JP2006073046A - 光ピックアップ装置 - Google Patents

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裕明 下薗
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Abstract

【課題】異なる波長の光束に対する集光点が、動作温度の変動により生じる回折角の変動によってずれて不一致を抑制できる光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】それぞれ第1の波長、第2の波長の光束を出射する光源1aおよび1b、光学記録媒体6、7の情報記録面6a、7aで反射された,第1の波長および第2の波長の戻り光を回折させて透過させる回折素子8、回折素子から出射されたそれぞれの波長の戻り光を受光する受光素子9とを備える光ピックアップ装置において、光学記録媒体からのそれぞれの波長の戻り光は、回折素子8により同一次数で回折され透過されるため、動作温度が変動して光源が出射する光束の波長が変化しても、それぞれの波長の戻り光の集光点がずれて不一致を生じることが抑制された光ピックアップ装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、CD、DVD等のディスクの厚さや記録密度の異なる光記録媒体への情報の記録または光記録媒体からの情報の再生をおこなう光ピックアップ装置に関する。
従来、光記録媒体への情報の記録または光記録媒体からの情報の再生(以下、単に「光記録媒体の記録再生」という。CD、DVD等の具体的な記録媒体に対しては、「CDの記録再生」、「DVDの記録再生」等というものとする。)が、CD、DVD等の異なる種類の光記録媒体間で可能な光ピックアップ装置が知られている。ここで、CDの記録再生には780nm付近の波長のレーザ光源が必要であり、DVDの記録再生には650nm付近の波長のレーザ光源が必要であることが知られている。
このように波長が異なる光記録媒体間で光記録媒体の記録再生をおこなうことができるようにするため、従来、発振波長の異なる2個のレーザを搭載した、いわゆる、2レーザ方式の光ピックアップ装置が実用化された。これは、個別に製作されたレーザを1つの光ピックアップ装置上に搭載するものである。近年、光ピックアップ装置の小型化および低価格化を図るため、発振波長の異なる複数のレーザダイオードを単一基板上に一体集積した、いわゆる、ツインレーザが開発され、実用化されてきた。
上記のツインレーザを搭載した光ピックアップ装置では、コリメーターレンズ、対物レンズ等の光学系を異なる2波長の光束で共通に使用すると、光記録媒体の情報記録面で反射して戻ってきた光束はそれぞれ異なる位置に集光されるため共通の受光素子で受光することができない問題があった。
この問題を解決するために、従来の光ピックアップ装置では、光記録媒体の情報記録面で反射して戻った異なる2波長の戻り光束に対して、回折素子を用いて、一方の波長の光束を1次で回折させ透過させ(以下、回折透過させ、という)、他方の波長の光束を0次で回折透過させ(すなわち、実質的に光束を曲げずに透過させ)、回折素子から出射されたそれぞれの戻り光束の集光点を一致させる方法がとられていた(例えば特許文献1参照)。しかし動作温度が変動するとレーザ光源の波長が変化し、波長に比例して回折素子の回折角が変化するので、この方式では、0次光は回折素子で回折されないのでほとんど影響を受けないが、回折角の変化のため1次回折光は集光点が変動して、2つの光束の集光点を一致させることができなくなるという問題があった。
かかる温度変動の影響を回避するために、例えば、特許文献2には、回折素子の材料としてそれまで用いられていた線膨張係数の小さい無機材料の代わりに、線膨張係数の大きい合成樹脂を用い、温度変動により回折格子のピッチが変動することを利用して動作温度の変動による波長の変化に伴う回折角の変動を相殺しようとする技術が開示されている。
特開2001−307369号公報 特開2002−116314号公報
しかし、特許文献2に開示された従来の技術では、動作温度の変動に伴う回折角の変動を相殺できる適切な材料の選択が困難であるという問題があった。すなわち、レーザの温度変化に対する波長変動は0.25nm/℃程度であるが、この波長変動を相殺するためには線膨張係数が3×10−4/℃程度の樹脂が望ましいのに対して、光ピックアップ装置に用いられるアクリルまたはポリオレフィン系樹脂等の、いわゆる光学グレードの樹脂は線膨張係数が7×10−5/℃程度と乖離しており、十分な特性は得られなかった。
また、上記材料は、樹脂のため熱伝導率が小さく、レーザ光照射や他の部材からの伝熱等により局所的な熱膨張、熱収縮により生じる熱歪みを小さくすることは困難であった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、線膨張を利用して動作温度の変動による回折角の変動を相殺するような素子を追加することなく、動作温度が変動しても、異なる波長の光束に対する受光素子面での集光点がずれて不一致を生じることが抑制された光ピックアップ装置を提供する。
本発明は、前述の課題を解決するためになされたもので、第1の波長の光束を出射する第1の光源と、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光束を出射する第2の光源と、光記録媒体で反射された前記2つの波長の戻り光束を集光させる光学手段と、前記光学手段を経て入射した前記2つの波長の戻り光束の戻り光束を回折させ透過させる回折素子と、前記回折素子で回折され透過された前記戻り光束の集光点に配設され、前記2つの波長の戻り光束を受光する受光素子と、を備える光ピックアップ装置であって、前記回折素子が、同一次数で回折させ透過させることにより前記2つの波長の戻り光束の集光点を受光素子上で略一致させることを特徴とする光ピックアップ装置を提供する。
ここで、前記回折素子による回折次数は1次であることが好ましい。
また、前記回折素子は、透明基板に直線状または曲線状の溝が周期的に形成された回折素子であって、溝周期のピッチが5〜20μmであることが好ましい。
本発明における前記周期的に形成された溝の断面形状は、鋸歯状であることが好ましい。あるいは、断面形状が階段状であってもよく、その場合、周期構造の1周期が6〜32ステップの階段によって構成されることが好ましい。
また、前記回折素子を構成する材料は、無機材料であることが好ましい。
さらにまた、本発明は、前記回折素子が、光学系の光軸に対して所定の角度で設置されている光ピックアップ装置を提供する。
本発明によれば、動作温度が変動したときに受光素子面での異なる波長の光束に対する集光点がずれて不一致を生じる問題が抑制された光ピックアップ装置が提供できる。
以下に本発明の光ピックアップ装置を、図1は、本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置の概略構成図を用いて具体的に説明するが、本発明は以下の記載に限定されない。本発明の光ピックアップ装置は、第1の波長λの光束を出射する第1の光源1a、第2の波長λの光束を出射する第2の光源1b、光学素子2、コリメーターレンズ3、絞り4、対物レンズ5、および、第1の光記録媒体6の情報記録面6aまたは第2の光記録媒体7の情報記録面7aで反射された戻り光束を検出する受光素子9を備えている。
第1の光源1aから出射された光束は、光学素子2で反射され、コリメーターレンズ3、絞り4、対物レンズ5を介して、第1の光記録媒体6の情報記録面6aに集光、照射される。また、第2の光源1bから出射された光束は同様に、光学素子2で反射され、コリメーターレンズ3、絞り4、対物レンズ5を介して、第2の光記録媒体7の情報記録面7aに集光、照射される。
情報記録面6aまたは7aで反射された戻り光束は、対物レンズ5、絞り4、コリメーターレンズ3、光学素子2を透過して受光素子9に導かれる。受光素子9で検出された出力信号を用いて、第1の光記録媒体6の情報記録面6a、または、第2の光記録媒体7の情報記録面7aに記録された情報の読み取り信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号が得られる。なお、光ピックアップ装置には、上記フォーカスエラー信号に基づいて、レンズを光軸方向に移動する機構(フォーカスサーボ)、及び上記トラッキングエラー信号に基づいて、レンズを光軸にほぼ垂直の方向に移動する機構(トラッキングサーボ)が備えられているが、図1では省略されている。
第1の光源1aとしては、波長650nm近傍の直線偏光の発散光束を出射する半導体レーザ光源が、第2の光源1bとしては、波長780nm近傍の直線偏光の発散光束を出射する半導体レーザ光源がそれぞれ例示されるが、これらに限定されない。また、上記第1の光源1aと第2の光源1bとは別体で構成されるものには限定されず、単一の半導体基板上に波長の異なるレーザを一体に集積した、いわゆる、ツインレーザでもよい。ここで、波長650nm近傍とは630〜670nmの波長範囲をいい、波長780nm近傍とは760〜800nmの波長範囲をいう。
光学素子2は、第1の光源1aおよび第2の光源1bから出射された光束をコリメーターレンズ3側に反射させると共に、光記録媒体からの戻り光を透過させて受光素子9に導く機能をもつ。かかる光学素子としてはハーフミラー、偏光ビームスプリッタが例示されるが、これに限定されない。偏光ビームスプリッタを用いる場合は、光学素子2と光記録媒体6、7との間、好ましくは光学素子2とコリメーターレンズ3との間に1/4波長板を配設し組み合わせて用いると、光源からの光束を有効に利用できて好ましい。
コリメーターレンズ3は、前記光源から光学記録媒体へ至る光路においては、前記光学素子2で反射された光束を、略平行光に変換する機能をもつ。また、光学記録媒体から受光素子へ至る光路においては、後述の対物レンズと組み合わせて用いられて、光学記録媒体からの戻り光束を集光させ、光学素子2、回折素子8を経て受光素子9の受光面上に集光させる機能をもつ。
絞り4は、光源1aおよび光源1bからの光束を選択的に開口制限することによって、開口数NAを設定するようになっている。これによって、光記録媒体の記録再生の際、第1の光記録媒体6用の開口数と第2の光記録媒体7用の開口数とが異なる場合、絞り4により開口数を調整できる。絞り4には、機械的絞り、光学的絞り等があり、特に限定されない。NAの値としては、第1の波長λの光束に対しては0.65、第2の波長λの光束に対しては0.50が例示されるが、これに限定されない。なお、第1の光記録媒体6用の開口数と第2の光記録媒体7用の開口数とが同じである場合には、絞り4は用いなくてもよい。
対物レンズ5は、第1の波長λおよび第2の波長λにおいて共通に使用できる程度に収差補正された単レンズであり、第1の波長λおよび第2の波長λのそれぞれの平行光を光記録媒体6の情報記録面6a、および、光記録媒体7の情報記録面7aに集光させるようになっている。かかる対物レンズ5として、例えば、特開2001−344798号公報に開示された対物レンズ等を用いることができる。
第1の光記録媒体6は、波長λの光束を用いた情報の書き込みまたは読み出しに用いるものであり、例えば、0.6mmの保護層厚を有する。また、第2の光記録媒体7は、波長λの光束を用いた情報の書き込みまたは読み出しに用いるものであり、例えば、1.2mmの保護層厚を有する。
回折素子8は、第1の波長の戻り光、および第2の波長の戻り光のそれぞれを、同一次数で回折させて透過させ、受光素子上の略同一点に集光させるように構成される。そのとき、回折次数を1次とすると回折効率が高いので好ましい。
前記回折素子は透明基板の表面に周期的に形成された直線状または曲線状の溝を備えていて、かかる溝周期のピッチが5〜20μmであることが好ましい。溝周期のピッチが5μm未満では回折素子の理論回折効率は82%あるいはそれ以下であり光ピックアップ装置に用いるために必要な80%以上の回折効率が得られないおそれがある。高い回折効率を得るためには7μm以上が好ましく、9μm以上とすると理論回折効率88%が得られるのでより好ましい。溝周期のピッチを20μm超とすると、回折素子と受光素子との間隔を15mm超とする必要があり光ピックアップ装置をコンパクト化できないおそれがある。コンパクト化するために溝周期のピッチは好ましくは15μm以下であり、より好ましくは12μm以下である。
前記周期的な溝の断面形状を鋸歯状または階段状とすると、前記同一次数の回折をさせるときに高い回折効率が得られて好ましい。前記周期的な溝の断面形状を図3に断面図を示したような階段状とする場合には、周期構造の1周期を6〜32ステップのいずれかのステップ数の階段状とすると、高い回折効率の回折素子を簡易に製作することができて好ましい。かかる回折素子は、バイナリブレーズド回折素子と称されるものである。また、前記周期的な溝の断面形状は図4に断面図を示したような鋸歯状とすると、さらに高い回折効率が得られて好ましい。
かかる回折素子を用いることにより、それぞれの波長の戻り光を、高い回折効率で、かつ、コンパクトな構成のピックアップ装置で、受光素子面上の略同一点に集光させることができる。
また、前記回折素子の溝形状を直線状に代えて曲線状とすると、例えば光学素子2として平行平板型のハーフミラーを用いた場合に発生するコマ収差を低減する機能を持たせたり、フォーカス検出手段に非点収差法を用いる場合の光束の非点収差量を低減したり適切に設定したりする機能を付加できたりして好ましい。
前記回折素子を形成する透明基板の材料としては、線膨張係数が小さい石英ガラスが、熱歪みを小さく抑えられるので好ましいが、これに限定されず、前記光源の波長に対して透明な材料であれば光学ガラス等の無機材料などを用いることも可能である。
前記回折素子は、既知のフォトリソグラフィとエッチングにより光学基板に前記周期的な溝を形成して、作製することが好ましいが、切削加工、スタンプ法など、他の方法も適用可能である。また、断面形状が鋸歯状あるいは階段状である周期的な溝は、基板を直接加工して形成してもよいが、透明基板上に透明材料からなる層を被覆し、かかる層を加工して形成してもよい。被覆した層を加工する方法によれば、溝を形成する材料を選ぶことにより所望の屈折率をもつ材料の回折素子が得られるので好ましい。
あるいは前記光学素子として、異なる屈折率をもつ材料で前記回折素子を2つ形成し、かかる2つの回折素子を対向配設し、2つの回折素子の間に、前記2つの波長のいずれかの波長において前記異なる屈折率をもつ材料のいずれかと等しい屈折率をもつ材料を挟持させた、積層構造の回折素子を用いてもよい。かかる積層構造の回折素子を用いると、それぞれの波長における回折効率を最適化できるので好ましい。
受光素子9は、光記録媒体6の情報記録面6a、および、光記録媒体7の情報記録面7aからの反射光を受光し、受光した反射光に基づき、これらの各情報記録面6a、7aに記録された情報に応じた読み取り信号、および、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号の各信号を生成し、外部に出力するようになっている。
上記の本発明の実施の形態に基づく具体的な実施例を以下に説明するが、本願発明は下記の記載に限定されるものではない。なお、例1と例3〜6は実施例、例2は比較例である。
[例1]
本実施例にかかる光ピックアップ装置の光学配置は、図1に示す実施態様の光学配置と同様とする。すなわち、本発明の光ピックアップ装置は、波長λ=650nm、λ=780nmの直線偏光の発散光束をそれぞれ出射する半導体レーザ光源1aおよび1b、光学素子2、コリメーターレンズ3、光源1aおよび光源1bからの光束を選択的に開口制限し、第1の波長λの光束に対しては0.65、第2の波長λの光束に対しては0.50の開口数をもつ絞り4、対物レンズ5、戻り光束を検出する受光素子9、を備えている。ここで光源としては発光点間距離d=110μmの2波長光源を、光学素子2には厚さ0.5mmのBK7(商品名:ショット社製)を用いたハーフミラーを、それぞれ用いる。
本例の光ピックアップ装置は、第1の波長の戻り光束の集光点および第2の波長の戻り光束の集光点を一致させるために、回折素子8によりそれぞれの戻り光束を一次で回折させ透過させるものである。以下の説明では、特に断らない限り、回折素子8における回折の次数は1次とする。
まず、回折素子8の機能について、図2を用いて具体的に説明する。第1の波長の戻り光は符号21の方向で回折素子8に入射し、回折により符号23の角度だけ進行方向が曲げられて符号22の方向に回折透過される。また、第2の波長の戻り光は、符号25の方向で回折素子8に入射し、回折により符号27の角度だけ進行方向が曲げられて符号22と同一方向である符号26の方向に回折透過される。符号29は、第1の波長の戻り光と第2の波長の戻り光が回折素子8に入射する入射角の差である。
ここで、第1の波長をλ、第1の波長の戻り光の回折素子8への入射角をα、第1の波長の戻り光の回折素子8による回折角をα’、第2の波長をλ、第2の波長の戻り光の回折素子8への入射角をα、第2の波長の戻り光の回折素子8による回折角をα’、回折素子8の溝周期のピッチをpとすると、
α’=α+λ/p
α’=α+λ/p
なる関係が成り立つ。また、第1の光源の発光点と第2の光源の発光点の距離をdとすると、回折素子8で回折した光束は、回折素子から、図2に示した距離
L=d/|α−α
だけ離れた点に集光点を持つ。
以上から、それぞれの波長の光束の集光点を一致させるためには、
α’=α
即ち、
|λ−λ|/p=d/L
を満足するように、p、Lを決めればよいことがわかる。
本例の回折素子8は、段差sが0.254μmで6ステップの階段によって構成された階段状の断面形状の直線状の溝が溝周期p=10μmのピッチで周期的に形成された周期構造をもち、フォトリソグラフィグラフィとエッチングにより石英ガラスを微細加工して形成されている。
図3は、本例の回折素子8を入射光33、34、および出射光35の光軸を含む面で切断したときの、出射光の光軸近傍の断面図であって、符号31で示す周期構造を有する面が第1および第2の波長の戻り光束の入射面であり、符号32で示す面が出射面である。
波長λ=650nm、λ=780nmの光束を出射し、発光点間距離d=110μmの2波長光源を用いて、波長1および波長2の光束を、本例の回折素子8への入射角度がそれぞれα=0.013rad、α=0.000radとなるように入射させると、2つの波長の光束は、回折素子の法線方向に対して等しい回折角度α’=α’=0.078radで回折透過されて、回折素子から距離L=8.46mm後方の一致した集光点に集光される。
そのときの回折効率は、第1の波長λ(650nm)の光束、および、第2の波長λ(780nm)の光束に対して82%であり、光ピックアップ装置に適用するために必要な80%以上の値が得られる。
なお、階段状の周期構造の1周期は、本例で用いた6ステップには限定されない。周期構造の1周期を6ステップ以上とすると、前記2つの波長の光束の回折効率をさらに向上させることができる。表1に階段状のステップ数とそのときの回折効率(%)をまとめたように、8ステップとすると84%、10ステップでは86%、32ステップでは87%の回折効率が得られる。
Figure 2006073046
以下に、動作温度の変動(以下、単に温度変動という。)により、回折素子8により回折された光束の光軸方向(以下、回折方向という。)がどのように変化するかを説明する。
温度変動したときに第1の光源1aの波長変化Δλにより引き起こされる、第1の波長の光束の回折方向の変化Δαは、
Δα=Δλ/p
である。ここで、第1の光源1aの波長変化Δλは、第1の光源1aの温度変動による波長変化率をWnm/℃、温度変動をΔT℃を用いて、
Δλ=W・ΔT
と現わされるので、
Δα=W・ΔT/p
となる。また、同様にして、第2の波長の光束の回折方向yの変化Δαは、第2の光源2aの温度変動による波長変化率をWnm/℃とすると、
Δα=Δλ/p=W・ΔT/p
となる。
したがってΔT℃の温度変動に対する、第1の波長の戻り光および第2の波長の戻り光が回折素子8を回折して出射する光束の方向のずれΔαは、
Δα=|Δα−Δα
=|(W−W)・ΔT/p|
となる。
ここで、第1の光源1a(波長650nm)の単位温度当たりの波長変化Δλは0.20nm/℃程度であり、第1の光源1a(波長780nm)の単位温度当たりの波長変化Δλは0.25nm/℃程度であるので、2つの波長の光束の回折方向のずれΔαは、
Δα=|0.05・ΔT/p|
となる。
[例2]
例1で得られた、本発明の光ピックアップ装置を用いたときの前記2つの波長の光束の回折方向のずれを、第1の波長650nmの光束を0次で回折透過させ(すなわち実質的に光束を曲げずに透過させ)、第2の波長780nmの光束を1次で回折透過させて集光点を一致させる回折素子を用いる、従来の光ピックアップ装置での集光点のずれと比較してみる。
従来の光ピックアップ装置では、第1の波長650nmの光束に対しては、0次で回折透過させるため、温度変動により波長変動が生じても回折方向は変化しない。これに対して、第2の波長780nmの光束は1次回折させて回折透過させるため、温度変動ΔTにより波長変動Δλが生じると、
Δα=Δλ/p=W・ΔT/p
なる回折角の変化が引き起こされる。
その結果、本例における、温度変動ΔTによる回折方向のずれΔαは、
Δα=|Δα|=|W・ΔT/p|
となる。ここで、Wは0.25nm/℃程度であるので、
Δα=|0.25・ΔT/p|
となる。
例1と例2とを比べると、例1の温度変動ΔTによる回折方向のずれΔαは、上記で得られた例2のずれの1/5と小さく、第1の波長の戻り光および第2の波長の戻り光をともに1次回折させる本発明の光ピックアップ装置構成を用いることにより、集光点のずれを効果的に抑制できることが示された。
[例3]
例1では、回折素子を光学系の光軸に対して垂直に設置したが、光学系の光軸に対して斜めに配置すると、例えば光学素子2として平行平面形状のハーフミラーを用いた場合に発生する非点収差を低減する機能を持たせることができるので好ましい。図5に示した本発明の光ピックアップ装置の回折素子周辺の構成図のように、回折素子8をハーフミラーの傾きと同じ方向に4°傾ける(以下、−4°傾ける、という)と、前記2波長の戻り光の集光点を一致させるとともに、非点収差を第1の波長(DVD)に対して0.03λ、第2の波長(CD)に対して0.01λ(いずれも波面収差RMS値であり、以下、収差値は同様に波面収差RMS値であらわす)まで低減できる。
[例4〜6]
例1では、回折素子として溝が平行な直線状で等間隔の格子を用いたが、これに限定されず、溝を曲線状とした回折素子(以下、曲線状溝の回折素子という)としてもよい。曲線状溝の回折素子を用いることにより、例えば光学素子2として平行平板型のハーフミラーを用いた場合に発生するコマ収差および/または非点収差を補正する機能を持たせることができたり、フォーカス検出手段に非点収差法を用いる場合の光束の非点収差量を適切に設定する機能を付加することができたりして好ましい。
かかる曲線状溝の回折素子の光学設計は、既知の位相関数法を用いておこなうことができる。
すなわち、位相関数
Figure 2006073046
の各係数を最適化することによって、2本の戻り光束を1次で回折させ、光学系の他の素子で発生する収差を除去する機能と所定の収差量を設定する機能のいずれか一方もしくは両方と、集光点を一致させる機能とをあわせ持つ曲線状溝の形状を設計することができる。
表2にまとめた位相関数の係数をもつ曲線状溝の回折素子を用いた各回折素子を形成し、例1の光ピックアップ装置における回折素子と置き換えた光ピックアップ装置を構成すると、前記2つの波長の戻り光の集光点を一致させるとともに、表3にまとめたコマ収差と非点収差が得られる。各例の曲線状溝の回折素子は、例4はコマ収差の低減、例5はコマ収差および非点収差の低減、例6はコマ収差の低減および所望の値(この例では0.5λ)の非点収差、がそれぞれ得られるように光学設計をおこなったものである。
例4〜6の曲線状溝の回折素子を用いた光ピックアップ装置では前記2つの波長の戻り光の集光点を一致させるとともに、例4では非点収差値を例1と同等に保ちつつコマ収差が低減されている。また例5ではコマ収差および非点収差が同時に低減されており、例6ではコマ収差が低減されると同時に非点収差値が0.5λに調整されている。
Figure 2006073046
Figure 2006073046
以上説明したように、本発明の実施の形態にかかる光ピックアップ装置においては、回折素子は、第1の波長の戻り光および第2に波長の戻り光の各光束をともに1次で回折させるため、動作温度の変動が各光束に及ぼす影響を同程度にすることができる。これにより、動作温度の変動による、受光素子の受光面上での各戻り光の集光点のずれが抑制される。
上述の実施例では、CDとDVDとの互換を前提として説明したが、ブルーレイディスクまたはHD−DVD(High Definition DVD)とDVDとの互換や、ブルーレイディスクまたはHD−DVDとCDとの互換に対しても有効に適用できる。
また、本実施例では、光学系が、コリメーターレンズを用いた、いわゆる、無限系の光学系として構成されているが、本発明が適用される範囲は無限系の光学系には限定されず、コリメーターレンズを使用しない有限系の光学系であってもよい。
本発明の光ピックアップ装置では、動作温度が変動したときに、異なる波長の光束に対する受光素子面での集光点がずれて不一致を生じることが抑制される。また、光学系のコマ収差が低減され、さらに、非点収差を量を低減あるいは所望の値に調整する機能を付加することができる。以上の特長により、異なる波長の光を用いる光ピックアップ装置として好ましく使用することができる。
本発明の実施の形態に係る光ピックアップ装置の概略構成図。 本発明の実施の形態に係る回折素子8による回折光の光路を示す図。 本発明の実施例の、階段状の周期構造を有する断面形状の回折素子8の断面の一部を示す概略断面図。 本発明の、鋸歯状の周期構造を有する断面形状の回折素子8の断面の一部を示す概略断面図。 本発明の例3にかかる回折素子のチルトを示す光学系の概略構成図。
符号の説明
1a、1b: 光源
2: 光学素子
3: コリメーターレンズ
4: 絞り
5: 対物レンズ
6、7: 光記録媒体
6a、7a: 情報記録面
8: 回折素子
9: 受光素子
21: 第1の波長の戻り光の光軸
22: 第1の波長の戻り光の回折後の光軸
23: 回折素子による、第1の波長の戻り光の進行方向の変化
24: 第1の波長の戻り光の、回折素子がないときの集光点
25: 第2の波長の戻り光の光軸
26: 第2の波長の戻り光の回折後の光軸
27: 回折素子による、第2の波長の戻り光の進行方向の変化
28: 第2の波長の戻り光の、回折素子がないときの集光点
29: 第1の波長の戻り光と第2の波長の戻り光との入射角の差
31: 回折素子の入射面
32: 回折素子の出射面
33: 第1の波長の戻り光の入射方向
34: 第2の波長の戻り光の入射方向
35: 戻り光の回折後の出射方向
41: 入射面
42: 出射面
43: 第1の波長の戻り光の入射方向
44: 第2の波長の戻り光の入射方向
45: 戻り光の回折後の出射方向

Claims (9)

  1. 第1の波長の光束を出射する第1の光源と、前記第1の波長とは異なる第2の波長の光束を出射する第2の光源と、
    光記録媒体で反射された前記2つの波長の戻り光束を集光させる光学手段と、
    前記光学手段とその集光点との間に配設され、前記光学手段を経て入射した前記2つの波長の戻り光束を回折させ透過させる回折素子と、
    前記光学手段で集光され前記回折素子により回折され透過された前記2つの波長の戻り光束の集光点に配設され、前記戻り光を受光する受光素子と、
    を備える光ピックアップ装置であって、
    前記回折素子が、戻り光束を同一次数で回折させ透過させることにより前記2つの波長の集光点を受光素子の受光面上で略一致させることを特徴とする光ピックアップ装置。
  2. 前記回折素子が、戻り光束を1次回折させて回折させ透過させる回折素子である請求項1に記載の光ピックアップ装置。
  3. 前記回折素子は、透明基板に直線状の溝が周期的に形成された回折素子であって、溝周期のピッチが5〜20μmである請求項1または2に記載の光ピックアップ装置。
  4. 前記回折素子は、透明基板に曲線状の溝が周期的に形成された回折素子であって、溝周期のピッチが5〜20μmである請求項1または2に記載の光ピックアップ装置。
  5. 前記周期的に形成された溝の断面形状が鋸歯状である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
  6. 前記周期的に形成された溝の断面形状が階段状である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
  7. 前記周期的に形成された溝の断面形状の1周期が6〜32ステップの階段によって構成される請求項6に記載の光ピックアップ装置。
  8. 前記回折素子が無機材料からなる請求項1〜7のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
  9. 前記回折素子が光学系の光軸に対して所定の角度で設置されている請求項1〜8のいずれか1項に記載の光ピックアップ装置。
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