JP2006065181A - 熱現像写真感光材料とその製造方法 - Google Patents

熱現像写真感光材料とその製造方法 Download PDF

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  • Non-Silver Salt Photosensitive Materials And Non-Silver Salt Photography (AREA)

Abstract

【課題】 湿度依存性、特に文字線巾の現像時の湿度依存性が改良され、かつ、帯電性も改良された熱現像写真感光材料を提供する。
【解決手段】 支持体上に複数の層を有し、該層の少なくとも1層は、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及び造核剤を含有する画像形成層であり、かつ、該複数の層の少なくとも一層は、塗布液溶媒の60質量%以上が有機溶媒である塗布液を塗布乾燥した有機溶媒塗布層であり、該有機溶媒塗布層の隣接層は、バインダーにガラス転移温度が25℃〜80℃のポリマーラテックスを用いた熱現像写真感光材料であって、熱現像直後の帯電量が−4kV以上+4kV以下になることを特徴とする熱現像写真感光材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は熱現像写真感光材料に関し、特に写真製版用途に好適な熱現像写真感光材料(以下、熱現像感光材料とも記す)に関する。
ハロゲン化銀写真感光材料は、その優れた写真特性により、より広範囲かつ高品質な素材として画像形成分野に利用されているが、画像を形成する為に現像、定着、水洗、乾燥というプロセスが必要であり、しかも処理工程が湿式であるため、作業が煩雑であるという欠点があった。その為、現像工程を熱処理で行う熱現像感光材料が開発、実用化され、近年、印刷業界或いは医用業界を中心に急速に普及してきている。
かかる技術として、支持体上に有機銀塩、感光性ハロゲン化銀粒子及び還元剤を有する熱現像感光材料が知られている。この熱現像感光材料は溶液系処理薬品を一切使用しないので、より簡便なシステムをユーザーに提供することができる。特に印刷製版分野において、画像形成感光材料の湿式処理に伴う廃液が作業上の問題になっており、近年では環境保全、省スペースの観点からも処理廃液の減量が強く望まれている。
しかしながら、熱現像感光材料は極端に湿度の影響を受け易く、湿度により写真性能が著しく変化する。特に冬場の低湿期には、保存中に感光材料中の水分量が少なくなり、現像反応が進み難く濃度が出なくなるという問題があった。
従来技術としては、塩化ビニリデンの下引きを行い、湿度の影響を少なくする技術は知られているが、環境上問題がある。又、保護層を厚くしたり、乾燥温度を変えたりする技術も知られているが不十分である。
又、写真製版用、特にスキャナー、イメージセッター用熱現像感光材料において、文字線幅の現像湿度依存性が小さく、画像保存性の良好な熱現像感光材料を提供する技術(特許文献1参照)、高活性な還元剤を使いつつ環境温湿度依存性を改良した熱現像感光材料を提供する技術(特許文献2参照)、高感度で、未現像時の保存性に優れ、文字線幅の現像時の温湿度依存性の小さい写真製版用途に最適な写真特性を示す熱現像感光材料を提供する技術(特許文献3参照)、更には高感度で、低カブリ、高Dmaxで、保存時のカブリの上昇が少なく、現像時の温湿度依存性が小さい熱現像感光材料を提供する技術(特許文献4参照)が公開されている。しかしながら、何れの技術も湿度依存性を改善するには到っていない。
一方、熱現像感光材料においては、造核剤を使用する系では処理湿度依存性が劣化するという問題があった。更に、処理湿度依存性の改良を目的に最外層にポリマーラテックス層を設けると経時での熱現像処理後の帯電性の動きが大きく、フィルムがバスケットに収納されないという問題があった。
特開2002−55409号公報 (第4〜22頁) 特開2002−90935号公報 (第3〜17頁) 特開2002−229153号公報 (第5〜11頁) 特開2002−258436号公報 (第5〜17頁)
本発明の目的は、湿度依存性、特に文字線巾の現像時の湿度依存性が改良され、かつ、帯電性も改良された熱現像写真感光材料を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
(請求項1)
支持体上に複数の層を有し、該層の少なくとも1層は、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及び造核剤を含有する画像形成層であり、かつ、該複数の層の少なくとも一層は、塗布液溶媒の60質量%以上が有機溶媒である塗布液を塗布乾燥した有機溶媒塗布層であり、該有機溶媒塗布層の隣接層は、バインダーにガラス転移温度が25℃〜80℃のポリマーラテックスを用いた熱現像写真感光材料であって、熱現像直後の帯電量が−4kV以上+4kV以下になることを特徴とする熱現像写真感光材料。
(請求項2)
請求項1記載の熱現像写真感光材料を塗布後にエージングを行って製造することを特徴とする熱現像写真感光材料の製造方法。
本発明により、湿度依存性、特に文字線巾の現像時の湿度依存性が改良され、かつ、帯電性も改良された熱現像写真感光材料を提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。
(ポリマーラテックス)
本発明の熱現像感光材料の有機溶媒塗布層の隣接層のばインダーに用いられるポリマーラテックスは、特に限定されないが、以下に示すアクリル系不飽和単量体を、それぞれ単量重合体又は複数組み合わせて共重合体として製造されたものが好ましい。
アクリル系不飽和単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。又、アクリル系不飽和単量体と共重合して疎水性樹脂を形成可能な不飽和単量体としては、1,2ブタジェン、1,3ブタジェン、イソプレン、クロロプレン等の脂肪族共役ジエン単量体;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロモスチレン等のエチレン性不飽和芳香族単量体;マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノブチル等のエチレン性不飽和カルボン酸;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の如きビニルエステル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等の如きビニリデンハライド等が挙げられる。
これらのポリマーラテックスはTgが25℃〜80℃であるが、30℃〜60℃であることが特に好ましい。尚、2成分以上の共重合体からなるポリマーラテックスのTgはその成分比を変えることにより容易に調整できる。
本発明で用いるポリマーラテックスの平均粒径の好ましい範囲は0.005〜1μmで、特に0.02〜0.1μmであることが好ましい。
本発明において、ガラス転移温度が25℃〜80℃であるポリマーラテックスをバインダーとする層の隣接層は、塗布液溶媒の60質量%以上が有機溶媒である塗布液を塗布乾燥した有機溶媒塗布層である。
(バインダー樹脂)
画像形成層にはバインダー樹脂を用いることが好ましい。このようなバインダー樹脂としては、従来から用いられている透明又は半透明なバインダー樹脂を適時選択して用いることができ、そのようなバインダー樹脂として、例えばポリビニルホルマール、ポリビニルアセトアセタール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸酪酸セルロー等のセルロース系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリルゴム共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリポロピレン等の塩化ビニル系樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリアリレート、エポキシ樹脂、アクリル系樹脂等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上の樹脂を併用して用いてもよい。これらバインダー樹脂は本発明の目的を損なわない限り、保護層、中間層、あるいは必要に応じて設けられるバックコート層の各層に適時選択して用いることができる。
尚、中間層やバックコート層には、活性エネルギー線で硬化可能なエポキシ樹脂やアクリルモノマーなどを層形成バインダー樹脂として使用してもよい。
更に、本発明に係る画像形成層には必須成分、バインダー樹脂以外に、必要に応じてカブリ防止剤、調色剤、増感色素、強色増感剤など、各種添加剤を添加してもよい。
次に、画像形成層に含有される非感光性有機銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び造核剤、並びに支持体などについて、順次説明する。
(非感光性有機銀塩)
本発明に用いる有機銀塩は、光に対して比較的安定であるが、露光された光触媒(感光性ハロゲン化銀の潜像など)及び還元剤の存在下で、80℃あるいはそれ以上に加熱された場合に銀画像を形成する銀塩である。有機銀塩は、還元可能な銀イオン源を含む任意の有機物質であってよい。有機酸の銀塩、特に長鎖脂肪カルボン酸の銀塩(炭素数は好ましくは10〜30、より好ましくは15〜28)が好ましい。又、配位子が4〜10の範囲の錯体安定度定数を有する有機又は無機銀塩の錯体も好ましい。銀供給物質は、好ましくは画像形成層の約5〜70質量%を構成する。好ましい有機銀塩として、カルボキシル基を有する有機化合物の銀塩を挙げることができる。具体的には、脂肪族カルボン酸の銀塩及び芳香族カルボン酸の銀塩を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。脂肪族カルボン酸の銀塩の好ましい例としては、ベヘン酸銀、アラキジン酸銀、ステアリン酸銀、オレイン酸銀、ラウリン酸銀、カプロン酸銀、ミリスチン酸銀、パルミチン酸銀、マレイン酸銀、フマル酸銀、酒石酸銀、リノール酸銀、酪酸銀及び樟脳酸銀、これらの混合物などを挙げることができる。
本発明においては、上記の有機酸銀ないし有機酸銀の混合物の中でも、ベヘン酸銀含有率75モル%以上の有機酸銀を用いることが好ましく、ベヘン酸銀含有率85モル%以上の有機酸銀を用いることが更に好ましい。ここでベヘン酸銀含有率とは、使用する有機酸銀に対するベヘン酸銀のモル分率を示す。本発明に用いる有機酸銀中に含まれるベヘン酸銀以外の有機酸銀としては、上記の例示有機酸銀を好ましく用いることができる。
好ましく用いられる有機酸銀は、上記有機酸のアルカリ金属塩(Na、K、Li塩等)溶液又は懸濁液と硝酸銀を反応させることにより調製される。これらの調製方法については、特開2000−292882号の段落番号「0019」〜「0021」に記載の方法を用いることができる。
本発明においては、液体を混合するための密閉手段の中に硝酸銀水溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液を添加することにより有機酸銀を調製する方法を好ましく用いることができる。具体的には、特開2001−33907号に記載されている方法を用いることができる。有機酸銀の調製時に、硝酸銀水溶液及び有機酸アルカリ金属塩溶液、あるいは反応液には水に可溶な分散剤を添加することができる。ここで用いる分散剤の種類及び使用量については、特開2000−305214号の段落番号「0052」に具体例が記載されている。
用いる有機銀塩の形状やサイズは特に制限されないが、特開2000−292882号の段落番号「0024」に記載のものを用いることが好ましい。有機銀塩の形状は、有機銀塩分散物の透過型電子顕微鏡像から求めることができる。単分散性を測定する別の方法として、有機銀塩の体積加重平均直径の標準偏差を求める方法があり、体積加重平均直径で割った値の百分率(変動係数)は好ましくは80%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下である。測定方法としては、例えば、液中に分散した有機銀塩にレーザー光を照射し、その散乱光のゆらぎの時間変化に対する自己相関関数を求めることにより得られた粒子サイズ(体積加重平均直径)から求めることができる。この測定法での平均粒子サイズとしては0.05〜10μmの固体微粒子分散物が好ましい。より好ましい平均粒子サイズは0.1〜5.0μm、更に好ましい平均粒子サイズは0.1〜2.0μmである。
有機銀塩は、脱塩したものであることが好ましい。脱塩法は特に制限されず、公知の方法を用いることができるが、遠心濾過、吸引濾過、限外濾過、凝集法によるフロック形成水洗等の公知の濾過方法を好ましく用いることができる。限外濾過の方法については、特開2000−305214号に記載の方法を用いることができる。
本発明では、高S/Nで、粒子サイズが小さく、凝集のない有機銀塩固体分散物を得る目的で、画像形成媒体である有機銀塩を含み、かつ感光性銀塩を実質的に含まない水分散液を高速流に変換した後、圧力降下させる分散法を用いることが好ましい。これらの分散方法については、特開2000−292882号の段落番号「0027」〜「0038」に記載の方法を用いることができる。
有機銀塩固体微粒子分散物の粒子サイズ分布は単分散であることが好ましい。具体的には、体積荷重平均直径の標準偏差を体積荷重平均直径で割った値の百分率(変動係数)が80%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、30%以下であることが更に好ましい。
本発明に用いる有機銀塩固体微粒子分散物は、少なくとも有機銀塩と水から成るものである。有機銀塩と水との割合は特に限定されるものではないが、有機銀塩の全体に占める割合は5〜50質量%であることが好ましく、特に10〜30質量%の範囲が好ましい。
有機銀塩は所望の量で使用できるが、銀量として0.1〜5g/m2が好ましく、更に好ましくは1〜3g/m2である。
本発明では、Ca、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンを非感光性有機銀塩へ添加することが好ましい。Ca、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの非感光性有機銀塩への添加については、ハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましく、具体的には硝酸塩や硫酸塩などの形で添加することが好ましい。ハロゲン化物での添加は処理後の熱現像感光材料の光(室内光や太陽光など)による画像保存性、所謂プリントアウト性を悪化させるので好ましくない。このため、本発明ではハロゲン化物でない、水溶性の金属塩の形で添加することが好ましい。
本発明に好ましく用いるCa、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの添加時期としては、該非感光性有機銀塩の粒子形成後であって、粒子形成直後、分散前、分散後及び塗布液調製前後など塗布直前までであれば何れの時期でもよく、好ましくは分散後、塗布液調製前後である。本発明におけるCa、Mg、Zn及びAgから選ばれる金属イオンの添加量としては、非感光性有機銀1モル当たり10-3〜10-1モルが好ましく、特に5×10-3〜5×10-2モルが好ましい。
(感光性ハロゲン化銀)
本発明に用いる感光性ハロゲン化銀のハロゲン組成としては特に制限はなく、塩化銀、塩臭化銀、臭化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀を用いることができる。感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子形成については、特開平11−119374号の段落番号「0217」〜「0224」に記載される方法で形成することができるが、特にこの方法に限定されるものではない。ハロゲン化銀粒子の形状としては、立方体、八面体、十四面体、平板状、球状、棒状、ジャガイモ状等を挙げることができるが、本発明においては、特に立方体状粒子あるいは平板状粒子が好ましい。粒子のアスペクト比、面指数など粒子形状の特徴については、特開平11−119374号の段落番号「0225」に記載されるものと同じである。
又、ハロゲン組成の分布はハロゲン化銀粒子の内部と表面において均一であってもよく、ハロゲン組成がステップ状に変化したものでもよく、あるいは連続的に変化したものでもよい。又、コア/シェル構造を有するハロゲン化銀粒子を好ましく用いることができる。構造として好ましくは2〜5重構造、より好ましくは2〜4重構造のコア/シェル粒子を用いることができる。又、塩化銀又は塩臭化銀粒子の表面に臭化銀を局在させる技術も好ましく用いることができる。
ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは特に制限されないが、0.12μm以下であることが好ましく、0.01〜0.1μmであることがより好ましい。ハロゲン化銀粒子の粒径分布は、単分散度の値が30%以下であることが好ましく、1〜20%であることがより好ましく、5〜15%であることが更に好ましい。ここで単分散度は、粒径の標準偏差を平均粒径で割った値の百分率(%)(変動係数)として定義されるものである。尚、ハロゲン化銀粒子の粒径は、便宜上、立方体粒子の場合は稜長で表し、その他の粒子(八面体、十四面体、平板状など)は投影面積円相当直径で算出する。
本発明で用いる感光性ハロゲン化銀粒子は、周期表の7又は8族の金属又は金属錯体を含有する。該金属又は金属錯体の中心金属として好ましいのは、Rh、Re、Ru、Os、Irである。特に好ましい金属錯体は、(NH43Rh(H2O)Cl5、K2Ru(NO)Cl15、K3IrCl6、K4Fe(CN)6である。
これら金属錯体は1種類でもよいし、同種金属及び異種金属の錯体を2種以上併用してもよい。好ましい含有率は銀1モルに対し1×10-9〜1×10-3モルの範囲が好ましく、1×10-8〜1×10-4モルの範囲がより好ましい。具体的な金属錯体の構造としては特開平7−225449号等に記載された構造の金属錯体を用いることができる。これら重金属の種類、添加方法に関しては、特開平11−119374号の段落番号「0227」〜「0240」に記載されている。
感光性ハロゲン化銀粒子はヌードル法、フロキュレーション法等、当業界で知られている水洗法により脱塩することができるが、本発明においては脱塩してもしなくてもよい。感光性ハロゲン化銀乳剤は化学増感することが好ましい。化学増感については、特開平11−119374号の段落番号「0242」〜「0250」に記載される方法を用いることが好ましい。ハロゲン化銀乳剤には、欧州特許公開EP293,917A号に示される方法により、チオスルホン酸化合物を添加してもよい。
感光性ハロゲン化銀に含有するゼラチンとしては、感光性ハロゲン化銀乳剤の有機銀塩含有塗布液中での分散状態を良好に維持するために、低分子量ゼラチンを使用することが好ましい。低分子量ゼラチンの分子量は500〜60,000であり、好ましくは分子量1,000〜40,000である。これらの低分子量ゼラチンは、粒子形成時あるいは脱塩処理後の分散時に使用してもよいが、脱塩処理後の分散時に使用することが好ましい。又、粒子形成時は通常のゼラチン(分子量100,000程度)を使用し、脱塩処理後の分散時に低分子量ゼラチンを使用してもよい。
分散媒の濃度は0.05〜20質量%にすることができるが、取り扱い上5〜15質量%の濃度域が好ましい。ゼラチンの種類としては、通常、アルカリ処理ゼラチンが用いられるが、その他に酸処理ゼラチン、フタル化ゼラチンの如き修飾ゼラチンも用いることができる。
本発明に係る画像形成層中のハロゲン化銀乳剤は、1種だけを用いてもよいし、2種以上(平均粒子サイズの異なるもの、ハロゲン組成の異なるもの、晶癖の異なるもの、化学増感の条件の異なるもの等)を併用してもよい。
感光性ハロゲン化銀の使用量としては、有機銀塩1モルに対して感光性ハロゲン化銀0.01〜0.5モルが好ましく、0.02〜0.3モルがより好ましく、0.03〜0.25モルが特に好ましい。別々に調製した感光性ハロゲン化銀と有機銀塩の混合方法及び混合条件については、それぞれ調製を終了したハロゲン化銀粒子と有機銀塩を高速撹拌機やボールミル、サンドミル、コロイドミル、振動ミル、ホモジナイザー等で混合する方法や、あるいは有機銀塩の調製中の何れかのタイミングで調製終了した感光性ハロゲン化銀を混合して有機銀塩を調製する方法等があるが、本発明の効果が十分に得られる限り特に制限はない。又、混合する際に2種以上の有機銀塩水分散液と2種以上の感光性銀塩水分散液を混合することは、写真特性の調節のために好ましい方法である。
(増感色素)
本発明に用いることができる増感色素としては、ハロゲン化銀粒子に吸着した際、所望の波長領域でハロゲン化銀粒子を分光増感できるもので、露光光源の分光特性に適した分光感度を有する増感色素を有利に選択することができる。例えば550〜750nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開平10−186572号の一般式(II)で表される色素が挙げられ、具体的にはII−6、II−7、II−14、II−15、II−18、II−23、II−25の色素を好ましい色素として例示することができる。又、750〜1400nmの波長領域を分光増感する色素としては、特開平11−119374号の一般式(I)で表される色素が挙げられ、具体的には(25)、(26)、(30)、(32)、(36)、(37)、(41)、(49)、(54)の色素を好ましい色素として例示することができる。更に、J−bandを形成する色素として、米国特許5,510,236号、同3,871,887号の実施例5に記載の色素、特開平2−96131号、特開昭59−48753号に開示されている色素を好ましい色素として例示することができる。これらの増感色素は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら増感色素の添加については、特開平11−119374号の段落番号「0106」に記載される方法で添加することができるが、特にこの方法に限定されない。
増感色素の添加量は、感度やカブリの性能に合わせて所望の量にすることができるが、画像形成層のハロゲン化銀1モル当たり10-6〜1モルが好ましく、更に好ましくは10-4〜10-1モルである。
分光増感効率を向上させるため、強色増感剤を用いることができる。好ましく用いられる強色増感剤としては、欧州特許出願公開587,338A号、米国特許3,877,943号、同4,873,184号に開示されている化合物、複素芳香族あるいは脂肪族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、スチルベン、ヒドラジン、トリアジンから選択される化合物などが挙げられる。特に好ましい強色増感剤は、特開平5−341432号に開示される複素芳香族メルカプト化合物、複素芳香族ジスルフィド化合物、特開平4−182639号の一般式(I)又は(II)で表される化合物、特開平10−111543号の一般式(I)で表されるスチルベン化合物、特開平11−109547号の一般式(I)で表される化合物である。具体的には、特開平5−341432号のM−1〜M−24の化合物、特開平4−182639号のd−1)〜d−14)の化合物、特開平10−111543号のSS−01〜SS−07の化合物、特開平11−109547号の31、32、37、38、41〜45、51〜53の化合物である。
これらの強色増感剤の添加量は、画像形成層(乳剤層)中にハロゲン化銀1モル当たり10-4〜1モルの範囲が好ましく、ハロゲン化銀1モル当たり0.001〜0.3モルの範囲がより好ましい。
(還元剤)
熱現像感光材料は有機銀塩のための還元剤を含む。この還元剤は、銀イオンを金属銀に還元する任意の物質、好ましくは有機物質である。フェニドン、ハイドロキノン及びカテコール等の従来の写真現像剤が有用であるが、ヒンダードフェノール還元剤が特に好ましい。
還元剤は、画像形成層側の銀1モルに対して5〜50モル含まれることが好ましく、10〜40モル含まれることが更に好ましい。還元剤の添加層は、支持体に対して画像形成層側の如何なる層でもよい。画像形成層以外の層に添加する場合は、銀1モルに対して10〜50モルと多めに使用することが好ましい。又、還元剤は現像時のみ有効に機能するように誘導化された所謂プレカーサーであってもよい。
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては、広範囲の還元剤を使用することができる。例えば特開昭46−6074号、同47−1238号、同47−33621号、同49−46427号、同49−115540号、同50−14334号、同50−36110号、同50−147711号、同51−32632号、同51−1023721号、同51−32324号、同51−51933号、同52−84727号、同55−108654号、同56−146133号、同57−82828号、同57−82829号、特開平6−3793号、米国特許3,679,426号、同3,751,252号、同3,751,255号、同3,761,270号、同3,782,949号、同3,839,048号、同3,928,686号、同5,464,738号、独国特許2,321,328号、欧州特許出願公開692,732A号等に開示される還元剤を用いることができる。例えばフェニルアミドキシム、2−チエニルアミドキシム及びp−フェノキシフェニルアミドキシム等のアミドキシム;例えば4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒドアジン等のアジン;2,2′−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニル−β−フェニルヒドラジンとアスコルビン酸との組合せのような脂肪族カルボン酸アリールヒドラジドとアスコルビン酸との組合せ;ポリヒドロキシベンゼンと、ヒドロキシルアミン、レダクトン及び/又はヒドラジンの組合せ(ハイドロキノンと、ビス(エトキシエチル)ヒドロキシルアミン、ピペリジノヘキソースレダクトンまたはホルミル−4−メチルフェニルヒドラジンの組合せ等);フェニルヒドロキサム酸、p−ヒドロキシフェニルヒドロキサム酸及びβ−アリニンヒドロキサム酸等のヒドロキサム酸;アジンとスルホンアミドフェノールとの組合せ(フェノチアジンと2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール等);エチル−α−シアノ−2−メチルフェニルアセテート、エチル−α−シアノフェニルアセテート等のα−シアノフェニル酢酸誘導体;2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル、6,6′−ジブロモ−2,2′−ジヒドロキシ−1,1′−ビナフチル及びビス(2−ヒドロキシ−1−ナフチル)メタンに例示されるようなビス−α−ナフトール;ビス−α−ナフトールと1,3−ジヒドロキシベンゼン誘導体(2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン又は2′,4′−ジヒドロキシアセトフェノン等)の組合せ;3−メチル−1−フェニル−5−ピラゾロン等の5−ピラゾロン;ジメチルアミノヘキソースレダクトン、アンヒドロジヒドロアミノヘキソースレダクトン及びアンヒドロジヒドロピペリドンヘキソースレダクトンに例示されるようなレダクトン;2,6−ジクロロ−4−ベンゼンスルホンアミドフェノール及びp−ベンゼンスルホンアミドフェノール等のスルホンアミドフェノール還元剤;2−フェニルインダン−1,3−ジオン等;2,2−ジメチル−7−t−ブチル−6−ヒドロキシクロマン等のクロマン;2,6−ジメトキシ−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン等の1,4−ジヒドロピリジン;ビスフェノール(ビス(2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、4,4−エチリデン−ビス(2−t−ブチル−6−メチルフェノール)、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン及び2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなど);アスコルビン酸誘導体(パルミチン酸1−アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル等);ならびにベンジル及びビアセチルなどのアルデヒド及びケトン;3−ピラゾリドン及びある種のインダン−1,3−ジオン;クロマノール(トコフェロール等)等がある。特に好ましい還元剤は、ビスフェノール類、クロマノール類である。
還元剤は、水溶液、有機溶媒溶液、粉末、固体微粒子分散物、乳化分散物など如何なる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル等)で行われる。又、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
(造核剤)
本発明においては、下記一般式(C1)、一般式(C2)及び一般式(C3)で表される化合物が造核剤(硬調化剤とも呼ばれる)として好ましく用いられる。
Figure 2006065181
一般式(C1)において、R11、R12及びR13は各々、水素原子又は置換基を表し、Zは電子吸引基又はシリル基を表し、R11とZ、R12とR13、及びR13とZは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。
一般式(C2)において、R14は置換基を表す。
一般式(C3)において、X及びYは各々、水素原子又は置換基を表し、A及びBは各々、アルコオキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、アリールチオ基、アニリノ基、複素環オキシ基、複素環チオ基又は複素環アミノ基を表す。尚、XとY及びAとBは、それぞれ互いに結合して環状構造を形成してもよい。
上記一般式(C1)、一般式(C2)及び一般式(C3)の具体的化合物としては、下記化合物が挙げられる。
Figure 2006065181
Figure 2006065181
Figure 2006065181
Figure 2006065181
又、本発明においては、造核剤としてヒドラジン化合物も用いることができ、RD(リサーチ・ディスクロージャ)23515(1983年11月号,346頁)及びそこに引用された文献の他、米国特許4,080,207号、同4,269,929号、同4,276,364号、同4,278,748号、同4,385,108号、同4,459,347号、同4,478,928号、同4,560,638号、同4,686,167号、同4,912,016号、同4,988,604号、同4,994,365号、同5,041,355号、同5,104,769号、英国特許2,011,391B号、欧州特許217,310号、同301,799号、同356,898号、特開昭60−179734号、同61−170733号、同61−270744号、同62−178246号、同62−270948号、同63−29751号、同63−32538号、同63−104047号、同63−121838号、同63−129337号、同63−223744号、同63−234244号、同63−234245号、同63−234246号、同63−294552号、同63−306438号、同64−10233号、特開平1−90439号、同1−100530号、同1−105941号、同1−105943号、同1−276128号、同1−280747号、同1−283548号、同1−283549号、同1−285940号、同2−2541号、同2−77057号、同2−139538号、同2−196234号、同2−196235号、同2−198440号、同2−198441号、同2−198442号、同2−220042号、同2−221953号、同2−221954号、同2−285342号、同2−285343号、同2−289843号、同2−302750号、同2−304550号、同3−37642号、同3−54549号、同3−125134号、同3−184039号、同3−240036号、同3−240037号、同3−259240号、同3−280038号、同3−282536号、同4−51143号、同4−56842号、同4−84134号、同2−230233号、同4−96053号、同4−216544号、同5−45761号、同5−45762号、同5−45763号、同5−45764号、同5−45765号、同6−289524号、同9−160164号等に記載された化合物等が挙げられる。
超硬調画像形成の目的で、前記造核剤と共に硬調化促進剤を併用することができる。例えば米国特許5,545,505号に記載のアミン化合物、具体的にはAM−1〜AM−5;米国特許5,545,507号に記載のヒドロキサム酸類、具体的にはHA−1〜HA−11;米国特許5,545,507号に記載のアクリロニトリル類、具体的にはCN−1〜CN−13;米国特許5,558,983号に記載のヒドラジン化合物、具体的にはCA−1〜CA−6;特開平9−297368号に記載のオニウム塩類、具体的にはA−1〜A−42、B−1〜B−27、C−1〜C−14等を用いることができる。
(その他の添加剤)
非感光性銀塩、感光性ハロゲン化銀、還元剤及び造核剤を有する、本発明の熱現像感光材料において、蟻酸あるいは蟻酸塩は強い「かぶらせ物質」となる。本発明では、熱現像感光材料の感光性ハロゲン化銀を含有する画像形成層を有する側の蟻酸あるいは蟻酸塩の含有量が銀1モル当たり5ミリモル以下、更には1ミリモル以下であることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料には、五酸化二燐が水和してできる酸又はその塩を造核剤と併用して用いることが好ましい。五酸化二燐が水和してできる酸又はその塩としては、メタ燐酸(塩)、ピロ燐酸(塩)、オルト燐酸(塩)、三燐酸(塩)、四燐酸(塩)、ヘキサメタ燐酸(塩)などを挙げることができる。特に好ましく用いられる五酸化二燐が水和してできる酸又はその塩としては、オルト燐酸(塩)、ヘキサメタ燐酸(塩)を挙げることができる。具体的な塩としてはオルト燐酸ナトリウム、オルト燐酸二水素ナトリウム、ヘキサメタ燐酸ナトリウム、ヘキサメタ燐酸アンモニウム等がある。
好ましく用いることができる五酸化二燐が水和してできる酸又はその塩は、少量で所望の効果を発現するという点から画像形成層あるいはそれに隣接するバインダー層に添加する。五酸化二燐が水和してできる酸又はその塩の使用量(熱現像感光材料1m2当たりの塗布量)は感度やカブリなどの性能に合わせて所望の量でよいが、0.1〜500mg/m2が好ましく、0.5〜100mg/m2がより好ましい。
更に画像を向上させる「色調剤」として知られる添加剤を含ませると光学濃度が高くなることがある。又、色調剤は黒色銀画像を形成させる上でも有利になることがある。色調剤は支持体に対して画像形成層側の層に銀1モル当たり0.1〜50モル含ませることが好ましく、0.5〜20モル含ませることが更に好ましい。又、色調剤は現像時のみ有効に機能するように誘導化された所謂プレカーサーであってもよい。
有機銀塩を利用した熱現像感光材料においては広範囲の色調剤を使用することができる。例えば特開昭46−6077号、同47−10282号、同49−5019号、同49−5020号、同49−91215号、同50−2524号、同50−32927号、同50−67132号、同50−67641号、同50−114217号、同51−3223号、同51−27923号、同52−14788号、同52−99813号、同53−1020号、同53−76020号、同54−156524号、同54−156525号、同61−183642号、特開平4−56848号、特公昭49−10727号、同54−20333号、米国特許3,080,254号、同3,446,648号、同3,782,941号、同4,123,282号、同4,510,236号、英国特許1,380,795号、ベルギー特許841,910号等に開示される色調剤を用いることができる。色調剤の具体例としては、フタルイミド及びN−ヒドロキシフタルイミド;スクシンイミド、ピラゾリン−5−オン、ならびにキナゾリノン、3−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニルウラゾール、キナゾリン及び2,4−チアゾリジンジオンのような環状イミド;ナフタルイミド(N−ヒドロキシ−1,8−ナフタルイミド等);コバルト錯体(コバルトヘキサミントリフルオロアセテート等);3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、2,4−ジメルカプトピリミジン、3−メルカプト−4,5−ジフェニル−1,2,4−トリアゾール及び2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールに例示されるメルカプタン;N−(アミノメチル)アリールジカルボキシイミド、((N,N−ジメチルアミノメチル)フタルイミド及びN,N−(ジメチルアミノメチル)−ナフタレン−2,3−ジカルボキシイミド等);ならびにブロック化ピラゾール、イソチウロニウム誘導体及びある種の光退色剤、例えばN,N′−ヘキサメチレンビス(1−カルバモイル−3,5−ジメチルピラゾール)、1,8−(3,6−ジアザオクタン)ビス(イソチウロニウムトリフルオロアセテート)及び2−(トリブロモメチルスルホニル)−ベンゾチアゾール;ならびに3−エチル−5−[(3−エチル−2−ベンゾチアゾリニリデン)−1−メチルエチリデン]−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン;フタラジノン、フタラジノン誘導体もしくは金属塩、又は4−(1−ナフチル)フタラジノン、6−クロロフタラジノン、5,7−ジメトキシフタラジノン及び2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオンなどの誘導体;フタラジノンとフタル酸誘導体(フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロ無水フタル酸等)との組合せ;フタラジン、フタラジン誘導体(4−(1−ナフチル)フタラジン、6−クロロフタラジン、5,7−ジメトキシフタラジン、6−イソブチルフタラジン、6−t−ブチルフタラジン、5,7−ジメチルフタラジン、及び2,3−ジヒドロフタラジン等の誘導体)もしくは金属塩;フタラジン及びその誘導体とフタル酸誘導体(フタル酸、4−メチルフタル酸、4−ニトロフタル酸及びテトラクロロ無水フタル酸等)との組合せ;キナゾリンジオン、ベンズオキサジン又はナフトオキサジン誘導体;色調調節剤としてだけでなくその場でハロゲン化銀生成のためのハライドイオンの源としても機能するロジウム錯体、例えばヘキサクロロロジウム(III)酸アンモニウム、臭化ロジウム、硝酸ロジウム及びヘキサクロロロジウム(III)酸カリウムなど;無機過酸化物及び過硫酸塩、例えば過酸化二硫化アンモニウム及び過酸化水素;1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン、8−メチル−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオン及び6−ニトロ−1,3−ベンズオキサジン−2,4−ジオンなどのベンズオキサジン−2,4−ジオン;ピリミジン及び不斉−トリアジン(2,4−ジヒドロキシピリミジン、2−ヒドロキシ−4−アミノピリミジン等)、アザウラシル、及びテトラアザペンタレン誘導体(3,6−ジメルカプト−1,4−ジフェニル−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン、及び1,4−ジ(o−クロロフェニル)−3,6−ジメルカプト−1H,4H−2,3a,5,6a−テトラアザペンタレン等)等がある。
本発明では、特開2000−35631号に記載の一般式(F)で表されるフタラジン誘導体(具体的には同公報記載のA−1〜A−10)が好ましく用いられる。
色調剤は、溶液、粉末、固体微粒子分散物など如何なる方法で添加してもよい。固体微粒子分散は公知の微細化手段(ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、コロイドミル、ジェットミル、ローラーミル等)で行われる。又、固体微粒子分散する際に分散助剤を用いてもよい。
本発明の熱現像感光材料の熱現像処理前の膜面pHは6.0以下であることが好ましく、更に好ましくは5.5以下である。その下限には特に制限はないが3程度である。膜面pHの調節はフタル酸誘導体などの有機酸や硫酸などの不揮発性の酸、アンモニアなどの揮発性の塩基を用いることが、膜面pHを低減させるという観点から好ましい。特にアンモニアは揮発しやすく、塗布する工程や熱現像される前に除去できることから低膜面pHを達成する上で好ましい。尚、膜面pHの測定方法は、特開2000−294399号の段落番号「0123」に記載されている。
熱現像感光材料は、ハロゲン化銀乳剤及び/又は有機銀塩は、カブリ防止剤、安定剤及び安定剤前駆体によって、付加的なカブリの生成に対して更に保護され、在庫貯蔵中における感度の低下に対して安定化することができる。
単独又は組み合わせて使用することができる適当なカブリ防止剤、安定剤及び安定剤前駆体は、米国特許2,131,038号及び同2,694,716号に記載のチアゾニウム塩、米国特許2,886,437号及び同2,444,605号に記載のアザインデン、米国特許2,728,663号に記載の水銀塩、米国特許3,287,135号に記載のウラゾール、米国特許3,235,652号に記載のスルホカテコール、英国特許623,448号に記載のオキシム、ニトロン、ニトロインダゾール、米国特許2,839,405号に記載の多価金属塩、米国特許3,220,839号に記載のチウロニウム塩、ならびに米国特許2,566,263号及び同2,597,915号に記載のパラジウム、白金及び金塩、米国特許4,108,665号及び同4,442,202号に記載のハロゲン置換有機化合物、米国特許4,128,557号及び同4,137,079号、同4,138,365号書及び同4,459,350号に記載のトリアジンならびに米国特許4,411,985号に記載の燐化合物などがある。
本発明の熱現像感光材料は、高感度化やカブリ防止を目的として安息香酸類を含有してもよい。本発明で用いる安息香酸類は如何なる安息香酸誘導体でもよいが、好ましい例としては、米国特許4,784,939号、同4,152,160号、特開平9−329863号、同9−329864号、同9−281637号などに記載の化合物が挙げられる。安息香酸類は熱現像感光材料の如何なる層に添加してもよいが、支持体に対して画像形成層側の層に添加することが好ましく、有機銀塩含有層に添加することが更に好ましい。安息香酸類の添加は塗布液調製の如何なる工程で行ってもよく、有機銀塩含有層に添加する場合は有機銀塩調製時から塗布液調製時の如何なる工程でもよいが有機銀塩調製後から塗布直前が好ましい。安息香酸類の添加法としては粉末、溶液、微粒子分散物などいかなる方法で行ってもよい。又、増感色素、還元剤、色調剤など他の添加物と混合した溶液として添加してもよい。安息香酸類の添加量としては如何なる量でもよいが、銀1モル当たり1×10-6〜2モルが好ましく、1×10-3〜0.5モルが更に好ましい。
本発明で特に好ましく用いられるカブリ防止剤は有機ハロゲン化物であり、例えば特開昭50−119624号、同50−120328号、同51−121332号、同54−58022号、同56−70543号、同56−99335号、同59−90842号、同61−129642号、同62−129845号、特開平6−208191号、同7−5621号、同7−2781号、同8−15809号、米国特許5,340,712号、同5,369,000号、同5,464,737号に開示されるような化合物が挙げられる。特開2000−284399号に記載の式(P)で表される親水性有機ハロゲン化物がカブリ防止剤として好ましく用いられる。具体的には、同公報に記載の(P−1)〜(P−118)が好ましく用いられる。有機ハロゲン化物の添加量は、Ag1モルに対するモル量(モル/モルAg)で示して、好ましくは1×10-5〜2モル/モルAg、より好ましくは5×10-5〜1モル/モルAg、更に好ましくは1×10-4〜5×10-1モル/モルAgである。これらは1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
(支持体)
本発明の熱現像感光材料には、種々の支持体を用いることができる。典型的な支持体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、硝酸セルロース、セルロースエステル、ポリビニルアセタール、シンジオタクチックポリスチレン(s−PS)、ポリカーボネート(PC)、両面がポリエチレン(PE)で被覆された紙支持体などが挙げられる。このうち二軸延伸したポリエステル、特にPETが強度、寸法安定性、耐薬品性などの点から好ましい。支持体の厚みは下引層を除いたベース厚みで90〜180μmであることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料に用いる支持体としては、特開平10−48772号、同10−10676号、同10−10677号、同11−65025号、同11−138648号に記載の二軸延伸時にフィルム中に残存する内部歪みを緩和させ、熱現像処理中に発生する熱収縮歪みをなくすために、130〜185℃の温度範囲で熱処理を施したポリエステル、特にPETが好ましく用いられる。
このような熱処理後における支持体の120℃、30秒加熱による寸法変化率は縦方向(MD)が−0.03〜+0.01%、横方向(TD)が0〜0.04%であることが好ましい。
〈下引層〉
支持体の両面には、メタクリル酸、アクリル酸、等の不飽和カルボン酸もしくはそのエステル、スチレン、塩化ビニリデン、塩化ビニル、等の単量体から得られる重合体もしくは、共重合体、水分散系のポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、水分散性ポリエステルとスチレン系重合体を構成要素とする共重合体を含む下引層を設けることが好ましい。
尚、下引層としては、通常は片面ごとに1層ずつ設けられるが、場合によっては2層以上設けてもよい。下引層の厚み(1層当たり)は一般に0.01〜5μmであり、より好ましくは0.05〜1μmである。
〈熱現像処理等〉
本発明の熱現像感光材料を熱現像する際に、特開2000−171935号、同2000−47083号に記載のように、予備加熱部を対向ローラーで搬送し、熱現像処理部は画像形成層を有する側をローラーの駆動により、その反対側のバック面を平滑面に滑らせて搬送する熱現像機を用いる場合、熱現像感光材料の画像形成層を有する側の最外層とバック面の最外層との現像処理温度における摩擦係数の比は1.5以上であることが好ましい。その摩擦係数の比の上限は特に制限されないが、30程度であることが好ましい。摩擦係数の比は以下の式により求めることができる。
摩擦係数の比=熱現像機のローラー部材と画像形成層を有する面との動摩擦係数(μe)/熱現像機の平滑面部材とバック面との動摩擦係数(μb)
μbは1.0以下であることが好ましく、0.05〜0.8がより好ましい。熱現像処理温度における熱現像処理機部材と画像形成層を有する面及び/又はその反対面の最表面層との滑り性は、最表面層に滑り剤を含有させ、その添加量を変えることにより調整することができる。
本発明において、像様露光に用いられる露光装置は露光時間が10-7秒以下の露光が可能な装置であれば如何なるものでもよいが、一般的にはレーザーダイオード(LD)、発光ダイオード(LED)を光源に使用した露光装置が好ましく用いられる。特に、LDは高出力、高解像度の点でより好ましい。これらの光源は目的波長範囲の電磁波スペクトルの光を発生することができるものであれば何れでもよい。例えば、LDであれば色素レーザー、ガスレーザー、固体レーザー、半導体レーザー等を用いることができる。
本発明の熱現像感光材料は、光源の光ビームをオーバーラップさせて露光する。オーバーラップとは副走査ピッチ幅がビーム径より小さいことを言う。オーバーラップは、例えばビーム径をビーム強度の半値幅(FWHM)で表した時、FWHM/副走査ピッチ幅(オーバーラップ係数)で定量的に表現することができる。本発明では、このオーバーラップ係数が0.2以上であることが好ましい。
使用する露光装置の光源の走査方式は特に限定されず、円筒外面走査方式、円筒内面走査方式、平面走査方式などを用いることができる。又、光源のチャンネルは単チャンネルでもマルチチャンネルでもよいが、高出力が得られ、書込み時間が短くなるという点でレーザーヘッドを2機以上搭載するマルチチャンネルが好ましい。特に、円筒外面方式の場合には、レーザーヘッドを数機から数十機以上搭載するマルチチャンネルが好ましく用いられる。
本発明の熱現像感光材料は、露光時のヘイズが低く、干渉縞が発生し易い傾向にある。この干渉縞の発生防止技術としては、特開平5−113548号等に開示されるレーザー光を熱現像感光材料に対して斜めに入光させる技術や、国際公開95/31754号パンフレット等に開示されているマルチモードレーザーを利用する方法が知られており、これらの技術を用いることが好ましい。
本発明の熱現像感光材料に画像形成する際の加熱現像工程は如何なる方法によるものであってもよいが、通常はイメージワイズに露光した熱現像感光材料を昇温して現像する。用いられる熱現像機の好ましい態様としては、熱現像感光材料をヒートローラーやヒートドラムなどの熱源に接触させるタイプとして特公平5−56499号、特開平9−292695号、同9−297385号及び国際公開95/30934号パンフレットに記載の熱現像機、非接触型のタイプとして特開平7−13294号報、国際公開97/28489号パンフレット、同97/28488号パンフレット及び同97/28487号パンフレットに記載の熱現像機がある。特に好ましいのは非接触型の熱現像機である。
好ましい現像温度は80〜250℃であり、更に好ましくは100〜140℃である。現像時間は1〜180秒が好ましく、5〜90秒が更に好ましい。ラインスピードは140cm/min以上、更には150cm/min以上が好ましい。
熱現像時における熱現像感光材料の寸法変化による処理ムラを防止する方法として、80℃以上115℃未満の温度で画像が出ないようにして5秒以上加熱した後、110〜140℃で熱現像して画像形成させる方法(いわゆる多段階加熱方法)を採用することが有効である。
本発明の熱現像感光材料が熱現像後において、PS版により刷版を作製する際にマスクとして用いられる場合、熱現像後の熱現像感光材料は、製版機においてPS版に対する露光条件を設定するための情報や、マスク原稿及びPS版の搬送条件等の製版条件を設定するための情報を画像情報として担持している。従って、イラジエーション染料、ハレーション染料、フィルター染料の濃度(使用量)は、これらを読み取るために制限される。これら情報はLEDあるいはレーザーによって読み取られるため、センサーの波長域のDmin(最低濃度)が低い必要があり吸光度が0.3以下である必要がある。
例えば、富士写真フイルム社製:製版機S−FNRIIIは、トンボ検出のための検出器及びバーコードリーダーとして670nmの波長の光源を使用している。又、清水製作社製:製版機APMLシリーズのバーコードリーダーとして670nmの光源を使用している。即ち、670nm付近のDmin(最低濃度)が高い場合にはフィルム上の情報が正確に検出できず、搬送不良、露光不良など製版機で作業エラーが発生する。従って、670nmの光源で情報を読み取るためには670nm付近のDminが低い必要があり、熱現像後の660〜680nmの吸光度が0.3以下である必要がある。より好ましくは0.25以下である。その下限に特に制限はないが、通常は0.10程度である。
尚、本発明の熱現像感光材料は、特開2000−206653号の段落番号「0014」〜「0026」記載の包装材料によって、あるいは特開2001−13632号の段落番号「0020」〜「0045」に記載の包装方法によって包装されることが好ましい。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様は、これ等に限定されない。尚、特に断りない限り、実施例中の「%」は「質量%」を示す。
実施例1
〈下引済みPET支持体1の作製〉
2軸延伸熱固定済みの厚さ125μmのPETフィルムの両面に下記条件でプラズマ処理1を施し、次いで一方の面に、下記下引塗布液a−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設、乾燥させて下引層A−1とし、又、反対側の面に下記帯電防止加工した下引塗布液b−1を乾燥膜厚0.8μmになるように塗設、乾燥させて導電層としての下引層B−1とした。次いで、それぞれの下引層表面に下記条件でプラズマ処理2を施した。
(プラズマ処理条件)
バッチ式の大気圧プラズマ処理装置(イーシー化学社製:AP−I−H−340)を用いて、高周波出力が4.5kW、周波数が5kHz、処理時間が5秒及びガス条件としてアルゴン、窒素及び水素の混合体積比(90/5/5%)で、プラズマ処理1及びプラズマ処理2を行った。
(下引塗布液a−1)
ブチルアクリレート/t−ブチルアクリレート/スチレン/2−ヒドロキシエチルアクリレート(30/20/25/25%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%)
270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
ポリスチレン微粒子(平均粒径3μm) 0.05g
コロイダルシリカ(平均粒径90μm) 0.1g
水で1リットルに仕上げる。
(下引塗布液b−1)
酸化錫(インジウムを0.1%ドープした平均粒径36nmのもの)
0.26g/m2
ブチルアクリレート/スチレン/グリシジルアクリレート(30/20/40%比)の共重合体ラテックス液(固形分30%) 270g
ヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア) 0.8g
水で1リットルに仕上げる。
〈支持体の熱処理〉
得られた下引済み支持体の乾燥工程にて支持体を140℃で加熱し、その後、徐々に冷却した。その際、1×105Paの張力で搬送した。
〈バック層面側の塗布〉
下記組成のバック層塗布液1とバック保護層塗布液1を、それぞれ塗布前に絶対濾過精度20μmのフィルターを用いて濾過した後、前記作製した支持体の帯電防止加工した下引層B−1面上に、合計ウェット膜厚が30μmになるよう、毎分40mの速度で同時重層塗布し、60℃で4分間乾燥を行った。
(バック層塗布液1)
メチルエチルケトン 22.2g/m2
赤外染料A 22mg/m2
安定化剤B−1 100mg/m2
安定化剤B−2(吉富製薬社製:トミソーブ77) 50mg/m2
セルロースアセテートプロピレート(Eastman Chemical社製:CAP504−0.2) 0.5g/m2
セルロースアセテートプロピレート(Eastman Chemical社製:CAP482−20) 1.5g/m2
Figure 2006065181
(バック保護層塗布液1)
メチルエチルケトン 22g/m2
917O(CH2CH2O)22917 22mg/m2
LiO3S(CF23SO3Li 10mg/m2
セルロースアセテートプロピレート(CAP482−20:前出) 2.5g/m2
マット剤(富士デビソン社製:サイロイド74,平均粒径7μmのシリカ)
12mg/m2
〈ハロゲン化銀粒子の調製〉
純水900ml中にゼラチン7.5g及び臭化カリウム10mgを溶解して、35℃、pH3.0に合わせた後、硝酸銀74gを含む水溶液370mlと(96/4)モル比の臭化カリウムと沃化カリウムと、塩化イリジウムを5×10-6モル/リットル含む水溶液をpAg7.7に保ちながらコントロールド・ダブルジェット法で10分間かけて添加した。その後、安定剤として4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン0.3gを添加し、水酸化ナトリウムでpHを5に調整して、平均粒子サイズ0.06μm、投影直径面積の変動係数8%、{100}面比率86%の立方体沃臭化銀から成るハロゲン化銀粒子を得た。この乳剤に、ゼラチン凝集剤を用いて凝集沈降させ、脱塩処理後フェノキシエタノール0.1gを加え、pH5.9、pAg7.5に調整し、感光性ハロゲン化銀乳剤Aとした。
〈有機酸分散物Aの調製〉
4720mlの純水に、ベヘン酸130.8g、アラキジン酸67.7g、ステアリン酸43.6gを80℃で溶解した。次に、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液540.2mlを添加し、濃硝酸6.9mlを加えた後、55℃に冷却して脂肪酸ナトリウム溶液を得た。該脂肪酸ナトリウム溶液の温度を55℃に保ったまま、上記感光性ハロゲン化銀乳剤Aの45.3gと純水450mlを添加して5分間攪拌した。
次に、1mol/Lの硝酸銀溶液702.6mlを2分間かけて添加し、10分間攪拌し脂肪族カルボン酸銀塩分散物を得た。その後、得られた脂肪族カルボン酸銀塩分散物を水洗容器に移し、脱イオン水を加えて攪拌後、静置させて脂肪族カルボン酸銀塩分散物を浮上分離させ、下方の水溶性塩類を除去した。その後、排水の電導度が50μS/cmになるまで脱イオン水による水洗、排水を繰り返し、遠心脱水を実施した後、得られたケーキ状の脂肪族カルボン酸銀塩を、気流式乾燥機フラッシュジェットドライヤー(セイシン企業社製)を用いて、窒素ガス雰囲気及び乾燥機入り口熱風温度の運転条件の調節により、含水率が0.1%になるまで乾燥して粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aを得た。脂肪族カルボン酸銀塩組成物の含水率測定には赤外線水分計を使用した。
〈予備分散液Aの調製〉
ポリビニルブチラール樹脂P−1(ソルーシア社製ポリビニルブチラール樹脂B−79)の14.57gをメチルエチルケトン(MEK)1457gに溶解し、VMA−GETZMANN社製ディゾルバDISPERMATCA−40M型にて攪拌しながら、粉末脂肪族カルボン酸銀塩Aの500gを徐々に添加し、十分に混合することにより予備分散液Aを調製した。
〈感光性乳剤分散液Aの調製〉
上記予備分散液Aを、ポンプを用いてミル内滞留時間が1.5分間となるように0.5mm径のジルコニアビーズ(東レ社製:トレセラム)を内容積の80%充填したメディア型分散機DISPERMAT SL−C12EX型(VMA−GETZMANN社製)に供給し、ミル周速8m/sにて分散を行うことにより感光性乳剤分散液Aを調製した。
〈安定剤液の調製〉
1.0gの安定剤1及び0.31gの酢酸カリウムをメタノール4.97gに溶解し安定剤液を調製した。
〈赤外増感色素液Aの調製〉
1.2mgの赤外増感色素1、1.488gの2−クロロ安息香酸、2.779gの安定剤2及び365mgの5−メチル−2−メルカプトベンズイミダゾールを、31.3mlのMEKに暗所にて溶解し、赤外増感色素液Aを調製した。
〈熱現像感光材料の作製〉
前記下引済み支持体のバック層とは反対面(下引層A−1上)に、下記組成の中間層塗布液、画像形成層塗布液及び保護層塗布液を順次塗布・乾燥して熱現像感光材料を作製した(試料1〜8)。ポリマーラテックス及び造核剤を表1に示す如く変化させた。
(中間層塗布液A)
ポリビニルブチラール樹脂P−1 0.5g/m2
ポリメチルメタアクリレート 0.04g/m2
溶媒には、MEKとメタノールの10:1の混合物を塗布液添加物の全質量に対して10倍量用いた。
(画像形成層塗布液)
有機脂肪酸銀乳剤 銀換算で1.4g/m2
カブリ防止剤1 1.5×10-4mol/m2
臭化カルシウム 1.8×10-4mol/m2
安定剤液1 0.3g/m2
赤外増感色素液A 2.7g/m2
テトラクロロフタル酸 7.9×10-4mol/m2
1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,5,5−トリメチルヘキサン 4.8×10-3mol/m2
赤外染料B 3×10-5mol/m2
4−メチルフタル酸 5×10-4mol/m2
造核剤 表1に示す
2−トリブロモメチルスルホニルピリジン 6.0×10-4mol/m2
o−フタル酸 4.0×10-4mol/m2
溶媒には、MEKとメタノールの10:1の混合物を塗布液添加物の全質量に対して3倍量用いた。
(保護層塗布液)
セルロースアセテートブチレート 4g/m2
フタラジン 3.2×10-3mol/m2
917O(CH2CH2O)22917 22mg/m2
LiO3S(CF23SO3Li 10mg/m2
溶媒には、MEKを塗布液添加物の全質量に対して10倍量用いた。
熱現像感光材料の作製に用いた添加剤は以下の通りである。
Figure 2006065181
(表面保護層)
アクリル系ポリマーラテックス(ガラス転移点は表1に示す) 2g/m2
マイクロクリスタリンワックス 0.3g/m2
p−パーフルオロノニルオキシ−ベンゼンスルホン酸ナトリウム 0.03g/m2
マット剤(平均粒径2μmのシリカ) 50mg/m2
塗布液中のアクリル系ポリマーラテックスの固形分は40%である。
〈写真性能の評価〉
上記試料を用いて下記のように露光、熱現像処理し、写真性能を評価した。
〈露光・熱現像〉
各試料を、ビーム径(ビーム強度の1/2のFWHM)12.56μm、レーザー出力50mW、出力波長783nmの半導体レーザーを搭載した単チャンネル円筒内面方式のレーザー露光装置を使用し、ミラー回転数60,000rpm、露光時間1.2×10-8秒の露光を実施した。この時のオーバーラップ係数は0.449にし、熱現像感光材料面上のレーザーエネルギー密度は75μJ/cm2とした。続けて121℃で20秒の熱現像処理を行った。
《感度》
濃度測定はマクベスTD904濃度計(可視濃度)で行った。感度は、濃度1.5を与える露光量の対数を以て表し、S1.5とし比較試料1を基準とする相対値で示した。数値が大きいほど高感度である。
《湿度依存性》
各試料を、23℃・80%RH(相対湿度)で12時間調湿(条件H)した試料と、23℃・20%RHで12時間調湿(条件L)した試料を作製し、同一環境下で50μmの線幅露光を行って現像処理した。それぞれ処理後の線幅差を測定することにより、現像時の湿度依存性を評価した。又、それぞれの環境下でのDmin(カブリ)差も測定した。
《帯電性の評価》
得られた試料の一反は23℃−3日放置しもう一反は40℃−3日で強制劣化させた。610mm×470mmのサイズで熱現像処理を行いシシド静電気株式会社製スタチロン−DZ3で帯電量を測定した。
結果を併せて表1に示す。
Figure 2006065181
表1から明らかなように、本発明の試料は、比較試料に比べて高感度であり、湿度依存性が大幅に改善されている。

Claims (2)

  1. 支持体上に複数の層を有し、該層の少なくとも1層は、感光性ハロゲン化銀、非感光性有機銀塩、還元剤及び造核剤を含有する画像形成層であり、かつ、該複数の層の少なくとも一層は、塗布液溶媒の60質量%以上が有機溶媒である塗布液を塗布乾燥した有機溶媒塗布層であり、該有機溶媒塗布層の隣接層は、バインダーにガラス転移温度が25℃〜80℃のポリマーラテックスを用いた熱現像写真感光材料であって、熱現像直後の帯電量が−4kV以上+4kV以下になることを特徴とする熱現像写真感光材料。
  2. 請求項1記載の熱現像写真感光材料を塗布後にエージングを行って製造することを特徴とする熱現像写真感光材料の製造方法。
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