28の下端に位置する永久磁石30の下面から放出された磁束が、金属成形体24とヨーク26とを、その径方向において通過せしめられる。
これによって、円筒形状を呈する金属成形体24が、その内側表面と外側表面のうちの何れか一方がN極とされる一方、それらのうちの何れか他方がS極とされた状態で、磁気化される。以て、ステント10が、そのようにして磁気化された金属成形体24にて、構成されるようになっているのである。
このように、本実施形態のステント10においては、単に、複数の永久磁石30と、それらが内挿される磁性体カバー32を有するだけの極めて簡略且つ小型の磁界発生装置28を用いるだけで、十分に大きな吸着力を発揮するように磁気化されている。それによって、例えば、各種の薬剤や生体に有用な生体物質が表面に保持(吸着)された磁性粒子の多数が、表面に、強固に且つ確実に吸着せしめられる得るようになる。
それ故、かかるステント10にあっては、例えば、表面に、上記多数の磁性粒子が吸着せしめられた状態で、生体内に挿入される場合に、その挿入途中で、磁性粒子がステント10表面から脱離せしめられることが、有利に解消乃至は抑制され得る。また、かかるステント10が、生体の血管等の管腔内に挿入されて、所望の部位に留置せしめられた後に、その管腔内に、各種の薬剤や生体物質等が表面に保持された磁性粒子の多数が注入される場合にも、それら多数の磁性粒子のうちのより多くのものが、管腔内のステント10の表面に対して、確実に吸着せしめられ得る。
しかも、このようなステント10は、磁界発生装置28にて発生せしめられた1.2Tの磁界内で磁気化されているため、脱磁する場合にあっても、然程大きな磁気エネルギーを要することなく、比較的に簡単に脱磁され得る。そのため、生体内に挿入、留置された状態下において、かかる脱磁操作を容易に行うことが出来る。そして、その後において、着磁と脱磁の操作を繰り返し行うことも、容易となる。それ故、ステント10が生体内に挿入、留置された状態下でも、例えば、MRI診断を実施する前等に、かかるステント10を簡単に脱磁することが出来る。
従って、かくの如き本実施形態のステント10を用いれば、各種の薬剤や、生体に有用な生体物質等が表面に保持された磁性粒子との組み合わせにより、所望の治療効果を飛躍的に高めることが出来る。しかも、そのような優れた効果を何等損なうことなく、生体内への留置状態下でのMRI診断時における人体への影響が、極めて効果的に解消乃至は抑制され得ることとなるのである。
なお、ここで、ステント10と組み合わせて用いられる磁性粒子の表面に保持される生体物質は、生体との適合性を有するものであれば、如何なるものも使用可能であるが、中でも、治療効果や予防効果、予後効果等を有する細胞、ポリペプチド、ポリヌクレオチドのうちの1種のものが単独で、或いは2種以上のものが組み合わされて、有利に使用される。具体的には、かかる生体物質として、例えば、各種の細胞やタンパク質の他、HGF、NF−κBデコイオリゴ、アディポネクチン、ヒアルロン酸等が挙げられる。
また、生体内に留置されたステント10の脱磁操作は、例えば、公知のコンデンサ式脱磁電源装置を用いた非接触的な手法により、体外から容易に行うことが出来る。
さらに、その他の方法としては、例えば、ステント10が血管等の管腔内に留置されている場合、バルーンカテーテルと所定の磁性流体とを用いることによって、実施される。つまり、例えば、先ず、ステント10が留置される管腔内に、そのステント10の留置部位にバルーンが位置せしめられるまで挿入する。次いで、カテーテルを通じて、バルーン内に磁性流体等を注入して、バルーンを拡張せしめる。そして、この磁性流体を磁力伝播手段として減衰磁界を伝達して、脱磁を実施するのである。
更にまた、ステント10が管腔以外の生体内部位に留置されている場合には、例えば、磁束を通す針状体等を体内に穿刺し、その先端をステント10に接触せしめた状態で、ステント10に対して直接に減衰磁界を伝達せしめて、脱磁を実施することも可能である。
一方、かくして脱磁されたステント10を、生体内に留置したままで、再度、磁気化するには、公知のコンデンサ式着磁電源装置を用いた非接触的な方法や、上述の如きバルーンカテーテルと磁性流体とを用いたり、磁束を通す針状体等を用いたりして、前記減衰磁界に代えて着磁磁界をステント10に伝達せしめる方法等が、適宜に行われる。なお、このときには、ステント10内にヨーク26を何等挿入することなく、ステント10が、確実に磁気化されることとなる。
ところで、かくの如き優れた特徴を発揮する本実施形態のステント10にあっては、その縦断面形態の一部と横断面形態の一部とを、それぞれ拡大して、モデル的に示す図4及び図5から明らかなように、表面上に、互いに独立した粒状形態を呈する磁性体38の多数が、点在するように設けられている。また、それと共に、セラミックス膜40が、ステント10の表面における磁性体38の形成部位を除く部分の全体を被覆するように形成されている。なお、これら多数の磁性体38とセラミックス膜40は、前述せるステント10(金属成形体24)の磁気化に先立って、或いはかかる磁気化の後に、ステント10の表面上に形成されるものである。
このステント10表面に設けられた磁性体38は、磁性を有するものであれば、その構成材料が、特に限定されるものではなく、磁界を有するものであっても、或いは磁界を有しないものであっても良い。そのような磁性体38を構成する材料としては、例えば、Fe,Ni,Co,Mn,Cr,Zn,Ba,Y,Cu,V,Sb,Li,Nd,Ti,Rb,Mg,Al,Si,Sn,Ca,Cd,In,Moの中から1種が単独で、又は2種以上が組み合わされて、選択された元素を含む金属酸化物や複合金属酸化物、或いはそれらの中から2種以上が組み合わされて、選択された元素からなる金属化合物等が、挙げられる。
このような磁性体38が表面上に多数形成されたステント10においては、その磁気化により、或いはステント10の磁気化以前から磁性体38自体が有する磁界によって、各磁性体38が、ステント10表面上で磁界を発するようになると、ステント10の表面における磁性体38の形成部位がヨークとして機能せしめられるようなる。そして、それによって、磁性体38のN極−S極間で、より多くの磁束をよりスムーズに流動せしめる磁気回路が形成される。その結果、磁性体38の形成部位での吸着力が効果的に増大せしめられ得る。また、そのような磁性体38の形成部位での磁束の漏洩が有利に抑制され得ることとなる。
かくして、かかるステント10においては、多数の磁性体38が表面上に形成されていることによって、単に、磁気化されただけでは到底得られない大きな磁界が、極めて有利に発揮され得るようになる。また、そのような大きな磁界が、脱磁しない限りにおいて、より長期に亘って安定的に保持され得ることとなる。
従って、かくの如き本実施形態のステント10によれば、前記せる如き各種の薬剤や生体物質等が保持された磁性粒子のより多くのものを、磁性体38の形成部位において、更に一層確実に且つ強固に吸着することが可能となる。また、そのような磁性体38形成部位での磁性粒子の吸着状態を、より長期に亘って安定的に維持することが出来る。そして、それによって、各種の薬剤や生体物質等が表面に保持された磁性粒子と組み合せての使用による所望の治療効果が、より有利に高められ得ることとなる。
なお、このような優れた特徴を有するステント10においては、各変形ユニット12の全体として円筒形状とされたその表面のうち、少なくとも内側表面と外側表面、換言すれば、4個の変形ユニット12において、径方向に対向する変形ユニット12同士の互いの対向面とそれとは反対側の面とに対して、磁性体38が、それぞれ多数形成されていることが、望ましい。
そのようなステント10では、可及的に多くの磁性体38が、ステント10の表面上に形成される。しかも、かかるステント10は、前述せる如く、磁気化された状態において、内側表面と外側表面とが異極とされている。それによって、ステント10の表面に、より多くの磁性粒子が、効果的に且つ確実に吸着せしめられ得るようになる。そして、その結果として、各種の薬剤や生体物質等が表面に保持された磁性粒子と組み合せての使用による所望の治療効果が、安定的に確保され得ることとなる。
また、本実施形態のステント10表面に形成される磁性体38は、十分な磁性を発揮するものであれば、上記の如き磁界の増大効果を得る上において、その結晶構造が、特に限定されるものではない。しかしながら、かかる磁性体38における各種の結晶構造のうちで、スピネル型の結晶構造を有するものは、表面官能基との固体触媒反応により、生体物質を特異的に吸着する。また、このような磁性体38表面への生体物質の吸着は、磁気を帯びた磁性体38内を流れる磁化電流に起因する。そのため、かかる磁性体38が脱磁されると、生体物質は、磁性体38表面から分離せしめられる。つまり、スピネル型結晶構造を有する磁性体38は、その着磁と脱磁のサイクルに応じて、生体物質の吸着と分離を繰り返すといった特性を示す。しかも、その際に、生体物質は、何等の損傷も受けない。それ故、ここでは、ステント10の表面に形成される磁性体38が、スピネル型の結晶構造を有して、構成されている。
かくして、かかるステント10においては、磁気化された状態で生体内に挿入せしめられる際に、予め、表面上の各磁性体38に、有用な生体物質が吸着されておれば、かかる生体物質を、ステント10が留置される生体内の所望の部位に搬送することが可能となっている。そして、そこで、脱磁せしめられることによって、かかる生体物質を、何等損傷させることなく、生体内に放出することが出来るのである。
従って、このようなスピネル型の結晶構造を有する磁性体38が表面に形成されてなるステント10によれば、各種の薬剤や生体物質等が表面に保持された磁性粒子と組み合せての使用による所望の治療効果と、磁性体38上に吸着される生体物質による治療効果とが相俟って、より優れた治療効果が得られることとなる。
また、前述せるように、本実施形態のステント10の表面上に形成される多数の磁性体38は、それぞれ、互いに独立した粒状形態を呈している。そして、図4及び図5から明らかな如く、かかる粒状の磁性体38にあっては、その高さ方向(図4及び図5中、矢印:アの方向)に対する垂直面(図4及び図5中、二点鎖線:イにて示す)に交差する4個の側面39a,39b,39c,39dを有して、構成されている。
ここで、磁束密度:Bは、B=C/R(但し、C:定数、R:磁束中心からの距離、なお、磁束中心とは、形状の異なる物体の磁束の合力が働く点である。)で表されるように、磁束中心からの距離の逆数に比例して低くなる。それ故、磁性体38の各側面39上の磁束密度は、それら各側面39上の点と磁束中心との距離、換言すれば、磁性体38の高さ方向に対する垂直面:イと各側面39との交角:θの大きさに依存することとなる。
従って、本実施形態のステント10においては、そのような磁性体38の各側面39上の点と磁束中心との距離が可及的に小さくなるように、それら各側面39と垂直面:イとの交角:θが、45°を越え且つ135°未満の範囲内の大きさとされている。これによって、各磁性体38の側面39上の磁束密度が十分な大きさにおいて確保され得る。そして、その結果として、ステント10の表面に、より多くの磁性粒子が、更に確実に吸着せしめられ得ることとなる。また、各磁性体10の各側面39からの磁束の漏洩が効果的に抑制されて、ステント10の磁界が安定的に維持され得るといった利点も得られる。
さらに、図4及び図5に示されるように、ここでは、各磁性体38が、ステント10の表面側とは反対側の面を外部に露呈せしめた状態で、ステント10表面上に形成されている。そのため、それら各磁性体38の表面の動摩擦係数が、0.2以上で且つ0.5未満の範囲内の値とされている。
すなわち、かかるステント10にあっては、各磁性体38の表面の動摩擦係数が0.5未満の小さな値とされていることによって、生体内への挿入時における生体内部の各部位との接触抵抗が、可及的小さくされている。また、かかる動摩擦係数が0.2以上に限定されていることによって、例えば、生体内の所定部位に留置せしめられた際に、ステント10が、何等かの外力にて、かかる部位から容易に移動せしめられるようなことが、有利に防止され得ることとなる。
従って、本実施形態においては、生体内の所定部位へのステント10の挿入操作をよりスムーズに実施せしめ、且つかかる所定部位に留置されたステント10の無用な移動を阻止するために、各磁性体38の表面の動摩擦係数が、0.2以上で且つ0.5未満の範囲内の値とされているのである。なお、この磁性体38の表面の動摩擦係数は、磁性体38の形成材料を種々変更することで、所望の値が容易に得られることとなる。
また、かかる磁性体38の高さは、特に限定されるものではない。然るに、磁性体38の高さが大き過ぎると、例えば、ステント10が、生体内への挿入時等において曲げ変形や引張変形せしめられた際に、ステント10に生ずる歪み等によって、磁性体38が、ステント10の表面から剥離してしまう恐れが生ずる。一方、磁性体38の高さが余りに小さいと、磁性体38の形成による磁界の増大効果を十分に享受することが困難となる。
従って、本実施形態では、そのような問題の発生を回避する上から、ステント10表面に形成される各磁性体38の高さの下限値が50nmで、その上限値が300nmとされていることが、望ましいのである。
すなわち、換言すれば、本実施形態のステント10においては、各磁性体38の高さが50〜300nmの範囲内の値とされることにより、十分に大きな磁界が安定的に維持され得る。そして、その結果として、前記磁性粒子との併用による所望の治療効果が、更に安定的に確保され得るのである。
そして、かくの如き磁性体38のステント10表面上への形成に際しては、公知の手法が適宜に採用され得るが、その中でも、特に、気体と気体の混相流(気気混相流)と気体と液体の混相流(気液混相流)と気体と固体の混相流(気固混相流)と液体と液体の混相流(液液混相流)のうちの何れか1種類の混相流中での磁性体38の原料の自己組織化による手法が、好適に採用され得る。即ち、磁性体38の原料を含む気体と液体と固体のうちの何れかと、気体乃至は液体状の所定の反応物質とを、上記の如き組合せとなる混相流中で接触させることにより、磁性体38を形成するのである。なお、このような自己組織化による手法には、一般的な磁性体の電解めっき手法や無電解めっき手法も、その範疇に含まれる。
このような自己組織化による磁性体38の形成手法を採用する場合、その形成条件を種々変更することによって、磁性体38が、図4及び図5に示される如き粒状形態や図示しない薄膜状形態、或いはそれらの中間形態、更にはそれらの何れにも含まれない形態等の各種の形態において形成することが出来る。しかも、例えば、混相流のpH値や反応物質の濃度等を適宜に変更すれば、前記せる磁性体38の各側面39の前記垂直面:イとの交角:θの大きさを任意に変化させることが可能となる。また、気気混層流中や気液混相流中において、気体や液体の流速を種々変化させることによって、ステント10表面における磁性体38の形成部位を任意にコントロールすることも出来る。
そして、本実施形態においては、かくの如き自己組織化による磁性体38の形成手法を採用することで、図6に示されるように、多数の磁性体38が、ステント10の表面に部分的に密集して形成されて、かかるステント10の表面上に、磁性体38が密集して形成された磁性体密集部42が、所々設けられるようになっているのである。
そしてまた、図6から明らかな如く、ここでは、特に、そのような磁性体密集部42が、ステント10の各変形ユニット12における変形バー14の接続バー16や連結部22との接続部分乃至は連結部分以外の部分、つまり、ステント10が拡張せしめられたときに、変形量が大きく、そのために多大な変形応力を受ける部分を除く、変形量の小さな部分に形成されている。
かくして、本実施形態にあっては、ステント10の拡張によって、磁性体38のステント10表面からの脱落乃至は剥離が、未然に防止され得るようになっている。そして、これによっても、前述せる如き磁性粒子との併用による所望の治療効果が、より確実に且つ安定的に高められ得るのである。
一方、かくの如き磁性体38と共に、ステント10の表面に形成されたセラミックス膜40は、その全てがヒドロキシアパタイトにて構成されるか、若しくはヒドロキシアパタイトからなる部分と、ヒドロキシアパタイトのOH基の一部がFe,Mg,K,Fの中から選択された少なくとも何れか一つにて置換されたものからなる部分とにて構成される。このような構成を有するセラミックス膜は、優れた生体親和性を有する。
従って、かかるセラミックス膜40が表面上に形成されたステント10にあっては、生体親和性が、効果的に高められ得るのである。
なお、このようなセラミックス膜40の厚さは、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜300nmの範囲内の値とされる。何故なら、かかるセラミックス膜40の厚さが50nmを下回る場合、セラミックス膜40が、余りにも薄過ぎるために、生体親和性の向上が不十分となってしまうからである。また、その厚さが300nmを越える場合には、過剰に厚くなって、ステント10が曲げ変形や引張変形せしめられた際に、その変形部分において、セラミックス膜40が、ステント10表面から剥離してしまう恐れがあるからである。
それ故、本実施形態のステント10では、十分な生体親和性を安定的に高める上において、セラミックス膜40の厚さが、50〜300nmの範囲内の値とされていることが、望ましいのである。
なお、このようなセラミックス膜40のステント10表面への形成に際しては、疑似体液中におけるトポタクティック生成手法等を始めとした、従来から公知の手法が何れも採用され得る。また、前述せる磁性体38の形成時と同様に、セラミックス膜40の原料の自己組織化により形成手法も、採用することが出来る。特に、この自己組織化による形成手法を採用する場合には、ステント10表面へのセラミックス膜40の形成位置を有利にコントロール出来るようになるといった利点が得られる。
ところで、以上に詳述した実施形態では、生体内留置器具としてのステント10が、4個の変形ユニット12が8個の連結部22に相互に連結されてなるストラット構造乃至は網状構造を有して構成されていた。しかしながら、このステント10の構造は、何等これに限定されるものではない。かかる構造としては、例示の構造に代えて、従来より公知の構造が、適宜に採用され得る。
また、金属成形体24を磁気化して、ステント10を得る際に使用される磁界発生装置28も、例示のものに、特に限定されるものではない。0.3〜1.2Tの磁束密度を有する磁界を発生し、かかる磁界内において、10-9〜0.002Tの範囲内の磁束密度を有する金属材料からなる金属成形体24を、内部にヨーク26を挿入した状態で磁気化せしめることが可能であれば、従来から公知の装置が、適宜に採用され得る。
さらに、前記実施形態に示される如き磁界発生装置28を用いる場合にあっても、例えば、複数の磁界発生装置28を用い、それら複数の磁界発生装置28の永久磁石30の間に、内部にヨーク26が挿入された金属成形体24を挟んで位置せしめる。そして、かかる金属成形体24に対して複数の方向から磁束を通すことにより、金属成形体24を磁気化するようにしても良い。
更にまた、ステント10の表面上に形成される磁性体38の形態は、薄膜形態や薄膜形態と粒状形態の中間形態、或いはそれら以外の形態とされていても、何等差し支えない。
また、磁性体38が、セラミックス膜40上に形成されていても良い。或いは磁性体38が、その一部又は全部において、セラミックス膜40にて被覆されていても良い。
加えて、前記実施形態では、本発明をステントに適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、塞栓用コイル(エンボリゼーションコイル)等の筒状の金属成形体にて構成された生体内留置器具や、ステントグラフトや薬液保存リザーバー等、金属成形体が筒状や袋状の別部材と組み合わされて構成された生体内留置器具等、筒状乃至は袋状形態を呈する金属成形体を有して構成されて、生体内の所定部位に挿入、留置される生体内留置器具の何れに対しても、有利に適用され得ることは、勿論である。
また、本発明に従う生体内留置器具は、ドラッグデリバリーシステムと呼ばれる治療にも使用出来る。以下に、例えば、塞栓用コイル(エンボリゼーションコイル)を用いたドラッグデリバリーシステムについて、説明する。
すなわち、先ず、例えば肝臓ガンの患部から新たに発達した血管内にマイクロカテーテルを用いて、塞栓用コイルを留置し、血管を塞栓する。その後、体外から塞栓用コイルを着磁する。若しくは予め着磁した塞栓用コイルを、肝臓ガンの患部から新たに発達した血管内に留置し、血管を塞栓する。
次に、抗ガン剤を吸着させた磁気粒子を含む懸濁液を塞栓用コイル上に吸着させ、肝臓ガンの患部に抗ガン剤の効果を持続的に発揮させる。その後、必要に応じて、脱磁を行って、塞栓用コイルから磁気粒子を離脱させた後、それらの磁気粒子を回収する。そして、再度、塞栓用コイルを体外から着磁し、抗ガン剤を吸着させた磁気粒子懸濁液を塞栓用コイル上に吸着させる。このようにすれば、目的患部に対して、抗ガン剤の効果を連続的且つ患者の容態に合わせて使用することが出来る。
また、かかる塞栓用コイル表面に磁性体を形成し、このこの磁性体に対して抗ガン剤を吸着させることにより、磁気粒子を用いることなく、塞栓用コイル表面に、抗ガン剤を直接に吸着させる場合にあっても、目的患部に対して、抗ガン剤の効果を連続的且つ患者の容態に合わせて使用する事が可能となる。なお、このようなドラッグデリバリーシステムには、塞栓用コイルのみならずステント、ステントグラフト、薬液保存リザーバーも、勿論、使用可能である。
以下に、本発明の実施例を含む幾つかの試験例を示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような試験例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
<試験例1>
先ず、生体内留置器具として、全体として筒状のストラット構造を有する、SUS316L製のステント(商品名:Core、Humed製)を複数個準備した。なお、このステントの磁束密度をテスラメーター(商品名:テスラメータ磁束密度計 TM-601 、株式会社佐藤商事製)で測定したところ、0.0019Tであった。
そして、この準備されたステントの1個を用い、かかるステントの内部に、ヨークとして、外径:0.9mm、長さ:50mmの鉄棒を挿入した。その後、ステントクリンパーを使用して、ステントと鉄棒とを密接させた。
次に、表面磁束密度:0.54T、直径14mm、長さ22mmのネオジム・鉄・ボロン磁石の4個を用い、鉄棒が内部に挿入されたステントを、それら4個のネオジム・鉄・ボロン磁石にて四方から挟み込むように配置した。そして、その状態で12時間放置して、0.54Tの磁束密度を有する磁界内でステントの磁気化操作を行った。その後、ステントから鉄棒を引き抜いて、磁気化操作を経たステントを得た。そして、このステントを供試品1とした。
また、それとは別に、前記準備された複数のステントのうちの5個を用い、着磁時間を、30時間、36時間、40時間、44時間、48時間とする以外、供試品1のステントを得る際と同様な操作を行って、それぞれ、磁気化操作を経た5種類のステントを得た。そして、それら5種類のステントを、着磁時間の短いものから順に、供試品2,3,4,5,6とした。
一方、比較のために、前記準備された複数のステントのうちの3個を用い、着磁時間を、6時間、60時間、72時間とする以外、供試品1の磁気化ステントを得る際と同様な操作を行って、それぞれ、磁気化操作を経た3種類のステントを得た。そして、それら3種類のステントを、着磁時間の短いものから順に、比較供試品1,2,3とした。
また、それとは別に、前記準備された複数のステントのうちの1個を用い、このステントの内部に鉄棒を挿入せずに、着磁時間が12時間とされた供試品1の磁気化ステントを得る際と同様な操作を行って、磁気化操作を経た1種類のステントを得た。このステントを、比較供試品4とした。
さらに、それらとは別に、前記準備された複数のステントのうちの1個と、供試品1を得る際に用いられたヨークと同じものと、0.2Tの磁束密度を有し、且つ高さ方向の両端面が異極とされた円柱状のサマリウム・コバルト磁石とを準備した。そして、かかるステントの内部にヨークを挿入して、ステントクリンパーにて、ステントをヨークに密接させた。次いで、このステントを、前記準備された磁石の高さ方向の一方側の端面上に、48時間載置して、0.2Tの磁束密度の磁界内で磁気化操作を行った。その後、ステントから鉄棒を引き抜いて、磁気化操作を経たステントを得た。そして、このステントを比較供試品5とした。
そして、かくして得られた供試品1〜6のステントとのそれぞれの磁束密度を、テスラメーターで測定した。その結果、0.54Tの磁束密度の磁界内での着磁時間が12時間であった供試品1のステントの磁束密度は0.1Tで、それと同一磁界内での着磁時間が48時間の供試品6の磁束密度は0.11Tであった。また、0.54Tの磁束密度の磁界内での着磁時間が30〜44時間の供試品2〜5のステントのそれぞれの磁束密度は、0.1〜0.11Tの間の値であった。なお、それら供試品1〜6のステントの表面における磁束の極性は、内側表面がN極であり、且つ外側表面がS極であった。
また、比較供試品1〜5のステントのそれぞれの磁束密度も、テスラメーターで測定した。その結果、0.54Tの磁束密度の磁界内での着磁時間が6時間の比較供試品1のステントの磁束密度は0.0019Tであった。また、それと同一磁界内での着磁時間が60時間であった比較供試品2のステントと着磁時間が72時間であった比較供試品3のステントのそれぞれの磁束密度は、何れも、0.11Tであった。更に、鉄棒を内部に挿入せずに磁気化操作が行われた比較供試品4のステントや、0.2Tの磁界内で磁気化操作が行われた比較供試品5のステントの磁束密度は、それぞれ0.0019Tであった。
次いで、それら供試品1〜6のステントと比較供試品1〜5のステントのうち、供試品1のステントと比較供試品1及び4のステントの3種類のステントを用い、表面にアディポネクチンを吸着させた磁性粒子(商品名:A-Beads、Aureon Biosystems製)の懸濁液が収容されたポリスチレン製ファルコンチューブ内に、それら3種類のステントを投入した。そして、そのまま10分間静置して、各ステント表面に磁性粒子が吸着するか否かを調べた。その結果、供試品1のステントの表面には、磁性粒子が吸着した。それに対して、比較供試品1及び4のステントの表面には、磁性粒子が吸着しなかった。
これらの結果から、本発明に従って、0.0019Tの磁束密度を有する金属材料からなるステントを、その内部にヨークを挿入した状態で、0.54Tの磁束密度を有する磁界内に12〜48時間の間位置せしめることにより、磁性粒子が吸着可能な磁束密度を有するように磁気化出来ることが明確に認識される。これに対して、本発明において規定される下限値を下回る時間において磁気化操作を行った場合と、ステントの内部に、ヨークとしての鉄棒が挿入されることなく磁気化操作を行った場合、更には、本発明において規定される下限値を下回る磁束密度を有する磁界内で磁気化操作を行った場合には、ステントを磁気化することが出来ないことが認められる。また、0.54Tの磁束密度を有する磁界内で、本発明において規定される上限値を上回る時間において磁気化操作を行っても、かかる上限値である48時間の間磁気化操作を行って磁気化されたステントの磁束密度を超えることが出来ないことが判る。
<試験例2>
試験例1で得られた供試品6のステントを用い、一般に使用される脱磁器(商品名:HC-33 、ホーザン)にて、かかる供試品6のステントの脱磁を行った。そして、この脱磁されたステントの磁束密度を、試験例1で用いられたテスラメーターで測定したところ、0.001Tであった。
その後、この脱磁されたステントを用い、試験例1で用いられた磁性粒子の懸濁液が収容されたポリスチレン製ファルコンチューブ内に、かかるステントを投入した。そして、そのまま10分間静置して、ステント表面に磁性粒子が吸着するか否かを調べた。その結果、ステントの表面には、磁性粒子が吸着しなかった。
このことから、本発明に従って磁気化されたステントが、一般的な脱磁器を用いた脱磁操作によって、容易に脱磁され得ることが、明確に認識され得る。
<試験例3>
試験例1で得られた供試品2のステントを用い、これを常温で、360日間放置した。そして、放置してから1日目、30日目、60日目、90日目、180日目、360日目でのステントの磁束密度を、試験例1で用いられたテスラメーターでそれぞれ測定した。その結果、何れの測定値も、0.1Tであった。
このことから、本発明に従って磁気化されたステントが、磁束密度の漏洩が小さく、使用耐久性に優れたものであることが、判る。
<試験例4>
先ず、深さ20cm、巾70cmの水槽内に、水を深さ15cmとなるまで収容した後、かかる水槽中に、血液の代替として水が流れる血管を有する人体モデルを設置した。
次に、試験例1で得られた供試品5のステントを用い、これを、バルーンカテーテルを使用して、人体モデルの血管内の所定部位に拡張留置した。その後、マイクロカテーテルを使用して、試験例1で用いられた磁性粒子の懸濁液を人体モデルの血管のステント留置部位に注入し、磁性粒子をステント表面に吸着させた。
次いで、人体モデルの血管内にバルーンカテーテルを挿入し、かかる血管内のステント留置部位で、バルーン内に、MRI用磁性造影剤(商品名:リゾビスト、シェーリングAG製)を注入して、拡張した。そして、このMRI用磁性造影剤を磁力伝播手段として交流減衰磁界を、人体血管内に留置されたステントに伝達せしめて、10分間の間、脱磁を行った。
その後、マイクロカテーテルを使用して、試験例1で用いられた磁性粒子の懸濁液を人体モデルの血管のステント留置部位に注入した。そして、かかる磁性粒子がステント表面に吸着するか否かを調べたところ、磁性粒子は吸着しなかった。
次いで、吸着されたなかった磁性粒子を、マイクロカテーテルで吸引し、回収した後、再び、人体モデルの血管内にバルーンカテーテルを挿入し、かかる血管内のステント留置部位で、バルーン内に、MRI用磁性造影剤を注入して、拡張した。そして、このMRI用磁性造影剤を磁力伝播手段としてパルス着磁磁界を、人体血管内に留置されたステントに伝達せしめて、10分間、着磁を行った。
その後、再度、マイクロカテーテルを使用して、試験例1で用いられた磁性粒子の懸濁液を人体モデルの血管のステント留置部位に注入した。そして、かかる磁性粒子がステント表面に吸着するか否かを調べたところ、磁性粒子が、ステント表面に吸着した。
これらの結果から、本発明に従って磁気化されたステントが、生体内に留置された状態で、容易に脱磁と再着磁可能であることが、容易に認識され得る。
<試験例5>
先ず、ジルコニウム製500ccオートクレーブ内に、磁性体原料たるFe微粉末(福田製箔製)0.01mol(約1g)とベンゼン50gを入れ、オートクレーブを密閉した。その後、このオートクレーブ内に、COガスを90atmGで注入し、温度150℃にまで加熱して、3時間振るった。これにより、Feカルボニルを合成した。
また、それとは別に、石英ガラス管内に、試験例1で準備されたものと同じステントを設置し、このステントの内側に、酸素を2体積%含むヘリウムガスを、20cc/minで供給した。
次に、オートクレーブ内で合成されたFeカルボニルを、オートクレーブから石英ガラス管内に10cc/minでステントの外側に搬送した。これによって、内側の酸素を2体積%含むヘリウムガスの流速と外側のカルボニル流速の違いから、ステントのストラットの一本おきに渦を生じさせて、ストラット上に、斑点のようなFe酸化物からなる磁性体を生成(形成)せしめた。
その後、石英ガラス管内へのFeカルボニルの供給を断ち、石英ガラス管内に、酸素を2体積%含むヘリウムガスのみを供給し、石英ガラス管を、外部から250℃で3時間加熱した。その後、放冷した後、石英ガラス管からステントを取り出した。これによって、表面上に磁性体が形成されたステントを得た。
このことから、磁性体の原料を含む気体と酸素を含む不活性ガスとの気気混相流中において、磁性体の原料の自己組織化により、ステント表面上に、磁性体が形成され得ることが判る。
<試験例6>
先ず、石英ガラス管内に、試験例1で準備されたものと同じステントを設置した。その後、1Nアンモニア溶液でpH7に調整した、磁性体原料たるFeCl2 の1mmol/L水溶液を、石英ガラス管内のステント表面上に噴霧すると同時に、2体積%ヘキサン飽和蒸気を含む空気をステント表面に当てた。これによって、FeCl2 を含む水滴を規則的に配列させた。そして、有機溶媒を蒸発させることで、10nm〜1000μmの高さのハニカム構造を有する磁性体を、ステント表面上に生成せしめた。
このことから、磁性体の原料を含む液体と酸素を含む不活性ガスとの気液混相流中において、磁性体の原料の自己組織化により、ステント表面上に、磁性体が形成され得ることが判る。
<試験例7>
先ず、振動ミルのポット壁面に、試験例1で準備されたものと同じステントを固定した。次いで、ステントが固定されたポット内に、磁性体原料としての固体のFeCl2 の0.01mol(約1g)を投入した。そして、かかるポットを振動ミルに設置して、5分間振動させた。これにより、固体のFeCl2 を、メカノケミカル効果で空気と反応させて、酸化させた。そして、ステント表面上に、磁性体を、めっきされたように生成せしめた。
このことから、磁性体の原料を含む固体と酸素との気固混相流中において、磁性体の原料の自己組織化により、ステント表面上に、磁性体が形成され得ることが判る。
<試験例8>
先ず、1Nアンモニア溶液でpH7に調整した、磁性体原料たるFeCl2 の1mmol/L水溶液とクロロホルムとを1:1の重量比で混合した混合液を調製する。
次いで、試験例1で準備されたものと同じステントとスライドガラスとを用い、このステント表面とスライドガラスとの間に、上記のようにして調製した混合液を注入し、メニスカスが出きる間隔とした状態で、スライドガラスを交互にスライドさせた。そして、クロロホルムが完全に蒸発したら、ステント表面とスライドガラスとを分離する。これにより、Fingering Instabilityの効果で、ステント表面上に、磁性体を、ハニカム形状の規則的なパターンをもって、生成せしめた。
このことから、磁性体の原料を含む液体と液状有機溶媒との液液混相流中において、磁性体の原料の自己組織化により、ステント表面上に、磁性体が形成され得ることが判る。
<試験例9>
先ず、振動ミルのポット壁面に、試験例1で準備されたものと同じステントを固定した。次いで、ステントが固定されたポット内に、磁性体原料としての固体のFeCl2 0.01mol(約1g)とシクロヘキサンを投入した。そして、かかるポットを振動ミルに設置して、5分間振動させた。これにより、固体のFeCl2 を、メカノケミカル効果で空気と反応させて、酸化させた。そして、ステント表面上に、磁性体を、シクロヘキサンとの流れにより、特徴あるパターンをもって生成せしめた。
このことから、磁性体の原料を含む固体と液体との液固混相流中において、磁性体の原料の自己組織化により、ステント表面上に、磁性体が形成され得ることが判る。
<試験例10>
先ず、試験例1で準備されたものと同じステントを用い、このステントの表面上に、公知のフェライトめっき手法により、化学式Fe23NiOのスピネル型結晶構造を有するフェライト膜を生成せしめた。そして、その後、試験例1で得られた供試品1の製作時と同様な操作により、表面に磁性体が生成されたステントの着磁を行って、表面に磁性体が形成されて、磁気化されたステントを得た。
また、それとは別に、培地組成 DMEM(High Glucose, Gibco 製)中に、4%FBS(Fetal Bovine Serum、ウシ胎仔血清)、1%Penicillin Streptomycin(抗生物質)、1%L-Glutamine (アミノ酸)で、ラット筋芽細胞(初代培養細胞)を105 (cell/ml )に培養し、個数を調製した生体薬液を準備した。
そして、かくして準備された生体薬液中に、先に得られたステントを10分間浸漬して、生体薬液中細胞を、ステント表面上の磁性体に吸着させた。その後、ステントを生体薬液中から取り出して、その直後の生体薬液中の細胞濃度を公知の手法により測定した。その結果、生体薬液中の細胞濃度は4300(cell/ml )にまで減少していた。
一方、生体薬液中から取り出したステントを別培地に浸漬し、その状態で、試験例2で用いた脱磁装置を使用し、ステントの脱磁を行って、磁性体に吸着されていた細胞を、磁性体から分離した。その後、磁性体から分離された細胞の生存率をトリパンブルー染色法で測定した。その結果、生細胞濃度は90000(cell/ml )で、死細胞濃度は0(cell/ml )であった。
これらの結果から、本発明に従って磁気化されたステント表面に、スピネル型結晶構造を有する磁性体を形成すれば、かかる磁性体に対して、細胞等の生体物質が確実に吸着せしめられ得ることが、認められる。そして、このようなステントの脱磁を行えば、磁性体に吸着された細胞が、全く損傷せしめられることなく、分離され得ることも、判るのである。
<試験例11>
先ず、試験例1で準備されたものと同じステントを5個準備した。また、NaNO2 の2.1mmol/L濃度水溶液とアンモニア溶液とを混合してpH8.2に調整した混合液Aの所定量と、NaNO2 の2.1mmol/L濃度水溶液とアンモニア溶液とを混合してpH8.25に調整した混合液Bの所定量と、NaNO2 の2.8mmol/L濃度水溶液とアンモニア溶液とを混合してpH8.3に調整した混合液Cの所定量と、NaNO2 の2.8mmol/L濃度水溶液とアンモニア溶液とを混合してpH8.4に調整した混合液Dの所定量と、NaNO2 の4.2mmol/L濃度水溶液とアンモニア溶液とを混合してpH8.74に調整した混合液Eの所定量とを準備した。更に、それとは別に、磁性体原料たるFeCl2 を1mmol/Lで溶解した反応液の所定量を準備した。
そして、先に準備された5個のステントを、室温で、別々のガラス容器中にそれぞれ収容した。その後、5個のステントがそれぞれ1個ずつ収容された5個のガラス容器のうちの1個の中に、前記準備された反応液と混合液Aとを、共に、5cm/minの流速で3時間導入せしめて、ガラス容器内のステント表面に、めっきを施した。また、残りの4個のガラス容器内にも、導入される混合液の種類を変える以外同様な方法で、各ガラス容器内のステント表面に、めっきを施した。
かくして、反応液と混合液Aの導入によりめっきが施されたステント表面上に、高さ方向に対する垂直面との交角:θが35°とされた側面を有する磁性体を生成せしめた。また、反応液と混合液Bの導入によりめっきが施されたステント表面上に、上記交角:θが45°とされた側面を有する磁性体を生成せしめた。更に、反応液と混合液Cの導入によりめっきが施されたステント表面上に、上記交角:θが90°とされた側面を有する磁性体を生成せしめた。更にまた、反応液と混合液Dの導入によりめっきが施されたステント表面上に、上記交角:θが135°とされた側面を有する磁性体を生成せしめた。また、反応液と混合液Eの導入によりめっきが施されたステント表面上に、上記交角:θが145°とされた側面を有する磁性体を生成せしめた。
その後、かくして、表面に磁性体が生成された5個のステントを、ガラス容器内からそれぞれ取り出して、乾燥した後、公知のテスラメーターで、各ステント表面上の磁性体の磁束密度を測定した。その結果、前記交角:θが45°と90°と135°とされた側面をそれぞれ有する磁性体の磁束密度は0.13Tであった。これに対して、前記交角:θが35°と145°とされた側面をそれぞれ有する磁性体の磁束密度は0.04Tであった。
このことから、本発明に従って、ステント表面に形成された磁性体が、高さ方向に対する垂直面との交角:θが35°を越え且つ145°未満の範囲内の大きさとされた側面を有する場合、より大きな磁束密度を有するようになることが、容易に認識され得る。
<試験例12>
ステント表面上に形成される磁性体の厚さと、ステントが受ける応力によって、かかる磁性体が損傷せしめられるときのステントの歪みの大きさとの関係を調べるために、先ず、ステントの代わりに、ポリアミド樹脂からなる平板を10枚用い、それら各平板の表面に対して、フェライト(Fe34)めっきを、公知の手法により、それぞれの膜厚が異なるように、実施した。これによって、表面上に、1nm、5nm、10nm、50nm、100nm、150nm、200nm、300nm、600nm、800nmのうちの何れかの厚さを有する磁性体の薄膜が形成された10種類の供試片を準備した。
そして、かくして準備された、磁性体の薄膜が互いに異なる厚さをもって形成されてなる10種類の供試片を用い、それら各供試片に対して、公知の引張試験機により引張力を加えることにより、応力を発生させた。そして、その状態で、各供試片の表面上に形成される磁性体膜のひび割れの状況を、紫外線発光試薬を用いて観察した。そのときの各供試片の歪みの大きさと、磁性体膜の厚さに応じたひび割れの状況との関係を、図7に示した。なお、かかる図7において、○は、ひび割れが、何等認められなかったことを示す。また、△は、極めて微小なひび割れた認められたことを示す。更に、×は、明らかにひび割れが生じていることが認められたことを示す。
図7から明らかなように、膜厚が300nmを越える磁性体にあっては、歪みが0.3や0.2、0.1の大きさで、ひび割れが生じている。これに対して、膜厚が300nm以下の磁性体においては、歪みが0.3の大きさでも、ひび割れが、何等生じていない。このことから、ステント表面に、厚さ乃至は高さが300nm以下の磁性体を形成する場合、かかる磁性体が、ステントの変形に対して優れた耐久性を発揮することが判る。
<試験例13>
先ず、試験例1で準備されたものと同じステントを3個準備した。そして、それらのうちの2個のステントの表面に、公知のめっき手法により、Fe34からなる磁性体とFe34・MgAl24からなる磁性体とをそれぞれ形成した。
そして、かくして得られたFe34からなる磁性体が表面に形成されたステント(供試ステントA)と、Fe34・MgAl24からなる磁性体が表面に形成されたステント(供試ステントB)と、表面に磁性体が形成されていないステント(供試ステントC)とを用い、それら各ステント表面の動摩擦係数を、下記の方法で測定した。
すなわち、垂直抗力をN〔N〕、動摩擦係数をμ’とすると、 動いている物体に働いている運動摩擦力F〔N〕は、F=μ’・Nで表される。そこで、W=100gfの条件にて、N=100gfとし、また、運動摩擦力Fは、動いている物体の摩擦力をロードセルにて測定し、そして、それらの値をμ’=F/Nに代入することにより、動摩擦係数を求めた。そして、このような手法によるステント表面の動摩擦係数の測定を、上記3種類のそれぞれにつき、100回繰り返し実施した。かくして得られた各ステント毎の測定回数と動摩擦係数との関係を図8に示した。
かかる図8から、表面に磁性体が形成されていない供試ステントCの表面の動摩擦係数が、本発明において好適範囲として規定される上限値の0.5を越えるものであることが判る。これに対して、供試ステントAの表面の動摩擦係数、つまり実質的には供試ステントAの表面上に形成された磁性体表面の動摩擦係数と、供試ステントBの表面の動摩擦係数、つまり実質的には供試ステントBの表面上に形成された磁性体表面の動摩擦係数とが、本発明において好適範囲として規定される0.2以上で且つ0.5未満の範囲内の値であることが認められる。
次に、バルーンカテーテル(商品名:Cast2、フィルメック製)と、ポリエチレン樹脂からなる内径:2mmの樹脂チューブとを準備した。
そして、バルーンカテーテルの先端に設けられたバルーンに、供試ステントCを外挿して配置する一方、バルーンカテーテルの後端に、ロードセルを固定した。その後、樹脂チューブ内を水で満たして、半径45mmで湾曲させた状態で、この樹脂チューブ内に、バルーンカテーテルを35mm/minの速度で押し込む試験を行った。そして、このときのバルーンカテーテルの移動距離とロードセルにて測定される押込み荷重との関係を調べた。その結果を、図9に示した。
また、それとは別に、供試ステントCに代えて、供試ステントAと供試ステントBとを用い、上記と同様な試験を行った。そして、それら各試験の実施時におけるバルーンカテーテルの移動距離とロードセルにて測定される押込み荷重との関係を、それぞれ調べた。その結果を、図9に併せて示した。
図9から明らかなように、供試ステントAと供試ステントBの樹脂チューブ内への押込み荷重が、供試ステントCのそれと比較して、明らかに小さいことが、認められる。このとことから、表面の動摩擦係数が0.2以上で且つ0.5未満の範囲内の値とされた磁性体が表面に形成されたステントが、かかる磁性体が表面に何等形成されていないステントよりも、生体内に、よりスムーズに挿入され得ることが、明確に認識され得る。
<試験例14>
先ず、疑似体液として、8gのNaCl、0.2gのKCl、1.15gのNa2HPO4、0.2gのKH2PO4を、水800mlに溶解した液Aと、水200mlに0.1gのCaCl2 を溶解した液Bとを調製した。そして、かかる液Aに液Bを注加し、37℃、pH7.4の環境下で十分に撹拌して、混合液を更に調製した。
そして、かくして得られた混合液を37℃に保持した状態で、かかる混合液中に、試験例1で準備されたものと同じステントを24時間浸漬した。これにより、ステント表面上に、板状のOCP(リン酸8カルシウム)を析出せしめ、更にトポタクティック生成(結晶構造が変わらずに原子が入れ替わる)にて、かかるOCPをヒドロキシアパタイトに変化せしめた。これにより、ステント表面上に、ヒドロキシアパタイトからなるセラミックス膜を形成した。
次に、表面上にセラミックス膜が形成されたステントを、前記混合液中から取り出して、乾燥した。そして、このステントに対して、試験例1で供試品6を得る際と同様な操作を行って、かかるステントを磁気化した。この磁気化されたステントの磁束密度を、試験例1で用いたテスラメーターで測定したところ、0.1Tであった。
引き続き、試験例1で用いられた磁性粒子の懸濁液が収容されたポリスチレン製ファルコンチューブ内に、上述の如くして磁気化されたステントを投入した。そして、そのまま10分間静置して、ステント表面に磁性粒子が吸着するか否かを調べた。その結果、ステントの表面に、磁性粒子が吸着した。
また、それとは別に、試験例2で用いた脱磁器を使用して、上述の如くして磁気化されたステントの脱磁を行った。そして、この脱磁されたステントの磁束密度を、試験例1で用いられたテスラメーターで測定したところ、0.001Tであった。
その後、この脱磁されたステントを用い、試験例1で用いられた磁性粒子の懸濁液が収容されたポリスチレン製ファルコンチューブ内に、かかるステントを投入した。そして、そのまま10分間静置して、ステント表面に磁性粒子が吸着するか否かを調べた。その結果、ステントの表面には、磁性粒子が吸着しなかった。
このことから、ヒドロキシアパタイトからあるセラミックス膜が表面上に形成されたステントにあっても、本発明に従って、容易に磁気化及び脱磁され得ることが判る。
<試験例15>
ステント表面上に形成されるヒドロキシアパタイトからなるセラミックス膜の厚さと、ステントが受ける応力によって、かかるセラミックス膜が損傷せしめられるときのステントの歪みの大きさとの関係を調べるために、先ず、ステントの代わりに、ポリアミド樹脂からなる平板を10枚準備した。そして、CVD装置を用いた、ヒドロキシアパタイトからなるセラミックス膜の公知の形成手法により、各平板の表面上に対して、かかるセラミックス膜を、それぞれの膜厚が異なるように形成した。これによって、表面上に、1nm、5nm、10nm、50nm、100nm、150nm、200nm、300nm、600nm、800nmのうちの何れかの厚さを有するセラミックス膜が形成された10種類の供試片を準備した。
そして、かくして準備された、セラミックス膜が互いに異なる厚さをもって形成されてなる10種類の供試片を用い、それら各供試片に対して、公知の引張試験機により引張力を加えることにより、応力を発生させた。そして、その状態で、各供試片の表面上に形成されるセラミックス膜のひび割れの状況を、紫外線発光試薬を用いて観察した。そのときの各供試片の歪みの大きさと、セラミックス膜の厚さに応じたひび割れの状況との関係を、図10に示した。なお、かかる図10において、○は、ひび割れが、何等認められなかったことを示す。また、△は、極めて微小なひび割れた認められたことを示す。更に、×は、明らかにひび割れが生じていることが認められたことを示す。
図10から明らかなように、膜厚が300nmを越えるセラミックス膜にあっては、歪みが0.3や0.2、0.1の大きさで、ひび割れが生じている。これに対して、膜厚が300nm以下のセラミックス膜においては、歪みが0.3の大きさでも、ひび割れが、何等生じていない。このことから、ステント表面に、厚さ乃至は高さが300nm以下のセラミックス膜を形成する場合、かかるセラミックス膜が、ステントの変形に対して優れた耐久性を発揮することが判る。
本発明に従う生体内留置器具の一実施形態を示す正面説明図である。 図1におけるII矢視拡大説明図である。 図1に示された生体内留置器具を磁気化している状態を示す説明図である。 図2のIV−IV断面における部分拡大説明図である。 図4におけるV−V断面説明図である。 図1に示された生体内留置器具の表面に形成される磁性体の形成位置を示す説明図である。 本発明に従う生体内留置器具の代替品として、表面に磁性体が形成されてなる樹脂平板に対して引張力を加えた際に、かかる磁性体にひび割れが生じたときと生じなかったときの磁性体の厚さ乃至は高さと樹脂平板の歪みの大きさとの関係を示すグラフである。 本発明に従う生体内留置器具のうち、表面に磁性体が形成されたものとそうでないものとを用いて、それらの表面の動摩擦係数の測定を繰り返し行ったときの、各生体内留置器具毎の測定回数と動摩擦係数との関係を示すグラフである。 本発明に従う生体内留置器具のうち、表面に磁性体が形成されたものとそうでないものとを、血管を模した樹脂チューブ内に押し込んだときの移動距離と押込み荷重との関係を示すグラフである。 本発明に従う生体内留置器具の代替品として、表面にセラミックス膜が形成されてなる樹脂平板に対して引張力を加えた際に、かかるセラミックス膜にひび割れが生じたときと生じなかったときのセラミックス膜の厚さ乃至は高さと樹脂平板の歪みの大きさとの関係を示すグラフである。
符号の説明
10 ステント 12 変形ユニット
14 変形バー 16 接続バー
18 第一枠体 20 第二枠体
22 連結部 24 金属成形体
26 ヨーク 28 磁界発生装置
30 永久磁石 32 磁性体カバー
34 円筒部 36 基板部
38 磁性体 39 側面
40 セラミックス膜 42 磁性体密集部

Claims (11)

  1. 筒状乃至は袋状形態を呈する金属成形体を有して構成されて、生体内の所定部位に挿入、留置される生体内留置器具であって、
    前記金属成形体が、10-9〜0.002Tの範囲内の磁束密度を有する金属材料にて構成されると共に、かかる金属成形体を、その内部にヨークを挿入した状態下において、0.3〜1.2Tの磁束密度を有する磁界内に12〜48時間の間位置せしめることにより、該金属成形体が磁気化されて構成されていることを特徴とする生体内留置器具。
  2. 前記金属成形体の磁気化により、該金属成形体の内側表面と外側表面のうちの何れか一方がN極とされる一方、それらのうちの何れか他方がS極とされている請求項1に記載の生体内留置器具。
  3. 前記金属成形体の表面上に、磁性体が形成されている請求項1又は請求項2に記載の生体内留置器具。
  4. 前記磁性体が、前記金属成形体の表面のうち、少なくとも内側表面上と外側表面上とに形成されている請求項3に記載の生体内留置器具。
  5. 前記磁性体が、スピネル型の結晶構造を有している請求項3又は請求項4に記載の生体内留置器具。
  6. 前記磁性体が、気気混相流と気液混相流と気固混相流と液液混相流と液固混相流のうちの何れか1種類の混相流中での該磁性体の原料の自己組織化により形成されている請求項3乃至請求項5のうちの何れか1項に記載の生体内留置器具。
  7. 前記磁性体が、所定の厚さ乃至は高さを有し、且つかかる厚さ乃至は高さ方向に対する垂直面に交差する側面を有して構成されると共に、それら垂直面と側面との交角の大きさが、45°を越え且つ135°未満の範囲内の値とされている請求項3乃至請求項6のうちの何れか1項に記載の生体内留置器具。
  8. 前記磁性体が、50〜300nmの範囲内の厚さ乃至は高さを有している請求項3乃至請求項7のうちの何れか1項に記載の生体内留置器具。
  9. 前記磁性体の表面の動摩擦係数が、0.2以上で且つ0.5未満の範囲内の値とされている請求項3乃至請求項8のうちの何れか1項に記載の生体内留置器具。
  10. 前記金属成形体の表面上に、ヒドロキシアパタイトからなるセラミックス膜、若しくはヒドロキシアパタイトのOH基の一部がFe,Mg,K,Fの中から選択された少なくとも何れか一つにて置換されたものからなるセラミックス膜が、形成されている請求項1乃至請求項9のうちの何れか1項に記載の生体内留置器具。
  11. 前記セラミックス膜の厚さが50〜300nmの範囲内の値とされている請求項10に記載の生体内留置器具。
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