JP2006044407A - 応急用バイアスタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】応急用バイアスタイヤを軽量化し、かつ発生する歪みを緩和してその耐オゾンクラック性を向上させる。
【解決手段】自動車の標準装着タイヤの代わりに使用され、前記標準装着タイヤに対してタイヤ幅が狭く、タイヤ外径は実質上同一で、且つ使用内圧が高い応急用空気入りバイアスタイヤ10であって、タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における最大幅からバットレス部40に至る部分のサイドウォール外面の曲率半径Rsを、前記タイヤ内面の曲率半径Riの0.75〜0.95倍となるように小さくした。
【選択図】 図3
【解決手段】自動車の標準装着タイヤの代わりに使用され、前記標準装着タイヤに対してタイヤ幅が狭く、タイヤ外径は実質上同一で、且つ使用内圧が高い応急用空気入りバイアスタイヤ10であって、タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における最大幅からバットレス部40に至る部分のサイドウォール外面の曲率半径Rsを、前記タイヤ内面の曲率半径Riの0.75〜0.95倍となるように小さくした。
【選択図】 図3
Description
本発明は、応急用バイアスタイヤ、とくに質量及びコストを最小限に抑制しつつ長期保管時の経時劣化を軽減しかつタイヤサイド部のオゾンクラック耐久性を向上させた応急用バイアスタイヤに関するものである。
乗用車等の自動車には、走行中にトラブルを生じたタイヤと交換して修理工場等まで車両を移動させるため、JATMA,ETRTO、TRA等の規格でTタイプ応急用タイヤと呼ばれる使用内圧の高い狭幅タイプの応急用空気入りタイヤが搭載されている。
応急用空気入りタイヤは、通常トランク内或いは床下に吊り下げる等種々の形態で保管しているが、最近の消費者の傾向として新車買い替え期間、つまり車齢は延びる傾向にある一方、道路路面の環境向上により、パンク発生等タイヤトラブルの機会が減少してきているため、応急用空気入りタイヤは未使用の状況で長期間格納されたままとなることが多い。
ところで、トレッドゴムは経時変化によりその物性が劣化することに加え、2プライ構造が一般的である応急用バイアスタイヤのプライ構造では、プライ折り返し端はサイド部に設置されているため、プライ折り返し端近傍のゴムには、高い充填空気圧によるテンション(張力)に加え、プライの引き抜け作用による引き抜け時のテンションが付加され、常時大きなテンションが作用している。
そのため、前記近傍のトレッドサイドゴムの劣化は著しく促進され、かつ応急用バイアスタイヤは常時大気に曝されているため、遂には該サイトゴムにオゾンクラックが発生することになる。
そのため、前記近傍のトレッドサイドゴムの劣化は著しく促進され、かつ応急用バイアスタイヤは常時大気に曝されているため、遂には該サイトゴムにオゾンクラックが発生することになる。
その対処法としては、従来より応急用バイアスタイヤのゴム配合を変更(例えば、ワックス、老化防止剤を増量)することが一般的であるが、この方法には、コストアップに加え、タイヤ成型時にプライとトレッドとの密着性が低下することによる生産性の低下等の問題がある。
また、別の方法として前記タイヤの表面歪みを低減する方法がある。この方法では一般的にはトレッドゲージを厚くするが、コスト増に加えタイヤ質量の増大が生じ、そのような設備投資を行っても投資効果を得るに至っていないのが現状である。
更に、別の方法として、応急用バイアスタイヤのサイド部の表面粗さを従来の粗さ(3μm程度)よりも粗くして(35〜560μm)、従来のタイヤのサイド部よりも表面積を大きくし、それによってサイド部の表面歪を減少させて、オゾンクラックの発生を抑制したものもある(特許文献1参照)
しかしながら、この方法では、表面粗さを粗くするための加工を要するだけではなく、そもそもタイヤの軽量化は不可能であり、軽量化した応急バイアスタイヤを得ることはできない。
しかしながら、この方法では、表面粗さを粗くするための加工を要するだけではなく、そもそもタイヤの軽量化は不可能であり、軽量化した応急バイアスタイヤを得ることはできない。
そこで、本発明は、上記事情を考慮し質量の増加や製造作業性の低下を招くことがないばかりではなく、タイヤを軽量化ししかもオゾンクラックの発生を抑制することの出来る応急用バイアスタイヤを提供することを目的とする。
特開2003−63207号公報
請求項1の発明は、自動車の標準装着タイヤの代わりに使用され、前記標準装着タイヤに対してタイヤ幅が狭く、タイヤ外径は実質上同一で、且つ使用内圧が高い応急用空気入りバイアスタイヤであって、タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における最大幅からバットレス部に至る部分のサイドウォール外面の曲率半径が、当該部分のタイヤ内面の曲率半径よりも小さいことを特徴とする応急用バイアスタイヤである。
請求項2の発明は、請求項1に記載された応急用バイアスタイヤにおいて、
前記サイドウォール部の外面の曲率半径が前記タイヤ内面の曲率半径の0.75〜0.95倍であることを特徴とする応急用バイアスタイヤである。
請求項2の発明は、請求項1に記載された応急用バイアスタイヤにおいて、
前記サイドウォール部の外面の曲率半径が前記タイヤ内面の曲率半径の0.75〜0.95倍であることを特徴とする応急用バイアスタイヤである。
(作用)
本発明の応急用バイアスタイヤによれば、同タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における、最大幅からバットレス部に至る部分のサイドウォール外面の曲率半径を当該部分のタイヤ内面の曲率半径よりも小さくすることで、最大歪みが生じる部分を厚くして補強すると共に、その他の部分の厚みを抑制してタイヤ質量を増大させることなく、歪を緩和している。
本発明の応急用バイアスタイヤによれば、同タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における、最大幅からバットレス部に至る部分のサイドウォール外面の曲率半径を当該部分のタイヤ内面の曲率半径よりも小さくすることで、最大歪みが生じる部分を厚くして補強すると共に、その他の部分の厚みを抑制してタイヤ質量を増大させることなく、歪を緩和している。
本発明の応急用バイアスタイヤは、同タイヤの最大幅からバットレス部に至る部分のサイドウォール外面の曲率半径を当該部分のタイヤ内面の曲率半径よりも小さくしたため、格別コストを要することなく、軽量であるにもかかわらずサイドウォール部の最大歪を抑制し、オゾンクラックの発生を抑制できるため長期間安全に保管することができる。
本発明の応急用バイアスタイヤをその1実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、応急用バイアスタイヤの半分の構造をきわめて模式的に示した断面図である。
図1に示すように、本実施形態の応急用バイアスタイヤ10は、一対のビードワイヤー12と、一対のビードワイヤー12にトロイド状に跨がるカーカス14を備えたバイアス構造の応急用バイアスタイヤである。
図1は、応急用バイアスタイヤの半分の構造をきわめて模式的に示した断面図である。
図1に示すように、本実施形態の応急用バイアスタイヤ10は、一対のビードワイヤー12と、一対のビードワイヤー12にトロイド状に跨がるカーカス14を備えたバイアス構造の応急用バイアスタイヤである。
カーカス14の外周面側にはトレッド部25を構成するトレッドゴムが配置され、両側面にはビード部にかけてサイド部を構成するトレッドサイドゴム20が配置されており、かつトレッドサイドゴム20とトレッド部25端部との間にバットレス部30が配置されている。
カーカス14は、図示のように2枚のカーカスプライ14、16からなり、該カーカスプライ14、16はビードワイヤー12はタイヤ内側から外側へ折り返され、折り返し端14a、16aはタイヤ半径方向外側へ延びている。ここで、カーカスプライ14、16は、互いに平行配列した多数本のプライコードをゴムコーティングした公知の構造である。
このような構造の応急用バイアスタイヤ10において、設定使用内圧を充填した状態で、前記タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における最大幅位置P0からバットレス部30に至る部分のサイドウォール外面に、例えば複数の歪みゲージを貼り付けて、各部における歪み量を測定したところ、図2Aに示ような歪分布特性が得られた。
即ち、図示のリムラインからタイヤのトレッドサイドゴム20に沿って歪みを計測したとき、プライの折り返し端、つまり、2枚のカーカスプライのうち上方に延びたカーカスプライ14の近傍においてピーク値が認められ、その後は急激に低下した後再び上昇する歪量パターンとなっている。なお、図2Bは、図2Aにおける応急用バイアスタイヤの歪量に対応させたトレッドサイドの各位置を、極めて模式的に示した断面図である。
本実施の形態は、このピーク値近傍つまりプライの折り返し端近傍の歪を緩和すべく、図3に示すように、タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における最大幅位置P0からバットレス部30に至る部分のサイドウォール外面の曲率半径Rsを、当該部分のタイヤ内面の曲率半径Riよりも小さくすることで、厚みを部分的に増大させ、かつその場合における前記サイドウォール部の外面の曲率半径Rsを、前記タイヤ内面の曲率半径Riの0.75〜0.95倍になるように構成した。その理由は、前記倍率が0.95を超えると、加硫時のゴム流れによりタイヤサイド部全体のゲージがアップして質量が増し所望の効果が得られず、かつ、倍率が0.75未満であると、タイヤバットレス部の必要なゲージが確保できなくなるからである。
なお、タイヤ断面において最大幅位置P0よりリム側のタイヤ外面の曲率半径Rsとタイヤ内面の曲率半径Riは略同心円をなしている。
なお、タイヤ断面において最大幅位置P0よりリム側のタイヤ外面の曲率半径Rsとタイヤ内面の曲率半径Riは略同心円をなしている。
以上の構成により、タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における最大幅位置P0からバットレス部30に至る部分のサイドウォール外面のうち、最も歪み大きいカーカスプライ14,16の折り返し端近傍を補強し、その部分の歪みを緩和することで、ゴムが経時変化してもその部分でのオゾンクラックの発生を抑制することができる。
次に、本発明の実施品である応急用バイアスタイヤで行った性能試験結果について説明する。
性能試験
応急用バイアスタイヤサイズとして、T115/90D13 87M(2004 JATMA 1−18 乗用車用Tタイプ応急用タイヤ A08−1)のものを用い、タイヤ外面の曲率半径Rsとタイヤ内面の曲率半径Riの比:Rs/Riの値を0.84とし本発明の実施品と従来品とを比較した。
ここで、性能試験(オゾンクラック評価試験)は、装着用リムを3.50Bとし、空気圧を420kPaとした前記タイヤを、温度40゜C、オゾン濃度は自然界の200倍にした室内環境にタイヤを放置し、オゾンクラックを目視で確認し発生までの期間(日数)を評価した。また、歪みは、プライ折り返し端近傍のゴムに5mm角の正方形の白ゴムメッシュを貼り付け、その変形から歪み量を計測した。
試験結果を表1に示す。
性能試験
応急用バイアスタイヤサイズとして、T115/90D13 87M(2004 JATMA 1−18 乗用車用Tタイプ応急用タイヤ A08−1)のものを用い、タイヤ外面の曲率半径Rsとタイヤ内面の曲率半径Riの比:Rs/Riの値を0.84とし本発明の実施品と従来品とを比較した。
ここで、性能試験(オゾンクラック評価試験)は、装着用リムを3.50Bとし、空気圧を420kPaとした前記タイヤを、温度40゜C、オゾン濃度は自然界の200倍にした室内環境にタイヤを放置し、オゾンクラックを目視で確認し発生までの期間(日数)を評価した。また、歪みは、プライ折り返し端近傍のゴムに5mm角の正方形の白ゴムメッシュを貼り付け、その変形から歪み量を計測した。
試験結果を表1に示す。
表1に示すように、従来品のタイヤ質量、プライ折り返し端近傍での歪み、耐オゾンクラック性をそれぞれ100としたとき、本発明の実施品は、それぞれ95,60、130であるから、質量では5%減、歪み量は40%減、オゾンクラック発生までの期間は1.3倍にまで延びることが証明された。
このように、本発明に係る応急用バイアスタイヤは、従来のものよりもタイヤ質量、プライ折り返し端近傍での歪量、耐オゾンクラック性能のいずれの点でも優れている。
このように、本発明に係る応急用バイアスタイヤは、従来のものよりもタイヤ質量、プライ折り返し端近傍での歪量、耐オゾンクラック性能のいずれの点でも優れている。
10・・・応急用バイアスタイヤ、12・・・ビードワイヤー、14,16・・・カーカスプライ、20・・・トレッドサイド部、25・・・トレッド部、30・・・バットレス部。
Claims (2)
- 自動車の標準装着タイヤの代わりに使用され、前記標準装着タイヤに対してタイヤ幅が狭く、タイヤ外径は実質上同一で、且つ使用内圧が高い応急用空気入りバイアスタイヤであって、タイヤに使用内圧を充填した後のタイヤ断面における最大幅からバットレス部に至る部分のサイドウォール外面の曲率半径が、当該部分のタイヤ内面の曲率半径よりも小さいことを特徴とする応急用バイアスタイヤ。
- 請求項1に記載された応急用バイアスタイヤにおいて、
前記サイドウォール部の外面の曲率半径が前記タイヤ内面の曲率半径の0.75〜0.95倍であることを特徴とする応急用バイアスタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004226535A JP2006044407A (ja) | 2004-08-03 | 2004-08-03 | 応急用バイアスタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2004226535A JP2006044407A (ja) | 2004-08-03 | 2004-08-03 | 応急用バイアスタイヤ |
Publications (1)
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JP2006044407A true JP2006044407A (ja) | 2006-02-16 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110520306A (zh) * | 2017-04-28 | 2019-11-29 | 横滨橡胶株式会社 | 斜交轮胎 |
WO2024038639A1 (ja) * | 2022-08-19 | 2024-02-22 | 横浜ゴム株式会社 | タイヤ |
-
2004
- 2004-08-03 JP JP2004226535A patent/JP2006044407A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN110520306A (zh) * | 2017-04-28 | 2019-11-29 | 横滨橡胶株式会社 | 斜交轮胎 |
CN110520306B (zh) * | 2017-04-28 | 2021-10-22 | 横滨橡胶株式会社 | 斜交轮胎 |
WO2024038639A1 (ja) * | 2022-08-19 | 2024-02-22 | 横浜ゴム株式会社 | タイヤ |
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