JP2006017625A - 車載電波パルスレーダ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】送受信信号W1、W2に基づいて被検出物体7までの距離dを算出する信号処理装置14Aは、送信信号W1の周波数可変手段17と、RF送受信回路15Aの異常判定手段とを含み、周波数可変手段17は、送信信号W1の周波数を所定範囲内で変化させて、RF送受信回路15A内の漏れ波の位相状態を強制的に変化させ、異常判定手段は、通常時の受信信号に基づいて学習された正常レベル変動幅と、漏れ波の位相状態が変化したときにIF受信信号のDC成分として観測される漏れ込みレベル変動幅とを比較し、正常レベル変動幅と漏れ込みレベル変動幅との差分に基づいて、RF送受信回路15Aの異常信号Eを生成し、車両の制御システムに対して異常通知を行う。
【選択図】図6
Description
また、同時にコストダウンや小型化などの要求もあるため、できるだけ簡便に異常検出することが要求されている。
また、AD変換器などの信号処理回路を含む回路系の異常判定を実現するためには、さらに付加回路が必要になるという課題があった。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1について説明する。
図1はこの発明の実施の形態1に関連した基本的な車載電波パルスレーダ装置の構成を示すブロック図である。
また、RF送受信回路15および送受信アンテナ5、8は、ビーム送信手段およびビーム受信手段を構成している。
送信アンプ3は、ローカル用電波を増幅して、送信用のレーダビーム信号を生成する。
開閉スイッチ4は、信号処理装置14の制御下で送信信号W1のON/OFFを切り換えて、送信アンプ3の出力信号をパルス信号に変換する。
受信アンテナ8は、被検出物体7からの反射ビームを受信信号W2として受信する。
レドーム6は、たとえば車両のバンパなどと一体化されており、各アンテナ5、8の表面を保護している。
ローパスフィルタ11は、受信ミキサ10から出力されるビート信号のうちの低周波信号を通過させ、IFアンプ12は、ローパスフィルタ11を通過したビート信号を増幅する。
図2は送信信号W1(送信パルス)、受信信号W2(受信パルス)およびビート信号の各波形を示す説明図であり、それぞれ、距離Rに依存した遅延時間Δt、距離ゲート時間幅tgおよび距離ゲート番号0〜nと関連させて示している。
図4はFFT(高速フーリエ変換)結果を用いたターゲット検出処理の一例を示す説明図であり、ローカル用電波からドップラシフトされた周波数成分fbを示している。
パルス変調された電波は、送信信号W1として、送信アンテナ5からレドーム6を通過して、空間に放射される。
このとき、目標となる被検出物体7が、車両に対して相対速度Vを有する場合、受信信号W2の周波数は、送信電波W1の周波数ftxに対して、周波数成分fb(図2参照)だけドップラシフトする。
受信ミキサ10から生成されたビート信号は、ローパスフィルタ11でろ波された後、IFアンプ12で増幅され、AD変換器13を介して信号処理装置14に入力される。
また、図3のように、AD変換器13の入力データをパルスn発分だけ観測し、各ビート信号をサンプリングして、信号処理装置14でFFT処理を施すことにより、図4のように、ドップラシフト周波数fbが求まる。したがって、ドップラシフト周波数fbに基づいて、被検出物体7の相対速度Vを求めることができる。
ここで、距離R、相対速度Vは、以下の式(1)のように算出される。
V=(fb×C)/(2×fo) ・・・(1)
また、車載電波パルスレーダ装置の用途を考慮すれば、乗客の安全を確保するために、RF送受信回路15の特性変化および故障の発生を診断することは、最重要の要求課題である。
図5において、漏れ波16aは、RF送受信回路15内の開閉スイッチ4と受信アンプ9との間に発生する。
また、漏れ波16bは、送受信アンテナ5、8間の空間結合により発生する。
さらに、漏れ波16cは、レドーム6(または、車両バンパ)などの極近距離にある物体からの反射波として発生する。
これらの漏れ波16a〜16cは、全体的に「漏れ波」と総称される。
したがって、漏れ波のレベル変化をそのまま観測して、異常判定(故障検出)することは容易ではない。
このため、異常判定期間のみにおいて、送信周波数ftxを、観測受信信号における漏れ波レベルが識別できる範囲まで変動させて、送信周波数ftxの操作量と同一条件であらかじめ学習しておいた正常時の受信信号レベルと比較する。
これにより、RF送受信回路15の特性変化を含めた電波パルスレーダとしての機能全体の異常判定を実現することができる。
これを回避するために、異常判定処理を実行する期間は、周辺に被検出物体7が存在しないと判定された場合に限られており、これにより、誤判定を抑制または防止することができる。
図6において、車載電波パルスレーダ装置は、基本的概念の一例として、バイアス調整回路17を備えている。
また、信号処理装置14Aは、RF送受信回路15Aの異常発生状態を判定する異常判定手段を含む。
まず、漏れ波は、送信信号W1(電波)に対して、漏れ経路dに相当した遅れ時間Δtを有しており、漏れ経路dによる漏れ波の位相ΔΦは、以下の式(2)のように算出される。
ここで、信号処理回路14Aは、バイアス調整回路17を制御することにより、発振器1Aのバイアスを調整して、発振器1Aからのローカル用電波の送信周波数ftxを変化させる。
また、受信ミキサ10からの検波出力電圧e(ビート信号)は、ローパスフィルタ11によって除去される成分cos(ωt+ωt+Φ)を考慮すれば、以下の式(3)のように算出される。
=(A×B/2)cos(ωt−ωt−Φ)−(A×B/2)cos(ωt+ωt+Φ)
=(A×B/2)cos(−Φ)
=(A×B/2)cosΦ ・・・(3)
ここで、式(3)に式(2)を代入すると、受信ミキサ10の出力電圧eは、以下の式(4)のように表される。
したがって、この現象を利用すれば、或る規定の幅をもって発振器1Aの周波数ftxを操作し、このときの受信ミキサ10の出力電圧eの変化幅を観測することで、RF送受信回路15Aの動作状態を確認することができる。
この結果、故障と判定された場合には、信号処理装置14Aは、異常信号Eを出力し、車両の制御システムに対して電波パルスレーダ装置の異常を通知する。
したがって、安価で且つ小型な回路構成で、高信頼性の車載電波パルスレーダ装置を得ることができる。
なお、上記実施の形態1(図6参照)では、異常判定処理の実行条件として車両の速度(以下、「車速」という)を考慮しなかったが、車速が所定速度以上を示し、且つ目標となる被検出物体7が存在しないと判定された場合のみに異常判定処理を実行し、車両の近傍に存在する被検出物体7による異常判定処理への影響を排除してもよい。
ここでは、車両の速度情報を検出する手段として、車輪速センサ20および車速センサ21を設けたが、車輪速センサ20または車速センサ21のいずれか一方のみを設けてもよく、また、速度情報を検出可能であれば、他のセンサ手段を設けてもよい。
所定速度(たとえば、60km/h)は、子供などが車両周辺に存在し得ない速度値に設定されている。
なお、上記実施の形態2では、異常判定処理の実行条件として車速情報のみを用いたが、ナビゲーションシステム情報を追加してもよい。
図8は異常判定処理の実行条件としてナビゲーションシステム情報を追加したこの発明の実施の形態3に係る車載電波パルスレーダ装置を示すブロック図である。
この場合、車両は、車両の位置情報を認識するためのナビゲーションシステム22を備えている。
また、信号処理装置14C内の異常判定手段は、ナビゲーションシステム22により認識された車両の走行道路情報に基づいて、周辺環境のノイズが少ないと考えられる条件下で異常判定処理を実行するようになっている。
これにより、一般道のように周辺環境(ノイズ)を予測しがたい状態では、異常判定処理を禁止して誤判定を回避することができ、精度の高い異常判定処理を実行することができる。
なお、上記実施の形態1〜3(図6〜図8)では、特に言及しなかったが、所定のレーダ観測周期内の空き時間に分割して異常判定処理を実行するか、または観測処理の休止期間に異常判定処理を実行し、被検出物体の観測処理を妨げることなく異常判定処理を実行してもよい。
図9においては、所定のレーダ観測周期To内に、送信アンテナ5からの送信信号W1(観測用のレーダビーム)のスキャン方向(左、中央、右)を時系列的に示している。
また、信号処理装置14A〜14Cの制御下で、レーダ観測周期Toを間引くことにより、観測期間TL、TC、TRを削除され(図9内の破線参照)、休止期間TSが得られる。
同様に、休止期間TSの間に異常判定処理を実行することにより、本来のレーダ機能に影響を与えることなく、安全に異常判定処理を実行することができる。
ただし、レーダ観測周期Toを間引く場合は、被検出物体7が存在しない状態に限るなどの安全上の制約を設ける必要がある。
なお、上記実施の形態1〜4では、異常信号Eをそのまま車両制御システムに入力したが、異常信号Eが所定回数だけ生成された場合に最終的な異常発生状態と見なすことにより、冗長性をもたせてノイズなどによる誤判定を抑制してもよい。
図10において、信号処理装置14A〜14Cの出力部と車両制御システム40との間には、故障診断回路30が挿入されている。
なお、故障診断回路30は、信号処理装置14A〜14C内の異常判定手段に含まれてもよい。
シフトレジスタ32の出力信号は、異常信号Eが所定回数(たとえば、4回)だけ連続的に入力された場合に、すべてのビットが「1」レベルとなる。
これにより、真の異常状態のみにおいて、車両制御システム40に対して車載電波パルスレーダ装置の異常が通知され、種々のノイズなどによる異常状態の誤判定を抑制することができる。
Claims (6)
- 車両に搭載されて使用される車載電波パルスレーダ装置であって、
レーダビームを送信信号として放射するビーム送信手段と、
前記レーダビームの放射範囲内にある被検出物体からの反射ビームを受信信号として受信するビーム受信手段と、
前記送信信号および前記受信信号に基づいて前記車両から前記被検出物体までの距離を算出する信号処理装置と、備え、
前記ビーム送信手段および前記ビーム受信手段は、RF送受信回路および送受信アンテナにより構成された車載電波パルスレーダ装置において、
前記信号処理装置は、
前記送信信号の周波数を変化させる周波数可変手段と、
前記RF送受信回路の異常発生状態を判定する異常判定手段と、を含み、
前記周波数可変手段は、前記送信信号の周波数を所定範囲内で変化させて、前記RF送受信回路内または前記送受信アンテナ間に存在する漏れ波の位相状態を強制的に変化させ、
前記異常判定手段は、
通常時の受信信号に基づいて学習された正常レベル変動幅と、前記漏れ波の位相状態が変化したときにIF受信信号のDC成分として観測される漏れ込みレベル変動幅とを比較し、
前記正常レベル変動幅と前記漏れ込みレベル変動幅との差分に基づいて、前記RF送受信回路の感度低下または故障を前記異常発生状態として判定し、
前記異常発生状態が判定されたときに、前記車両の制御システムに対して異常通知を行うことを特徴とする車載電波パルスレーダ装置。 - 前記異常判定手段は、
前記車両の速度が所定速度以上を示し、且つ目標となる被検出物体が存在しないと判定された場合のみに異常判定処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の車載電波パルスレーダ装置。 - 前記車両は、前記車両の位置情報を認識するためのナビゲーションシステムを備え、
前記異常判定手段は、前記ナビゲーションシステムにより認識された前記車両の走行道路情報に基づいて異常判定処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の車載電波パルスレーダ装置。 - 前記異常判定手段は、所定のレーダ観測周期内の空き時間において、分割して異常判定処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車載電波パルスレーダ装置。
- 前記異常判定手段は、異常判定処理の実行時に前記被検出物体の観測処理の実行を休止し、前記観測処理の休止期間において前記異常判定処理を実行することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車載電波パルスレーダ装置。
- 前記異常判定手段は、
異常判定処理を一定周期で繰り返し実行し、
異常発生状態が所定回数だけ連続して判定された場合のみに、前記RF送受信回路の真の異常発生状態として判定し、
前記真の異常発生状態が判定されたときに、前記制御システムに対して前記異常通知を行うことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の車載電波パルスレーダ装置。
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