JP2006105678A - 気密検査装置および気密検査方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対象物100の内部空間101・102の気密性を検査する気密検査装置1に、対象物の開口部101a・101b・102a・102bを閉塞するマスキング部3を該対象物に押し当てる空気バネ44を具備した。また、該気密検査装置に、該空気バネを対象物に対して進退させるシリンダ41と、該空気バネを所定の位置で固定可能な固定部材43・43・43・43と、を具備した。
【選択図】図1
Description
上記エンジンのシリンダブロックやシリンダヘッド等の如く、内部に空間(以下、「内部空間」という)が形成された部材(以下、「対象物」という)の気密性を検査するための気密検査装置は公知となっている。例えば特許文献1に記載の如くである。
ここで、対象物の「開口部」とは、通常、対象物の内部空間と外部とを連通するために意図的に設けられている孔である。
従って、気密検査において検査される対象物の気密性とは、より厳密には対象物の開口部以外の部位において、内部空間から外部への流体の漏れが無いことを指す。
なお、対象物の内部空間が複数に区画されている場合には、該区画された複数の内部空間の一方から他方への流体の漏れが無いことも対象物の気密性に含まれる。
これは、油圧シリンダがマスキングユニットを対象物に押し当てる力がマスキングユニットの略中央部(油圧シリンダのシリンダロッドと接続されている部分の近傍)に集中し、マスキングユニット自身の弾性変形(反り)によりマスキングユニットの周縁部を対象物に押し当てる力がマスキングユニットの略中央部を対象物に押し当てる力と比較して小さくなる傾向があることに起因する。
また、マスキングユニット自身の強度を上げる方法も考えられるが、マスキングユニットの大重量化や大型化を伴うため、設置スペースや設備コストの観点から見て好ましくない。さらに、異なる形状の対象物を同一の気密検査装置で行う場合、通常は対象物に押し当てられるマスキングユニットを交換する必要があるが、マスキングユニットの大重量化および大型化は作業者の負担を大きくする。
対象物の内部空間の気密性を検査する気密検査装置において、
対象物の開口部を閉塞するマスキング部を該対象物に押し当てる空気バネを具備するものである。
前記空気バネを対象物に対して進退させるシリンダと、
該空気バネを所定の位置で固定可能な固定部材と、
を具備するものである。
対象物の内部空間の気密性を検査する気密検査方法において、
対象物の開口部を閉塞するマスキング部を空気バネにより該対象物に押し当てるものである。
ここで、「対象物」とは、内部に空間(以下、「内部空間」という)が形成された部材であり、該対象物の具体例としてはエンジンのシリンダブロックやシリンダヘッドが挙げられる。対象物には通常、内部空間と外部とを連通するために意図的に設けられている孔である開口部が少なくとも1箇所設けられている。
本実施例の場合、対象物100の外形は略直方体であり、内部には二つの区画された(互いに連通していない)内部空間101・102が形成されている。
また、対象物100には、内部空間101と外部とを連通する開口部101aおよび開口部101bがそれぞれ対象物100の上面100aおよび下面100bに設けられる。
さらに、対象物100には、内部空間102と外部とを連通する開口部102aおよび開口部102bがそれぞれ対象物100の上面100aおよび下面100bに設けられる。
胴体部2は気密検査装置1の構造体を成す部材である。胴体部2は主に、下部プレート21、上部プレート22、支持柱23・23・23・23(図1では便宜上手前の二本の支持柱23・23のみ図示)等で構成される。
下部プレート21および上部プレート22はそれぞれ胴体部2の下部および上部を成す平面視略正方形の板状の部材であり、支持柱23・23・23・23は棒状の部材である。
下部プレート21の四隅には支持柱23・23・23・23の下端部が固定され、支持柱23・23・23・23の上端部には上部プレート22の四隅がそれぞれ固定される。
マスキング部3は、対象物100の開口部、具体的には、開口部101a、開口部101b、開口部102a、開口部102bを閉塞するものである。
マスキング部3は主に上面マスキングプレート31、下面マスキングプレート32等で構成される。
上面マスキングプレート31の下面において、開口部101aおよび開口部102aに対応する部分にマスキングゴム31a・31bが設けられる。
マスキングゴム31a・31bは上面100aにおける開口部101a・102aの周縁部に弾性変形しつつ密着することにより、開口部101a・102aを閉塞する(内部空間101および内部空間102を満たす流体がそれぞれ開口部101aおよび102aを通じて外部へ漏れることを防止する)。
下面マスキングプレート32の上面において、開口部101bおよび開口部102bに対応する部分にマスキングゴム32a・32bが設けられる。
マスキングゴム32a・32bは下面100bにおける開口部101b・102bの周縁部に弾性変形しつつ密着することにより、開口部101b・102bを閉塞する(内部空間101および内部空間102を満たす流体がそれぞれ開口部101bおよび102bを通じて外部へ漏れることを防止する)。
また、下面マスキングプレート32には、下面マスキングプレート32の一側端面と、下面マスキングプレート32の上面においてマスキングゴム32a・32bの略中心部に対応する部分と、を連通する流体導入経路32cが形成される。
クランプ部4は対象物100を気密検査装置1に着脱可能に固定するとともに、マスキング部3を対象物100に押し当てるものである。
クランプ部4は、主にシリンダ41、クランププレート42、固定部材43・43・43・43(図1では便宜上手前の二個の固定部材43・43のみ図示)、空気バネ44等で構成される。
なお、シリンダ41は油圧シリンダでも空圧シリンダでも良く、適宜選択することが可能である。
上部面板44aおよび下部面板44bは平面視略円形の板状の部材である。ベローズ部44cはゴム等の弾性変形可能な材料からなる蛇腹状の部材である。ベローズ部44cの上端部は気密的に上部面板44aに固定され、ベローズ部44cの下端部は下部面板44bに気密的に固定される。このようにして上部面板44a、下部面板44bおよびベローズ部44cで囲まれたバネ空間44dが形成される。
下部面板44bにはバネ空間44dと外部とを連通する連通経路44eが形成される。また、下部面板44bの下面には前記上面マスキングプレート31が着脱可能に固定される。
すなわち、マスキング部およびクランプ部の数は、本実施例の如く一つに限定されず、二つ以上でも良い。
流体供給部5は、対象物100の内部空間101および内部空間102に流体を供給するものである。ここで、流体は気体および液体を含む。
本実施例においては、流体として空気を使用しているが、窒素ガス等他の気体を使用することも可能である。
また、本実施例の流体供給部5は、空気バネ44(より厳密には、バネ空間44d)に流体を供給する手段を兼ねている。
圧力測定部6は内部空間101・102に満たされた流体(本実施例では空気)の圧力を測定するものである。本実施例の圧力測定部は差圧計からなり、第一配管52の中途部において、第一開閉弁54よりも下流側(流体導入経路32c側)に設けられる。
なお、本実施例の圧力測定部6は差圧計からなるが、これに限定されず、内部空間101・102に満たされた流体(本実施例では空気)の圧力を測定可能であれば別のものでも良い。
制御部7は気密検査装置1の動作を統括するとともに、気密検査装置1による気密検査の判断を行うものである。
より具体的には、制御部7はシリンダ41、固定部材43(より厳密には固定部材43を支持柱23に固定するためのアクチュエータ)、ポンプ51等に接続され、それぞれの動作を行う。
制御部7は、圧力測定部6(本実施例の場合、差圧計)、第一開閉弁54、第二開閉弁55、第一排出弁56、第二排出弁57、圧力計58等にも接続され、圧力測定部6から取得した内部空間101・102を満たす流体の圧力に関する情報、および圧力計58から取得したバネ空間44dを満たす流体の圧力に関する情報に基づいて、第一開閉弁54、第二開閉弁55、第一排出弁56、第二排出弁57の開閉動作を行うとともに、対象物100の気密性(内部空間101・102から外部への流体の漏れが無いこと)を判断する。
制御部7は専用の制御装置や市販のパソコン等で構成することが可能である。
本実施例の気密検査方法は、対象物100の開口部101a・101b・102a・102bを閉塞するマスキング部3を空気バネ44により該対象物100に押し当てるものであり、基本的には準備工程と検査工程に分かれている。
さらに空気バネ44のバネ空間44dに空気を供給すると、バネ空間44dの空気の圧力により下部面板44bおよび上面マスキングプレート31を下方に押し下げる(押し付ける)力が強くなり、マスキングゴム31a・31bおよびマスキングゴム32a・32bは弾性変形して、それぞれ対象物100の上面100aおよび下面100bに密着する。
バネ空間44dの圧力が所定の値となった時点で、第二開閉弁55は閉じられ、バネ空間44dに供給された空気は密封される。このようにして、対象物100を気密検査装置1に固定するとともに、マスキング部3を対象物100に押し当てる。
制御部7は、内部空間101・102に供給された空気を密封した状態で保持する間に、圧力測定部6から取得した内部空間101・102を満たす流体(空気)の圧力に関する情報に基づいて、対象物100の気密性(内部空間101・102から外部への流体の漏れが無いこと)を判断する。
より具体的には、制御部7は、第二開閉弁55を閉じて内部空間101・102に供給された空気を密封した時点から所定時間経過した時点までの内部空間101・102の圧力の変化量(低下量)が所定の値以上である場合には気密性が確保されていない(内部空間から外部への流体の漏れがある)と判断し、該変化量が所定の値未満である場合には気密性が確保されている(内部空間から外部への流体の漏れが無い)と判断する。
次に、固定部材43・43・43・43を支持柱23・23・23・23に固定した状態から解除し、シリンダ41を作動させてシリンダロッド41bを上方に退避し、クランププレート42、固定部材43・43・43・43、空気バネ44および上面マスキングプレート31を一体的に上方に移動させる。
最後に、対象物100を気密検査装置1から取り出す。
対象物100の開口部101a・101b・102a・102bを閉塞するマスキング部3を該対象物100に押し当てる空気バネ44を具備する。
また、気密検査装置1により行われる本発明の気密検査方法の実施例は、対象物100の内部空間101・102の気密性を検査する気密検査方法であって、
対象物100の開口部101a・101b・102a・102bを閉塞するマスキング部3を空気バネ44により該対象物100に押し当てるものである。
すなわち、空気バネ44は流体(空気)の圧力により上面マスキングプレート31を対象物100に押し付ける力を、該上面マスキングプレート31の全面に略均一に及ぼすことが可能である。また、空気バネ44は、ベローズ部44cの変形量を周方向に関して部分毎に変化させることにより、上面マスキングプレート31をある程度傾斜(チルト)させることが可能である。そのため、マスキング部3を対象物100に確実に密着させ、内部空間101・102から開口部101a・101b・102a・102bを経て外部への流体(空気)の漏れを防止することが可能であり、気密検査の信頼性が向上する。
また、大型のシリンダ等を必要とせず、設置スペースおよび設備コストの点で優れている。
従って、装置の大型化や設備コストの増大を伴うことなく、対象物の開口部を容易かつ確実に閉塞して気密検査を行うことが可能である。
すなわち、空気バネ44の全体を対象物100から退避させることが可能であるため、対象物100を気密検査装置1にセットしたり、気密検査装置1から取り出したりする際の作業性に優れる。
また、検査時には固定部材43・43・43・43により空気バネ44を胴体部2に固定するため、シリンダ41を大型化する必要が無く(シリンダ41は空気バネ44等を進退させるだけの推進力があれば良い)、設備コストに優れる。
このように構成することにより、内部空間101と内部空間102との間の流体の漏れの有無を検査することが可能であるとともに、検査の対象となる内部空間の体積を小さく分割して、検査に要する時間を短縮することが可能である。
3 マスキング部
44 空気バネ
100 対象物
101 内部空間
101a 開口部
101b 開口部
102 内部空間
102a 開口部
102b 開口部
Claims (3)
- 対象物の内部空間の気密性を検査する気密検査装置において、
対象物の開口部を閉塞するマスキング部を該対象物に押し当てる空気バネを具備することを特徴とする気密検査装置。 - 前記空気バネを対象物に対して進退させるシリンダと、
該空気バネを所定の位置で固定可能な固定部材と、
を具備することを特徴とする請求項1に記載の気密検査装置。 - 対象物の内部空間の気密性を検査する気密検査方法において、
対象物の開口部を閉塞するマスキング部を空気バネにより該対象物に押し当てることを特徴とする気密検査方法。
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