しかしながら、この種の従来の自動精米設備では、利用客の選択した各白度に対してそれぞれ一義的に決められた精米条件で精米されるので、湿度および温度が高い夏季や、湿度および温度が低い冬季に精米した際に、選択した白度と実際の白度とが異なるなどの不具合を招くことがあった。
つまり、湿度および温度が高い夏季においては、被処理米である玄米の含有水分が多めでかつ温度が高いために比較的柔らかい状態となって精米処理において削れ易くなる傾向がある。したがって、夏季において精米した場合には、設定した白度よりも実際の白度が高めとなり、利用客が高めの白度(例えば上白)を選択した場合には、米が砕けてしまったり、精米処理時に詰まりを生じたりするおそれがあった。
また、温度および湿度が低い冬季においては、被処理米の含有水分が少なめでかつ温度が低いために比較的硬い状態となって削れ難い傾向がある。したがって、冬季において精米した場合には、利用客が選択した白度よりも実際の白度が低めとなることがあった。
本発明は上記課題を解決するもので、利用客が選択した白度など、意図した白度に良好に精米することができる自動精米設備を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、投入された被処理米に対して自動的に精米処理を行う自動精米設備であって、時間を検知する時計部と、精米条件を記憶する記憶手段と、時計部の時間データに基づいて季節の判定を行い、前記記憶手段で記憶した精米条件に基づいて、その季節まで保存されている被処理米に適した精米条件に補正し、この補正した精米条件で精米させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、時計部の時間データに基づいて季節の判定が行われ、判定された季節まで保存された被処理米のその季節における含有水分量や温度に適した精米条件に自動的に補正されて精米処理される。この結果、夏季や冬季に精米した場合でも、利用客が選択した白度など、意図した白度に良好に精米することができる。
また、本発明は、投入された被処理米に対して自動的に精米処理を行う自動精米設備であって、時間を検知する時計部と、各季節毎の被処理米に対応する精米条件を記憶する記憶手段と、時計部の時間データに基づいて季節の判定を行い、季節に対応する精米条件で精米させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
この構成によっても、記憶手段に各季節毎の被処理米の含有水分量や温度に適した精米条件を記憶させることにより、時計部の時間データに基づいて季節の判定が行われ、判定された季節に対応する被処理米の含有水分量や温度に適した精米条件に自動的に設定されて精米処理される。この結果、夏季や冬季に精米した場合でも、利用客が選択した白度など、意図した白度に良好に精米することができる。
また、本発明は、投入された被処理米に対して自動的に精米処理を行う自動精米設備であって、時間を検知する時計部と、精米条件を設定する設定手段と、少なくとも一部の季節の被処理米に適さない精米条件範囲、または適す精米条件範囲を記憶する記憶手段と、時計部の時間データに基づいて季節の判定を行い、現在設定している精米条件が現在の季節および次の季節の少なくとも一方の季節において、適さない精米条件範囲であること、または適す精米条件範囲でないことを検知した際に警告情報または予告情報を出力させる制御手段とを備えたことを特徴とする。
この構成によれば、時計部の時間データに基づいて季節の判定が行われ、現在設定している精米条件が現在の季節および次の季節の少なくとも一方の季節において適さない精米条件範囲であること、または適す精米条件範囲でないことを検知した際には警告情報や予告情報が出力される。これにより、管理者や係員などは、現在設定している精米条件が現在の季節に応じた精米条件範囲でないことを認識することができ、これに対応して、現在の季節に応じた精米条件範囲に精米条件を変更することで、季節に対応する被処理米の含有水分量や温度に適した精米条件で精米処理されることとなる。また、現在設定している精米条件が次の季節に応じた精米条件範囲でない場合には、この点が予告されて、次の季節までに精米条件の変更を行うべきであることが通知されるので、次の季節までに精米条件の変更を行うことを忘れ難くなる。
以上のように本発明によれば、季節に応じて、その季節の被処理米の含有水分量および温度に適した精米条件に補正したり設定したりすることで、夏季や冬季に精米した場合でも、その季節の被処理米の含有水分量および温度に適した精米条件で精米され、利用客が選択した白度など、意図した白度に良好に精米することができる。この結果、米が砕けてしまったり、精米処理時に詰まりを生じたりすることがなくなり、利用者が意図した白度に良好に精米されるので、信頼性が向上し、ひいては営業売上の増加も期待できる。
また、現在設定している精米条件が現在の季節に応じた精米条件範囲でないことを検知した際に警告情報を出力させることで、管理者や係員などに対して、現在の季節に応じた精米条件範囲に精米条件を変更することを促して変更させることができ、季節に対応する被処理米の含有水分量や温度に適した精米条件で精米処理されることとなる。この結果、夏季や冬季に精米した場合でも、利用客が選択した白度など、意図した白度に良好に精米することができる。この結果、米が砕けてしまったり、精米処理時に詰まりを生じたりすることがなくなり、利用者が意図した白度に良好に精米されるので、信頼性が向上し、ひいては営業売上の増加も期待できる。また、現在設定している精米条件が次の季節に応じた精米条件範囲でないことを検知した際に予告情報を出力させることで、次の季節までに精米条件の変更を行うことを管理者や係員が忘れ難くなる。
以下、本発明の実施の形態にかかる自動精米設備を図面に基づき説明する。
図1〜図5に示すように、この自動精米設備においても、仕切壁1により建屋2の内部が、利用客が自由に出入りできる客室3と、係員や管理人などが出入り可能な機械室4とに仕切られた構造とされている。なお、図1における5は精米済みの白米を収納する白米収納袋、図2における6は、客室3への出入口に配設されている出入口扉、7は係員や管理人などが出入りする管理用扉である。また、建屋2の客室3の一部、例えば、客室3内の出入口扉6が設けられている箇所の上方に、客室3内の利用者の有無を検知する(例えば人体より発せられる赤外線の有無などにより検知する)人検知センサ80が設けられている。
機械室4には、被処理米(玄米)が投入される投入ホッパ8の本体枠部分、投入ホッパ8内に投入された被処理米を石抜機9側に搬送する張込昇降機10、投入された被処理米から石などの異物を取り除く石抜機9、石抜機9で異物が取り除かれた被処理米を精米機11側に搬送する精米昇降機12、実際に精米処理を行う精米機11、精米機11で発生した糠を糠回収袋13側に排出するための糠排出用送風機14や糠排出用ダクト15、糠排出用サイクロン16などが配設されている。また、機械室4における精米機11の略上方箇所に、精米機11へ供給する被処理米を一時的に溜める精米タンク17が配置され、さらに、石抜機9の上方には、石抜機9への被処理米が一時的に溜められたり、精米タンク17で溢れた被処理米が一時的に溜められたりする玄米タンク18が配設されている。
精米機11は、図6、図7に示すような構造とされている。縦方向に配置された本体ケーシング21内に、駆動モータ27(図5参照)により駆動プーリ25を介して回転される中空の回転軸22が配設され、回転軸22の上部に送りロール23が、また回転軸22の下部に突条部を有する精米ロール24がそれぞれ取り付けられ、これらの送りロール23および精米ロール24が回転軸22とともに一体的に回転する。また、26は送りロール23の外周側に配置されて精米室28の外殻部分をなす金属製の網で、網26内の糠を糠排出部29を介して空気とともに糠排出用送風機14により吸引して糠回収袋13内に排出する。なお、本体ケーシング21の上部には、精米タンク17からの被処理米(玄米)を精米室28内に送り込む供給用スクリュ30および供給用ケーシング31を配設している。本体ケーシング21の下端部には、精米室28からの開度を調節することで精米の際の圧力などを調整する開度規制部材32と、この開度規制部材32と精米ロール24との間から排出される白米を下方に案内する排出筒33とが、それぞれ昇降自在に嵌合されている。そして、精米ロール24を駆動させる駆動モータ27の電力量を測定する電力計71(図8参照)の出力情報から精米ロール24の負荷(精米状態の負荷)を検出しながら、所定の負荷状態(駆動モータ27の電力量が所定値)となるように開度調整用モータ34を作動させることで、開度調整用アーム35を介して開度規制部材32の上下位置を変えて、利用者が選択した精米の白度に合った白度の米が得られるように白度制御が行われる。なお、図6、図7における36は、供給用スクリュ30を回転させる玄米供給用モータ、37は、開度調整用モータ34に連結されたねじ軸に螺合して昇降される開度調整用ブロック、38は、開度調整用ブロック37によりその下方への押圧力が調整される付勢ばねである。
図3に示すように、投入ホッパ8の上面開口部分である投入口40の上方箇所には、仕切壁1から機械室4側(奥側)に窪むように一体形成されてなる投入フード41が設けられ、この投入フード41によって投入空間部42が形成されている。そして、この投入空間部42を介して投入口40が客室3に連通するとともに開口するように配設されている。また、投入口40を臨む投入空間部42と客室3内空間とが連通する連通開口部43が、開閉扉44によって開閉される構成とされている。この開閉扉44は、連通開口部43を閉鎖する閉鎖姿勢(図3の仮想線(二点鎖線)部参照)と、この閉鎖姿勢より真上に移動して連通開口部43を開放する開放姿勢(図3の実線部参照)とにわたって昇降する。そして、開閉扉44により連通開口部43を閉鎖した時には、開閉扉44が略鉛直面に沿った姿勢となるように配置されている。なお、この実施の形態では、開閉扉44の上辺部に、開閉扉44を昇降させるためのループ状の昇降用チェーン45の一部と、開閉扉44を、この開閉扉44の重量と略同じ力で引上げるための引上げ用チェーン46の下端部とが固定されている。
昇降用チェーン45は、所定位置に配設された従動スプロケット47と駆動スプロケット48との間に跨って上下にループ状に掛け渡され、駆動スプロケット48を駆動する昇降用モータ(図示せず)が回転駆動されることにより、開閉扉44が昇降するように構成されている。引上げ用チェーン46は、仕切壁1の裏面上端部に回転自在な状態で取り付けられた第1中間スプロケット49と、張込昇降機10上端部に回転自在な状態で取り付けられた第2中間スプロケット50とにわたって掛け渡されており、第1中間スプロケット49から垂下する引上げ用チェーン46の前側の下端部が開閉扉44に取り付けられている一方、第2中間スプロケット50から垂下する引上げ用チェーン46の後側の下端部に、開閉扉44と略同様の重さのカウンタウェイト51が取り付けられている。そして、このカウンタウェイト51の重量が、開閉扉44に対して引上げ方向に作用して、開閉扉44の重量とカウンタウェイト51の重量とが釣り合い、昇降用チェーン45が移動されていない状態では、開閉扉44はその位置が変動しないように図られているとともに、比較的小さな駆動力の昇降用モータの力で支障無く開閉扉44を昇降できるように構成されている。また、詳細には述べないが、開閉扉44が閉鎖姿勢である際に、この閉鎖姿勢をロックするロック装置が設けられている。なお、図3における20は、仕切壁1の表側における連通開口部27の下方箇所において手前側に突出する姿勢に取り付けられた載せ台で、利用者が持参した被処理米入りの袋などを載せることができるようになっている。
図1、図2に示すように、客室3に対してその前面部が臨むように操作制御盤60が配設されている。操作制御盤60の前面部には、精米処理料金としてのコインを投入するコイン投入口61や、白度(この実施の形態では、5ぶ、7ぶ、普通、上白)を選択する複数の白度選択ボタン62、もち米を選択するもち米選択ボタン63などが設けられている。操作制御盤60の内部には、コインの投入の検知や白度選択ボタン62の選択などに応じて各駆動部分などを制御する制御部64が内蔵されている。図8に示すように、制御部64には、制御部64には計時して年月日時分秒などの時間データを出力する時計部72と、複数の精米条件などを含む各種情報を記憶した記憶部73と、精米機11の駆動モータ27の電力量を測定する電力計71とが接続されて、これらから信号を入力するようになっているとともに、精米機11に関する駆動部分である、精米室28へ玄米を供給する供給用スクリュ30を駆動する玄米供給用モータ36と、送りロール23や精米ロール24が組み付けられた回転軸22を駆動する駆動モータ27と、開度規制部材32の付勢力を調整する開度調整用ブロック37とを駆動制御するようになっている。
操作制御盤60の前面部には、錠付きのハンドル65が設けられている。そして、管理者や係員などがハンドル65の錠に所定の鍵を差し込んで解錠し、ハンドル65を把持して手前側に引くことで、操作制御盤60の前面部が手前側に回動し、内部に設けられた、図9に示すような設定手段としての設定用操作部66を操作できるようになっている。この設定用操作部66には、この自動精米設備の種々の動作条件を設定したり、精米機や石抜機のテスト動作を行わせたりするための複数の入力用押しボタン67a〜67iと液晶の表示部68とが設けられている。そして、これらの入力用押しボタン67a〜67iを用いながら所定の操作を行うことで、後述する白度レベルを設定することができるようになっている。ここで、「白度レベル」とは、精米時において精米室28内の精米負荷圧力の調整具合によって、精米した被処理米の白度が変化するので、この白度を精米具合の程度に応じてランク付けして数値化する精米条件のレベルのことである。例えば、この実施の形態では、白度レベルを1〜25の範囲内で設定可能とされ、白度レベルが大きいほど、精米室28内の負荷が大きい状態で精米されるようになっている。なお、図9においては、「標準」の白度における白度レベル設定時の入力確定画面を表示させている状態を示している。なお、白度レベルは、例えば初期値として、「5ぶ」の白度が白度レベル10、「7ぶ」の白度が白度レベル16、「標準」の白度が白度レベル19、「上白」の白度が白度レベル20に設定されて記憶されているが、管理者や係員などにより、大きい設定白度ほど白度レベルが高くなる条件を満たす範囲内で調整することも可能とされている。
さらに、この制御部64は、時計部72の時間データに基づいて季節の判定を行い、季節に応じてその季節まで保存された被処理米のその季節における含有水分量および温度に適した精米条件に補正するようになっている。例えば、この実施の形態においては、時間データに基づいて、3月〜5月を春季、6月〜8月を夏季、9月〜11月を秋季、12月〜2月を冬季として判定し、判定された季節が春季または秋季である場合には、精米条件としての白度レベルをそのまま用いて(すなわち、例えば、設定白度が上記初期値のままであった際には、「5ぶ」の白度が白度レベル10、「7ぶ」の白度が白度レベル16、「標準」の白度が白度レベル19、「上白」の白度が白度レベル20として用いる)精米処理を行わせる一方、夏季と判定された場合には、被処理米である玄米の含有水分が多めでかつ温度が高いために比較的柔らかい状態となっていることを考慮して、精米条件としての白度レベルを2つ下げる補正を行って(すなわち、例えば、設定白度が上記初期値のままであった際には、「5ぶ」の白度が白度レベル8、「7ぶ」の白度が白度レベル14、「標準」の白度が白度レベル17、「上白」の白度が白度レベル18と補正して)精米処理を行わせ、冬季と判定された場合には、被処理米の含有水分が少なめでかつ温度が低いために比較的硬い状態となっていることを考慮して、精米条件としての白度レベルを2つまたは1つ上げる補正を行って(すなわち、例えば、設定白度が上記初期値のままであった際には、「5ぶ」の白度が白度レベル12、「7ぶ」の白度が白度レベル18、「標準」の白度が白度レベル20、「上白」の白度が白度レベル21と補正して)精米処理を行わせる。なお、夏季での白度レベルを下げる補正量や、冬季での白度レベルを上げる補正量については、管理者や係員が設定用操作部66を操作することで調整可能に構成されている。また、この実施の形態においては、うるち米ともち米とを個別に設定したり、調整したりすることもできるよう構成されている。なお、この初期設定時の各季節での白度レベルの表を図10に示す。
また、この実施の形態では、人検知センサ80により客室3内の利用者の有無を検知しており、客室3内に人がいない場合には、投入口40に連通する連通開口部43を開閉する開閉扉44が閉じられており、コイン投入口61からコインが投入されたことを検知してから、開閉扉44が開けられるようになっている。そして、利用客により、被処理米が投入口40に投入され、精米処理が行われて終了し、利用客が客室3から出て行ったことを検知した段階で開閉扉44を閉じるように構成されている。
また、客室3内の目立つ箇所には、案内表示板が取り付けられ、コインの投入により開閉扉44が自動的に開けられ、利用客が客室3から出ることにより開閉扉44が自動的に閉じられることなどを示す案内表示が記載されている。また、図示しないが、操作制御盤60の一部にはスピーカなどの音声発生手段が設けられ、制御部64に接続された記憶部73には、利用者などへの案内メッセージや以下に述べる警告情報も記憶されている。
上記構成によれば、時計部72の時間データに基づいて季節の判定が行われ、夏季や冬季に精米した場合でも、その季節の被処理米の含有水分量および温度に適した負荷状態などの精米条件で精米され、利用客が選択した白度など、意図した白度に良好に精米することができる。
すなわち、例えば、現在8月である場合において、利用者が「上白」の白度選択ボタン62を押して選択した場合には、白度レベルが19に補正されてこの白度レベルに応じた精米条件(負荷条件)で精米される。これにより、他の季節の場合よりも、大気の湿度および温度が高いために被処理米が比較的柔らかい状態となっていることが多くて削れ易いにもかかわらず、利用者が意図した良好な「上白」の白度の状態に良好に精米され、信頼性が向上する。また、被処理米が砕けてしまったり、精米処理時に詰まりを生じて故障したりするおそれもないので、利用者だけでなく管理者にとっても信頼性が向上する。
また、12月などの冬季に精米させた場合に、大気の湿度および温度が低いために被処理米が削れ難い状態である場合が多いにもかかわらず、利用者の意図した白度よりも低い白度となることを防止できて、利用者が意図した白度に良好に精米される。
なお、この実施の形態においては、夏季や冬季に精米した場合に、負荷状態などの精米条件が自動的に補正される場合を述べ、これによれば、利用者や管理者などが、夏季や冬季の際の負荷状態などの精米条件(この実施の形態では白度レベル)を入力しなくてもよいので、この精米条件の入力の手間を省くことができる利点がある。しかしながら、これに限るものではなく、例えば、記憶部73に春季、夏季、秋季、冬季のそれぞれの5ぶ、7ぶ、標準、上白の各白度レベルを記憶する領域を設けて、各季節毎の各設定白度をそれぞれ、入力して設定ならびに変更可能に構成してもよい。この場合には、例えば、初期設定値として、上記した白度レベルと同様の白度レベルを予め記憶させておき、利用者や管理者などが、各季節毎の各設定白度(例えば、夏季の「5ぶ」の白度レベル等)を変更可能に構成してもよく、この場合には、利用者や管理者などが初期設定値のままでよいと考える際には、この利用者や管理者などが白度レベルを入力しなくても済む利点がある。なお、単に、各季節毎の各設定白度を入力可能に構成し、例えば、この自動精米設備に付属する取扱説明書などに、各季節毎の各設定白度の白度レベルの例などを記載して、利用者や管理者などに入力してもらうように構成してもよい。この場合には、入力に際して多くの手間がかかるものの、この構成によっても、季節にかかわらず、利用客が選択した白度に対応する白度に良好に対応させて精米することは可能である。
また、さらに他の実施の形態として、少なくとも一部の季節の被処理米の含有水分量および温度に適した精米条件範囲を予め記憶部73に記憶させ、時計部72の時間データに基づいて季節の判定を制御部64により行い、現在設定している精米条件が現在の季節に応じた精米条件範囲でないことを検知した場合には、管理者や係員が、操作制御盤60の前面部を開けて、設定用操作部66の操作が行われている際などに、音声出力や液晶表示などにより、現在設定している精米条件が現在の季節に応じた精米条件範囲でないことを通知する警告情報を出力させるように構成してもよい。
例えば、季節を区別することなく、単に、各精米白度に対応する白度レベルを設定するように構成された自動精米設備においては、記憶部73に各季節毎の被処理米に適さない精米条件範囲を記憶させ、時計部72の時間データに基づいて季節の判定を行い、現在設定している精米条件が現在の季節において適さない精米条件範囲であることを検知した際に警告情報を出力させるように構成するとよい。例えば、大まかに判定させる手法としては、記憶部73に、夏季における適した精米条件である「標準」の設定白度の白度レベルが17以下であり、冬季における適した精米条件である「標準」の設定白度の白度レベルが20以上であることを記憶させておく。そして、時計部72の時間データに基づいて、現在の季節が例えば夏季であることを認識するとともに、白度が「標準」である白度レベルを認識し、この白度レベルが18以上である場合には、「標準」を含めた全体的な白度の設定が、夏季における白度レベルとして高すぎると判定し、例えば、「白度レベルを下げてください」との警告表示を設定用操作部66の表示部68に表示させたり、音声を出したりして行う。一方、例えば冬季には、現在の季節が冬季であることを認識するとともに、白度が「標準」である白度レベルを認識し、この白度レベルが19以下である場合には、「標準」を含めた全体的な白度の設定が、冬季における白度レベルとして低すぎると判定し、例えば、「白度レベルを上げてください」との警告表示を設定用操作部66の表示部68に表示させたり、音声を出したりして行う。なお、この制御動作を図11に示す。
このように、警告表示を見たり、音声にて警告を受けたりした管理者や係員がこの警告に従って、適正な精米条件(白度レベル)に設定しなおすことにより、その季節に合った精米条件に変更され、精米処理時において、利用者が意図した白度の状態に良好に精米されて、信頼性が向上する。また、被処理米が砕けてしまったり、精米処理時に詰まりを生じて故障したりするおそれもない。
なお、上記の場合には、「標準」の白度レベルから、おおよその白度の設定状態を把握して、適していない白度レベルに設定されている場合に警告するように構成した場合を述べたが、これに限るものではなく、全ての白度(5ぶ、7ぶ、標準、上白)におけるそれぞれ適した白度レベルを記憶して、適していない場合に警告してもよい。また、精米条件の設定により支障を生じやすい特定の季節や特定の精米条件(精米白度)のみを指定して、例えば、夏季の上白、標準の適した白度レベルや、冬季の5ぶ、7ぶ、標準の適した白度レベルだけを記憶して、この白度レベルでない場合に警告するように構成してもよい。
さらに上記構成に加えて、現在設定している精米条件が次の季節において適さない精米条件範囲であることを検知した際に予告情報を出力させるように構成してもよい。例えば、時計部72の時間データに基づいて、次の季節が例えば夏季であることを認識するとともに、白度が「標準」である白度レベルを認識し、この白度レベルが19以上である場合には、「標準」を含めた全体的な白度の設定が、夏季における白度レベルとして高すぎると判定し、例えば、「夏季になるまでに白度レベルを下げてください」との予告表示を設定用操作部66の表示部68に表示させたり、音声を出したりして行う。一方、例えば冬季には、次の季節が冬季であることを認識するとともに、白度が「標準」である白度レベルを認識し、この白度レベルが19以下である場合には、「標準」を含めた全体的な白度の設定が、冬季における白度レベルとして低すぎると判定し、例えば、「冬季になるまでに白度レベルを上げてください」との警告表示を設定用操作部66の表示部68に表示させたり、音声を出したりして行う。なお、この制御動作を図12に示す。
このように、管理者や係員が予告表示を見たり、音声にて予告を受けたりすることにより、その季節になるまでに精米条件を変更しなければならないことが知らされるので、精米条件の変更を管理者や係員が忘れ難くなり、信頼性が向上する。なお、例えば、次の季節に近づいた場合(例えば2週間前になった場合など)のみ予告するように構成してもよい。
また、上記の場合には、どの季節であっても、単に、各精米白度に対応する白度レベルを設定するように構成された自動精米設備の場合を述べたが、これに限るものではなく、各季節毎に、各精米白度に対応する白度レベルを設定するように構成された自動精米設備に上記のような警告・予告機能を付加してもよいことはもちろんである。
また、上記の実施の形態においては、季節として1年を春季、夏季、秋季、冬季の4つに分けた場合を述べたが、これに限るものではなく、おおまかに、夏季と冬季との2分割(または3分割も可能)で記憶、判定させたり、1月毎など、5分割以上に分割して記憶、判定させたりしてもよい。
また、上記実施の形態では、精米条件として白度の負荷状態を制御する場合を述べたが、これに限るものではなく、精米時間などについて記憶、入力、警告などできるように制御してもよい。また、上記構成の精米機11や開閉扉44を有する構成に限定されるものではないことは申すまでもない。
また、上記実施の形態では、被処理米が玄米である場合を述べたが、これに限るものではなく、籾摺装置を備えて、投入口に投入される被処理米が籾である自動精米設備にも適用できることはもちろんである。